会議資料・開催案内等


政審議会 日本郵政公社経営・評価分科会議事次第


開催日時     平成20年2月1日(金)
午前1000分から午後0時10分まで

開催場所     第3特別会議室(9階)




議事次第


  1.  開会

  2.  「第2期中期経営目標期間(平成19年度)の経営状況」について
       (日本郵政株式会社西川取締役兼代表執行役社長説明)

  3.  日本郵政公社の平成19年度財務諸表の承認について
       〔総務大臣諮問第303号〕

  4.  日本郵政公社の業績評価(第2期中期経営目標期間及び平成19年度)について
       〔総務大臣諮問第304号〕

  5. 閉会






出席委員の氏名及び出席委員数


分科会長

      樋口 公啓
分科会長代理

  若杉 敬明
委員

  梶川
委員

  斎藤 聖美
委員

  佐野 真理子
委員

  田尻 嗣夫
委員

  針 ヶ 谷 照夫
委員

  三村   優美子
委員

  吉野 直行
委員   米澤 康博


                           出席委員数 10





出席した関係者の氏名等


日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長

西川 善文
日本郵政株式会社常務執行役

藤本 栄助
郵便事業株式会社執行役員経営企画部長

ザキ 順 一 郎
郵便局株式会社専務執行役員

隆政
株式会社ゆうちょ銀行常務執行役

山田
株式会社かんぽ生命保険常務執行役  

南方 敏尚



出席した関係職員の所属・氏名


郵政行政局長

橋口   典央
郵政行政局企画課長 

原口 亮介
郵政行政局企画課調査官

藤田 清太郎
郵政行政局郵便課長

後藤 篤二
郵政行政局貯金保険課長  

淵江
郵政行政局貯金保険課保険計理監理官

鈴木 一広
郵政行政局検査監理官


柴山
     
( 事務局 )
郵政行政局企画課管理室長
山碕 良志







審議内容


開会

○山碕企画課管理室長 定刻になりました。開催の前に事務局からお願いがございます。ご発言される際は、お手元のマイクにTALKボタンがございますので、TALKボタンを押してからご発言してください。なお、ご発言が終わられましたら、もう一度TALKボタンを押してスイッチをお切り願います。
  次に、昨年9月30日と10月1日に当省の人事異動がございました。この異動により交代した者につきまして、2名自己紹介をさせていただきたいと思います。
  まず、検査監理官の柴山でございます。
○柴山検査監理官 柴山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○山碕企画課管理室長 それから、私、企画課管理室長の山碕でございます。よろしくお願いいたします。
  それでは、分科会長、進行をよろしくお願いいたします。
○樋口分科会長 それでは、ただいまから郵政行政審議会第15回日本郵政公社経営・評価分科会を開催させていただきます。
  本日は、委員15名中10名がご出席ですので、定足数を満たしております。
  本日の審議事項等は3件ございます。
  まず、日本郵政株式会社の西川社長から第2期中期経営目標期間の経営状況につきましてご説明を受けることといたします。それでは、西川社長、よろしくお願いいたします。
○西川日本郵政株式会社社長 おはようございます。西川でございます。
  委員の皆様方には日ごろから私ども日本郵政グループに対しまして格別のご指導、ご支援を賜りまして、誠にありがとうございます。昨年10月1日の民営化から4カ月が経過いたしました。民営化当初にはシステムの不具合等、若干のトラブルがございましたが、関係の皆様方のご指導とご支援によりまして、大きな混乱なくスタートすることができましたことを心より感謝申し上げます。
  さて、本日は公社最後の半年間の取組についてご説明を申し上げますが、この期間は民営化を円滑にスタートさせるため、システム開発や業務の移行など膨大な準備作業を行いながら、財務内容の健全性の確保や業務運営の効率化、コンプライアンスの徹底などについても中期経営計画を着実に実施してきたところでございます。内容につきましてはお手元の資料に簡単にまとめておりますが、時間の都合もございますので、簡単にご説明を申し上げます。
  1ページから3ページにかけまして、経営の健全性の確保につきまして郵便、貯金、保険の順に記載をいたしております。19年度には特殊要因といたしまして共済整理資源の引当金計上を予定しておりましたので、目標はこれに伴う費用の増加分を除いて設定いたしておりました。
  まず、郵便業務につきましては、積立金がマイナス1,050億円以上の目標に対しまして実績がマイナス1,250億円、事業経費率が目標の109.5%以下に対しまして実績が106.8%となっております。積立金につきましては目標値を若干下回っているように見えますが、19年度には共済整理資源と同様に公務災害補償に係る年金債務を民営化に備えまして引当金計上したことに伴いまして特別損失を計上しておりまして、これは公社の本来業務に直接関係のない部分ですから、この影響を除いて考えますとマイナス1,023億円と、目標を上回る水準となるものと理解しております。
  次に、2ページでございますが、貯金業務につきましては、積立金は目標の2,900億円以上に対しまして実績が7,637億円、経費率は目標の0.62%以下に対しまして実績は0.58%となっておりまして、ともに目標を上回っております。
  3ページ目の保険業務につきましても、危険準備金と価格変動準備金の積増額は目標の1,400億円に対しまして実績が1,673億円、事業費率は目標の7.0%以下に対しまして実績が5.61%と、いずれも目標を上回っております。
  4ページには、お客さま満足度の向上について記載をいたしております。数値目標として掲げておりました郵便業務の送達日数達成率、保険業務の失効解約率につきましては、ともに目標を達成しております。このほか、公社全体の取組として、集約したお客様の声をCS推進委員会などで審議し業務改善に反映する取組や、お客様と接する職員を対象に接遇・マナーレベル認定を実施いたしましたほか、各業務におきましてはオートキャッシャーの配備による現金過不足事故の防止、お客様からの民営化に関するお問い合わせの増加に備え臨時コールセンターを設置するなどの取組を行ったところでございます。
  5ページにはコンプライアンスの徹底について記載しておりますが、これは将来の株式上場に向けた重要課題の一つでもございます。19年度には、部内者犯罪を防止するため、防犯カメラ、鍵・カード管理機といった防犯機器を配備したり、郵便局の管理者が防犯点検に活用しているレッドシートの項目を監査での指摘やフロントラインの意見を踏まえまして見直したりといったことを行いました。また、郵貯の預入限度額、簡保の加入限度額の超過の解消や顧客情報管理の徹底、本人確認の徹底、保険の無面接募集の根絶などに取り組んでまいりました。コンプライアンスにつきましては、民営化後もグループ全体の課題として、さらに取組を徹底していきたいと考えております。
  6ページは新会社への円滑な移行について記載しておりますが、まずシステム対応につきましては、期限までに63に及ぶ暫定システムの開発を行いました。また、業務対応といたしましては、業務リハーサル、規程・マニュアル類の整備やテレビ、新聞、ダイレクトメールなどを通じたお客様への周知活動といった業務系の移行作業、また会社間の区画工事や式紙、ユニフォームの調達などインフラ系の移行作業、業務の変更点等に関する訓練・研修を実施いたしました。本社、支社、フロントラインが一体となって、このように非常に規模の大きなプロジェクトに取り組んできたところでございまして、全体として大きな混乱はなく民営化をスタートすることができたと考えております。
  7ページにはその他の取組をまとめております。これまでご説明申し上げましたもののほかに、郵便局ネットワークの有効活用、経営管理・リスク管理の高度化、企業会計原則にのっとった体制の整備、内部監査体制の整備に取り組んできたところでございます。
  以上が公社最後の半年間の取組でございます。
  最後になりますが、私ども日本郵政グループは、明治4年の郵便創業以来130年余りかけて培ってまいりました安心と信頼を礎といたしまして、全国津々浦々のネットワークを最大限に活用しながら、お客様のご期待にこたえる新たなサービスを提供してまいりたいと考えております。そして、お客様から本当に民営化してよかったと心から喜んでいただけるよう全力で取り組んでまいる所存でございますので、引き続きご指導、ご支援をよろしくお願いを申し上げます。
  以上でございます。
○樋口分科会長 どうもありがとうございました。
  それでは、ただいまのご説明につきまして、委員の皆様からご質問、ご意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。ご自由にご発言をお願いいたします。
  吉野委員、どうぞ。
○吉野委員 吉野でございます。お話どうもありがとうございました。
  今後のことに関しまして2点ほどお伺いします。
  郵便に関しては海外との提携、随分外に出ていかれると思いますけれども、貯金とか保険も、国内だけですと、うんと長期的には、どちらかというとしぼんでくると思うのですが、そういう際の海外展開、あるいは郵便局のネットワークというのは多分日本が世界でも冠たるものだと思うのですが、こういうネットワークサービスというものも海外に対していろいろ、売れると言っては失礼ですけれども、展開できるような気がいたしますので、ぜひ海外への進出というのも視野に入れていただきたいというのが1つでございます。
  それから、2番目は質問でございますけれども、これまで郵便局のひまわりサービスとか、さまざまな官としてのサービスを提供されてこられたと思うのですけれども、民営化の中でいかに自治体とのサービスの提携を保つか、その際にはおそらく手数料をいただきながらやっていくことになると思いますし、どのように今後うまく公的なものを入れながら、しかも、そこで基金をいただきながら住民にサービスを提供していくという、難しいところではあると思うのですけれども、2点についてお伺いしたいと思います。
○西川日本郵政株式会社社長 まず、海外展開ということでございますが、我が国全体といたしまして、あるいは世界的に見ましても、グローバル化ということが各分野で進展をしている状況でございますので、我々の業務、経営につきましてもグローバル化の視点というものをしっかりと織り込んで考えていかなければならないものと考えております。これは一般論でございますが、具体的には、やはり郵便業務におきましても国際物流という分野を一つのテーマとして重要視し、海外への進出あるいはアライアンスによります進出といったことをできるだけ早く始めてまいりたいと考えております。ただいまはEMSというサービスを提供しておりますが、これだけでは不十分でございますので、もう少し幅広く国際物流をやれるように考えてまいりたいと思っております。
  また、ゆうちょ銀行の業務の中で、運用ということが大変重要なポイントでございます。大きなことはとてもまだ現状では考えられませんが、やはり運用の一部を、運用を多様化するという観点から、海外での運用といったものも考えていく必要があろうかと考えております。
  それから、ひまわりサービスなどの公共サービスでございますが、民営化したとは申せ、日本郵政グループの業務はやはり公共性ということを重要視してまいらなければならない業務でございます。郵便局ネットワークの水準維持あるいは郵便のユニバーサルサービスといったこともそうでございますし、ご指摘のございました自治体との提携によりますひまわりサービスなどもやはり引き続き継続をして、地域の住民の皆様へのサービスに心がけてまいらなければならないと考えております。
○樋口分科会長 いかがでしょう、ほかには。今のでよろしゅうございますか。佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 お客さま満足度の向上のことで、どちらかというとお願いです。お客さま満足度というのは数字に表れないものですから、なかなか評価するのが難しいのですが、実際には困ったとき、どうしたらいいかわからないときに相談に行きます。ところが、窓口の方の対応が非常に悪いということをよく聞きます。それで、私ども消費者団体とか総務省の方をご存じだと、ころりと変わってしまう。ころりと変わるというのは、対応がよくなるのです。では、知り合いがいなかったらどうなのか。そこは非常に不信感が生まれることが多くて、普通のメーカーさんでもよくあることなのですが、人によって対応が変わるということをぜひやめていただきたい。どんな方でも相談するということは困っているからだということを基本に置いて、職員の方々の教育にぜひ力を入れていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○西川日本郵政株式会社社長 確かに先生のおっしゃるとおりでございまして、サービスの公平性、そして親切丁寧な応対ということは郵便局のあり方として大変重要なポイントでございます。指導を徹底してまいりたいと存じます。
○樋口分科会長 どうぞ、若杉さん。
○若杉分科会長代理 ただいま実績のご説明をいただきましたけれども、郵便や保険で目標よりもかなりいい業績を上げているわけです。そのこと自体は大変頑張ったということで、いいことのようにも見えるのですが、もしかしたら計画の立て方が甘かった、あるいはいろいろな見込みが甘かったということもあり得るわけです。これから民営の企業としてやっていく場合に、現代企業経営の大原則というのはきちんとした目標を立てて、全力を傾けてそれを達成するという方向ですので、計画の立て方とか目標の立て方に何かまだ公社時代の未熟なところがあるのではないかと思って心配なわけですが、その辺についてご説明いただければと思います。
○西川日本郵政株式会社社長 私ども、既に公にしておりますとおり、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、そして持ち株会社であります日本郵政の3社につきましては、民営化後、できますれば3年目、遅くとも4年目には株式の上場を果たしてまいりたいと考えております。その際には、やはり経営目標につきまして、マーケットから評価をされる、できれば高い評価を受けられる、そして実行可能な目標を提示してまいらなければならないものと考えております。そのようにマーケットの監視、市場規律の中で我々の経営目標も設定していく必要があると考えております。
○若杉分科会長代理 よろしくお願いいたします。
○樋口分科会長 では、梶川委員、どうぞ。
○梶川委員 きょうの議題の本年度のということより、これから先に向かってということも含んでいますけれども、先ほど来、西川社長がご説明のように、この事業は今後民営化したときも非常に公益性のある事業で、それと同時に、保険、それから貯金に関しては上場の問題もある。この辺、以前からお話しさせていただいているのですが、事業に関する各種の公的なサービスの提供をされている分野でのコスト、そして市場競争にさらされる事業のコスト管理、これは地域別であったり事業種別であったり、同じ事業の中でも公益性があって維持している部分と、郵便事業の中でも小包等々の市場競争の分野、その辺の峻別が経営管理的にも、またディスクロージャーという意味でも非常に重要な課題になるのではないか。ある意味では実質公営の裏返しでございますけれども、郵便局会社の手数料収入の決め方というのは、パブリックな一方でマーケットにさらされている事業の正にゲートキーパーになると思うのです。この手数料がどれだけリーズナブルであるかということは、パブリックな事業体と、片方はマーケットでこれから上場していくというところで非常に重要なテーマで、これがどのようなコスト採算で計算されて、もちろん会社が別になるので、現在の段階では両者は明らかな第三者交渉になってはいるのですけれども、やはりある種そこの透明度は非常に重要なテーマになり続けている。
  特に、片や株式公開などされますと、明らかに片方には株主ができて利益相反の集約の部分になると思います。これは非常にいろいろな難しい問題があると思うのですけれども、時間をかけながら、コスト情報がいかに信頼性もあり、かつ経営管理上も有益なものになり、かつ第三者的にも信頼性が担保できるものになっていくかということについて、今、どう取り組まれているかということと同時に、どのようにご検討になられているか。一部お願いであり、一部質問でございます。
○樋口分科会長 では、どうぞ、西川社長。
○西川日本郵政株式会社社長 先生のおっしゃられますとおり、これは非常に難しい問題でございまして、地方の例えば過疎地にある郵便局をネットワークの維持という観点から守っていくということになりますと、大都会における郵便局で業務にかかるコストと地方におきましてかかるコストには大きな違いがございます。しかしながら、それでは、地方は手数料を高くし、大都会は安くするというわけにはまいりません。一物一価と申しますか、同じサービスについては同じ手数料にせざるを得ません。そういうことになりますと、地方の例えば過疎地にある少人数局などの経営は大変厳しい状況になってくるということでございますが、これは郵便局会社全体としていかに収益を確保するか、その中で不採算な部分をカバーしていくかという考え方で臨む以外にないと考えております。
  一般に、我々に課せられたネットワーク水準の維持でありますとか、あるいはユニバーサルサービスといったことを全く度外視するということになれば、そういう不採算な部分はなくしていく、例えばそういう郵便局はなくしていくのが筋だろうと思いますが、それは我々にはできないわけでございますので、それを前提に、会社全体としてはしかるべき収益水準を確保できるように努力していくということでございます。郵便局会社の場合は、新規業務への進出につきまして総務大臣への届出ということで可能でございますので、郵便局会社においては、不動産事業をはじめ新規業務に積極的に取り組んでいって、そういった過疎地におけるマイナスをカバーするということを考えていく、こんなことになってくると思います。
○針ヶ谷委員 ちょっといいですか。
○樋口分科会長 針ヶ谷委員、どうぞ。
○針ヶ谷委員 私は自治体関係者の一員ですが、民営化になって感じますのは、非常に接遇がよくなったという感じがするのです。大分訓練されたようで、非常に接遇がよくなったという話をあちこちで聞いておりますので、まずはよかったなと思っています。
  それと、先ほども話がございましたように、自治体とは密接な関係を保っていきたいという話がございまして大変ありがたいのですが、ただ、現実問題として、民営になりまして、これから手数料を今度取るのですよね。そういった面での関係はあるのですが、それはそれとして、ぜひ密接な関係を保っていただきたいと思っています。
  それと、一、二お願いでございますが、今もお話がございましたように、やはり過疎地というのは非常に大変な状況です。ほかの金融機関はどんどんといなくなってしまうということもございますので、非常にご苦労は多いと思うのですが、過疎地における存続をぜひお願いしたいということが1つです。
  それと、地方にとって郵便の配達員さんは非常に大事な存在だと思います。やはり戸別に回るわけですから、一声かけていただいたり、いろいろな面で非常に大事な存在だと思うのです。ただ、人件費の関係もございまして、だんだんそれが縮小されてきますと、そこまで手が回らなくなってしまうおそれがあるかなと思うのですが、できる限り一声かけるぐらいの余裕を持った配置をお願いできればと考えていますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
○西川日本郵政株式会社社長 過疎地の郵便局につきましては、ただいま申し上げましたとおりでございまして、ネットワークの水準維持という観点から、これを維持していくというかたい決意で臨んでおります。
  公社時代は郵便配達の職員が総合担務ということで、貯金の引き出し等の依頼を受けて預かってくるといったようなことができたわけでございます。今度、民営化で郵便事業、そしてゆうちょ銀行となりましたので、郵便事業会社ではそれができないということになってまいりました。そういったことは、郵便事業会社とゆうちょ銀行との間の連携の中で、郵便配達の職員から郵便局等に連絡をして郵便局からお伺いするといったような方法をとる必要がある、そういうことになるわけでございます。私も現場を何度も見て、やはり配達の職員がひとり住まいの方のお宅へ「お元気ですか。お変わりありませんか」と声をかけて回っておる場面を見ておりますが、こういったことを郵便配達の職員が引き続きやっていくということは、やはり郵便局が地域で大変頼りにされる存在であるということからいたしましても必要なことであろうと考えておりまして、それはできるだけやれるように会社としても指導してまいりたいと考えております。
○樋口分科会長 田尻委員、お願いします。
○田尻委員 資金運用と申しますか、資金の活用の仕方でございますが、そもそも民営化の目的として官から民へお金を流すという国民的なお約束をなさったわけであります。したがって、民がマネーセンターの資本市場、金融市場へ華々しく資金運用に出かけていくというのは、私どもからお願いしなくても日本郵政グループはしっかりおやりになるだろうと期待をいたしております。
  しかし、もう一つの民、すなわち中央政府でなくて地方自治体だとか地域住民だとか、生活者、勤労者の生活環境を改善する方向にお金を回すというもう一つの役割を、日本郵政グループが私企業だからといって行政対応に待つという姿勢だったら、官から民への資金の流れというのは片手落ちになってしまうと思うのです。したがって、商業ベースでも地方自治体等、地域専門に資金を流す外資系の金融機関も既に日本へ進出しておるわけでございますから、十分商業ベースで成り立ち得るものだということはよくご存じだろうと思います。したがって、そうした資金運用の多様化、海外展開と並行して、地域に資金をどう還流させるか。300兆円のうち1%お回しになっても3兆円でございまして、今のガソリン税ですと地方に回るのは2兆1,000億円でございますから、それをはるかに上回るインパクトを持ってくるわけであります。ぜひ日本郵政グループでスキームを早く出していただくことが、上場等に向かって国民的な支持を仰ぐポイントではないかなと思います。よろしくお願いをしたいと思います。
○西川日本郵政株式会社社長 資金運用の一環といたしまして、これはゆうちょ銀行もかんぽ生命も同様でございますが、その中で地方自治体関係の地方債への投資をしていくということはやはり大きなビジネスの一つでございます。国債よりは利回りが幾らかよろしいということもございまして、その点は大きなビジネスとして考えてまいりたいということで、既にこれまでも財投等の形でやってきたものもございますし、あるいは地方債という形で投資をしたものもございます。一層これに力を入れてまいりたいと考えております。
○樋口分科会長 よろしゅうございますか。
○田尻委員 はい。
○樋口分科会長 では、斎藤委員、お待たせしました。
○斎藤委員 職員及び社員のことについてお伺いしたいのですが、民営化の前と後で離職率はどのくらい変化したのでしょうか。働く方たちのモラルが、今、どういう状況なのかお伺いしたいと思います。
  また、資金運用というのは高度に専門的な仕事で、能力のある方をスカウトするとなると、多分今までの給料水準だと非常に難しいところもあるかと思うのですが、そのあたり、専門職の方をどうやって採用、活用し、それが組織の中で浮いた存在にならないようにするのか、そこら辺の工夫を伺えたらと思います。
○西川日本郵政株式会社社長 民営化いたしましてからの動きというのは、私、まだ詳細を把握いたしておりませんが、民営化に際しまして、当初予想された以上に退職者が出たということは事実でございます。例年ですと年間の退職者数は1万2,000人程度でございますが、民営化前の平成18年度の年間退職者数は2万1,000人であり、早期退職を含めて退職者が多かったということでございます。その後はそう大きな変化はないように感じております。
  それから、専門職的な方、例えばゆうちょ銀行やかんぽ生命における資金運用の専門家、こういった方が不足をしておるわけでございますが、こういった職種の方々はなかなか我々の給与体系にはなじまないというのが実情でございます。今、ここで具体的に申し上げられる段階ではありませんが、こういった方々を何らかの格好で確保できる方策を、処遇面も含めて考えていく必要があるということは事実でございます。
○斎藤委員 全体のモラルの話は。
○西川日本郵政株式会社社長 民営化直後から、やはりシステムが変わる、業務フローが一部変わるということで大変繁忙な時期が続きました。ようやく落ち着いてきたところでございますけれども、超過勤務もしながら、それをよくこなしてくれたということでございますし、またトラブルの処理なども、後納郵便の請求にいろいろ問題が生じたとか、あるいは郵便認証司の業務に問題が生じたということで、随分その処理に精力を投じなければならないという事態があったわけでございますが、これも数カ月できちんと処理をしてくれたということで、私はその経過から見まして、決してモラルが低下しているということはないと思っております。そういったスタート時の繁忙期を過ぎまして、ようやく正常化しつつあるという現状でございますが、今後、さらに意欲を持って仕事に臨んでもらえるように、やはり我々経営陣がモラルアップ、モチベーションの向上に資する施策をいろいろと講じていく必要があると考えております。
○樋口分科会長 よろしいですか。ほかにはいかがでございましょうか。どうぞ、米澤委員。
○米澤委員 先ほども地方公共団体とのかかわりのお話が出ましたけれども、私ども金融とか運用を専門としている者ですが、やはり市とか村とか県とか、そういうところの公金の運用というか、キャッシュマネジメントが非常に遅れているなという感じがします。これは総務省などでももっと言ったほうがいいのかもしれませんが、現金第一主義というか、安全超第一主義みたいな格好で行われて、いわゆる与信のキャッシュマネジメントなどももっと効率的にする余地があるかと思うのです。そういうところに関して、幸いどこにでもネットワークのある郵便局みたいなところが出ていって、ある人に言わせれば暗黒大陸のところを少し改善していって、少しでもそこで利子が取れるような、財政に寄与するような格好で少し助けていくような方法もあるのではないかと思っておりますが、その辺のところもご検討いただければと思っております。
  それから、同時に、地方債を引き受ける際にももう少し金融市場のことを相手方も理解するような格好で引き受けていく、つき合っていくということも含めて、もう少し金融というところをうまく使っていく工夫の余地があるのではないか、それを握っているのではないかという感じがしております。
○西川日本郵政株式会社社長 先生がおっしゃられますことは、CMS、キャッシュ・マネジメント・サービスのシステムを自治体等にご利用いただく、それによって資金の効率的な運用をしていくということであろうと思いますが、私どもはゆうちょ銀行におきましてまだそこまではいっていないというのが実情でございまして、今後、民間銀行が持っておりますCMSのシステムを我々も持っていく必要があると思います。これはこれで開発をしてまいらなければならないことの一つであろうと思っております。
○樋口分科会長 よろしゅうございますか。ほかには。この後、我々は業績評価の作業をしなければいけないのですけれども、それに先立って、ぜひ聞いておきたい、西川社長の意向をお伺いしておきたいということがございましたら。時間はちょっと押し気味になっておりますけれども。どうぞ、三村委員。
○三村委員 全体的なこれからの方向性ということであるわけですが、これまではやはりかつての日本の郵政省とか郵便局とかいう形で一つのイメージとかアイデンティティーが明確であったと思いますけれども、こういった形で民営化され、かつ分社化されていく。そして、その商品そのものも、ある意味では非常に民間企業と同じ水準にという話になってきますと、そこにおける特徴づけとか、あるいは一つの独自性というのがなかなか見えなくなってくる可能性もあると感じております。そういった意味で一種のブランドということも重要になると思うのですけれども、例えば商品の特徴づけ、あるいは全体のブランドとしての価値、あるいはブランドとしてのイメージづけ、そういった方向性についてはどのようにお考えなのでしょうか。
○西川日本郵政株式会社社長 何といいましても、全国どこでもどなたでもご利用いただけるサービスを提供する、そして安心と信頼をしっかりと確保していく、これが私どもの特色であり、そして使命であると考えております。そういったことを機軸といたしまして、我々はいろいろなサービスを提供していく、新しいサービスも考えていくということだと思っております。
○樋口分科会長 よろしゅうございましょうか。
  それでは、大変ご多忙のところ、西川社長には熱心にご回答いただきまして、ありがとうございました。それでは、ここでご退室をいただきまして、委員による審議に入りたいと思います。きょうはどうもお忙しいところ、ありがとうございました。
○西川日本郵政株式会社社長 どうもありがとうございました。
○山碕企画課管理室長 座席の入替えを行いますので、しばしお待ちいただけますでしょうか。

(西川日本郵政株式会社社長退室・出席者入替え)

○山碕企画課管理室長 それでは、分科会長、引き続きご審議進行のほどよろしくお願いいたします。
○樋口分科会長 それでは、早速審議に入りたいと思いますが、まず諮問第303号、日本郵政公社の平成19年度財務諸表の承認と諮問第304号、日本郵政公社の業績評価につきましては、密接にかかわるものでありますので、2つの審議事項をまとめて審議することといたしたいと存じます。また、この2つの審議事項につきまして、当分科会でご審議いただきました後、当分科会での審議の内容を踏まえまして、来週開催の総会におきまして再度ご審議いただき、最終的に審議会としての答申とさせていただくという取り運びとなっておりますので、ご承知置きをいただきたいと思います。
  それでは、まず山碕企画課管理室長より説明をお願いいたします。
○山碕企画課管理室長 本日、資料を何種類かお配りしております。正式な諮問書が2種類ございますが、大部でございますので、その内容をまとめました資料2−1に基づきまして、2つの諮問事項について概略ご説明します。諮問書の読み上げは省略させていただきたいと思います。
  まず、2ページをご覧ください。今回の財務諸表及び業績評価の全体の仕組みの中の位置づけでございます。真ん中あたり、3)、4)、6)と書かれまして緑で塗ったところがございますが、これが今回の平成19年度の財務諸表及び業績評価の位置づけでございます。4)と6)の業績評価につきましては、各事業年度の評価と中期経営目標期間、今回は第2期でございますが、平成19年4月から9月までの6カ月間、この期間を同一のものとして4)、6)の業績評価をさせていただきました。財務諸表、業績評価の双方を、今回この審議会にお諮りすることとなったものでございます。
  4ページをご覧ください。まず、財務諸表の概要をご説明いたします。上の枠にありますとおり、今回、平成19年度の決算では、公社として初めて4,420億円の赤字を計上いたしました。ただ、これは業務上の赤字ということではなく、主な要因として、先ほど西川社長の説明にもありましたが、整理資源負担金等一括処理として、約1.4兆円を特別損失に計上したことによるものでございます。
  整理資源につきましては、ページが飛びますけれども、6ページをご覧ください。職員の福利厚生に関する費用でございまして、昭和34年に施行されました共済組合法の施行以前から勤務していた職員あるいは施行前に退職した職員に支給されます年金あるいは恩給の財源について、昭和34年以降については保険料財源で賄うことになっているのに対し、それ以前の勤務部分については国庫負担、郵便局の職員に関しましては旧郵政公社が負担するということになっておりました。これまでも毎年度この年金あるいは恩給に関する費用支出をしていましたが、民営化に伴いまして財務を透明化する観点で、民営化後の将来にわたる債務を一括して今回の決算で特別損失として計上することになったものでございます。右下にありますとおり、整理資源が1.3兆円余り、恩給負担金は額が少ないですが、全体として約1.4兆円の特別損失が出ております。
  4ページにお戻りください。三事業全体としては、このような結果でございました。
  各事業についてでございますが、郵便は、今回、年賀郵便がない年度前半でございましたので、赤字計上となっております。4ページの下のほうにございますとおり、当期純損失が8,146億円でした。ただし、郵便事業につきましても整理資源負担金等一括処理の影響がございます。今回の第2期中期経営目標としては、整理資源の負債計上については影響を考慮しない、対象から除くということで目標そのものが設定されておりますので、それとの比較でいいますと1,250億円の赤字という結果でございました。
  5ページをご覧ください。貯金でございますが、5期連続で黒字を計上しております。当期純利益が3,726億円、整理資源の負債計上の影響を除いた額が「目標額との比較」の欄にあります7,637億円でございます。目標が2,900億円以上でございましたので、目標額自体は達成した状況です。特に経常収益のところで、前中間期と比べまして2,656億円の増となっております。主な要因として、債権、特に外債の売却をかなり行ったことが、この経常収益の増に効いておるようでございます。
  簡易生命保険につきましても、貯金と同様に5期連続で黒字の計上でございました。当期純利益に相当いたします内部留保積増額が6,618億円でした。整理資源の負債計上及びキャピタル損益の影響を除いた形で目標が設定されておりますが、目標額1,400億円以上であったところ、結果として1,673億円でございました。
  7ページをご覧ください。西川社長の説明にもありましたが、公務災害補償費の計上に伴う影響が出ております。これは、国家公務員であった郵便局の職員が公務上災害を受けた場合、その後の補償を年金等の形で受けるものでございます。これもこれまで毎年度支出として計上されておったわけでございますが、今回の決算で民営化後の支出負担分については特別損失として一括計上するという決算上の処理が行われまして、三事業合わせまして全体で300億円の特別損失が計上されております。特に郵便については204億円という額でございまして、先ほどの西川社長の説明でも、この影響がなければ中期経営目標の積立金の部分の目標を達成したというご説明がございました。ただ、総務省の評価といたしましては、後ほど評価結果のところでご説明いたしますが、公務災害補償費の負債計上の影響が当初目標を設定された時点では考慮されることになっておりませんでしたので、この特別損失の影響を特段考慮せずに評価をするという方針で評価をいたした次第でございます。
  8ページから12ページまでは財務諸表の具体的な数値でございますので、ここでは説明を省略させていただきます。
  13ページをご覧ください。公社の財務諸表につきましては法令の要件にのっとっているかという観点から審査を行うことになっておりまして、上にありますとおり、法令に定められた書類あるいは記載事項、会計監査人の適正である旨の意見、こうした法令上の条件を今回の財務諸表は満たしておりますので、総務省としては承認することが適当であるという案を今回お諮りすることとするものです。
  以上が財務諸表、決算の関係でございます。
 続いて、15ページ以降、業績評価の案をご説明したいと思います。
 今回評価の対象になります第2期中期経営目標の目標自体の概要を一覧したものが15ページでございます。横軸が公社全体、あと郵便、貯金、保険、三業務ごとに分計したもの、縦軸が各項目でございます。左下に記載してありますとおり、第1期に比べまして内部統制の強化、これはコンプライアンスなどを含む項目でございます、それから、民営化直前の時期でございましたので、新会社への円滑な移行、この2つの事項を第2期においては新しく独立した項目として設定して評価を行うことといたしました。各目標の内容は、この15ページの表に記載のとおりでございます。
  16ページをご覧ください。財務内容の健全性の確保の目標に関しまして、三事業、先ほどご説明した決算との関係を比較したものでございます。黄色で塗った部分が今回の決算で、上の段が見かけ上の決算、下の段が目標との関係で整理資源の負債計上及び保険のキャピタル損益の影響を除いた、目標と比較できる額で結果を示したものでございます。郵便については、先ほどのとおり、1,250億円の赤字で目標には達しなかった、貯金と保険はそれぞれ目標を達成したという状況でございます。
  17ページは、今ご説明した三事業の決算との比較を図にしたものでございます。
  18ページをご覧ください。以前の審議会で特に貯金あるいは保険について積み上がった積立金の要因として、自らの努力によるものなのか、外部環境によるものなのかというご質問がございましたので、特に貯金と保険について、その要因によって積立金の額を分計したものでございます。
  19ページは、今回の評価に当たりまして前提となっておりました金利水準あるいは為替、株価の外部環境のデータでございます。
  20ページ以降が各三業務についての業務運営の効率化あるいはサービス水準の維持に関する数値目標の達成度合いをグラフ化したものでございます。
  20ページは、郵便、左側が事業経費率でございまして、19年度は目標109.5%以下であったところ106.8%ということで、人件費の抑制等、業務運営の効率化に努めたということで目標が達成されております。右側の送達日数達成率、これは注3にありますとおり、新郵便日数表に定める配達日数どおり郵便物がどのくらい届いたかという割合でございますが、これにつきましても目標としておりました97.0%以上のところ98.0%ということで、目標を1ポイント上回り達成した状況でございます。
  21ページをご覧ください。参考でございますが、郵便事業の19年度上半期の引受物数あるいは過去との推移でございます。上のグラフにありますとおり、水色の線でございますが、全体としては前年度同期に比べて微減でございます。下の棒グラフが小包の引受物数を表しておりますが、小包については増加傾向にあり、前年同期比で7.3ポイント増となっております。ただ、物数の割合が通常と小包で異なりますので、全体としては約0.1ポイント減でございました。郵便事業自体は厳しい経営状況にあると認識しており、今後更に郵便利用拡大に向けた取組が求められると考えておるところでございます。
  22ページをご覧ください。貯金業務の効率化に関する指標でございます。経費率、目標0.62%以下のところ0.58%で目標を達成してございます。
  ただ、この経費率の分母に当たります郵便貯金の残高でございますが、23ページをご覧ください。過去の残高の推移を表にしたものでございます。19年9月末現在が約181兆円でございまして、過去年々残高が減少傾向にございまして、長期的に見ますと、郵便貯金についても経営的にはかなり課題があるという状況にあるものと認識しております。
  24ページでございますが、保険の目標達成状況です。左側が事業費率、目標7.0%以下のところ結果5.61%、また失効解約率につきましても、保険、年金それぞれともに目標を達成してございます。
  25ページが保険の契約状況でございまして、下のグラフのとおり、保険、年金ともに契約数が減少傾向にございます。特に、新規の契約につきましては、上の表の左側、新契約のところでございますが、保険の総計が4.7ポイント減ということでございます。この減少傾向はどうも民営化後も続いているようでございますので、保険についても、長期的に見ますと経営環境に厳しい課題があると認識しているところでございます。
  26ページをご覧ください。今までご説明いたしました三事業の数値目標関係の達成状況をまとめたものでございます。一番上の郵便の積立金のみ目標に達しておりません。それ以外の目標については達成したという結果です。
  以上が数値目標の関係でございまして、27ページ以降が定性的な目標の達成状況でございます。
  27ページをご覧ください。まず、コンプライアンスの関係でございます。上にありますのが、公社が当初想定しておりました取組(計画)でございます。レッドシートの徹底でございますとか、あるいは研修、個人情報保護の徹底、情報セキュリティの向上といった事項につきまして、それぞれ計画を立ててございました。
  その結果、下のところでございますが、部内者犯罪ですとか個人情報の不適正な取扱いというのが依然として減少していない、これは三事業共通の傾向でございますが、依然として減少していない状況でございます。三事業共通してそういう傾向なのでございますが、特に真ん中の郵便貯金につきましては、部内者犯罪ですとか顧客情報の誤廃棄といったような問題につきまして過去の再発防止策が徹底されていなかった。本社と現場の指導の中で十分な防止策の徹底が行われておらず、同様の事案が再発したということがございまして、コンプライアンスの徹底について、この評価対象期間中に総務省から行政指導を行ったということがございました。後の評価結果のところで、これはまた再度ご紹介したいと思います。
  28ページが内部監査体制の整備についてでございます。公社としては、体制を強化する、あるいは外部機関等による指摘事項を経営に反映するといった目標を立ててございました。特に、郵便局監査を年1回実施するといった強化、あるいは体制強化のために要員を約400名増員するといった目標を立ててございました。
  結果でございますが、強化自身一定程度進んではおりますけれども、まだ十分な状況にはないという状況でございます。特に内部監査要員については、400名増員するという目標のところ、300名未満にとどまりました。あるいは、一番下のところでございますが、犯罪件数も減っていない。さらに、内容を見ますと、その発覚の契機として外部からの指摘によるものが同じ程度残っているということで、結果として内部監査という意味での体制整備が強化されたとは必ずしも言えない状況でございます。
  29ページをご覧ください。今回、目標に新しく追加いたしました2つ目の新会社への移行の関係です。公社の取組(計画)としては、情報システムの開発、それから業務面での円滑な移行、これらが2つ柱として掲げられておりました。
  状況でございますが、システムに関しましては、全体で63本ありましたシステムのうち59本は特に問題なく民営化後、稼働しておりますが、4本のシステムについてはトラブルが発生いたしております。下の表のとおり、郵便後納料金の関係あるいはゆうちょの関係、また内部システムですが、人事、財務の関係、これらの4システムでいずれもトラブルが発生しております。これらについては既にプログラム修正等が終わりまして対応は済んでおりますけれども、一定程度お客様にご迷惑がかかった、そういう状況でございます。このシステムトラブルについては、新会社への移行の項目でもそうでございますし、先にありましたお客さま満足度の向上といった点でも若干評価を加えてございます。
  最後、30ページでございますが、業務面の移行関係でございます。限られた期間の中で、特に現場の職員の皆さんにおかれては非常に難しい業務移行作業があったように聞いております。規程、マニュアル類の整備が約1,700本あったり、業務リハーサルを行ったりということが多々ございました。おおむねこの業務移行については円滑に行われたのではないかと判断しておりますが、一部、郵便認証司に関しまして民営化以前と同様の取扱いをしてしまったという事象がございましたので、1点でございますけれども、ここについてはやや業務移行が十分でなかった結果が表れております。
  以上が業績評価に当たっての事実関係の整理でございました。
  32ページ以降が業績評価の案でございます。
  32ページ、今回の評価の基本的な考え方です。第1期あるいは第1期中の各年度の評価とほぼ同様の考え方で実施いたしました。1点だけ変更がございまして、評価段階、第1期の場合は期間が4年間でございましたので、各年度の評価を積み上げて、目標を大幅に上回って達成したものについては特Aという一番上の段階を設けておりましたが、今回は半年の評価でございますので、従来の各年度の評価の段階と同様、AからEの5段階評価をいたしました。AからEの評価は、右下にありますとおり、Aが目標を十分達成、Bがおおむね達成、Cが下回っている、Dが大幅に下回っている、Eが全く達成していないというのが結果のイメージでございます。
  なお、今回、第2期中期経営目標期間と平成19年度の評価を併せて行っておりますので、平成19年度の評価については、中期経営目標の達成度合いを平成19年度計画の達成度合いに置き換えて評価をしてございます。
  33ページをご覧ください。一昨年の総会での議事録でございます。後でご説明しますが、今回、1点D評価をしてございます。CとDの関係につきまして、過去の審議会の議事録を抜粋いたしました。下線が引いてございますが、「取組の方向性は合っているけれども、さらに取組を強化していくことが必要というものをC、現在の取組を見直す必要があるものをD」と平成18年の総会でご説明しています。このときの評価は平成17年度、年度の評価でございまして、目標期間の途中でしたから、取組について着目するという点では今回の中期経営目標期間、満了時の評価とは必ずしも同じように当てはめることができないところはありますけれども、基本的な考え方としては、方向性が合っている、そして、更に強化していく必要がある、あるいは見直す必要があるといった観点で、今回、CとDの判断を行ったという状況でございます。後ほどD評価をいたしました項目のところで、再度、具体的な内容と併せてご説明いたします。
  34ページをご覧ください。今回の業績評価の結果の一覧でございます。財務内容の健全性、業務運営の効率化、サービス水準、その他ということでそれぞれ評価をしてございます。特にD評価をつけましたのは、郵便貯金のコンプライアンスの徹底のところでございます。具体的には、この後、資料でご説明いたします。
  36ページをご覧ください。まず、財務内容の健全性の確保でございます。今回、冒頭、積立金等の指標でご紹介しましたとおり、郵便については達成せず、貯金と保険については達成ということで、C、A、Aという評価をしております。公務災害補償費等の負債計上の影響につきましては、総務省としては、あらかじめ発生を見込むことができたにもかかわらず目標に盛り込まれておりませんでしたので、これを考慮して評価するということはいたしませんでした。公社全体としてはBという評価をしてございます。
  それから、36ページの下の方の業務運営の効率化についてでございます。これは三事業の評価と公社全体の評価が独立しておりまして、公社全体の評価は三事業以外の共通的な事務について、例えば調達コストの削減、これは一部在庫管理の期間が延びた点がございました。それから、施設の費用抑制につきましては、一定程度成果があったと考えております。情報通信ネットワークの整備に関しましては、先ほど民営化移行のところでご紹介しましたように、一部プログラムミスが発生したこともございまして、十分な準備がされたとは言えないということで、この項目全体としてはBという評価をいたしました。
  37ページをご覧ください。各事業の目標は事業経費率等でございます。三事業とも定量的な目標を達成してございますので、これはいずれもAとしてございます。
  38ページをご覧ください。サービス水準の維持及び向上についてでございます。
  まず、郵便につきましては、送達日数達成率の目標は達成いたしました。ただ、現金過不足事故等、依然として多くの事故が発生しておりますので、郵便全体としてはB評価をしております。
  貯金につきましては、先ほどシステムのところでご説明いたしましたが、特に民営化後の顧客情報管理システムにおいてトラブルが発生した件、それから、コールセンター、地域センターの応答率が前年度同期は88.2%であったところ、今期は64.7%ということで、電話をしたけれども3分の1以上がオペレーターにさえつながらなかったという結果が出ておりまして、これらを総合して考えまして、貯金についてはCという評価をしております。
  簡易生命保険については、失効解約率の目標達成、不適正募集等の一部不十分な点もございましたけれども、全体としてBということで、郵便、貯金、保険、B、C、B、公社全体はBという評価をしております。
  38ページ一番下の郵便局ネットワークの有効活用につきましては、あらかじめ定められました目標については一定程度評価をできる、ただ、簡易郵便局の一時閉鎖がこの評価対象期間中においても42局ほど増加しておるということもございまして、全体としてはBとしております。
  39ページをご覧ください。内部統制の強化の件でございます。先ほどご紹介したとおり、三事業共通して部内者犯罪ですとか料金不適正収納事案の件数が減少しておりませんので、郵便、保険についてCという評価にしております。
  それから、特に貯金につきましては、ここに概要を書きましたけれども、部内者犯罪、これは大阪の郵便局におきまして1年間に約181件、合計約6億円の電子計算機を使用した詐欺事件、これは郵便貯金史上最大額の犯罪だったわけですけれども、こうしたものが発生しておりました。これらについては、発覚する前から、当省から再三にわたって対応策の徹底を求めておったわけですけれども、これらについて本社の指導の徹底が十分でなかった結果、再度こういう最大額の犯罪が起きてしまったという事象、それからもう1件、個人情報の不適正事案として、全国の貯金事務センターでお客様の個人情報を1,443万件に及んで誤って廃棄してしまったという問題がございました。これらはどうも本社の指導が不適切であったということも聞いてございまして、全体といたしまして、コンプライアンスについては、経営陣をはじめとする取組姿勢が不十分であったということでございます。特に、この両事案については、評価対象期間中に総務省から公社に対して厳重注意の行政指導を行いました。
  先ほどCとDの違いにつきまして簡単にご紹介しましたけれども、貯金のコンプライアンスのところが、単に目標が達成されていない、取組の強化が必要であるという程度であればCと評価すべきであると考えましたけれども、この項目につきましては、目標が達成されておらず、かつ未達成の程度が著しい、現在の取組では十分でなく、その見直しが必要であるという指摘を受けたにもかかわらず、再度こういう事象が起きた、見直しが十分行われなかったと判断をいたしまして、全体としてD評価をいたしました。
  説明が長くなって恐縮でございますが、39ページ、下のほうのリスク管理の高度化でございます。郵便については、経営管理の高度化という目標で地域別の損益管理が一定程度進んだということでB評価をしております。
  40ページ目でございますが、貯金と保険につきましては、新しいALM・リスク管理システムの開発、総合的な管理手法の検討ということで十分な成果が上がったと評価をいたしまして、いずれもA評価、郵便、貯金、保険、B、A、Aでございましたので、公社全体としてはA評価をしております。
  40ページ以降、あと4つ、公社全体の目標でございます。企業会計に則った体制の整備といたしましては、日締処理のオンライン化あるいは保険取引システムの改正といった項目について一定の成果があったということでB評価をしております。内部監査体制の整備といたしましては、真ん中に書いてございますが、内部監査要員が計画の増員に達しなかったということ、それから結果として見られます犯罪件数が減少しなかったということでC評価としてございます。
  最後、41ページでございます。民営化前の移行関係です。情報システムにつきましては、先ほどご説明しましたとおり、4本のシステムにミスはございましたけれども、63本のうち非常に短い期間で全体としては59本支障なく稼働しましたのでB評価、また業務面についても、郵便認証司の問題等がございましたが、全体としてはおおむね円滑に行われたであろうということで、こちらもB評価としてございます。
  大変駆け足で早口で申し訳ございませんでしたけれども、評価の説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
○樋口分科会長 ありがとうございました。それでは、審議のほうに移りたいと思います。
  吉野委員、どうぞお願いします。
○吉野委員 22ページの経費率のことでお伺いしたいのですけれども、先ほどのご説明のように郵便貯金がずっと減って、23ページですと180兆円ちょっとになっておりますし、それから、分子になります営業経費が5,323億円と急に上って、これが経費率を引き上げたと思うのですけれども、このように大きく郵便貯金が今後とも減るのか、どういう要因で減っているのか。簡保も減っているような気がするんですけれども。それから、分子の経費率が急に上がった理由を教えていただきたいと思います。
  それから、先ほどの部内者犯罪のところ、39ページですけれども、これはある程度こちらから先にウオーニングといいますか、警告を発していたということは、どうもここの郵便局、高槻竹の内郵便局がおかしかったということがある程度わかっていて、こういうウオーニングを発せられていたのか、それとも一般的に気をつけなさいというような防止を発せられていたんでしょうか。その2点をお伺いさせていただければと思います。
○樋口分科会長 どうぞ。
○淵江貯金保険課長 まず、郵便貯金の貯金高の減少の話が1点かと思います。これにつきましてどういう分析をしているか会社に聞いたのですが、明確なコメントはいただけませんでした。が、これまでいろいろ聞いていたところによりますと、直接的な原因はやはり定額貯金が満期になった後、なかなか再預入をしてもらえていない。具体的には、多分、今、定額貯金の金利が非常に低いので、投資信託なり他の株式等、そういうところに流れているのではないかと考えていると聞いております。また、会社自身も、今、定額貯金から定期貯金のほうに資金が流れるように、金利を定額貯金より定期貯金のほうを高くしておりますので、そういう点で定額貯金の魅力も薄れているのかなと思ってございます。
  それから、簡易保険の新規の募集が減っている件につきましては、簡保は養老保険しかございませんけれども、全体的な国民のニーズが、簡保は養老保険しかございませんけれども、がん保険とか医療保険のほうに比重が非常に増えてきておりまして、それから金利が低いため、これまで金利の高いときでしたら、例えば100万円の養老保険に入っていても、80万円とか70万円を保険料として支払えば十分だったものが、今、掛金を考えると100万円を超えないと満期保険金で100万円が返ってこないという現状もあるように分析してございます。
  それから、経費率でしたでしょうか。
○吉野委員 22ページの分子のところの営業経費が急に上っていますね。ですから、郵便貯金が下がったのと、分子である営業経費が上がったのと、両方が経費率を引き上げたと思うのですが。
○淵江貯金保険課長 民営化のため、いろいろな準備の経費が積み上っていること、それと、そのために超勤とか非常勤職員の採用が増えてございまして、その経費が積み上っていることでございます。
  それと、コンプライアンスの件でございますが、コンプライアンスにつきましては、今回の高槻竹の内郵便局事件につきましては、管理者の承認を得なければ通帳の再発行ができないのですが、管理者が承諾するための管理者カードというのがあるのですが、そのカードの不適切な使い方をする、つまり管理者の承認がなく使われているために犯罪が発生しました。このようなケースが多々ありまして、これまでも問題であるから、きちんと徹底するようにと指導してまいりました。そのたびに本社は指導する、研修するということをしておきながら、監査の結果等を踏まえると、現場ではやられていないケースが非常に出てきているという状況なども指摘されてございまして、本社から指導するというだけではなくて、指導の実態がどこまで浸透したか確認する手だてを考えていただく必要があるのではないかということを再三にわたって指摘していたのですが、それが実行されていなかった。そういう一つの証左として、こういう事件が発生したのだろうと認識してございます。
○樋口分科会長 どうぞ。
○若杉分科会長代理 その点なのですけれども、全体を見てみますと、一番問題はコンプライアンス、内部統制のところなわけです。39ページの一番上の公社全体というところを見ますとCという評価があって、そのコメントの3行目から4行目について、「一人一人までにコンプライアンスを浸透・徹底させることが緊急・必須」だというわけですが、これは内部統制の話からいうと統制環境ということで、もちろん大事なことなのですが、これだけをやっても全然意味がないわけです。大事なことは、今の淵江課長の説明にもありましたように、管理者の承認が必要だったら、承認を得たかどうかをちゃんとチェックするとか、そういう相互チェックとか自己チェックの仕組みがきちんと働いていなければいけないわけです。ですから、仕組みがあると同時に、仕組みが守られているかどうかをチェックしなければいけないわけで、それが内部監査なのです。
  ですから、内部監査の要員を増やしたというのはいいのですけれども、ただ増やしてもだめなのですよ。そして、今、内部統制でITがすごく重視されるのは、結局、人と人だとどうしても、特に郵政などは今までの長い関係でなれ合いのところがいっぱいあるように思いますので、人と人のチェックあるいは自己チェックでは甘くなるので、やはりシステムでやるというのが、今、大原則なのです。ですから、内部統制というとIT化が出てくるのは、もうシステムでやろうということなわけです。そういう意味でいうと、総務省の考え方も、内部統制について理解が少し遅れているような気もしますし、公社もその点をちょっと勘違いしているのではないか、そういう感じが正直言ってするんですよ。私の印象が間違っていれば、それに越したことはないのですけれども。
  そういう意味で言いますと、やはり内部統制のところでC、C、Dというのが1つあるわけですが、やはり全体的にこういうところは悪いところに合わせて、公社全体の評価自体がDではないかなと私は思うのです、この説明などを見ても。日本全体が内部統制に慣れていなくて苦手なのですよ。ですから、公社とか総務省だけを責めるわけではないのですけれども、全体に少し勘違いしているのではないかなと、正直言って、そういう印象を受けるのですよ。ですから、もう少しここは厳しくつけてもいいかなと。特にこれから民間会社になって、そこがすごく心配なところなのです。
○淵江貯金保険課長 貯金だけの話で話しますと、おっしゃるとおり、機械化が遅れていまして、ほかの民間金融機関からすると、テーラーマシンからしてすべてにわたって遅れているわけで、ある意味では管理者と職員との性善説にのっとったやり方で大丈夫なのかという話を繰り返し言っていたわけですけれども、多分民営化で忙しいという事情もあるのだろうと思うし、システムをするにはそれなりにお金もかかるのだろうということで、きちっと研修でやるということで、最終的なチェックまで行き届かなかったというのが前回の郵便貯金の現状だったのではないかなと思っています。
○樋口分科会長 今のご説明について、補足か何かございますか。
○山碕企画課管理室長 全体の評価についてでございます。先ほど申しましたとおり、コンプライアンスの徹底のところは三事業それぞれの評価を総合的に見るという性格の項目でございます。先生からご指摘がありましたとおり、単なる職員への浸透・徹底ということだけではなくて、システム的なといいますか、ITを使った取組が必要だというのは公社全体について当然言えることだとも思いますし、また、ここに詳述することができませんでしたけれども、各業務の対応策、指導策の中できちんとやっていくべきであろうと考えております。
  ただ、郵便、貯金、保険、3つのこの評価対象期間中の取組を全体として見ますと、先ほどCとDのところで申し上げましたけれども、郵便、保険というのは、もちろん見ていけば取組内容が若干不十分なところはあるとは思いますけれども、全体として見ますと、郵便と保険というのは一定程度、ある程度、やるべきことはやったけれども結果として件数が減少しなかったと判断をした一方、貯金についてはそれ以上に、これまで指導していたことが全く徹底されていなかった、あるいは本社の指導体制自体に構造的な問題があったということで、郵便と保険とは異なる厳しい評価をしたところでございます。公社全体については、この項目自体、郵便、保険の評価も踏まえて総合的な判断をするということでございますので、案としてはCとさせていただいたというのが考え方でございます。
○若杉分科会長代理 揚げ足をとるわけではないのですけれども、それは最終的にはいいにしても、一生懸命やったからいいのだというのではなくて、やはり結果が出なければだめなので、事件や何かが減らないとか増加しているわけですね。ですから、やっていることが少し的外れだった可能性があるわけですよ。幾ら一生懸命やっても的外れではしようがないわけですから、やはりそういうところは、総務省もこれから郵政会社を見ていくと思いますので、ぜひその辺、これは郵政だけではなくて、みんなどこの組織でも必要なことですけれども、少し内部統制について理解を深めたほうがいいのではないかという印象を受けたので、もしそれが間違っていたらおわびしますけれども、もしそうだったら、もう少し考えていただきたいということです。
○樋口分科会長 ほかの委員の方、いかがでございますか。どうぞ。
○佐野委員 今の件に関して、私は1ランクずつ全部下げてもいいかなという気がしています。今、全体的に日本のコンプライアンスに関してはあまりにもひど過ぎるので、そこは十分に承知していただいて、ますますの努力が必要ということを思ったら、もっと厳しく評価するべきではないかと感じています。全体的にCというのは、やはりとても甘い気がします。
  それから、もう一つ、送達日数の達成率で、私は前にも申し上げたことがあると思うのですが、何年もやっていらっしゃり比較できるのはいいのですが、大体いつも同じような数値が出ているので、何か工夫ができないものなのか。同じことばかりいつもいつもやっても、何の意味もないと思います。これで達成していますよと言われても、何だか常に続けていることに関して向上心がないような気がするので、ここは何か工夫をしていただきたいと思います。
  以上です。
○樋口分科会長 斎藤委員、どうぞ。
○斎藤委員 コンプライアンス、公社全体の評価をCではなくDというのに私も賛成です。25万人から24万人に職員が減ったというお話でしたけれども、それだけの人数のコンプライアンスで一人一人に徹底というのは、どう考えても無理がある。やはり仕組みをつくらなければコンプライアンスは徹底できないわけで、一人一人の努力というよりもマネジメントがそういう仕組みづくりをどのくらいしたのか。民営化の最中の大変忙しいときですから、それができなかったとしても、そういう仕組みづくりに対する努力があったのかどうかというのが一番評価すべきところだと思います。それが見られませんで、従来どおり一人一人に教育・研修をするという、どう考えても徹底が難しい施策しかしなかったというところに問題があると思いますので、私もDに賛成です。
○樋口分科会長 多分、総務省としては、コンプライアンスはどの部分も不満足な状況だけれども、そこの間にも多少差を設ける、すなわち郵便と郵便貯金と簡保を比べると、貯金が内容的にもう少し厳しく評価に差をつける必要があるから、そこをDにするという考え。そして、そこをDにすると、相対的に後押しされて全体をDとするかCにするかという点で若杉先生はDとしたらいいのではないかというお考え。そして今お2人方もDとしていいのではないかというご意見でございます。
  ほかにはよろしゅうございますか。それでは総務省からどうぞ。
○後藤郵便課長 先ほどの佐野委員からのご質問、送達日数達成率はこれでよろしいのかというご意見について、若干ご説明をさせていただきたいと存じます。確かに、おっしゃいますとおり、ほとんど同じぐらいの水準でというか、97%は確かに超しているのですけれども、超した状態で同じようなところでずっと推移している。これが実感としての国民、利用者に対するサービス水準の向上という点で一体どれだけ貢献しているのかいささか疑問があるところだというのは、全く私も同感でございまして、こういう観点から、今ここにいらっしゃいます田尻先生を座長とさせていただいてサービス水準の評価等に関する研究会というのを別にやってご検討いただいているところでございまして、送達日数という指標のあり方、あるいはほかの指標があり得ないのかといったことも含めて広範に議論をさせていただいて、また実際、実感としてのサービス水準が向上していく指標の立て方も検討してまいりたいと考えているところでございます。
○樋口分科会長 どうぞ、お願いいたします。
○橋口郵政行政局長 コンプライアンスの徹底に関する全体評価の件についてでございますけれども、先生方からいただきましたご指摘、私どももよくわかるつもりでおります。
  実は、12月に各会社から、郵政会社を代表してということでありますけれども、自己評価についてのご報告をいただいております。このときには郵政会社のほうとしてはおおむねB、Aもあったという状況でございました。それは一体どういうことだろうということで聞いたわけでありますけれども、先ほど若杉先生からもご指摘があったように、こういうことをやりました、あれもやりました、これもやりました、いろいろ犯罪防止のためにこんなこともやりました、防犯カメラをつけました、それから現金管理機を配備しました等々のいろいろなご説明があったわけでございます。それで、そういう努力をなさったということは、私どももよくわかりますと。ただし、それがやはり結果として出ていない。件数が多く、落ちたものもございますけれども、押しなべて例年程度であるという状況にあったということと、そこの見方としては、いろいろなことをなさった結果が成果として出てくるということが必要であろう、やはり業績評価としてはそこのところを評価すべきであろうと私どもは思ったわけでございます。
  それで、その中身でございますけれども、実は昨年度ご評価いただいた中では簡保の業務がD、これはこれまで初めてのDの評価でございました。それはどういったことかと申しますと、例えば簡保の募集の件で、これは再三にわたり私どもも指摘させていただき、公社としてもここは改善します、改善を図りますとおっしゃりながら、それが実現できなくて何度も同じような無面接募集の状況が出てきたということでございましたので、これはやはりその取組が不十分であり、その取組をしっかり見直すべきであるにもかかわらず、そういうことを指摘したにもかかわらず、そこのところが改善されなかったということでDをつけさせていただいたということでございます。ただし、この無面接募集については、その後、改善をなさいまして、そこをどうしたら改善できるかということで、システム的にやらないと改善できないということでございまして、やはり第三者が保険に加入された方にチェックをさせていただく、こういったことを取り入れていただいてこの改善が図られてきたという点があるということでございます。去年はそういうことで保険業務についてのみのDということで、全体としてはCの評価をいただいたということでございます。
  今年は、そういうことで、今回の第2期については会社としていろいろな取組をなさって、ただ、私どもが見させていただいたところでは、では目に見えてできたかというと、それがなかなかまだ、民営化の準備をしつつの取組で、そこが徹底しなかったということでございましょうけれども、一人一人にゆだねる、一人一人に自覚させてやっていただくということのみならず、やはりいろいろな機器を導入し、そしてマニュアルによって管理者からのチェックをどうするか、あるいは郵便局への監査を年に1回は必ず行うようにしよう、これも度合いを増やそう、そういったことも努力されているわけでございます。しかし、そうはいっても、貯金業務につきましては先ほどご説明させていただいたとおりで、これはやはり取組自体を見直さないと、監査に入っていただいても、そこではわからなかった。そういう問題が高槻竹の内以外にもあって、そして、高槻竹の内についての事案が見抜けなかったというのは、やはりそういう監査のやり方等についても徹底していなかったであろうと見たわけでございます。
  したがって、おっしゃるように、そこにDとついたということで全体をDとすべきだというご意見もあるだろうとは思いますけれども、昨年からの状況、そして取り組まれている状況、そして今回の特に簡保における状況、こういったことを私ども全体として見て、全体としてはC評価、達成していないという評価が適当ではなかろうかと考えたということでございます。
○樋口分科会長 どうぞ、若杉先生。
○若杉分科会長代理 民営化して忙しいから内部統制に手が回らなかったなんて、言語道断ですよ。そんなのは言い訳にならないですよ。だって、今、それが民間会社のかなめではないですか。そんな評価をしたら、おかしいのではないのですか。
  それから、郵政自体がものすごい監察という組織を持っていながら、今までいっぱい間違いを犯してきたわけですよ。ですから、郵政の中に内部統制とか内部監査に対するものすごい誤解があるのですよ。そういうものを放っておいて、今みたいな一生懸命やったからいいだろうというのはおかしいと思うのですよ。私は、やはり民営化したときに最初にきちんとウオーニングを発しておいたほうがいいと思います。それぞれについてはよくやった面があるのでCとか何かがついているということもあるのですけれども、ただ、マイナスの面を評価しているわけですから、全体としてはDとしたほうがいいのではないかと私は思います。ほかの委員の方々もご意見があると思いますので、そういうことでお決めいただければと思います。
○樋口分科会長 いかがでございますか、今のようなご指摘。評価の仕方のところも、CとDというよりは、伺っていると、DをEにして、CをDにして、それで全体でDとする手もあるかなと思って伺っていたのですけれども、そういうつけ方をした場合に、多分現場の会社の方々はもっと甘い感覚でいらっしゃり「全体でBだ」ぐらいに思っておられるとすると、双方の感覚にあまりに差が広がり過ぎるのを一体どんなふうに考えていいものか。田尻委員、いかがでございますか。
○田尻委員 私自身、基本的に皆様のご意見と同意見です。けれども、その一方で大変疑問とちゅうちょをいたしますのは、1つはヒアリングを12月になされたということでありますけれども、正に、今、局長がおっしゃったように、個別対応で25万人の組織を締めていくというのは、いわゆる業務改善運動でありまして、体制そのものの改革ではないという基本的なところが、行政当局のモニタリングの仕方そのものが違っていたのではないかなと。つまり、先ほど来、斎藤委員からもご指摘ありましたように、あるいは若杉先生もおっしゃったように、システム対応とか組織的な取組そのものを変えさせるところの指摘がこれまでの評価に至る段階でどの程度行政当局から行われてきたのかという点がわからないのです。
  それから、もう一つは、民営化もされたわけです。4カ月たっているわけです。BかCかDかという議論の過程で、役所側も相当ちゅうちょされたようでありますけれども、民間会社になっても同じ人たちがやっているわけです。そこで、そうした観点からの新しい取組のプランが提出、提示されたのか、これから考えますというお話なのか、そこのところはいかがなのでしょうか。つまり、また聞き置くということだと、あるいは頑張りますという程度では、実は今の各委員のご不満も、得心できないということになろうかと思うのですが、いかがなのでしょうか。
○原口企画課長 昨年、保険についてDという評価をしていただきまして、それにつきましては、やはり公社はかなり重く受けとめておりました。それで、単にこれまでどおりのことをやるだけではなくて、組織をつくったからどうというわけではないのですけれども、トップを含めてのコンプライアンス対応の委員会をつくって、保険であれば、その中身をいろいろ検証して対応策を考える、そのような形での取組、もちろん先ほど若杉先生や斎藤先生にご指摘いただきましたようなシステム的なとか、そこまではまだ十分にはいっていないのですけれども、単にこれまでの現場での個別個別の対応だけではなくて、そういう意味では本社のトップを巻き込んでのそういう体制をつくってやり始めたということは、昨年Dをつけていただいた結果として、そういう努力を彼らがしたというのは事実でございます。その点は1点ご理解いただきたいと思っております。
  あと、私どもの会社への見方でございますけれども、先ほどの貯金の関係で、まだ私どもも認識のレベルが不十分で、いわゆる機械的なというか、そういう意味でのシステムのところまで踏み込んでおりませんでしたけれども、やはり私どもが非常に口を酸っぱくして会社に言っておりましたのは、やはり単に現場に対して一生懸命指導するというだけでは不十分でしょうと。やはり本社を巻き込んで全体でどうやってきちんと成果が上がるようにしていくか、そういう仕組みを考えなさいというようなことを言っていて、ただ、残念ながら貯金についてはその取組が不十分だったのでDにした、そのようなことが実情でございます。
  そのことだけ申し上げさせていただきました。最終的な評価につきましては、委員の先生方にご審議願いたいと思っております。
○田尻委員 もう一つよろしゅうございますか。
○樋口分科会長 はい、では、もう一つ。
○田尻委員 今のご回答で1つ疑問が残りますのは、組織づくりとか本社が取り組むという、やはり組織のほうからお考えになっているのではないか。システム的というのはそういうことではなくて、人間が人間を監視するということだと、昔から同じ方がやっているわけですから、それは幾ら言っても限界がある。そこをどうシステム上チェックしていくかという仕組みで、今の民営化された後の会社においてもメガバンクなり同種の業務をやっている金融機関のシステム的なチェックをどの程度勉強されたのか、その辺の投資計画もまだ何も持っていなければ、今から着手しても相当また年数がたってしまうわけです。つまり、改善の見込みがあるというお話なのか、そこなのですよ。組織づくりはわかるのですけれども、中身の問題なのです。そういうところのヒアリングまできちっとおやりになった上でのBかCかという議論だったのか。いかがでしょうか。
○樋口分科会長 どうぞ。
○淵江貯金保険課長 昨年、18年度のとき、いろいろご議論いただいて、やはりその前からあったのですけれども、Dをつけて対応をきちっとさせるべきだという話があって、昨年、保険にDがつきまして、そのおかげで保険はこれまでの犯罪を分析しまして、Dがついた後から対応したために犯罪件数としては減らなかったのですけれども、例えば支払いのところは保険の外務員だけが持っていってしまうとわからないので、管理者が本当に受けたかどうか確認をとるかとか、全部の施策について本社の中で経営陣がチェックする体制をつくるとか、常に経営者が関与するような仕組みをつくったということで評価して、結果は出ていないけれども、今回はCにさせていただきました。
  それと、ご指摘のありました今後の対応策ですけれども、最終的には先ほどの責任者の管理キーなど、ああいうキーの管理につきましては、公社のほうから、当時、最後にシステム的に、例えば指認証とか、そういう認証ではないとキーがとれない、キーをだれがとったかわかるような仕組みまでつくるということまでは報告を受けています。すぐにはできないので将来的にシステム改正をしたいと。それから、同時にありました貯金事務センターでの証拠書の誤廃棄につきましても、今は全部、見ると段ボールで、そこに書いてあったりで人間が出入りをしているチェックなのですけれども、それもシステム的に管理ができる体制をつくっていくという報告をいただいております。そういう意味で見直しをするということまで報告をもらっていますので、そういう意味でDということで評価させていただいております。
○若杉分科会長代理 しつこいのですけれども、個々に努力されているのはよくわかるわけです。でも、大事なことは、全体として、つまり問題が起こったことについて、それに対して一つずつ対応するというのではなくて、もっと仕組み全体を直さなくてはいけない。今、そういう取組がどこの企業にも求められているわけで、そういう点から見て、まだ不十分ではないかと私は申し上げているわけです。
○淵江貯金保険課長 わかりました。
○樋口分科会長 いかがでございますか。委員の中でほかにご発言のない方。梶川先生、どうぞ。
○梶川委員 今、議論になっている論点は非常に難しい部分だと思います。私も日々、今、一般企業でも内部統制の話が言われております。私なりに大きく整理しますと、内部統制の話というのは、内部統制の整備と構築という部分と運用が実際になされているかという運用評価という大きな2点があると思うのです。
  整備・構築というのは、基本的にはある種の日常過程の整理と承認、そして今言ったシステムを利用することもありますし、人的なこともあるのですが、ダブルチェックないしは、それがだめならまたダブルチェックをしているかをトリプルチェックするという、そういう意味では、当省の統制環境にもよるのですけれども、限りない二重チェックになる。この辺の話になりますと、非常にコストパフォーマンスの話である。それから、もう一つは運用で現実に承認関係が、例えば承認をするとなっていても、それをなされないということになると、これが実際に整備・構築状況の評価に値するものなのか、それとも運用状況なのか。
  運用状況の評価になりますと、これは誤解を受けてはいけないのですが、1つ考えられるのは確率論みたいなところがございまして、全体の組織整備の状況の中で、ベンチマークとされる他の組織体と比べて、実際、その運用状況がどれほどのものか。その辺、これを皆無にするというのは実際に人の属性の問題がございまして、運用をしないというやつは出てくるわけで、これはもう内部統制の、そういう意味ではその部分は内部監査などで補い続ける以外はない部分です。それを前提に構築させますと、限りなく、二重チェックをしているかどうかをもう一回チェックしながら、もう一度チェックをするという話になって、これは非常にトレードオフの関係、バランスをどうとるかという問題があるのです。それに対して我々が今考えるのは、やはりある種の発生確率で、それだけ発生確率が高い部分であれば、もうそれは仕方がないので、今おっしゃられたように指認証にせざるを得ないとか、指と瞳と何とか認証だと。ただ、通常考えた場合、パスワードがあって、それを承認するというのは、通常の業務行為では守られる。例えば、民間会社が全部指認証を社内でしているかというと、これは多分また違うのではないか。
  とりとめのない話になったのですけれども、そういう意味で、もしDなりEなりに持っていくとすると、本当に整備・構築のプランニング自身がこういうところで明らかに通常の民間の金融機関と比べて少しおかしいのではないかという点はもう一度きちっと整理をされて、Dというさっきの議事録に合う形で、取組がもともとおかしいのだという評価になりますし、運用の評価というところでもう少し確率論を上げなさいということになると、甘いようには聞こえるのですけれども、1つはCという部分もあり得るのではないかということで、最後の結論は、私はファクトがまだいま一つ理解できないので、どちらなのかなと。
  直接のイメージで会話をすると、どうしても内部統制の話というのは少し厳し目にはなるのです。私どももダイレクトにリポーティングすると、内部統制の話というのはどうしても厳しくなります。これもまた誤解を避けて言えば、コスト面について私どもが配慮する必要もないものでございますので、できる限りデメリットを防いでほしいということだけで評価ができるものですから、会計士なども、今後多くの民間企業でも起こるのですけれども、評価者とか監査者とかとしては、どうしても右側に置いたほうが安全なのです。その辺、どういうスタンスでここでお話ししていいのかというのは日々悩んでいる立場で、きょうもまた悩んだということで無言になっておりました。
  すみません、長くなりましたけれども。
○田尻委員 よろしいですか。
○樋口分科会長 どうぞ。
○田尻委員 今、ベンチマークというお言葉が出ましたけれども、まさにそこのところでありまして、要するにこの6億円のケースは非常に特異なケースと申しますか、あってはならないことなのですが、残念ながら大手金融機関でも、日常茶飯事とは申しませんが、累々たるスキャンダルの歴史なのです。生損保の不払いのように組織犯罪ともいうべき、コンプライアンスのもっと手前のところの事態も起こしているわけです。そういう意味で、私が最初に申し上げたDかCかちゅうちょするというのは、正にそこなのですよ。
  1つご提案なのですけれども、もしCかDかでご意見がまとまらない場合は、我々の附帯決議と申しますか、附帯意見として分科会長から公表していただく、コメントをお任せするというのも一つの方法かなと。単なるCで納得したわけではないよということで、改善の可能性というところで、もう一歩踏み込んでモニタリングされた結果、今、日本郵政グループがどうしようとしているのか、そこのところの提示があれば、今申し上げたような分科会長談話ということでも可能なのかなという感じがいたします。
  私、率直に申し上げまして、この件数、この規模と申しますか、メガバンクの扱っている決済件数やいろいろなものと比べて本当に高いのかどうか、実は私自身がわかっていないものですから、ちゅうちょをしているわけなのです。
○樋口分科会長 ほかには。どうぞ。
○三村委員 私も今のご意見に賛成で、全体からすると、確かにまだ本質的なものができていないということにおいて問題が極めて大きい。しかしながら、C、C、D、Cと、Dというのはすごく目立つのです。それだけでもおそらく貯金分野に関しましてはかなりショッキングなDということで明確にされております。ただし、コンプライアンスを守らせる方法論というのは、先ほど若杉先生が何度もおっしゃいましたように、方法論の根本的考え方が未熟なのだということからいかないとだめですよという意味において公社全体に問題があるという形で、ある意味では確かに、おっしゃったように、何か分科会長のコメントみたいな形をつけて、CなのだけれどもCマイナスであるとか、そういったような形のコメントをつけていただくのでよろしいのではないかと私は思います。
○樋口分科会長 米澤委員も同じような。
○米澤委員 はい、同じです。田尻委員の方法で賛成いたします。
○吉野委員 私も田尻委員に賛成いたします。
○針ヶ谷委員 私も上に乗せていただいて結構です。
○樋口分科会長 斎藤委員、どうぞ。
○斎藤委員 皆さんが賛成の後、言うのはすごく嫌なのですけれども、通常の場合ではなくて、これから民営化をするというときで、今まであった2つの組合すら1つになってみんなが頑張ろうとしているときにこういうことが起きたというのは、やはり何か全体の仕組みというのがまだ徹底されていなかったのではないかと思わざるを得ない。それと、こういう取組をして新生郵政はこうしますというメッセージが国民にどのくらい伝わったかというと、伝わっていないような気がするのです。ですから、そういう意味でも、組織全体としてはやはりDになるのではないかなという気がいたします。
  逆に、個別の努力をこんなにしたというところは非常に評価するとコメントをしていただけたら、私としてはうれしいのですが。
○樋口分科会長 佐野委員もそうですか。
○佐野委員 はい、斎藤委員に賛成です。
○樋口分科会長 これはいろいろ論議しても、時間の都合もありますので、そろそろ結論を出したいと思います。
  今のお話を伺っていて、郵便貯金業務のDの中身で具体的なケースで挙げておられる高槻竹の内郵便局の例だとか、その次の顧客情報の1,443万件の誤廃棄というのは本社からの指示の問題もあるやに伺っておりますが、結果としてこういう形のものが出ているのですけれども、今のご時世で事務局が具体的にごらんになっていて、率直に言って、コンプライアンスについて全く自覚が足りていないなとお感じですか。それとも、今、コンプライアンスの問題は社会でいろいろ耳目を引いている分野ですから、それなりにやっているけれども、たまたままだこういう形のものが出てしまったとお考えなのか、その辺はいかがでございますか。
○若杉分科会長代理 私は、総務省自体が内部統制を誤解しているのではないかという前提に基づいてお話ししていますので、そのことも踏まえてお聞きになっていただければと思います。
○樋口分科会長 はい。今の若杉先生のご指摘も踏まえてお答えいただくと、どういうことになりますでしょうか。
○橋口郵政行政局長 コンプライアンスへの対応ということにつきまして、会社のほうとしては、先ほど申し上げましたように、会社一丸となってこれに取り組もうということで、これまでとは意識を変えてやっていくということでは、私どもはそこはそういう意識でやっておられるなと認識しております。そこのところはあるかと思います。
  それから、先ほどちょっと申し上げましたけれども、会社のほうの自己評価では、AないしB、コンプライアンスについてはBが多かったと思います。それは、やはり問題に対する認識が甘いのではないか、低いのではないかということと私どもは考えます。なぜそのようなことになったのかについて、会社がおっしゃったのは、この業績評価は昨年3月に行われた目標設定に対する評価であるので、そのときにどういうことを考えていたかということであると。そして、コンプライアンスについては、コンプライアンスの徹底ということで何をやるかということがたくさん書いてあったわけでございます。検証をやりますとか、あるいは防犯カメラを置きますとか、そういったことがいっぱい書いてあって、こういうことをやりますと。そして、その結果としては、こういったことをしっかりやりましたという自己評価をなさってきたということでございます。ただ、先ほどの繰り返しになりますが、私どもとしては、いや、どれだけやったかだけではやはり足りないと思ったということでございます。
  それから、これはまたおしかりをいただきそうでありますけれども、申し上げますと、1つはやはり第1期の評価との関係というものも私どもは考慮いたしました。ここで全く違う物差しでということにはならないだろうから、第1期の評価との継続性ということを考えれば、これは全体としては、やはりDではなくてCではないかと考えたということでございます。
○樋口分科会長 わかりました。コンプライアンスについてはそれこそ言い過ぎることはないと思いますが、通常の会社ではコンプライアンスということを非常に重要と考えている現状の中でみんなが非常に注目して受け取る分野でございますので、公社がその例外であったとも思えません。
  また、前回Dをつけたことに関しても、よその機関と比べてDというのは非常に異例の評価だそうですが、「もうこういうことは絶対にないように頑張るのだ」という意識でお取り組みになり、Dがついた保険分野はやや改善方向に向かったというぐあいに伺っております。
  そういうことで、他の分野といいながら2年続けてDが出るわけですから、今後それなりの意識で取り組んでいただくということを前提として、私としては案として出てきたこの評価で行きたいと思います。先程来多くの委員の方が言われたように、「Cの評価についてもまだ極めて疑問が多い。全体評価としてはむしろDに近い。」というように非常に論議がございましたが、この1年間の取組があった中で全体評価がDということになりますと、大幅に下回っている分野があったことも確かだと思いますし、事例が具体的に出てくるところが悩ましく、だからこそのDという考えもあるかもしれませんが、24万人の方あるいは公社全体としての努力について全く考慮しないということになりますので、「全体評価はCだけれども、一部に明らかにDもしくはEが適当だという分野すらあった。それについては今後の会社経営の中で十分そこの点を是正いただくように特別の注意をしていただくという前提のもとで、我々としてはこの評価で行きたい」という結論になったと。
  これが適当なコメントかどうかはわかりませんが、少し事務局からもお知恵をいただいてコメントをつけて、それで発表したいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
○樋口分科会長 では、そのようにいたしたいと思います。
 それでは、これでご意見等出尽くしたということにさせていただいて、ほかにご意見がございませんようでしたら、諮問第303号、日本郵政公社の平成19年度財務諸表の承認及び諮問第304号、日本郵政公社の業績評価につきましては、当分科会といたしましては、先ほどの附帯意見とともに諮問のとおり答申することが適当ということで総会にお諮りすることにいたしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
○樋口分科会長 ありがとうございます。それではそのように決定させていただきます。
 なお、当分科会での本件に関する議論の内容につきましては、事務局において再度整理していただきまして、総会において当分科会での結論と併せまして、先ほど申し上げましたとおり、私から報告をすることといたしたいと存じますので、あわせてお含み置きをいただきたいと思います。
 それでは、大変長時間にわたりまして時間を超過しまして議事に参加をいただきまして、誠にありがとうございました。議事はすべてこれで終了いたしましたので、閉会とさせていただきます。
 なお、この後、私が記者会見を行いまして、本日の議事の模様を公表したいと存じます。皆様からのご指摘のあった点はできるだけ過不足なく公表することにしたいと存じますので、よろしくお見受けをいただきたいと思います。
 それでは、委員の皆様方、本日はお忙しい中ご出席いただきまして、ありがとうございました。



閉会



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