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各府省等において取り交わされた文書

三党合意に基づくいわゆる教育無償化に向けた対応について


三党合意に基づくいわゆる教育無償化に向けた対応について
 
令和7年12月19日
文部科学省
総 務 省
財 務 省

 三党における議論を踏まえ、令和8年度からの円滑な実施に向け、引き続き地方側の意見を十分に尊重しつつ、以下の方向性を基本として各制度・事業の設計及び実施に当たることとする。
 
1.高校教育の振興方策について

〇 趣旨
・ 経済的事情による教育格差を是正し、子育て世帯への支援を強化するとともに、多様で質の高い教育機会の確保や選択肢の充実を目指し、高校生等に対する授業料の支援を実施。
・ 高校教育が国民的な教育になっていることも踏まえ、所得要件を撤廃し、支給上限額を大幅に引き上げる改正を講じることで、全ての生徒に対し、公私立を問わず多様な学びの選択肢を与える制度となる。

〇 支援対象者の範囲
・ 家庭の経済状況にかかわらず支援を実施する。
・ 外国籍生徒、外国人学校の扱いについては、現行制度の受給資格を見直し、在留資格を要件とする制度を導入することとし、具体的には、「留学」等の我が国に定着することが見込まれない在留資格者を対象外とする。また、各種学校のうち外国人学校を指定する制度については、廃止する。
・ その上で、在校生(留学生を含む)については、在学関係が続く限り現行制度による支援を継続するとともに、新入生については、従前の制度では対象となっていた者(留学生を除く)には、収入要件の設定を含めて現行制度による支援と同等の水準で支援を行い、留学生には留学政策等の観点から別途の支援を行う。

〇 支給上限額
・ 私立全日制は現行39.6万円を45.7万円とするとともに、私立通信制については、現行29.7万円を33.7万円とする。

〇 合理性のない授業料値上げの抑止
・ 授業料の透明性等を確保するとともに、合理性のない授業料値上げを抑止する仕組みを構築する。

〇 負担割合
・ 都道府県は、公立高校の設置者、私立高校の所轄庁として、高校教育を提供する責任があり、高校無償化に一定の責任を有していることから、地方における安定的な財源の確保を前提に、授業料支援である高等学校等就学支援金制度の拡充にあたり、1/4の都道府県負担を導入。

〇 地方負担に関する対応
・ 今回の取組に係る地方負担については、地方財政計画の歳出に全額計上するとともに、地方の安定財源を確保した上で、一般財源総額を増額確保。個別団体の地方交付税の算定に当たっても、地方負担の全額を基準財政需要額に算入。
・ 具体的には、地方の財政負担を的確に措置するため、各団体における公立高校の生徒数と私立高校の生徒数のそれぞれに生徒一人当たりの支援単価を乗じて算出した額を基準財政需要額に算入し、地方団体に見える形で普通交付税を算定。

〇 公立高校や専門高校等への支援の拡充
・ 公立高校や専門高校等への支援について、安定財源を確保した上で、交付金等の新たな財政支援の仕組みの構築や緊要性のある取組等の先行実施に取り組むとともに、公立高校の施設整備等の整備に活用することのできる交付税措置のある地方債を創設。

〇 高校教育の質の確保・向上
・ 各学校において、学びの定着度合いや学びの成果を把握し、その結果等を教育活動の改善に活かすとともに公表する仕組みを構築する。
・ 私立通信制については、論点を整理し、早急に定時制教育及び通信教育振興法を改正し、多様な生徒たちが取り残されない教育環境の整備を目指す。

〇 安定財源の確保
・ 上記の取組を実施するための安定財源については、国の歳出改革や租税特別措置の見直し等によって捻出することを想定。地方分についても、租税特別措置の見直し等による増収分を充てるほか、令和9年度予算編成・税制改正に向けて責任を持って財源確保を図ることとし、財源確保が完成するまでの間、まずは令和8年度については地方財政措置を通じて適切に対応。あわせて、地方の税財源の充実確保に努める。

〇 その他
・ 必要な事務費は適切に措置。事務負担の軽減についても検討。


2.学校給食費の抜本的な負担軽減(いわゆる給食無償化)について
以下の内容に沿って、令和8年4月から小学校段階での学校給食費の抜本的な負担軽減を実施。

〇 趣旨
・ 保護者負担の軽減を通じた子育て支援に取り組む自治体への支援として実施。また、農林水産省など関係省庁が連携して、栄養水準の確保や地産地消の推進など、「給食の質の向上」に向けた取組を推進。
・ 「いわゆる給食無償化」の表現については、完全な学校給食費の無償化を想起させ、自治体の財政負担の増加を招いたり、逆に予算の制約により給食の質の低下につながったりすることが懸念されるため、今回の取組の趣旨が保護者負担となっている学校給食費の抜本的な負担軽減であることを明確化し、正確な趣旨の周知に取り組む。

〇 支援対象者の範囲
・ 給食を実施する公立の小学校(義務教育学校前期課程及び特別支援学校小学部を含む)を支援。
・ 給食実施校の児童については、保護者の所得にかかわらず、一律に支援対象。生活保護の教育扶助や要保護児童生徒、特別支援教育就学奨励費の対象となっている児童は、現行制度の適用を優先。
・ 給食未実施校に対しては、完全給食実施に向けて必要となる施設整備等について、令和7年度補正予算において先行的に支援を実施。

〇 支援の基準額等
・ 完全給食実施校については、令和5年実態調査における平均額に、近年の物価動向を加味し、一月当たり5,200円。
・ 毎年給食費に関する調査を実施し、その上で、基準額については、今回の取組の実施状況や物価動向等を踏まえ、適切な額を設定。
・ 補食給食・ミルク給食実施校や特別支援学校小学部についても、同様の考え方により基準額を設定。
・ 基準額を超える部分については、学校給食法に基づき、引き続き保護者から給食費を徴収することが可能。また、特色ある給食の提供に係る各省関係事業等を柔軟に活用可能とし、各市町村の工夫で更なる負担軽減を行うことも可能。
・ 非喫食者の取扱いは、学校設置者の判断に委ねる。

〇 実施方法と学校給食法との関係
・ 学校給食法の改正は行わず、自治体に対する予算補助として実施。給食費負担軽減交付金(仮称)の創設により、食材費相当額(給食実施校の在籍児童数に支援の基準額を乗じた額)を対象として支援。
・ 必要な事務費は適切に措置。
・ 現場が対応可能な仕組みとなるよう、今回の取組の円滑な実施に向け、自治体との意見交換を行い、事務負担の軽減も含めた実務に関する検討を実施。
・ 給食費の公会計化等のためのシステム改修等について、令和7年度補正予算において先行的に支援を実施。なお、国からの支援については各自治体において適正に管理する必要があるが、公会計化等の実施を支援の条件とはしない。

〇 安定財源の確保
・ いわゆる教育無償化に係る安定財源については、国の歳出改革や租税特別措置の見直し等によって捻出することを想定。地方分についても、租税特別措置の見直し等による増収分を充てるほか、令和9年度予算編成・税制改正に向けて責任を持って財源確保を図ることとし、財源確保が完成するまでの間、まずは令和8年度については地方財政措置を通じて適切に対応。あわせて、地方の税財源の充実確保に努める。

〇 給食の質の向上
・ 各自治体の取組を尊重することとし、農林水産業の振興や地方創生の観点からの支援により対応。
・ 地産地消やみどりの食料システム戦略推進等に係る農林水産関係事業等の活用を促すとともに、学校給食における地産地消等の好事例の収集・横展開を進める。

〇 負担割合
・ 子育て支援を図るとの制度趣旨や、広域的な支援により財政力の違いによらず各市町村の給食の質を確保すべきとの観点から、地方における安定的な財源の確保を前提に、1/2の都道府県負担を導入。
・ なお、人件費(県費負担教職員除く)や施設設備の修繕費といった学校給食の運営に要する経費の負担や、献立作成、食材等の確保は、引き続き、学校設置者である市町村が実施。

〇 地方負担に関する対応
・ 今回の取組に係る地方負担については、地方財政計画の歳出に全額計上するとともに、地方の安定財源を確保した上で、一般財源総額を増額確保。個別団体の地方交付税の算定に当たっても、地方負担の全額を基準財政需要額に算入。
・ 具体的には、各団体における児童数に児童一人当たりの支援単価を乗じて算出した額を基準財政需要額に算入し、地方団体に見える形で普通交付税を算定。


3.その他
・ 子ども子育てに関する国の役割や、ナショナルスタンダードの観点も踏まえて、全国的な支援の在り方を財源も含め、地方団体と協議しながら検討する。
・ 今回の進め方を前例としないようにとの指摘を真摯に受け止め、今後、地方にとって重要なテーマについては、関係する地方団体と十分な時間的余裕を持って丁寧に協議することとする。
・ 各制度・事業の開始後、一定期間を経た後に、事業の進め方や課題、法制面等について、地方団体を交えて検証。中学校給食についても、小中学校の給食実施状況の違い等も含めた課題の整理を行った上で検討。
・ 上記のほか、一連の三党合意と地方団体の意見を踏まえた取組について、真摯に対応。

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