総務省トップ > 所管法令等 > 各府省等において取り交わされた文書一覧ページ > 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案等の国会提出に際する覚書

各府省等において取り交わされた文書

行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案等の国会提出に際する覚書

覚書

警察庁丁総発第50号
総管情第16号
平成14年3月11日

警察庁長官官房総務課長
池田 克彦

総務省行政管理局行政情報システム企画課長
岡山 淳

 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、情報公開・個人情報保護審査会設置法案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の国会提出に際し、警察庁と総務省は下記のとおり了解する。

  • 第1 法制全般
     総務省は、捜査活動その他の警察活動上必要な各種個人情報については、警察庁及び都道府県警察がこれを適正に利用し得ることが国民の安全を確保する上で必要不可欠であることを認識するとともに、警察庁と都道府県警察の関係及び警察庁が保有する個人情報の特殊性を十分に認識し、法の解釈、運用等に関しては、警察庁の意見及び判断を十分尊重するものとすること。
  • 第2 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(この項において以下「法」という。)
    1. 法律案全般
      1. (1) 総務省は、警察庁が保有する個々の個人情報の重要性、秘匿性等に係る判断に関しては、警察庁が専門的知識及び能力並びに責任を有することを認識し、警察庁が保有する個々の個人情報又は個人情報ファイルが第8条第2項、第10条第2項、第11条第2項若しくは第3項、第14条、第15条第2項、第17条、第29条又は第38条に該当するか否かの判断に関しては、警察庁の判断を十分尊重するものとすること。
      2. (2) 総務省は、法を改正し、又は法に基づく政令を制定改廃しようとする場合には、あらかじめ十分な時間的余裕をもって警察庁と協議するものとすること。
      3. (3) 総務省は、法に関連する通達、通知、解説書、ガイドライン等(以下「通達等」という。)を作成しようとする場合には、あらかじめ十分な時間的余裕をもって警察庁と必要なすりあわせを行った上、警察庁との合意を経るものとすること。
      4. (4) 総務省は、警察庁が個人情報の保護に関し、法又は法に基づく政令の制定改廃等の申入れを行った場合には、これを尊重し、速やかに検討の上、所要の措置を講ずるものとすること。
      5. (5) 法の施行に伴い、警察庁において職員の増員が必要となり、警察庁が定員要求を行う場合には、総務省は、警察庁に対し、必要なデータ・資料の提供等の協力を行うものとすること。
    2. 第2条関係
      1. (1) 個人情報が第2条第4項第2号に該当するか否かの判断は、当該個人情報を保有する行政機関の長に委ねられているものであること。
      2. (2) 総務省は、第2条第4項第2号の「特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したもの」か否かの判断については、警察庁が保有する文書の特殊性を十分に認識し、警察庁の意見及び判断を尊重するものとすること。
    3. 第3条関係
      1. (1) 第3条第1項の「利用の目的をできる限り特定しなければならない」とは、ファイル保有目的を「明確」にすることを意味するにとどまるものであり、ファイル保有目的を狭く限定し、情報の多角的利用を妨げる意味を有するものではないこと。
      2. (2) 警察庁と都道府県警察の関係の特殊性にかんがみ、「利用目的」には、「○○のため都道府県警察(又は自動車安全運転センター)に提供すること」も含まれるものであること。
      3. (3) 散在情報については、特段利用目的を公表する必要はなく、また、開示決定の際に開示請求者に対して当該保有個人情報の利用目的を通知する場合においても、当該行政文書の利用目的を通知すれば足りるものであること。
      4. (4) 第3条第3項の「相当の関連を有すると合理的に認められる範囲」の判断は、各行政機関の長が行うものであること。
    4. 第4条関係
       取調べ等において被疑者等が捜査当局に犯罪の事実等について申し立てるため作成し提出する書面については、その取得の状況からみて、犯罪捜査等に用いることが明らかであることから、第4条第4号の「利用目的が明らかであると認められるとき」に該当するものであること。
    5. 第8条関係
      1. (1) 刑事訴訟法第197条第2項の規定に基づく捜査関係事項照会は、第8条第1項の「法令に基づく場合」に該当するものであること。また、総務省は、法に関する通達等を作成する場合には、捜査関係事項照会が行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律(昭和63年法律第95号)(以下「現行法」という。)の逐条解説に引用されていることにかんがみ、捜査関係事項照会を引用するよう努めるものとすること。
      2. (2) 警察庁が、国際協力のため、外国政府、外国捜査機関、各国政府により構成される国際機関、各国の捜査機関により構成される国際機関等に処理情報を提供する場合は、第8条第2項第4号の「特別の理由のあるとき」に該当するものであること。
    6. 第10条関係
      1. (1) 第10条第2項第1号及び第2号に掲げる個人情報ファイルについては、当該個人情報ファイルの一部に各号に該当しない部分が存在する場合であっても、全体として同項第1号又は第2号に掲げる個人情報ファイルに該当すると認められるときは、当該個人情報ファイル全体について事前通知を要しないものであること。
      2. (2) 暴力的破壊活動、諜報活動等の対日有害活動、テロ活動等に関する事項を記載した個人情報ファイルは、第10条第2項第1号の「国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項を記録する個人情報ファイル」に該当するものであること。
      3. (3) 個々の犯罪捜査のため、その都度作成し、又は取得される個人情報ファイルに限らず、将来において発生する不特定多数の犯罪の捜査に備えるため、あらかじめ作成し、又は取得される個人情報ファイルは、第10条第2項第2号の「犯罪の捜査、租税に関する法律の規定に基づく反則事件の調査又は公訴の提起若しくは維持のために作成し、又は取得する個人情報ファイル」に該当するものであること。
    7. 第11条関係
      1. (1) 総務省は、第11条第2項又は第3項の規定により個人情報ファイル簿への記載若しくは掲載又は公表をしないこととしたファイル記録項目若しくは事項又は個人情報ファイルの存否又は具体的内容について、国会等から答弁等を求められた場合は、法の趣旨にかんがみ、答弁等を差し控えるとともに、答弁等を求められた旨直ちに警察庁に連絡するものとすること。
      2. (2) 個人情報ファイル簿に記載又は掲載することにより現行法第7条第3項各号に掲げる事務の適正な遂行を著しく阻害するおそれがあるファイル記録項目若しくは事項又は個人情報ファイルについては、第11条第3項の規定により、個人情報ファイル簿に記載せず、又は掲載しないことができるものであること。
    8. 第14条第5号及び第17条関係
       行政機関が警察に情報提供を行った事実を簿冊等に記録している場合に、当該簿冊に当該個人が存在しているか否かを答えるだけで捜査対象者であるか否かが判明することとなる場合には、第17条の「当該開示請求に係る保有個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるとき」に該当するものであること。また、総務省は、法に関する通達等を作成する際には、これを具体例として引用するよう努めるものとすること。
    9. 第22条関係
       行政機関への開示請求がなされた場合における独立行政法人等への事案の移送に関しては、自動車安全運転センターが行う自動車安全運転センター法(昭和50年法律第57号)第29条第1号から第3号までに掲げられている経歴証明業務等の業務は、開示請求に係る保有個人情報に含まれる情報の重要な部分が独立行政法人等の事務・事業に係るものであって、独立行政法人等の判断にゆだねた方が適当であることから、「正当な理由があるとき」に該当し、第22条により事案の移送の対象となるものであること。
    10. 第25条関係
      1. (1) 開示請求に係る保有個人情報が、道路交通法令その他の法令の規定により、免許証、許可証、通知書その他の書類(以下「免許証等」という。)に記載され、かつ、本人に交付されているときは、第25条第1項本文の規定により、重ねて開示することを要しないこと。また、総務省は、法に関する通達等を作成する際にはこれを具体例として引用するものとすること。
      2. (2) 第25条第1項の「他の法令」には、自動車安全運転センター法その他の独立行政法人等が開示請求に係る保有個人情報を行政機関と同一の方法で開示することとしている法令を含むものであること。また、総務省は、法に関する通達等を作成する際には、これを具体例として引用するものとすること。
    11. 第27条関係
       免許証等の記載事項変更の手続が他の法律又はこれに基づく命令の規定により定められている場合は、第27条ただし書の「当該保有個人情報の訂正に関して他の法律又はこれに基づく命令の規定により特別の手続が定められているとき」に該当するため、当該免許証等の記載事項については、第27条の規定に基づく訂正の対象とならないものであること。また、総務省は、法に関する通達等を作成する際には、これを具体例として引用するものとすること。
    12. 第28条関係
       訂正請求の趣旨及び理由を欠く訂正請求書は、形式上の不備があるものであること。また、総務省は、法に関する通達等を作成する場合には、この旨記載するものとすること。
    13. 第29条関係
       訂正請求に理由があるかどうかを判断するための調査については、第29条において「訂正請求があった場合において、当該訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る保有個人情報の利用目的の達成に必要な範囲内で、当該保有個人情報の訂正をしなければならない」とされていることから、当該訂正を求められる保有個人情報が他の機関から報告を受けたもので、当該情報の利用目的が、行政機関が当該保有個人情報に記録されている本人に対して行政処分等を行うためのものでない場合には、報告を受けるためのシステムの異常がある場合を除き、行政機関において誤記等をすることなく保有しているかといった観点からの調査を行えば足りるものであること。また、総務省は、法に関する通達等を作成する際には、これを具体例として引用するものとすること。
    14. 第4章第3節関係
      1. (1) 総務省は、行政機関から警察庁又は都道府県警察に対する個人情報の提供が従前同様適正かつ円滑に行われることを確保するため、各行政機関が、本法の制定を理由として、警察庁又は都道府県警察に対する個人情報の提供に消極的になるべきではなく、またその必要もないことを、法に関連する通達等に記載するなどにより周知徹底を図るとともに、警察庁から申入れがあった場合その他必要があると認める場合には、各行政機関に対し、この旨の表明を行うこと。
      2. (2) 総務省は、第4章第3節の「利用停止」は、開示決定に基づき開示を受けた保有個人情報に限って認められるものであり、また、行政機関が違法に取得、保有又は提供していることが客観的事実により何人にも明らかな場合であって、当該個人情報の利用停止をすることにより利用目的に係る事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがなく、かつ、適正な取扱いを確保するために必要な限度に限って認められるものであることから、行政機関としての組織的な意思決定に基づいて取得、保有又は提供している個人情報が利用停止請求の対象となるような事態を想定するものではない旨を、通達等に記載するなどにより周知徹底を図るものとすること。
    15. 第36条関係
       総務省は、次に掲げる事項を通達等に記載するなどにより周知徹底を図るものとすること。
      1. (1) 「利用停止」とは、開示決定に基づき開示された保有個人情報のみの利用の停止、消去又は提供の停止をいうものであること。
      2. (2) 第8条第1項又は第2項の規定に違反して利用され又は提供されているとしてなされた利用停止請求について、行政機関の長がその請求に理由があると認定したときは、当該行政機関の長は、違反と認定した利用又は提供を停止すればよいものであること。
      3. (3) 提供の停止には、それまでに提供していた個人情報の回収は含まれないものであること。
    16. 第37条関係
       総務省は、次に掲げる事項を通達等に記載するなどにより周知徹底を図るものとすること。
      1. (1) 第1項第3号関係
         利用停止請求の「理由」とは、「客観的な証拠に基づく事実」を意味するものであり、風評等は含まないものであること。
      2. (2) 第3項関係
         第37条第1項第3号の利用停止請求の「理由」として客観的な証拠に基づく事実関係が記載されていないと認められる場合には、同条第3項の「形式上の不備がある」と認められるものであること。すなわち、客観的な証拠に基づく事実がない請求は、「形式上の不備がある」ものであること。
    17. 第38条関係
       総務省は、次に掲げる事項を通達等に記載するなどにより周知徹底を図るものとすること。
      1. (1) 「利用停止請求に理由があると認める」か否かの判断は、行政機関がその果たすべき任務、本法の趣旨その他の事情を総合的に勘案して、合目的的に行うべきものであること。
      2. (2) 第10条第2項各号の規定により利用目的を通知していない個人情報ファイルの第8条第2項第1号及び第2号に基づく提供は、関係行政機関間において相当な理由があると認めて行っているものであり、第38条第3項の「理由があると認めるとき」に該当する事態は想定しがたいこと。
    18. 第49条及び第50条関係
      1. (1) 総務省は、第49条及び第50条の権限を行使するに当たっては、警察庁の事務の適正な遂行に支障を及ぼすこととならないよう十分留意すること。
      2. (2) 総務省は、第49条に基づき資料の提出又は説明を要求する場合には、あらかじめ警察庁に対し、その理由及び必要性について十分な説明を行うものとすること。
      3. (3) 総務省は、行政機関が保有する個人情報について、法運用の統一性、法適合性を確保する観点から資料の提出及び説明を求め、意見を述べることができるにとどまるものであり、個別の個人情報ファイルの利用目的、ファイル記録項目の当否その他個別の個人情報の保有、利用、提供等に関する事項については、保有行政機関の判断を十分尊重しなければならないものであること。
  • 第3 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(この項において以下「法」という。) 
    1. 第9条関係
       刑事訴訟法第197条第2項の規定に基づく捜査関係事項照会は、第9条第1項の「法令に基づく場合」に該当するものであること。また、総務省は、法に関する通達等を作成する場合には、捜査関係事項照会を引用するよう努めるものとすること。
    2. 第14条第5号及び第17条関係
       独立行政法人等が警察に情報提供を行った事実を簿冊等に記録している場合に、当該簿冊に当該個人が存在しているか否かを答えるだけで捜査対象者であるか否かが判明することにより不開示情報を開示することとなる場合は、第17条の「当該開示請求に係る保有個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるとき」に該当するものであること。また、総務省は、法に関する通達等を作成する際には、これを具体例として引用するよう努めるものとすること。
    3. 第25条及び第26条関係
      1. (1) 開示請求が法に基づきなされた場合において、他の法令により開示請求者に対し開示請求に係る保有個人情報が第25条第1項本文に規定する方法と同一の方法で開示することとされているときは、法に基づく開示決定等を行うものの、第24条の規定により法に基づく開示は実施せず、開示の段階で改めて他の法令に基づく開示請求をさせ、当該他の法令による方法で開示することとなること。
      2. (2) (1)の場合においては、法による開示請求の段階と、他の法令に基づく開示請求の段階で、それぞれ手数料を徴収することとなること。
    4. 第4章第3節関係
      1. (1) 総務省は、独立行政法人等から警察庁又は都道府県警察に対する個人情報の提供が従前同様適正かつ円滑に行われることを確保するため、各独立行政法人等が、本法の制定を理由として、警察庁又は都道府県警察に対する個人情報の提供に消極的になるべきではなく、またその必要もないことを、法に関連する通達等に記載するなどにより周知徹底を図るとともに、警察庁から申入れがあった場合その他必要があると認める場合には、各独立行政法人等に対し、この旨の表明を行うこと。
      2. (2) 総務省は、第4章第3節の「利用停止」は、開示決定に基づき開示を受けた保有個人情報に限って認められるものであり、また、独立行政法人等が違法に取得、保有又は提供していることが客観的事実により何人にも明らかな場合であって、当該個人情報の利用停止をすることにより利用目的に係る事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがなく、かつ、適正な取扱を確保するために必要な限度に限って認められるものであることから、独立行政法人等としての組織的な意思決定に基づいて取得、保有又は提供している個人情報が利用停止請求の対象となるような事態を想定するものではない旨を、通達等に記載するなどにより周知徹底を図るものとする。
    5. 第36条関係
       総務省は、次に掲げる事項を通達等に記載するなどにより周知徹底を図るものとすること。
      1. (1) 「利用停止」とは、開示決定に基づき開示された保有個人情報のみの利用の停止、消去又は提供の停止をいうものであること 。
      2. (2) 第9条第1項又は第2項の規定に違反して利用され又は提供されているとしてなされた利用停止請求について、独立行政法人等がその請求に理由があると認定したときは、当該独立行政法人等は、違反と認定した利用又は提供を停止すればよいこと。
      3. (3) 提供の停止には、それまでに提供していた個人情報の回収は含まれないものであること。
    6. 第37条
       総務省は、次に掲げる事項を通達等に記載するなどにより周知徹底を図るものとすること。
      1. (1) 第1項第3号関係
         利用停止請求の「理由」とは、「客観的な証拠に基づく事実」を意味するものであり、風評等は含まないこと。
      2. (2) 第3項関係
         第37条第1項第3号の「利用停止請求の内容」として客観的な証拠に基づく事実関係が記載されていないと認められる場合には、同条第3項の「形式上の不備がある」と認められるものであること。すなわち、客観的な証拠に基づく事実がない請求は、「形式上の不備がある」ものであること。
    7. 第38条関係
       総務省は、次に掲げる事項を通達等に記載するなどにより周知徹底を図るものとすること。
      1. (1) 「理由があると認める」か否かの判断は、独立行政法人等がその果たすべき任務、本法の趣旨その他の事情を総合的に勘案して、合目的的に行うべきものであること。
      2. (2) 第10条第2項各号の規定により利用目的を通知していない個人情報ファイルの第9条第2項第1号及び第2号に基づく提供は、関係行政機関間において相当な理由があると認めて行っているものであり、第38条条第3項の「理由があると認めるとき」に該当する事態は想定しがたいこと。

ページトップへ戻る