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各府省等において取り交わされた文書

行政機関の保有する情報の公開に関する法律案について

平成10年3月2 7日

警察庁長官官房
総務課長
上原 美都男 殿

総務庁行政管理局
行政情報システム企画課長
(情報公開法制定準備室長)
藤井 昭夫

行政機関の保有する情報の公開に関する法律案について

 総務庁は、その名義において行政機関の保有する情報の公開に関する法律に関する通達、通知、条文解説(解説書)その他これに類する文書を作成するときは、下記の趣旨に沿って記述することとするとともに、これらの文書を公表すること等により法の解釈を対外的に明らかにするときは、当該趣旨に沿ってすることとする。また、これらの文書を作成、公表しようとするときは、あらかじめ警察庁と相談するとともに、下記に係る部分については十分な時間的余裕をもって警察庁と協議することとする。

  1. 第2条関係
    本条第2項の「電磁的記録」には、デイスプレイに情報を表示するため一時的にメモリに蓄積される情報や、ハードデイスク上に一時的に生成されるテンポラリファイル等は含まれない。
  2. 第3条関係
    データベースは、その記録形態の特殊性にかんがみ、通常用いているプログラムにより出力される形態ごとの多数の行政文書の集合体としてとらえられる。
     このため、データベースについて、実質的に検索を求める内容の開示請求があったときは、行政機関の長は、通常用いているプログラムで出力可能な範囲で対応すれば足り、これにより出力することができないときは、当該開示請求に係る行政文書を保有していないものとして第9条第2項の規定により開示をしない旨の決定をすることとなる。
  3. 第4条関係
    1. (1)  開示請求書にどのような記載があれば、行政文書の特定がされていることになるかについては、開示請求書の記載内容、行政機関における文書の保有の実態等に照らして、行政機関の長が個別に判断すべき事柄である。
       その結果、行政機関の長において行政文書の特定が不十分であると認めるときは、形式上の不備があるとして、第4条第2項の規定により、補正を求めることができる。
       なお、開示請求の対象を「~に関する文書」とする開示請求は、「~」の記載の具体性の程度にもよるが、一般的には、特定が不十分であると考えられる。
    2. (2)  第2項の「相当の期間」は、行政手続法第7条の「相当の期間」と同義である。行政機関の長が、第2項の規定により開示請求者に対し、相当の期間を具体的に示して補正を求めたにもかかわらず、当該期間を経過しても、開示請求書の不備が補正されない場合には、当該開示請求を拒否することができる。
  4. 第5条関係
    1. (1)  第3条の開示請求権は、何人にも等しく認められる権利であり、開示請求者が何人であるかによって開示・不開示の結論が変わるものではないから、本制度上、一の開示請求者に開示される情報は、不特定多数の人が知り得る情報であるということができる。したがって、法第5条各号の「公にすることにより、~おそれがあるもの(おそれがあると~相当の理由がある情報)」には、開示請求者のみに明らかになっただけで各号に掲げる支障が生ずる情報も含まれる。
    2. (2)  第3号の「国際機関」には、条約に基づく機関に限らず、国際刑事警察機構等も含まれる。
    3. (3)  第4号の「公共の安全と秩序の維持」に関する情報としては、被疑者・被告人の留置・勾留に関する施設・保安の情報等も含まれる。
  5. 第11条関係
    1. (1)  本条の「開示請求があった日から60日以内」には、補正に要した日数は含まれない。
       なお、第10条第1項ただし書は確認的な規定であり、本来、この規定がなくても、同様に解すべきところを明確化したものである。
    2. (2)  一件の開示請求に係る行政文書の量は「著しく大量」ではないが、著しく多数の開示請求が一の行政機関に集中し、そのすべてについて60日以内に開示決定等をすると事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合について、本法は、特に規定を設けていない。これは、そのような事態が通常起こることを想定していないためである。
       そこで、仮に、そのような事態が発生した場合には、開示請求権の的確な実現と他の行政事務の的確な遂行の確保との調和を図るという第11条の規定の趣旨に照らし、行政機関の長は、多数の開示請求のうち、可能な範囲については第10条の処理期限内に開示決定等をし、残りの開示請求については、処理可能となった後、遅滞なく開示決定等をすべきことになる。
       この場合、一部の開示請求は、第10条の定めるところにより処理されていないことになるが、同条は正当な理由がある場合における例外的な取扱いを許容しない趣旨ではないのであるから、具体的な開示請求の集中の実情、他の行政事務を遂行する必要性等に照らし、60日以内に開示決定等をすると事務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるという特段の事情がある場合には、当該開示請求に対する応答の不作為は違法とはならないものと解される。
  6. 第13条関係
    1. (1) 本条の規定により、第三者に対し意見書を提出する機会を与えた結果、その手続等に長時間を要し、開示請求があった日から30日以内に開示決定等を行うことが困難となった場合には、行政機関の長は、第10条第2項の規定により、開示決定等の期限を延長することができる。
    2. (2)  本条第3項の「意見書を提出した場合」における提出時点は、第三者が意見書を郵送に付した時点ではなく、意見書が当該行政機関に到着した時点を意味する。
  7. 第14条関係
    1. (1) 本条第1項の「写しの交付」の「写し」には、いわゆるコピーによりがたい場合に作成される「写真」も含まれる。
    2. (2) 本条第1項による「写しの交付」は、文書又は図画の写し1部を交付することにより行うものである。したがって、開示請求者がいったん写しの交付を受けた部分については、本条第4項による写しの交付の申出を認める必要はない。なお、一のページの一部分(文章中の特定の単語、文等、一覧表中の特定の項目、数値等)を不開示としたため、当該行政文書中、不開示情報の記録部分を確実に隠した状態で閲覧に供することが困難である場合には、原本のコピーに墨塗りをするなど部分開示の加工をしたものにより開示することとなるが、この場合、コピーに加工をしたものにより写しの交付をすれば、本条第4項による閲覧の申出を認める必要はない。
  8. 第27条関係
    1. (1) 第27条第1項の規定により行政文書の提示を求めることができるのは、当該事件を取り扱う合議体である審査会のみであり、委員以外の者(審査会事務局の職員を含む。)が当該行政文書を閲覧することはできない。また、委員は、当該権限に基づき知ることができた行政文書の内容を当該委員以外の者に知らせてはならない。
    2. (2) 本項の「必要があると認めるとき」とは、行政文書に記録されている情報の性質、事件の証拠関係等に照らし、審査会の委員が当該行政文書を実際に閲覧しないことにより生ずる適切な判断の困難性等の不利益と、当該行政文書を審査会に提示することにより生ずる行政上の支障等の不利益とを比較衡量した結果、なお必要と認められることを意味する。
       通常の場合は、審査会は、事件の審議に当たり、当該行政文書を直接に閲覧した上で判断することとなろう。しかし、行政文書に記録されている情報には、その性質上、特定の最小限度の範囲の者にしか知らせるべきでないものや、情報源・情報交換の方法について当該情報交換の当事者以外には知らせるべきでないものなど、当該情報の性質に応じて特別の考慮を払う必要があるものがあり得る。このような情報が問題となっている場合には、審査会は、諮問庁から必要な説明を聴き、当該行政文書を提示することによって生ずる支障の内容及び程度を的確に把握し、諮問に関する説明の要求その他の方法による調査を十分行った上で、当該行政文書の提示を求める必要性について判断すべきものである。
    3. (3)  諮問庁が提出し又は提示した意見書又は資料に記録されている情報及び諮問庁の説明の内容について、諮問庁から、特別の考慮を払う必要がある性質の情報が含まれていることを理由として、委員以外の者に知らせることが適当でない旨の意見があったときは、審査会は、当該情報及び内容が委員以外の者の知るところとならないように対応することになる。
  9. 第28条関係
    諮問庁は、第28条第1項の規定により審査会に意見を述べる場合等においては、審査会に対し、意見書又は資料を提示することができる。
  10. 第31条関係
    意見書又は資料を不服申立人等の閲覧に供することにより、第三者の利益をし、又は事務の適正な遂行に支障を及ぼすなど公益を損なうことがあってはならない。このため、閲覧請求があったときは、審査会は、諮問庁から意見を聴くなど必要な調査をした上で、閲覧請求に対する諾否を決定することになる。審査会は、諮問庁から当該意見書又は資料に不開示情報が記録されているなど閲覧を拒むべきである旨の合理的な説明があれば、閲覧請求を拒否すべきことになる。
     なお、第8条の適用の適否が問題になっている場合など、本条に基づく閲覧請求に対し、諮問庁から提出された意見書又は資料の存否を答えること自体が不開示情報を明らかにすることとなる場合があり得るが、このような場合には、閲覧請求があったとしても、審査会は、当該意見書又は資料の存否を明らかにせずに、請求を拒否することになる。
  11. 第32条関係
    調査審議の手続に関し議事録等を作成するかどうかは審査会の判断に委ねられているが、仮に議事録等を作成すれば、本法に基づく開示請求の対象となり得る。しかしながら、審査会の調査審議は、不開示情報該当性に関して行われるものであるから、議事録等に不開示情報が記録されている可能性が高く、議事録等については、不開示とされるものが多いと考えられる。特に、特別の考慮を払う必要がある性質の情報に係る案件の調査審議の記録については、開示決定等に先立ち、関係行政機関の長の意見を聴く等により、慎重な判断を行うことが必要である。
     なお、審査会に提出された意見書又は資料についても、同様である。

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