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会見発言記事

野田総務大臣の北海道上士幌町現地視察後の竹中上士幌町長との合同ぶら下がり会見の概要

平成29年9月21日

冒頭発言


野田総務大臣

 就任時から、ふるさと納税をしっかりと取組んでいただいて結果を出している好事例ということで、上士幌町をぜひ訪問したいということを願っておりまして、今回、竹中町長には丸1日お付き合いいただきまして、まさに好事例をお示しいただきましたことを、心から感謝申し上げます。ご同行いただいた諸先生方にも本当にお礼申し上げたいと思います。
 特に、私が印象に残ったのは、やはり一番最初に訪れた子ども達との触れあいでありました。地方創生の結果というのはやっぱり、流出していた人を取り戻すこと、人を増やせるかどうかということが、一番大切なんですけれども、残念ながら全般的にはこの3年、地方創生を掲げながらも、全体で30万人ぐらい都市への流出があったと。しかしその中で、上士幌町は人を増やしている。それはなぜかというと、やはり人が来るための必要なものが、やはり若い人たちがしっかりと働き、暮らしていける、子ども達が安全安心に親と生きていけるという環境整備があったのではないかと改めて感じたとこです。ちなみに上士幌町では、いろいろご苦労があったかと思いますけれども、ふるさと納税で得た寄附は条例を制定して、子どものための基金ということで特化している。それだけに集中的に使われていることが特徴だと思います。私としても政治家というのでやっぱり、ある一定のお金があれば、あれもこれもというリクエストがあって、結局は総花的になってなかなか進まないというのが実情のなか、大変な関係各位のご尽力で、今の日本にとって、今の地方にとって、一番必要なこと、やっぱり子どもを安心安全に育てていく環境を整備していくことで、寄附のお金をそこに集中的に充てられたということに心から敬意を表する次第です。
 また、ふるさと納税の返礼品のことが問題になっているけれども、今日改めてお手本である地元の、そもそも良いものであるけど、なかなか民間の流通に乗りづらい、地方にいるということで、そういう物を返礼品にすることではじめて、例えば私が今日お昼にいただいた「十勝ハーブ牛」とか、「ジェラート」とか、そういうものを寄附した人が受け取って、そしてそこからまた話題が拡散していく中で、不必要なPRをせずとも、ふるさと納税をしてくれた人からネットワークができてマーケットができるという、この好循環も拝見することができました。ジェラートに取組んでいる女性、社長夫人ですけど、どんどんどんどん新規展開をされていて、まさにこれこそが、ふるさと納税のやらなければならないことなんだなということを見させていただいたことを感謝したいと思います。たった1日でしたけれども、大変な成果をいただきましたし、これをしっかりお伝えすることができるよう、省に戻って取組みたいと思います。
 竹中町長、今日は本当にありがとうございました。


竹中上士幌町長

 ありがとうございました。大臣に来ていただいてですね、大変感激であります。感謝申し上げたいとそのように思っております。
 地方は今に始まったばかりではなく、以前からずっと人口減少の問題が大きな課題でありました。国も地方創生を掲げて、全国の自治体が今、総合戦略をたてて、しかも数値目標をしっかりもってですね、その具体化に向けて政策を取組んでいるということであります。この人口減少問題というのは多分、相当政府としても大きな課題だというふうに思っておりますが、それらについて田舎としては、かねてからそれは大きな課題であって、これまでも都市の方々とどのようにネットワークが結べるのか、そのためにいわゆる団塊の世代がリタイアする時からですね、都市と農村の交流を広めていくために大事な政策課題として取り上げてきました。
 もう1つは、せっかく地元にある素晴らしい素材を原料だけではなくて、どう加工してですね、本当に美味しい物を全国の方々に食べてもらいたい、そのような政策、以前は農商工の連携ということで、国のほうもですね、政策を掲げてきましたけれども、町としても特にそういうような政策を掲げてきました。その結果、ふるさと納税の制度がですね、作られて、ストーンとそこに乗っかることができたということなんですね。ですから、いろんなふるさと納税の地方自治の振興にとってプラス要素があると言うのは語り尽くせないほどたくさんあるわけですけれども、独自の政策課題、特に私にとっては、地方に住んでもらえない1つのハードルというのが、地方に来たら安心して子育てできないんではないだろう、教育もしっかり受けることができないんではないだろうか、このような思いが若い年の方々に持たれているのではないだろうか、そこのところを解決すれば、仕事のほうはですね、結構あるんですね、ここは農業を基盤としてますけれども、大型の法人もあったりして、求人はたくさんあるんですけれども、なかなか町には来ていない。ということから、今大臣がお話されたように、子育ては子育ての子どもとその親御さんだけではなくて、必ず地域の雇用や、経済や、いろんなとこに波及していくだろういうことで、なかなか大変なことではありましたけれども、集中的にやらさせていただきました。その結果として今上士幌町には若い世代、20代、30代、40代が首都圏からも含めてですね、かなり来ていただいているということです。やがてこういった方々が結婚して子どもが産まれたとなれば、地方創生としてまさに目指すところが、この小さな町だからこそできるといいますか、機動力があると、私どもそういうところがありますので。それを実現させてくれたのは、ふるさと納税によるものだということであります。
 寄附者との付き合いもですね、単に寄附してもらった、ということだけではなくて、東京のほうでふるさと納税の感謝祭をやってフェイス・トゥ・フェイスの関係を築いていく。そしてまた来週は、ふるさと納税の方々の中からバス1台分でですね、来ていただいて、地元のことを知っていただいて、密接な関係を結びながら地方創生の人口減少問題に最終的には、そこの解決の糸口を少なくとも私どもとしては、追求していきたいなとそのように思っております。
 やっぱり、国は都会も必要でありますし、こういう田舎も必要であるというふうに、私どもとしては自負、プライドを持って行政運営をさせていただいているつもりであります。なかなか厳しいのではありますけども、そういったなかで一つでも励みになるような、他の自治体の励みになるような、あるいは上士幌町を信じてもらえるような取組をこれからもしていきたいなと思っているそんなときに、大臣に来ていただいて、この町のことをですね、冷静に客観的に見ていただいたと。地元にいると、なかなか自分たちがやっていることはどのようなことなのか、地元の住民もどういうことなんだろうかな、こういう不安なところもありますけども、そういう意味では今回来ていただいたことで私ども職員も、それから住民も、そしてまたふるさと納税に関わっている商業開発の方々も非常に元気がついてですね、しっかりとこの後も地方創生、いわゆる地方が元気になるためのこのモデル自治体として頑張っていく、そんな勇気をもらいました。そしてまた、これまでみなさん方と共に作ってきた町づくりに対して自信を持って内外に発信していきたいなと。そのようなことで、今日は感激をしております。ありがとうございました。


質疑応答


視察後の所感

問:
 共同通信の宮沢と申します。
 視察について今コメントで、大変大きな成果があったということなんですが、今回のこの視察の結果をですね、ふるさと納税制度について、具体的にどのように総務省の政策に反映していくかお考えがあったらお聞かせください。
答・野田大臣
 いくつか取組もうと思っていることがあります。一番最初は、今日、実際に上士幌町に来て、ふるさと納税で取組まれていることを自分でしっかり確かめて、確認をして、納得をさせていただいたので、今後は、上士幌町のような好事例、例えばこの町に何が必要なのかということを明確に決めてですね、その政策の実現のためにふるさと納税、上士幌町の場合は条例で基金を制定するということでしっかりと取組んでおられることとか、今町長のお話にもありましたように、ただその寄附をいただいて返礼品をするんじゃなくて、そこにできたネットワークのつながりを強固にして、できればこの地に来てもらう、住んでもらうような、新たな取組をしていただけるように私から直接地方公共団体のみなさんにお手紙を出そうと考えています。
 2つ目は、さらなるこのふるさと納税、いろいろなことを考えていこうという中で、起業応援もできないかと。地方にいても、今日もピザのお店を皆さんとご一緒させていただきましたけど、本当に素晴らしいお店をなさっておられます。そういう人たちが、いざ起業しようとしたときに、なかなか若いからとか、実績が無いからという理由で起業のスタートアップの資金が得られないとするならば、ふるさと納税をクラウドファンディングのような形にして、その起業する人に特定化した上で寄附していただけるようなやり方で、若い人たちを応援、起業しようと思っている勇気ある人たちの背中を押せるようなことをできないかということを考えています。
 また、今日はやっぱり、竹中町長と思ったことは、そこから先々の移住について。お試しのお家にお住まいになっている、私は岐阜県ですけれども、愛知県の方とお話ししましたけれども、非常に楽しんでおられたし、やはり、いきなりの移住は無理だと思います。1か月なりそこで暮らしてみることで、気候風土から、いろんな精神的に良いかみたいなことも踏まえていただいて次があるということで、いずれにしても、積極的にふるさと納税のこの先々の展開として重要なものとして取組んでいきたいと考えています。
 ただ、最後に町長からも苦言を呈されたわけですけれども、私は就任したときに高市前大臣が出された通知に関して、私が申し上げたことに対して若干取り違えられている地方公共団体もあるということで、私はその通知を、高市前大臣の通知を否定はしてないんですね。通知を出されたことをやっぱり受け止めていただいて、それぞれ首長の見識を持って取組んでいただきたい。つまり、返礼品ありきのふるさと納税ではなく、寄附をいただいた先にどれだけ上士幌町のような成果が上げられるかということが、それぞれの地方公共団体の首長さん達に問われていることだと思います。ですから、私としては、通知というのをやはりしっかりと受け止めていただいた上で、さらなる好事例を勉強していただいて、住民にちゃんと幸せをもたらせるようなふるさと納税システムを生かしていただきたいとうことで、何でも元に、通知が無くなった、通知自体を反故にするという話では決してないということを特にご理解いただければと思います。以上です。

問:
 十勝毎日新聞の川野と申します。
 今回上士幌町を視察されて、上士幌町がさらに地方創生を進めていくうえで、大臣が必要だなと思うことがもしあれば教えてください。
答・野田大臣
 順調に取組んでおられるんですけども、今日特に光ファイバーのことをご要望いただきました。光ファイバー網が無いということで、アクセシビリティが無いということで、テレワーク等、せっかく起業しようと思っても、そういう他の地域との差、落差が出てしまうということも実際に聞きました。自動運転についても熱心に取組まれていまして、総務省が今掲げている5Gっていうのは、光との連動になりますから、そういうこともお話を聞きましたので、その努力に報いるような応援ができればと思っています。

問:
 NHKの宮内です。首長さん達への手紙の内容なんですけれども、返礼品に頼ることなく、上士幌町のように使途を明確化するようなことを盛り込んでいるということでよろしいですか。
答・野田大臣
 まず、それぞれのあり方があるんですけれども、使途を明確化することで効果が早いという。やはりいろいろなことに使いたいわけですよね。やはり一番取組まなければならないのは少子化だと。子どもの環境を第一にということをお決めになって、集中的に集まったお金を使われた結果が、ほとんどが人口を減らしてるなか、上士幌町の人口増は北海道で第4位で、上位3位までは市ですからね、町村では1位なんですね。そういう結果を出されたということを、やはり他の地方公共団体の皆様もしっかりと受け止めていただきたいなと思っております。

問:
 朝日新聞の長崎と申します。
 都道府県のなかで、起業の応援というか、クラウドファンディングを応援する仕組みを考えたいと仰ったと思うんですけども、具体的にふるさと納税、すでにガバメントクラウドファンディングを取組んでいるところもあると思うんですも、そういう取組を応援するための具体策というか、イメージは。
答・野田大臣
 これからちゃんと精査していこうと思っているんですけど、1つは、今は特産物までで寄附者との関係性ができているんですけど、やはりその先のシーズというのかな、何もないところに1人の、例えばあなたが何かをしようと、だけど実績も無い、与信も無ければ、何かしたくてもイニシャルコストが入らない人がたくさんいるわけですよ。そういうところにそれぞれの地方が窓口になってあげて、年齢は関係ないと思います。性別も関係ないと思います。そういうやる気のある人との橋渡しをふるさと納税でできれば、そして、寄附した人からすると、寄附者が、起業された人が頑張って大きく育ってくれれば、本当に寄附した甲斐があるという喜びをもらえる。正直、私の素案、私個人の案は、株はどうかって言ったけれども、今の経済政策の中でそういうことは難しいので、例えば株主優待みたいなのがありますよね。上手くいった時には何かそこで、何かリターンが来るような、そういうものを、今は例えば、上士幌町も十勝ハーブ牛であったりジェラートだったりするけど、また新しい何かをやろうとする人たちにリーチして、それは未来のことになるかもしれないけれども、結果がプラスになれば、そこでまた寄附者にも喜びがもたされるようなものを作っていきたいと思ってます。ただ、設計についてはこれからしっかりと、今言ったように落ち度がないようにしないといけないので。

問:
 総務省として何か自治体を後押しするようなことは。
答・野田大臣
 私たちはふるさと納税という枠を持っているので、その中でできることを。ふるさと納税をいい形で、より多くの人に届くようにするための、もうすでに例えば返礼品じゃなくて、岐阜なんかではお墓を洗うサービスとかがリターンになる場合もあるんですけど、それの延長っていうか、沿革っていうか、全てタブーがないということで、そこまでできないかどうかやってみたいと思っております。

問:
 日本テレビですが、改めてお手紙なんですけれども、どういう内容、思いを込めたお願いのようなものなのでしょうか。
答・野田大臣
 基本的に、前から申し上げているように、ふるさと納税は、地方自治体が主役ですから、そこは変わらない。だから、いわゆる通知のような形で何かご注意申し上げるとかそういうことではなく、むしろこうやって、上士幌町に来させていただいて、良い取組があったということをご存じない地域もあると思うんです。そういう人たちに、こういうことをやると好循環が生まれますよということをお伝えしたいなと思います。

問:
 北海道新聞の平野と申します。
 先ほど、ご発言の中で、返礼品を3割に抑える通知について、否定はされないと仰られていたと思いますが、その通知の取扱いというのは今後どうなっていくのでしょうか。
答・野田大臣
 通知はもう発出されたものですから、そのままそれぞれ地方自治体が受け止めておられるはずですね。私が発言したことを、通知を撤回したと受け止められている地方自治体があるという御指摘がありましたが、それは、そうではないということを申し上げました。

問:
 首長へ出す手紙の中に、返礼品のことは。
答・野田大臣
 いや、そういうことではなく、今回、私たちが見てきましたこの上士幌町のプロジェクトのやり方、あとは、そういうただ返礼品ではなく、つながりを移住とかそういうところに持っていけないかとか、そういう上手に回ったことをお伝えすることで参考にしていただければいいなと思います。

問:
 朝日新聞の上栗です。
 今のお話ですけれども、使途を絞ったほうがいいということがメインだと、使い途を絞るということが大切だということを仰っているのだと思うのですけれども、まず、それでいいのかということと、そうすると、先ほどの起業を支援するというのは、子育てとは違う目的だと思うのですけれども、これは絞る目的は、子育てに限らなくてもいい、他の目的でも良いということを仰っておられるのでしょうか。
答・野田大臣
 たまたま今日はですね、上士幌町にとっての最大の課題は、やはり、人を減らさない、増やしていくことだっていうことで、町長はじめ皆さんのお考えの結果が、それは、少子化に集中的にお金を使うことだっていうことで、それは結果として成功している。それから、起業に関しては、やっぱり、例えば働き方改革で、こういう働き方ができるということで若い人たちを定住させるというやり方もあると思うんです。だから、基本的には、やっぱりそうやって、人がいなくなるのが当たり前に思われている地方で、いやいやそうじゃなくて、そこに誰が来ても、働いてそれなりの収入を得て、暮らしができるようなことをするっていう意味では、上士幌町の場合は、こども園の無料化とか、そういうことに取組んでいるわけですけれども、逆に若い人たちが、この地域にくると、そのイニシャルコストがふるさと納税なんかで活用できるかもしれないっていうのも1つ、若い人たちを流入させる理由になると思うんですね。上士幌町のやり方も優等生です。だけど、それだけをするっていうことではなく、色んなやり方の中に、働き方改革、テレワークを使って起業して、それは別に都市じゃなくてもいいわけです。そういったことがPRできるような、やっていただける後押しができればと思っています。

問:
 上士幌町の他にも優良な自治体もあると思うんですけれども、そういったところに対して、手紙以外に何か。
答・野田大臣
 あの、極力、皆さんもお感じになったと思うんですけれども、実際こうやって現場に出向いて、様々な取組をこれからも時間の許す限り続けたいと思ってます。

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