総務省トップ > 広報・報道 > 大臣会見・発言等 > 野田総務大臣予算折衝・地方財政対策関係記者会見の概要(平成29年12月18日)

会見発言記事

野田総務大臣予算折衝・地方財政対策関係記者会見の概要

平成29年12月18日

冒頭発言

【30年度地方財政に係る大臣折衝状況】

 先ほど、財務大臣と地方財政対策について折衝し、合意をいたしました。その内容についてお話しします。
 平成30年度の地方財政対策は、概算要求時点で、地方交付税は0.4兆円の減、臨時財政対策債は0.5兆円の増となり、大変厳しい状況からのスタートとなりました。
 また、地方団体の基金の増加についても、財政制度等審議会や経済財政諮問会議等において、様々な議論もございました。


【一般財源総額の確保】

 こうした中、平成30年度の一般財源総額については、地方団体が子ども・子育て支援や地方創生等の重要課題に取組みつつ、安定的な財政運営を行うことができるよう、前年度を上回る62.1兆円程度を確保することといたしました。


【交付税総額の確保と臨時財政対策債の抑制】

 また、できる限り「地方交付税を確保」するとともに、「臨時財政対策債を抑制」するため、精算額の繰り延べ、機構(地方公共団体金融機構)の準備金のさらなる活用など、様々な工夫を行うことにより、地方交付税については、16.0兆円程度を確保しつつ、臨時財政対策債については、前年度から0.1兆円の減に抑制することができました。


【公共施設等の老朽化対策】

 地方財政計画の歳出については、将来の財政面での不安を背景に、公共施設等の老朽化対策に備えた基金の積立が増加していることを踏まえ、公共施設等の老朽化対策に関して、対象事業を追加するなど内容を拡充した上で、事業費を0.1兆円増額することといたしました。


【歳出特別枠の廃止及び必要な歳出の確保】

 一方、公共施設等の老朽化対策や、社会保障関係の地方単独事業費の増に対応した歳出を0.2兆円確保した上で、歳出特別枠、これは平成29年度0.2兆円について、危機対応モードから平時モードへの切替えを進めるため、廃止をいたしました。


【まとめ】

 このように、平成30年度地方財政は、地方が自由に使える一般財源総額をしっかりと確保した上で、地方交付税の総額を確保するとともに、臨時財政対策債を前年度比マイナスに抑制しております。
 地方団体におかれては、今回の地方財政対策を踏まえ、様々な地域の課題に積極的に対応していただくことを期待しております。


【地方の基金】

 なお、基金の増加については、今回の地方財政対策において、基金の残高の増加を理由として地方交付税等を削減するといったことは行っておりません。
 今回の基金の調査結果を踏まえて、
・ 財政面での将来不安の要因となっている臨時財政対策債の抑制、
・ 偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築、
・ 公共施設の老朽化対策などを適切に行うことができる環境の整備
に努めてまいります。


【予算重要項目】

 あわせて、地方財政対策以外の予算重要項目についての折衝を行いました。
 IoTの普及や、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、サイバーセキュリティの確保は必須です。
 昨今、特にIoT機器の普及に伴い、IoT機器を狙ったサイバー攻撃が急増していることから、早急に対策を実施するため、「IoTセキュリティ総合対策の推進」事業について6億円を確保し、その実現への大きな道筋をつけることができました。
 また、サイバーセキュリティの確保を担う人材の育成は、着実に取組む必要があるため、
・ 国の行政機関、地方公共団体などを対象とした実践的サイバー防御演習の強化、
・ 東京大会の適切な運営に向けた演習の実施、
・ 若手セキュリティエンジニアの育成に取組む「ナショナルサイバートレーニングセンターの構築」、この事業について、15.1億円を確保いたしまして、その着実な実施にしっかりとした道筋をつけることができたところです。
 なお、現段階においては、予算の編成作業にあわせて計数整理中でありまして、詳細については、22日に予定されている政府予算案の閣議決定後に事務方から説明させます。

 私の方からの報告は、以上です。

質疑応答

一般財源同水準ルールが切れる平成31年度以降の取組

問:
 今、御説明ありましたとおり、この大臣折衝を経て、平成30年度の一般財源総額も正式に維持されることに決まりました。ただ、現在のところ、平成31年以降の一般財源の扱いは決まっていません。いわゆる一般財源を確保するというルールも保証されていない状況ですけれども、今後、地方の財源確保に向けてどのように取組んでいかれるか、どのような姿勢でやられていかれるかお聞かせください。
答:
 平成31年度以降については、当然しっかり検討されていくわけですけれども、いずれにしても30年度と31年度は大きく違うわけではなく、来年度、しっかり予算を確保させていただいたんですけれども、当然、今後も地方においては、安定的な財政運営をしていただくよう、また、一般財源総額の確保が必要でありますから、それに向けてしっかり取組んでいきたいと思っています。


 

基金の現状と分析を踏まえた今後の考え方

問:
 基金の増加を利用とした地方交付税の削減はなかったということですけれども、そうした議論がまだ終わってないのではないかという印象もあるかと思うんですけれども、そもそも地方交付税と基金の議論は、どういった決着を得られたと考えているんでしょう。
答:
 今回、いずれにしても皆さんが御懸念されていた基金の残高が増加していることを理由に、地方交付税等を削減するということは、なかったわけでありますね。
 それを踏まえて、私たちは調査の結果、また、いろいろな議論を踏まえて、次の3点が重要だと考えています。
 1点目は、財政面での地方の将来不安を取り除くこと。
 今回、やはり大きな要因になっているのが臨時財政対策債。これは概算要求段階でも0.5兆円の増になっていましたが、これをしっかり0.1兆円の減にもっていくことができました。
 そして、2点目は、不交付団体の基金の増加が全体の3分の1を占めています。引き続き、偏在性が小さくて安定的な税収の地方税体系の構築が、必要ということはよく分かりました。
 与党の税制改正大綱においては、地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置について検討し、平成31年度税制改正において結論を得るとされており、これに向けてしっかり検討してまいります。
 3点目は、基金を見ると将来への不安を背景に、公共施設等の老朽化対策に備えた積立が増加していることへの対応をしていかなきゃいけないということで、今回は公共施設等の老朽化対策について、対象事業を追加するなどして内容を拡充して、そして、事業費を増額することとしたわけです。
 いずれにしても、この3つをしっかりこれからも推進してまいりたいと思っています。


 

地方消費税の清算基準の見直しによる地方交付税への影響

問:
 地方消費税の見直しが、税制改正で決定されましたけれども、交付税に与える影響というものが、あったかどうかお伺いします。
答:
 地方消費税の清算基準の見直しというのは、昨年度の税制改正大綱に沿ったもので、これは適切な税収帰属を図るために行いました。
 これによって、結果として交付団体において税収が増加すると0.1兆円ですけれども見込まれることから、財源不足が縮小して、地方交付税と臨時財政対策債がそれぞれ約500億円ずつ減少することとなります。
 いずれにしても、今回の見直しは適切な税収帰属を図るために行ったものでありまして、地方交付税等の減収は結果として生じているものです。
 これまでもいろいろ同様の対応をしているところです。


 

地方税収の上振れ時の地方交付税への反映

問:
 地方交付税についてお尋ねしたいんですが、地方税収の上振れがあった場合に、地方交付税の総額に反映させるべきだという考え方が、財務省の審議会だったり、あるいは経済財政諮問会議で出ていると思うんですが、これについて今日、大臣折衝で話は出たんでしょうか。
答:
 ございません。なかったです。


 
問:
 改めて、財務省としては、それを導入したいという考え方があるやに聞いているんですが、これについての大臣のお考えはいかがですか。
答:
 私は、財務省から直接その話を聞いておりませんけれども、何度も申し上げるように、安定的な地方の財源を確保するために何をするべきかということで、総務省としては今回のような結果を出したということを踏まえていただければいいかと思います。


 
問:
 ほかに質問はありますでしょうか。では、ありがとうございました。
答:
 はい。


 

ページトップへ戻る