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会見発言記事

野田総務大臣閣議後記者会見の概要

平成30年1月5日

冒頭発言


 新年明けましておめでとうございます。今年1年、またどうぞよろしくお願いいたします。
 今日は、私の方から1件報告をさせていただきます。

【フィリピン訪問】

 1月9日(火)から1月11日(木)まで、フィリピンを訪問いたします。
 まず、昨年12月に発生したフィリピン南部における台風被害、ダバオ市のショッピングモールにおける火災により犠牲になった方々に対し、心からお悔やみを申し上げるとともに、1日も早い復旧・復興をお祈りいたします。
 さて、昨年10月の日フィリピン首脳会談を受けて発出されました「日フィリピン共同声明」では、ICT分野の協力として、「国家ブロードバンド計画」「地上デジタル放送」の協力が挙げられています。
 これらの協力を着実に実施していくため、ドゥテルテ大統領を表敬訪問し、ICT分野の総合的な協力方策を提案する予定であります。
 この提案により、すべてのフィリピン国民の社会・経済活動の基盤となる、ブロードバンド網及び地上デジタル放送といったICTインフラ整備に協力します。
 また、フィリピンは、ASEANで唯一、地上デジタル放送日本方式を採用いただいている国です。
 今般、我が国企業がフィリピン国営放送局に納入したデジタル送信機により、マニラ首都圏及び周辺地域で本格的な地上デジタル放送が開始されます。
 これを記念して開催される地上デジタル放送開始式典に出席し、これまでの日本の貢献及び今後の協力についてアピールをする予定です。
 今回の訪問を通じて、日フィリピン両国の協力関係をさらに発展させ、ICT分野全体の協力を一層推進することで、日本企業の海外展開を後押しするとともに、フィリピンの社会的課題の解決及び経済成長に貢献してまいりたいと思います。
 詳細は、後ほど事務方から説明させていただきます。
 なお、私は、女性活躍や働き方改革を推進しております。その一環として、今回の出張では、私自身も公私の別をしっかりと確保しながら、配偶者及び長男を帯同させる予定です。
 私の長男には、ご存じの方もおありですけれども、重度の障碍がございます。就寝中の夜間を含め、随時のケアが必要な状況であります。今回の出張期間中、配偶者にのみ、このケアを強いることについて、自らが親としての役割を果たせなくなる恐れがあるため、今回は家族帯同で出張することとしました。
 今回の出張が1つのモデルとして、同様の悩みを抱える方々の参考となることを願っています。

 私の方からは、以上です。

質疑応答

フィリピンドゥテルテ大統領との対談

問:
 冒頭御発言にありましたフィリピン訪問に関しまして、2つお尋ねします。
 1つは、情報通信分野に関しまして、ドゥテルテ大統領との表敬訪問でどのような成果を目指すのかお聞かせいただきたいのと、もう1つ、総務省の所管外ではあるんですけれども、先月、首都マニラにおきまして、従軍慰安婦問題を象徴するような像が建てられたとのことですけれども、これに関しまして、大統領に直接何かメッセージを伝えるお考えはありますでしょうか。
 以上、2つお願いします。
答:
 今回ドゥテルテ大統領への表敬は、ICT分野における総合的な協力方策について重点的にお話をしたいと思っています。
 繰り返しになってしまいますけれども、安倍総理とドゥテルテ大統領の間で合意された「日フィリピン共同声明」に基づくICT分野の協力について、今回の訪問をきっかけとして、着実に実施をしていくために提案をさせていただくということになります。
 今回の訪問では、また繰り返しになりますけれども、ASEAN唯一の地上デジタル放送日本方式の採用国ということを活かしつつ、両国の戦略的パートナーシップのさらなる強化に向けて貢献をしたいと考えています。
 2点目の件につきましては、私は、我が国政府の立場と相容れない、極めて残念なことだと考えています。
ただ、現在は外務省を通じて既にフィリピン政府に申し入れが行われていると聞いておりますし、外務省がフィリピン政府とよく相談して対応しているということを承知しているところです。
 以上です。

フィリピン出張中の公私の区別

問:
 今、冒頭でお話になった御家族の帯同についてなんですけれども、全面的に賛成であることは前提とした上で、公私の別をつけるという点についてですけれども、具体的にどのような点が懸念され、どのような点で区別をしたいとお考えなのか、もう少し具体的なことを教えていただけませんでしょうか。
答:
 分かりました。まず、配偶者及び長男の渡航費用については、一切公費負担はしておりません。また、外務省への便宜供与を依頼していません。プラス、長男のケアで家族と同室に宿泊するため、夜の人工呼吸器の調整等々ありまして、それについて私の宿泊費用は私自身が負担いたします。公費は一切受け取りません。
 出張中、これは日本でも同じなんですけど、業務開始から終了までは家族とは接触いたしません。そして、国内勤務と同じように、仕事が終わった段階では、業務時間外ということに限り、家族の、息子のケアをさせていただくということにさせていただきました。

NHK受信料着服事案に対する考え及び検討会への影響

問:
 年末にNHKの受信料着服問題で行政指導がありました。大臣の受け止めと、今後、受信料徴収や、あるいは放送を巡る諸課題検討会での取りまとめへの影響について、どのようにお考えかお聞かせください。
答:
 この場でも何回か不祥事についての問いがあって、答えさせていただきましたけれども、今回も、NHKに対して不祥事の再発防止に向け、ガバナンスの強化、コンプライアンスの徹底を要請してきたところ、このような事態が発生したことは、まさに国民・視聴者の信頼を著しく失うことになります。誠に残念でなりません。
 NHKにおいては、何度も繰り返しになりますけれども、しっかりと、このような事態が今後発生しないように、徹底して再発防止に取組んでいただきたいと思います。
 諸課題検(「放送を巡る諸課題に関する検討会」)については、NHKのガバナンスの在り方も含め、NHK改革の方向性について、引き続き丁寧に議論していただけるものだと思っています。

フィリピンの慰安婦像設置に対する言及

問:
 先ほど出ましたフィリピンのマニラの慰安婦像の件でお尋ねしたいんですけれども、念のため確認なんですけれども、大統領を表敬訪問された場合、大臣の方からこの問題について言及されるお考えなのか。それと、慰安婦の像の撤去、あるいは遺憾の意を表明するお考えがあるのかどうか、そこをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
答:
 先ほどの繰り返しになってしまいますけれども、今回、総務大臣としてICT分野における、とりわけデジタル放送について、ドゥテルテ大統領と議論させていただく中で、安倍総理とのお約束を具体的に進めていく第一歩にしていきたいなと思っています。
 慰安婦像については、私自身さっき申し上げたように大変遺憾であります。しかし、今現在は外務省が取組んでいる最中でありますので、調整を重ねて、その時のタイミングによって対応を検討したいと思っています。
 今現在は、ニュートラルで、私自身の気持ちは、総務大臣として行く出張に関して、官邸のいろいろなリクエストもありましょうし、しっかり調整してからお答えさせていただければと思います。

「特別徴収税額決定通知書」の取扱い方の転換に対する見解

問:
 マイナンバー制度のことでお伺いします。実は一部報道にございまして、昨年の末、市町村から各企業の社員の方に住民税を知らせる「特別徴収税額決定通知書」、それをやっておりましたが、これ、いろいろ不評でございまして、方針転換して当面はマイナンバーの通知、これについては取りやめるということ。これ、市町村税課の方からも実は取材をしておりますが、これについては企業が、どんな企業か分からない、全部の、要するにサラリーマン全部対象になるので、いろんな企業があって、機密もあって、いろいろ、漏洩の心配というか、それから、非常に負担が大きい、企業にとって。これは、いろんな団体、特に経団連も含めて、これはやめていただきたいという要望があって、当面はやめることになってございます。一種の綻びというふうにも見えなくもないんですけれども、これについて大臣自身はどのように、どうしてこれをやらなければならなかったかなと振り返りまして、そのへんの受け止め方を御説明いただければと思っています。よろしくお願いします。
答:
 実はですね、もう御説明にあったとおり、特別徴収税額決定通知書、これにマイナンバーを記載して、事業者と市区町村の間で税額に関して、基本的には、公平・公正な課税や事務効率化に資するということが大前提だと考えられているわけですが、今年度、マイナンバーを記載した初めての通知が行われましたけれども、その時に経済界から、書面、紙による通知においては漏洩リスクが高かったり、誤送信といろいろなことが発生するので見直してほしいという要請があったわけです。それと同じようなことが、市区町村からも要請があったと聞いています。
 この要請を踏まえて、与党税制改正大綱において、平成30年度分の通知書からは、電子送付を行う場合には、引き続きマイナンバーを記載していただくわけですけれども、そういうトラブルが発生しがちな書面、紙の方については、当面マイナンバーを記載しないでリスクヘッジという形を取ろうということになったということになります。

問:
 これに続いて、話が長くならないように質問しますが、国民の中にいろんな声がございまして、何回も聞いてますけれども、最終的にはすべての、預貯金も含めて、すべての資産が丸裸にされてしまうと。特に生活保護ぎりぎりの方とか、支援を受けれるか、受けれないか、低所得の方に対しては、これを完璧にやってしまうと非常に息苦しいことになってしまう。そういう面もあるし、監視社会を強めていくようなことになると御指摘の識者の方もございます。これについての、改めて考え方をお伺いしたいと思います。
答:
 様々な捉え方や、思いや不安があることは承知しています。まだ、マイナンバー制度自体十分ご理解いただけておりませんし、マイナンバーカードの普及もバトンを受けた段階では10%満たなかったという実態もあり、大切なことは、物事にはメリット・デメリットというのがあって、極力デメリットを排しつつ、メリットを提供していかなければならないのですが、まだまだ、国民、消費者にうんと頷いていただけるようなメリットが発出されていないとするならば、そこをしっかり捉えて、マイナンバーカードというのがいかに自分の生活の利便向上につながるかというものを積み重ねていかなければならないなということは、昨年来、痛感しているところであり、今年も引き続きそれはどんどん積み上げができるよう、皆さん方からもアイデアをいただきながら、貪欲に取組んでいければと思っています。

問:
 ほかになければ。よろしいでしょうか。
答:
 では、今年もよろしくお願いします。

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