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会見発言記事

原口総務大臣閣議後記者会見の概要

平成22年4月9日

冒頭発言

 おはようございます。お待たせいたしました。閣議後の記者会見を行わせていただきます。私の方から数点。
 まずは、夕張市の視察でございます。4月17日、来週土曜日に北海道夕張市を視察することに決定しました。夕張市は、先月策定した財政再生計画に沿って、財政の再生と地域の再生の両立を目指し、新たな船出を迎えられたところでございます。この場を借りて、改めて、市民の皆さん、そして市長、あるいは市議会はじめ北海道、この関係の皆さんの、大変な、この御努力に敬意を表したいと思います。私もこの計画に同意した者として、閣僚懇談会でも、内閣全体に、夕張市を支えることを要請したところでございますけれども、夕張市の再生を願う者として、是非とも直接夕張市の皆さんを激励させていただくとともに、直接現地を見てお話をよく伺うことで、現在市が抱えている課題をしっかり把握してまいりたいと考えています。今回は特に、統合される小・中学校、それから集約化を予定している市営住宅、地域医療の要である夕張医療センター、夕張市の代表的な特産品である夕張メロンの生産農家などを訪問させていただくことにしています。詳細については、事務方から、後ほど御案内を申し上げます。
 2点目は、昨日の税調。これは私が提案をしました市民公益税制プロジェクトチーム、これの中間報告が出ました。公益を担うというのは、何も官だけではない。新しい公共ということで、NPO、NGOの果たす役割は非常に重大です。これを税制面から支えていこうということで、市民公益税制の在り方について検討プロジェクトを立ち上げて、渡辺副大臣を座長に議論を進めてまいりました。昨日、これはオープンでやりましたから。その一定の結論が出ました。あとは総理の御採決を頂き、そして、秋の税調で結論を得て、そして来年の通常国会、そこで税法を変えるという形で市民公益税制を国民に届けていきたいと、こう考えています。
 3点目は、今日の閣僚懇談会でも問題提起を致しましたが、2011年7月24日、完全デジタル化に向けて、私たちは電波の再編成ということを考えています。現在の電波の状況について、しっかりと精査をするようにと。この中には、例えて言うと、高速道路の中に自転車道が何本もあるのではないか。その結果、世界標準とずれるということになれば、正に日本はまた、競争の基盤を失う、あるいは損なうということになりかねません。したがって、電波がどのような監理をされるべきかということを、政務三役会議でも議論しましたけれども、更に調査を徹底し、そして公正でダイナミックな世界の競争の先頭を行けるような標準的な電波の再編、これを目指してまいりたいと考えています。
 最後ですけれども、昨日の行政刷新会議の中で、私の方から提案させていただきましたのは、今回、事業仕分け第二弾ということをやるわけですけれども、一方で、私たちは国の出先機関の原則廃止ということを地域主権戦略会議でも打ち出しています。この仕事は官でやるべきなのか、民でやるべきなのか。あるいはこの仕事は、中央政府がやるべきなのか、それとも地方自治体。地方自体がやるとすると、県でやるのか、市町村でやるのか。それとも、もっとこの事業を削減、合理化、効率化することができるのではないか。こういう観点から仕分け人の中に地方の代表、あるいは市民公益、NPOの代表を入れるべきだということを提案しました。
 一方で、私たちは国の出先について、事業仕分けの更に上の段階というか、権限仕分けということを地域主権戦略会議で行っていきたいと思っています。4年間で公務員の総人件費の2割を削減する。そして、1.1兆円を出す。今年はまだ、この半年で1,600億円足らずでございますけれども、大変厳しい財政状況、あるいは地方は大変財政努力、再建努力をしているわけでございまして、国としてもしっかりとした財政再建、それから、行政改革の実効性を高めてまいりたい。このように考えています。私の方からは以上です。

質疑応答

市民公益税制

問:
 幹事社の共同通信から1問お願いします。改めてになりますけれども、昨日の政府税調でNPO法人向けの寄附に対する優遇税制の導入方針が了承されました。改めて、改正のねらいと制度設計に向けてどのような課題があるとお考えかをお聞かせください。
  
答:
 新しい公共の担い手となるNPO法人にかかる税制面のねらい、これは、新しい公共をつくる基盤となるものだというふうに考えています。市民公益、つまり税を中央政府に集めて、そして、1回中央に集めたものを地方に分配する、あるいは様々なところに分配するという方式ではなくて、自ら市民が公益の担い手であるNPO、そこへ寄附をし、その税額を控除することによってNPOの活動をしっかりと支える。そして、より多様で、より寛容で、温かな絆の社会をつくる。公益の実践者は、官で考えていることと、民で考えている、あるいは市民公益の部分で考えていることとでは、やはり随分違いがあります。法と執行のルールに基づいてやる、そういうハードな組織である官と、そうではなくて、市民から立ち上がってきたNPOとでは、きめの細かさ、あるいは対応の速さといったことについても違いがあります。お互いに公益を担うものとして、公益を市民化し、自由化して、互いに公共サービスの質を上げる。これが大事だと考えています。
 NPO法人に対して寄附を行った場合に、寄附金額の一定割合を所得税から控除する税額控除制度の導入ということで、昨日の中間報告になったわけです。そこでは、NPO法人の認定の基準の見直し、そして、ではこれはだれが認定するのかと。より近いところで市町村、あるいは都道府県といったところがNPO法人の認定の一義的な、今は国でやっていますね。100件ちょっとだということですけれども、その自由度を更に拡大し、課題としては、具体的な制度設計に向けては、これからまたNPO法人の意見を聴取し、地方公共団体とも協議をすることになっていますけれども、いずれにしても平成23年度税制改正において中間報告で示された方向性を実現する。このように考えています。
 

事業仕分け第二弾

問:
 朝日新聞の伊東です。23日から、先ほど大臣がおっしゃった、独立行政法人に対する事業仕分けが始まります。報道に出ているとおり、総務省関連では情報通信研究機構が対象になる見通しですが、かねてから情報通信政策に非常に力を入れている大臣として、これについて思うことなどがあれば。それから、第二弾が始まるに当たって、何か期待することなどあればお聞かせください。
    
答:
 NICTが対象になっているというか、300の事業のうち、どれが対象になっているか、私はまだ承知をしていないことになっています。仮にNICTが対象であるという仮定の下で言うとすると、昨年も事業仕分け、それから、省内の事業仕分け、直接視察をしました。NICTは世界の新しいICTのリンクを張る、あるいはICTの最前線の大変大事な研究所です。この間もアメリカのFCC、あるいはアジアの情報通信大臣会合、そしてインドとの間のIITH、そして南米。こういったところともリンクを張ってきたわけです。リンクを張ってタスクを前に進めるだけのパワーと予算がなければなりません。しかし、それも事業仕分けという形で仕分けをされてでも、ポジティブな評価を勝ち取れるだけの説明責任、あるいは運用の改善、そして、知的財産をこの1年の間でどれだけ増したか、こういったことも自信を持って言えるというふうに思います。半年前に、私たちも視察をしたときには、NICTにどれぐらい目標を達成したのか、知的財産を幾ら持っているのか、それをどれぐらい増やそうと考えているのかという話をしましたが、言葉は悪いけれども、私たちが思うような答えは出てきませんでした。随分、新政権になって意識も変わり、もともと素晴らしい研究者、世界最高峰の研究者が集まっているところですから、あとは、組織のパフォーマンス、これがしっかりと説明できるということが肝要だと思います。
 それから、今回の事業仕分けに期待することは、今までも刷新会議で事業仕分けをやってきていますけれども、三つです。一つは外部有識者の中により多様な目が入ってくる。先ほど申し上げました、市民公役、それから、地方の代表。これを期待しています。二番目は、事業仕分けというのはどういう立場かというと、政策の理想があって、そして、理念の結実した政策があって、施策があって、あるいは権限、そして事業というものが縦につながっているわけです。私たちが今事業仕分けでやっているのは、正にその政策の効能、費用対効果、あるいは有効性ということについて議論しているわけですけれども、今申し上げたように、政策の理念というのは新政権で出しています。そして、その政策についても出しています。では、それをだけがやるのがいいのか、権限仕分け。ここが権限仕分けですけれども、全体の政策との整合性もきっちり説明できるということを、二番目に期待しています。三番目、これでおしまいですけれども、その結果として、事前の準備の段階から、前回の事業仕分けに私もかかわった者として、もっとこうなればいいというのは、事前の段階から国民の皆さんに加わっていただく。これは官僚をいじめているとか、何か切って切り刻んでいるという話をする方がいますが、全く違っていて、今までは予算の成立プロセスがブラックボックスだった。そのブラックボックスだったものを、国民の皆さんに開いて見ていただこうというのが事業仕分けなのです。ですから今回、事前の準備の段階から、国民の皆さんに丁寧に、丁寧に、見えるように、そして、なぜこの事業が、場合によっては増やすという結論が出ることもあるかも分かりません。NICTについてはそれを期待しているわけですけれども、そうでない場合においてもなぜかということがはっきり国民全体に分かる、見える化ということを期待しています。
 

公道のネーミングライツ

問:
 フリーランスの小川裕夫と申します。よろしくお願いします。公道のネーミングライツについてお伺いしたいのですけれども、ネーミングライツと言いますと、最近、市町村、都道府県などが導入を積極的にされているのですけれども、昨年、静岡県の磐田市が初めて、市道、公道にネーミングライツを導入したということで話題になりまして、お金の取れる施設が地方にはあまりないのですけれども、道路というのは全国市町村どこにでもありまして、そういう意味では、どんな市町村でもお金が取れるようになるのではないかという期待が出たのですけれども、なかなか道路のネーミングライツというのは進まなくて、実は。国土交通省に聞いたら、ネーミングライツを所管する部署がないということで、それはなぜかというと、都道府県、市町村、なかなか道路というのはいろいろな所管、担当部署が違うものだから、国では一括でできないということなのですけれども、今後、市町村の資産活用という面において、例えば原口大臣はどのようにお考えになっているのかということをお伺いしたいです。
    
答:
 今はネーミングライツでしたけど、これはもう実際にプロジェクトを立ち上げています。資産活用ということで、三つぐらい考えています。一つは、市町村あるいは都道府県が積み上げている基金。この中には、ある意味市町村規模に対して膨大なものがあります。これをキャッシュマネジメントの考え方で、起こすにはどうすればいいか。正にストックの活用です。今、ネーミングライツ、それは名前ということで、知的財産、これはどういうものを持っているのかと。文化や、あるいは伝統や、それとも、今、渡辺副大臣を中心に指示をしていますけれども、水道事業。地域には、たくさんおいしい水がある。それを世界展開しよう、外に売っていこうと。こういう資源の高次化、二次化、三次化ですね。これが二つ目。そして三番目は、その結果、人材そのもの、ビジネスモデルであるとか、そういったものの更に高次化。この三つを考えているわけで、ネーミングライツについても、明日、福岡の知事で、知事会の会長の麻生知事ともお話しをしますが、それは財政とか今後の国・地方協議の場での検討項目についてお話をするのですけれども、その中でも積極的にお話を伺ってきたいと、こう考えています。
 

首長新党、献金の返還

問:
 おはようございます。読売新聞の古川です。二つ、違う種類の質問が混じってしまってすみません。まず一つは、大臣のかつての御同僚だった地方自治の首長経験者、市長の方々が新党をつくるという準備をされています。昨日国会でもありましたけれども、総務省顧問になっていらっしゃる方もおりますし、地方自治、地方から国を変えたいという動きが出ていることへの感想をまず伺いたいというのが一つです。それと、もう一つは、大臣が国会で何度もおっしゃっているのですけれども、NTTのアピール21という団体から受けた献金を返還したいという御意向を示されていますが、それは返還されているのかどうかということと、法律上は別に問題のない献金であるのに、なぜ返還しようと考えられたのか。その理由を改めて伺えれば。
  
答:
 まず、後者から。NTT労組の同志で作られている労働組合の政治団体、アピール21に対して、300万円、昨年寄附をされたものを返還いたしました。古川さんがおっしゃるように、この返還の義務はないわけでございます。ただ、私が政治資金収支報告書に誤記があったということを受けて、李下に冠を正さず。この大臣就任前の献金ですから、何の違法性もない。ところがそういう献金で、大臣になるとは分かっていませんから違法性はないのですけれども、政策をゆがめてNTT寄りの政策をするのだというように誤解をされることであっては、それは、これからの情報通信政策、私がやろうとしていること、あるいは国民が目指そうとされていることに支障が出るだろうということで、返還をしたわけです。
 前段の、首長の新党の動きについては、その目的や目指す方向、地域主権を真に目指したいというお話でございますので、他の新党は理念がよく、まだ私はつかみかねていますけれども、首長の皆さんが自らの首長の経験を踏まえながら、国政に対して地域主権ということ実現ということを目指すことについては、正直エールを送りたいと思っています。多くの抵抗が予想されますから、民主党とリンクを張って、あるいはこの政権とリンクを張って、そして、強力に私が掲げている、鳩山総理が強いリーダーシップを発揮されている一丁目一番地の地域主権改革、これを動かす一つの大きなエネルギーになってくださるといいと、このように考えています。
問:
 すみません、大臣。それの関連で、今おっしゃったことだと、例えば新党の方々が参院選で一定の支持を得て議席を持ったりした場合に、今の大臣のお話だと、どういう形かは分かりませんが、連携することはあり得るということですか。
    
答:
 選挙後のことについては何も、それこそ、まだ新党が立ち上がったわけでもないし、それから、新党要件というのもございまして、国会議員5名、あるいは直近の選挙の実績、そういったものもございますので。そのあとについては、今、立ち上がろうとしていることについてどう思うかという御質問でしたから、地域主権ということを進める、その理念を掲げてくださるということであればエールを送りたい。だけど、その結果については、まだコメントするのは早いと思います。
 

電波の再編成

問:
 日経ニューメディアの長谷川と申します。大臣、先ほどお話があった地上放送の完全デジタル化に伴う電波の再編成についてお伺いしたいのですけれども、これはどのような体制で議論をお進めになるのでしょうか。既にタスクフォースですとか、ICTの権利保障フォーラムなど、いろいろな組織がございますけれども、既存の組織で議論されるのか、それとも新たな組織を立ち上げるのか、それとも、政務三役会議なども含め議論を進められるのかということについて。それから、電波の再編成のイメージとして、具体的にどういうものをお持ちかということと、いつごろ議論の結論をお出しになろうとお考えなのか教えてください。
    
答:
 前段の質問でいうと、現在あるICTタスクフォースの中で、しっかりと御議論いただきたいというふうに考えています。特に他省庁にまたがる、例えばタクシーの無線であるとか、そういったものについては他省庁の協力も得なければいけないものでございまして、そういうことからすると、ICTタスクフォースで議論をしていただきながら、政務三役でその結果をしっかりと踏まえて、政府全体としての結論に導いていきたいというふうに思っています。
 それから、電波の再編のイメージですけれども、その中で御議論いただいた結果を、私がそれを実現するということですけれども、今、私がどういうイメージを持っているかと言うと、できるだけ高速道路は広ければ広い方がいい。そしてお互いが、中に自転車道はない方が走りやすいですね。高速道路の真ん中に自転車が走っていたらやはり怖いですよね、自転車で走る人たちも。もっと言うと、これからICTが進んでいくと、使うトラヒックの量が級数的に増えていくと考えています。ということは、より電波が公正で、公平で、そして、みんなに等しくアクセスが自由に行われるということが大事だと。そのために、どういう電波帯域の利用があるのか。それから、世界とずれていると、微妙にその端っこが違っていたり、利用バンドが。そうすると、また日本に帰ってきたときに、あるいは日本から外に出るときに、また別の機械を作らなければいけない。それは二重投資になるでしょうと。できるだけそろえておいた方がいいのではないのかなと。これは今の私の主観です。「いや、そうじゃない」という意見も多分あると思います。その辺を御議論いただきたいと思っています。
問:
 結論はいつごろをお考えですか。
    
答:
 できるだけ早くですね。
 よろしいでしょうか。
問:
 よろしいですか。ありがとうございました。

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