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会見発言記事

片山総務大臣閣議後記者会見の概要

平成22年9月21日

冒頭発言

 おはようございます。今日閣議がありまして、副大臣と、それから大臣政務官の人事が決まりました。総務省にも、お二人の副大臣と、三人の大臣政務官が任命されましたので、私を含めて政務三役でよく相談をしながら、それから、役所の皆さんにも御協力してもらいながら、これからの総務省の行政を進めていきたいと思っております。
 それから、菅総理が外遊されますので、その間、残ったメンバーでしっかりやるようにと。仙谷官房長官を首相代理としてしっかりやるようにという御指示がありました。私の方からは以上です。

質疑応答

給与法改正

問:
 幹事社の日経新聞の林と申します。よろしくお願いします。まず、冒頭幹事社から1問お伺いします。国家公務員の給与改定についてなのですが、秋の臨時国会で給与法改正法案を提出する必要があると思うのですが、どのようなスタンスで臨まれるお考えなのか。週末にですね、少し発言があったようなのですが、人事院勧告以上に給与を抑制する必要があると、現時点でお考えなのかどうか、改めて考えをお聞かせください。
答:
 これは、就任した直後の記者会見でも話があったと思いますが、これまでも政府の中で種々検討されてきたわけですが、ポイントは、二つの考え方があって、それをどういうふうにこれから調整するかということだと思います。一つは、人事院勧告というのは、これは国家公務員の労働基本権を制約しているということの代償措置として、争議権とかもちろんありませんし、労働協約を結ぶ権利も一般職の場合はありませんから、そういう労働基本権を制約されているということの代償措置として人事院があって、そこで中立的に調査をして、官民格差の調査をして、必要があれば国会と政府に、内閣に、勧告をすると。それを基本的には尊重するという、こういう仕組みですよね。これはやはり、一つの重要なポイントだろうと思います。一方、そうは言っても、今、国家の財政というのはこんなに厳しくなっていて、いわば非常時なわけですね。人事院勧告というのは、そういう国家財政が非常に、ちょっときついかもしれませんけれども、破綻すれすれみたいな状態にないことを想定したときの、多分、仕組みでしょうから、非常時になったときにもそのまま平時の仕組みを適用するのは、いささか問題があるのではないか。やはりそれは、勧告は勧告としながらも、俗に言う深掘りということがあってもいいのではないかという意見もあります。ですから、これが、まだ調整できていませんので、これを、新しい内閣の下で早急に相談をして結論を出したいというのが、現時点での基本的な考え方です。

副大臣、大臣政務官の役割

問:
 NHKの太田です。三役が決まったということですけれども、副大臣、大臣政務官ですね、それぞれの役割はどういうふうにされるおつもりでしょうか。
答:
 一応私の中に、頭にはありますけれども、とりあえず、揃って、登庁されてから御相談をしたい。それで、共通の認識に立って、最終的には決めたいと思っております。

人事院勧告

問:
 北海道新聞、中村です。今の人事院勧告についてなのですけれども、先日ですね、人事院勧告の算定方法に若干の見直しの余地があるというような発言がございました。今、深掘りがあってもいいという意見があったのですけれども、この算定方法の見直しによって若干の深掘りができるというような考えをお持ちなのか、それを確認させてください。
答:
 私が申し上げたのはですね、さっき言いましたように、労働基本権を制約している。それに対する代償措置として人事院勧告制度があるということですが、その人事院勧告の仕組みというのは、現在人事院がやっている調査の形態、これが唯一絶対では必ずしもないということなのですね。官民格差を調査するときに、民間の企業というのは、例えば50人以上の企業の従業員の給与ということになっていますけれども、それが本当にいいのかどうか。これは相対的なもの、一種の決めごとですよね。ですから、そういう基準を見直すということもあり得るのではないか。そうすると、多分違った答えが出てきますから、ということを申し上げたのですね。今年、それが急にできるとは思いませんけれども、もう既存の制度、仕組みを前提にして調査結果を出していますから、少し、やるにしても来年度以降のことですけれども、いずれにしても、今やっている仕組みが、これしかないのだということではないと。もっと柔軟に考える余地があるのですということです。
問:
 フリーランスの上出と申します。今のに関連しまして、人事院勧告の問題。これは、インターナショナル、世界を見ても、日本は遅れていると。公務員の基本権が無いと。これは日本の労働環境、派遣切りとか、ワーキングプアとか、そういう問題とも実際にはつながる、不当労働行為が随分行われたりですね。そういう問題ともつながる問題だと思うのですが、その辺との関連で、片山大臣は何かお考えがございますでしょうか。単なる公務員の人事院の勧告ではないと思うのですが。
答:
 人事院の勧告の対象というのは、一般職の公務員なのですね。ですから、いわゆる非正規の職員も、今、かなりおりますけれども、それは人事院勧告の対象ではないわけですよね。昔はですね、ほとんど正規職員だったのです。これ地方公務員もそうですけれども。ですから、人事院の勧告とか、地方公務員の場合の人事委員会の勧告というのは、カバーする領域というのが非常に広かったわけですね。最近は特に、例えば地方公務員なんかを見てみますと、相当非正規の職員が、ウエイトが高くなっていまして、すべて役所の中で働いている職員の中で、地方ですから、人事委員会の勧告によってカバーされる領域というのは、かなり狭まっているのですね。だから、そういう面で、今の、人事院とか人事委員会の勧告制度というのが、一つの見直しの要請があるということは、もうそれは言えるのだろうと思います。ですから、今私が申し上げたような観点での勧告制度の見直しというのは、一つの検討課題だと思いますね。
問:
 共同通信の佐野と申します。人事院勧告についてなのですけれども、仮に今年ですね、今年度の勧告について深掘りをするとなった場合に何が必要になるのかと。例えば、組合の納得を得るですとか、あるいは労働基本権を付与することを約束するであるとか、その辺の大臣のお考えを教えていただけますか。
答:
 今のような問題も含めて、これから検討していくということです。もちろん、給与は法定主義ですから、国会で通れば何でもできるということはあるのですけどね。それはそうは言っても、労働基本権を制約している代償措置としての制度ですから、それを、もし深掘りするとか、変えるという話になりましたら、それは当然話し合いということはしなければいけないでしょうね。そんなことも含めて、これから政府内で検討していきたいと思います。

副大臣、大臣政務官の人事

問:
 テレビ朝日の山根と申します。副大臣、大臣政務官の人事についてなのですが、大臣、党の方ではないので、質問が難しくなるかもしれませんけれども、いわゆる今回の人事で、小沢グループへの配慮があったというふうな記事も出ていますけれども、この件に関して大臣は、今後、民主党政権が政治主導ということを実現していくために標榜している、これを実現していくために的確な人事であったかどうか、その辺の感想も含めてお伺いできればと思うのですが。
答:
 私は、幸か不幸か民間出身で、民主党所属の議員ということではありませんのでね、そういう民主党内のお家の事情というのは、私にはよく分かりません。いずれにしても、私は総務大臣を拝命して、今般、政府から、内閣から、副大臣と大臣政務官が任命されて、そのかたがたと本当に手を合わせて一生懸命やるというのが私の仕事であります。人事にとやかく言うこともありませんし、そのまま受け入れて、本当に一生懸命みんなでやっていきたいと思っています。自分がやる人事については、いろいろ意見を反映させるということはありますけれどもね。

阿久根市問題

問:
 西日本新聞の山本と申します。個別の件で申し訳ないのですが、鹿児島県阿久根市の市長が専決処分を繰り返して、こういう騒動に発展しているのですが、こういった事態を率直にどう見ていらっしゃるのか。感想でも結構ですので、お願いします。
答:
 二元代表制をとっている我が国の自治体の仕組みの中の、一つのひずみだろうと思いますね。いろいろ、ああなる前にいろいろなやり方があったと思います。もちろん市長の方が議会を招集しないというのは違法ですから、違法な行為をしてはいけないという、これは大前提ですね。一方、議会の方も、市長がそういう違法なこと、すなわち、招集しないということをした場合に、もっと対抗手段があったのだろうと思うのですけれどもね。失礼ながら、なすすべが無かったかのごとき印象を受けていますけれども、もっと必要な対抗措置はあったのだろうと思います。
問:
 今、違法という言葉をおっしゃったのですが、竹原市長が議会を招集せずにやった専決処分の、副市長の選任処分であるとか、あれは全部違法だという御認識ですか。
答:
 専決処分というのはですね、厳格に要件が決まっているのですね。実際には、多くの自治体でちょっとルーズな運営をしている面はあるのです。例えば税条例なんかを、専決要件を満たしていないのに、専決しているなんていうことがあるのですね。実はそういうところは見直さなければいけないのですよ。専決処分というのは、どんなときにできるのかというと、例えば災害があって、直ちに応急措置をしなければいけない。予算が要りますよね。ところが、招集してもなかなか集まりにくい、大災害で。したがって、必要な予算を専決処分で決めてしまうという、こういうのは許されるのですよ。それから、議会を招集しても全然集まらない、議員さんが、何らかの事情で、というときも、しようがないから専決処分というのがあるのですね。それから後は、例えば、議会を開いて、つつがなく開いているのだけれども、議案を提案するのだけれども、全くたなざらしにして、うんともすんとも言ってくれない。可決も否決も修正もしない。これはしようがないから専決しましょうと。そういうように、要件が決まっているのです。限定されているのですね。普通はあまりないのですよ、そういうのが満たされる局面というのは。ところが、実際には税条例なんかを、法律が、3月に地方税法が改正されると、4月から適用しなければいけないから、本当は議会を開催して、1日でもいいから議会を開催すればいいのに、はしょって専決処分しているケースがあるのです。私が知事をやった鳥取県なんかも、やめまして、全部議会で議決しましたけれどもね。一部にそういうルーズなところがあるのです。それはそれとして、阿久根市の今回のケースが、さっき私が言った専決処分の厳格な要件を満たすかというと、満たしていないのですよね。そもそも招集していないのですから。招集して集まらないのなら専決処分できるけれども、招集行為をしていないのだから違法なのですよ。だから、その違法な状態で行った専決処分というのは、根っこから違法なのですよね。と、私は、これは総務大臣としてというよりも、一人の地方自治法に関心の深い者としてはそう思いますね。
問:
 共同通信の藤田です。今の関連でですね、そもそも今の地方自治法に沿ってなくて、議会の求めにもかかわらず議会を招集しないということが1点と、招集しない中で行われた一連の専決処分というのは、すべて違法であるということは分かったのですけれども、そうしますと、今回の件を踏まえてですね、何か、地方自治法を改正しなければいけないのではないか。つまり、議会に、現在は首長にだけある議会の招集権を議会側にも認めるとかですね、そういった地方自治法は違法なのだから、明らかに。特に地方自治法、このケースを踏まえて変えるという必要性はないという認識でしょうか。それとも、これ見直しも考えた方がいいということですか。
答:
 さっき言いましたように、例えば、現行法の枠組みの中でも、議会はそれなりに対抗するすべは、幾つかはあると思うのです。例えば、今の仕組みというのは、市長は本当は招集しなければいけない。だけど招集しないというときに、議会側から招集してくれということは要請できるのですよね。その段階で、また市長は本当は招集しなければいけない、要請があれば。ところが、それもしないということですから、議会としては、例えば、法律にはないのですけれども、緊急避難的というか、正当防衛というか、緊急避難になるのでしょうか。自分達で集まると。自己招集をするという、そういうことだって本当はあり得るのです。だって、ほかにすべがないのですからね。そうすると、その議会の正当性というのは、後で問われるかもしれない。司法の場で争われるかもしれないけれども、多分今回のようなケースだったら、そういう自分たちで集まった議会というのは、正当性有りというふうに、司法の場では認定されると、私なんかは思うのですけれどもね。そういうやり方はあったと思います。それから、ばんばん専決処分したことによって利益を害された人がいますから、例えば報酬が減らされるとか、そういう人は、裁判をすれば、その専決処分による条例改正というのは無効なものであると、違法なものであるということが、多分認定されたと思いますから。最後は司法の場で決着を付けるということを考えればですね、いろいろなやり方があったと思います。ただ、しょっちゅう司法、司法というわけにもいきませんから、そうすると、今回の教訓は、議会というものを、市長が招集しなければ動けないという事態ができましたから、そうすると、議会の方で自主的に招集するということはあってしかるべしという議論に、当然なるでしょうね。実は、これはもう第29次地方制度調査会で大いに議論になりまして、そのときに、かなりの委員からは、議会にも招集権、議長と言いますか、議会側に招集権を付与すべきだと。今、首長が専権していますけれども、これを議長側が持ってもいいのではないかという意見はありました。私もそれに与する一人でしたけれども、結果的に、法律改正まで至りませんでしたけどね。一つの課題だと思います。
問:
 議長、あるいは議会側に、独自の招集権を与えることも議論されるべきというお考え。
答:
 もう今回の事件から得られる教訓の一つとしては、いわゆる議会側が招集権を持つというのは、一つの解決方法だろうと思いますね。
問:
 確認なのですけれども、竹原市長が議会を開かずに行った専決処分はすべて違法であり、ということは、それはすべて無効だというお考えでよろしいですか。
答:
 専決処分の要件に該当していないですからね。
問:
 副市長の選任なんかも、すべて無効なのですね。
答:
 無効です。そこから先どうされるかは、それぞれ当事者たちがどういう行動をとっておられるかですよね。私の印象では、一見有効であるかのごとく受け止めて、市長が招集した議会の中で専決処分を承認するかしないかという作業をされているようですから、そこで議会側が、恐らく一見有効であるということを前提にして、行動されたのかなという印象も受けているのですけどね。その辺になると、私も当事者ではありませんから、微細にわたっては申し上げられませんけれども、専決処分というのは要件に該当したときにに初めて行うことができる。要件が満たされて、正当に行われた専決処分の効力を次の議会で承認するか、それとも承認しないか。専決処分を承認するか、承認しないか。正当に行われた専決処分ならば、承認されれば何も問題はないし、承認されなくても効力に代わりはないというのが地方自治法の仕組みなのですね。もともとのっけから無効のものを承認する、承認しないということ自体、ないのではないかと。これも、地方自治法に関心の深い者としては、そう思っていましたけれどもね。
問:
 それでは、よろしいでしょうか。では、会見を終わります。
答:
 ありがとうございました。

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