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会見発言記事

片山総務大臣閣議後記者会見の概要

平成22年11月24日

冒頭発言

 おはようございます。今日閣議がありまして、その閣議の中で総理から、一括交付金化と地方出先機関改革について発言がありました。一括交付金化については、先般の地方六団体との事実上の協議の場で、その骨格をお示ししたところでありますけれども、その方針に基づいて、各府省が具体的な作業をして、今月末までにはその内容を固めたいと。担当大臣とよく、各関係大臣は協力しながら、この話をまとめてもらいたいという御指示がありました。私の方からも同様のお話を関係閣僚に申し上げて、方針に従って取りまとめをお願いしたいということをお願いしました。併せて、地方出先機関改革についても、これはアクションプランを作成するということにしていますから、それに向けてこれからよく協議をしていきたいと、協力をお願いしたいということを申し上げました。あと幾つかありましたけれども、おおむね以上であります。

質疑応答

北朝鮮の砲撃(1)

問:
 幹事社の朝日新聞から2点お尋ねします。1点目は、北朝鮮の韓国砲撃についてですが、昨日の関係閣僚会議での御議論も踏まえて、今後日本はどういうふうに対応すべきか、国際社会の要請など、特に大臣は知事時代に、韓国との交流を積極的にされたと伺っていますので、個人的な御見解もおありだと思うので、その辺りをお聞かせください。
答:
 はい。昨日の事態を受けて、関係閣僚が8時半過ぎだったと思いますが、集まって、緊急に会議を開きました。その場で、総理からも幾つか指示がありました。それは、よく情報収集することとか、それから、関係各府省が一体となって国民の安全を守る、安全の体制を敷いてほしいということでありました。さらには、政府の方針としては、今回の事態はやはり北朝鮮側に問題有りということで、北朝鮮を強く非難をするということ。韓国の立場を支持するということでありまして、こういうことを昨日の会議で決めた次第であります。私はその方針でいいと思います。

法務大臣の辞任

問:
 2点目に、柳田法務大臣の辞任についてなのですが、この問題を受けて各社の世論調査でも菅内閣支持率が下降気味でありまして、レームダックと評するメディアもあります。改めて国民の支持を回復するために、閣僚の一人として何をどうすべきとお考えか、なるべく具体的にお聞かせください。
答:
 この間ですね、例えば、尖閣問題でありますとか、ビデオの問題とか、それから加えて、政治とカネの問題とか、それから、法相の発言とかもありまして、それが国民の皆さんの支持を低下させたということは、やはり否めないだろうと思います。それとは別に、内政について、例えば、私の所管などもそうですし、他の分野でもですね、それぞれの閣僚、各府省が一生懸命仕事をしておりまして、その点については、本来は冷静に見ていただければ評価していただけるのではないかと、私なりに自負しております。ですから、柳田さんの問題は、柳田さんの問題だけにとどめず、閣僚みんな、よく、戒めとして、自戒しなければいけません。それはそれとしながら、それぞれの職責を全うすることによって、いずれ国民の皆さんの理解を得られるのではないかと私は思っています。特に民主党政権をつくったときの原点を忘れないようにしながら、仕事をするということが大事ではないかと私は思います。私はもちろん途中から加わりましたけれども、民主党政権の掲げていた理念とか、それから、基本的な方向というのは私も共感するところが多いものですから、であるがゆえにこの政権に加わらせていただいたわけですから、私自身の担当の分野についても、民主党の打ち出していた政策の原点をいつも忘れないように、もちろん直ちにすぐ全部できるというわけではありませんけれども、原点を忘れないようにしながら、一歩一歩仕事を進めていきたいと思います。そういうことが、多少時間はかかっても評価されるのではないかと思っております。

地域主権改革(1)

問:
 北海道新聞の中村です。冒頭大臣から御発言ありました一括交付金化と出先機関改革について伺います。国と地方の協議の場では、一括交付金化の骨格、2年間に1兆円というのが示されました。しかし、これ投資分野の分の3分の1程度で、かつ、また投資分野に限られており、これが本当に自由度、大臣が当初求められた地方の自由度を高めるということにつながるというふうに考えていらっしゃるのか。また、地方六団体がその後の会見でですね、全体像が見えないということを、非常に戸惑いをお話されていました。残りの部分についてはどのようなお考えでいらっしゃるのかということを、まずお願いします。
答:
 自由度は高まるのですかということですけれども、自由度を高めるためにやる改革でして、自由度が高まらないならやめた方がいいです。やらない方がいいです。自由度を高めるためにやるということですから。そこは、恐らく自治体の方からすれば、本当にそうなるのだろうかという懸念があるかもしれませんけれども、自由度を高めるためにやるのですから、そこは信じてもらうしかないですね。それから、全体像は、これ、マニフェストと言いますか、当初の基本的な方針も段階的にということをうたっていると思いますので、段階的にの第一歩です。今全部、全貌を決めているわけではありません。段階的にですから。だから、まずやってみて、投資的経費のうち、2年間で1兆円程度やってみて、それで、改良の余地もあるでしょうし、それから、こんなことならやめた方がいいというのが出てこないと思いますけれど、万が一出てくるかもしれないし、それから、やってみたら、ああ、これはいいからもっとやろうということになるかもしれないし、だから、まず段階的には第一歩でやってみて、そこから先を決めましょうということです。ただし、今回投資的経費のうち1兆円程度ということですけれども、次はソフトの経費について着手したいということで、早速準備に入りたい。この件が落着しましたら、早速準備に入りたいと思っております。この種の問題は、大がかりな改革ですから、最初から全部、すべて最後まで決めて、さあこれが完成形ですというのは難しいのです。また、それをやろうと思ったらできません、私の長年の経験でも。改革というのは、やってみて、その成果を実感してもらって、やって見せて、それで多分いい方向に行くと思いますから、でもってやろうと。そのことによって地域がよくなるとか、住民の意思が反映しやすくなるとか、そういう成果を踏まえて更に進んでいくということの方が、やりやすいと思います。最初から全部決めてやっていくというのは、そういうやり方がいいと言われる方もおられるかもしれませんが、私はこの業界に長年いて、そういうことは必ずしも得策ではないと思っています。
問:
 すみません、出先についてなのですけれども、知事会議でですね、知事会がハローワークや道路・河川、非常に前向きに引き受けたいというような意向を示されており、また、政府側は慎重な御説明がありました。かなり意識にかい離があるようだったのですけれども、これをどのように今後調整されて、年末に向けてまとめていかれるのか、お考えをお願いします。
答:
 これはよく話し合うことが必要ですね。お互いに相手の意思がよく分からないという面も、今まで多分あったと思います。それから、誤解もあるような気もします。それから、まだ詰めなければいけない問題もありますからね。ですからこれはよく協議をしなければいけないと思います。意思疎通を図らなければいけないと思います。そのことを今日、関係閣僚には、閣議後の懇談会の場で申し上げておきました。知事会の場でも、私もちょっと知事さん側に問題を投げかけたのですけど、例えば全国的ネットワークの構築というのは、これ必要なのですね、仮に移したりしてもね。これをどういうふうに諮れると考えているのかとかね。それから、雇用保険と職業紹介というのはやはり緊密な連携を取らなければいけませんよね。自治体側の方は、職業紹介と、それから職業訓練、それから住宅のお世話とか、いろいろな自治体の施策と一体となった方がやりやすいと説明されていて、埼玉県知事が。それはそのとおりで、非常に分かりやすい説明をされていました。私も同感です。一方では、雇用保険というのは、今、国がやっていますけれども、雇用保険と職業紹介というのも、切り離すことがなかなか難しい分野ですから、これをどういうふうに考えるのですかというのを、その席上でも投げ掛けたのですけれどもね。そのようなことに対する回答も、国側としては聞いてみないといけないですね。あと、国の方は、国の方というか、担当省の方は、例えばさっきの、全国的ネットワークが取れるのですかとかですね。それから、国際機関との、国際機関のグローバルスタンダードから言うと、中央政府が責任を持たなければいけないとされているこの分野を、自治体に分権化した場合、移譲した場合に、中央政府が責任を持つということとの整合性はどうかとかの懸念もあるわけですね。そういうものを、よく、率直に、当事者も含めて話し合いをする必要があると思います。

北朝鮮の砲撃(2)

問:
 NHKの石井ですが、北の砲撃の関係で、単純に、昨日午後そういう報道がなされて、まず、どういうふうにお感じになられたか、お聞かせいただけますか。
答:
 私はね、やはり、冒険的行為だなと思いましたね。どういう意図なのかよく分かりませんけれども、少なくとも韓国の国民の生活の場に攻撃を加えたというのは近年無かったことですから、かなり冒険的行為だなと思いました。それはあるまじき行為だと思いますね。だからと言って、国民がいないところで冒険的行為をしたらいいというわけでは毛頭ありませんけれどね。先般の天安号の事件と比較するとエスカレートしたなという、そういう危惧を持ちました。

地域主権改革(2)

問:
 共同通信の藤田です。冒頭御紹介いただいた一括交付金と出先機関の発言なのですけれども、これは閣議の場と閣僚懇の場で、それぞれあったのでしょうか。
答:
 これはですね、閣議後の閣僚懇談会の場で総理から発言があり、それを受けて、私の方から少し具体的なスケジュールなどを含めたお願いを各閣僚に申し上げました。

光の道構想

問:
 毎日新聞の赤間です。光の道関連でですね、月曜日に作業部会が示した骨子で、NTTについては機能分離とするというような骨子案を示したわけですが、最終的な判断はですね、政務三役がすることになると思うのですが、この判断をいつまでに下すのかということと、NTTについては原口前大臣が端々で示唆してきたものと今回の骨子案というのは、中身が多少、いわゆる構造分離を唱えてきた原口案からすると、かなり中身が変化しているかと思うのですが、今回の骨子案についてどのように受け止めていらっしゃるか、この2点をお願いします。
答:
 これまだ全体会議の方で取りまとめられると思います。多分予測としては、大筋部会の結論というか、考え方とそんなに変わらないのではないかとは思いますけれども、一応、全体会議の方が取りまとめることになっていますから、それを踏まえて総務省として、さっき言われた政務三役を中心に、それに対して一定の結論というか、判断をしたいと思っています。多分今月中ぐらいに全体会議の取りまとめがあると思いますから、その際に、それをよく伺ってと思っています。

地域主権改革(3)

問:
 共同通信の今井ですけれども、一括交付金の関係で今月末までに内容をまとめたいというような御発言があったかと思うのですけれども、それは、先般示した骨子に加えて、更にもう少し踏み込んだ内容を何らか触れていくお考えなのですか。
答:
 金額もですね、1兆円プラスアルファという、大ざっぱな話をしてます。結論はそんなにそれと変わらないとは思いますけれども、具体的に金額を確定する必要がありますし、ただ、これは予算ですから、いずれにしても予算ですから、最終的には財務省の方の予算査定があって、原案に示されて、それをその後どうするかということは、そういうプロセスは残りますけれども、一応この問題についての考え方を、やはりまとめなければいけませんのでね。まだまだやることはあります。細かいことは一杯あるのです、もうこの種の問題というのは。ですから、これから恐らく事務的な詰めが中心になると思いますから、閣僚間で概略を決めましたので、それに基づいて細部をこれから事務的に詰めていきますのでよろしくということが、今日の一番の私の発言の中心でした。

地デジ普及

問:
 テレビ朝日の山根です。地デジの普及率で、もし、3月から全然新しい数字が出てないのですけれども、それがある程度まとまっていたら教えていただきたいのと、今、国会の方で放送法が審議の前で止まっていますけれども、万が一この国会で成立、通過しない場合に、この後の地デジの普及にどういう影響があるのかという大変心配があるのですが、どういうふうに考えていますか。
答:
 地デジの普及率はですね、今日発表しますので、そのときに詳しいことは聞いてみてください。9月現在で90.3%ということです。ですから、90%の大台に乗ったということですね。でも、9.7%残ってますから、これをどうするかということです。物事は大体そうですけれどもね、テストの点数でも、90点を取るというのは相当頑張らなければいけないのですけれども、頑張って取りますよね。だけど、それを100点にするって、すごく難しいですよね。あと1割勉強する時間と労力を加えたら取れるというものではないですよね。だんだん難しくなって、収穫逓減の法則、私はよく言うのですけれど、そういう面がありますから、これまで以上に残ったところに力を入れていかなければいけないと思います。その関連で放送法というのが非常に有用なので、今国会に提案をして、何とかこの臨時国会で成立させていただきたいということで、今、いろいろな方面に働き掛けをしています。もちろん、これは最重要法案の一つですから、党の国対の方でも全力を尽くしていただいておりまして、いろいろな修正の協議とか、していただいておりますので、何とか通していただきたいということで、今全力を挙げているところです。
問:
 読売新聞の下宮と申します。今、90.3%というお話でしたけれども、確か目標値は91%だったかと思います。3月時点では、目標値を初めて超えたという状況でしたけれども、今回、エコポイント制度のですね、追い風等かなりあったのではないかなと思うのですが、そういう中で目標値に達しなかったということについて、大臣、どのようにお考えでしょうか。
答:
 確かに正確に言えば、91%に対して90.3%ですから、多少到達しなかった点がありますけれどもね、誤差の範囲だと思っています。もともとこの時期から、更に1割程度、1割弱は残るものがあるので、それを更に減らしていくという基本方針を持って、それなりの対策も、補正予算も含めて、来年度の当初予算も含めてですね、手を打とうとしていますので、そんなにこれで何か大きく目算が狂うとか、そんなことはありません。

地域主権改革(4)

問:
 話が前後して申し訳ないのですが、一括交付金の関係なのですけれども、一歩前進だということは分かるのですけれども、大臣が理想とする形に向けてですね、今回、内閣府で予算を計上して、各省から配ってもらうというようなことですよね。この配り方を含めて、今後自治体側の自由度を高めるために、制度面での課題というかですね、というものがありましたら教えていただきたいのですけれど。
答:
 これは理想的に言いますと、どこかの役所、内閣府でなくてもいいのですけど、内閣府なら内閣府でいいのですけれども、そこに一括計上して、そこから一括して交付するということは、これ理想だと思いますけれども、初年度、それをやるのはものすごく大変なのです、実は。内閣府の人員体制ができていませんし、それから、これ国費ですから、いずれにしても、国費について全く使いっぱなしで、後は野となれ山となれというわけにはいきません。どこに使うかというのは、これは自治体に決めてもらうと。どの箇所で使うかというのは自治体に決めてもらうというのは、これが自由度ということですよね。だけど、国費ですから、ちゃんとチェックをしないといけないわけです。これすら外すというわけにはいきませんのでね。全く自治体の使いっぱなしで、使わなくてもいい、貯めてもいい、飲み食いに使ってもいいというものではありませんから、やはり一定のルールに従って自治体が自由に決めるということですから、ルールに従っていますかというチェックはしなければいけないわけです。会計検査院、会計検査。で、そういうこともありまして、そうすると、既存のお金の流通ルートというのはありますから、それを便宜上使って、交付はすると。ただし、ここが重要なのですけれども、自治体がどの箇所にどの程度使うかということについて、事前のチェックは無いと。しない。これが基本です。ただ自治体が、客観的基準、ゆくゆくは客観的基準になりますから、その客観的基準に基づいて配分されたものについて、事業の当てはめをしていく。選択によって。当てはめをしていって、道路とか、河川とか、土地改良とか、いろいろな当てはめをしていって、その当てはめに従って、お金を、それぞれ今の縦割りと言えば縦割りですけれども、そのパイプを使って流していくと。これはでも、便宜上でありまして、本来はそういう複数のパイプではなくて、一括という意味からしても、パイプは一本化すべきだと思っておりますが、当面、今、それを理想的な形にすることは、物理上も人員上も無理だということであります。  自治体の側は、そういうお金の流れ方が残っているから、そこでまた、ぎちぎち、いろいろな規制とかチェックが加わるのではないかという心配、わからないでもありません。今までの官僚の皆さんとのお付き合いの中から、経験的にそういうことを学びとっておられると思いますから、分からないでもありませんが、今回、そういうことを無くそうということで強い決意で望んでいますので、それは御懸念なきように。万が一そういうことが起これば、やってみて起こったら、それはもう直ちに、そういうことは通報してもらえばいいです。それは直ちに成敗するという。成敗と言ったらあまり言葉良くないですけれども、是正するという、そういう決意を持っておりますのでね。そこは、従来、こんなことを言うのは失礼かもしれませんけれども、従来、知事会の中で一番原理主義的なことを言っていた私が担当大臣になったのですから、そこは信頼していただいていいと思いますけれどね。
問:
 月曜日に全国知事会議、国と地方の協議の場がありましたけれども、傍聴していてですね、知事会議に関しましては、陳情合戦になってしまっていると。以前から、国と県の場の在り方についても、大臣、その在り方について疑問を呈していらっしゃいましたが、改めてあのような会議が、あの形は我々から見ても、あまりよろしくないと思うのですが、いい在り方というのをどういうふうにお感じになられるかというのを、改めて教えていただけますか。
答:
 本当に論点を絞って、腹を割って話すという、そういう場が望ましいと思いますね。それから私、一番最後、お開きのときにおられましたか、最後。
問:
 知事会議のですか。
答:
 知事会議の一番最後、4時ごろですけれど、おられました。私、最後にちょっと、耳の痛いことを申し上げたのですけれどね。最後でないときにも申し上げたのですけれども、お金の話になったらすぐ、国に国にという話になるのですよ。そうではなくて、自治体は課税自主権を持っているわけです。課税権を持っているわけです。国ももちろん持っていますけれどもね。何でも交付税を増やしてくれ、消費税を増やしてくれではなくて、お金が必要なら、自ら課税権を持っているわけですから、しかも、課税自主権は、この間、相当拡大してきたわけです。制限税率を取っ払ったり、緩めたりね。だから、そういうものをもっと活用して、国に何でもかんでも依存するのではなくて、ちゃんと自前で解決する、納税者と向き合って。本当に重要な仕事を付加する、そのときに財源が要ると言ったら、本当にそれが住民の皆さんのために必要ならば、納税者は納得しますよね。そういうプロセスをもっとやはり、思い起こして、大切にしてもらいたいという意味のことを、知事会議の場でも言いましたし、それから、地方六団体との協議の場でも、これは皆さん方、おられませんでしたけれども、申し上げたのです。反論もありましてね。そんな、片山さんも自治体の実情を知っていて、そんなに簡単に固定資産税や住民税を上げられる雰囲気にないっていうのは分かるでしょうって。それはそうですよ。だったら、国だって同じことなのですよ。国だって、これだけ消費税の問題が、年来議論されているじゃないですかね。自治体が固定資産税、住民税を上げられない、上げるのは非常に政治的に苦心するという事情は、国が、所得税に限りませんけどね。国税を引き上げるのは容易でないというのは、分かりますよね。にもかかわらず、国だけにそういう苦労を押しつけるというのは、これはやはり、本来の自主的な、主体的な、自立したポジションではないのではないかということを、私は基本的に知事のときから認識を持っているものですから、そのことをあえて申し上げました。  あともう一つは、地方分権とか地域主権改革というのは、これまでずっとやってきていますけれども、何やらちょっと誤解があって、県を強くする、市町村を強くする、知事の権限を強くする、それから、自治体の金回りをよくするということが目的みたいに勘違いしている人がいるのですけれども、そうじゃありませんよと。あくまでもこの改革というのは、一連の改革というのは、住民の皆さんのための改革であって、住民の皆さんにとって、よりコンフタブルな、満足度の高い、ずれていない行政が実現するための改革なのです。それが究極の目的なのです。そのためには、霞が関に権限があるよりは、身近な自治体に権限があった方が、住民の皆さんのハンドリングが利く、住民の皆さんの影響が及びやすい。そのために、国から自治体に権限を移譲し、自治体の自由度を高め、すなわち、義務付け・枠付けを見直し、それから、お金もひも付きではなくて、自治体の判断で使えるお金に変えていくという、こういう改革作業をやっているわけです。それは、首長さんのためにやっているわけではないのです。これは、自治体にそういう権限が移れば、自分たちが、国会議員よりも、市町村の議員とか、市町村長の方が、自分たちの意思で選びやすいじゃないですか。国会議員といったって、例えば鳥取県だと、ほんのわずかしかいないですよね。ところが、自治体の場合には自分たちで選べるわけですよ、大勢を。その方がより反映しやすいわけです。そういう、より反映しやすい場所に、フィールドに、権限とか、判断権とか、財源とかを移しましょうということなので、そこを忘れないでくださいねということを申し上げたのです。この二つを申し上げたのです。そのことで、今回は初めての試みで、そういう苦言を申し上げたのは多分初めてだと思います。私は47人の一人だったとき、そういうことをしょっちゅう言っていたのですけれども、今回は国の立場でそういうことを申し上げたので、そんなことも汲んでいただいて、次からはだんだんと、正常化と言いますか、皆さんから見ても、意義の高いものなるのではないかなと思いますね。私はあえて、地方自治法の講義みたいになったかもしれませんけれども、あの場で、知事会議の場で、地方自治には団体自治と住民自治があって、今までやってきているのは、全部団体自治の強化なのです。自治体を強くする、首長を強くする、金回りをよくするというのは。だけど、もう一つの重要な要素である住民自治、住民の意向がいかに、自治体行政に反映しやすくするかという、住民自治を忘れてはいけないので、総務大臣としてはこっちの面にも、従来の団体自治の強化に加えて、住民自治の強化についても、今、取り組んでいますという話を紹介したのです。行財政検討会議の検討内容なんかを踏まえた上で。ただ、住民自治はそんなにいいから、団体自治をもっとやってくれという話も一部あったものですからね。それは違いますよという話をあえて申し上げたのですけれども。ちょっと耳が痛かったかもしれません。だけど、終わったあと、「いや、そのとおりですよ。」と言われる方が、数人おられましたね。ああいう場で言っていただくといいのですけれどもね、本当はね。
問:
 よろしいですか。では、どうもありがとうございました。
答:
 はい、どうも。

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