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会見発言記事

片山総務大臣閣議後記者会見の概要

平成22年12月21日

冒頭発言

 おはようございます。今日は閣議がありましたが、特に閣議案件では、私の方から御報告することはありません。
 昨日11時から、子ども手当の関係五大臣会議がありまして、一応、この予算編成過程の中の一つの項目であります子ども手当について概要が決まりましたが、その内容はもう既に御承知おきいただいていると思います。私の方からは以上です。

質疑応答

子ども手当

問:
 では、幹事社からお尋ねします。朝日新聞です。今、おっしゃいました子ども手当に関してですね、2点お尋ねしたいのですが、特に総務大臣という御立場なので、全額国費負担を要望していた自治体という存在もあったわけですけれども、その自治体の立場も含めて、今回の決着の仕方をどのように評価されていらっしゃるか。それに関連しまして、たびたび関係閣僚の会合が持たれたわけですけれども、総務大臣の御立場でどういう御主張をされていたのか、そのプロセスについても言及した上で、今回の御見解をお尋ねします。
答:
 総括をしますと、今回は昨年と違って、厚生労働大臣をはじめとして自治体の関係者の皆さんと事前に意見交換をしたり、要望を聞いたりしながら進められたと思います。もちろん相当の時間を、期間をとって、前広に、十分かどうかというのは、議論があるかもしれませんけれども、少なくとも去年よりは、私は、関係者の意見をよく聞かれたと思います。その点では、細川大臣をはじめとする皆さんの労苦を多としたいと思います。多分そういうことがあったからだと思いますけれども、自治体の意向をほぼ採り入れた内容になったと思います。もちろん自治体も一枚岩ではありませんので、子ども手当に関連してまるっきり地方負担を排除せよと、こういう意見も一方ではありました。ただ、これは、私は利が通らないということは前から申し上げていたとおりであります。大方の方は、旧、旧と言いますか、従前からの児童手当にかかる地方負担分は、これはやむなしと。それ以外の上乗せのところに地方費を充てることは、それは絶対反対だと、こう言われておりまして、その点について、ほぼ自治体の皆さんの、大方の皆さんの意向が反映されたものだと思って、今回の評価をしています。ただ、これが、昨年の決着と同様、1年限りの措置として、来年度、そういう枠組みで実施するということになりましたので、その後の問題があります。平成24年度以降をどうするかという問題がありまして、これは、今回、私は9月の半ばからこの内閣に入って、この問題を含めて予算編成の作業に当たったのですが、その感想を言いますと、やはり、もっと早く、この議論を進めなければいけないと思いますので、これは、昨日も五大臣会合の中であえて申し上げたのですけれども、平成24年度以降の取扱いについての検討は、もっと早く始めましょうと。際になってやるのではなくてですね。そうしますと、もっともっと自治体の皆さんとの、余裕を持って意見交換できますのでね。そういうことをしようということを申し上げまして、これについては了承、同意が得られました。そういうことも含めて、今回の結論というのは、私としては、まずまず高く評価をしているところであります。
問:
 追加ですみません。今、正におっしゃられた平成24年度以降については、昨日の合意文にも言及はありますけれども、決まっていなくて、去年と今年が、大臣おっしゃられたように、やや泥縄式に決めているというような評価もされていますけれども、その場しのぎ的にですね。財源探しの論点で。その辺りは、今後早く、この議論、恒久的な制度作りについて早く始めたいというふうなお話もありましたけれども、その辺りの批判についてはいかがでしょうか。
答:
 これはですね、昨年、この制度設計をしたときに、まず、税制改正というのをやっているわけですよね。国税、地方税の扶養控除というものを見直しをして、控除から手当へという、こういう大きな流れの政策変更をしたわけですよね。その税制改正の成果というものが、順繰り順繰り出てくるわけです。平成22年度、最初から全部どっと出てくるわけではなくて、所得税も増収効果が出るまでタイムラグがあるし、それから、地方税はもっと先になるわけですよね、翌年度課税だから。そういう過渡期、財源も過渡期の状態ですから、その過渡期をにらみながら、数年間は、やはり制度を設計していかなければいけないという、こういうことですから、よく場当たり的だとか、泥縄だとか、帳尻合わせだとか言われますけれどもね。それは、やはり数年間はやむを得ない面があると思います。最初から財源が全部出てくるわけではありませんのでね。ですから、平成24年度、それから平成25年度、その辺りで平年度化されますから、その段階でどういう制度になるのかというのを考えるわけですから、私は、そんなにその場しのぎをやっているとは思いません。ただ、もっと早くね、秋になってから、鐘が鳴ってから必死でやるというわけではなくてね、もっと、例えれば、夏休みが始まって、最後の方に宿題に取りかかるのではなくて、もっと早くから宿題、しかも、結構難しい宿題は早くからやっておいた方がいいだろうということであります。
問:
 北海道新聞の中村です。子ども手当に関連して伺います。埼玉県などで、一部の自治体で、地方負担を拒否するという動きが出ています。ほかの自治体でも追従する動きもあります。今回、正式に、こういう方針が決まったことを受けて、今後そういう対応をしている自治体と、どのように調整を進めて行かれるのかということを伺います。あと、自治体側は、民主党のマニフェストは全額国庫負担だったのにおかしいではないかというような主張をされています。それについて大臣はどのようにお考えなのか、改めて伺います。
答:
 いつぞやも申し上げたことがあるかと思うのですが、全額国庫負担という意味合いがですね、必ずしも共通認識がないまま、この問題がスタートしたところに、ボタンのかけ違いというか、意思疎通を欠いた面が多分にあったと私は思います。と言うのは、児童手当というのは前からあって、これについてはちゃんと負担割合が決まっていて、国費と、それから自治体が負担する部分と、それから事業主が負担する部分とあるわけですよね。子ども手当というのは、それをカバーするというか、それに上乗せする形で出来上がりましたよね。それで、それについて全額国庫負担ということだと私は思うのですけれども、この際、子ども手当が導入されたときに際して、従来の児童手当分の地方負担も全部無くしてしまおうと。それが全額国庫負担だと、全額国費だというふうに思っていた人もいたという、この辺の認識の違いがあるのだと思うのですね。これは、何回も申し上げておりますとおり、子ども手当を導入したから自治体の負担を、従来の児童手当に対する地方の負担を無くして、自治体の財政を豊かにしようという趣旨ではないはずなのです。ですから、やはり従来、児童手当で負担していただいていた部分については、やはり何らかの負担をしていただく、これからも。それがやはり、合理的な考え方ではないかと私は思います。そういう意味では、上乗せ分全額国費ということを今回また守ったわけですから、それは自治体の皆さんもきちんと評価をしていただきたい。恐らくですね、多くの、多くの自治体は、多分そういう評価をしていただけるものだと思っています。中にはですね、もうこの際全部去年からですね、全部児童手当の地方負担分も無くして、クリアにして、それは地方が独自に使っていいのだということを主張されているところもおられますけれどもね、それはちょっと筋が違うのではないですかということを、以前から申し上げておりますし、これからも話をしていきたい、理解を求めていきたいと思っております。

全国知事会議

問:
 中国新聞の荒木と申します。明日、全国知事会議があるかと思うのですが、総務大臣も出席されて、いろいろ御説明されるとお伺いしています。明日のそこの会議でどういったことを説明したりですね、ねらいなどありましたらお聞かせください。
答:
 それは当日取材してください。明日言うことをここで言うこともないでしょうから。せっかくですからあえて言いますとね、予算を国が決めますから、その中で地方に関係することを、私からではないかもしれませんけれども、総務省側から説明をするということは、例年やっておりますよね。あと、私も総務大臣になって数か月経ちますので、この間感じたことと言いますか、自治体の皆さんにお願いをしたり、知事会の皆さんにお願いしたいこともありますので、そういう点もお話をするかもしれません。これは行ってみて、その場でどういうやり取りになるかとかですね、時間的に余裕があるかどうか分かりませんので、臨機応変に対応したいと思っています。

待機児童ゼロチーム

問:
 フリーランスの小川裕夫と申します。内閣府が立ち上げた待機児童ゼロチームなのですけれども、それに関してなのですが、その特命チームによりますと、国と地方自治体において、今後、待機児童ゼロを目指すというようなことがうたわれているのですが、そのプロジェクトチームを見ますと、厚生労働省と文部科学省は入っているのですけれども、総務省の名前が無くてですね、これは地方自治体に権限があるということもあって、それでなぜ総務省が入っていないのかということを片山大臣にお伺いしたいと思うのですけれども、お考えをちょっとお願いします。
答:
 特にですね、どこの役所が入っている、入っていないということは、あまり気にしなくていいのではないでしょうか。自治体との対話というか、コミュニケーションというのは、何も全部総務省だけが独占しているわけでもないし、総務省が総合窓口で排他的に自治体とやり取りしているわけでもありません。むしろ、それぞれの施策に精通した専門集団の役所が、ちゃんと自治体との対話をするということの方が私は重要だと思いますけれどもね。今回も子ども手当の件で、去年のことを私もちょっと、去年の様子を聞いたり、調べたりした結果の私の感想は、もっとやはり、子ども手当の所管省である厚生労働省が、ちゃんと自治体の意見も聞いて、自治体の意向を受け止めるべきだと、こう思ったものですから、厚生労働大臣に、ちゃんと自治体との間で話し合いをしてくださいということを何回もお願いしたのですね。もちろん必要があれば、総務省は自治体との間にいろいろなパイプがありますからお手伝いをしますけれども、お手伝いすることはやぶさかではありませんけれども、まずは対話をしてくださいよという話をして、快く細川大臣はいろいろな方のところへ足を運んで話し合いをされたのですね。それはよかったと思います。私は、非常によかったと思います。そういう意味で、従来のなんて言うのでしょうか、一種の偏見と言いますかね、固定観念と言った方がいいかもしれませんね。総務省だけが自治体の代弁者という、そういうことは、もう脱却した方がいいと思いますね。だから、特にこだわりはありません。必要があれば人を出す。これも、そのことにやぶさかではありませんけれどもね。あとは、私なども閣僚としてこの待機児童の解消問題というのは、非常に重要な関心を持っていますから、閣僚が出席するような機会もこれからあるでしょうから、そのときには率直にものを申し上げたいと思いますし、それ以外でも事務的に、内閣府の事務局の方に、私なり、総務省なりの意見がちゃんと届くように、それはしたいと思いますので。人が行っているから何かできる、人が行っていなければできないという、そういうことでは無い。それは、もう牢固とした縦割りがきちんと機能しているというと変ですけれど、悪い意味できちんと機能している時代はそういうことがあったかもしれませんけれども、今はそんなことはないだろうと思います。

NHK会長人事

問:
 毎日新聞の赤間です。NHKの会長人事に関連して伺いたいのですが、来年1月の任期に向けて、今、経営委員会を中心に人選が大詰めを迎えていますが、かつてはですね、所管官庁である総務省なりですね、担当大臣なりの意向もある程度反映していたというふうに言われていたこともかつてありましたが、所管官庁の現役の大臣としてですね、このNHKの人事と所管官庁のかかわりについて、どのようにあるべきだと考えていらっしゃるか。
答:
 先ほど、今、経営委員会中心に人事を進めておられるという御説明がありましたけれどもね、経営委員会が決められるのです。ですから、経営委員会がどういう議論をして、どういう方針を出されるかということを見守っていたいと思います。所管大臣ですけれども、この問題についての大臣の、所管省のフォーマルな権限というのは、経営委員会の委員を選んで、国会の同意を得て任命するということで、実は今日もこれから三人の方に、経営委員の方に、三人の方に辞令をお渡しするのですけれどもね。それが所管省の仕事であって、あとは経営委員会のメンバーの皆さんでNHKの会長人事が決められるということだと思います。

ネットの選挙利用

問:
 フリーランスの上杉隆です。先月行われた金沢市長選についてお伺いしたいのですが、そこで当選した市長の方が、ツイッターを使って選挙運動をしたということを、先日、昨日ですかね、議会で半ば認めたという形になったわけですが、このネット選挙に関して、所管大臣として御見解をいただけますか。
答:
 私は、結論を言いますとですね、このネット選挙、ネット利用をするということについて、早く制度化と言いますか、ルールを決めなければいけない、決めた方がいいと思います。公職選挙法でインターネットというのは正面から登場していないのですね。ネットとの関係で言いますと、文書図画というものに制限が公職選挙法にありまして、この文書図画にネットでの表示が該当する、しないという人もいるのですけれども、該当するという前提のもとで一定の規制があるということになっているのですけれども、もともとがですね、公職選挙法、現行の公職選挙法が該当の規定も含めてできたのが、ネットが普及する以前の法律なのです。ですから、ネットというものが選挙で使われるということを想定しないときの規定なものですから、その辺でいろいろなそごが生じたりしていると思いますので、これ、できるだけ早く整理をして、必要なルールを決めたらいいと思います。それについては、もう既に国会の中で議論が行われて、各党各会派の間で一定の合意が得られていると私は認識していますので、早く作業を進められたらいいのではないかと思っています。

二元代表制(1)

問:
 京都新聞の小川と申しますけれども、先日、地方政府の多様化を進めるシンポジウムがあったのですけれども、あそこでですね、大臣も参加されていたと思うのですが、まず、議員の中からですね、地方議員の中から、ああいった二元代表制について疑問の声が出て、それ以外の形態を探る動きが出てきていることについて、どういうふうに思われているのかというのが1点と、あと、その自治体に二元代表制自身の問題点があるとすれば、どういうところにあるかと、大臣、お考えをお聞かせください。
答:
 私もパーツというか、部分的に参加したものですから、全体の議論を最初から最後まで聞いたわけではないのです。ただ、断片的にせよ、何人かの議員さん方に御意見を伺うと、やはり、現状の二元代表制と言いますか、今の地方自治体の基本的な仕組みについて疑問を抱いている方もおられるし、むしろ私の印象では、疑問というよりは悩みを感じておられる方が多いのではないかと思いました。で、本来の二元代表制、これは大統領制と言った方がいいかもしれませんけれども、行政府の長と、それから議会と、それぞれ住民が別個に代表として選んでいくという、その間に、チェックでありますとか、あとチェックを経た上でのバランス、チェックアンドバランスなどを確保するということ。それは、権力を分離することによって、その権力が独裁化することを防ぐという。こういうところに一番根本的な理念、意義があるわけですけれどもね。それがちゃんと働いているのだろうかという、やはり疑問があるのだと思います。多くの自治体では、本来、二元代表制の中では想定されていない与党会派というのがあって、これが首長を守ってやると。首長が出した議案は通してやるのが自分たちの使命だというふうに錯覚しているケースが多いと、ちょっと失礼ながら、私なんかは思うのですね。そうなると、チェックが働かないではないか。やはり、二元代表制の一番の妙技というのはチェックですから、与党会派を作って守ってやるというのは、本来想定していないのですね。そういうことが、でも、非常に、こう我が国ではドミナントですから、そういう意味で、これでいいのかなということを議員さんの中に疑問に思っている方がおられるという印象を持ちましたね。あとは、それと関連するのですけれども、二元代表制と言っても、最後はやはり議会が最終意思決定機関なのですけれども、ということは、議会が決めたことというのは、間接民主制の下では、自分たちの代表が決めたことだから、選んだ人たち、住民の側は、まあ、納得をし、信服しないまでも同意をするということがなければいけないのですけれども、今の多くの議会で、そういう信頼とか、同意、納得がちゃんと議会によって調達されているかどうかという、そういう疑問とか、議員さんの中からは、この間も感じましたけれども、一種の、失礼ですけれども、自信の無さみたいなものがありましたよね。そこをどうすればいいのかということが、議員の中から問われてきた。もう従前から、市民の間ではそれを問う声が多くあったのですけれども、議員の皆さんの中からそういうことを自問自答する、何か改善を加えなければいけないという、そういう動きが出てきたということだと思っていますから、私は、この間、伺って、非常に、これからの議会改革の可能性を感じたところです。もちろん、制度改革というのも幾つかあります。これは、行財政検討会議でこれまでも議論しましたし、これからも議論されると思いますけれども、してもらいたいと思いますけれども、運用面での改善というのも大きいのですよね。例えば、与党会派で市長を守ってやらなければいけないなんていうのは、制度でも何でもないのですね。運用ですから。その運用を改善すること、自律的に、自ら律して改善することによって、現行の議会の有様というのは随分変わるわけですけれども、そういう機運が出てきたのかなという、そんな可能性を感じましたけれどもね
問:
 その中でですね、議会内閣制という制度について言及があったのですけれども、それについての御所見を。
答:
 これはね、ものの見方、今の自治体の現状をどう見ているかという、見ている人の関心の在り方によって評価も違ってくると思うのですね。私などは、これ個人的なことですけれども、私などは、今の議会というのは、さっきるる申し上げましたように、チェックが必ずしも効いていないのではないですかという。二元代表制と言いながら、議会と長は二輪車、車の両輪だとよく例えられるのですね。車の両輪というのは、間隔があるはずなのです、車輪と車輪の間に。ところが、ぴたっとくっついて一輪車になっている印象もあるわけです。これは二元代表制の本来の運用ではないわけで、一輪車というのは、ころんと倒れますよね、これも例えで言いますとね。二輪車というのは距離があって、そこの間に意見の対立とか、緊張感があって初めて安定して前に進むことができるので、今の議会に対して、私は、一輪車であってはいけない、ちゃんと緊張感を持った、本来の、真の車の両輪にならなければいけないと思っているものですから、そういう者から見ますとね、議会の中の一部の議員さんを執行機関の方に取り込むというのは、それでチェック機能が強化されるだろうかという疑問があるわけです。むしろ逆ではないか。逆のベクトルではないかと思うのですね。ところが、議会が何でも反対して機能しないと。そういう議会もありますよね。そういう自治体もありますよね。で、市長が市民の信頼を得て、選挙を勝ち得て、公約を実現しようと思ったけれども、議会がそっぽを向いて全然実現しない。それならば、議会にも責任を持ってもらいたいから、議員さんにも加わってもらって、それで、権限を持ってもらうと同時に、責任も持ってもらいたい、責任を共有してもらいたいという人から言えばね、議会内閣制みたいな発想が出てくるということも、むべなるかなと思うのですね。だから、現行の、今の日本の議会と長との関係をどういうふうに見ているかによって、これに対する評価は変わってくると思いますが、私は、多くの自治体の首長と議会をめぐる現状を見て、そこから受ける印象、問題点というのは、やはり緊張感の無さとか、チェック機能の欠如ないし不十分さ、これが大きいと思いますから、今の病理を改善しようと思ったら、よりチェック機能を強化した方がいい。議会の自律度合いを高めた方がいいと、私は個人的に思いますけれども、いろいろな方のいろいろな意見があると思いますから、よく議論を進めてみたいと思っています。

クロスオーナーシップ

問:
 日本インターネット新聞社の田中龍作と申します。今、大臣が、地方の首長を支えているのが議会の与党だというふうにおっしゃっていまして、正しく、それはゆゆしき問題だと思います。実情はですね、更にそれを権力でうまくやって、砦を三重にしているのが、地方紙であり、地方の民放であるのです。それを、そのシステムを担保しているのがクロスオーナーシップなのですね。これはどれぐらいむごいことかと言うと、確かに地方紙なんていうのは、警察よりも議会よりも強いのです。というのは、警察の不祥事を知っているし、議会も選挙で落とそうと思ったら簡単ですから。これで地元の人々というのは窒息しそうになっているところもあるわけです。すべての都道府県とは言いませんが。それだけむごいクロスオーナーシップというのは、所管大臣として自制するお気持ちはありませんか。世界に日本だけなのです。
答:
 これは、この間も御質問が出ましたけれども、先般の検討会議でも一つの論点として挙げられておりますので、これからよく検討していきたいと思います。それから、地方の問題を言われましたけれども、それぞれのところで事情が違うのだろうと思いますから、一律には必ずしも論じられないと思います。私も地方におりましたので、特定の地方におりましたので、その地方の、この種の問題点というのは、深く認識しているところもあるのですけれどもね。それぞれの地方で、やはり改善の努力をするということが必要だと思いますし、あと、言われたメディア間の問題というのは、これはこれで、こちらの担当でもありますから、これから検討していきたいと思っています。

情報公開

問:
 ジャーナリストの寺澤有です。情報公開法の改正問題が出て、ちょっと時間が経っていますけれども、もう年末になっていますけれども、これ、今、現在どういうふうになっているのかということと、あと、私自身も経験がありますけれども、各地で報道されていますが、本来、公開しなければいけない情報をですね、文書不存在だとか、あるいは黒塗りにして公開しないということが発覚したりしていますけれども、やはりこういう意図的にですね、公務員が情報隠しをした場合は、刑事罰を科すようにしないと、こういうことは繰り返されると思うのですね。それについて、大臣はどうお考えなのか、教えてください。
答:
 情報公開法の改正についてはですね、所管の大臣に聞いていただくのが一番だと思います。ちょっとこの間、私も大臣になって、その間、国会があって、それから、ずっと税制改正、予算にはまっていましたので、必ずしも十分なフォローをしていないということがあります。所管の大臣の方で執り行っておられますので、そちらで聞いていただくのが正確だと思います。
 それから、後段の部分の、情報隠しという言葉が、表現がいいのかどうか分かりませんけれども、私の実践を申し上げますと、私は情報公開というのは非常に重要だと思います。それで、総務省はですね、私が大臣に就任してから、やり方を少し変えまして、情報公開のアウトプットと言いますか、意思決定ですね、決裁を実は変えまして、政務三役が目を通すという仕組みにしました。お役人と言うと失礼ですけれども、お役人限りで開示・非開示を決めるという、そういうことだったわけでありますけれども、情報公開というのは、役所を正すという面が意義として大きいものがあると思います。その役所を正すという面から言いますと、正にこれは、正しい意味での政治主導が具現化されるべき分野だと思いますので、重要な事柄、それから特に非開示にする事柄などについては、物事の軽重に応じて、副大臣までの決裁であるとか、それから大臣までの決裁であるとか、というふうに実は変えたところなのです。で、政治家と言いますか、政務三役が、官僚機構と離れた立場で、官僚機構が持っている情報を開示する、基本的には開示をすると。しかし、例外的な非開示のものもありますから、それの区分、判定が正しいかどうかというものを見ていくということに、実はしたのです。ですから、さっき一足飛びに罰則が必要だという話をされまして、それはそれで一つの論点だとは思いますけれども、私は、まず、政治主導を発現する一つのフィールドではないかと思いますので、自分のできる範囲内で情報公開が正しく行われるように努力をしているところであります。
問:
 フリーランスの畠山理仁と申します。今、情報公開のことが出たので、あえてお伺いします。記者室の掲示板のことです。掲示板には大臣の予定などですね、様々な情報が掲示されているわけですけれども、先日、掲示板に掲示されている書類の撮影をしたところ、クラブの受付の職員から、その場で写真を削除するように指示をされました。また、クラブ員以外は掲示板の内容も見てほしくないという説明も受けました。掲示板に掲示される情報は、記者クラブのみを対象とした機密文書なのでしょうか。大臣の御見解を頂ければと思います。
答:
 よく分かりませんから、よく皆さんで相談してください。ちょっとよく分かりませんので。広報室長、よく話を聞いて、皆さんでよく相談してください。
問:
 見てもよろしいですか。
答:
 ちょっと私も、そこまで管理していませんので。申し訳ないです
問:
 隠すということではなくて。
答:
 よく分かりません。どういう実態なのかも分かりませんから。
問:
 はい、分かりました。
答:
 問題を整理してください。
問:
 フリーランスの上杉隆です。情報公開に関連してなのですが、かつて鳥取県知事として、情報公開の、半ば鬼と化して執務に励まれた片山大臣なのですが、先ほど寺澤さんの質問にもありましたが、政務三役会議について、前大臣は、これを完全に、記者団にもですね、フルオープンにしていたわけなのですが、片山大臣になってからそれが閉じているかに思いますが、その理由と、そして、今後また改めてそれを公開するという見知から、情報公開の見知から、公開するという予定というのはあるのかどうかをお聞かせください。
答:
 私は知事の時代に、情報公開というものが行政改革の、組織改革の、非常に大きな武器だ、ツールだと思いまして、それを実践しました。ただ、その際もですね、別に県庁の中の幹部会議を全部オープンにしたとか、そんなことではありません。やはり、幹部の間で熟議が必要であります。いろいろな、種々の観点からの、点検なり、意見交換なりが必要です。その上で、決めたことはきちっと公開をすると。隠し立てはしないということをしたわけでありまして、いわば鳥取県知事でやっていたときと同じやり方を、総務大臣になっても踏襲しているわけであります。ですから、当面、このやり方を続けたいと思っていますし、それが透明度を低くするということでは、決してないと思います。むしろ先ほど言った文書情報の情報公開などを、ちゃんと、官僚組織の目ではない、官僚組織の視点ではない観点からチェックをしていくという、こういうことの実践の方が情報公開を徹底することになるだろうと思います。あと、心掛けておりますのは、例えば、国会とかですね、そういう場でのやり取りというのは、これは、説明責任をちゃんと果たす場なのですね。説明責任を果たすというのは、物事の透明性を増すということと裏腹であります。ですから、そういうことを重視する。その一環として、質問趣意書なんてあるのですけれども、これも国会質問と、いわば同等の性質を持っていますから、これについても、なおざりにしないで、きちんと説明責任を果たそうということで、今、組織にも督励をしているところでありますけれども。そういう、一つ一つの場面での実践を通じて、透明性を高めていく、説明責任能力を高めていくということをやっているところでありまして、すべての内部の相談事項なんかをフルオープンにするということは、私は、透明性を高める、それから、本来の意味での透明性を高める、情報公開を徹底するということとは、必ずしも直結はしていないだろうと思っています。

二元代表制(2)

問:
 北海道新聞の中村です。さっきの二元代表制に関連してちょっと伺います。埼玉県のさいたま市など、四つの市の首長が地域政党を作る動きというのが出ています。名古屋、大阪などでも同じように、首長による地域政党というのができているのですけれども、先ほどおっしゃった二元代表制を担保するという観点で、こういった動きについて、大臣はどのように考えておられるのか、お願いします。
答:
 これもですね、さっきの方の質問に対する答えと同じなのですけれども、現状の地方自治と言いますか、自治体の運営をどう評価しているかによると思うのですね。どうも議会が反対ばかりして、首長がやりたいことを認めてくれないと。それならば、自分を支持してくれる、そういう議員さんたちを、新党を作って当選させることによって、議会の中で多数派を形成させたい。こういう地域政党であれば、結局、何か、与党会派を作るのと、結果としては同じになってしまうのではないかと思うのですね。そうすると、やはり二元代表制の趣旨からは遠ざかってしまうのではないかと思うのですね。ただ、さっき言ったように、反対ばかりするので、何とかして自分の理想とか信念を実現したい。それならば今の会派の中ではだれも与党になってくれないから、あまり与党になってくれないから、新風を吹き込んで新しい人たちを自分の、与党とは言わないのでしょうけれど、地域政党として取り込みたいと。気持ちは分からないでもないですけれども、さっき言ったように、我が国では、今、チェックが、むしろチェック機能が不十分だと、私なんかは認識しておりますから、そういう認識が正しいとすればベクトルが逆ではないかなという、そういう印象を持ちます。ただ、これは個人的なことで、私の個人的な考え方であって、別にそれが法的にとがめ立てを受けたり、法律にもとることではありませんので、事実上それを是とするか非とするかは、個人の考え方なのであろうと思います。私は、議会との間は、むしろ、やはり対立も含めた緊張関係があった方がいいと思います。自分で8年間知事をやりましたけれども、出したものは何でも通してあげるというのは気味が悪いです、やはり。ちゃんと厳しくチェックをしてもらって、是は是、非は非、幾らあなたのやっていることでもこれは駄目だよと言ってくれた方が、私は身のためだと思っていました。というのは、例えばチェックがあまり効かなくて、本来ならば違法なこと、違法なことはいけませんけれども、例えば、違法なことが盛り込まれているとか、当・不当で言いますとね、不当というのは、妥当でないようなものが予算の中に盛り込まれて、それがすいすい通ってしまったあとで、なんだ、こんな違法なこととか不要なことがあったのではないかといって、住民監査請求で責任を追求されるようなことがあるとすればね、そんなことがないように、転ばぬ先の杖で、ちゃんと、きちっと議会でチェックをしておいてもらって、そういう変なものとか贅肉とか削いでもらっておいた方が自分のためですから。私はだから、さっきの情報公開も、議会のチェックも、議会での修正とか、場合によっては否決なんかもね、ありがたいと思っていました、本当に。自分の考え方が絶対正しいと、普通思いますけれども、そうでもないのです。相対的に見たら必ずしも絶対正しいとは限らない。そういうものを多くの他者の目で見てもらって、チェックしてもらって直してもらった方が、よっぽど自分の身のためだと思っていましたから、私は与党会派を作ろうなんて思いませんでした。だから、これも人によりけりでしょうけれどもね。
問:
 ほかにいかがですか。よろしいですか。では、ありがとうございました
答:
 はい、どうも。ありがとうございました。

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