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会見発言記事

第186回国会(常会)総務委員会における総務大臣所信表明

平成26年2月18日

はじめに

 総務委員会のご審議に先立ち、一言ご挨拶申し上げます。
 私たち安倍内閣の最大の使命は「日本の再生」であり、「経済再生と財政健全化の両立」を実現することが我々の使命です。安倍内閣発足から一年が経過し、今年は、その成果を実感していただける年にしたいと考えております。
 このため、総務省として取り組むべき課題は大きく二つあります。第一は「民間投資を喚起する成長戦略」であり、成長の恩恵を国民や地域、企業に実感していただくため、地域の活性化、ICTによるイノベーションの創出、世界に貢献する国際展開をスピード感をもって実践してまいります。第二は「国・地方を通じた財政健全化と地方分権改革の推進」であり、地方の自立を促進するとともに、電子行政の実現やPDCAサイクルの確立を通じて効率的な行政運営を実現します。この二つの課題を解決するため、私は、五つの柱から成る「総務省ミッション」を定めるとともに、ミッションを具体化するためのアプローチを設定し、各施策に取り組んでおります。

I 元気をつくる

 一つ目の柱は、「元気をつくる」であります。
 安倍内閣発足後の一年を通じ、デフレ脱却・経済再生に向けた好循環が回り始め、今年はまさに正念場であります。
 このため、地域が元気を出し、人・モノ・カネを動かし、地域経済の好循環を全国各地から興(おこ)していくことが重要です。地域の再生なくして日本の再生はありません。
 私は、全国津々浦々の皆さんに成長を実感していただけるよう「地域の元気創造プラン」の実践を始めました。まず、全国に産学金官地域ラウンドテーブルを作り、地域の資源と資金を活用して雇用を生み出す、地域経済イノベーションサイクルを展開中であります。
 あわせて、電力の小売自由化で七・五兆円の市場が新しく地域にも開放されることを踏まえた分散型エネルギーインフラプロジェクトや、自治体の観光や産業支援等に関するデータを一元的にオープン化し、民間に提供する公共クラウドなども推進しております。
 また、地方のけん引役としての地方中枢拠点都市圏や定住自立圏などによる広域連携の取組を推進するとともに、過疎地域など条件不利地域については、産業振興や生活支援機能を確保し、きめ細やかな集落の活性化を図ってまいります。
 さらに、地域が抱える課題をICTの力により解決し、ICTを活用した新たな街づくりを進めることで、地方の元気をつくってまいります。
 地方財政については、地方自治体が安定的に財政運営を行うことができるよう、地方税、地方交付税等の一般財源総額について、平成二十五年度地方財政計画を相当程度上回る額を確保します。また、地方自治体が、防災・減災対策や地域経済の活性化に取り組むことができるよう、地方財政計画に緊急防災・減災事業費や地域の元気創造事業費を計上します。こうした地方財政計画の内容を踏まえ、地方交付税の総額の確保等について規定した地方交付税法等の改正案を提出しています。さらに、平成二十五年度末でその期限が切れる「成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律」については、同法の期限を五年間延長する改正案を提出しています。
 来年度の地方税制改正については、地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図るため、法人住民税法人税割の税率を引き下げるとともに、地方法人税を創設し、その税収全額を交付税及び譲与税配付金特別会計に直接繰り入れ、地方交付税原資とします。また、地方法人特別税・譲与税の規模を縮小し、法人事業税に復元します。このほか、自動車取得税の税率の引下げ、軽自動車税の税率の引上げ等の車体課税の見直し、デフレ脱却・日本経済再生に向けた税制措置の創設、復興支援のための税制措置の延長等を行うため、地方税法等の改正案を提出しています。
 ICTについては、昨年策定した「ICT成長戦略」を着実に推進し、G空間プラットフォームの構築などG空間情報の利活用、オープンデータ・ビッグデータの利活用、4K、8Kなど世界最先端の技術を使った放送の早期開始や利活用、イノベーションを創出する研究開発等を進めるほか、2020年代に向けて、我が国が誇る世界最高レベルのICT基盤を更に普及・発展させるための検討を進め、我が国の経済成長に貢献してまいります。
 ICT国際競争力・国際展開の強化にも一層力を注いでまいります。総務大臣就任以来、地上デジタル放送日本方式を始め、放送コンテンツ、防災ICTなどICT分野全体での国際展開をトップセールスで進めてまいりました。引き続き、平時には便利なくらしを実現し、緊急時には人々の生命・財産を守る日本のICTによる国際貢献を進めるとともに、世界市場への更なる進出に向けた実践的な対応策を検討してまいります。
 また、新たな通信インフラとして期待されるM2M等の普及促進のため、電波利用料の料額の改定等を行う電波法の改正案を提出しています。
 さらに、放送・通信連携サービスの進展を含む情報通信分野の技術革新等を踏まえ、NHKがインターネットを通じて放送番組等を提供する業務の対象拡大等を行う放送法等の改正案を今国会に提出してまいります。

II 命をまもる

 二つ目の柱は、「命をまもる」であります。
 東日本大震災被災自治体への人的支援については、これまでに、全国の自治体から延べ八万五千人以上の地方公務員が被災自治体に派遣されています。
 総務省では、引き続き、全国の自治体に職員派遣を要請するほか、被災自治体での任期付職員の採用の支援、被災自治体で働く意欲のある職員OBに関する情報提供を行うとともに、経済団体等の協力の下、民間企業の人材活用を促進してまいります。
 また、被災地の未来に向けた復興に貢献するため、例えば、最先端のICTを活用した災害に強く安心・安全な街づくりや、東北メディカル・メガバンク計画の推進及び全国展開等に取り組んでまいります。
 地方財政についても、被災団体が、復旧・復興事業に迅速かつ着実に取り組めるよう、震災復興特別交付税五千七百二十三億円を確保します。
 消防行政については、大規模な地震や風水害等に備え、消防防災体制の拡充・強化が喫緊の課題となっております。
 このため、緊急消防援助隊を拡充することとし、コンビナート災害等に即応するドラゴンハイパー・コマンドユニットの新設などの大幅な増隊に取り組んでまいります。
 また、昨年成立した「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」に基づき、消防団の加入促進、処遇改善、装備・訓練の充実などを推進してまいります。
 さらに、昨年、高齢者福祉施設及び有床診療所等で生じた火災において多数の犠牲者を出したことを踏まえ、再発防止と防火対策の徹底に積極的に取り組んでまいります。

III 便利なくらしをつくる

 三つ目の柱は、「便利なくらしをつくる」であります。
 社会保障・税番号制度については、平成二十八年一月の個人番号利用開始に向け、全地方公共団体で関係システムの整備等の対応が必要となります。各団体の準備が着実に進むよう、必要な額の国庫補助金を確保し、積極的に支援していきます。また、番号制度への対応と併せてクラウド化を進めることで、一層の経費削減や事務効率化を図ってまいります。
 政府情報システムの改革については、システムの統廃合や政府共通プラットフォームの活用によるクラウド化を強力に進めるとともに、オンライン申請や電子決裁の推進により、ペーパーレス化及び業務処理の見直しを徹底し、便利で使いやすい、国民本位の電子行政を推進してまいります。
 また、我が国が直面している様々な社会的課題の解決に向け、G空間防災システムによる国土強靭化、スマートプラチナ社会の実現、ICTを活用した街づくり成功モデルの普及・展開など、ICTを徹底的に活用することにより、豊かで便利なくらしの実現に取り組んでまいります。

IV みんなの安心をまもる

 四つ目の柱は、「みんなの安心をまもる」であります。
 誰もがICTを安心・安全に利用することのできる環境を実現するため、情報セキュリティ上の脅威への対応、パーソナルデータの適正な利活用や消費者利益の確保に向けた取組を進めてまいります。また、スマートフォンの普及等に伴う大規模・長時間の事故の多発等を受け、電気通信設備の管理体制の拡充等を行う電気通信事業法の改正案を今国会に提出してまいります。
 郵政事業は、明治四年以来、地域に根ざし、ユニバーサルサービスを日本の隅々まで提供し、国民の安心を守ってまいりました。郵政事業のユニバーサルサービスを確保しつつ、四月から取扱いが始まる新たな学資保険など、郵政民営化の成果を国民の皆様が実感していただけるよう取り組んでまいります。また、日本型郵便インフラシステムの海外展開について、一月にミャンマーを訪問した際の成果を基に、取組を一層加速してまいります。

V 国の仕組みをつくる

 五つ目の柱は、「国の仕組みをつくる」であります。
 個性を活かし自立した地方をつくるため、地方分権改革を推進してまいります。具体的には、国から地方及び都道府県から指定都市への事務・権限の移譲等について、第四次一括法案を今国会に提出してまいります。
 また、これまでの地方分権改革の総括と今後の展望について、最終取りまとめに向けて地方分権改革有識者会議においてさらに調査審議を進めるとともに、国民や地方に改革の成果や優良事例を分かりやすく発信してまいります。
 地方自治制度につきましては、第三十次地方制度調査会答申を踏まえ、大都市制度の改革や地方中枢拠点都市圏の形成に資する新たな広域連携の制度を創設する等の地方自治法の改正案を、今国会に提出してまいります。
 地方税制については、魅力あふれる地域を創(つく)ることができるよう、地方分権推進の基盤となる地方税の充実確保に努めながら、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築を進めます。
 国家公務員の人事行政については、人事評価制度に基づく能力・実績主義の人事管理の徹底を図るため、制度・運用の改善に取り組んでまいります。また、男女双方が働きやすい勤務環境の整備に向け、超過勤務の縮減、男性職員による育児休業の取得促進等、国家公務員のワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでまいります。
 地方公務員制度については、能力及び実績に基づく人事管理の徹底と退職管理の適正を確保するための地方公務員法等の改正案を今国会に提出してまいります。
 国民に広く申立ての途(みち)を開く行政不服審査制度については、公正性の向上、使いやすさの向上、国民の救済手段の拡充・拡大の観点から、制定後五十年ぶりに見直しを行う改正案を今国会に提出してまいります。
 行政の評価・監視や行政相談については、国民の関心の高い施策に係る国の仕組みの実情を、国民の立場に立って調査し、担当府省に改善を不断に働きかけてまいります。
 政策評価については、平成二十六年度から、政府全体として共通の評価区分を導入するとともに、対象の重点化を図りつつ、これまでよりも一歩踏み込んだ評価を行うこととしており、より国民に分かりやすい、役に立つ評価結果の提供を推進してまいります。
 公的統計は、社会の発展を支える重要な情報基盤です。今年度中に新たな五か年計画である「公的統計基本計画」を策定し、公的統計の体系的整備やオープンデータの高度化、オンライン調査の推進を図ります。また、経済センサス基礎調査や全国消費実態調査などの国の基幹となる統計調査を確実に実施してまいります。

むすび

 以上、所管行政の当面の課題を申し上げました。
副大臣、大臣政務官、職員とともに、全力で取り組んでまいりますので、高木委員長を始め、理事、委員の皆様方のご指導を心からお願い申し上げます。

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