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会見発言記事

第200回国会(臨時会)総務委員会における総務大臣発言

令和元年10月24日

はじめに

 総務大臣を拝命しました高市早苗でございます。
 総務委員会の御審議に先立ち、御挨拶申し上げます。
 まず、今般の台風第19号や台風第15号、台風第17号などの自然災害により、甚大な被害が発生しました。お亡くなりになった方々に哀悼の意を表し、また、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 この度、2年1ヶ月ぶりに、再び大臣として総務行政に携わることになりました。
 幅広い政策資源を有する総務省の施策を有機的に組み合わせ、国民の皆様にとって必要な取組を一つ一つ着実に進め、結果を出すという決意の下、日々、緊張感を持って全力で職務に取り組みます。
 私は、「国の究極の使命は、国民の皆様の生命と財産を守り抜くことである」と考えます。
 様々な施策の構築や運用において、安心・安全の確保に留意します。
 以下、特に力を入れて取り組みたい政策の方向性について、一端を申し述べます。

地域の活性化と東京一極集中の是正

 第一に、地域経済の活性化や東京一極集中の是正に努めます。
 「地域おこし協力隊」の隊員を令和6年度に8,000人まで増やすとともに、任期満了後も元隊員がその地域に定住して活躍できる環境を創ります。
 あわせて、地域と多様に関わる「関係人口」の創出・拡大や「テレワーク」の全国規模での普及を通じて、都市部から地方への人の流れを創出します。
 また、エネルギーの地産地消を進める「分散型エネルギーインフラプロジェクト」の拡充や、地域の資源と資金を活用して地域密着型事業の立ち上げを支援する「ローカル10,000プロジェクト」の継続など、日本列島の隅々まで雇用と所得を拡大できるよう取り組みます。
 さらに、過疎地域などの条件不利地域については、基幹集落を中心とした「集落ネットワーク圏」の形成を進めます。
 加えて、現在、地方制度調査会において、地域・組織の枠を超えた連携や、情報通信技術を活用した対応策など、人口減少に対応するために必要な地方行政体制のあり方について審議されています。地方の御意見を丁寧に伺いながら検討を進め、持続可能な形で必要な行政サービスを提供するための地方行政体制の実現に向けて取り組みます。

5G・IoT・AI時代の地域社会

 第二に、技術革新を大きなチャンスと捉え、5G・IoT・AIなどの技術を、医療、福祉、教育、地域交通、観光業、農林水産業、防災、行政サービスなどに活用し、その恩恵を享受できる地域社会を実現するため、ICTインフラと利用環境の整備を進めます。
 まず、5Gや光ファイバなどのICTインフラについては、地域への整備を促進し、早期の全国展開を図ります。
 また、今月から施行された改正電気通信事業法の下で、SIMロック解除に関するルールを定めるガイドラインの改正などを通じて、モバイル市場における公正競争をより一層促進し、利用者にとって分かりやすく低廉な料金による携帯電話サービスを実現します。加えて、電気通信事業分野における競争ルールについて、引き続き検証を進め、必要な制度整備を行うべく、年内を目途に結論をまとめます。
 さらに、本年五月に成立した改正放送法の下、NHK本体と子会社のコンプライアンス強化や、放送の補完としての節度あるインターネット活用業務の実施を確保します。
 あわせて、NHKを巡る課題について、民放との二元体制を踏まえつつ、引き続き必要な検討を進めます。
 国民の皆様が情報通信技術による果実を安心して享受し、経済社会が持続的に発展するためには、その基盤であるサイバー空間においてセキュリティが確保されることが何よりも重要です。5GやIoTを含めてセキュリティリスク対策を着実に進めるとともに、セキュリティ人材の育成を一層強化し、安心・安全なICT利用環境を整備します。
 加えて、G20の結果を踏まえ、AI原則の国際的な普及・展開やデータ流通に関する国際的な共通認識の醸成を図るなど、ICT分野に関する国際連携の取組を積極的にリードします。
 また、デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境の整備に向けて、デジタル市場競争本部における検討に積極的に貢献します。
 さらに、産業競争力の向上のため、量子技術や同時翻訳をはじめとするAIなどの最先端の情報通信技術の研究開発・標準化を行います。
 一方で、デジタル・ガバメントの実現に向け、国・地方を問わず、行政機関自身が、ICTの更なる活用による業務改革に取り組み、行政サービスの質の向上や業務の効率化を進める必要があります。情報セキュリティの確保された政府の情報システム環境を整備するとともに、行政手続のデジタル化を含む従来の業務プロセス全体を見直すことにより、国民の皆様の利便性を高めます。
 また、地方団体の情報システムの標準化や様式・帳票の標準化を検討するとともに、クラウド化の更なる進展を見据え、地方団体の業務の効率性と両立したセキュリティ対策について検討します。
 さらに、デジタル社会にとって不可欠な基盤となるマイナンバー制度については、令和2年度に実施予定のマイナンバーカードを活用した消費活性化策の検討や、同カードの健康保険証としての利用の準備を、関係府省と連携して進めるとともに、市区町村におけるカード交付体制を整備するなど、マイナンバーカードの普及を強力に進めます。

安定的な地方行財政基盤の確保

 第三に、安定的な地方行財政基盤を確保します。
 令和2年度の地方財政については、「新経済・財政再生計画」を踏まえ、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源総額について、令和元年度地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保していきます。
 地方税制については、税源の偏在性を小さくするための改革が進められてきましたが、引き続き、地方税の充実確保に向けた検討に取り組みます。また、納税者の利便性の向上と地方団体の課税事務の効率化などを図るため、地方税の電子化を進めていきます。
 

防災・減災/復旧・復興

 第四に、防災・減災、復旧・復興に取り組みます。
 本年は、8月の大雨による九州北部での災害、台風第15号、台風第17号、台風第19号などによる災害が相次ぎました。
 特に台風について、総務省では、自治行政局公務員部や総合通信基盤局などの総務省職員を被災自治体に直ちに派遣するとともに、罹災証明のための家屋調査や避難所運営などの支援のため、昨年創設した、大規模災害発生時の全国一元的な応援職員派遣の仕組みを活用し、昨日までに、台風第15号においては、延べ約3,900人、また台風第19号においては、延べ約1,600人の自治体職員をそれぞれ被災自治体に派遣しました。
 これに加えて、総務省消防庁では緊急消防援助隊を派遣し、地元消防とともに、人命救助や要救護者の転院搬送を実施したほか、浸水被害の大きい地域で安否確認を徹底するため、戸別訪問など「ローラー作戦」を実施しました。
 さらに、行政評価局では、被災された方々への速やかな情報提供、きめ細かな相談を無料で行う「特別行政相談所」を開設し、また、「災害専用フリーダイヤル」を速やかに開設することとしています。
 こうした対応は災害時には不可欠であり、今後も引き続き取り組みます。
 あわせて、被災地の復旧・復興事業を支援する自治体職員の中長期派遣について、積極的に働きかけを行うなど、その人材確保に向け、引き続き取り組みます。
 また、被災地の実情を伺いながら、復旧・復興に向け、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じ、被災自治体の財政運営に支障が生じることがないよう、適切に対応していきます。今般の台風第19号などにおいては、被災自治体の要望を伺いながら、普通交付税の繰上げ交付を行いました。
 さらに、災害時の情報伝達を確実にするため、非常時には総務省から被災自治体に対し、簡易無線や衛星携帯電話、移動電源車を貸し出すほか、平時からLアラートの高度化と利用の促進、防災拠点などへのWi-Fi環境の整備や放送ネットワークの強靱化を進めます。また、防災行政無線の戸別受信機やラジオの活用をはじめとした災害時の情報伝達手段の強化と多言語化もあわせて進めます。台風第15号における長期停電時の通信障害については、通信事業者各社と検証を行い、再発防止に向けた協力体制を更に強化します。
 加えて、電話で救急相談サービスを提供する「♯7119」や、聴覚・言語機能障害をお持ちの方が音声によらずに119番通報を行える「Net119」を全国に展開し、「救急ボイストラ」の活用も促進します。

持続可能な社会基盤の確保

 第五に、持続可能な社会基盤を確保します。
 行政評価・監視や行政相談については、生活者の視点を政策に活かす重要なツールであり、引き続き行政の実態や課題を国民の皆様に明らかにし、各府省に改善を強く働きかけていきます。
 あわせて、行政相談においてAIなどを活用し、災害・外国人対応を強化するとともに、政策評価における政策効果の分析手法を不断に改善し、実践の中で政府全体の評価の質を向上させていきます。
 また、公的統計に対する信頼回復に向けて、統計委員会からは再発防止に関する提言をいただき、統計改革推進会議においては、再発防止に留まらない総合的な対策について検討されています。これらを踏まえつつ、各府省と連携して、しっかりと改善策を講じていくことによって、公的統計の品質向上と信頼確保に力を注ぎます。
 さらに、来年は、調査開始から百年の節目を迎える「令和2年国勢調査」の年です。インターネット回答の推進や、多言語化などのバリアフリーに配慮した取組を進め、円滑かつ確実な調査の実施を目指します。
 郵政事業については、引き続き、ユニバーサルサービスを確保します。
 なお、今回、日本郵政グループにおいて、顧客本位を徹底できず、契約者に不利益を生じさせた問題が発生しました。日本郵政グループにおいては、不利益を受けた契約者の特定及び権利回復を早急に行うとともに、顧客本位のサービスの提供に向けた抜本的な改善策を検討していただく必要があります。総務省としても厳正に対処し、監督責任を果たしていきます。
 

むすび

 以上、所管行政の当面の課題と政策の方向性について申し上げました。副大臣、大臣政務官、職員とともに、総力をあげて取り組んでまいりますので、大口委員長をはじめ、理事、委員の先生方の御指導と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。 

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