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会見発言記事

第201回国会(常会)衆議院総務委員会における総務大臣発言(概要)

令和2年2月6日

はじめに

 総務委員会の御審議に先立ち、所信を申し述べます。
 まず、昨年末には、前事務次官の不適切な行為により、多くの皆様に御心配をおかけしました。行政は常に中立・公正でなければなりません。今後、公務に対する信頼を取り戻すべく、総務省一丸となって、全力で職務に取り組みます。
 今年に入って、私は、総務大臣に再任後、初めての海外出張として、ベトナム社会主義共和国を訪問しました。5Gにおけるサイバーセキュリティ確保の重要性や、電子政府の推進、人材育成の重要性などについて両国で意見が一致し、情報通信と郵便の分野で覚書を結ぶとともに、消防や行政相談、統計の分野においても引き続き協力していくことを確認しました。日本企業の海外展開を促進する後押しにもつながる成果が得られ、総務省の総合力を発揮できた一例だったと存じます。
 今後、国内外を問わず、総務省が積極的に行動し、常に「生活者の視点」を忘れずに、国民の皆様にとって必要な施策を構築し、一つ一つ着実に成果を上げてまいります。
 以下、当面、特に力を入れて取り組みたい政策の方向性について、一端を申し述べます。
 

地域の活性化と東京一極集中の是正

 第一に、地域経済を活性化するとともに、地方への人の流れを創出します。
 まず、エネルギーの地産地消を進める「分散型エネルギーインフラプロジェクト」を拡充するとともに、地域の資源と資金を活用して地域密着型事業の立ち上げを支援する「ローカル10,000プロジェクト」を更に推進し、日本列島の隅々まで雇用と所得を拡大できるよう取り組みます。
 次に、地域と多様に関わる「関係人口」の創出・拡大の取組を深化させ、「関係人口」が全国各地で地域と関わり合いながら地域活性化に貢献する姿を目指します。
 また、「地域おこし協力隊」の拡大や任期満了後も定住して活躍できる環境の整備、「テレワーク」の全国規模での普及や地方におけるテレワーク拠点の整備を通じて、都市部から地方への人の流れを創出します。
 あわせて、過疎地域などの条件不利地域については、基幹集落を中心とした「集落ネットワーク圏」の形成を進めます。
 

Society5.0時代の地域社会

 第二に、利用者の皆様が安心して利用できるサイバー空間を前提として、最新技術を活かし、社会生活の高度化や効率化、新規産業の創出、働き方の多様化などにつなげることにより、地域ごとの強みを活かした持続可能な社会である「Society5.0時代の地域社会」を実現します。
 このため、データ流通を支える5GやIoTといったインフラのセキュリティ対策を強化するとともに、その着実な整備を進め、その先の「Beyond 5G」を見据えた技術開発にも取り組みます。また、セキュリティ人材の育成を一層強化し、安心・安全なICT利用環境を整備します。
 まず、これからの成長の原動力となる5Gについては、基地局を結ぶ光ファイバを含めた設備投資が課題です。5G投資促進税制や条件不利地域での整備支援により、都市と地方の区別なく、早期に全国展開されるよう、「ローカル5G」など地域における5Gの利活用促進策も講じながら、取組を進めます。
 次に、マイナンバー制度については、今年9月開始予定のマイナポイントによる消費活性化策や、令和3年3月から本格運用が予定される健康保険証としての利用、市区町村のカード交付体制の整備など、マイナンバーカードの普及・利活用のための様々な方策を、関係府省と連携して進めます。
 さらに、電波の更なる有効利用に向け、周波数の能率的な利用や安心・安全な電波利用環境を構築するため、「電波法の改正案」を、今国会に提出する予定です。
 また、国民生活の基幹的サービスである「電話」の利用環境をあらゆる国民の皆様に対して確保するとともに、電気通信市場のグローバル化などに対応し、利用者の皆様が安心してサービスを享受できるようにするため、「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律案」と「電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の改正案」を、今国会に提出する予定です。
 携帯電話については、昨年10月に施行された「改正電気通信事業法」や「SIMロック解除に関するガイドライン」の着実な執行、新規参入の促進やMVNOが主要な移動通信事業者のネットワークを利用する際の適正な条件と料金の確保などにより、モバイル市場における公正競争を一層促すことで、低廉で多様なサービスを実現できるよう取り組みます。
 加えて、デジタル・ガバメントによる行政の高度化・効率化も「Society5.0時代の地域社会」には欠かせません。ICTの徹底的な活用は、国・地方を問わず、行政の業務改革を促し、行政サービスの質の向上につながります。セキュリティの確保された情報システム環境を整備・維持するとともに、行政手続のデジタル化を強力に押し進めることにより、国民や住民の皆様にとって利便性の高い行政を実現します。
 また、AI原則の国際的な普及・展開やデータ流通に関する国際的な共通認識の醸成を目指すとともに、今年の春を目途に、総務省としての行動計画を策定して、国際競争力を強化し、国際連携を積極的にリードします。
 さらに、暗号が容易に解読されると懸念されている量子コンピュータ時代に突入し、重要インフラ保護や産業競争力強化のため、研究開発の重要性が高まっていることから、量子技術などの最先端の情報通信技術の研究開発・標準化を、引き続き進めます。

安定的な地方行財政基盤の確保

 第三に、安定的な地方行財政基盤を確保します。
 令和2年度地方財政計画については、地方団体が安定的に財政運営を行うことができるよう、令和元年度を上回る一般財源総額を確保するとともに、地方交付税総額を増額確保しつつ、臨時財政対策債を抑制します。
 また、会計年度任用職員制度の施行に伴う期末手当の支給などに要する経費についても、地方財政計画に増額計上し、必要な財源を確保しました。
 さらに、地方法人課税の偏在是正措置による財源を活用して、地方団体が地域社会の維持・再生に向けた幅広い施策に自主的・主体的に取り組むため、今回新たに「地域社会再生事業費」を、地方財政計画に計上しました。
 また、「まち・ひと・しごと創生事業費」1兆円のほか、河川氾濫による浸水被害などの未然防止対策を進めるための新たな経費である「緊急浚渫推進事業費」など、所要の経費を適切に計上しました。
 これらの内容を踏まえた「地方交付税法等の改正案」を、今国会に提出しています。
 あわせて、令和2年度の地方税制改正について、現下の経済社会情勢などを踏まえ、所有者不明土地などに係る固定資産税の課税上の課題に対応するとともに、個人住民税における未婚のひとり親に対する税制上の措置や寡婦控除などの見直し、電気供給業に係る法人事業税の課税方式の見直しなどを行うこととしています。こうした内容の「地方税法等の改正案」も、今国会に提出しています。
 次に、現在、地方制度調査会において、地域・組織の枠を超えた連携や、情報通信技術を活用した対応策など、人口減少に対応するために必要な地方行政体制のあり方について審議されています。
 今年度末で期限切れを迎える「合併特例法」について、同調査会の答申を踏まえ、引き続き、自主的な市町村合併が円滑に進むようにするための措置が講じられるよう、現行法の期限を10年間延長する「合併特例法の改正案」を、今国会に提出しています。
 加えて、地方公務員の定年の基準となる国家公務員の定年を段階的に引き上げる法案を踏まえ、地方公務員について、いわゆる役職定年制などを導入するため、「地方公務員法の改正案」を、今国会に提出する予定です。
 また、「就職氷河期支援プログラム」において、氷河期世代の方々の支援に今後3年間集中的に取り組むこととされており、地方公務員の中途採用についても、地方団体における全体像を把握し、情報提供をしながら、取組が進むよう働きかけます。

防災・減災/復旧・復興

 第四に、防災・減災、復旧・復興に取り組みます。
 まず、「閣僚全員が復興大臣」との内閣の方針の下、東日本大震災からの復旧・復興に、引き続き取り組みます。
 また、今年の夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた安心・安全対策に万全を期します。
 昨年は、台風や集中豪雨など自然災害が相次ぎました。
 総務省が地方三団体などと創設した大規模災害発生時の全国一元的な応援職員派遣の仕組みにより、延べ約1万3,700人の自治体職員の方々が、被災地に派遣されました。御協力を賜りました地方団体の皆様に、感謝申し上げます。
 現在、政府内で進めている一連の災害の検証作業を踏まえ、地方団体が災害応急対策などを迅速かつ的確に遂行できるような体制を構築していきます。
 また、被災地の復旧・復興事業を支援できる技術職員の不足が指摘されています。令和2年度からは、都道府県などで技術職員を増員し、平時には地元市町村を支援するとともに、災害発生時には被災地への中長期の応援派遣要員を確保するための新たな仕組みを創設します。
 災害発生時の情報伝達を確実にするため、防災行政無線の戸別受信機の整備が進んでいない市町村に対して導入を加速させるとともに、平時からLアラートの高度化と利用促進、防災拠点などへのWi-Fi環境の整備や放送ネットワークの強靱化を進めます。災害発生後の通信障害対策に関しても、通信設備の予備電源の長時間化や、復旧情報のオープン化などに取り組みます。
 さらに、南海トラフ地震、首都直下地震のような大規模災害や近年頻発する風水害など、様々な災害に対応するため、緊急消防援助隊の強化、消防団員の処遇改善、救助用資機材の更なる配備など、消防力を充実・強化します。

持続可能な社会基盤の確保

 第五に、持続可能な社会基盤を確保します。
 まず、社会の重要な情報基盤である公的統計に対する信頼回復に向けて、統計委員会による再発防止提言と統計改革推進会議で取りまとめられた総合的な対策を踏まえ、「公的統計基本計画」を改定し、これに盛り込まれた改善策を各府省と連携して実行し、公的統計の品質向上と信頼確保に力を尽くします。
 また、今年実施する「国勢調査」においては、インターネット回答の推進や、多言語化などの取組だけではなく、企業や各種団体の活動とのコラボレーションを進め、円滑で確実な調査により、正確な最新データを確保します。
 次に、持続可能な社会づくりのためには、生活者の視点も含め客観的な観点から行政の実態や課題を把握し、行政自らが改善を続けていく取組が重要となります。各地域の行政相談委員にも協力いただきながら、行政評価・監視や行政相談といったツールを通じ、各府省に改善を強く働きかけます。あわせて、外国人への対応にAIを活用するなど、行政相談の機能を強化するとともに、政策効果の分析手法を不断に見直し、政府全体の政策評価の質を向上させていきます。
 さらに、持続可能な社会基盤の前提として、引き続き、若者への主権者教育の推進や投票しにくい状況下にある有権者の皆様の投票環境の整備に努め、投票率の向上を目指します。
 加えて、NHKについては、国民目線に立った公共放送のあり方について、「業務」「受信料」「ガバナンス」の三位一体で改革を進めていく必要があり、有識者会議を通じて検討していきます。
 最後に、郵政事業については、引き続き、社会基盤としてユニバーサルサービスを確保します。日本郵政グループに関しては、昨年、かんぽ生命保険の不適切営業など、様々な問題・課題が発覚しました。総務省として、同グループへの監督責任をしっかりと果たしてまいります。
 

むすび

 以上、所管行政の当面の課題と政策の方向性について申し上げました。
 副大臣、大臣政務官、職員とともに、一丸となって国民の皆様や国家のために全力で職務に取り組んでまいりますので、大口委員長をはじめ、理事、委員の先生方の御指導と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
 

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