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会見発言記事

第203回国会(臨時会)衆議院総務委員会における総務大臣発言(概要)

令和2年11月10日

  総務大臣を拝命しました武田良太でございます。
  総務委員会の御審議に先立ち、所信を申し述べます。
 
  まず、先般の令和二年七月豪雨や台風第十号、台風第九号、台風第十四号などの自然災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、御遺族にお悔やみを申し上げますとともに、被災されました全ての皆様方に心からお見舞いを申し上げます。
 
  菅内閣が目指す社会像は「自助・共助・公助、そして絆」です。行政の縦割りや前例主義を打破して、既得権益にとらわれずに規制の改革を全力で進める「国民のために働く内閣」として、国民の期待に応えていく必要があります。
 
  とりわけ総務省は、国民生活に密着した分野が多く、新たな国家像、社会構造を築く上での基盤となる多くの政策を担っています。新型コロナウイルス感染症への対応と地域経済の活性化との両立を図りつつ、ポストコロナ時代にふさわしい質の高い経済社会の構築に向け、私が先頭に立って取り組んでいく覚悟です。
 
  以下、当面、特に力を入れて取り組みたい政策の方向性について、一端を申し述べます。
 第一に、社会全体のデジタル変革を、サイバーセキュリティを確保しつつ加速させることにより、都市・地方の別なく、国民が安心して生活でき、業務を継続できる「新たな日常」を構築していきます。
 
  まず、社会全体のデジタル化を実現するためには、行政のデジタル化を徹底し、行政サービスの質の向上や業務の効率化を進めることが不可欠です。デジタル化を前提とした業務の見直しを推進するとともに、各府省が共通で利用する情報システムの効率的な整備や安定的な運用に取り組むことにより、国民の皆様がデジタル化の利便性を実感できる社会をつくります。
 
  また、地方団体におけるデジタル化において、「情報システムの標準化」はその基盤となるものであり、地方団体の意見を丁寧に聴きながら、しっかりと取り組んでまいります。標準化に伴う業務の見直しや手続オンライン化などに各地方団体が取り組んでいただけるよう年内に、総務省として、地方団体のデジタル化を推進する計画を策定してまいります。

  個人情報保護制度については、内閣官房等と連携し、国・独立行政法人等・民間の制度の一元化に向けた検討と歩調を合わせ、地方団体の制度について、全国的な共通ルールを法律で設定することなど、具体的な検討を地方団体の意見を丁寧に伺いながら進めます。
 
  あわせて、マイナンバーカードについては、その普及拡大に向け、私から都道府県知事、市区町村長に一層の取組を要請する書簡を発出いたしました。マイナポイント事業や健康保険証としての利用開始など、その利活用策を関係府省と連携して推進するとともに、住民への申請促進と円滑な交付のための体制を支援し、その普及を加速させてまいります。
 
  次に、「新たな日常」の構築には、テレワークや遠隔教育・遠隔医療を支える情報通信基盤の整備が不可欠です。5Gや光ファイバ等の一刻も早い全国整備に取り組むとともに、地域の課題解決に資する「ローカル5G」の普及展開を促進してまいります。
 
  携帯電話は今や国民にとって生活必需品であり、国民の命にも関わる重要なインフラでもあります。国民の目線で見て、「安く」「わかりやすく」「納得感のある」料金・サービスの早期の実現に向けて、先般公表した「アクション・プラン」に基づき、事業者間の競争が働く環境づくりを行います。

  また、社会全体のデジタル変革の中で、誰もがその果実を享受できるようにしなければなりません。国民の誰もがデジタル機器を使いこなし、必要な情報を入手・活用できる環境の構築に向けて、総合的に支援します。
 
  国民の皆様が安心してデジタル技術を利用するために、安心・安全で信頼できるサイバー空間の確保は極めて重要です。このため、サイバーセキュリティに関する情報の分析と人材の育成に一体的に取り組む環境を構築するとともに、量子暗号通信など最先端の技術開発に戦略的に取り組みます。
 
  また、国民一人一人の利用方法も重要です。個人の人格を傷つけるなどの誹謗中傷は許されません。発信者情報開示に関する制度整備に取り組むとともに、情報モラルやICTリテラシー向上のための啓発活動を実施するなど、総合的な対策を講じます。
 
  あわせて、ポストコロナを見据えた産業競争力の向上に向け、5Gのその先である「Beyond 5G」を見据えた技術開発に、官民の英知を結集して取り組みます。また、我が国の企業がグローバル市場で戦う後押しをするために、知的財産の獲得や研究開発成果の国際標準化を戦略的に進めてまいります。
 
  さらに、世界のデジタル変革への貢献に向け、5G、光海底ケーブルなどの海外展開を図るとともに、AIの利用やデータの流通に関する国際的な共通認識の醸成を進めます。また、放送コンテンツの海外展開を支援し、地域の魅力を世界に発信していきます。あわせて、郵便、消防、行政相談、統計などの国民生活に広く関わる分野についても、総務省の政策資源を総動員し、国際展開を進めてまいります。
  第二に、密な都市生活を回避する新たな価値観が芽生え、国民の意識や行動が変容してきているこのタイミングを捉え、東京一極集中の是正に向けて、ポストコロナの社会に向けた地方回帰を支援してまいります。
 
  まず、「地域おこし協力隊」の強化や任期満了後も定住して活躍できる環境の整備、地域と多様に関わる「関係人口」の創出・拡大の取組の深化を通じて、都市から地方への人の流れを創出します。
  また、テレワークの全国規模での普及や、サテライトオフィス環境の整備を推進することにより、地域によらず新しい働き方や暮らし方が可能となるよう取り組んでまいります。
 
  次に、地域の資源と資金を活用して地域密着型事業の立ち上げを支援する「ローカル一〇,〇〇〇プロジェクト」やエネルギーの地産地消を進める「分散型エネルギーインフラプロジェクト」のさらなる推進を通じて、自立分散型地域経済の構築に取り組みます。
 
  あわせて、過疎法の期限切れを見据えた新たな過疎対策にも取り組んでまいります。
 第三に、防災・減災、国土強靭化の推進に取り組みます。
 
  まず、「閣僚全員が復興大臣」との強い思いの下、東日本大震災からの復旧・復興に全力で取り組みます。
 
  本年も集中豪雨など自然災害が相次いでいます。
  令和二年七月豪雨においては、短期の応援派遣として、延べ約六千四百人の職員の方々が被災地に派遣されました。御協力を賜りました地方団体の皆様に、感謝申し上げます。
 
  なお、技術職員の不足に対応するため、本年度創設した復旧・復興支援技術職員派遣制度を今回の災害に初めて活用したところです。引き続き、被災地等を支援できる技術職員の確保に取り組んでまいります。
 
  総務省消防庁では十三県から延べ四千八百六十六人の緊急消防援助隊を派遣し、地元消防とともに、人命救助や要救護者の救急搬送、孤立集落での食糧等の物資搬送を実施しました。今後も、実践的な訓練を実施し、その能力をさらに向上させていきます。
 
  また、被災地の実情を伺いながら、復旧・復興に向け、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じ、被災自治体の財政運営に支障が生じることがないよう、適切に対応していきます。
 
  次に、地方団体が新型コロナウイルス感染症拡大防止にも留意しながら、災害応急対策などを迅速かつ的確に遂行できるような体制を構築するとともに、消防団、自主防災組織など、自助、共助による地域防災力の向上を図ります。
 
  また、救急隊員の感染防止対策や資器材の整備を推進するとともに、救急搬送体制の充実強化を図ります。
 
  住民が急な病気などの際に救急車を呼ぶべきか相談できる、「♯7119」の全国展開を推進していきます。
 
  さらに、災害時における通信インフラの早期復旧に向けた官民の連携・協力体制の整備等に引き続き取り組むとともに、地域の情報通信基盤であるケーブルテレビネットワークの光化を進め、災害情報を共有するためのシステムであるLアラートの活用を促進するなど、災害時にも情報を確実に届けられる環境の整備に取り組んでまいります。
 
  加えて、行政評価局では、被災された方々への速やかな情報提供、きめ細かな相談を無料で行う「特別行政相談所」や「災害専用フリーダイヤル」を速やかに開設します
  第四に、経済・社会を支える地方行財政基盤を確保します。
 
  令和三年度の地方財政については、地方税等の大幅な減収が見込まれる中、「新経済・財政再生計画」を踏まえ、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源総額について、令和二年度地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保してまいります。
 
  近年、災害が激甚化・頻発化していることから、地方団体が防災・減災、国土強靱化を一層推進できるよう、緊急自然災害防止対策事業債について、国の対策の動向等を踏まえつつ適切に対応するとともに、緊急防災・減災事業債の事業期間については、延長する方向で検討を進めてまいります。
 
  また、地方税制については、地方分権推進の基盤となる地方税収を確保しつつ、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組みます。また、納税者の利便性の向上と地方団体の課税事務の効率化などを図るため、地方税務手続のデジタル化を進めていきます。
 
  あわせて、地方団体におけるテレワークの推進をはじめ、ポストコロナの社会も見据えた地方公務員の働き方改革に取り組んでまいります。
 
  また、会計年度任用職員制度について、地方団体における施行状況を把握し、引き続き、適正な運用が図られるよう取り組んでまいります。
 
  国及び地方における公務員の定年引上げに関し、地方公務員の定年引上げについては、地方公務員法の改正案をさきの通常国会に提出し、継続審議となっているところであります。
 
  さらに、二〇四〇年頃にかけて顕在化する人口構造等の変化やリスクに的確に対応し、持続可能な形で行政サービスを提供していくため、連携中枢都市圏をはじめ、地方団体間の多様な広域連携を進めます。
 
  第五に、持続可能な社会基盤を確保します。
 
  まず、郵政事業については、引き続き、社会基盤としてユニバーサルサービスを確保します。
 
  昨年発覚した、かんぽ生命保険の不適切募集については、日本郵政グループは本年十月から信頼回復に向けた業務運営を開始しました。総務省としては、引き続き、同グループへの監督責任をしっかりと果たしてまいります。
 
  また、郵便サービスの安定的な提供や働き方改革の観点から、郵便の配達頻度等の見直しを行うため、郵便法等の改正法案を今国会に提出しています。
 
  次に、NHKについては、国民・視聴者の皆様の受信料で成り立つ公共放送として、国民・視聴者目線に立った形での「業務」、「受信料」、「ガバナンス」の三位一体の改革を推進し、具体化するために必要な措置を講じてまいります。
 
  今回が百年目となる国勢調査については、一部の市町村を除き、十月二十日をもって調査期間を終了しました。多くの皆様の御協力に感謝を申し上げます。国勢調査は、国や地方団体の政策立案の基礎資料となる大変重要な調査です。今後は、来年六月に人口の速報を公表するべく、鋭意取り組んでまいります。

  また、社会の重要な情報基盤である公的統計について、その品質向上と信頼確保のために改定した「公的統計基本計画」に基づき、これに盛り込まれた施策を各府省と連携して実行します。
 
  加えて、国民の目線を踏まえ、各地域の行政相談委員などの協力を得ながら、行政評価・監視により行政の実態や課題を把握し、各府省に改善を強く働きかけていきます。
 
  さらに、新型コロナウイルス感染症や災害などで困っている方々への積極的な情報発信や、外国人の相談者への対応など、行政相談の充実を図るとともに、各府省によるEBPMの実践を後押しし、政府全体の政策評価の質を向上させていきます。
 
  加えて、若者への主権者教育の推進や投票しにくい状況下にある有権者の投票環境の整備に引き続き努めます。
 
  以上、所管行政の当面の課題と政策の方向性について申し上げました。
 
  副大臣、大臣政務官、職員とともに、一丸となって国民の皆様や国家のために全力で職務に取り組んでまいりますので、石田委員長をはじめ、理事、委員の先生方の御指導と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

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