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会見発言記事

第204回国会(常会)衆議院総務委員会における総務大臣発言(概要)

令和3年2月9日

はじめに

 総務委員会の御審議に先立ち、所信を申し述べます。
 まず、昨年末からの大雪において、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、御遺族にお悔やみを申し上げますとともに、除雪中の事故等により負傷された皆様方に心からお見舞いを申し上げます。
 また、今般、総務省幹部職員の行動について、国民の疑念を招く事態となったことに関し、総務大臣としてお詫び申し上げます。総務省職員には、改めて、公務員倫理の遵守を強く意識した行動をとるよう指示したところです。今後、行政に対する信頼を取り戻すべく、総務省一丸となって、全力で職務に取り組みます。
 総務省は、新たな国家像、社会構造を築く上での基盤となる多くの政策を担っています。デジタル変革を通じた新しい地域と社会の構築に向け、昨年9月の大臣就任以来、私が先頭に立って職務にあたってまいりました。
 その成果の一端を挙げれば、まず、携帯電話の料金については、事業者間の競争が働く環境づくりを通じて、各事業者から低廉な新料金プランが発表されるなど選択肢が広がりつつあります。
 また、社会全体のデジタル変革と「新たな日常」の構築に向け、国・地方を通じた行政のデジタル化やデジタル庁の創設について、関係大臣と協力し昨年末に基本方針を策定するなど、着実に前に進めています。
 さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により地方税等が大幅な減少となる中、令和2年度の減収補填債の対象税目を拡大するとともに、令和3年度地方財政計画において交付団体ベースの一般財源総額、地方交付税総額ともに前年度を上回る額を確保するなど、地方にしっかりと軸足を置いた政策が実現できる環境を整えました。
 引き続き改革の手を緩めず、一つ一つの課題に正面から取り組み、結論を出していきたいと考えております。
 以下、当面、特に力を入れて取り組みたい政策の方向性について、一端を申し述べます。

デジタル変革の加速による「新たな日常」の構築

 第一に、社会全体のデジタル変革の加速により、「新たな日常」を構築していきます。
 まず、行政のデジタル化を徹底し、行政サービスの質の向上や業務の効率化を進めるため、各府省が共通で利用する情報システムの効率的な整備や安定的な運用に取り組みます。地方団体の情報システムについては、「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案」を今国会に提出するとともに、2025年度を目標時期として、地方団体がクラウド活用を原則とした標準準拠システムに円滑に移行できるよう、関係府省と連携し、財源面を含めた支援を行ってまいります。昨年末に策定した「自治体デジタル・トランスフォーメーション推進計画」に基づき、地方団体のデジタル化を進めます。
 マイナンバーカードの普及拡大については、未取得者への申請書の個別送付を行うとともに、マイナポイント事業の対象者を3月末までにカードを申請した方にまで拡大し、事業期間を9月まで延長することとしています。また、住民への申請促進と円滑な交付のための体制整備を支援するとともに、関係府省と連携し、健康保険証としての利用やカード機能のスマートフォン搭載など、利活用・利便性向上を推進してまいります。
 次に、「新たな日常」の構築には、テレワークや遠隔教育等を支える情報通信基盤の整備が不可欠です。電波の更なる有効利用に取り組み、5Gや光ファイバを一刻も早く全国に整備するとともに、新たな価値の創造に資する「ローカル5G」の展開を促進します。
 携帯電話の料金については、昨年公表した「アクション・プラン」や、公正取引委員会、消費者庁との連携強化のために内閣府特命担当大臣と開催した「二大臣会合」に基づく取組を通じて、引き続き、消費者の立場に立って、事業者間の競争が働く環境づくりを行います。
 また、社会全体のデジタル変革の中、誰もがデジタル機器を使いこなすことができる環境の構築に向け、地域の幅広い関係者と連携しつつ、オンラインによる行政手続等に関して高齢者等に対する支援を行います。
 あわせて、安心・安全で信頼できるサイバー空間の確保のため、サイバーセキュリティに関する情報分析と人材育成に一体的に取り組む環境の構築や、量子暗号通信などの技術開発に取り組みます。
 また、SNS上の誹謗中傷対策として、発信者情報の開示命令などの裁判手続を創設し、被害者の迅速な救済を図るための「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の改正案」を今国会に提出します。あわせて、啓発活動や相談体制の強化など、総合的な対策を進めます。
 さらに、将来の社会産業基盤である「Beyond 5G」を見据えた研究開発に、国立研究開発法人情報通信研究機構に設置する基金を活用し、官民の英知を結集して取り組むとともに、知的財産権の取得や国際標準化を推進します。
 加えて、世界のデジタル変革へ貢献すべく、5G、光海底ケーブルなどの海外展開を図るとともに、AIの利用やデータの流通に関する国際的な共通認識を醸成します。また、地域の魅力を紹介する放送コンテンツの制作、世界への発信を支援します。あわせて、郵便、消防、行政相談、統計などの国際展開を進めます。

ポストコロナの社会に向けた地方回帰支援

 第二に、東京一極集中の是正に向けて、ポストコロナの社会に向けた地方回帰を支援してまいります。
 まず、「地域おこし協力隊」に短期の「インターン制度」を創設するとともに、新たに「地域プロジェクトマネージャー」を創設します。また、テレワークの普及やサテライトオフィス環境の整備、二地域居住の推進により、地域によらず新しい働き方や暮らし方が可能となるよう取り組みます。
 次に、地域の資源と資金を活用して地域密着型事業の立ち上げを支援する「ローカル10,000プロジェクト」や、エネルギーの地産地消を進める「分散型エネルギーインフラプロジェクト」の推進を通じ、自立分散型地域経済の構築に取り組みます。
 さらに、過疎法の期限切れを見据えた新たな過疎対策にも取り組んでまいります。

防災・減災、国土強靱化の推進

 第三に、防災・減災、国土強靱化の推進に取り組みます。
 まず、「閣僚全員が復興大臣」との強い思いの下、東日本大震災からの復旧・復興に全力で取り組みます。
 また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた安全・安心対策に万全を期します。
 昨年も集中豪雨など自然災害が相次ぎました。
 「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を踏まえ、「緊急自然災害防止対策事業費」及び「緊急防災・減災事業費」について、対象事業を拡充し、事業期間を5年間延長します。あわせて、昨年、農林水産大臣及び内閣府防災担当大臣と開催した「三大臣会合」における合意内容を踏まえ、防災重点農業用ため池等について「緊急浚渫推進事業費」の対象施設に追加するなど地方財政措置を拡充します。
 技術職員の不足に対応するため、復旧・復興支援技術職員派遣制度について、引き続き必要な派遣要員を確保し、被災団体の応援ニーズに応えられるよう取り組みます。
 次に、地方団体が感染拡大防止にも留意しながら、災害応急対策などを迅速かつ的確に遂行できるような体制を構築するとともに、消防団、自主防災組織など、自助、共助による地域防災力の向上を図ります。特に、地域防災力の中核をなす消防団については、団員数が2年連続1万人以上減少する危機的な状況にあることから、現在、処遇改善など団員確保に向けた方策を検討しており、積極的な取組を進めてまいります。
 地域衛星通信ネットワーク整備など国・地方の連絡・通信手段のバックアップ機能強化、緊急消防援助隊の車両・資機材の充実に取り組みます。
 火災予防関係手続の電子化など消防分野のデジタル・トランスフォーメーションの推進、救急隊員等の感染防止対策、住民が急な病気などの際に救急車を呼ぶべきか相談できる、「♯7119」の全国展開などに取り組みます。
 さらに、災害時における通信基盤の早期復旧に向けた官民の連携体制の整備等を進めるとともに、ケーブルテレビネットワークの光化や、災害情報を共有するLアラートの活用を促進し、災害時にも情報を確実に届けられる環境を整備します。

経済・社会を支える地方行財政基盤の確保

 第四に、経済・社会を支える地方行財政基盤を確保します。
 まず、令和3年度地方財政計画については、冒頭述べたように交付団体ベースで令和2年度を上回る一般財源総額を確保するとともに、地方交付税総額を増額確保することに加え、地域社会のデジタル化を集中的に推進するため、新たに「地域デジタル社会推進費」を計上しました。
 また、防災・減災、国土強靱化の推進のため、「緊急自然災害防止対策事業費」及び「緊急防災・減災事業費」の対象事業を拡充するとともに、「緊急浚渫推進事業費」の対象施設を追加するなど、所要の経費を適切に計上しました。これらの内容を踏まえた「地方交付税法等の改正案」を今国会に提出しています。
 次に、令和3年度税制改正については、現下の経済情勢などを踏まえ、固定資産税の令和3年度の評価替えに当たり、現行の土地に係る負担調整措置等を継続した上で、令和3年度に限り、負担調整措置等により課税標準額が増加する土地について前年度の課税標準額に据え置く特別な措置を講ずるとともに、住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の税率の特例措置の適用期限の延長、自動車税及び軽自動車税の環境性能割の税率区分等の見直しなどを行うこととしています。こうした内容の「地方税法等の改正案」も、今国会に提出しています。
 さらに、地方団体におけるテレワークの推進をはじめ、地方公務員の働き方改革に取り組んでまいります。また、会計年度任用職員制度について、引き続き、適正な運用が図られるよう取り組みます。
 なお、地方公務員の定年引上げについては、「地方公務員法の改正案」を昨年の通常国会に提出し、継続審議となっているところです。
 2040年頃にかけて顕在化する人口構造等の変化やリスクに対応し、持続可能な形で行政サービスを提供するため、地方団体間の多様な広域連携を進めます。

持続可能な社会基盤の確保

 第五に、持続可能な社会基盤を確保します。
 まず、郵政事業については、引き続き、社会基盤としての信頼回復が行われるよう、監督責任をしっかり果たすとともに、ユニバーサルサービスを確保します。また、デジタル時代における郵政事業の利便性向上等の方策を検討するため、引き続き、郵便局ネットワークや莫大なデータを活用した新たなビジネスモデルの構築について議論してまいります。
 次に、NHKについては、受信料の適正かつ公平な負担を図るための「放送法の改正案」を今国会に提出し、国民・視聴者の立場に立って、月額で1割を超える思い切った受信料の引下げにつなげます。
 さらに、国勢調査については、本年6月に人口の速報を公表するべく、鋭意取り組みます。また、我が国の経済の実態把握に向けて、本年6月に全ての事業所・企業を対象とする経済センサス活動調査を実施します。
 社会の重要な情報基盤である公的統計の品質向上と信頼確保のために改定した「公的統計基本計画」に盛り込まれた施策を着実に実行します。
 加えて、行政評価局調査については、ポストコロナ時代の喫緊の課題を探り、その迅速な改善につなげていきます。また、各府省の政策評価の取組を制度官庁の立場から支援します。
 行政相談については、行政相談委員と協働しながら、困っている方々への積極的な情報提供や外国人相談、コロナ時代の新しい相談などに取り組みます。なお、今年は行政相談委員制度が60周年を迎えます。これを機に、国民への広報、関係機関との一層の連携に取り組んでまいります。
 最後に、主権者教育や投票しにくい状況下の有権者の投票環境整備に努めます。

むすび

 以上、所管行政の当面の課題と政策の方向性について申し上げました。
 副大臣、大臣政務官、職員とともに、一丸となって国民の皆様や国家のために全力で職務に取り組んでまいりますので、石田委員長をはじめ、理事、委員の先生方の御指導と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

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