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会見発言記事

総務委員会における総務大臣発言

平成21年11月20日

はじめに

 このたび総務大臣を拝命いたしました原口一博でございます。
 総務委員会の御審議に先立ち、一言御挨拶申し上げます。
 私は、疲弊した地域の活性化に全力で取り組み、地方の自主財源を増やし、地域主権の新しい国づくりを進めるとともに、郵政事業改革、新たなICT政策の展開、国民の生命・健康・生活を守る行政、そして行政改革を進めてまいります。
 以下、重要課題について申し上げます。

I 地域主権の確立

 「地域主権改革」は鳩山内閣の一丁目一番地の改革です。
 明治以降の中央集権体質から脱却し、地域の住民一人ひとりが自ら考え、主体的に行動し、その行動と選択に責任を負えるよう、この国のあり方を、大きく転換していくことが必要です。
 地方分権改革推進委員会においてとりまとめられた「第三次勧告」が十月八日に、「第四次勧告」が十一月九日に鳩山総理に提出されました。この勧告を真摯に受け止め、「国と地方の協議の場の法制化」及び「義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大」について、直ちに所要の準備を進め、その実現に全力を尽くします。
 そして、地域主権政策を更に検討、推進するため、十一月十七日に、鳩山総理をトップとする「地域主権戦略会議」を設置しました。地域主権改革を政治主導で進めてまいります。
 地方が自立的・持続的な地域経営をできるように、森林等の豊かな自然環境、地域において生産される食料、エネルギー、あるいは歴史文化資産等の地域資源を最大限活用する「緑の分権改革」を推進し、地域の自由と自給力を高める地域主権型社会の構築を目指してまいります。
 市町村合併については、全国的な合併の推進は現行特例法が失効する今年度末をもって一区切りとすることとし、市町村が自主的に合併をする際に障害となることがないように新しい合併法制を整備するとともに、市町村間の広域連携制度の充実を図ってまいります。
 あわせて、基礎自治体が相互に役割分担して連携する「定住自立圏構想」の推進により、圏域ごとに生活に必要な機能を確保して、地域住民の生命と暮らしを守ります。また、現行過疎法の来年三月末の失効を踏まえ、「コンクリートから人へ」という考え方も取り入れた新たな取り組みも含め、切れ目のない過疎対策を講じてまいります。
 三位一体改革により疲弊した「地方の再生」を図るためには、地方の自主財源の充実、強化が必須です。そこで、平成二十二年度の概算要求においては、交付税率の引上げとともに、事項要求を含め、地方交付税を一兆円以上増額する要求を行いました。
 そして、国から地方へのいわゆる「ひもつき補助金」は廃止し、基本的に地方が自由に使える 「一括交付金」を、順次スタートできるように検討を進めてまいります。
 また、国直轄事業における負担金制度の廃止に向け、地方からのご意見も十分にお聞きしながら、着実に取り組んでまいります。
 第三セクター等の改革を引き続き推進するとともに、地域医療の提供体制を確保できるよう公立病院への財政措置を充実します。
 さて、租税制度は、国と地方のあり方を決める根幹です。国と地方が対等な立場で議論をし、先般発足した新しい税制調査会において結論を得ていく必要があります。
 私は、税制調査会の会長代行として、また地方税を所管する立場から、「地域主権改革」を推進するため、地方の声をしっかりと踏まえながら、地方税の充実等の課題に取り組んでまいります。

II 郵政事業改革

 郵政事業に関しては、国民共有の財産である郵便局ネットワークを活用し、国民の権利を保障することが重要です。
 亀井郵政改革担当大臣と緊密に連携し、本年十月二十日に閣議決定された「郵政改革の基本方針」に基づいて、国民生活の確保、地域社会の活性化等のために、郵政事業の抜本的な見直しに取り組みます。
 改革への第一歩として、「日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案」を共同で提出しています。

III 新たなICT政策の展開

 ICTは、民主主義の基礎となるインフラであります。国民の権利の保障を重視した政策を新たに展開することにより、我が国のみならず、地球的規模において直面する経済的・社会的な諸課題に対応してまいります。
 このため、グローバルな視点から、過去の競争政策を見直すとともに、ICTの利活用による諸課題の解決策について検討するためのタスクフォースを設けたところであり、新たなICT政策の検討を進めてまいります。
 併せて、放送のみならず、インターネット上のコンテンツを含め、知的財産権の保護を図るとともに、報道・表現の自由を守る観点から、世界に類例のない「言論の自由を守る砦」となる組織の検討にも取り組んでまいります。
 このような検討を行いつつ、環境・教育・医療・チャレンジド(障がい者)対応等の分野での生活者の立場に立ったICT利活用の促進、インターネット上の違法・有害情報や、情報セキュリティの脅威等への対応を通じ、誰もが安心してICTを利用できる環境を整備し、安全・安心な街づくりや地域再生にも貢献してまいります。
 また、コンテンツ流通や電波の有効利用の一層の促進を図り、新たな関連市場を生み出すことを通じ、雇用の創出、持続的経済成長の実現を図ってまいります。
 利用者のICTへのアクセス手段の確保についても、本日で、残り六百十一日となった地上デジタル放送への完全移行に向け、受信者に関する相談体制の強化などの環境整備・支援を行うとともに、ブロードバンド・ゼロ地域や携帯電話不感地帯の解消に、引き続き、努めてまいります。
 このような国内での取組を推進すると同時に、我が国の潜在的な力を国際的にも発揮できるよう、地上デジタル放送日本方式の国際的な普及をはじめ、戦略的な国際展開の推進と、関連する国際標準化活動の推進により、ICT産業の国際競争力の強化を目指します。
 併せて、世界をリードする最先端技術の開発・普及、通信と放送の融合・連携に対応した制度の検討を進めます。
 さらに、総務省顧問となっていただいている首長の方々とテレビ会議を行うことといたしました。行政においてもICTを最大限活用して、より一層国民にとって便利で、かつ、スピーディーで効率的な行政サービスを目指して、電子政府・電子自治体の取組を推進してまいります。

IV 国民の生命・健康・生活を守る行政の推進

 年金記録問題について、国民の立場に立った年金記録確認第三者委員会の活動により、国民の年金への信頼の回復を図ってまいります。
 消防について、大臣就任後、緊急消防援助隊の合同訓練を視察し、日夜訓練に励む隊員の士気の高さを目の当たりにしました。国民の命を守るため、緊急消防援助隊をはじめ消防団など消防・防災体制の充実強化を図るとともに、円滑な救急搬送・受入体制を構築するため、消防と医療の連携を推進して参ります。

V 行政改革の推進

 真に国民のためとなり、ムダのない行政をつくるため、行政管理・行政評価の機能を駆使しながら、行政全般の徹底的な見直しを進めてまいります。
 その一環として、「契約における実質的な競争性確保に関する緊急実態調査」を行うよう指示したところです。各府省の一般競争契約において実質的な競争性が確保されていないと疑われるような実態、問題点等を明らかにしてまいります。
 また、独立行政法人について、行政刷新会議とも連携を図りつつ、契約の総点検を含め徹底した見直しに取り組みます。
 国家公務員の給与改定等については、去る八月の人事院勧告及び意見の申出どおり実施することを内容とする給与法等の改正法案を今国会に提出したところであり、各委員の御理解、御協力のほどをよろしくお願い申し上げます。
 公務員制度改革については、能力・実績に応じた処遇などの着実な実施に向けて、採用昇任等基本方針に沿った能力・実績主義の人事管理の徹底や人事評価制度の円滑かつ的確な運用を推進します。
 地方公務員についても、適正な定員管理の推進や、給与の一層の適正化を進めるなど、地方行革を着実に推進するとともに、能力・実績に基づく人事管理の徹底を図ってまいります。

VI その他

 国民生活に密接にかかわる国・地方の施策の最も基礎的なデータを提供し、我が国の座標軸となる平成二十二年国勢調査の実施に向けて、着実に準備を進めます。

むすび

 以上、所管行政の一端を申し上げました。
 副大臣、大臣政務官と共に全力で取り組んでまいりますので、近藤委員長を始め、理事、委員の皆様方の御指導を心からお願い申し上げます。

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