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会見発言記事

第174回国会(常会)総務委員会における総務大臣所信表明

平成22年2月18日

はじめに

 総務委員会の御審議に先立ち、所信の一端を申し上げます。
 昨年十二月、新たな成長戦略として「原口ビジョン」を発表しました。「緑の分権改革推進プラン」と「ICT維新ビジョン」を二つの柱として、「地域の自給力と創富力」を高めるとともに、鳩山内閣の一丁目一番地の改革である「地域主権改革」を進めてまいります。
 以下、重要課題について申し上げます。

I 地域主権の確立

 明治以降の中央集権体質から脱却し、地域の住民一人ひとりが自ら考え、主体的に行動し、その行動と選択に責任を負えるよう、この国のあり方を、大きく転換していくことが必要です。
 地域主権改革推進のため、内閣府に「地域主権戦略会議」を設置し、工程表として「原口プラン」をお示ししました。
 十二月十五日には、第一弾として、義務付け・枠付けの見直し、国と地方の協議の場の法制化、今後の推進体制の強化を盛り込んだ地方分権改革推進計画を策定し、このうち、法改正が必要な事項については、今国会に所要法案の提出を予定しています。
 また、地方自治の基本法である地方自治法の抜本的な見直し案をとりまとめるため、総務省に「地方行財政検討会議」を設置しました。同会議での検討結果を地方自治法改正案として、順次国会に提出してまいります。なお、議員定数の法定上限の撤廃、行政機関等の共同設置、市町村に対する基本構想の策定の義務付けの廃止などについては、前倒しして今国会に改正法案の提出を予定しています。
 こうした行財政制度の改革にあわせて、エネルギー、食料、あるいは歴史文化資産等の地域資源を最大限活用し、地域の活性化、絆の再生を図ることにより、中央主権型の社会構造を分散自立・地産地消・低炭素型に転換し、「地域の自給力と創富力を高める地域主権型社会」の構築を目指す「緑の分権改革」を推進してまいります。
 あわせて、基礎自治体が相互に役割分担して連携する「定住自立圏構想」の推進により、圏域ごとに必要な機能を確保して、地域住民の生命と暮らしを守ります。また、過疎法については、各会派の皆様の間で精力的に御議論頂き、延長及び特別措置の拡充にお取り組み頂いていることに心から感謝申し上げます。今後とも過疎対策を切れ目なく実施してまいります。
 市町村合併については、本年度末に失効する現行特例法を、自主的な合併にあたっての障害除去を中心としたものに抜本的に見直した上で、十年延長するための改正法案を提出しています。
 住民の安心と安全を守るとともに地方経済を支え、地域の活力を回復させていくとの基本理念に立ち、平成二十二年度においては、地方交付税総額を対前年度比で約一・一兆円増額し、約十六・九兆円を確保します。
 そして、徹底した行政改革等を行う地方公共団体を対象に、来年度から三年間で約一・一兆円規模の公的資金の補償金免除繰上償還を行い、高金利の地方債の公債費負担を軽減します。
 また、直轄事業負担金制度の廃止への第一歩として、来年度から維持管理に係る負担金制度を廃止します。引き続き、地方からの御意見も十分にお聞きしながら、制度の廃止に向けて、着実に取り組んでまいります。
 第三セクター等の改革を引き続き推進するとともに、地方公営企業会計制度の見直しを行います。また、地域医療の提供体制を確保できるよう公立病院への財政措置を充実します。
 来年度の地方税制改正については、個人住民税における扶養控除の見直し、自動車取得税及び軽油引取税の税率の特例措置の見直し、地方のたばこ税の税率の引上げ、税負担軽減措置等の見直し及びその適用実態の透明化等を行うため、地方税法の改正案を提出しています。
 私は、税制調査会の会長代行として、「地域主権改革」を推進するため、地方の声をしっかりと踏まえながら、地方税の充実等の課題に取り組んでまいります。

II 郵政事業改革

 郵政事業に関する国民の権利を保障することが重要です。昨年は「郵政改革の基本方針」を閣議決定いたしました。
 郵便局ネットワークが、国民生活の確保や地域社会の活性化等に貢献できるよう、亀井大臣と連携して具体的な経営形態等の検討を行い、今国会において、郵政改革のための法案の成立を目指します。

III 新たなICT政策の展開

 ICTは、民主主義の基礎となるインフラであるとともに、未来の成長のインフラでもあります。
 昨年末には「ICT維新ビジョン」を発表し、二〇五〇年を視野に入れたICTによる成長戦略を示しました。今後、国民本位のICTの利活用により、地域の絆の再生、暮らしを守る雇用の創出、世界をリードする環境負荷軽減等に道筋をつけるための取組に尽力してまいります。
 このため、「コンクリートの道」から「光の道」へと発想を転換し、生活者の立場に立ったICTの利活用を促進します。具体的には、子ども同士が教え合い、学び合う「協働教育」の推進を始めとして、教育・環境・医療・行政・チャレンジド対応等の各分野における利活用を促進します。
 新たなICT政策として、グローバルな視点に立って、過去の競争政策を見直し、国際競争力の強化や地球的課題の解決策について検討を進めるとともに、報道・表現の自由を守る観点から、「言論の自由を守る砦」を始めとする、国民の権利保障等の在り方について検討を進めてまいります。
 今国会では、通信・放送分野におけるデジタル化の進展に対応した規制の整理・合理化を図るため、放送法等の一部を改正する法律案を提出します。
 利用者のICTへのアクセス手段の確保についても、本日で、残り五百二十一日となった地上デジタル放送への完全移行に向け、受信者に関する相談体制の強化などの環境整備・支援を行うとともに、携帯電話不感地帯の解消等に引き続き努めてまいります。
 併せて、インターネット上の違法・有害情報や、情報セキュリティの脅威等への対応を通じ、誰もが安心してICTを利用できる環境を整備します。
 雇用の確保と持続的な経済成長の実現に向けた取組として、世界をリードする最先端技術の開発・普及、コンテンツ流通や電波の有効利用の一層の促進を図り、新たな市場の創出を目指します。また、地上デジタル放送日本方式の国際的な普及をはじめ、ICT産業の国際競争力の強化を目指します。
 行政においても、電子政府・電子自治体の推進に取り組んでまいります。

IV 国民の生命・健康・生活を守る行政の推進

 年金記録問題について、国民の立場に立った年金記録確認第三者委員会の活動により、国民の年金への信頼の回復を図ってまいります。
 消防行政については、国民の命を守るため、緊急消防援助隊をはじめ消防団など消防・防災体制の充実強化を図るとともに、住宅用火災警報器の普及を促進します。また、円滑な救急搬送・受入体制を構築するため、消防と医療の連携を推進してまいります。

V 行政改革の推進

 真に国民のためとなり、ムダのない行政をつくるため、行政全般の徹底的な見直しを進めてまいります。
 公務員制度改革については、採用昇任等基本方針に沿った能力・実績主義の人事管理の徹底や人事評価制度の円滑かつ的確な運用を推進します。
 地方公務員についても、適正な定員管理の推進や、給与の一層の適正化を進めるなど、地方行革を着実に推進するとともに、能力・実績に基づく人事管理の徹底を図ってまいります。
 天下りの根絶については、あっせんの禁止はもとより、いわゆる「隠れ天下り」批判など、国民の疑念に対して、総務省の「横串」の機能を駆使して実態を明らかにし、その是正を図ってまいります。
 また、独立行政法人について、行政刷新会議と連携しつつ、契約の総点検を含め、抜本的な見直しに取り組みます。今国会には、独立行政法人の不要財産の国庫納付を義務付けるための法案を提出しています。
 「行政評価機能の抜本的強化ビジョン」を本年一月に発表しました。このビジョンでは、政策評価に係る情報公開に関するガイドラインの新設、「機動調査チーム」の設置、年金業務の監視強化などを示しており、本年度内に具体的な方針を提示することとしています。

VI 統計行政の推進

 初代統計院長である大隈重信公もおっしゃっているとおり、正確な統計によって国の姿を詳細に明らかにしなければ、的確な政策を遂行していくことはできません。本年十月に実施される、十年に一度の大規模な国勢調査を始め、国民各位の御理解・御参加を得て、正確な調査を実施してまいります。

むすび

 以上、所管行政の一端を申し上げました。
 副大臣、大臣政務官と共に全力で取り組んでまいりますので、近藤委員長を始め、理事、委員の皆様方の御指導を心からお願い申し上げます。

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