総務省トップ > 広報・報道 > 大臣会見・発言等 > 原口総務大臣閣議後記者会見の概要(平成22年9月3日)

会見発言記事

原口総務大臣閣議後記者会見の概要

平成22年9月3日

冒頭発言

 おはようございます。閣議後の会見をさせていただきます。
 まず、3点です。本日の閣議において、国家公務員の再就職状況について、国家公務員法第106条の25第1項等の規定に基づき、平成22年4月から6月までの間に、各府省等の元管理職職員から再就職の届出があった225件を報告しました。また、内閣から同法第106条の25第2項等の規定に基づき、平成21年度中の1,414件の再就職状況について公表する旨、報告がありました。なお、平成21年度中の特別職の再就職状況56件についても、併せて公表することとしております。詳細な内容につきましては、本日、配布させていただいております資料を御覧ください。これ21年度ですから前政権下と私たちの政権下で明確に分かるように。私たちの政権下では、いわゆる官民人材交流センターを使ったものとか、あるいは、あっせんというものはほとんど無いということになっています。官民人材交流センターによるあっせん状況については、厚生労働省の2件、これ議論が出ましたけれども、社会保険庁を中心としたものであって、ほかはゼロとなっています。後で資料を詳しく御覧ください。また、内下りなんていうことを言っている人たちがいますけれども、この間も申し上げたように、退職金をもらって、もう一回、その天下り先で退職金をもらうということを、現役出向という形で禁止をしましたので、部長職で平均700万円、国民の税金をセーブするということができているということも、改めて確認をさせていただきたいと思います。
 それから、2点目でございますが、これ2年もかかってしまったわけですけれども、本日、「食品表示に関する行政評価・監視」の結果を、農林水産省等に対して勧告いたしました。この勧告は、食品表示監視業務の見直しを求める内容となっています。ただし、地方農政局等を含む国の出先機関、つまり、地方にもこんなこと、地方の出先のですね、いわゆる汚染米を見逃すような、その構造は何だったのかということを2年かけて分析をしていますが、一方で、その間に私たちは基本的に、出先機関を含む、地方のこういう農政局を含む出先機関については、原則廃止ということを言っているわけでございまして、現在、地域主権戦略大綱に基づいて、抜本的な改革を行うべく議論をしているところでございます。このような議論がされる中で、この勧告は、実務上の管理の不徹底が原因で勧告の時期を逸しています。今後、スケジュール管理における政務三役の主導を徹底いたします。一方、年金記録問題への対応に多くの人員が割かれていることも、調査の長期化の大きな要因です。正にこの総務省はHAT−KZシステム、これを徹底的に排除し、そして、無くす、根絶すると。そのために多くの機能を持っているわけですが、前政権下で年金記録の第三者委員会といったことが決断をされました。年金記録を回復する上でも大変大事な仕事でありますが、本来であればこれは、社会保険庁、厚生労働省自らが、自らの責任において回復をしなければいけないその問題を、総務省がサポートしているということでございまして、政務三役会議でも、この在り方について、延々と第三者委員会を続けていくことが許されるのかという問題提起がされているところでございます。
 最後に、今日初めてですね、皆様のお手元に、レガシーマップ、これ3か月前にお約束をしていたものを初めて国民の目にさらします。開示をさせていだきます。政府の情報システム改革を進めるために、各府省の情報システムの実態について調査するように指示をしました。その調査結果が取りまとまりました。この過程においてですね、やはり何と言うのか、恐竜のようだと私は思いました。自分たちがどんな仕事をしているのか、だれにどのようなものを発注しているのかさえ、3か月もかかっていく。政府の情報システムの総数は2,000以上あり、その運用コストは約4,000億円に上っています。その実態が取りまとめられて公表されるのは初めての試みです。よく人件費改革だけにですね、行政刷新をと言う人たちもいますが、そうではない。人件費の改革も、あるいは仕事の仕分けも、そしてこういうレガシー、システム自体が旧来型である、あるいはそこにメスが入らないということは、国民の税金を預かる者として極めて不適切だというふうに思っておりまして、お手元にお配りしたものは、年間の運用コストが1億円以上のものについて取りまとめたものです。これだけで、コストとして全体の9割を超えています。1億円以下のものも入れると、もっとあるわけでございます。今後このリストを基に、いわゆるレガシーシステムをはじめとする政府情報システム全体の刷新を進めていきます。クラウド化すれば、クラウド・オン・ソフトウェアにすれば、1個1個こんなことをする必要がないかも分からない。いや、一方で、それぞれの情報の管理や安心のためには、スタンドアローンが必要だという考え方も有るかも分からない。しかし、そんなことを考慮しても、今までマップさえ無かったといったことは、私にとっても非常に驚きであり、正直、今までの政権がこのような目を持っていなかったことが不思議でなりませんでした。当面は来年度の予算編成過程の中で厳しく無駄をチェックし、いわゆるレガシー屋さんの言いなりとか、レガシー屋さんの大もうけと、ちまたで言われているようなことがあってはならないと。それが事実なのかどうかといったことについても、精査してまいりたいと思います。皆さんのお手元のですね、これ大規模システム10億円以上が56。中規模システム、これが150、小規模システム1,853という形になっています。このうちメインフレーム、これは事業者独自の仕様により作られたシステム、従来の旧式のシステムとして刷新の対象とされてきたもの、これが94、約1,800億円ございます。こういったものについて1個1個仕分けを行い、そして刷新につなげてまいりたいというふうに考えています。
 私の方からは以上です。

質疑応答

光回線への移行

問:
 まず最初に幹事社から御質問させていただきます。先日、NTTからですね、メタル回線から光回線への移行計画というものが提示されました。この中で基本的な考え方として、やはり需要側の要望に沿った形で実行していく。つまり、強制的に引き離していくことはなかなか困難ではないかという考え方が示されていると思います。こういったそのNTTの、今回提示されてきた考え方について、改めてどのように受け止めていらっしゃるのか。それから、今回示されたものが、これから先、NTTの組織問題も含めたタスクフォースの議論にどのような影響を与えていくのか、その辺の見解を教えてください。
答:
 ICTの政策タスクフォースで、7月下旬、NTTに対して、アクセス網と中継網のマイグレーションに関する考え方を整理した上で、8月末までに提出するように要請しておりました。今の御質問は、その提出されたものについてでございますが、8月31日にマイグレーションに関する考え方を提出し、9月1日にNTTは公表いたしました。その中で、ICTの利活用の促進やサービスの創造により、需要を喚起して光の利用拡大等に取り組むことで、マイグレーションを促進し、「光の道」構想の推進に貢献するといったことが述べられています。つまり、デマンドサイドに立ったいろいろな施策があるわけです。私たちは、この「光の道」を利用の促進というだけでできるというふうには考えていないのですね。むしろ供給サイドの様々な革新、供給サイドの仕組みづくりといったことも、併せて必要だというふうに考えています。今後、NTTから提出されたマイグレーションに関する考え方については、ICT政策タスクフォースで検証・検討いただくという予定になっていまして、ICT政策タスクフォースにおいては、その結果等を踏まえて、年内に、競争政策、NTTの組織形態を含めた在り方について、「光の道」実現に向けた具体策、これを固める方向で精力的に御議論いただきたいと考えています。すべての市場は公正で開かれたものでなければなりません。そしてそこには、巨大であること、ドミナントであることによる障壁というものが有ってはなりません。一方で、Aという時点において勝者であったものが、情報通信の世界においては、次には、Bという時点ではすぐ敗者になる。もっと言うと、ファンダメンタルなところに投資をするといったことの収益性というのは、プラットフォームやソフトウェアを作ることの収益性に比べると、非常に厳しい状況が生まれています。その中で、何をもってユニバーサルサービスとするのかと。それはだれのコストで、どのようにイノベートしていくのが大事なのかといったことが、更に議論として詰められるべきだと、こう考えておりまして、総務大臣としては、この報告を受けたICT政策タスクフォースの議論を見守っていきたい。その一方で、公正・公平な市場環境を作るために何が必要かということを、私たちとしても更に議論を詰めていきたいと、こう考えています。

民主党代表選挙(1)

問:
 共同通信の藤田です。民主党の代表選とも絡むのですけれども、大臣はかねてよりですね、地域主権改革を強力に推進するリーダーを求める考えを重ねて述べられたと思うのですが、もちろん地域主権改革というのは、単に国から地方にお金を移すというだけではなくて、住民が主体的に地域を作っていくという大きな社会の枠組みを変えようということだと理解はするのですが、一昨日、菅さん、小沢さんの政策が出まして、地域主権、あるいは活性化についても一定の考えが出されているかと思うのですが、これを御覧になって、率直な感想と言いますか、お聞かせいただきたいのですが。
答:
 そうですね。地域主権改革については、お二人とも非常に意欲的な政策を、それから、道筋をきちんと示して、提示をされているというふうに考えています。今、お話のように、地域主権改革というのは、単なる国の権限を地方に移すという、そういうものではありません。機構の改革だけではないです。むしろ、民主主義そのものの改革、地域そのものの創富力を上げていく、正に国力そのものの改革だというふうに考えておりまして、そういう意味でも、今論戦が行われていますけれども、一括交付金化といったことに小沢さんが触れておられます。それから、菅総理は、地域主権戦略会議を更に進めるということについても言及をされています。更にこれが進んでいくことを望んでいます。一括交付金化といったことについても、これも制度設計の仕方によれば、ミシン目を入れてですね、実はひも付き補助金と変わらないのだけれども、見せかけの交付金化にすることさえできるのだと、国会で御指摘を頂いたとおりのことも懸念されます。そういったものについて、どのような一丁目一番地としての改革を行うかということが、今、非常に詰まった論戦をされているので、論戦を見守りたい。総務大臣、あるいは地域主権戦略担当としてですね、そう考えています。
問:
 毎日新聞の笈田です。今の関連でですね、昨日、討論会の中で小沢前幹事長は、一括交付金化する過程の中で、今の補助金を7割とか、又は5割でも、地方で自由に使えるようにすれば、それは地方自治体はうまく回っていくのだという御主張をされて、一括交付金化の過程で、地方に回すお金を縮減するお考えを示されているわけですけれども、その点に関して、大臣としてどのようにお考えでしょうか。
答:
 これは縮減というふうに私は受け止めてはいません。これ前から、14年前に初当選したときの、当時の小沢、当時は幹事長でしたかね、率いる新進党も、同じことを言っています。つまり、この間、民間のコストは非常に、公共事業も含めて大変厳しいコストカットに見舞われています。それに対して公の部分、官公需の部分は、逆に、パイそのものは落ちているのだけれども、そこに一回入札に成功すれば、大変な利益率になっているのではないかといったことも、この間、指摘されてきたことです。ですから、一般論として、一括交付金化して、そして自由に使うことができれば、ひも付き補助金が持っていた無駄な重複や、あるいは非効率な部分というのを、約7割に削減できるだろうというのは、これは14年前に私たちが出した、その中の中身ですね。このことと、では、地方に行くお金がこの間、三位一体改革を中心にものすごく減らされて、もっと減らしていいのかというのは、またマクロ経済的に検証されるべき問題でもあると思います。もちろん、必要なサービスを効率よく、最小限の税で賄うということが基本です。その上で、効率化した上で、地域を支える予算の在り方といったことについては、次の、正に並行して議論をされる問題ではないか。一括交付金化したから、即その量を減らすということになれば、そのことをおっしゃっているのではないというふうに考えています。

国の出先機関の原則廃止

問:
 北海道新聞の中村です。先ほど、大臣、国の出先機関の原則廃止について言及されていましたけれども、8月末にですね、各府省から自己仕分けの結果が出されたかと思います。一部公開している省も有りますが、その結果をどのように大臣は受け止められておられるのか。そしてまた、原則廃止に向けて、今後どのように、もう少し具体的に、どのように進められていかれるのか、お願いします。
答:
 これは今おっしゃったように、8月末に自己仕分けの結果というものが出てきまして、そして、それを政務三役会議で、今精査をしているところであります。これに先立って、5月に地域主権戦略会議、これは北川教授、元三重県知事を中心に、権限仕分けというものをフルオープンで、これ地方の代表も入っていただいた中でやらせていただきました。この結果を受けて、次のステップはですね、地域主権戦略会議、それから、国と地方の協議の場で、もう一回この結果について練り直す。そして、更なる権限仕分けをして、成案として、これプログラムが大事ですね。先に人がいらっしゃいますから、その方々の雇用といったこともしっかりと保障しながら、円滑に、原則の廃止に向けた工程を進めていくと、こういう形になると考えています。

在外投票

問:
 毎日新聞の望月です。ちょっと違う、毛色の違った質問になるのですが、先の参院選で在外投票の投票率が3%だったということでした。インターネット投票の解禁も含めて、投票方法の見直しを求める声が有るのですが、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
答:
 これ私もですね、野党時代に在外公館を中心とした、あるいは、海外における政党の政策や理念の徹底ということで議論をし、実際に訪れて、この間海外に行ったときも、そのお話を伺いました。一つはやはり、膨大なエネルギー、膨大な手続といったこと、もちろん、投票の信頼性、あるいは自由な意思による公正な投票の環境の確保といったことでは、とても大事だというふうに考えています。インターネット投票においては、投票情報のセキュリティの確保、あるいはネットワーク上で確認できる本人と実際に投票を行った者との同一性の確認。やはり望月さん、このICT社会においては本人確認というものがものすごく大事で、今のところそれが、莫大な情報の海の中でですね、どのようにすればいいかということで、総務省はそこについての多くの知見を今、集めて、そして、一つの方向性を示そうとやっているわけですが、このような課題の解決に向けた技術面、あるいは制度面での環境整備の状況を見極めて、できるだけ早く国民的なコンセンサスを頂いて、インターネット投票を導入すると。在外にいると、やはりコストが掛かり過ぎますね。投票の。そういう御意見をたくさんいただきました。投票したいのだけれども、できないということは、ある意味で、投票における権利をしっかりと支えるという点からも改善が必要だと、このように考えています。

ドミナント規制

問:
 朝日新聞の和氣と申します。最初の質問にちょっと関連すると思うのですが、先だっての政務三役会議でですね、8月31日までにいろいろと提出を求めていて、それを多分御覧になってのことだと思うのですけれども、こんなものであれば新たな独禁法とおっしゃったのですけれども、大臣。規制を強めることが必要だというような発言があったかと思うのですが、その真意を教えていただけないでしょうか。
答:
 独禁法、つまり、先ほど申し上げたドミナント規制、あるものが大きすぎて、そして、優越的地位の乱用、これ一般論ですよ。地位の乱用や、あるいは市場の参入規制になっている部分があるとすると、それは更なる分割や、更なる競争条件の整備といったことが必要なわけですね。こんなものでというのは、ちょっと不正確な表現だったかも分かりませんけれども、デマンドサイドだけの刺激で何かができるということだとは、私たちは思っていないということです。公正な競争条件、公正な、先ほど申し上げたようなユニバーサルサービス、すべての、日本国どこにいてもブロードバンド環境の恩恵にあずかれる。そのためには、供給主体の方についても様々な改革が必要なのではないか。その中で、先ほど申し上げた独禁法、それは一つの理念を掲げたものでございます。ICTタスクフォースの議論をしっかりと見守りながら、検討を進めていきたいと、そういう意味です。
問:
 NTTに対してということでよろしいですか。
答:
 市場全体ということで、別にNTTに限った話ではありません。デマンドサイドだけの、つまり、利用を進めれば、それは、いつかは「光の道」100%になるのだ。それはそのとおりかも分かりません。しかし、それが2030年とか、2040年であっては、私たちは世界に対する競争力を失ってしまう。少なくともアメリカは、2020年までに1億人の人たちにアクセス100%というものを目標にやっているわけですね。ほかの先進国についても、非常に精力的な目標を掲げています。私たちは、情報通信技術についての先進国なのです。その先進国がゆっくりゆっくり歩いているとすると、ちょうど数年前に起きました太陽光パネル、あのことを思い出していただいても、世界の最先端をいっていたのです。ところが、私たち、固定価格の買取制度といったエネルギーのパラダイムチェンジをそこでも申し上げていましたが、すごく遅れましたね。そのことが今、私たちの、国際競争力も含めた課題になっています。その話をしたわけです。NTTに限った話をしているのではありません。

民主党代表選挙(2)

問:
 フリーランスの上出です。民主党の討論会のことで、小沢さんは一律10%カット、今回の予算ですね、これに対して、これは従来の官僚主導ではないかということで、菅さん反論されていまして、昨夜、私が出ました蓮舫大臣のオープン会見でも、蓮舫さんも反論されていたのですが、このことについて原口大臣はどういうふうに。
答:
 それは菅総理や蓮舫大臣がお話をしているとおり、ステップなのですね。一律10%カットというのは、予算を、例えば、彫刻に例えると最初の一刀目を入れる、きりの最初の刀の一刀目なのですよ。二刀目、三刀目、もう皆さん総務省の記者クラブに来られていますから、私たちはそれを2割削減して、もっと大胆に組み替えようとやっているわけで、最終形を見ていただければ官主導ではないと。ただ、小沢元代表がどういうあれで言われたかというと、昔よくキャップだ、あるいは、中身を精査しないで一律的に数字だけをかぶせるというやり方が、昔横行していましたね。これで終わるのであれば、そういう批判も、あるいは野党からもいただいていることに反論できないのではないか。こういう御意見だと思います。菅内閣としては、まだワンステップ目で、最終形を是非見ていただきたい。そう考えています。
問:
 よろしいでしょうか。無ければこれで終わります。
答:
 ありがとうございます。
問:
 ありがとうございました。

ページトップへ戻る