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会見発言記事

総務委員会における総務大臣所信表明

平成21年2月13日

はじめに

 総務委員会の御審議に先立ち、所信の一端を申し上げます。
 私は、現下の深刻な「地方」の経済・雇用情勢を踏まえ、地方税財源の充実確保を図り、地域の元気回復・活性化を図ることを第一に、行政改革を進めること、地方分権改革を進めること、ICTにより成長力を強化すること、郵政民営化を適切に進めることなど、麻生総理の目指す「安心と活力のある社会」を実現するため、私が大切にしている「自然との共生」の理念も取り入れながら、改革を一層推進してまいります。
 以下、当面の重要課題について申し上げます。

1 地方税財源の充実確保等

 地域の元気回復・活性化のためには、地方税財源を充実確保し、地域の創意工夫による施策を推進することが重要です。
 地方交付税について、「生活防衛のための緊急対策」を踏まえ、既定の加算とは別枠で一兆円増額し、前年度を四千億円上回る十五兆八千二百億円を確保するとともに、地方財政計画の歳出に特別枠「地域雇用創出推進費」五千億円を創設し、雇用情勢や経済・財政状況の厳しい地域に重点的に配分するなど「雇用創出」や「地域の元気回復」の財源を確保します。
 また、地方公共団体の一般会計に長期・低利の資金を融通できるよう、「地方公営企業等金融機構」の改組により、「地方公共団体金融機構」を創設します。
 「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」の円滑な施行に努めるとともに、第三セクター等の整理、再生のための地方債の特例措置を創設する等の改革を推進します。また、地域医療の提供体制を確保できるよう公立病院への財政措置を充実します。
 二十一年度の地方税制改正については、個人住民税における新たな住宅借入金等特別税額控除の創設、環境への負荷の少ない自動車について自動車取得税の時限的な税率軽減措置の導入、道路特定財源の一般財源化への対応等を行うため、地方税法の改正案を提出しています。
 なお、定額給付金事業は、家計への緊急支援であるとともに、あわせて、消費を増やす経済効果もある「生活対策」における重要な施策であります。年度内の給付開始の実現を目指し、各市町村における準備が着実に進むよう、引き続き努めるとともに、地域における自主的な取組について支援してまいります。

2 魅力ある地域づくり

 「自然との共生」を図りながら、活力ある地域社会を形成するため、地方自治体・住民等の様々な主体が連携して行う取組を支援する「地域力創造プラン」を打ち出しました。
 このプランに基づき、中心市と周辺市町村が自主的な協定により相互に役割分担して連携する「定住自立圏構想」を推進して、圏域ごとに生活に必要な機能を確保する方策を各府省と連携して講じてまいります。すでに年末、定住自立圏構想推進要綱と総務省の財政措置を取りまとめており、各地の取組を支援してまいります。
 また「地域おこし協力隊員」の派遣など、都市と地方のつながりの強化を通じて、地域における「自然との共生」を推進するとともに、時代に対応した新たな過疎対策の検討を進めます。

3 行政改革の推進

 人口減少社会にあって、我が国の財政は非常に厳しい状況にあります。国民に温かい効率的な政府を目指し、行政改革を強力に推進してまいります。
 二十一年度の国の行政機関の機構・定員については、大幅な定員純減を行いつつ、生活者の安心を支える行政、日本の国際的地位に見合った外交体制などの分野に重点的に定員配置等を行います。
 簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を充実させるための行政不服審査法の改正法案などを提出しています。
 公務員制度改革については、先に決定した「工程表」に沿った改革の具体化に向けて、私としても努力してまいります。また、人事評価に基づく能力本位の人事管理を推進します。
 経済財政諮問会議との連携の下、医師確保対策等の重要対象分野に係る政策評価を推進するとともに、「食品表示の適正化」などの行政評価・監視に取り組んでまいります。

4 地方分権・地方行政改革等の推進

 次に地方分権・地方行政改革等の推進についてであります。
 地方分権改革推進委員会において、昨年十二月に、国の出先機関の抜本的改革や、地方への義務付け・枠付けの見直しについて第二次勧告が取りまとめられ、麻生総理からは、勧告に沿った見直しを進めるとともに、出先機関については今後の工程表となる計画を年度内に策定するよう御指示がありました。
 政府としては、同委員会の勧告を踏まえ、「地方分権改革推進計画」を策定し、「新分権一括法案」を来年度中できるだけ速やかに国会に提出すべく、地方分権を強力に推進していきます。
 地方公務員の定員について、引き続き、国同様、五年間で五・七%以上の定員純減を進めるなど、地方行革を着実に推進します。
 地方公務員の給与についても、一層の適正化を進めてまいります。
 地方公務員について、能力・実績主義の徹底と退職管理の適正確保を図るため、地方公務員法改正法案を提出しています。
 住民基本台帳制度については、市町村が適法に在留する外国人住民の正確な情報を把握し、住民行政の基礎とするための仕組みの整備等を行う改正法案を提出します。

5 ICT政策

 次にICT政策についてであります。
 景気回復に高い即効力を持ち、我が国の底力発揮の基礎であるICTを活用し、雇用創出、地域活性化、国民生活の安心・安全や利便性の向上を図るとともに、ICT産業の国際競争力の強化に戦略的に取り組んでまいります。
 まず、現下の経済危機に対応するための緊急対策を急ぐとともに、二〇一五年頃を見据えた我が国のICTビジョンを本年六月までに策定し、直面する様々な課題の解決や、社会経済の活力向上に貢献します。
 次に、誰もがICTを利用できる基盤を整備すべく、本日で残り八百九十一日となったデジタル放送への完全移行について、経済的困窮度が高い世帯への受信機器購入支援の実施等を内容とする電波法・放送法改正法案を提出するなど万全を期すとともに、ブロードバンド・ゼロ地域及び携帯電話不感地帯等の解消に努めます。
 また、ICTを活用した遠隔医療や地場産業の活性化、環境問題への対応やテレワークの推進等による国民生活の充実に取り組むとともに、インターネット上の違法・有害情報や、情報セキュリティの脅威等に対応し、安心してICTを利用できる環境を整備します。
 ICT産業の国際競争力については、国際標準化活動の強化に加え、地上デジタル放送方式の国際展開、新規事業の創出、人材の育成、コンテンツ流通の促進等により、その強化を目指します。
 併せて、公正競争環境の整備、電波利用の一層の促進、通信と放送の融合・連携に対応した制度の検討を進めてまいります。
 これらの施策を通じ、世界を先導するユビキタスネット社会の構築を目指します。
 電子政府については、オンライン申請のメリット拡大や使い勝手の向上等の取組を推進してまいります。

6 郵政行政

 次に郵政行政についてであります。
 民営化後、簡易郵便局の一時閉鎖、郵便配達員による貯金受入れの制限、郵便局における金融サービスの維持に関する懸念等、地域の住民等から様々なご指摘を頂いているほか、「かんぽの宿」の譲渡をめぐる問題など、課題が山積しております。政府として、こうした課題に適切に対応するのはもちろんのこと、民営化後の状況を十分に検証し、民営化を前提としつつ、郵政民営化委員会の意見も踏まえ、大胆に見直しを行ってまいります。

7 年金記録問題

 次に年金記録問題についてであります。
 まじめに保険料を払ってこられた方々が正しく年金を受け取ることができるよう、引き続き「年金記録確認第三者委員会」における公正かつ迅速な調査審議を支え、年金記録の訂正に結び付けてまいります。特に、昨年三月末までに申し立てられた事案については、概ね本年三月末を目途に処理を終えるべく取り組みます。第三者委員会の委員には、出来るだけ温かく申立人の御主張を汲みとっていただき、適切な判断をしていただくようにお願いしております。

8 統計行政

 次に統計行政についてであります。
 新統計法の全面施行に向け、統計制度の抜本的改革を推進するとともに、経済センサスの実施など、統計の体系的整備を進めます。
 独立行政法人統計センターの職員を非公務員化する法案を提出しています。

9 消防行政

 次に消防行政については、消防団や緊急消防援助隊など消防防災体制の充実強化を図るとともに、住宅火災死者数の半減を目指し、住宅用火災警報器の普及を促進します。
 また、救急相談に関する体制整備を進めるなど、消防と医療の連携を強化するとともに、都道府県が傷病者の搬送及び受入れの実施基準を定めること等を内容とする消防法の改正法案を提出します。

むすび

 以上、所信の一端を申し上げました。
 副大臣、大臣政務官と共に全力で取り組んでまいりますので、赤松委員長を始め、理事、委員の皆様の御指導をお願い申し上げます。

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