1 経緯等
本年3月の東日本大震災により、災害等緊急時に重要な役割を担う通信インフラについても、これまでに類を見ない被害が発生しました。総務省では、今回の震災を踏まえ、通信インフラの速やかな復旧・復興を図るとともに、今後の大規模災害等にも対応できるよう、本年4月から「大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方に関する検討会」(以下「検討会」という。)を開催し、緊急事態における通信手段の確保の在り方について検討を行っています。
検討会の中間取りまとめ(平成23年7月29日)においては、緊急時の輻輳状態への対応の在り方や通信設備が被災した場合等における通信手段の確保の在り方などについて、今後取り組むべき事項等の整理が行われていますが、この中で公衆電話についても、今回の震災における経験を踏まえ、第一種公衆電話の設置・維持の在り方について検討を行うことの必要性が指摘されています。
今回の震災においては、固定電話や携帯電話がつながりにくい状況が生じる一方で、全数が災害時優先電話として扱われる公衆電話は、被災地との間の通信手段としてのほか、首都圏で生じた帰宅困難者にとっても重要な通信手段となるなど、安否確認等の有効な連絡手段として機能しており、その社会インフラとしての重要性が改めて認識されています。昨今、携帯電話の普及とともに、公衆電話全体の施設数及びその利用は減少してきていますが、災害等緊急時においても有効な通信手段を確保しておくことの重要性は、以前にも増して高まっていると考えられます。
公衆電話による災害等緊急時における通信手段の確保のためには、公衆電話全体の施設数の減少傾向の中でもユニバーサルサービスの対象として一定の施設数が維持されている第一種公衆電話の設置・維持の在り方の検討を始め、災害等緊急時において公衆電話が一層有効に活用されうるものとなるために必要な事項についての検討が求められます。
以上を受け、災害等緊急時における有効な通信手段としての公衆電話の在り方について、情報通信審議会に諮問を行ったものです。
2 今後の予定
総務省は、情報通信審議会における審議の結果に基づいて、必要な措置を講じていく予定です。