報道資料
平成27年1月28日
遠隔操作によるプロバイダ変更等に係る不適切な勧誘方法等に関する指導
総務省は、本日、電話でインターネットサービスプロバイダの変更を勧誘し、遠隔操作でプロバイダの変更作業を行っていることに関連して、多数の苦情が寄せられている電気通信事業者2社に対し、適切な勧誘を行うよう文書により指導しました。あわせて、電気通信事業者等関係団体に対し、各団体の加盟社における適切な営業活動に資するよう、当該指導について加盟社に周知を行うよう要請しました。
1 事案の概要
インターネットサービスプロバイダ(以下「プロバイダ」といいます。)の変更に関する電話勧誘では、利用者にパソコンの遠隔操作を可能とするソフトウェアをダウンロードさせ、同ソフトウェアを用いてパソコンの遠隔操作を行い、プロバイダの変更作業を行うという手法がとられていることがあります(注1)。
このような勧誘方法を行う電気通信事業者及びその代理店(以下「事業者」といいます。)の中には、全国消費生活情報ネットワーク・システムで把握される苦情・相談件数が高い水準にあるものがあり、これについて、平成25年6月及び平成26年9月に独立行政法人国民生活センターから注意喚起が行われていますが(注2)、その後も苦情・相談件数は依然として高い水準にあります。また、こうした事業者については、総務省電気通信消費者相談センター等に対しても苦情・相談が寄せられています。
このため、総務省は、このような勧誘方法を採用し、苦情・相談が多く寄せられてきている電気通信事業者2社に対し、勧誘方法等の改善を行うよう文書により指導しました。
(注1)電話勧誘の代表的な流れは以下のとおりです。
- 電気通信事業者又はその代理店が電話によりプロバイダの変更を勧誘。
- 利用者がプロバイダの変更を承諾すると、一旦電話が切られ、別の担当者からすぐに2回目の電話がある。
- 利用者は、電話による指示で遠隔操作用のソフトをダウンロードし、画面に表示されるIDとパスワードを事業者に伝える(これにより、事業者のパソコンから、利用者のパソコンを遠隔操作することが可能となる)。
- 事業者が利用者のパソコンの遠隔操作を行い、プロバイダの変更作業を行う。
(注2)「速報!“遠隔操作”によるプロバイダ勧誘トラブルにご注意!」(平成25年6月13日)
(http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20130613_1.html)、
「相談激増!遠隔操作によるプロバイダ変更勧誘トラブルにご注意」(平成26年9月18日)
(http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20140918_1.html)
2 苦情・相談の内容
今般指導の対象となった2社については、特に以下のような事案について苦情が多数寄せられていました。
- 自らをあたかも東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社若しくは利用者が現在利用しているプロバイダ又はこれらの関連会社であるかのように名乗り、これにより利用者がこれらの者からの勧誘であると誤認した状態で、遠隔操作によってプロバイダを変更したと考えられる事案
- 利用者にプロバイダの変更契約について熟慮する期間を与えることなく、契約意思が不明確なまま、遠隔操作によってプロバイダを変更したと考えられる事案
また、遠隔操作によるプロバイダ変更の電話勧誘を行う事業者については、上記のほか、例えば以下のような事案についても苦情・相談が寄せられています。
- 利用者の契約の意思が不明確なまま、遠隔操作によってプロバイダの変更を行い、その後間もなく当該利用者から解約したい旨の申出があった場合には契約解除料等を請求していると考えられる事案
- 有料オプションサービスとして提供している遠隔操作によるプロバイダの変更を可能とするためのサポートサービス、セキュリティサービス等について、当該オプションサービスの料金を加えると月額利用料の総額が電話勧誘で強調した月額利用料よりも高額になるにもかかわらず、当該オプションサービスへの加入意思を十分確認せずに加入させていると考えられる事案
- 利用者からの解約希望等の電話連絡が非常につながりにくいなど、苦情及び問合せを受け付ける体制が十分でないと考えられる事案
3 指導の内容等
指導の主な内容は以下のとおりです。
- 電気通信事業法(昭和59年法律第86号。以下「法」といいます。)第26条に規定する提供条件の説明義務及び法第27条に規定する苦情等の処理義務の遵守を徹底すること(注3)。
- プロバイダの変更の勧誘であることを明確に説明し、プロバイダの変更を行うことについての利用者の意思確認を確実に行うこと。
- オプションサービスに加入することとなる場合はその旨を当該オプションサービスの料金とともに明確に説明し、オプションサービスに加入することについての利用者の意思確認を確実に行うこと。
- 利用者が現在利用しているプロバイダを解約するためには、そのための手続が必要であり、契約解除料の発生などの不利益事項を伴う可能性がある旨を利用者に対して十分に注意喚起すること。
- 代理店等の指導・管理を徹底すること。
(注3)例えば、自らの名称を名乗らずに契約の締結等の行為をすることは、法第26条に違反します。また、苦情及び問合せに対する対応窓口の連絡先や受付時間等を利用者に対して明らかにしていない場合、実際には対応窓口がほとんど利用できない場合、利用者から解約の申出があったにもかかわらず、正当な理由なく当該申出を相当期間放置して、その手続を行わない場合は、法第27条に違反すると考えられます。
なお、今般の指導の内容には、プロバイダサービスをはじめとする電気通信サービスの勧誘において留意すべき事項も含まれることから、総務省は、(一社)電気通信事業者協会、(一社)テレコムサービス協会、(一社)インターネットサービスプロバイダー協会及び(一社)日本ケーブルテレビ連盟に対し、加盟社に今般の指導について周知するよう要請しました。
総務省は、今後も、電気通信サービスの販売活動の適正化に努めてまいります。
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