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報道資料

令和2年6月19日

MVNOサービス「どんなときもWiFi」の利用者へのサービス提供に係る株式会社グッド・ラックに対する指導等

 総務省は、本日、株式会社グッド・ラック(代表取締役 佐々木 允浩)において、電気通信事業法(昭和59年法律第86号。以下「法」という。)第1条の「利用者利益の保護」の趣旨に照らして不適切な行為が行われたこと並びに同法第27条に規定する苦情等処理義務及び第27条の2第1号に規定する事実不告知等の禁止への違反が認められたことを受け、同社に対し、同法の遵守を徹底することなどについて指導しました。

1.事案の概要

 令和2年2月21日以降、株式会社グッド・ラック(以下「グッド・ラック」という。)が提供する「どんなときもWiFi」(以下「本件サービス」という。)について、月当たりに提供可能な通信容量の総量のひっ迫などを契機に、本件サービスの利用者において通信速度が著しく低速化する等の問題が発生し、本件サービスの利用に支障が生じ、多数の利用者からの苦情相談につながっていた事実が確認されました。
 このような事実の背景には、サービス提供主体であるグッド・ラックにおいて、提供する電気通信サービスやその用に供する電気通信設備の仕組みや潜在的な事業リスクを正しく認識せず、また、卸元電気通信事業者等の関係事業者との連携など必要な態勢を十分に確保しない状態で利用者へサービスを提供していたこと等により、本件問題を予見・予防することなく問題発生に至らしめていたことが確認されました。そして、このような対応の結果として、極めて多数の利用者の利益を損なったと認められます。
 

2.行政指導の内容

(1)グッド・ラックは、ウェブサイト上や約款・重要事項説明書において、極めて例外的な場合にのみ帯域制御を行う旨の留保を行いつつ、原則的には、データ容量について、「無制限」をうたっていました。このように、グッド・ラックは本件サービスについて、月当たり利用可能なデータ容量に原則として制限がなく、大容量通信を行っても、通常の場合は通信速度に制限が発生しないものとして利用者を誘引し、契約の締結に至っていたにもかかわらず、令和2年3月下旬には、相当数の利用者の通信速度を著しく制限していた事実が判明しました。上述のように、ウェブサイト上や約款・重要事項説明書で帯域制御を行う場合があることを説明していたとしても、グッド・ラックが行った通信制限の規模は、「無制限」との文言と著しく乖離しており、利用者の誘引に際して実際の品質より著しく高い品質をうたっていたものと認められます。
 このように、利用者を不当に誘引し、契約に至らしめたグッド・ラックの行為は、法第1条の「利用者利益の保護」の趣旨に反するものと考えられます。

(2)また、通信容量の総量がひっ迫している状況の解消を目的に、グッド・ラックは一定の基準を超えたデータ利用実績のある利用者に対し、月間25GBを通信容量の上限とする通信制限を実施しましたが、この際、当該制限の対象となる者の具体的な基準を利用者に示さず、問合せがあっても一律に回答しないという対応をしていました。
 これは、利用者が本件サービスの利用を継続するか解約するかを判断する「動機」になり得る情報(通信制限の対象者の基準)を適切に提供しなかったものと認められることから、「利用者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項」についての事実の不告知に該当し、法第27条の2第1号(事実不告知の禁止)の規定への違反が認められます。また、このような対応は、寄せられた苦情等について適切に対応しなかったものとして、法第27条(苦情等の処理義務)の規定への違反も認められます。

(3)加えて、上述のとおり、グッド・ラックが本件サービスについて必要な情報等を認識せず、また、必要な態勢の構築を行わずにサービス提供を行ったことなども含む本件事案に関する対応全般によって、非常に多くの利用者の利益が損なわれ、社会的にも極めて大きな影響を及ぼしました。このことに鑑みると、当該事実に関しても、グッド・ラックの行為は、法第1条の「利用者利益の保護」の趣旨に反するものと考えられます。

(4)これらの状況から、総務省はグッド・ラックに対して法の遵守を徹底することや利用者利益の保護のための措置の実施などについて指導しました。

(グッド・ラックに対する指導の主な内容)
・ 利用者利益の保護のための措置の速やかな実施
 電気通信事業者として、本件サービスに係る事業リスクに対する正しい認識の下、問題発生の根本原因の解明、問題の解決及び利用者への適切な情報提供等、利用者利益の保護のための適切な措置を速やかに講ずること。
 また、電気通信サービスに関して利用者を誘引するに当たっては、その提供条件等について、実際より高い品質をうたう等、不当なものとならないよう留意すること。

・ 法第27条及び第27条の2第1号の規定の遵守徹底
 法第27条に規定する苦情等処理義務の遵守が徹底されるための態勢を整備し、法第 27条の2に規定する事実不告知の状態を解消すること。

・ 再発防止措置の実施及び実施状況の報告
 グッド・ラックが提供する電気通信サービスにおいて、今後このような不適切な事案が生じることがないよう、上記の指導を踏まえ、再発防止措置を速やかに講じ、当該再発防止措置の内容については、令和2年7月16日までに、総務省へ文書で報告すること。

3.他の電気通信事業者等への注意喚起等

 データ通信に関して、一定の条件下で帯域制御を行う場合などには、「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」(平成28年3月策定、令和2年3月最終改定)及び事業者団体が定める「帯域制御の運用基準に関するガイドライン」(平成20年5月策定、令和元年12月最終改定)の内容を踏まえ、その条件の内容を明確に利用者に周知させることが適切であると考えられます。特に、一定期間内の通信容量について「無制限」をうたう場合などにおいては、そのような表現が利用者に誤解を与える表現となっていないか、十分に注意し、適切な対応を行う必要があると考えられます。
 また、上述のとおり、本件事案においては、本件サービスに係る潜在的なリスクに関して、卸元電気通信事業者等とサービス提供主体(本件の場合「グッド・ラック」)の間で十分な情報の連携など、必要な態勢を確保しない状態でサービスを提供していた結果、問題発生の事前・事後において、適切な対応を行うことが困難になっていました。電気通信事業者として利用者にサービス提供を行う上では、関係事業者との間で適切な連携の下、リスク管理を適切に行い、利用者の利益を損なわないよう努めることは当然の責務であるということに留意いただく必要があります。
 なお、本件事案については、情報通信ネットワーク安全・信頼性基準(昭和62年郵政省告示第73号)別表第2(管理基準)において、「情報通信ネットワークを管理する上で、社外の関係者との連携体制及び責任の範囲を明確にすること。」等が定められていることも踏まえつつ、今後、第三者による検証を行い、再発防止に向けた教訓等の整理等を行う予定です。
 
連絡先
総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第一課
担当:萩原補佐、本村係長、田中官
住所:〒100-8926
東京都千代田区霞が関2-1-2
中央合同庁舎2号館
電話:(代表)03-5253-5111
    (直通)03-5253-5867
FAX:03-5253-5948

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