総務省は、情報通信審議会(会長:遠藤 信博 日本電気株式会社 特別顧問)に対し、「消費者保護ルールの更なる適正化とDX時代への対応の在り方」について諮問を行いました。併せて、その検討を行うための場として、同審議会の電気通信事業政策部会の下に消費者保護政策委員会が設置されることとなりました。
1 経緯
電気通信事業法(昭和59年法律第86号)は、その法目的として、適正かつ合理的な事業の運営と公正競争の促進により、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともに利用者等の利益を保護することを掲げており、利用者等の利益の保護の一環として消費者保護ルールの整備を進めてきました。
こうした消費者保護ルールの整備と運用を通じて、電気通信分野における苦情相談件数(総務省及び独立行政法人国民生活センターで把握している数字の合計)は、この10年間で2割以上減少(2015年度:90,668件→2024年度:69,448件)しました。
一方で、苦情相談件数は依然として年間7万件程度と高い水準にあり、また、サービス及び料金のプランの多様化・複雑化や社会全体のDXの進展といった市場環境の変化が進む中で、今後、新たな消費者トラブルが発生することも想定されます。
こうした状況に対して迅速かつ柔軟に対応し、消費者が電気通信サービスを安心・安全かつ便利に利用していくことができる持続的な環境を整備していく必要があります。そのためには、消費者トラブルの実態や今後予想される傾向(DXの進展等)を踏まえた上で、消費者保護ルールについて不断の検討・見直しを行うとともに、整備された消費者保護ルールの遵守を確保するために必要な措置について検討することで、消費者保護ルールの更なる適正化を追求していくことが求められます。
以上により、消費者保護ルールの更なる適正化とDX時代への対応の在り方について検討を行うため、本日、情報通信審議会への諮問(
別紙1
を参照)を行いました。なお、検討を行うための場として、同審議会の電気通信事業政策部会の下に消費者保護政策委員会(構成員一覧については
別紙2
を参照)が設置されることとなりました。
2 答申を希望する事項
(1)消費者への説明の充実の在り方(契約・解約手続における説明義務の充実の在り方等)
(2)交渉力の低い消費者の保護の在り方(高齢者を対象とした契約の在り方等)
(3)法令遵守を確保するための措置の在り方(電話勧誘による営業等に関し、法令遵守を確保するための行政や電気通
信事業者による措置の在り方等)
(4)DXの進展を踏まえた消費者保護ルールの在り方(契約・解約手続におけるDXの推進の在り方等)
(5)その他必要と考えられる事項
3 答申を希望する時期
令和8年夏頃目途 一部答申を希望
令和9年夏頃目途 最終答申を希望