総務省は、平成27年度電波の医療機器等への影響に関する調査(以下「平成27年度調査」という。)として、(1) 920MHz帯を使用したRFID機器から発射する電波が植込み型心臓ペースメーカ及び植込み型除細動器へ与える影響に関する調査(以下「RFID調査」という。)、(2) 携帯電話端末が着用型自動除細動器へ与える影響に関する調査(以下「着用型自動除細動器調査」という。)を実施しました。
これらの調査結果を踏まえ、「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器等へ及ぼす影響を防止するための指針」(以下「指針」という。)について、生体電磁環境に関する検討会での検討を経て、改訂案を取りまとめましたので、平成28年9月15日(木)から同年10月20日(木)までの間、意見を募集します。
総務省では、安全で安心な電波利用環境の整備・維持のため、平成12年度から毎年度、植込み型医療機器等への電波の影響に関する調査を実施し、その結果に基づき、指針の改訂を行っています。
平成27年度においては、以下のRFID調査及び着用型自動除細動器調査を実施しました。
RFID機器については、「ゲートタイプRFID機器」、「据置きタイプRFID機器(高出力型950MHz帯パッシブタグシステム)」、及び「ハンディタイプ、据え置きタイプ(高出力型950MHz帯パッシブタグシステムを除く)」のそれぞれについて、平成15年度、平成16年度及び平成18年度に実施した調査結果を基とした内容が現行の指針に記載されています。
これらのうち、950MHz帯を使用したRFID機器は、電波法に基づき平成30年3月31日までに周波数帯を920MHz帯へ移行することが定められていることから、今般、920MHz帯を利用するRFID機器からの電波が植込み型医療機器に与える影響に関して、調査を行ったものです。
近年、新たに利用が開始された着用型自動除細動器については、今後の利用がさらに見込まれることから、平成27年度は機器の配置状況を変えて、再度、携帯電話の電波による影響について調査を行ったものです。
RFID調査及び着用型自動除細動器調査の結果の概要はそれぞれ以下のとおりです。調査結果の詳細については、電波利用ホームページ内の「電波の植込み型医療機器等への影響の調査研究」の中の平成27年度の箇所を御覧下さい。
RFID機器については、日本国内で販売されている920MHz帯パッシブタグ用システム(構内無線局、特定小電力無線局)の代表的な24機種を、植込み型心臓ペースメーカ等については、電気的性能面から実際に国内で動作し、かつ測定可能な全ての機種を網羅していると解釈できる機種(植込み型心臓ペースメーカ類17機種、植込み型除細動器類18機種)を対象として調査を実施しました。
その結果、植込み型心臓ペースメーカに対して、構内無線局(送信出力1W以下)では10cm、特定小電力無線局(送信出力250mW以下)では1cm未満の距離で影響が発生しました。また、植込み型除細動器に対しては影響の発生はありませんでした。影響発生距離の最大値(10cm)は、据置きタイプのRFID機器からの電波の影響を防ぐための指針が適用している離隔距離の22cmと比較しても半分以下の距離であることが確認されました。
携帯電話の電波による着用型自動除細動器への影響調査については、平成27年度調査においては、IEC(International Electrotechnical Commission)のEMC試験(放射イミュニティ試験)を参考にした配置での影響調査を行いました。その結果、携帯電話からの装着型医療機器への影響を防ぐための指針が適用している15cmを超える距離において影響が発生しました。この調査結果を受け、着用型自動除細動器の製造販売業者は、厚生労働省の指導のもと、医療機関を通じた利用者全員への周知等を実施しています。
以上の調査結果に基づき、生体電磁環境に関する検討会(座長:大久保 千代次(一財)電気安全環境研究所 電磁界情報センター所長)における検討を経て、指針の改訂案を取りまとめました。
「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器等へ及ぼす影響を防止するための指針」の改訂案
(別紙1:新旧対照表)
※参考として、改訂案を全て反映した場合の指針(参考資料)を掲載します。
平成28年10月20日(木)必着(郵送についても、同日必着とします。)
詳細については、別紙2の意見募集要領を御覧ください。
なお、意見募集対象については、総務省のホームページ(http://www.soumu.go.jp)の「報道資料」欄及び電子政府の総合窓口[e-Gov](http://www.e-gov.go.jp)の「パブリックコメント」欄に掲載するとともに、連絡先において配布及び閲覧に供することとします。