公害等調整委員会設置法第17条の規定に基づき、公害等調整委員会(富越和厚委員長)の平成24年度の所掌事務の処理状況を国会に報告するとともに、その概要を公表するもの(41回目)。
1 平成24年度の公害紛争の処理状況
○ 係属事件
(注1)数(74件)が引き続き増加。
○ 特に裁定事件
(注2)(67件)は、昭和47年の制度導入以来最多。
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21年度 |
22年度 |
23年度 |
24年度 |
係属事件数合計 |
42 |
57 |
67 |
74 |
裁定事件 |
39 |
52 |
61 |
67 |
調停事件 注3 |
2 |
5 |
6 |
6 |
義務履行勧告事件 注4 |
1 |
0 |
0 |
1 |
(係属事件のうち新規受付事件) |
(24) |
(27) |
(29) |
(29) |
注1 年度中に当委員会が扱った事件。
注2 (1)申請人が主張する加害行為と被害との因果関係の存否について法律判断を行う「原因裁定」
(2)損害賠償責任の有無及び賠償額についてまで法律判断を行う「責任裁定」の2種類の手続。
注3 調停案を提示するなど、双方の互譲による合意を促して、紛争の解決を図る手続。
(当委員会は重大・広域・県際事件を管轄し、その他の事件は都道府県公害審査会が処理。)
注4 調停の成立後に、当事者の一方から、調停条項に定められた義務が履行されていないとして、これを履行するよう勧告することが求められた手続。
<主な事件>
○ 神栖市におけるヒ素による健康被害等責任裁定申請事件
茨城県神栖市等の住民から、国及び茨城県を相手方として、有機ヒ素化合物による地下水汚染によって受けた健康被害等について損害賠償が求められ、平成24年5月、茨城県に対し、総額2,826万円の支払を命じる裁定。
○ 島原市における養豚場等からのし尿による水質汚濁被害原因裁定申請事件
長崎県島原市の食品製造会社が事業に使用している井戸水の汚染は、複数の畜産事業者の養豚場等から排出されたし尿によるものである、との原因裁定が求められている事件。
* 個々の係属事件については、当委員会のホームページ(https://www.soumu.go.jp/kouchoi/)に掲載。
2 公害紛争処理制度の利用の促進等のための主な取組
○ 事件調査の充実
申請人が主張する加害行為と被害との因果関係を解明する調査を実施し、事件の迅速かつ適正な処理に努力。
○ 現地期日の開催
東京から離れた所に在住する当事者の負担軽減を図るため、被害発生地等の現地で期日(注:民事訴訟の法廷に相当する場)を開催する取組を推進。平成24年度においては、計9回の現地期日を開催。