公害等調整委員会(以下「当委員会」という。)は、所掌事務の遂行を通じて得られた公害の防止に関する知見として、事業活動に起因して、工場・事業場の周辺地域においては建物の外壁等に黒色のカビによる汚染が生じる可能性があることについて関係行政機関に情報提供しましたので、お知らせします。
1.当委員会の所掌事務の遂行を通じて得られた知見
当委員会は、公害紛争の迅速・適正な解決を図ること等を主な任務とする機関であり、各都道府県に置かれている都道府県公害審査会等と分掌し、公害紛争の当事者からの申請等に基づき、裁定、調停等の手続により紛争の迅速・適正な解決を図るほか、地方公共団体による公害苦情処理の状況に関する調査を行っています。このような活動を通じて当委員会は、次のような公害の防止に関する知見を得ました。
・加工食品等の製造過程において発酵等により発生するエタノールを、処理せずに大量・継続的に排気として排出している工場・事業場では、住宅等に近接している場合には、エタノールを特異的に栄養とできるカビ種(オーレオバシディウム等)が当該工場・事業場及びその近傍の地域において増殖する可能性があること。
・上記カビ種は、ただちに人の健康に影響するという報告は見当たらないものの、近傍の地域でカビの増殖が進行した場合には、建物の外壁等に黒色汚染が生じ、財産被害を発生させる可能性があること。
等
2.関係行政機関への知見の提供
当委員会は、上記のような知見からこのような公害となり得る事例がほかにも見られる可能性があると判断し、当委員会が得た知見をまとめた添付の資料を関係行政機関(厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省及び国税庁)に提供しました。
【添付資料】