総務省では、我が国のICT産業の国際競争力の強化に資するため、平成20年からICT国際競争力指標を策定しています。今般、5回目となる平成24年版ICT国際競争力指標を策定しましたので、公表します。
1 ICT国際競争力指標の構成
平成24年版ICT国際競争力指標は、各種調査会社による2011年(平成23年)実績値(入手困難な場合は2010年(平成22年))を活用して、(1)日本企業の世界市場における競争力(企業競争力)の観点から、各製品・サービスの品目ごとの日本企業の「市場シェア」を、(2)企業立地における国としての競争力(輸出競争力)の観点から、各製品の品目ごとの日本の「輸出額シェア」を、それぞれ数値により示し、我が国ICT産業の国際競争力を明らかにしたものです。
【参考】 市場シェア :世界市場に占める日本企業の売上高シェアを「サービス」、「端末・機器」、「デバイス」(8分野38
品目)別に算出(日本国外にある日本企業の売上高を含む。)
輸出額シェア:世界全体の輸出額に占める日本の輸出額のシェアを「端末・機器」、「デバイス」(7分野20品
目)別に算出(多国籍企業の日本からの輸出を含む。)(貿易財を対象とするため、サービスに関
する品目は除く。)
2 結果の概要
(1) 全体推移(市場シェア、輸出額シェア)(平成20年版→平成24年版)
市場シェアは、この間、大きな変化はない(北米:5割弱、アジア太平洋地域及び欧州:各々2割弱、日本:1割強、その他:1割弱)。
一方、輸出額シェアは、アジア太平洋地域が年々シェアの拡大を続け、その分、日本、北米のシェアが減少している(平成24年版では、アジア太平洋地域:7割強、北米及び欧州:各々1割弱、日本及びその他:各々5%前後)。
各地域の市場シェアに大きな変化がなく、アジア太平洋地域の輸出額シェアが年々増加(日本、北米及びその他は減少)していることから、各地域の企業は世界シェアを維持しつつ、生産拠点を自地域から主にアジア太平洋地域に移転していると推測される。
(2) 企業競争力(市場シェア)
平成20年版と比較して、日本企業の市場シェアが増加した品目と減少した品目はほぼ同数であるが、総じて、「サービス」は市場シェアは大きくないが前年同様シェア微増傾向にある品目が多く、「端末・機器」及び「デバイス」も前年同様に市場シェアは大きいもののシェア減少傾向にある品目が多い。
・ 日本の企業競争力が強い品目(シェア25%以上)は、全38品目中10品目で「端末・機器」及び「デバイス」に集
中。例: DVD/Blu-rayレコーダ(75.2%)、コピー機(65.6%)、オプトエレクトロニクス※(48.2%)など
※ LED、ソーラーモジュール等光学素子のこと。
・ 日本の企業競争力が弱い品目(シェア5%以下)は9品目で「サービス」、「端末・機器」、「デバイス」に分散。
・ 世界の市場規模が拡大した25品目のうち、日本企業が市場シェアを維持又は増加させた品目は11品目で、北
米、欧州の企業が高いシェアを占める品目が多い。一方、日本企業が大きく市場シェアを減少させた品目(対
平成20年差▲5.0ポイント以上)は6品目で、主にアジア太平洋地域の企業のシェアが増加した品目が多い。
維持又は増加した例 : システム開発(日本13.3%→15.9%、北米・欧州計74.1%→67.7%)
大きく減少した例 : 携帯電話機(日本14.2%→1.9%、アジア太平洋地域24.9%→42.7%)
(3) 輸出競争力(輸出額シェア)
「端末・機器」、「デバイス」ともに、平成20年版と比較してシェア増加傾向にある品目はわずかで、増加幅も極めて小さい。ほとんどがシェア減少傾向にあり、減少幅も増加幅に比べて大きい。
・ 日本の輸出競争力が強い品目(シェア10%以上)は、全20品目中「デジタルカメラ」(24.6%)、「ディスクリート半導
体※」(11.4%)の2品目のみで、いずれもシェアは年々減少。
※ トランジスタ、コンデンサ等単機能の半導体素子のこと。
・ 日本の輸出競争力が弱い品目(シェア5%以下)は、全20品目の75%に当たる15品目が該当。
・ 世界の総輸出額が増加した17品目のうち、日本が一定の輸出額シェア(10%程度)を維持した品目は、「プリン
タ」(8.6%)、「放送機器用デバイス」(9.4%)及び「その他半導体デバイス」(8.3%)のみ。一方、日本が大きく輸
出額シェアを減少させた品目(対平成20年差▲5.0ポイント以上)は5品目で、そのうち4品目でアジア太平洋
地域のシェアが増加。
維持した例 : プリンタ(日本11.1%→8.6%、アジア太平洋地域54.9%→63.6%)
大きく減少した例 : コピー機(日本9.6%→2.5%、アジア太平洋地域76.5%→84.9%)
3 別添資料