G20デジタル経済大臣会合は、デジタル化が経済・社会に広範かつ大きなインパクトをもたらし、多岐に亘る新たな政策課題が認識されつつある中、G20各国間でもデジタル経済分野に関する政策議論を進めるために発足した会合であり、2017年に初の大臣会合がドイツで開催されました。また、2019年には日本が議長国としてG20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合の開催を予定しています。
アルゼンチンで開催された本年の会合には、次期議長国代表として総務省から坂井総務副大臣が出席し、「デジタルガバメント」、「革新的技術」、「開発に向けたデジタル・インフラ整備」等の議題を議論しました。
(1)大臣会合概要
大臣会合において、坂井総務副大臣は、日本がSDGs(Sustainable Development Goals)の実現に向け、ICTを用いて高齢化や人口減少等の社会問題の解決に取り組んでいること、情報の自由な流通の推進が、グローバルなデジタル経済の発展にとって重要であること、AIはネットワークを通じて、国境を越えてグローバルに連携することで大きなインパクトを生むものであることから、国際的に議論することが重要であること、デジタルインフラの整備に当たっては、長期的な観点から質の高いインフラ整備を推進していること等を発信しました。また、坂井総務副大臣は本年の議論を引継ぎ、2019年のG20でデジタル化によるSDGsの実現を通じて持続的・包摂的発展を促進する議論を行うことを表明しました。
会合の結果、デジタル化を社会経済の更なる発展につなげていくためにG20各国が協力して取り組むべき事項について、大臣宣言及び附属文書が採択されました。
(2)大臣宣言
本会合における成果文書として、以下の大臣宣言が採択されました。(平成30年9月18日追加)
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G20デジタル経済大臣会合 大臣宣言
本宣言の中では、主に以下の点の重要性が確認されました。
ア デジタルガバメント
ICTが、行政機関の近代化や効率性の向上に重要な役割を担うことを強調。デジタル化によって政府の効率性と機能を向上させ、デジタル経済の発展に貢献することが重要。
イ デジタルにおけるジェンダー格差の解消
デジタル化における男女格差の解消を推進し、女性のデジタル経済への参画を向上させることで、持続的・包摂的な成長を可能とする。
ウ デジタル経済の計測
デジタル経済の客観的な計測によって、エビデンスベースの政策立案を可能とする。とりわけ、新たな技術やイノベーションが雇用や産業に与えるインパクトを評価し、産業界や消費者が技術を採用する際に伴うリスク、特に所得の不平等が低減することに貢献する。
エ 開発のためのデジタルインフラの促進
デジタル化の恩恵をすべての人が享受できるよう、インフラを含むすべてのデジタルディバイドを解消し、2025年までにすべての人をインターネットに接続するという目標を達成するべく、投資促進的な政策の推進、透明で安定的な投資環境の確保などの方針につき合意。
オ 革新的技術
革新的技術の普及は製造業に留まらず幅広い産業に及んでおり、大きな恩恵が期待される一方で、途上国あるいは中小企業など、技術の変化を活用できないことで社会経済の発展から取り残される懸念が広がっていることを認識。G20各国での成功事例、グッドプラクティスを共有し、すべての国や企業、個人のレベルでのデジタル化を推進する。