総務省と欧州委員会は、10月2日(月)及び10月3日(火)に日EU・ICT戦略ワークショップ(第6回)を、10月4日(水)に日EU・ICT政策対話(第23回)を東京にて開催しました。
1.日EU・ICT政策対話(第23回)
(1)概要
「日EU・ICT政策対話」は、総務省と欧州委員会(通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局)との間で、ICT政策全般について、定期的に実施している政策対話です。
今回(第23回)の政策対話では、日EU双方における政策動向等を踏まえ、主として以下の事項について対話を行いました。
(2)主な成果
ア 国際連携
EU側から、インターネットガバナンスに関して、イタリア・トリノで開催された先のG7情報通信・産業大臣会合等の国際議論の場における日EU間の継続連携の重要性について説明がありました。日本側からは、自由でオープンなインターネット環境を維持するための取組について説明しました。
この点については、今後ともG7、G20等の国際的な枠組みの中で、日EU間で継続連携していくことを確認しました。
また、情報の自由な流通の重要性についても意見交換が行われました。
イ 電気通信規制
EU側から、2025年に向けた電気通信分野における戦略目標として、欧州域内におけるWiFi整備、5Gの早期実現に向けた取組、電気通信規制の改正等の取組について説明がありました。加えて、EU加盟国における固定電話網のIP網への移行状況について説明がありました。日本側からは、電気通信規制の最新動向及び固定電話網のIP網への円滑な移行の在り方について説明を行いました。
ウ サイバーセキュリティ
EU側から、サイバーセキュリティ戦略等の取組について説明が行われました。日本側からは、IoTに係るサイバーセキュリティ対策の在り方等について説明を行いました。IoTの進展により、セキュリティの重要性が増していることを踏まえ、IoT機器のセキュリティ認証の基準について意見交換が行われ、今後、専門家同士での意見交換を実施していくこととしました。
エ ICT人材育成
EU側から、ICT社会における人材育成の在り方について、説明が行われました。日本側からは、ICT社会において必要な人材育成の取組や、セキュリティ人材の育成について説明を行いました。今後日EU間で課題を共有し、意見交換を継続していくこととしました。
オ 5G
EU側からは、5Gの早期実現に向けた今後のロードマップや周波数における国際連携等について、説明が行われました。日本側から、5Gにおける標準化や実証実験の取組について、説明を行いました。
特に、5G用の周波数に関する国際連携については、両国の取組状況・課題を共有するとともに、今後、専門家同士での意見交換を実施していくこととしました。
カ 共同研究
EU側から、これまでの日欧ICT国際共同研究結果やその評価について、説明が行われました。日本側からは、国際共同研究のスキーム等について、説明を行いました。
今後も継続して国際共同研究において、連携していくこととしました。
キ AI/ロボティクス
EU側から、EUにおけるAI/ロボティクスに関する取組について説明が行われました。日本側からは、AI開発ガイドラインやAIの活用に関する取組について説明を行いました。また、AIの進展に伴う社会への影響や、各国における考え方についても日EU間で議論が行われました。AIについてはG7情報通信・産業大臣会合においても、今後の議論の重要性が認識されたところであり、引き続き日EU間で課題を共有し、連携していくこととしました。
(参考)日EU・ICT政策対話(第23回) 出席者
日本側:総務省富永総務審議官 ほか
EU側:欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局ロウハナ総局次長 ほか
2.日EU・ICT戦略ワークショップ(第6回)
(1)概要
日EU・ICT政策対話の開催に先立ち、デジタル経済における重要課題について官民で自由な意見交換を行う場として、今般、第6回となる日EU・ICT戦略ワークショップを開催しました。日EU双方における政策動向や、実際のビジネスの場での課題等を踏まえ、主として以下の事項について対話を行いました。
(2)主な成果
ア 5GやIoT等のICTに関する標準化等についての取組の共有
2020年の5G実現に向けたスケジュールや標準化要件、周波数の割り当て等に関する議論を行いました。今後も、専門家会合等を通じて日EU間で協力を進めていくことで一致しました。
イ ブロックチェーン
非金融分野でのブロックチェーンの活用事例の説明があり、様々な実証実験が行われている中、国際的な連携の重要性についての説明がなされました。加えて、ブロックチェーンの活用が期待される分野についての議論も行われました。
ウ 電子認証
タイムスタンプ等の電子認証について、日EUの認証に関する議論が行われました。また、欧州側からeID規制の進捗状況について説明があり、セキュリティ確保の重要性等が議論されました。
エ 標準必須特許
日本側より、標準必須特許を巡る紛争処理の動向や、ライセンス付与に係るガイドライン等いついて説明がなされました。当分野では、技術へのアクセス確保とイノベーションのインセンティブ付与とのバランスを取ることの重要性等について議論がなされました。
オ データエコノミー
データの利活用や流通促進のための課題や、制度の在り方について議論を行いました。また、EU側から自動運転の取組について説明もなされ、データ利活用の推進に向けた相互運用性の確保、セキュリティへの対応、ルールの国際的協調等が議論されました。
個人情報に関しては、EU司法総局及び日本側から、日EU間の個人情報流通の枠組み構築に向けた取組について説明があり、実用的かつ柔軟なガイドライン策定の必要性、データフリーフローとデータ保護との適切なバランスの確保の重要性、マルチステークホルダーアプローチの重要性等が議論されました。
(参考)日EU・ICT戦略ワークショップ(第6回) 出席者
日本側:総務省今林国際戦略局長、経済産業省、個人情報保護委員会事務局、(一社)経済団体連合会(経団連)、
関連企業 ほか
EU側:欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局デグラーフF局長、司法総局、関連企業 ほか
【関係報道資料】