6月19日及び20日の2日間、総務省は、在ルーマニア日本国大使館、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)、ルーマニア通信監督規制庁(ANCOM)、ルーマニア研究・イノベーション・デジタル化省、クルージュ・ナポカ市等とともに、ルーマニアクルージュ・ナポカにて、「日ルーマニアイノベーションフォーラム」を開催しました。
本フォーラムには、多くの日ルーマニアの政府関係者、デジタル・ICT企業、スタートアップ、アカデミア、地方自治体等が参加し、6月19日にカンファレンス、6月20日にビジネスマッチングやネットワーキング等を実施しました。
1 概要
日本とルーマニアは本年3月に戦略的パートナーシップを締結し、科学技術分野での協力の深化を図っています。ルーマニアのデジタル・ICT主要拠点の一つであるクルージュ・ナポカにおいて開催された今回の「日ルーマニアイノベーションフォーラム」では、日ルーマニアの政府関係者、デジタル・ICT企業、スタートアップ、アカデミア、地方自治体等が参加し、ビジネスマッチングやネットワーキングを通じた多面的交流、海外展開のきっかけが提供されました。
6月19日のカンファレンスでは、日ルーマニアの政府高官等によるキーノートスピーチに続き、総務省が支援するルーマニアにおけるスマートシティ実証事業「クルージュIDプロジェクト」の公表、また、両国交流のポイントとなる Open RAN等の5Gの強靱性、スマートシティ、スタートアップ、国際官民交流をテーマに官民関係者等によるパネルが実施されました。
また、6月20日には、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)のオープンイノベーションプラットフォーム「J-Bridge」を活用し、日本側23社/機関、ルーマニア側47社/機関による約170組のビジネスマッチングのほか、両国企業によるピッチングイベントやネットワーキング、大阪大学、群馬大学及びルーマニア2大学関係者が参加するラウンドテーブルも実施されました。
本フォーラムをきっかけとして、デジタル・ICT分野における両国のさらなる関係深化を図ってまいります。
(参考)日ルーマニアイノベーションフォーラム 参加者
日本側: 総務省、在ルーマニア日本国大使館、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)(以上主催者)、内閣官房海外ビジネス投資支援室、経済産業省、渋谷区、株式会社アルム、株式会社NTT DATA, Inc.、株式会社NTTドコモ、NTT Research, Inc.、大阪大学レーザー科学研究所・極限レーザー核科学研究所(ELI-NP)、株式会社クニエ、KDDI株式会社、住友商事株式会社、株式会社DG Daiwa Ventures、一般社団法人Fintech協会、Fortech(日立グループ)、富士通株式会社、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社、楽天シンフォニー株式会社のほかスタートアップ、学識者等
ルーマニア側: 通信監督規制庁(ANCOM)、研究・イノベーション・デジタル化省、クルージュ・ナポカ市(以上主催者)、クルージュITクラスター、トランシルバニアITクラスター、Cluster of Education、スタートアップ(AI、フィンテック、セキュリティ、ソフトウェア等分野)、極限レーザ−核科学研究所(ELI-NP)、学識者等
2 官民関係者等によるパネルの結果概要
(1)5G(Resilience and security of 5G)
日本側は総務省、株式会社NTTドコモ、NTT Research, Inc.、富士通株式会社、楽天シンフォニー株式会社が参加し、ルーマニア側はSabin SARMAS下院通信委員会議長、通信監督規制庁(ANCOM)、Vodafone Romania、Telekom Romania等が参加しました。オープンでセキュアな5Gの展開など、強靱なネットワークインフラを構築する重要性が高まっている中、ネットワークインフラとセキュリティのこれからのあるべき姿について議論が行われました。日本側からは、Open RANと通信セキュリティにおけるベンダー多様化の重要性等について、ルーマニア側からは、電気事故の観点から電気通信のレジリエンス強化に係る官民の取組等が紹介されました。
(2)スタートアップ(Innovative Startups in emerging/advanced technologies)
日本側は渋谷区、株式会社DG Daiwa Ventures、一般社団法人Fintech協会が参加し、ルーマニア側は通信監督規制庁(ANCOM)、国立情報学研究所(ICIブカレスト)、クルージュ市中小企業庁、トランシルバニアITクラスター等が参加しました。日ルーマニアのスタートアップエコシステムがどのように協働し、両国間さらには第三国市場への参画を狙うのか、グローバル展開における課題と今後の支援の在り方を議論しました。例えば、渋谷区からはスタートアップエコシステムを支える公共セクターの役割について発表が行われました。
(3)スマートシティ(The Blueprint of a Smart City)
日本側は三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社、株式会社NTT DATA, Inc.、KDDI株式会社が参加し、ルーマニア側は通信監督規制庁(ANCOM)、民間スマートシティ関係者等が参加しました。持続可能で人間中心のスマートシティのビジョン&コンセプトとそれを実現するためのアプローチをテーマに幅広い内容が議論されました。例えば、株式会社NTT DATA, Inc.からは、総務省が支援するルーマニアにおけるスマートシティ実証事業「クルージュIDプロジェクト」について、また、KDDI株式会社からは、スマートシティのためのテクノロジーとビジネスソリューションをテーマに発表が行われました。
(4)国際官民交流(Cross-border cooperation in public and private sector)
日本側は内閣官房海外ビジネス投資支援室、株式会社アルム、大阪大学レーザ−科学研究所・極限レーザー核科学研究所(ELI-NP)、住友商事株式会社、Fortech(日立グループ)が参加し、ルーマニア側は研究・イノベーション・デジタル化省、クルージュITクラスター、極限レーザ−核科学研究所(ELI-NP)等が参加しました。科学技術分野(光学)における協力をテーマに、極限レーザー核物理研究所(ELI-NP)が発表を行いました。また、ビジネスにおける二国間協力と、第三国への展開の可能性をテーマに、例えば、内閣官房海外ビジネス投資支援室から投資誘致におけるホスト国・地域政府の役割の重要性を説明するなど、両国の官民関係者がそれぞれの取組を発表しました。