1 経緯等
基礎的電気通信役務(ユニバーサルサービス)制度は、国民生活に不可欠であると広く認識される通信サービスを、全国どこでも地域間格差なく利用できることを確保するための仕組みです。
現在、電気通信事業法第7条に基づき、「加入電話」、「第一種公衆電話」、「緊急通報」がユニバーサルサービス制度の対象として位置づけられており、事業者にその提供義務等が課せられているとともに、これをあまねく提供している事業者に対して基金による支援が行われています。
FTTH等のブロードバンドサービスの普及に伴い、FTTH等の回線を用いて提供する「0AB〜J-IP電話(光IP電話)」が、加入電話と通話品質が同等であり、ブロードバンドサービスの料金に安価な基本料を加えることで利用できることから、急速に普及しています。さらに、ブロードバンドサービスの契約を要さずに単独で利用でき、加入電話と料金面でも同等性を有する光IP電話も登場してきています。このような現状を踏まえれば、ブロードバンドサービスが全国に普及するまでの移行期においては、固定電話については、加入電話と光IP電話が並存しつつ、加入電話から光IP電話へ置き換わっていくと想定されます。
また、「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」政策決定プラットフォームが取りまとめた「『光の道』構想実現に向けて−基本的方向性−」(平成22年5月18日)においては、「『光の道』の実現に向けた移行期におけるユニバーサルサービス制度の見直し」として、「メタルアクセスから光アクセスへのマイグレーションを加速化するためには、ユニバーサルサービスの対象を「『加入電話』又は『加入電話と同程度の料金水準の光IP電話』」と変更する」ことの必要性が提言されており、この変更により、「宅地開発の際のメタルの整備の回避、将来的なメタル撤去の準備等が可能となり、光ファイバの整備を促進すること」が期待されています。
以上を受け、ユニバーサルサービス制度の対象、ユニバーサルサービス基金の在り方等、ブロードバンドサービスが全国に普及するまでの移行期におけるユニバーサルサービス制度の在り方について、情報通信審議会に諮問するものです。
2 今後の予定
総務省は、情報通信審議会における審議の結果に基づいて、必要な措置を講じていく予定です。