緊急通報及び災害時優先通信について、現在、0AB〜J番号を使用する電話(アナログ電話、ISDN及び0AB〜J−IP電話)に緊急通報の提供のみが義務づけられています。0AB〜J番号を使用する電話の災害時優先電話、携帯電話及びPHSの緊急通報及び災害時優先通信については、電気通信事業者の自主的取組の中で提供されているところです。0AB〜J番号を使用する電話、携帯電話及びPHSが緊急時の通信手段として重要な役割を果たしている状況にかんがみ、それらの通信手段においても、緊急通報及び災害時優先通信の提供を確保する必要があります。
なお、総務省の「重要通信の高度化の在り方に関する研究会」報告書においても、携帯電話等について、緊急通報及び災害時優先通信の提供を義務化すべき旨の提言がなされています。
本件は、こうした中、電気通信事業者に対し緊急通報及び災害時優先通信の提供を原則義務化することを目的として、次の省令及び告示の改正を行うものです。
(1) 事業用電気通信設備規則(昭和60年郵政省令第30号)
・音声伝送役務の提供の用に供する電気通信回線設備のうち、アナログ電話用設備、ISDN用設備、0AB〜J−IP電話用設備、携帯電話用設備及びPHS用設備について、災害時優先通信を扱う機能を有することを義務づける。
・アナログ電話用設備、ISDN用設備及び0AB〜J−IP電話用設備については、設備の改修等が必要であるため災害時優先通信の提供ができない場合には、制度改正から2年を限度として義務を課さないこととする。
・災害時優先通信を扱う事業用電気通信回線設備に必要とされる機能等について、所要の規定整備を行う。
(2) 電気通信番号規則(平成9年郵政省令第82号)
・携帯電話及びPHSに係る端末系伝送路設備を識別するための電気通信番号を指定する際の要件として、緊急通報の利用が可能であることを追加する。
(3) 電気通信事業法施行規則(昭和60年郵政省令第25号))
・電気通信設備が技術基準に適合することについて電気通信事業者が自己確認を行った場合に総務大臣へ届出を行う際の添付書類として、災害時優先通信を扱う事業用電気通信設備に関する説明書を追加する。
(4) 電気通信事業報告規則(昭和63年郵政省令第46号)
・電気通信事業者が災害時優先通信の取扱いを開始等するときに総務大臣への事前の報告を義務づけるとともに、報告様式について定める。
(5) 昭和60年郵政省告示第228号(事業用電気通信設備規則の細目を定める件)
・事業用電気通信設備規則の条番号の変更に伴い、それを引用している当該告示の引用条項を整備する。
※ 上記(1)から(5)までのうち、情報通信行政・郵政行政審議会への諮問事項は(1)及び(2)です。