(1) 簡易型船舶自動識別装置の導入
船舶自動識別装置(AIS:Automatic Identification System 以下「AIS」といいます。)は、船舶の船名、呼出符号等の静的情報や位置、速度、針路等の動的情報等を相互に発信し合い、それらの情報を把握することで衝突回避など船舶の航行の安全に寄与するものであり、海上人命安全条約(SOLAS条約)に基づいて大型船舶(注)に設置が義務付けられています。
一方、小型船舶にはAISの設置が任意であること、価格面等の理由から普及が進んでいない状況です。
これを受け、小型船舶の安全性の向上を増進する観点から、国際標準化された小型・安価で機能を簡略化した簡易型AISを我が国でも導入を図るべく、情報通信審議会においてその技術的条件について審議が行われ、平成20年6月に答申を得たところです。
今般、総務省では、情報通信審議会の答申を踏まえ、簡易型AISの早期導入を図るため、船舶局の無線設備に簡易型AISを追加するとともに、技術基準適合証明設備の対象とするため、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則の各一部改正並びに周波数割当計画の一部変更するものです。
(注): 国際航海に従事する旅客船、総トン数300トン以上の旅客船以外の船舶及び国際航海に従事しない総トン数500トン以上の船舶
(2) 日本語ナブテックス受信機の技術的条件の緩和
ナブテックス受信機は、船舶に向けて放送される航行警報、気象警報、気象予報等の海上安全情報を文字情報として受信するための無線設備であり、英語を用いる国際ナブテックスと日本語を用いる日本語ナブテックスの2種類があります。現在、国際ナブテックス受信機については、受信した情報を印字又は画面表示する機能のいずれかを備えればよいこととされていますが、日本語ナブテックス受信機については、印字機能のみが要件とされています。
今般、総務省では、日本語ナブテックス受信機についても画面表示のみも選択可能とするため、無線設備規則の一部を改正するものです。
(1)簡易型船舶自動識別装置の導入
ア 簡易型船舶自動識別装置を船舶局の無線設備の機器に追加すること。
イ 簡易型船舶自動識別装置を技術基準適合証明設備の対象とすること。
ウ 簡易型船舶自動識別装置の定義及び具備すべき周波数を規定すること。
エ その他所要の規定を整備すること。
(2)日本語ナブテックス受信機の技術的条件の緩和
日本語ナブテックス受信機おいてナブテックス情報を印字表示以外の画面表示でも可能とすること。
(1) 無線設備規則(昭和25年電波監理委員会規則第18号)
(2) 特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則(昭和56年郵政省令第37号)
(3) 周波数割当計画(平成20年総務省告示第714号)
(4) 電波法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第14号)
(5) 登録点検事業者規則(平成9年郵政省令第76号)