1 経緯 |
総務省では、我が国のICT産業の国際競争力の強化に資するため、平成20年6月よりICT国際競争力指標を策定しています。今回、3回目となる平成22年版ICT国際競争力指標を策定しましたので、公表します。
ICT国際競争力指標は、各種調査会社による2009年(入手困難な場合は2008年)のデータを活用し、日本企業の世界市場における競争力(企業競争力)の観点から各製品・サービスの日本企業の市場シェアを、また、企業立地における国としての競争力(輸出競争力)の観点から各製品における日本の輸出額シェアを選定し、我が国のICT産業の国際競争力を分析したものです。
2 結果の概要 |
(1) 企業競争力(日本企業の世界市場における競争力=世界市場における日本企業の売上高シェア)
・世界市場における日本企業の売上高シェアでみると、全35品目中、14品目で日本のシェアは増加し、17品目で減少。
・日本の企業競争力が強い品目(シェア25%以上)は、全35品目中、10品目あるが、「端末・機器」及び「デバイス」分野に集中。「コピー機」「DVD/Blu-rayレコーダ」「オプトエレクトロニクス」は60%前後の高いシェア。
・平成20年版と平成22年版とを比較すると、「コピー機」(63.3%→66.6%)、「プリンタ」(32.1%→38.9%)、「オプトエレクトロニクス」(53.8%→58.9%)でシェアを伸ばしている。一方、「液晶テレビ」(42.9%→30.6%)、「携帯電話用液晶デバイス」(50.1%→35.7%)で大きくシェアが減少。
・日本の企業競争力が弱い品目(シェア5%以下)は7品目あるが、「サービス」、「端末・機器」、「デバイス」に分散。
・日本が大きく市場シェアを減少させた品目(▲5.0%以上)では、アジア太平洋地域が日本の市場シェア減少分を代替。
(2) 輸出競争力(企業立地における国としての競争力=世界の輸出額合計に占める日本の輸出額のシェア)
・輸出額シェアでみると、全20品目中、5品目で日本のシェアは増加し、14品目で減少。
・輸出額シェアは、「デスクトップPC」「PC用ディスプレイ」を除き、アジア太平洋地域のシェアが増加している。
・日本が大きく輸出額シェアを減少させた品目(▲5.0%以上)では、アジア太平洋地域が日本の輸出額シェアの減少分を代替。
(3) 市場シェア及び輸出額シェアを踏まえた分析
(1)日本、欧米は、世界シェア維持のため、「コピー機」「プロセッサ」「ネットワーク機器」「サーバ」等の生産をアジア太平洋地域等に移転。これらの品目は、アジア太平洋地域が生産拠点となっているが、この地域の企業の市場シェアは低い
・日本の「コピー機」「プリンタ」、北米の「プロセッサ」「ネットワーク機器」「デスクトップPC」「サーバ」、欧州の「携帯電話機」については、高い市場シェアを維持しつつ、輸出額シェアは減少しており、世界シェアを維持するために、生産拠点を自地域から、よりコストの低いアジア太平洋地域、その他地域(南米、アフリカ等)へ移転していることが推測される。
このうち、「コピー機」「プリンタ」「プロセッサ」「ネットワーク機器」「サーバ」については、アジア太平洋地域で市場シェアが低いものの、輸出額シェアは増加しており、アジア太平洋地域が受け皿になっていることが推測される。「デスクトップPC」「携帯電話機」については、その他地域(南米、アフリカ等)で、市場シェアが低いものの、輸出額シェアは増加している。
(2)「携帯電話」、「ノートPC」は、アジア太平洋地域が生産拠点となりつつ、この地域の企業の世界シェアも拡大
・アジア太平洋地域は、「携帯電話機」「ノートPC」については、市場シェアを大きく増加させつつ、輸出額シェアも増加しており、同地域に属する企業が、上記2品目において世界市場でのシェアを大きく伸ばしつつ、同地域の企業を含めた世界の企業が、アジア太平洋地域を上記2品目としての生産拠点としてより重要視していることが推測される。
(3)欧米企業と日本企業の生産拠点の移転に関する差異
・米国企業が「ネットワーク機器」「デスクトップPC」「サーバ」について、生産拠点の移転を進めている。これらの品目の日本の市場シェアに大きな変化はなく、また、日本からの輸出額シェアにも大きな変化はないことから、日本企業が日本から国外への生産拠点の移転を進めていないことが推測される。
3 別添資料 |
連絡先:情報通信国際戦略局
情報通信政策課情報通信経済室
担 当:久保田課長補佐、松本統計企画係長
電 話:03-5253-5744