海外ニュース(2018年7月3日号)

■5G

[1] 5G周波数オークション終了で今後は5G活用サービスの内容が焦点に≪韓国≫

 韓国通信分野における2018年最大の関心事となっていた5G周波数オークションが6月15日から18日まで予定通りに実施され、移動通信事業者3社(SKテレコム、KT、LG U+)への5G用途周波数割当てが決定しました。韓国では国策として2019年3月に世界初の5G商用サービス開始を目指しています。そのため、他国に先駆けて5Gで利用する2種類の周波数帯(3.5GHz帯/28GHz帯)を今回同時に割り当てたことで、海外からも注目されています。最低落札価格3兆2,760億ウォンから始まったオークションの合計落札価格は3兆6,183億ウォン(約3,618億円)でした。落札結果は次の表のとおりです。
 
5G周波数オークションの結果(*金額単位:ウォン(1ウォン=約0.1円))
事業者 SKテレコム KT LG U+ 帯域別落札価格
3.5GHz帯 獲得帯域幅 100MHz幅 100MHz幅 80MHz幅 2兆9,960億
落札価格 1兆2,185億 9,680億 8,095億
28GHz帯 獲得帯域幅 800MHz幅 800MHz幅 800MHz幅 6,223億
落札価格 2,073億 2,078億 2,072億
合計 1兆4,258億 1兆1,758億 1兆167億 3兆6,183億
出所:科学技術情報通信部
 
 今回のオークションについて、移動通信事業者3社は想定内の結果を得られたためにおおむね満足しています。5G用途周波数は12月1日から利用が可能となります。3社は早ければ8月までにベンダーを選定し、10月頃からネットワーク構築を開始する予定です。周波数割当てが順当に確定したためネットワーク構築に向けたプロセスもさらに早まる可能性があります。
 一方、商用サービス化時点で提供される5G活用のサービス内容については、各社はまだ具体的な言及をしていません。一般向けサービスの開発はまだ時間が必要であり、商用化初期段階ではスマート工場等のBtoB分野から5Gが導入されると見られています。商用化スケジュールまでに、ネットワーク構築と合わせて、どのような5G活用サービスが開発されるのか、国内外から幅広く注目されています。

■自動運転

[2]ウェイモ、自動運転車のテスト走行距離が700万マイルに到達へ≪米国≫

 アルファベット(Googleを含む事業の持株会社)傘下のウェイモ(Waymo)は、自動運転技術を活用したタクシーサービスの開始に向け、車両の調達や自動運転のテスト走行を加速しています。
 ウェイモは、5月31日に、自動車メーカーのクライスラーから、ミニバン「パシフィカ」を6万2000台調達し、自社の自動運転技術を搭載すると発表しました。ウェイモは2016年にもクライスラーから600台のパシフィカを調達し、複数の都市で自動運転走行の試験を行ってきました。
 6月5日、ウェイモの事業開発最高責任者であるショーン・スチュワート氏は、同社の自動運転車のテスト走行距離がまもなく700万マイルに到達すると発表しました。同社の自動運転車のテスト走行距離は、5月に600万マイルに到達したばかりで、1か月ほどでテスト走行距離が100万マイル増加したことになります。ウェイモが、2018年後半の自動運転車によるタクシーサービスの提供開始に向けて、テストのペースを速めていることがうかがえます。
 自動運転車は、他社も開発を進めていますが、テスト走行距離ではウェイモが群を抜いています。ウーバーは、2018年3月にテストを中止した時点での走行距離は約300万マイルで、GMのクルーズの2016年12月から2017年11月の間の走行距離は、13万1000マイルにとどまっています。
配車サービスを提供しているウーバーのダラ・コスロシャヒCEOは、5月30日に、カリフォルニア州のランチョ・パロス・ベルデスで開催されたCode Conferenceで、ウーバーの配車ネットワークに、ウェイモの自動運転車を加えるための話し合いを進めていることを明らかにしました。コスロシャヒ氏は、自動運転技術の利用者数を増やすため、配車ネットワークと協力することは理に適っていると説明しています。

■IoT

[3]IoT市場、2025年には1兆ドル規模に≪国際≫

  移動体通信の業界団体であるGSMAは5月31日、世界におけるIoTの接続件数と収益に関する最新予測を発表しました。
GSMAによれば、2016年現在、63億を記録しているIoT総接続件数は2025年には252億件にまで増加し、その内訳は産業用IoTが138億件、家庭用IoTが114億件になる見込みです。また、世界のIoT市場規模が2025年までに1兆1,000億ドルに達し、アジア太平洋地域が接続件数・市場規模ともに世界最大のIoT市場になることも予想されています。
その一方で、IoT市場の価値が接続性からプラットフォームやアプリケーション、サービスへと移行するとの見通しも明らかになっています。2025年、IoT収益機会全体に対して接続サービスによる収益が占める割合がわずか5パーセントにとどまるのに対し、プラットフォーム、アプリケーション、サービスの分野での収益は68パーセントを占めるまでに成長する見込みです。残りの27パーセントを占めるのは、システムインテグレーション、マネージドサービス、コンサルティングといったIoTプロフェッショナルサービスです。
 以上を踏まえ、今回の予測を発表したGSMAインテリジェンスのIoT担当主任アナリストであるシルヴィア・ケシシュ氏は、「IoTの収益機会は、単なる機器同士の接続から、特定分野向けにカスタマイズされたソリューションへと移行しています。エコシステムの企業が成功を収めるには、こうした市場の動向に合わせてビジネスモデルを適応させる必要があるでしょう」と述べています。 

■工業インターネットの発展促進

[4]工業・情報化部、「工業インターネット発展行動計画(2018-2020年)」を発表。2020年末までに工業インターネットのインフラと産業体系を概ね構築≪中国≫

 工業化と情報化の融合を加速させる目的で設立された工業・情報化部は6月7日、「工業インターネット発展行動計画(2018-2020年)」を発表しました。2020年末までに工業インターネットのインフラと産業体系を概ね構築するとしています。主な内容は以下のとおりです。

*工業インターネットの使用に適する、高信頼性・広域・高帯域・カスタマイズ可能な、IPv6に対応した企業エクストラネットのインフラを概ね整備し、重点業界の企業イントラネット更新モデルを形成させる。
*工業インターネットの標識解析システムを概ね整備し、標識解析に関する国内最高レベルのノードを五つ程度構築、標識登録数を20億以上に引き上げる。
*それぞれ重点を有し、集積・発展する工業インターネットプラットフォームのフレームワークを概ね構築する。各省・自治区・直轄市と条件を兼ね備えた業界団体が地域・業界の工業インターネットプラットフォームを構築し、期間ごとに業界間・分野間プラットフォームを約10選出し、独立経営のプラットフォームを複数育成し、30万以上の工業企業のクラウド利用を推進し、30万以上の工業アプリを育成する。
*工業インターネットのセキュリティ体系を概ね整備し、健全なセキュリティ管理メカニズムを構築し、企業イントラネットのセキュリティの主体責任を実行する。設備・プラットフォーム・データ等、少なくとも10の関連セキュリティ標準を策定すると同時に標識解析システムのセキュリティ構築を推進し、セキュリティ状況の把握能力・総合保障能力を著しく向上させる。

また、主な取組みとして以下を挙げています。
(1)インフラ能力の向上
(2)標識解析システムの構築
(3)工業インターネットプラットフォームの構築
(4)コア技術標準の突破
(5)新モデル・新業態の育成
(6)産業エコシステムの発展促進
(7)セキュリティ保障水準の強化
(8)オープンな協力体制の推進
(9)統括推進の強化
(10)政策実行の推進

■スマートシティ

[5]カーンロンドン市長、スマートシティ構築に向けたロードマップ「スマート・ロンドン・トゥギャザー」を発表≪英国≫

 カーンロンドン市長は6月11日、テクノロジーの中心都市としてのロンドンの魅力をアピールするためのイベント「ロンドンテックウィーク」の開催にあたり、ロンドンを世界で最先端のスマートシティとするためのロードマップ「スマート・ロンドン・トゥギャザー」を発表しました。
ロードマップには20以上の取組みが盛り込まれており、その目玉の一つが「ロンドン市イノベーションチャレンジ」です。これは、ロンドンを技術的イノベーションのテストベッドとして位置付け、スマートインフラの開発、新ビジネスへの投資誘致を推進することで、ロンドンが都市として直面する格差、気候変動、高齢化等の課題解決を目指しています。
 そのほかロードマップには、フル光ファイバ、4G・5G等によるコネクティビティ向上策、公共サービス間のデータ共有推進策、スマートテクノロジー支援策、ロンドン全市におけるサイバーセキュリティ戦略の開発等が盛り込まれています。
 カーン市長は「ロンドンが直面する課題を解決するためには、これまで以上に関係機関の協力的なアプローチが必要であり、公共サービス、主要な大学、テクノロジー産業界等との連携により、より公平で豊かなスマートシティを目指していきたい」と述べています。
 

問い合わせ先

連絡先:情報流通行政局
情報通信政策課情報通信経済室
電話:03-5253-5720
FAX:03-5253-6041
Mail:mict-now★soumu.go.jp
(★をアットマークに変換の上、お問い合わせください)

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