報道資料
平成22年1月19日
「海外情報通信判例研究会報告書(第一集)」の公表
総務省情報通信政策研究所では、平成20年3月から、「海外情報通信判例研究会」(座長:堀部政男 一橋大学名誉教授)を開催しています。今般、これまでの判例研究の成果を「海外情報通信判例研究会報告書(第一集)」として取りまとめましたので公表します。
1 経緯
本研究会は、情報通信政策に関連する諸外国の判例研究を通じ、我が国における今後の情報通信政策の形成に資することを目的として、平成20年3月から開催しています。
このたび、
各構成員
から発表いただいた個別の判例に関する研究成果等を「海外情報通信判例研究会報告書(第一集)」として取りまとめましたので、公表します。
2 報告書
海外情報通信判例研究会報告書(第一集)
(別添)
(報告書目次)
- 第1章 判例研究の意義
- 第2章 情報通信と判例の概要
- 第3章 競争政策等に関する判例
- 第4章 消費者保護・通信の秘密等に関する判例
- 第5章 放送に関する判例
- 参考資料 主要判決の概要
3 今後の予定
本研究会においては、引き続き情報通信政策に関連する諸外国の判例研究を積み重ね、そして、その研究成果を、我が国の大学の研究者、法曹関係者、海外で活動を行う企業の法務関係者等に活用いただけるよう、公表していきます。
<参 考> 本報告書で取り上げられている判決の例(概要)
名 称 |
欧州Microsoft事件 |
事 案 |
OS市場における支配的地位の濫用 |
裁判所(判決時期) |
欧州第一審裁判所(2007年9月) |
訴訟当事者 |
原告:欧州委員会(EU競争法の執行機関)
被告:欧州Microsoft |
経 緯 |
○欧州委員会は、Microsoft社の下記の2つの行為に関し、是正措置及び制裁金の支払いを命令。
- 競争事業者に対し、Windows搭載PCと相互運用できるサーバー製品を開発するために必要なインターフェース情報の提供を拒否。
- Windows Media PlayerをWindows OSと抱き合わせ販売。
○上記命令について、Microsoft社は欧州委員会の決定を不服として、欧州第一審裁判所へ提訴。 |
判決要旨 |
○欧州第一審裁判所は、Microsoft社の支配的地位の濫用に関する欧州委員会の認定を基本的に支持する下記判決を下した(後日、Microsoft社は、当該判決について上訴しないことを公表)。
- 相互運用性確保に必要な情報の開示の拒絶が、欧州条約第82条(b)の「技術開発を消費者の利益に反するよう制限すること」に該当するとした欧州委員会の判断は、「明白な誤り」(manifest error)ではない。また、Microsoft社は、当該情報の開示が、同社の技術革新の動機付けに重大な悪影響を及ぼすであろう事を立証していない。
- Windows Media Playerの抱き合わせにより、Microsoft社、OEM企業及び他のメディア再生ソフトウェアの供給企業の間の競争バランスがMicrosoft社に有利な方向へ作用することは避けられないと認定した欧州委員会の結論を支持。また、Microsoft社は、抱き合わせを正当化する客観的事由の存在を立証しておらず、欧州委員会の改善措置(自社のMedia Playerが組み込まれていないWindowsをメーカーやユーザーに提供すること)は適切である。
|
ページトップへ戻る