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地域力創造に関する有識者会議(第2回)

日時

平成20年12月15日(月) 13時00分〜15時00分

場所

三田共用会議所第3特別会議室

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    • 地域力の向上に取り組んでいる事例発表
        株式会社エフエムもえる 代表取締役社長 佐藤太紀様
    • 質疑応答
    • 事務局説明
    • 委員間のフリートーキング 等
  3. 閉会

配布資料

資料 第2回地域力創造有識者会議 資料PDF
  • 第1回地域力創造有識者会議の主な意見・提言等
  • 首長アンケート結果について(速報版)
  • 現在検討中の総務省の来年度施策  等

議事録

【月尾座長】  定刻になりましたので始めたいと思います。前回ご欠席でした小西委員が出席されていますので、一言自己紹介をお願いします。

【小西委員】  関西学院の小西でございます。私はどちらかといえば財政学ですので、金目の議論を得意とするものですから、少しなじまないかもわかりませんけれども、地域力創造については、皆様方に負けない思いは持っているつもりでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【月尾座長】  今回から、地域力創造で現実に上手くいっているとか、頑張っているという事例をご紹介いただこうと思っています。
 第1回目は、北海道の留萌市にある「エフエムもえる」というコミュニティ放送局の佐藤太紀社長に来ていただき、この放送局がどういう経緯で実現し、どういう活動をしており、地域にどういう影響を及ぼしているかということをお話しいただきたいと思います。
 佐藤社長、よろしくお願いします。

【佐藤様】  ただいまご紹介いただきました、北海道留萌市というところにありますコミュニティ放送局「エフエムもえる」の佐藤と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、留萌市は、今日、ちょっと画質が粗いんですけれども、表にあります表紙の北海道の地図の、この「るもいモデルについて」という字なんですけれども、まずこちらにあるということだけ、ちょっと知っていただきたいなと思っております。僕はこれから地域というのは、このピンクの部分です。留萌市は赤い部分でして、放送局は赤いところにありますので、真ん中の一番ちょっとしたラインですけども、電波はこれプラスアルファぐらいのところしか届いていないということです。
 まず、コミュニティ放送局というのは、総務省、こちらの管轄なんですけれども、今年で4年目になりました。当社はいろいろなまちづくり活動をしようということで、いろいろな活動をしていたんですけれども、月尾塾長がちょうど萌州沿岸塾という塾を開いていただいておりまして、そのときのきっかけから、これから地元を変えるのは辺境というか、地域であると。地域が日本を変えていくのだということですとか、あと、住民が、ただ役所がいいとか、悪いとか、やってくれないとか、やってくれたとかというのではなくて、自分たちでやらなければだめなんだということをいろいろな形で教えていただいた経緯もありまして、また僕らも、ただ金をくれと国や市町村に言っても、そんなものはらちが明かないと。補助金の切れ目が活動の切れ目ということが見えていましたので、とにかく自分たちでやれるところはやろうやということでスタートしたのが、エフエムもえるというものです。
 当初、ミニエフエムという、総合通信局から1回呼び出されて怒られた経緯があるんですけれども、半径50メートルぐらいの電波を出して活動しました。それで半年ぐらいたちまして、その後、逆にイベントエフエムという、試験的にやってみたらどうだというアドバイスをいただいて、今と同じ規模なんですけれども、3カ月間やってみました。そのとき、最初に集まったのが10人程度です。10人とも別に放送に興味があったわけでも何でもないんですけども、情報だねと、地元に足りないのは情報じゃないか、地元情報が地元のことを地元の人たちがあまり知っていないねということで、自分たちの情報を自分たちで出してみようよ、自分たちに向けて出してみようという活動の中で、10人集まったんですけれども、これが試験放送のときには50人に膨れ上がりまして、その半年後、ちょうど4年前の10月ですけれども、100人になりまして、100人が放送局をスタートするという形になりました。
 ただ、もちろん100人集まったって免許をもらえるわけじゃないので、やむを得ず会社をつくって、今はNPOでも認められるみたいですけども、当時株式会社じゃないと事実上認められなかったものですから、株式会社をつくって、おい、だれが社長をやるんだよという話をしたときに、たまたま僕が言いだしっぺだったもので、僕が社長をやることになりまして、今やっております。
 それが今、120人が動いているんですけれども、まず形態というか、資本金が1,755万、17の企業と個人によって集まっています。これは最初、留萌でエフエムというと、エフエムって何だと言われたぐらいで、留萌ではエフエムはNHKしか流れないんです。何だと言われたぐらいなんですけれども、いろいろな説得をしていく中で、やりたいことはよくわからないけど、いいわ、金出すわというふうにだんだんあきらめてくれまして、僕も自分も出しているんですけども、1,755万というところで、今年商2,200万ぐらいまで膨れ上がっています。
 実際、番組の構成としては、約85%がボランティアの番組でして、一応今、職員は5名まで増えたんですけども、当初1人と僕1人ということで、会社は2名だったんですけども、それが今、ボランティアが120人ということで、1年間365日24時間放送を1日やっております。
 なぜそんなにボランティアが集まったのかというのは、実際僕らもよくわからないところがあるんですけれども、まちを何とかしなければいけないということで集まった人もいれば、何かおもしろいからやってみようよというふうに集まった人もいればというような状態なんですけれども、どんな番組をボランティアの方がやっているかということの代表例を3つだけご紹介したいなと思っております。
 1つが、住之江町らぢお回覧板という、住之江町の住民のためだけの番組なんですけれども、町内会パークゴルフの中継とか。
 子供会の中継ですとか、老人会を収録して放送したり、また、これはほんとうにどこどこの何とかさんが優勝しましたとか、ほかの町内会が聞いても全くわからないんですけども、それでも非常に聴取率の高い番組でして、これは住之江町に住んでいらっしゃる方がやられています。
 またさくらのコレクションという、これはパーソナリティー名さくらというんですけれども、ビジネスホテルの支配人の奥さんと、市内建設会社の職員の奥さんと主婦らで構成しているんですけれども、ほんとうにほかの地域の方が聞いてもあまりおもしろくない、地元の旬の食材とか、ちょっとすてきな出来事や風景、地元ならではの穴場など、住んでいるとおもしろいんですけども、離れてしまうと、これは何をしゃべっているのというようなところがあります。
 あと、FM緑の風通信というのがあるんですけれども、こちらは農家が今の農作業、農家は基本的には農民ですけど、留萌というのは果樹、稲作、畑作、酪農すべてあるところなので、今こんなことをやっていますよですとか、農薬はこんなのをまいているんですよとか、こういうものが今、とれています、札幌で売ったら、こういうものが売れましたとか、こういうPRをおもしろおかしくお話ししているというふうにやっております。
 ほんとうにほかの、それこそ月尾先生が過去3年間ずっとレギュラーを持っていただいたり、小西先生がゲスト出演していただいたりということはあるんですけれども、そういうアカデミックな番組から、犬を探してくれとか、犬がいなくなったので、この犬、どこかで見かけませんでしたとか、子犬が産まれたので、だれかもらってくれませんかとか、あと、じいさんいなくなったので探してくれとか、犬とじいさん一緒にしては失礼なんですけども、そういう放送もやります。
 あと、もちろん防災の放送もしますし、地震が過去4年間で3度ほど起きていますので、そのときの情報ですとかも、もちろん流します。
 ほんとうに心がけていることなんですけども、常識は捨ててくださいというふうに話します。たった2万5,000人の町で放送局なんて、ばかじゃないと、折り合おうと思っていませんから。ただ、良識は持ってねということで、放送禁止コードはこれだけです。あまり言うと怒られると思いますけど、うちはこれしか放送禁止コードはありません。地元の小学生が研修でよく来るんですけども、何を言っちゃだめなのと、ちょっとからかったぐらいに言うので、自分が言われたくないことは言わないでくださいということだけで、一言で終わっています。
 あと、実際どんなことが起きているかということの中では、僕は建設業務をやっているんですけれども、建設業のライバル社、僕がやっていると、ほかの建設会社というのは決しておもしろい話ではないんです。自分のところがどうしても目立ってしまいますから。だけども、別の会社の職員の奥さんが番組のメーンをやったり、ほかの建設会社がうちのスポンサーになったりということで、敵味方なくいろいろな意識が集まってきているぞということと、さっき120人とお話ししましたけども、全体の留萌市民が2万5,000ですから、市民の約0.5%がパーソナリティーとして動いていると。実働です。動いているということで、ボランティアのみんなが支えましょうというふうにやってくれているのが、今880人いますので、全人口の3.5%がエフエムもえるを年間1,000円払って支えているということになっています。
 それと、延べ出演者数が年間8,000人いますので、4年間で3万2,000人ということで、全市民の1.28倍の人がうちの放送局に出ているということで、仕組みとしてだれでも参加できる。これは言うのは簡単なんですけど、やるのは難しいんですけども、だれでも参加できるという仕組みをつくりました。ポリシーとしては、できることを、できる人が、できるときにやれる仕組みと。これ、今見ると、これはボランティアの本質なんだなと思うんですけども、できることをって、では放送でしゃべれない人は何をするんだというと、事務所の掃除とか、パーソナリティーで、子供連れで来るお母さんがいますので、その子供の面倒を見るとか、果てはお茶を入れてくれるおばあさんとか、奇特な方がいらっしゃいまして、結構それが800人もいるんです。こんな小さい町にもいるので、そういうことを、自分のできることは何なんだろうということを、ここでちょっと発揮してみようということでやってくれています。
 あと、ほんとうに小さい町ですから、ラジオは一方通行だとよくいわれるんですけども、しゃべった人が今度リスナーになったり、リスナーが今度はしゃべったりということで、だれでも聞こえる携帯電話みたいに使ってもらっているところもかなりあります。
 最近よく言われるのが、留萌市民というのは、ほんとうによく留萌駅に観光客がまれに来るんですけれども、来られたら、タクシーの運転手がお客さん、何しに来たのというと、観光と言うんです。観光と答えると、タクシーの運転手さん、なんでこんなところに来たの、何もないのにとネガティブキャンペーンを張るわけです。でも最近タクシーの運転手も大分変わってきまして、留萌に来たのというと、留萌には何もないんじゃなくて、何も知らないということに気がつき始めていますので、山があって、海があって、そこまでは今でもできるんですけども、その次です。山ではこんなことができまして、今、旬はこんなものがとれていまして、今、こんなものが食えていますというのが、タクシードライバーですら、ですらと言ったらちょっと失礼ですけども、タクシーはエフエム聞いていますから、いろいろな情報が入ってきて、それを少し、じわりじわり、お金をかけずともやっていけると。年間たった2,200万円で、こんないろいろな情報が一人一人が持っているという状況になってきているなと思っています。
 仕組みについては、会社を経営母体ととらえていまして、FMCというエフエムもえるメンバーズクラブ、さっきお話ししました880人のメンバーですが、運営母体と名づけています。その2つの運営委員会をつくっていまして、すべての編成を考えています。すべての決定事項はここでして、金に関することは会社ですけども、放送に関することは運営委員会ですべて考えた結果、もちろん最終的には僕が責任を取るんですけども、進めていますので、会社から何か頼まれたとか、北海道でも結構ボランティアと会社が決裂したとよくあるんですけども、うちはうまく4年間続いています。
 地元とも、宗教、政治問わず、いろいろな方に出ていただいているということで、そういう情報が集まる、人が集まる、魅力がたまるということがそろそろ放送では限界が出てきまして、ではネットと紙媒体でやってみようやというのが、今お配りしましたるもいfan通信というのと、るもいfan.netという、これはインターネットなので、ぜひ一度ごらんいただきたいんですけれども、これがるもいfan第1号、今年の4月からスタートしまして、テーマはるもいの食と人に関する情報を出しましょうということで、載せています。イベント情報とか、いろいろなものがあるんですけれども、放送はだれでも、どんな情報でもというふうになるんですけれども、ただ1つ、大手の情報を丸ごと載せるのはやめましょうというふうにしているんですが、自分が、東京から友達が来たときに、自分が紹介したいものだけを載せるという基準です。おつき合いで載せたりはしません。そうすると媒体のメディアの価値が下がってくると思っていますので、少しずつそういう紙やインターネット、インターネットのるもいfan.netのほうは、毎日更新ということで、こちらは編集局をエフエムもえるに置いているんですけれども、こちらも取材とか、放送の取材も含めて、いろいろなボランティアの方も、いろいろな情報員が各地にいますので、放送にも使える、フリーペーパーに使える、ネットにも使えるという現状になってきています。この間NHKさんの北海道放送局で北海道中膝栗毛という番組があるんですけれども、そちらのほうでつい先だって、12月5日にエフエムもえるについて放送していただいたんですけれども、結構大手マスコミさんも、最近留萌周辺で情報を集めようと思ったら、まずうちというふうになってきていまして、北海道新聞という情報紙も、そういうふうにまずうちに情報を聞きに来るみたいなところが出てきているなという感じです。
 こちらのほうも放送と近いんですけれども、留萌管内の約7万人弱の人たちが、あたかも自分のウェブサイトのように情報発信するという形をとっています。なかなか自分でホームページをつくって、何やって、かにやって、毎日更新というとかなり難しい。逆に僕らも情報を集めていくのに、かなりの手間ひまかかるので、留萌管内というか、留萌の住民みんなでこのホームページをやっていきませんかということで、今30人ぐらいしかいないんですけれども、少しずつ増やしていって、エフエムもえると同じです、自分の局のように使ってもらえる気軽な回覧板というイメージを同じように使っていきたいなと思っております。つい先だって、おととい札幌で会議があって、天塩というところのプリンが今、地元限定発売しているんですけども、なかなかメディアに載せないということだったんですけど、たまたまうちに紹介してくれて、うちはホームページに載せたら、一瞬にして売れてしまったというふうになっておりまして、留萌周辺、もしくはあちらのほうにちょっと興味があったら、うちにヒットするというような形になってきているなと思っております。
 今後、3つ目なんですけれども、実は2年前にタコ箱オーナーというのを、小平町という留萌から10キロ北の町でやりまして、これはどんな仕掛けかというと、タコ箱という、タコツボなんですけれども、100個海に沈めて、タコが入ればあなたヒットだという、非常に博打性の高いことをやって、これは漁協がやったんですけれども、タコだと1回だとなかなか、100に対して2万2,000人の応募があったので、220倍の倍率だったんですけれども、さらに100人に選ばれたからといって、タコが入るわけじゃないんですが、当たるわけじゃないんですけれども、そういう企画であったんですが、2年目、ヒラメオーナーというのと同時にやりまして、タコとヒラメということで、来年はちょっと竜宮企画みたいなのも立てようかなと思っているんですけども、ヒラメオーナーも120に対して880人の応募がありました。こういう事業をやって、少しずつ盛り上げていこう。これは漁協、農協や、その町村が絡んで、我々を中心として、逆に乗っかってきたという仕掛けになってきています。今まで市町村しか動いていなかったんですけども、逆に民間の事業に乗ってくるようになっています。
 海はシーカヤック、あと、山、登山とか散策とか、そういうツアー体験も今、始めています。
 この先、そういう企画をすべて自分たち、自分たちということは私じゃないです、住民でやって、るもいバイヤーズクラブというのを、今ちょっとやろうと思っているんですけども、フォーリンバイヤーズクラブというのがあるんですけれども、そちらの会員制の、留萌は食が豊富なので、いいものをきちんと買える仕組み。そうすると買い手も売り手も安心という仕組みをつくろうと思っておりますし、最終的にはシンクタンクというとちょっとおこがましいので、コミュニティシンク&ドゥタンクという、何かわけのわからない言葉をつくりましたけども、コミュニティーで、もうかりはせんけども、自分たちで自分たちのことを考え、自分たちでやりましょうと。シンクタンクじゃおもしろくないので、まずやろうやということを考えています。最終的に、これはちょっと大きな話ですけども、留萌というスタイルを世界に発信したいなと。ビジネスモデルにもなりますでしょうし、食べ物はほんとうに種類は多品目ですけれども、安全で安心なものがたくさんあります。海のもの、山のもの、何でもありますので、そういうものをいろいろなメディアを使って、しかも住民が自らやるということをやっていっております。
 ざっと話すと、以上なんですけども。

【月尾座長】  場所がどこにあるかということや、家賃が幾らかなどを説明していただくと、雰囲気がわかるのではないかと思います。

【佐藤様】  すみません。場所が、JR留萌駅の2階にありまして、なんと、駅のスタジオ、北海道では駅スタというんですけども、駅スタがあるのは札幌と留萌しかないんです。非常にいいんですが、先生、失笑されましたけども。
 家賃が、1月2万円ですか。ちょっと今、増えて2万5,000円ぐらいになりました。スタジオに入るときも、ちょっと今はおしゃれになったんですけども、ちょっと前まで、がらがらがらとあけるドアでして、事務所で大声出すと、スタジオのマイクに声が入るという、非常にアットホームな感じ。駅の前を救急車が通ると、みんながそれを聞いているという、非常に田舎なというか、温かい感じのする局です。
 あとは、どういう・・・・・・。

【月尾座長】  ありがとうございました。それでは皆さんから質問していただきたいと思います。

【まくどなるど委員】  質問はないんですけども、感想になりますが、私は農村にしばらく住んでいて感じたのは、まちの中で対話がなくなってきているような気がしていて、こういった対話のあるまちづくりをすることによって、やっぱり自分のまちに目を向ける人たち、目を向けるということは、やっぱりどんどんほんとうにまちのためにいろいろなことをしようとするような意欲というか、シンクタンクじゃなくて、ドゥーのような住民づくりになっていくんじゃないかなと思って、実は非常に内側があたたかくなって、昔、留萌の海で泳いだことがあるんですけど、非常に味のあるところでこういう活動をしているのがなかなかいいなと思って。
 ありがとうございました。

【江尻委員】  お話、ありがとうございました。ボランティアの方の年齢を少し教えてもらえますか。

【佐藤様】  平均年齢はちょっととったことがないんですけども、最長老が推定年齢80・・・・・・多分5だったと思います。メーンでやっているパーソナリティーは、最少が15です。15歳です。

【江尻委員】  15歳。

【佐藤様】  ゲストは3歳から出ますから、何でもありなんですけども、一応そういう。一番多い年齢層は30、40、50です。50代が一番多いですね。

【月尾座長】  小西委員はご関係があるということですが、如何ですか。

【小西委員】  関係というわけではないんですけど、スタジオとか、西海岸のところをずっと思い浮かべながら聞いていましたので。やっぱり私が乗せてもらった車でいくと、やっぱりFMはもえるになっていますので、押したら入るようになっていますので、そういう意味では随分定着していると、ともかくそれだけは申し上げます。

【西村委員】  大変いろいろなところで応用が可能なようなお話を伺って、ありがとうございます。具体的にこういうことをほかの地域でもやろうということになったときに、機材が要ったり、何か免許が要ったりとかとか、どういうふうにして具体的に動かしていくのか、そういう輪を広げていくとか、その辺の、このモデルをわりとどこでも使える感じですよね、ですからそれをほかの人に推奨するときに、大体どれくらいお金がかかって、機材がどれくらいで、どういうところにうまく隘路があるかとか、どこが一番ポイントか、その辺がもしあれば、教えていただきたいと思いますけども。

【佐藤様】  ありがとうございます。
 お金なんですけど、全国で初めてコミュニティ放送局というカテゴリーができたのが、函館いるかという放送局でして、全国第一号、日本第一号なんですけども、そこで約1億円の設備投資が必要だったそうです。うちは多分800万ぐらいでやっているんです。アンテナ込みですから、多分やろうと思えば幾らでもできるなと思って。やり方としては、安い業者を探すとか、ほんとうにやりたいことは何なんだと問い詰めていったら、高い機械は要らんべと、マッキントッシュでいいよねという話とか、フリーソフトでとまったらだれが走ればいいんじゃないのとか、もちろん災害のそちらの担保のマシンはつけていますけども、要するに音がなくなったら、ちゃんと機械が動くようにはしていますけども、それだって何十万の機械ですから。NHKと同じことをやろうと思ったら、1億から何億とかかりますけれども、お金はどうにでも、やり方によって。あと、人がフォローすれば、どうにでもなりますから。
 それと、FM局というか、留萌だけじゃないと思うんですけど、みんなやっぱり何かやりたいんですよね。たまたまそこにやりたいということを気づかせるだけで、最初奥様方もいやいや来るんです。恥ずかしいとか。でも、出ませんかというと、いや、恥ずかしいわと言うんですけど、そのうちだんだん乗ってきて、1時間後には晴れ晴れしい顔をして出てくるんです。そうすると、来週レギュラー持つわ、結構そういう事例があるので、みんな自分が何かそこに魅力を感じてくれれば、お金じゃないですよね。仕事も同じですけども、給料払っているから動いているじゃなくて、やりたいからやっているわけですから。
 なので、たまたまそこに情報という魅力が今回キーワードだと思ったんですけども、あなたの持っている情報はすごい魅力的なことなんですよということを気づかせてあげれば、あとは放っておいて動きますから、あとは、どうその暴走をとめるかというだけで、あとはもう自分たちで動いてくれます。

【西村委員】  例えば、24時間やっていらっしゃるわけですよね。そうすると、だれかお世話係が必ずだれかいないといけないとか、そういうことになっているんですか。

【佐藤様】  それは、そのために会社をつくったんです。最初、僕1人、局長1人で2名だったんですけども、1人12時間ずつですよね。死にそうな状況でやっていましたけども、今はおかげさまで5名、僕を入れて6名ですので、比較的楽に動いているんですけども、いわゆるお世話係というか、法的な話をすると、僕らが責任をとっていますから、常にだれかがいて、何かあったらすぐに対応するようにはしています。
 ただ、メーンパーソナリティーはボランティアの方々なので。

【西村委員】  でも、そういう有給スタッフがいらっしゃると、どこかでそれを稼がなければいけませんね。それはどういう形で稼ぐようになっていますか。

【佐藤様】  それは、最初は絶対にやめろと言われたんですけど、月尾先生にも、もうからないからやめなさいと言われたぐらいなんですけど、何とか今、かつかつやっていけてるのが、基本的には7割が民間のスポンサーです。要するに、効果は薄いかもしれないけど、そういえば今年、家の孫、出たよなとか、何かわからないけど、レストランの名前ばかり連呼したり、皆さん聞いていますから、どれだけ効果があるのかというのは僕らもちょっとわからないところがあるんですけれども、タクシーに乗ったらついていたとか、どこの車に乗ったらついていたとか、どこの店に行ったら鳴っていたというのがありますから、聞かれればスポンサーぐらい出ます。
 あと、さっき言いました、ちょっとおつき合いで1年出してみましょうかが、2年になったり、3年になったりというので、7割が民間スポンサーで、残りの3割が行政の広報番組だったりするんですけども。それで2,200万ぐらいで、何とかかんとか。二次経費はほとんど人件費以外かからないんです。家賃も安いですから。

【月尾座長】  コミュニティFM局は機材一式をそろえるのに3000万円といわれていますが、「エフエムもえる」は中古品や寄付された機材が多く、1000万かからなかったということです。「FMいるか」は函館の一等地に立派な建物を借り、設備も大変立派で、コミュニティFMでは1番豪華です。

【小田切委員】  どうもありがとうございました。質問を1つと感想を1つ申し上げてみたいんですが、まず感想のほうから申し上げると、地域づくりのポイントを見事に突いた取り組みだろうと思って、感心しております。
 2つあるんですが、1つはだれでも参加できる状況をつくり出していくというのが、地域づくりにとって非常に重要なことだろうと思っています。
 それからもう1つは、宝と技の発掘と発信といいましょうか。これもやっぱり地域づくりにとって非常に重要なポイントだろうと思いますが、これを実はFMが両方とも満たしているということを、私は少なくとも今までは知らずに、大変驚きました。
 その点でお聞きしたいんですが、そういうことをやるときに、どう考えても一番最初、この世の中ですから取り組むならネットですよね。そうではなく、ネットから見ればローテクと言ったら怒られてしまうでしょうか、そのFMに注目したという、そこはどこにあったんでしょうか。

【佐藤様】  留萌はやっぱり年寄りが多いんです。やっぱりネットはほとんど見ていないんです。テレビだとずっと見っ放しでおかしくなってしまいますから、僕はあまりテレビ見ないんですけど、一番ラジオが手軽だったというか、とっつきやすかったし、車でも聞けるし、やるほうも気軽だし、しゃべるぐらいだったらだれでもできますし。キーパンチできないにしてもできますという、とっつきやすかったというだけですね。
 僕は逆にラジオよりネットのほうが、個人的にはそういうほうが得意というか、好きなんですけど。やっぱり見られないと意味ないですから。

【月尾座長】  8ページに、まずは行政から、今は経済界からも期待されるということですが、行政と地元財界にはどういう変化がこの数年間の間に起こったのですか。

【佐藤様】  最初、その下に書いてあるんですけど、市民からも行政からも、特に経済界からばかじゃないのかと言われていたんです。FM局をあんなところでやったって、早くちゃんと仕事をしなさいと言われたんですけど、そのうち一生懸命いろいろな情報をください、くださいということで商店街も回っているうちに、頑張っているから、最初はおつき合いで何かというのがあったんですけども、そのうち行政が、今3年、4年たっているんですけども、例えばこういう企画があるんだけども、こういう国の方針があるんだけども、民間として何か考えないかとか、具体的におまえら何をやりたいんだというようなことで、逆に我々を中心に物事を考えてくれるようになってきて、ほんとうにそれに対してきっちり形にしてやっていく、成果物を出すという意味ではなくて、きちんと成果を出すということでやっていくと、だんだん信用されて。
 この間も、これはちょっと補助金の話だっだんですけども、とにかく補助金やっつけ事業というのは地元に多かった。今でも多いんですけども、要するに予算消化のための、もらっちゃったからやらなければいけないというようなところがあったんですけども、ほんとうに民間人でやりたい人がいるんだったら、そこに任せようやと。やりたいんだったら、そこを中心に応援をして、ある一定枠の中で形にしていってくれやというふうになってきていまして、そういうふうに行政から信頼されると、いずれ経済界、留萌商工会議所は僕も今年委員になったばかりなんですけども、ほんとうに動かないこと、変化を嫌うことでものすごい有名なことで、その逆のことを、やってもやらなくてもいいことをやるとか、もうからなかったらやるとか、迷ったらやるとか、そういう方針で今、やっているものですから、商工会議所と全く逆の方針でやっていたんですけども、今、シンクタンクもつくるぞといったときに、商工会議所が今度は自ら委員会をつくってくれて、おまえ座長をやれということで、少しずつ期待というか、実際こっちのやりたいことを中心に物事を考えてくれるようになっています。

【まくどなるど委員】  質問が出てきました。今まではどちらかというと、ほのぼのとした輝きのある4年間の成功の物語だったんですけど、やっぱり振り返ってみて、ほかの地域がひょっとしたら留萌をモデルにするとしたら、その成功だけじゃなくて、何か反省点、あるいはこういうものを避ければこのような失敗しなくて、継続は力なりのような道にたどり着くというような、振り返ってみたときの感想でもいいですけど。

【佐藤様】  失敗らしい失敗がないから、今、あるのかなと思うんですけど、金より人に注目しなければだめだなんていうのは、やっぱり絶対的にいえる。金に走ると、必ず仕組みがゆがんできてしまうので、人が集まれば何とか金は後からついてくるなというのが、この4年間の実感です。
 金といったって、億金動かすわけじゃないですから、何百万か何千万かの話なので、それぐらいだったら人が動けば必ず金と情報がついてきて、そこにまた人が集まってくるという効果があるなと思いますので。
 あと、もう1つ心がけているというのは、今までやってきたことはやらない。だれもやったことがないことをやりましょうというところが。信用されていないと、何をやったってだめですけども、昔、聞いたところによると、みんながラジオ局をやろうと思っていたんです。でも、だれもやらなかったんです。だから、言ったらやろうと、やったらやめないということです。やめたら、留萌の人たちにやっぱりだめだったと必ず言われるんです。ほらな、とかね。やっぱりだめだったじゃないかと必ず言われるので、意地でもやめてたまるかというところです。やめたら多分失敗だと言われると思うので。早く社長はかわりたいなと思っているんですけど。

【杉沢委員】  私もかつて似たようなことがやりたいなと思って、アマチュア無線の免許を取って仲間を集めたことがありましたけど、やっぱりここまで放送局が普及してきたり、携帯電話が普及してきたりして、ほとんど車につけて道案内ぐらいにしかアマチュア無線使っていない。
 ただ、やっぱり災害が起きたときには絶対にアマチュア無線が必要だと思うので、車も、それからうちの局も返上しないで持っているんですけど、先ほどお話の中で防災、地震のときに役に立ったということで、私は埼玉に住んでいるので、一般の放送としては埼玉もFMがかなり普及しているし、NHKもみんな大分聞いているので、そこに侵入していくのは難しいかなと思うんですが、防災のときには必ずその地域のコミュニティーFMが役立ちますというようなことがあれば、開発の余地があるかなと思ったので、どんなふうに活用できたのか、それから体制として、今地震が起きたときに、どういうふうにその局が動くような形ができているかというあたりを教えていただきたいんですが。

【佐藤様】  はい、わかりました。
 まず、明らかに防災無線ではないという法的なくくりがありますので、それは我々も一線を引いているんですけれども、ただ留萌市の場合、防災無線というのはスピーカーなんです。よく漁村にある程度のものしかなくて、この間3年ぐらい前に、台風のときに、スピーカーですから、聞こえないんです。機能しないということが露呈しまして、地震とか津波のときには有効なんですけども。
 なので、これはやっぱり協調路線とらなければだめだねということで、台風のおかげで市役所がようやく気づいてくれました。
 あと、体制なんですけども、僕は今まで過去6回だけ、うちの局でしゃべったことがあるんですけど、あまり得意じゃないものですから。だからその6回のうち、2回が地震。それは職員は昼間動いていますから、夜帰さなければいけないので、夜僕がしゃべりますということで、夜通ししゃべっていたという感じなんですけど、ただ、今5人体制ですので、必ず職員が何かあったときには駆けつけてということでいます。頼まなくてもボランティアさんが、おれにできることないかと集まってくれるんです。大した、震度7とかないですから、3とか、4とか、最大5でしたから、そういう方々が集まってくるのと、あとは何よりもありがたいのが、リスナー情報が早いんです。何かあったらラジオ局というのは、災害のときには日本の習慣なのかもわかりませんけども。
 この間も地震があって、国道に段差ができたと。通行どめではないけれども、段差があります、この地点ですというのも携帯メールで送ってくれるので、例えば20センチの段差が国道232号にありましたとか、そういうのはもちろん開発建設部、国土交通省の出先がありますから、そこと協調はとりますけども、明らかにリスナーのほうが情報が早いので、もちろん確認は取りますけれども、不確かな情報でなければ流すというので、だから1回1回取材に行かなくても、懸賞を当てるぐらいのつもりで、皆さん送ってくるので、頼まなくても、あそこに情報を、おれの情報だみたいな形で送ってくれています。
 だからやっていけるのかなという感じがしますけども。

【杉沢委員】  それと、アマチュア無線をやっていて、やっぱり情報がいいかげんというか、非常に話を膨らませて伝えてきたりすることがあって、それでやっぱり難しいなと思ったことがあるんですが、そういう一般からの情報を受けるときに、正しい情報であるかどうかという判断は、どんなふうにしていらっしゃるのか。

【佐藤様】  深刻度の度合いによるんですけども、例えば地震とか火事、これは結構深刻な情報ですから、それは基本的には国土交通省出先なり、消防署なり、裏をとります。でなければ、例えば通行どめときても、片側交互通行の場合もあるんです。リスナーさんも要するにディス・インフォメーションでなくて、ミス・インフォメーションの場合がありますから、そういう場合については裏をとらなければあやふやな情報になりますから。
 あと、大きくする、小さくするという話については、大体留萌は人をわかるんです。だれが送ってきたか。4年もやっていると、ああ、このメールアドレスはあの人だとかわかるので、それで大体信憑性は出ているんです。あまりそれは気にしなくてもいいかなと。小さい町だから、結構できる話なんだなという。

【名和田委員】  大変興味深い話、ありがとうございました。私も横浜でかかわっているところがあって、年商2700万と聞いて、うちと大体一緒だなというので、非常に共感を持ったのです。変な共感の仕方ですけども。
 それで、私たちも単なるボランティアの市民活動から始まって、交流拠点が欲しいねと言いながら、結局だれもリスクを背負ってやろうとしないものですから、だんだん3年ぐらいぐだぐだやっていて、どんどん集まって来る人も減ってというような状況になったときに、やはりリスクを背負ってやりたいという人が出てきてくれて、そういう人が出ないと絶対だめじゃないかと、前からうちのメンバーは言っていたんですけど、とうとう出てきてくれて、その姿が佐藤社長に非常に重なるんですね。
 やっぱり地域力を発揮するというときに、リーダーの役割は非常に大きいと思うんです。多分こういうことのリーダーの方は、自分がリーダーなどとおよそおっしゃらないことが多いんですけれども、あえてやっぱりこういう席なので、伺いたいのですけれども、やっぱりご自分がリスクなり、あるいは負担なりを背負って、よし、やろうというふうにやって4年間走ってこられたわけですよね。その要諦といいますか、あるいはお気持ちといいますか、あるいは人をその気にさせるコツとか、あえてリーダーと言ってしまいますけれど、嫌かもしれませんが、リーダーと言わせていただくと、リーダーとしてこの事業を振り返ったときに、どのような大事な点があるかということを、ちょっと教えていただければと思うんですが。

【佐藤様】  おっしゃるとおり、リーダーと思ったことがないんです。たまたま振り返ったら、佐藤っていたよねと言ってくれればいい話で、責任取るだけが僕の仕事かなと思っているんですけども。
 それと、リスクを背負うということに関しては、まさに僕は損するつもりはないんです。リスクって、損ではないですよね。絶対自分で最初金出しても、最終的に回収してやると思ってやっていますので、まず自分でやってみるという姿を見せないと、だれも言うことを聞いてくれないなということで、最初アンテナを200万で立てましょうといったときに、どこにも金なかったんです。当たり前です。会社も何もないですから。僕は新車のためにためていた貯金をおろして、200万でアンテナを買ったんです。あれは、おれのアンテナだと言い切っていたんですけど、そのうち会社ができて、会社で買い取ってもらったというか、自分で買ったんですけども、リスクはそういう形でだれかが背負わなければならんなということでやっていまして。
 あと、放送局でいっても、幼稚園の子供から、主婦のおばさんから、公務員のおっちゃんから、じっちゃん、ばっちゃんまで、僕が社長と認識している人はあまりいないんです。自分の放送局だと思ってやっていますから、何かいつもうるさいことを言う青年、そろそろ青年でもなくなってきますけど、いたなというぐらいのところで思ってくれているようでして、自分が主役だと思ってもらったら、こっちの勝ちだなと。あと、こっちから先に頼まなくてもやってくれちゃいますので。
 枠組みだけきっちりと外さないようにと思っていますし、調子に乗って人の悪口とかも、たまに言う人がいるんですけども、そういうときには一緒に謝りに行くからということで、あまり僕を意識してやっている人はほとんどいない。たまたまこういう場でしゃべっているだけでして、さっき言ったとおり、放送そのものも5回ぐらいしかやっていませんから。
 一度、うちの局を見ていただくのが一番早いと思うんですけれども、みんなが自分のためにやっていると思っているんです。地域のためというよりも、自分のためにやっているという、その集合体が結局地域のためになるという枠組みさえつくってしまえば、あとは自分たちで動くということなんでしょうか。

【小西委員】  どうしようかなと思いながら申し上げるんですけど、この放送局は、民間的な感じを強く残すことで、非常に生き生きした感じになっていると思うんですけど、留萌管内、車で4時間ぐらいですか、幌延から遠別、途中初山別なんて、人口2,000弱ぐらいのところですし、今ごろの季節、そろそろ今から2月ぐらいですと地吹雪で、2年に1回ぐらい事故で亡くなる方がいらっしゃるとか、この1月、2月、オロロン街道というんですか、これを車で走っていますと、まあ、寂しいです。胸が締めつけられるような気分になるようなところでありますので、地域経済はものすごい大変です。
 羽幌に道立病院があるんですけど、これがもうほとんど病院の機能が低下して、留萌の市立病院に頼らないといけないんですけど、これが大赤字なんです。この留萌市立病院をどうするかなんですけど、本来はこういう周辺の留萌管内から患者さんが来ているわけですから、負担金出して留萌市立病院を支えんという話になってほしいんですけど、そういう状況では全然なくて、ひょっとしたら、この市立病院を縮小しないといけないかもわからないと。そうすると、もう高齢者が住めなくなってしまうかもわからない。
 しかも、悪い話はいっぱいあって、留萌支庁がなくなって、今度は上川に行くという案があって、今度は旭川ですから、留萌から旭川でちょっと高規格道路が通ったということもありますけども、それでも留萌からで2時間ほどですので、初山別からだと冬場だとやっぱり留萌経由になりますから、それぐらいの距離がかかるというようなところです。
 ですから、非常に民間として一生懸命やっておられるというのは、私もよくわかるんですけど。それから、留萌は結局自衛隊とか、そういう公務員のまちですので、自衛隊が減ったり、市庁がなくなったりすると、留萌の人口はどんと落ち込むとか、そういうのが予想されるようなところなんです。
 そういう厳しい状況を思い浮かべたときに、これから当面は留萌市立病院をどうしていくかというような状況の中で、管内の結束というのを買いたいんですけど、私は見る限りは、今管内の結束というのはあまり強くない地域ではないかと。別に合併が進まなかったとか、そういうことだけで一概にいえるわけではないんです。しかし、それもやっぱりそうだと思うんですけど、管内の結束がもうひとつであると。
 だから、もえるは唯一の希望かもしれないというような、そんなふうに皆さん聞いていただければと思うんです。非常に淡々と、いかにも楽しげに話しておられますけど、地域の状況はものすごいきついです。北海道でも西海岸は飛び抜けて厳しいところだと思うんです。
 繰り返しますけど、これからいろいろな難関が出てくる中で、もえるというのは1つの管内の結束力の、何か核になってほしいなという、これはエールです。社長へのエールです。

【月尾座長】  今の質問に関係しますが、現在は留萌管内の南側の3分の1にしか放送していないわけですが、留萌支庁全域まで広げていくということについては、どのような構想ですか。

【佐藤様】  こっちのほうに向かってしゃべれることはないのかなと思うんですけど、実は20ワット、今コミュニティ放送局の限界というか、上限です。札幌はちょっと別格なんです。エリアが隣接していますから、オーバーラップしますので、むしろもっと小さくてもというぐらいの気持ちなんですけども、事実上留萌市でやっていますので、1行政区ですけども、小平、増毛まではかつかつ入ります。ぎりぎり。ただ、収益を上げなければいけないんですけども、それで上げようというつもりではないので、本来北の方、幌延ぐらいまでは稚内とつなぐ、要するに稚内にも1つありますので、稚内と留萌を、ずっと聞きながら走れたという形をとらないと、結局コミュニティ放送局といっても、ちょっと弱いぞというか、不十分だろうと思っています。
 むしろ、今ちょっとお話に名前が出ていた羽幌町が留萌から50キロ北、そこからさらに50キロ北で手塩というところがあります。それぞれ1万前後の町なんですけれども、それぞれに局を、中継局なのか、もしくは場合によっては別の会社をつくって、放送の番組を共有しつつ、いろいろな形をとらなければいけないのか、それはちょっとわかりませんけれども、できれば札幌からずっと西海岸を越えて稚内まで行ったときに、ずっと地元の情報が聞けたという形をとりたいなという、エリアの拡大は考えておりますけれども、希望はしているんですけども、いかんせん電波法によると、どうしても1行政区から出られないということがあるので、ちょっと北海道はみんな、札幌は別なんですけども、コミュニティ放送協議会の北海道の僕も理事なんですけど、集まると必ず辺境の放送局は言います、札幌と東京じゃないんだぞと。町と町がかなり離れていますので、それについては月尾座長はそれを目がけて質問したわけじゃないとは思うんですけど、僕はちょっとそこを、北海道の現状をちょっとお伝えしたいなと思いますので。途中ブランクがあると、機能が半減してしまうんです。

【月尾座長】  現行制度ではできないということですが、有線で引っ張ってアンテナを立てるという方法もできないのですか。

【佐藤様】  できません。1行政区を越えて電波を出すことはできない。

【月尾座長】  これについては総務省でも考えていただくといいと思いますが、地域情報政策室長、何かございますか。

【地域情報政策室長】  そういうご指摘も多々あると思いますので、郵政系の部局のほうに検討していってもらいたいと思っております。

【月尾座長】  4ページ目に聴取率という数字があり、二十数%まで上がっていますが、どのような測定方法ですか。

【佐藤様】  ちょっとこれは営業向けに、ちょっとした取り方が変わっているんですけども、でも実際は北海道でいうところの地方局でSTVとか、かなりメジャーな番組が5%とか6%とかというすごい聴取率を取っているところに対しては、平均15から20ぐらいはうちは取っているなと。そういう計算方法でいったらですね。留萌に関していくと、NHKをはるかにしのぐ放送局であるということで、これは有名人はうちは一切、先生に失礼ですけど、月尾先生は出ていただいているんですけど、以外はほとんど出ません。むしろ地元の子供が何人出ただとかというほうが強いので、1人子供が出ると聴取率は7倍といわれて、本人とお父さん、お母さんと、じいさん、ばあさんが出る、全部で7人という、そういう放送局ですので、これだけ異常な聴取率が取れているなと思います。

【月尾座長】  ほかにございますか。事務局は如何ですか。

【地域力創造審議官】  1点だけ、ちょっとお伺いさせていただきたいと思いますけど、最初にイベントの会場の中でやられたのが始まりだとお伺いしたんですが、このときの有志10人というのは、どういう方々かというのをちょっと教えていただきたいんですが。

【佐藤様】  一言でいうと、外され者でした。僕も含めてですけども、体制側の人間ではないですよね。僕は今でもそうですけども、当時土建屋です。あと、市議会議員が、これも外されですけど、1人。2人入っていましたかね。女性と男性一人ずつ。あとは自動車屋さんが1人。商社が1人。そういうようなメンバーで、あとは寝具屋の売り子が1人とか、そういう。

【地域力創造審議官】  そのメンバーは、どうして集まることになったんでしょうか。

【佐藤様】  もともといろいろなまちづくりをやろうやという、いろいろな活動はしていたんですけども、そろそろみんな中途半端なことに嫌気が差していたんだと思うんです。やるなら真剣にやるべやということで、動き出したというか、最初お願いしないと動いてくれませんから、みんな僕より年上だったので、みんな、これやりましょうよ、やろうよと何回も何十回も通っていくと、そのうち、そうかいという話になって、10人集まったと。その人たちがみんな次の。

【地域力創造審議官】  既存の、例えばJCだとか、高校の同級生だとかというつながりは全くない人を集めてきたということですか。

【佐藤様】  僕も今JCメンバーではあるんですけども、日本JCにも出向しているんですけども、ちょっと名前を出すとあれなんで、ある北海道のある局が、JCの一部でやっていたんです。そうしたら反JCとか、JCのこの人の派閥じゃない人が反対し始めたんです。なので、僕みたいに宙ぶらりんな外された人がやると、敵が少ないです。既存の組織は基本的には無視しました。

【地域政策課長】  活動を続けられる中で、最近になって行政なり経済界が協力的といいますか、目を向けてきていただいているという話がありましたけれども、立ち上げるに当たって、行政なり、経済界もそうなんですけども、これが一切力を頼らずにというふうな形でここまで持ってこられたんでしょうか。

【佐藤様】  団体としては、皆さんやっぱりあやふやな、中途半端なわけのわからない人間の言うことは聞いてくれませんけど、個人的にきちんと御用聞きに伺っていると、ちょっと変な言い方ですけど、土建屋は田舎では強いんです。そこのばか息子がなんでこんなに通ってくるんだろうというふうになると、だんだんみんな心を解いてくれるんです。そうすると、個人的にどんどん、行政もそうです、民間も事業ごとに1つ1つ回っていくと、何かこういうのをやりたいんだけど、どうですかとか、いいアイデアないですかとやっていくと、最初は組織としては無理ですけども、個人的に協力してくれる人が出てきて、行政も個人的にはやっぱりちょっとだめなんです、留萌市役所も250人ぐらいいるんですけども、実際話ができるのは5人ぐらいでして、その方々と話をしていくと、じゃあこの部分はおれの業務としてやっていけるんじゃないかとか、そういう発展をしてくれたというのが、それは最初に実際あります。
 なので、全く1人ではやっぱりいくら騒いだってできませんので、そういうすき間、すき間で少しずつ亀裂をつくっていたというのは経緯としてあります。

【月尾座長】  まだご質問があるかもしれませんが、予定の時間になりましたので、佐藤社長からのお話と議論を終わりたいと思います。
 遠路ありがとうございました。

【佐藤様】  ありがとうございました。

(佐藤様退室)

【月尾座長】  それでは次の議題に移りたいと思いますが、お手元の資料を事務局からご説明いただいて議論したいと思います。

【地域政策課長】  それではお手元の第2回地域力創造有識者会議資料につきまして、簡単にご説明を申し上げます。
 1ページをごらんいただきたいと思います。まずこれは第1回目での会議におけます主な意見・提言、並びに今後の対処方針をまとめたものでございます。第1回目の会議におきましては、人材育成関連といたしまして、例えばマニュアルや前例にとらわれない柔軟な発想ができる人材が必要だ。あるいは大学の存在の重要性。また、人材を発掘する仕組み作り。よそ者を発掘するような仕組み作りが重要だ等々のご意見をいただきました。
 また、この際に、地域を元気にしている人、それらの活動事例をまとめたデータベースを検討すべきだというお話もございました。この件につきましては、私どもの外郭団体であります財団法人の地域活性化センターとも協議の上、作成に向けた検討を行っていきたいと考えております。
 なお、12月9日に山口俊一総理大臣補佐官、この方から内閣府に対しまして、地方の元気回復に向けた進言というものがなされまして、地域別、分野別の人材リストを整備すべきだというような進言も出されました。お手元に資料を別途お配りしておりますけれども、これらの関係もございまして、内閣官房のほうとも連携を取りながら進めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、協働の仕組み・コミュニティ関連といたしまして、人と人とのつながる力が強いところが地域力が強いのではないか、あるいはネットワークを拡大していくべきであって、そのための連携の仕組みづくりを考えるべきではないか。また、地域力を取りまとめて組織形態が歴史的な限界に突き当たっているのではないかと。新たな制度装置が必要ではないか等々のご指摘をいただいたところでございます。
 これらの点につきましては、私どものほうで名和田委員、小田切委員にも大変お世話になっておりますコミュニティ研究会を開催しておりまして、そことの議論との連携も図りながら、今後議論を進めていきたいと考えているところでございます。
 それから産業関係では、やはり収入が伴わなければ人が動かないのだと。第一次産業対策は欠かせない等々のご意見をいただきました。この会議の場に関係省庁の方が出ていないのは問題ではないかというようなお話もあったところでございます。この点につきまして、関係省庁の会議への参加につきましては、今年度は大枠、全体のご議論をしていただきまして、来年度個別テーマを掘り下げて議論する際に、関係省庁にも呼びかけて参加を検討していきたいと考えているところでございます。
 なお、本日経産省、農水省の方に傍聴という形で来ていただいているところでございますし、また私ども総務省の他部局からも出席をさせて、お話を伺わせていただいているところでございます。
 次のページでございます。地域力につきましては、地域力とは地域の問題を自分たちで発見し、解決していく能力のことではないかと。人を動かす力というのが地域力ではないかと。また、何か問題があったときに、それにきちっと対応する地域レベルの対応力、それを継続させていく必要があると。行政依存ではだめなのではないか等々のご意見もいただいたところでございます。
 この地域力につきましては、今後ご意見も参考にしながら、地域力の要因などを分析して、これまでの施策で足りなかったところは何なのか、どういうところに力を入れていくべきなのか等々につきまして考えていきたいと考えているところでございます。
 その他の意見といたしましては、今のお話にもございましたが、自分たちが住んでいるところのよさというものを、まず自分たち自身で理解すべきではないのかと。また、行政依存にならないことは重要だけれども、きっかけというのはやはり役所がつくらざるを得ない面もあるということで、過度に関与しない仕組み作りが重要ではないか等々のご意見をいただいたところでございます。
 なお、この際にワークショップ方式、集落点検活動におけるワークショップ方式、さらに人材を派遣する際に、お金を投入するような施策がどの程度あるのか等々調べるようにというようなお話がございまして、その点につきまして、3ページ以下に資料をおつけしてあるところでございます。
 具体的には4ページ、ワークショップ方式の例でございますけれども、三重県の津市におきまして、市内の2地域で集落未来図の作成、集落機能再生手法の研修等を実施する際に、ワークショップを各3回ずつ行っているというような事例がございます。下のほうの右側にございますように、第1回目で地域に対する各自の思いや意見を語り合い、2回目で、写真をもとに現状を視覚的に整理をし、3回目で地域を元気にするアイデアを考察し、順位付けを行う等々の取り組みがなされたところでございます。
 5ページには、大分県の由布市における事例をつけさせていただいております。住民と市職員の協働によるワークショップということで、地域の課題協議、活動計画づくり、今後計画の実行、計画の見直しにつなげていくというような活動が展開されているところでございます。
 6ページでございますが、地方へ人材を派遣している事例といたしまして、1番最初には、前回もご説明申し上げましたが、私どもで行っております地域人材力活性化事業ということで、人材ネットに人材を登録いたしまして、地域力創造アドバイザーとしてモデル的に派遣をしている事例を掲げております。
 2つ目が、私どもテレコム部局で行っております地域情報化のアドバイザーを派遣する取り組み。
 3つ目は、ふるさと財団という外郭団体で行なっています地域再生マネジャーの派遣事業。これは最大3年間派遣するというものでございます。
 他省庁の取り組みといたしましては、4番目の国土交通省の地域振興アドバイザーの派遣制度。また、同じく5ページにございます、観光地域プロデューサーを派遣するような取り組みも国土交通省において行われているところでございます。そのほか、専門学校に技術者の方を派遣する文科省、経済産業省等が連携をして行っております、地域産業の担い手育成プロジェクト。また、内閣官房で民間の方、あるいは国の職員が地域に出向いて説明会等を開催いたします、地域活性化応援隊派遣制度等も行われているところでございます。
 このほか、最後まで調べ切っておりませんけれども、さまざまな省庁で取り組みが行われているところでございまして、今後人材育成についてのそれぞれの省庁の連携ということも重要なテーマになってくるのかなと考えているところでございます。
 8ページは、2つ目でございますが、前回お話ししておりました首長アンケート、地域力に関します首長アンケートの結果、取り急ぎ取りまとめたものでございます。細かい分析は今後行いたいと考えております。首長の方に直接答えていただくということで、首長の意見が把握できない場合には答えていただかなくて結構ですという形での調査を行いましたけれども、全体の8割ちょっとの団体から回答をいただいたところでございます。
 回答の結果の概要でございますが、あなたの団体の住民にとって必要とされる地域力は何かということに対しましては、地域のつながる力、もちろん経済産業力というものも多く出ております。さらにリーダーの力、住民一人一人の力ということで、人材力、住民力を掲げた団体が多くなっております。
 それから、取り組みを行っていますかということで、行っているが十分ではないという団体が大半でございました。今、どんな取り組みに力を入れているかということに対しましては、コミュニティーの活性化というところに力を入れているのが一番多うございまして、そのほか産業育成関係、防災関係、これらに力を入れているという結果になってございます。
 今までの取り組みで不十分だった点、さらに力を入れなければいけないのはどういうところかということで、人口定住対策、地域のブランド強化、コミュニティ活性化につきましても、やはり取り組んではいますけれども、まだまだ不十分と認識している団体が多くございました。これらの取り組みを進める上での必要性を痛感していることはなんですかという問いに対しましては、1位、3位が財源の話でございましたけれども、やはり住民のやる気、協力、連帯意識の向上、また地域リーダーの育成、これが課題だと感じている団体が多くあったところでございます。
 9ページ、10ページは、その調査の細かい内訳でございます。
 11ページに、総務省に期待すること、総務省以外の他省庁に期待することということで、比較的多かった事例を掲げているところでございます。
 次に12ページ、3番目でございますけれども、現在検討中の総務省の来年度の施策ということで、前回鳩山大臣、この会議にも出席させていただきまして、お話し申し上げたところでございますが、環境、「自然との共生」ということに非常に力を入れておりまして、私どもといたしましては、この「自然との共生」を核といたしまして、さまざまな主体が連携した地域力を高めるための取り組みを展開していこうと考えているところでございまして、具体的には「定住自立圏構想」の推進、また地域連携、例えば流域の自治体間の協力等によります自然環境保護活動等の推進、条件不利地域対策、これらについて取り組んでいきたいと考えておりまして、もう間近に迫りましたが、年末の予算・地財対策に位置づけまして推進をしたいと考えているところでございまして、具体的な実施方法等につきましては、この場でのご議論も踏まえながら、今後さらに検討していきたいと考えているところでございます。
 説明させていただく資料は以上でございますが、お手元にはご参考といたしまして、クリップどめしてあります資料を配付しております。先ほどの山口補佐官の進言、また定住自立圏構想関係の資料、鹿児島で行いました地域力創造全国市町村サミットの資料ですとか、総務省職員としての地域力創造応援団の取り組み、また地域に飛び出す公務員ネットワーク関係の資料もお配りしているところでございます。ご参考にしていただければと思います。
 最後にアンケートがございます。私ども、先ほどもございましたが、地域力というふうなことを考えていく上で、要因分析を今後行いたいと考えておりまして、ご参考にさせていただきたいということで、委員の皆様のお考えをいただけたらということで、お忙しいところ恐縮ですが、アンケートをお配りさせていただいております。地域力といっても非常に抽象的でございますので、東京、沖縄、松江、地方のそこそこの都市ということで頑張っている都市ということで松江をここに掲げておりますけれども、これらの地域を念頭に置いていただきまして、ここで頑張っていると、地域の力があるといえるもととなるような地域力は何なのかというふうなことをお書きいただければなと。
 2ページのほうには、これ以外で皆様それぞれのご経験から、地域力を有すると思われるような地域の地域力などを書いていただきまして、それで3ページのほうに、4ページに要素分解図みたいな、例えばこんなのということで掲げてございますが、そういう形での要素分解図などもお示しいただけたらなと考えているところでございます。
 対応できる範囲で結構でございますので、お忙しいところ恐縮ですけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。
 以上が私からの説明でございます。

【月尾座長】  只今の資料、それから佐藤社長の放送のことなども参考にして、議論させていただきたいと思います。
 最初に江尻委員と杉沢委員が現場を持っておられるということで、お話をいただきたいと思います。

【江尻委員】  私は前回の委員会でも申し上げましたとおりに、NPOでごみという、廃棄物というよりもひらがなでごみという、家庭から出る要らないものというふうにして考えていただければいいと思うんですが、この活動を続けてまいりました。前回もお話ししましたとおり、ごみはだれでも出すというようなところで、非常につながりがいいテーマなんですけれども、一方におきまして、環境問題という切り口ですと、体制対反体制という、非常に厳しい見られ方もありまして、ごみ問題をやっている人というふうにレッテルをはられてしまうと、そこから先は何も進んでいかないというような状況が、実はまだ地域の中にも残っています。
 これではいけないということもありまして、私たちNPOでは多摩地域の中で活動を続ける中で、今現在多摩ニュータウンの中の行政の持っているリサイクル啓発施設の運営の受託、運営委託を受けているということです。
 その施設の中での話を事例として申し上げようかなと思っているんですけれども、まず1つは、場ができたということは非常に大きく変わりました。先ほどの佐藤社長さんのお話の中にもありましたけれども、そこに行けばだれかがいるとか、ここに言えば何とかしてもらえるとか、わからないことを教えてもらえるとか、それから、言えば何かそこから始まるということが地域の皆さんの中にわかってきてもらえた。ただ、それが根づくまでには、今もう6年半ぐらいになりますけれども、5年はかかったというのが事実あります。
 行政の施設であるということで、後ろに行政がいるから安心をするという、実は市民の正直な気持ちというものもありまして、何かまずいことがあれば、行政が何かしてくれるだろうというところも実はあって、いろいろなことを私たちの施設に言ってきたりとか、それからイベントを一緒にやろうというようなことが出てきたりしています。
 ただ、一方で、行政の持っている、例えば学校を含めてですけれども、教育関係であるとか、学校であるとか、それから福祉の関係の施設であるとか、子育ての施設であるとか、そういったところと何か連携をして一緒に事業を行おうといったときには、なかなか前に進んでいけないというのも実態としてあります。中に活動している人とか、通っている人とか、それから現場の職員などはその気になっても、なかなかその上の人たちがそうではないと。逆に上のほうはそう思っても、現場では面倒くさいことはやりたくないというようなところで連携がとれていかないというのも実態としてあるかなとは思っています。
 これから課題としてやっていかなくてはいけないと思っていますことは、ごみとリサイクルを中心とした行政施設で、縦割りの行政の中の施設ですので、ここで突然ごみやリサイクルに関係のないことはできません。ただ、子育てのサークルをそこでやりたいという話があったときには、子育てとごみをつなげたらどうなるんでしょうか。障害者の活動をやりたいといったときに、障害者の活動とごみをつなげたらどうなるんでしょうかというところで、横につながるというようなことの事例をもっとたくさんつくっていかなくてはいけないのではないかなと思っています。
 あともう1つは、まちはいろいろなテーマであるわけなんですけれども、NPOはそれぞれのテーマが非常に狭い部分というのがあります。前回もお話が出ました町内会とか、それから自治体の組織が、もし中心になって何かをやろうといったときには、NPOがやるよりももっと動きが活発化してできるのではないかなと思っています。
 私は今、自分の中のテーマの1つとして思っているのは、NPOと既存の自治会とか町内会が一緒になってやるためには、どんな仕掛けをしていけばいいのかなという、ここら辺の部分をちょっと思っています。
 1つの方向としては、行政に上手に入ってもらう。地域の自治体の行政に上手に入ってもらうということが、もしかするとその一歩になるのかもしれないと思っていまして、自分のところも含めて、今、東京ではかなり町内会、自治会が崩れてきていますので、そんなことを周りと仕掛けをしていこうかと思っております。
 まとまりのないお話で申しわけございませんが、以上です。

【杉沢委員】  それでは申し上げます。私の実践活動の中から得たというか、見えてきた人を動かす力の正体というのは何かということであります。
 1つは、地域の、ほんとうに地域自治体の中でひまわり会というかわいい名前をつけたんですが、それを平成9年に立ち上げました。そのひまわり会が非常に活発に動いているんですが、どうして動いているかという、まず初めは危機感です。危機感があったこと。ほんとうに緑豊かな穀倉地帯であった、この私たちのふるさとが、年々耕すのを放棄して、耕作放棄地が増えていく、休耕田になっていく。それを目の当たりにしたときに、私たちの代でこの土地を荒廃させては、ご先祖様に申しわけないという思いであります。
 2番目。その動かす2番目は、やっぱり仲間づくりであると思います。その仲間をつくった、立ち上げたのは、さっき課長さんからもちょっと指摘があったように、行政が地域リーダーの育成ということをやりたいというので、やる気がありそうな、ちょっと暇そうな、時間がありそうな人たちをピックアップして、リーダー養成塾というのを立ち上げてくれました。何やんだべみたいなことで、みんなが集まったんですが、まずワークショップから始めて、自分たちの地域を知る、いろいろな資源があるということを知るということから始まって、地域を見直す、そういう仲間ができた。そのワークショップをやっている間に、私たちがやらないでだれがやるんだというような意欲が育ったということがあると思います。
 そして、3番目ですが、その仲間ができたときに、その仲間の運営の仕方といいますか、それが非常に遠慮がない話し合いの場になったということがあったと思います。というのは、具体的にいえば、年齢がどう、男性であるから、女性であるから、男女差がどう、あるいは地元に住んで生まれたから、住んでいるから、あるいはよそから入ってきたからという区別がなく、その運営自体が垣根を越えた場になっていたということが、今思うと動く力になったと思います。
 現在ひまわりを夏には植えて、その畑を今度は8月の中旬に耕しておそばを植えています。今年はあまり不作で、よく取れなかったんですけれども、それでもそばの粉をひいて、市民祭りで500食売りました。それから11月の文化祭のときには、300食売りました。やっていればもっと売れたんですが、もうへとへとになってしまったので、私たちもやめたんです。つい先日も市内の行事がありましたので、そこにも出店をしております。
 その地域のひまわり会という活動の中で、特に大事だなと思うのは、やっぱり地域のほかの人たち、入っていない地域の人たちに理解してもらうということが大切だと思っているので、そのために何をしているかというと、800世帯が地域にはあるんですが、その世帯にひまわりカレンダーというのを印刷して無理やり配って張ってもらっていると。そうすると、1年中ひまわり会頑張っているなというのを見ながら、カレンダーを見てもらっているということがあります。
 それからそば粉を販売しているということもあります。おいしいそばを文化祭なんかで食べてもらう、安く地粉の手打ちのそばを食べてもらう。やっぱりこちらから働きかけて、地域に理解してもらうような努力をしないと、あいつら好きなんだから、暇なんだからやっているんだということで片づけられてしまうので、そうならないための工夫というのは、活動の団体として必要だと思っています。
 それから、こちらに出させてもらうに当たっての私の職名はNPO法人の理事長ということで、かぞ市民ネットというNPOの法人なんですけれども、こちらのほうもやっぱりきっかけづくりは市のほうでした。女性施策市民企画委員会というのを加須市のほうで立ち上げてくれて、今まで市が何でも手とり足とりやっていた事業を、こと1つ、まず女性施策に限って市民が企画運営するような場をつくりたい。だれかやりたい人、やってくれないかということで公募をしまして、PTAの役員なんかをやって、ちょっと力が余っている人たちがそれに応募をして集まったということがスタートです。
 おりしも男女共同参画というのが推進し始めたときで、それに乗って市のほうも力を入れてくれたということもあります。ただし、それがスタートしたときからもちろん、前回のときに月尾先生が、手助けはしても必要以上に手とり足とりしないということをおっしゃったときに、私も、これだと思ったんですが、この企画委員の制度に関しては、まずフォーラムをやりたい。150万予算がある。何でも使っていいよという状態でした。私たちは、そのときに一番しゅんだった田嶋陽子先生を招いてフォーラムしようということで、多少予算オーバーで田嶋先生にも150万払って、会場費はオーバーなんですけど、それでも市のほうがやると言ってくれて、企画運営させるんだと言ったんだから、何とかしてほしいということで、当時はバブルがはじける前でしたから、勢いがあったと思うんですが、それでやっぱりメンバーは自信がつきました。自分たちがやろうと思えばできるんだ。そして周りからの見る目が変わってきました。あの女性たちが何か楽しそうにやっている。実際にやっちゃったと。1,000人以上のホール、あふれるほどに人が集まっちゃったという、その実践が自分たちの自信になって、メンバーが次々にPTA会長になったり、あるいは地域のリーダーになったり、あるいは市議会の議員に立候補したりという流れができてきました。
 私は会長なり、その後の理事長という立場で、先ほど佐藤さんも言っておられたように、リーダーがあまり名前が市民に、あの会はだれがやっていると、リーダーはだれだというのがはっきりわかるような会はよくないんだという思いがありましたから、陰で支える、何かあったら私が謝りに行くという姿勢を貫いておりましたので、ほんとうに自由にメンバーが動いたと思います。
 現在NPO法人としての認定を受けて、いろいろなセミナーや講座を企画しているわけですけれども、私が人を動かす立場で申し上げられることは、一人一人を大事にして、一人一人から挙がってきた提案を、とにかく実行できるような形にするということであります。
 一昨日も生涯学習フェスティバルというのがあって、何か出たいね、じゃあパン焼いて出たい、クッキー焼いて出たいという話が出て、私は大丈夫かなと思いながらも、うん、やろう、やろうと。ただ、かぞ市民ネットというパンを焼いてはかたいからどうしよう。じゃあコスプレにしようと。ネコの耳をつけたコスプレにみんな身を包んで、ネコパン屋というパン屋の名前にして売りまくりました。前の日に徹夜でみんなが焼いたパンが、2時間であっという間に売りきれて、ほんとうに好評だったので、きのうからメールが行き渡っていて、4万6,000円の収益だとか、今度は何のパンが売りたいとかというので、みんな一晩寝なかったことも忘れて、目がらんらんとしている状態であります。
 自分たちがやりたいことを提案したことをちゃんとやる。そして、陰で支える人がいるということが、人を動かす力になるのかなと感じております。
 行政に望むことという、もう1つ私に宿題があったんですが、今申し上げたように、やっぱりきっかけづくりは行政であったなと。私がいくらやりたいと思って、みんなが集まってといっても、なかなか難しかったと思います。きっかけづくりはやはりお願いしたいなということが第一。
 そして2番目には、ネットワークづくりです。各団体がやっていることを、やっぱりつなげていくというのは行政の仕事ではないかなと思っています。
 そして3番目ですが、今、地域ブランドというのをいろいろな地域で一生懸命やろうとしている。前回に申し上げたように、それぞれの地域で一生懸命やっていることを応援する力。今、佐藤さんの話を聞いていても、地域でこんなにやっていることを、私は今まで知らなかったのがとても残念に思いました。それを発信したり、情報をみんなに流していったりということは、やっぱり県なり国なりでやっていかなければならないので、そういう地域ブランドの情報発信ということは、ぜひお願いしたいということであります。
 あとは、その発信の中で方法の1つと申し上げてもいいと思うんですが、今まで国でやっていたタウンミーティングみたいな場があると、その場がお互いの交流の場になったり、情報受発信の場になったりして、とてもよかったと思うんです。残念ながら何かいろいろ問題があって、されていないようですが、今日私は、今日夜の7時から小渕優子さんのアクティブトークというのに参加するんです。参加の条件が、サンタクロースらしい、クリスマスの扮装をして来いといって、今ごろメンバーが100円ショップでサンタの服をあさって、夕方合流するんですけれども、何かそういう直接対話するような場があると、やっぱり少しやる気になって、頑張れる力が出てくるかなと思うので、そんなことを新しい提案としてお願いしたいなと思いました。
 以上です。

【月尾座長】  それでは、ご自由にご議論いただきたいのですが、主には宿題の中身をご議論いただいたらいいと思います。地域力とは一体何かということと、それはどういう要素で構成されているのかということについてご発言いただければと思います。

【名和田委員】  その宿題に直接答えるような発言ではないんですけれども、最近ちょっと気になっているというか、ああ、そうなんだと思っているNPOというか、テーマ型の地域の活動の発想について簡単に述べたいと思います。
 今の2人の委員のもそうだなと思ったのですけれども、やっぱり杉沢委員でしたでしょうか、地域のこんな状況に対する危機感があったということをおっしゃいましたし、江尻委員も別分野とのつながりをつくっていきたいというふうにおっしゃって、要するに地域が抱えている課題で、まだ既存の自治会とかが取り組めていない、あるいは立場上取り組めないということもあるのかもわからないし、担い手がいないから取り組めないということもあるかもしれない。そういう自治会とかが取り組めていないけれども、地域が抱えている問題に気がついた人が、よく先進性、開拓性、創造性というんですけれども、そうやって取り組んでいくというお話だったように思うんです。
 こういうスタイルのテーマ型の活動は、貴重なものが幾つかあって、私が長年見ている横浜市戸塚区のドリームハイツ地域なんて、ほんとうにその地域が抱えている問題にパワフルに取り組んでいくテーマ型の人たちが目立っていて、そういう人たちがどんどん育っていって、地域が高齢化すれば、今度は高齢対応のことをするという、かなり総合的な力を持ったテーマ型の活動集団が育っているという気がするんです。
 この間、鹿児島市の高台にあります吉野地区というところで、吉野ねぎぼうずというNPO法人を見学したのですけれども、そこもまだ十分な力を持っているNPOではないとは思うんですけれども、そこのお話を聞いたり、やっていることを見ると、ある意味、それだけ見るとちぐはぐ、なにせ学童保育とか弁当をやっているとか、コンサートをやっているとかちぐはぐなんですけども、それをつないでいるのは何なのかというと、やはり地域で客観的に抱えている課題だけれども、まだ気づかれていない、あるいは気づいていても、なかなか取り組む人がいない、取り組めないという状況がある。
 そういう状況のときに、地域が抱えている課題を総合的に解決しようという思いのもとに、とりわけ今問題になっているところにメスを入れよう、自ら汗をかこうという、そういう思いの人が自治会とかにはいろいろな理由で参加していないんだけれども、テーマ型の活動の中にかなりいらっしゃって、こういう人を地域の中に活用していくようなことが必要で、それは自治会の度量といってもいいんだけれども、でも度量の問題に還元してしまうと、あまり普遍性がないので、そういう仕組みをつくるとか、そういうふうに考えたらいいと思うんですけれども、そういうことを感じました。
 以上です。

【小西委員】  それでは大変恐縮ですけど、ご報告いただいたお二人の委員にお教えいただきたいことがあります。
 役所に期待することということで、最後のほうで非常に品よくお教えいただいたんですけど、ほんとうは役所にむかっ腹を立てたことのほうが多いのではないかと思うんです。特に、どうしてこの人たちは住民と公共をきちっとつないでいくというところの感覚が鈍いのかと、ほんとうに腹立たしいと。これだけ思いがあるのに、どうしてうまく酌み取れないんだというふうに、きっと思われたと思うんです。その事例をお話しくださいというと、1時間でも2時間でもお話しいただけるんだろうと思うんですが、その中のきわめつきのことを1つずつぐらいお教えいただければと思います。

【江尻委員】  役所の人たちがきわめつきで、ほんとうにおっしゃるとおりしょっちゅうなものですから、もう完全に麻痺しているのがありまして、またかというような状況もあるものですから、何を言えばいいのかなというのは、実はすごく迷う部分というのはあるんですけれども。
 先ほどのご発言の中にありました、今まちづくりが総合的に考えられているというのは、私が申し上げました部分で、まちはいろいろなものがあるというところと非常に重なる部分はあると思うんですけれども、例えば私はごみ問題をやっているので、環境であるとかリサイクル系の役所の人たちはよく顔も知っていますし、何をやっているかというのもわかるんですけれども、例えば私が福祉の障害者の人たちと何かをやりたいということで、障害者の部局などに行って話をしたりしますと、そこからまず、あなたはごみをやっているんだから、ごみをやっていなさいというふうに突然縦割りになってしまうというのがあるんです。いろいろな市役所がそうなので、1つの市役所ということではなくて、いろいろな市役所でそういうのがあります。
 それから、逆に福祉で障害を持っているような人たちが、ごみの問題に少しかかわりたいとか、こういうこともやってみたいと。そうしたら、あなたたちは福祉をやっている、障害者と一緒に活動をしているということがテーマなんだから、あまりほかのところに深入りいないほうがいいよというような、妙なアドバイスをしてしまうということがどうもあるようなんです。
 市役所なり区役所なりは縦割りでそれぞれお仕事をしているので、それはそれでとても効率よくやっていることだと思うんですけれども、まちは縦割りではなく横だということを、いつ何時でも全然理解をしてもらえないで、何度言ったらわかるのよということを何度これまでも言い続けてきたかなというのはあります。
 ただ、NPO法ができまして、NPOがある意味認められてきたといいましょうか、いろいろな人たちが、あの人たちの活動も少しは世の中の役に立っているのかなということが、だんだんにわかり始めていきますと、好きなことをやらせておけば、まちのためにはなるということを役所がよくわかってきてくれたというのはありまして、最近では、こういうことやらない? とか、こういうふうに思っているんだけども、一緒にできない? というようなことを、比較的個人的にですけれども、いわゆる下打ち合わせみたいな部分もあると思うんですが、そんなことでのご発言をいただくようになったりしていますので、ほどほどにお互いにやっているというところかなと思います。

【月尾座長】  縦割りが一番。

【江尻委員】  そうですね。

【杉沢委員】  一言で申し上げると、私たちが一生懸命やった手柄をすべて横取りしてしまうことであります。

【月尾座長】  しかし実現できれば、手柄は最終的にはどちらでもいいかもしれないですね。

【堂垣委員】  先ほどの質問に対する答えとちょっと違うような気もするのですが、考えていることを申し上げますと、これはマスコミの反省点も含めてなんですけれども、例えばテレビというのは一過性のものなんです。ですから、ある問題に対する課題を、この地域はこういうふうな形でクリアしたよということを放送に出しますよね。それは再放送を1回ぐらいやりますけども、そうするとそこで終わっちゃうんです。マスコミの中にいる人間は、そういうのをまた検索してちょっと見てみたりとか、大体以前やったことと違うことを、一番新しいことをやりたいと我々は思っていますから、NHKの中での蓄積で一番新しいことをやろうとするんです。
 ところが、今、私、「ご近所の底力」という番組をやっていて、ついこの間やったネタについて、こういうことが知りたいというメールがきたりするんです。だから、そこはやっぱり一般の方というのは、なかなか我々としてはいろいろな形で出しているつもりなんですけど、それを放送を見ていない人にとっては、それはないも一緒なんです。新聞も多分それは一緒だと思うんですけれども、そういう記事を書いたけど、その記事を読まなかったら、一般の人には情報が届いていないんです。
 それで、地域力みたいなことは、その地域に住んでいる人は多分自分の地域が地域力が弱いとか、地域力を強くしたいとかは、多分全くそういうふうには思っていなくて、先ほど名和田さんがおっしゃっていた、深刻な今目の前にある課題というのが多分あるんですよね。その課題を、でもなかなか今の自分の身の回りを見回してみてもうまくいかないな、どうしようもないなという感じでいるというのが、おそらく現状だと思っていて、その辺を少しマスコミも含めて、改めなければいけないなというふうに最近すごく思っているんです。
 先ほど人材育成みたいなところで、データベースみたいな話があるんですけど、例えば青森県に何とかという人がいて、すごい頑張っていますよというデータベースだと、多分それは僕は一般の人には届かないんじゃないかというか、意味がないのではないかという気がすごくするんです。
 先ほどの佐藤さんみたいな、エフエムもえるで頑張っている人がいますというふうなのがデータベースとしてまとまったとして、それを一般の人が見たときに、この人がいるところはいいよと、だけど自分のところには佐藤さんがいないもんというふうにしか受け取れなかったりして、そのデータベースのつくり方が、例えば雪おろしできないんだけど、どうしたらいいだろうとか、そういう問題から引けるようなデータベースというのはつくれないものかなというのはすごく思うんです。
 例えば、先ほど耕作放棄地の話がありましたけど、中山間地域含めて、耕作放棄地ですごく悩んでいる。ほんとうに自分の周りを見回しても、もう耕す人はいないし、しようがないなと思っていると。だけど、どこかの地域ではその耕作放棄地をうまく使っているところがあるかもしれないわけです。例えばそういうのもマスコミなんかでも報道しますけど、それを人からだと絶対そこにはたどり着けないというか。
 だからデータベースをつくる際に、これまで解決してきた事例といいますか、そういうもので検索できるとか、何かそういう自分の悩み事から入って、日本のここには、そのことを何かどうも解決した人がいるというのがわかるような、そういった情報がどんどん集まるような、課題から入って構築できるようなということをうまくやると、情報がもっともっとほんとうに困っている人のところに届くようになるんじゃないかという気がしてしようがないんですけども。
 その辺のことをマスコミでも、NHKオンデマンドと、少し最近見逃し番組サービスですとか、インターネットとかでやれるように始まりましたけど、その蓄積型の、いろいろな人がお困りごとのほうからアプローチできるような何かをうまくやって、ネットワークづくりというのができないものかなとちょっと思っております。

【月尾座長】  具体的なご指摘いただき、ありがとうございました。今後データベースを考えるとときには、検索がうまくできるように検討いただくようお願いします。

【小田切委員】  資料をつくっていただいたということもございますので、それをめぐって、あるいは今日のお話を聞いて3つほど申し上げたいと思います。
 1つは、地方へ人材を派遣する事業の事例をこういう形で集めていただきました。予算作業の中で、忙しい中で、ほんとうにありがとうございました。改めて見ると、一部、特に国土交通省の地域振興アドバイザー派遣制度は古くからのものだと思いますが、それ以外はやはりつい最近から始まっているということで、こういった事業に何よりも地域ニーズがあるんだということを確認してみたいと思います。
 ただ、こうした中で長期派遣をしているのは、おそらく総務省の事業とふるさと財団の事業に限定されるのではないかと思います。そこで長期派遣をさらに考えるような仕組みも必要だろうと思いまして、その場合、こういった事業面と同時に、実は派遣された方々が、いわばキャリアアップしていくといいましょうか、要するに派遣されてその後、そのこと自体がその人の身についていくような、そういう仕組みにしない限り、よく言われるように、出ていってしまって、そして机がなくなってしまったということになりかねないんだろうと思います。
 その点で、この長期派遣という仕組みを考える際には、いろいろな今後考えなくてはいけない論点があるのかなと思っております。
 それから2番目はワークショップの事例、典型的な事例を用意していただきまして、ありがとうございます。前回申し上げましたように、地域力、地域が動く前提は当事者意識を持つことだろうと思います。その点で、先ほども杉沢さんから出ましたが、私ども、やはり危機を危機として認識していないことが最大の危機であると思っておりますので、ワークショップ活動がその基本だろうと思います。
 ただ、しばしば私どもワークショップ疲れという言葉を各地域で聞き始めております。ワークショップで計画はつくってみたものの、それで疲れて終わってしまったということで、なかなかそれが実践に結びつかない。多分ここがポイントだろうと思いますので、そのワークショップを実施して実践に結びつけるところに、徒党的にサポートするような、そういう仕組みが必要なのかなと思っております。
 それから3番目は、佐藤さんのお話を聞きながら、また月尾座長からの宿題を見ながら思ったことでございますが、これも前回申し上げたように、私は地域力はおそらく要因分解すると、参加の場、それから暮らしの物差し、金と循環づくりと、この3つをどのようにつくっていくのかということにかかわってくるのだろうと思います。その点で、先ほども発言したように、佐藤さんの試みは参加の場をつくり、暮らしの物差し、宝と技を発掘、発信しているということで、見事な事例だと思うんですが、やはり金と循環づくりがそこにどのように結びつくのかというのがポイントだろうと思っています。
 その点で、佐藤さんは食ということにこだわりを持って、さまざまな発信をされているわけですが、私も食の重要性ということを訴えると同時に、食を含めて地域資源を保全しながら活用するような、そういった事業というのは、おそらく急に大きくなるものではなく、私どもはよく「小さな経済」というふうに言っておりますが、例えば1人当たりの年間所得でいえば30万から60万ぐらい。そういうものがおそらく入り口なんだろうと思います。あるいは出口もそういうものなのかもしれません。
 そういうことを考えると、今こういった仕事をサポートする上で徹底的に欠けているのは、そうした小さな経済にかかわる資金提供だと思います。そういう点で、場合によったら日本版マイクロファイナンスといいましょうか、マイクロクレジットといいましょうか、こういう仕組みが必要なのかなと思っています。零細補助金廃止の動きの中で、こういった、例えば事業規模で年間100万円以下という、そういうものを支援するような仕組みが急速に後退している。あるいは主として女性がそれを担うとすると、残念ながら担保力がないということで、資金の流れがそこに生まれていない傾向があるということを考えると、ここにお金を流すような仕組みをつくって、そして地域の中に小さな経済の累積をつくっていくということがポイントではないかと考えております。
 以上でございます。

【西村委員】  私も先ほどの佐藤さんの意見を聞いていて思ったんですけど、それと小西先生が地域は非常に厳しいということをおっしゃったわけなんですけども、おそらく佐藤さんがやっていらっしゃるようなベースとなる体力、それからネットワークづくりの話と、先ほどの、地域が持っている非常に厳しい状況を解決するレベルとは、やっぱり違うレベルだと思うんです。
 そうすると、同じ地域力といっても、やっぱり幾つかに分かれるのではないか。ベースとなるのは、今もお話がありましたように、ベースとしていかに地域を認識して、それを使えるようなネットワークをつくっていくかと、そういうレベルの基礎体力の部分と、そして先ほど堂垣委員がおっしゃったような、何か問題があったときに、その問題にどう対処するのかというようなレベルと少し分けて考えて、それぞれにそれぞれやっぱりベストプラクティスみたいなのがあると思いますし、お金の循環の話もあると思いますので、少し状況を分類してみると、地域力の全体像が少し見えやすくなるんじゃないかなと実感しています。

【月尾座長】  只今のご意見を宿題の中にも書いていただくよう、お願いします。
 宿題はメールにしていただいたほうが楽ではないかと思います。

【地域政策課長】  こちらからお送りいたしたいと思いますので、それにご返信いただくようにお願いします。
 次回の日程でございますけれども、来年の2月に開催する方向で検討いたしております。
 また日程調整をさせていただきまして、ご連絡を差し上げたいと思います。会議の持ち方につきましては、また座長とご相談しながら、この地域力の要因分析等もそれまでに何とか素案なりをまとめまして、ご議論の参考にしていただきたいと考えているところでございます。
 皆様、お忙しいとは思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

【月尾座長】  お忙しいところをありがとうございました。

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