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地域力創造に関する有識者会議(第4回)議事次第

日時

平成21年4月28日(火) 10:00〜12:00

場所

三田共用会議所 第3特別会議室

議事次第

1.開会

2.議事
  地域力創造有識者会議中間とりまとめ(案)について
   ・事務局説明
   ・委員間のフリートーキング 等

3.閉会

配布資料

議事録

平成21年4月28日(火)

【月尾座長】  お忙しいところをお見えいただきまして、どうもありがとうございました。時間前ですが、おそろいになりましたので、第4回の地域力創造有識者会議を始めさせていただきます。

 前回までいろいろヒアリング、それからご意見をいただきました。それをもとに、これまでの内容を事務局のほうでまとめていただきましたので、それをご説明いただいてから、その後、議論をしたいと思います。では、よろしくお願いします。 【地域政策課長】  それでは、お手元に地域力創造有識者会議中間取りまとめ(案)というものをお配りしておりますので、これにつきましてご説明を申し上げます。

 まず1ページ目は、開催経過を書いてございます。詳しい説明は省略いたします。(1)、(2)、(3)ということで3回、これまで開催し、ご議論いただいてきたところでございます。

 2ページでございますが、この3回にわたりまして、委員の皆様からいただきました議論、指摘事項等を項目別にまとめてございます。

 まず1番目、地域力そのものにつきましては、地域力とは地域の問題を自分たちで発見し解決していける能力ではないか。地域力を地方に限定することなく、東京などの大都市の地域力も考えるべきではないか。地域力が高い地域は、場と主体と条件の3要素を大変大切にしている。場は住みたいと思う地域づくり、主体は帰ってきたいと考える人材づくり、条件は帰ってこられる産業づくりと考える。人によって地域が発展していくかどうかということではなくて、人を動かす力が地域力ではないか。地域力が強いとは、つながる力が強いということと考える。地域力とは、何か問題があったときにそれにきちんと対応する地域レベルの対応力。それを継続させる力が必要だといったご指摘をいただきました。

 また、3回目に要素分解図をご提示いたしまして議論いただいたところ、人的要素をトップに掲げたことは重要である。高齢者の力(老人力)、先人の知恵という要素もあるのではないか。観光というものが重要な要素ではないか。新しいものを創造する力と交流の力も大事だ。地域力には連続的な再生産という側面と不連続でジャンプするような革新力という2つの側面があるのではないか。地域の経営資源は「人、もの、金、情報」。そしてこれらに方向性を持たせるのがリーダーの存在である等々のご議論をいただいたところでございます。

 それから、2つ目の議論といたしまして、人材育成のところに皆様からのご議論が集中したところでございます。マニュアルや前例にとらわれない柔軟な発想ができる人材が必要だ。人づくりの主体として大学の存在というのが非常に大きい。人材を発掘するしくみづくりが必要だ。地域において特徴的な活動をしている人をうまく活用する仕組みをつくるべき。リーダーの果たす役割は非常に大きい。人を動かすには一人一人を大事にして意見を吸い上げ実行に移していく姿勢が重要である。人材を他地域に長期に派遣する仕組みが必要。よそ者、外からの参入者、若者の損害が重要等々のご議論をいただきました。

 それから、3番目に、協働の仕組みづくり・コミュニティ関連では、自治体、企業、商店街等のいろいろな人との協働が必要、つなげる力をつけることが大事である。人と人とのつながる力が強いところが地域力が強い。同じテーマに関心のある人の集まりから、テーマ、メンバーを広げてネットワークを拡大していくべきであり、そのための連携の仕組みを考えるべき。その際、地域自治組織等が中心になる仕組みを、行政が仲介してつくっていけば、活動は活発化するのではないか。地域社会、コミュニティなど地域力を取りまとめてきた組織形態が歴史的な限界に突き当たっている。地域力を引き出す新たな制度設計が必要である等々の議論をいただきました。

 それから、産業関係では、地域力を考えるには第一次産業対策は欠かせない。どうしたら人は動くか。そのためにはお金が動く必要がある。収入が伴わなければ人は動かない。第一次産業も含めて総合的な地域産業の支援施策が非常に重要だ。産業力ということをきちんと考えると同時に、ソフトウェアとして地域のことをよく知るという両面が必要だ。産業づくりに関係のある関係省庁も参加すべきだ。小規模事業に対して資金提供する仕組みづくりが必要。コミュニティビジネスの育成が重要等々のご議論をいただきました。また、行政との関係では、NPO活動でも、行政との関係が見えると市民は安心するという側面もある。行政が前面に出ないでNPO等を活用したネットワークを促進するための仕組みづくりが必要ではないか。行政依存にならないことは重要だが、きっかけの制度は行政がつくらざるを得ない。過度に関与しない仕組みが重要である。また、行政の縦割り意識を改めるべき。NPO等の手柄を横取りしないようにすべきだといったご議論もいただいたところでございます。

 その他といたしましては、そこに住む住民が住んでいるところのよさを理解すべきだ。危機感を持つことが行動の動機になる。現在どうすべきかも重要だが、未来、将来を見据え、そこに到達するための施策を考えていく必要がある。地域ブランドの情報発信の役割は国、県で担うべきである。地域を元気にしている人、それらの活動事例を取りまとめたデータベースを検討すべきだ等々のご議論をいただいたところでございます。

 それから、3番目、ゲストスピーカー3人の方からお話をいただいたところでございます。ここでは活動内容の詳細の紹介は省略しておりまして、地域力を考えるに当たり示唆を与えていただいた指摘事項を記述しております。

 まず、エフエムもえるの佐藤様でございます。住民みずからが地域の情報を収集して、その情報をFMにより発信し、自分たちの住んでいるまちの地域力の向上を図っている事例ございました。ご指摘といたしましては、ボランティアが120人で番組制作等を行い、1年間365日24時間放送を実施。まちを何とかしなければならないという思いや、何かおもしろいからやってみようという感じでボランティアが集まってきた。できることを、できる人が、できるときにやれるという、だれでも参加できる仕組みづくりに留意した。住民に「あなたたちが持っている情報はすばらしいのだ」と気づかせることができれば、ほうっておいても動いてくれるようになる。最初から補助金に頼ると、補助金の切れ目が活動の切れ目になる。活動を重ねていく中で行政、経済界との信頼関係ができ連携も生まれてきたというご指摘をいただきました。

 次に、庄内映画村の宇生様でございます。庄内という土地の特性を生かして、映画産業の取り組みを通じて地域力の向上を図っている事例でございました。庄内映画村は、地域おこしをするための会社ということで、1口50万円で全員筆頭株主という考え方に基づき、上も下もなく50万円ずつ102口の株主により運営が始まった。地吹雪など、これは本来生活に支障をもたらす存在ではありますけれども、雪をいかに売り込んでいくかが課題、勝負だと考えている。映画の撮影だけに使うのではなく、観光客を入れて、映画と観光、地域の特産品の販売などをセットにした取り組みを考えている。また、観光客と地元の人との交流の場にもしたいと考えている。エコと自然と農業、その中に映画のセットがあるということができれば理想的だと考えている。地域の核となる人が中心となり応援してくれている。また、エキストラに無償で協力してくれる人などが多くいるのがこの地域の強みと感じている。

 3番目に、福田農場ワイナリーの福田様でございます。地域の資源に着目し、産業の連携を重視する中で、地産地消の取り組みなどを通じて地域力の向上を図っている事例でございました。地域の活性化というのは、ものづくりと交流であると認識。地域が豊かになり、住んでいる人の心も豊かになる。物心両面を豊かにすることが大切。先人の暮らしの知恵に着目し、それを現代風にアレンジすることを商品開発に当たっては常に心がけている。水俣の過去の体験を踏まえ、地域のエゴをエコに、観光を環境に結びつけていく取り組みをしていきたい。地域の特性を磨き、みんなで力を合わせることで地域力が高まる。もたれ合ってはだめだと、個性をしっかり磨き合って連携していくことが必要だといったご指摘もいただいているところでございます。

 4番目に、首長アンケートを実施いたしまして、この結果でございます。全体で82.2%の回収率でございました。

 まず、現在その地域に必要とされている地域力とは何かということで、どの規模の団体におきましても、コミュニティ力、地域リーダー力、住民力、地域経営力、経済産業力を、必要とされる地域力と答えている割合が多うございました。また、自治体の規模が小さくなるほど、リーダー力、住民力を地域力としてとらえる割合が高いという傾向がございました。

 また、力を入れている取り組みといたしましては、都道府県では、農林水産業、企業誘致、観光振興等の産業関係。政令市等では、文化振興、環境対策、コミュニティ対策、地域防災・地域防犯に力を入れている。規模が小さい自治体ほど、農林水産業、人口定住対策に力を入れている傾向がありました。

 また、取り組みが不十分で、さらに力を入れる必要があるものとはという問いに対しましては、県、政令市、中核市、特例市では、観光振興、地域情報の発信、地域ブランドの強化。政令市におきましては、他の団体と比べて、NPO等の支援にさらに力を入れるべきと考えている傾向がありました。また、規模の小さい団体ほど、人口定住、公務員の資質向上に力を入れるべきと考えている傾向がありました。

 不十分な取り組みを進めるために必要性を痛感しているものは何ですかということに対しまして、都道府県レベルでは、制度、財源の面を挙げている割合が高うございました。政令市では、制度、財源のほかに、民間企業の社会貢献の促進、地域に対する愛着・誇りの涵養というものを挙げてございました。それ以外の市町村におきましては、住民のやる気や協力・連携意識の向上、地域リーダーの養成等を課題として考えている割合が高くなっていたところでございます。

 あわせて国に対する要望を聞いたところ、ここに書いてあるとおりでございまして、総務省に対しましては、職員の研修とか、長期的な人材の派遣、トータルな情報提供、自治会や地縁団体等を応援する施策の充実等の要望が挙がっております。

 それから、それ以外の省庁に対しましては、縦割りを排除した総合的・一体的な施策展開、さらには、最後にありますように、民間企業が地域に貢献することによって評価される仕組みづくり等々の要望が挙がったところでございます。

 8ページ以下で、これまでのご議論、そしてヒアリング等々を通じまして、地域力創造有識者会議での議論を踏まえました今後の私どもとしての施策の展開につきましてまとめてございます。

 まず、今後の地域力創造施策の方向性でございます。

 以上のように、これまで本有識者会議では、「地域力とは何か」、「今後力を入れるべき地域力創造施策は何か」等について、首長アンケート、ゲストスピーカーヒアリング等を行いながら議論を進めてきた。

 「地域力の要素分解図」をめぐる議論でもあったように、一言で「地域力」といってもリーダー力、住民力、公務員力などの人的要素やつながり力、教育力、伝統力などの社会的な要素、そして一次産業、二次産業、三次産業などの経済的要素、また自然・環境・景観などの自然的要素など、多様な要素、内容が含まれている。

 例えば東京は、世界中からの人・もの・文化が交流し、産業が集積し、若者が多く、地域が活性化している。一方で沖縄は、経済状況は厳しいものの、他地域にない自然、温暖な気候、伝統文化に恵まれ、若者の移入が続いている。

 経済的条件、自然的条件は地域においてさまざまである。ただ、同じような条件下にあっても活性化している地域とそうでない地域がある。何がその差を生ぜしめているのかと考えた場合、やはり人材力のウエートが大きいと言えるのではないか。地域を引っ張るリーダーの存在、そのリーダーのもとまとまり同じ目的に向かって歩んでいく住民の力、そして、行政の立場と地域住民の立場をあわせ持つ公務員の力、これらの人材力がアウトプットとしての地域の活性化に差をもたらす根源的な要素ではないだろうか。

 そして、これらの人材力が向かう対象として地域資源がある。各委員の指摘やゲストスピーカーの事例発表にもあったように、地域に愛着を持ち、みずからの地域の魅力、資源に気づき、それを磨いていくことが重要である。地域資源には、既にある程度の知名度を獲得しているもののみならず、かつて存在していたが今や廃れてしまったもの、逆にマイナスイメージでしかとらえられてこなかったものなど、さまざまなものが考えられる。何もないことが魅力にもなり得るのである。地域資源の発掘、再生、創造に向けた取り組みに人材力を結集していくことが重要となる。

 今後、総務省としては、アウトプットである地域の活性化をもたらす重要な基盤的要素である人材力の強化に向けた取り組みを重点的に推進するとともに、地域資源の発掘、再生、創造に向けた取り組みについて、今後の当有識者会議での関係省庁も交えた議論も踏まえ、検討していくべきものと考える。

 (2)といたしまして、人材力の強化に向けた今後の取り組みということで、現在、このような取り組みをやったらどうかということを記載してございます。

 地域力創造の基本となる人材力の強化に向け、以下の4つの柱に基づく取り組みを進める。

 その際、内閣府や関係省庁と適切に連携するとともに、各都道府県・市町村・地域づくり団体等とのネットワークを生かし、人材力の強化に向けた動きが全国的に広がるよう、各地域の取り組みを強力に推進する。

 第1の柱、個々の人材力の育成。地域力創造のためには、まず何よりも、さまざまな場において、個々の人材そのものを育成する機会を豊富に提供し、世代や分野を超えた多様な個人が、必要な人材力を身につけることが重要である。

 自治大学校、市町村アカデミー、国際文化アカデミー――この2つは総務省の関係団体がやっております、市町村を対象にいたしました全国的な研修機関でございます――のほか、各都道府県や市町村の職員研修所等において地域力創造関連講座を開催し、行政職員がNPO等の民間活動について学ぶ機会を提供する。その際、可能な場合、民間人やNPOや公務員が一堂に会する機会を持つことが望ましい。

 次に、次のページでございますが、地域力創造セミナー、地域経営塾――これは総務省が行っているものでございますが、地域リーダー養成塾、地域再生実践塾――これは財団法人地域活性化センターという関係団体が行っているものでございますが、これらを各地で開催することにより、地域経営を行う行政・NPOなど官民のリーダー人材を養成する。また、これらの講座のテーマに応じて、自治大学校等のカリキュラムとの関連づけを検討し、官民の人材育成施策を組み合わせた相乗効果の高い啓発の機会を提供する。

 民間組織や大学と連携して、地域力創造に向けた小中高生や大学生、研究者など、幅広い年代が、現場での実践等を通じた人材力強化を推進するための仕組みを構築する。

 第2の柱といたしまして、人材力の相互交流。地域力創造のための人材は、ひとりで育っていくわけではない。さまざまなバックグラウンドを持つ人材が、さまざまな形で相互に交流する機会を得ることによって、人的ネットワークの拡大を通じた新たな発見や活動のアイデアがわき出てくるし、個々の人材力も飛躍的に向上する。

 市町村長サミットの場等を活用して、「人材交流ひろば」を開催し、首長・自治体職員と民間人によるフェイス・トゥ・フェイスの交流機会を提供する。

 地域活動に積極的に取り組む公務員人材で構成される「地域に飛び出す公務員ネットワーク」のネット上の情報交換を充実させるとともに、イベントへの参画等を通じて直接交流する機会を持つ。

 NPO等の主体的な取り組みを活用し、官民連携による広域的・効果的な人材育成・交流の仕組みを構築する。

 第3の柱といたしまして、人材力を補完する取り組みへの支援。地域内においてリーダー不在など、人材力が必ずしも十分発揮されていない場合であっても、外部の人材力がこれを補完し、地域住民の活動をコーディネートし、地域経営のノウハウを伝えることができれば、当該地域の潜在的な人材力が真価を発揮する。

 具体的には、次のページでございますが、地域に必要とされる人材のマッチングを行った上で、地域力創造アドバイザー、地域おこし協力隊の派遣や集落支援員を活用するなど、地元の住民の地域経営を支援する取り組みに対して財政支援を行う。

 第4の柱といたしまして、全国各地の人材力等の情報の提供。全国各地で活躍する人材には、長年にわたり地域のリーダーとして活動してきた人材や、その活動経験に基づいて他の地域にノウハウを伝える人材がいる。こうした人材や活動事例を集約・整理しておくことは、さまざまな施策において人材力を活用するための重要な基礎となる。

 4月に立ち上げた地域力創造データバンクに他省庁の人材、事例のデータを取り込むとともに、内閣官房が構築している「地方元気応援人材ネットワーク」との連携も図るなど、関係省庁と連携して、より効果的な活用方策を検討し、自治体等による活用を促進する。

 以上が、人材力強化関係で今考えているアイデアも含めた施策でございます。

 (3)で、その他の取り組みといたしまして、地域力創造ブラン(鳩山プラン)でございまして、これは前回もご説明いたしました、定住自立圏構想の推進、地域連携による自然との共生の推進、条件不利地域の自立・活性化の支援、この3本柱の施策を展開しているところでございます。

 イに、一番大きな柱でございます定住自立圏構想がございます。定住自立圏は、中心市と周辺市町村が、1対1の協定を締結することを積み重ねる結果として、形成される圏域である。圏域ごとに「集約とネットワーク」の考え方に基づき、中心市において圏域全体の暮らしに必要な都市機能を集約的に整備するとともに、周辺市町村において必要な生活機能を確保し、農林水産業の振興や豊かな自然環境の保全等を図るなど、互いに連携・協力することにより、圏域全体の活性化を図ることを目的として施策を展開していく。

 ウといたしまして、次のページでございますが、地域おこし協力隊でございます。意欲ある都市住民等を地域社会の新たな担い手として受け入れる「地域おこし協力隊」を推進する。地方自治体が、NPOや大学等のさまざまな事業を活用しながら、都市の若者等を受け入れ、当該地方自治体のコーディネートのもと、おおむね1年から3年程度、農林漁業の応援、水質保全・監視、住民の生活支援等の地域協力活動を実施することを想定。受け入れ側の地方自治体を包括的に支援していく。

 エといたしまして、地域連携による自然との共生。流域協定、カーボン・オフセット協定等でございます。同一流域内の地方自治体間の流域協定等に基づく自然保護活動を目的としたボランティア活動、これは短期のものでございますが、流域ボランティア等に住民が参加する仕組みを支援する。また、他の自治体や企業との間でのカーボン・オフセット協定による地方の森林整備などの取り組みを支援していく。

 オが、集落支援員制度でございます。過疎地域等に所在する集落において集落支援員を設置し、集落点検の実施や話し合いの推進などを積極的に実施する。集落支援員は、市町村職員とも連携し、集落への「目配り」として、集落の巡回、状況把握等を行うことを想定しております。

 それから、地域力創造対策ということで、これも有識者会議の議論を踏まえまして新たに発足させたものでございますが、従来、経済停滞地域対策というものを長年にわたり実施しておりましたけれども、それに加えまして、過疎地域等の条件不利地域における観光交流振興策、地域資源発掘・地域の魅力発見対策、デジタルディバイドの解消対策、コミュニティ活性化対策、人材育成対策などの地域力創造に向けたさまざまな取り組みを支援していくこととしております。

 コミュニティ対策につきましては、「新しいコミュニティのあり方に関する研究会」等を活用して、地域コミュニティ活動の活性化や地域コミュニティやNPO等の多様な主体と自治体が協働する「新しい公共空間」の形成に向けた調査・検討を引き続き実施していきたいと考えております。

 最後のページでございますが、活動段階や地域特性に応じた地域力の検討ということで、地域力創造の取り組みは、活動の初期・発展期等の活動段階や大都市や過疎地域等の活動の場によって、活発化のために求められる条件が異なると考えられますことから、時間軸や地域性に応じた地域力創造の条件について調査・検討を実施していきたいと考えております。

 以上が、今までの議論を踏まえまして私どもなりにこういうことをやっていったらどうかということでまとめたものでございまして、またこの点についていろいろご議論いただき、ご意見をいただければと思っております。

 最後に、今後の会議の進め方ということで、次回以降は農水省、経産省等の関係省庁からのヒアリングを実施したいと思います。また、その際に、その分野で活動している方々をゲストスピーカーとして招致いたしましてお話を伺いたい。それらを踏まえまして、今年度内に有識者会議としての提言を取りまとめたいと考えてございまして、一応、開催計画案はお手元のとおり、こういう形でやったらということで現時点で考えているところでございます。

 それから、お手元に横書きで参考資料を配付しております。詳しい説明は省かせていただきますが、1ページ目が要素分解図でございまして、前回出ました若者力・老人力等も加えてございます。

 2ページ目がデータバンクでございまして、これは4月に立ち上げました。

 3ページにございますように、事例が、地域力創造事例集として1,302件、それから人材データベースといたしまして291件、それぞれ項目別に検索できるようになっているところでございます。

 4ページが鳩山プランの全体、3本柱。5ページからが定住自立圏の進捗状況でございまして、7ページにありますように、中心市24市、22圏域で先行実施団体がスタートいたしましたが、現時点で21団体、20圏域で中心市宣言という宣言をしていただきまして、今取り組みが進行中でございます。8ページが鳩山プランの2つ目の柱、自然との共生の関係でございます。8ページ、9ページとございます。10ページに地域おこし協力隊の資料が入っております。とりあえず21年度にスタートして300人程度、3年後には3,000人規模の若者を1年から3年間、自治体に派遣するということを目標に取り組んでいきたいと考えているところでございます。その資料が続きます。13ページが流域協定の部分でございます。地域おこし協力隊が1年から3年に対しまして、これはそれよりも短いタームで流域間の自治体の協定、ボランティア活動の促進というものを挙げております。

 14ページが集落支援対策、過疎対策でございます。14ページにありますように、集落支援員を設置いたしまして、集落点検を実施し、集落のあり方について話し合いをしていただいて、それらに基づく施策を展開していくという形でございまして、この集落支援員を、昨年度の年度途中に総務省として打ち出して、支援しますということにしまして、15ページにありますように、既に全国で199人の専任の集落支援員が設置されておりまして、自治会長などの兼任も加えますと2,000人規模という形になっております。その具体的な活動を16ページ以下に掲げてございます。

 17ページが地域力創造対策としてリニューアルいたしました新たな取り組みでございまして、ここの左のほうの条件不利地域というところにございますように、過疎地域等々におきまして、観光、文化・環境、ICT、人材育成等々の取り組みを特別交付税等により支援していこうということでスタートさせたものでございます。

 以上、簡単ですが、資料と中間取りまとめ案につきましての説明を終わらせていただきます。

【月尾座長】  どうもありがとうございました。  今日を除いてこれまで3回ご議論いただきまして、それをこの中間取りまとめという形でまとめていただきました。それで、主なところは8ページ以降の5で、今後どうするかということです。それで、4本柱をつくっていただいて、進めていこうということになります。最後のページにありましたように、今年度、今日以外に5回会議を開いて、この会議は終わるということにして、最終的に施策につながるような提言にしていきたいと全体では考えております。そこで、今日はこの中間取りまとめ案についてご自由にご議論いただいて、今年度のこともお考えいただきながらご意見をいただければと思います。それで、委員がお二人ご欠席ということもあって比較的時間に余裕がありますから、5分ずつぐらいご意見をいただいても大丈夫だと思います。いつもはあいうえお順であんさんからなんですが、たまには違うほうもいいのではないかということで、反対に名和田委員のほうから、何でもご自由にご意見をいただけますでしょうか。

【名和田委員】  私が一番最後というか……。

【月尾座長】  先にお帰りになる方は特に。いいですか。では、すみません。

【名和田委員】  名和田というのは、非常に先頭になることもあれば、非常に後になることもある変な名前なんですけれども、では2つほど申させていただきたいと思います。

 この中でもちょっと触れられましたけれども、昨日「新しいコミュニティのあり方に関する研究会」がありまして、そのイメージが大分あり過ぎるかもわかりませんけれども、一つは、これまでの議論のまとめをこうやって振り返らせていただいて、あまり施設の話がなかったなと。施設というと箱物ということになるので、何となくみんなその議論を避けてきたのかもしれませんが、現実には人がつながっていく拠点というのは非常に重要で、ただ、今までの施設のあり方が必ずしもそういう人の交流を促すようなものではなかったということが問題なんだと思います。私は、80年代にかなり全国的に整備されたコミュニティセンターと、それから90年代以降出てきた市民活動支援センターとか、ああいう施設ではかなり性格が違うと思っている、つまり90年あたりで一つの大きな施設重要に関する転換があったと思っているのですけれども、昨日の研究会で改めて気がつきましたのは、この2つの80年代型のコミュニティセンターと90年代以降の市民活動支援センター的な施設はどちらも、特定の目的を持った人でないと行かない。だから、交流の輪を広げるという機能を実はあまり十分持っていないということが問題なんじゃないかなと。それにかわる、もっと枠が広がるような交流拠点を、あまり行政施策としてはこれまで自治体も国も打ち出し得ていなくて、それを補完するかのように、民間のほうでコミュニティカフェとか居場所づくりとか、そういうことに広く取り組んでいる。例えば、厚労省がやっている親子の広場でしたか、あれは横浜市の市民たちが始めた試みをパクッたというか、制度化し施策化して全国に配っているわけです。こういった新しい民間のというか、市民活動の取り組みをもう少し見据えて、箱物をつくるというのではないけれども、ふらっと来られるとよく言っているんですけれども、交流の輪を広げていけるような拠点づくりの課題というのが意識されてもいいんじゃないかと思いました。今からこういうことを言うのは遅いかもしれないんですけれども。

 それからもう一つ、2点目として言わせていただきたいのは、人材というところにかなりターゲットを絞って考えていかれたんだなということで、これはもちろん重要であることは言うまでもありませんし、これまで我々が議論してきたと思います。私は個人的な感じで言うと、人材がある地域に出てくるというのは、その地域が非常に大きな危機に陥っていて、そういう客観情勢があると、わりと地域の中にリーダー的あるいはそれを補完するような事務局長的その他等々の人材が必ず出てくると思っております。だから、同じ条件なのに、こっちにはいい人がいて、こっちにはいないというのが、多分客観的に観察するとそうなのかもしれませんけれども、危機を迎えた地域には必ずそれに見合った人材が出てくると個人的には思っております。ただ、今の地域社会ではわりと危機が見えにくいという気もするんです。例えば、高齢化の進展がどうであるかということなどについて、10年ぐらい先を見据えた検討を住民自身がして、それで対策を立てていくということを横浜市戸塚区のドリームハイツというところはやってこられたわけなんですけれども、そういうことをやれる地域というのはなかなかありませんで、危機感を共有しにくいという状況が今あるのかなと思います。それで防災とか、そういうわかりやすいテーマを選んで問題提起をするといったことが行われているかと思います。ですから、そういう意味では、人材育成にターゲットを絞った施策を展開していくということは、そういう状況のもとでは非常に意味があるなと。一たん人材がある程度育成されますと、私は見ていて非常に感心するんですけれども、地域で活動されている方は勉強家で、いろいろな研修の機会などがあると、興味のあるものにはなるべく出かけていって研修を受けるといったことをやっておられます。ですから、金銭面も含めて、こういう人が研修を受けやすい仕組みをつくるということは大事だし、どこかにありましたけれども、立場の違う人、公務員が典型ですけれども、職責として地域の仕事をやっていらっしゃる方々と、地域でどちらかというとボランティアでやっている自治会の方とかテーマ型の方とかが、場合によっては一堂に会して研修を受けられるような仕組みが非常に大事だと思います。おそらく地域でボランティアをやっているというのでも、かなり専門性を必要とする分野があるんですね。人の意見をまとめたりとか、そういった場合にはワークショップの技法などが必要になりますし、障害といった問題に向き合うときには単なる善意だけではいかないところもありますので、そういう問題に向き合った人は研修を受けるということに対する意欲が非常に強いので、人材づくりという施策の中で、こういった人たちの意欲を生かすような仕組みをつくっていくということが大事ではないかなと思いました。  差し当たり、以上でございます。

【月尾座長】  ありがとうございました。前半言われたことは、箱物をつくれということなんですか。

【名和田委員】  多分、今や物はたくさんあると思うんです。空き店舗に象徴的に見られるように、実は物は非常にあることになっている。それをどのように機能を転換して地域に開かれた場にしていくかということだと思います。

【月尾座長】  つまり、利用方法を考えろという、物そのものの。

【名和田委員】  ええ。それは、まず初期資金の問題もあるし、ただ、ではお金を出せばいいかというと、お金がなくなったときに即倒れてしまうというケースが今非常に多いんです。どちらかというと、そういう知恵とか仕組みづくりではないかと思います。

【月尾座長】  わかりました。ありがとうございました。  それでは次、堂垣委員、お願いします。

【堂垣委員】  こういった会議に参加するのは初めてなものですから、ちょっと質問も含めてなんですが、この中間取りまとめというのは、どこ向きの書類というか、案として考えたらよろしいんですか。だれに向けて……。

【月尾座長】  では、そこから。

【地域政策課長】  そもそもこの有識者会議といたしましては、通常の研究会とかそういうのと違って、かちっとした報告書を出すというよりは、大所高所から地域力創造施策にどう取り組んでいったらいいのかといったことでご議論いただくという場でございましたので、この中間報告も、今までの3回の議論を踏まえまして、いろいろなことをご示唆いただきました。それらを踏まえて、私どもとしてこういうことを考えていますということで、またさらにそれについて意見をいただいて、この取り組みを深めていきたいといった趣旨でございますので、中間報告書といった形で取りまとまりましたというレベルとはちょっと違うのかなとは思っております。ただ、有識者会議の結果、資料につきましては、毎回私どものホームページのほうで出しております。自治体のほうからもそれについての感想等もいろいろ来るような形で注目もされておりますので、このたたき台につきましても今回の資料として出ますし、それについてのご議論いただいた内容も出ますので、さらにそれに修正を加えたような形で、今の段階でこういう形になっているというものは、ホームページ上で公表していきたいと考えております。

【堂垣委員】  私が申し上げたのは、対内的な資料なのか、対外的な資料なのか、主にどちらに軸足を置いているのかという感じがちょっとわからないなと思ったんです。これまでいろいろな方がいろいろなことをおっしゃった要素を非常にきれいにまとめていただいていて、そういう意味ではすごいなということで敬意を払うのはやぶさかではないんですが、地域力を創造したいと思っていて、この地域を、自分の住んでいるところを何とかしたいと思っている人がこの書類を読むのかなというのが正直な私の印象だったんです。そういう意味で、だれのための、だれに向けたものなんですかという質問ですけれども、その辺はどうなんでしょうか。

【地域政策課長】  そういう意味では、総務省としてどう展開していくべきなのか、あるいは総務省として各省と連携を図っていくべきなのかといったことからいいますと、私どもが受けるというところがメーンだろうと思います。それは自治体関係者にも情報提供されるというところだろうと思います。したがいまして、その具体的な施策の結果として、個々の活動されている方とか、この提言をもとに今度私どもで立てる施策の結果の対象として、それぞれ活動されている方とかその地域があるということになるのかなと思うんですが。

【堂垣委員】  わかるような、わからないようなお答えなんですけれども、申しわけないんですけれども、私の感じたことを申し上げますと、人材力へシフトしていこうというこの姿勢に関しましては非常にいいのではないかなという印象があります。具体的にいろいろ書いてあって、そこに関してはいいと思っているんですが、要するにそこにたどり着くまでにこれだけの枚数を今のところ要しているということが、文書として、もしほんとうに地域力をつくりたいと思っている人に向けたものであるならば、多分ここにたどり着くまでに疲弊してこの文書は読まなくなってしまうであろうなと思いました。そういう意味では、一番最初に、この日程云々というよりも、簡単なまとめといいますか、A4判1枚ぐらいの形で、議論を踏まえてこういった形でという、どういった結論に今向かおうとしているのかみたいなものをつけたほうが、少なくともそこまで読もうという気になるのではないかと思ったのが一つです。私はテレビをやっているものですから、わかりやすさみたいなことは非常に意識せざるを得ない業界でして、そういう意味では文章の言葉の選び方自体も非常にまだお役所言葉が多いなと思いまして、この辺は少し、普通の人がホームページでアクセスしたときに読みやすくできないものかなと。「自主財源の涵養」とかと言われても、もちろん行政の方々などは使いなれている言葉かもしれないんですが、要するに、山の中に住んでいるおじいさん、おばあさんがたまたまこれを何とかしたいと思って読んだときに、多分これは何ということにしかならないのではないかなと思いまして、言葉選びなども少し意識していただいたほうがいいかなと思います。

 あと、人材ということとちょっと関係があるんですけれども、ほんとうに地域で地域の力を取り戻したいと思うとしたら、SOSを出せるチャンネルというのを国がある程度担保する必要があるんじゃないかという気がするんです。前にも言ったかもしれないんですけれども、ほんとうにどんなささいなことでも、うちが今こんなことで困っているんだというときに、知恵のある人からそういうときはこういうことをやったほうがいいというアイデアをもらえば解決できる問題は結構たくさんあるんですけれども、その情報と情報がうまく結びついてないというのが多分現状だと思うんです。我々マスコミとしてはそういったことはやっているつもりではいるんですけれども、なかなかその情報が届いていないという事実が厳然としてあるものですから、そのようなデータベースということをちょっとだけ書いていますけれども、この辺のほんとうに困った人とその解決策を持っている人とをうまく結びつけられるようなチャンネルを、国として何かフォローみたいなことをやるようなことをもう少し前に出してもいいのかなと何となく思いました。

 以上です。

【月尾座長】  ありがとうございました。前半のことはもう事務局からのお答えにもあると思うんですが、これは総務省だけではないんですが、基本的には総務省がこれからどういう方針で地域振興をやっていくかということに対していろいろ有識者からご意見をいただくということで、それで今、役所の会議は基本的に公開するということなので、これもご説明があったように、ホームページで公開するということで、それを見ていろいろ頑張るところは頑張るといったことになっているんだと思います。ですから、今堂垣さんが言われたように、では具体的にどうするのかといったことについては、一部はもう鳩山プランなどで案が出ているわけですが、これから話が出てくるんだと思います。

 あとは、これは最後にまた全体のご意見をいろいろいただいたらいいと思うんですが、今は基本的に地方分権なので、国があまり直接住民からとか、やりたい人からアクセスを受けるというよりはむしろ、地方自治体か、もっといろいろ、NPOも含めてでいいと思うんですが、地方が受けるといった形に進めていったほうが今の社会の流れには合うのではないかということで、私個人としては、国があまり、頑張ると言うのも変ですが、全体をやってやろうという方向にならないほうがいいのではないかと思っていますが、いかがですか。

【堂垣委員】  私が申し上げたのは、国が直接何かやるというよりも、意見交換ができて、情報の共有ができるようなステージづくりという意味では、国がある程度やらなければいけないんじゃないかなと思っているということです。国が直接何かをということまで考えているわけではないんですけれども。

【月尾座長】  意見交換というのは、国がどこと意見交換するんですか。

【堂垣委員】  いや、国ではなくて、ほんとうに困っている人と、それに対して答えを持っている人がある程度意見交流できるようなある種の、これはネットになるのかもしれませんけれども、何になるのか、僕もはっきりしたイメージがあるわけではないんですが、そのためのステージというのは、要するに国がつくったあるサイトというか、例えばそういうところに来れば、そこでSOSをだれかが出せば、だれかに答えといいますか、アイデアをもらえるようなもの、要するに困ったときにはあそこにアクセスすればいいといったある種のステージづくりということは、ある程度やってもいいんじゃないかと思っているということです。

【月尾座長】  地域人材データベースのようなもので、そういう相談できる人というのは2,000人近く今リストアップされているんですが、そういう仕組みとはまた違う考えなんですか。

【堂垣委員】  そことつながっているとは思うんですけれども、どうでしょうね。

【月尾座長】  おそらく、今年度説明があったように、各省庁からヒアリングすると、今非常に多くのそういう制度ができていまして、この間もテレビ東京で紹介していましたけれども、地域のいろいろなおいしい食べ物とか名産品が、なかなかチャンネルがないからうまく社会に流通しないというのを、経済産業省の地域何とかという制度で指定した人が回ってそれを一生懸命売り出すようなことをやっていたり、かなりいろいろあることはあるんです。

【堂垣委員】  逆に言うと、経済産業省なのか、農水省なのかとか、その辺のことが一般の人から見るとわかりづらかったりするじゃないですか。たまたま適切な人にアクセスすれば、それはうまく機能すると思うんですけれども、その辺のアクセスがうまくいかなかった場合にはなかなか答えが得られずにというのが現状としてはあると思うんです。ですから、その辺のことをうまくまとめる形で何かができるようなものはないのかなということです。

【月尾座長】  わかりました。いろいろな省庁が今どういうことをやっているかというのを聞いたのをまとめて、おそらく今年度の成果というか、提言として、そういうことを入れさせていただくようにしたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、杉沢委員、お願いします。

【杉沢委員】  事務局の方からお話をいただいた、今座長さんから話があった8ページからの部分について、幾つか感じたことを申し上げさせていただきます。

 まず、リーダーに対する考え方というのが、文章上では、さまざまな立場の人、「世代や分野を超えた多様な個人」とうたっていて、それは全く正論であるし、それを突き進めてほしいと思いながら、どうも読んでいくと、頭ではわかっているが、実際にはそう思っていないんじゃないかと感じるところがある。どうしても、リーダーになって人の上に立つ人は、お金がある、時間がある、元気がある、そして力があるというパワーあふれた人でなければならないというとらえ方のところが、私はまずちょっと間違えているんじゃないかなという気がしました。男女共同参画あるいは障害者のような立場からいうと、マイノリティーの立場である女性ももちろんだし、障害を持っていても、あるいは高齢であっても、あるいはほんとうに過疎地域にぽつんと住んでいるような人であっても、地域のリーダーになってもらいたいという思いをぜひこの文の中にもっと込めてほしいという気がいたします。

 リーダーの育成ということはもちろんなんですが、私は自分が活動していて、私の力などはほんとうに小さいといつも思っているし、まずリーダーに次ぐサブリーダーといいますか、理事長であれば副理事長になる立場の人、副会長なり、代表取締役であればその下の専務さんなりという立場の人がまたすばらしい力を持っていないと、絶対に活動はうまくいかない。それに加えて、周りのブレーンと申しますか、それは活動団体の中での会員だったり、社員だったりということもあるし、それから私などの場合は家族であったり、友人であったり、隣のおじさん、おばさんだったりといった、そういう周りで支えてくれる人材というのがあるから自分たちの活動が軌道に乗ってうまくいって、最後に大きな力となって何か一つのものをなし遂げていくということを何度も経験させてもらっているので、そういうサブリーダーあるいはブレーンという人たちをどう育てていくかということにもこれからもう少し目を向けていかなければならないと思います。それが1点です。

 それから、今度は地域力を支えていくNPO団体や市民団体についてですが、これも育てていきたいんだ、どんどん力を持ってもらいたいんだということが、この文の背景には読み取れるんですけれども、最初から地域おこしをやろう、あるいはまちづくりを頑張ろうということで人が集まるような団体というのは、幾らもないと思うんです。周りを見ていても、何か趣味の会とか、楽しい話をするような仲間で集まろうといった形で集まった人たちが、飲んでいるうちに、食べているうちに、おしゃべりしているうちに何とかしたいなという思いになって、そういう思いが膨らんでいってまちづくりの力になるというのが、私の見ている限りでは多いわけです。なので、そういう団体を育てていくと言ってはおこがましいけれども、少しこちらに向かってもらうような方策ですね。先ほど名和田委員さんのほうから市民活動支援施設についてちょっとお話がありましたけれども、埼玉県の場合、さいたま市に市民活動支援の施設が浦和の駅前に新しくできました。そこでの取り組みの話をちょっと聞いたところ、ほんとうにゴルフのクラブの男性の会があったり、あるいは同級会で集まった会があったり、そういうところもどうぞここの交流のスペースを使ってお話し合いをしてくださいと提供している。それを提供して話し合いをしていながら、「どんなことをやっているの」「ゴルフは楽しいでしょう」といったことから「少し自然環境のことも考えたような活動がみんなの力でできるといいね」というように水を向けて、そういう方向に少し向いてきてくれた団体もあるといった、極論からいうと、ほんとうに家がなくて、カップラーメンを持って「お湯をください」と言ってそこに飛び込んできた人にも「どうぞお湯をお使いください」と、どんなことに興味があるのかという話を聞きながら、何とか地域に溶け込んでもらえるような話に持っていくんだといったことを聞いて私はとても感動したんです。どんな立場の人であるかということを最初から位置づけたり色づけたりしないで、それぞれに活動している中で、ちょっとこちらを向いてほしい、まちづくりに力をかしてほしいといった働きかけをすると、気がついて、「そんなことなら私たちもできる」、「そういうことなら僕たちも協力できる」ということから力をかしてくれるという形になっていくという例をたくさん聞いて、初めから「さあ、まちづくりだ。頑張ってほしい」という取り組み方がちょっとこの文の中に感じられたので、その辺を少し軌道修正してほしいということが第2点目であります。

 それから3つ目は、これで最後ですが、研修の機会を与えるということで、そういうのが予算の使い方では大変手っ取り早いので、スタートするんだと思うんですが、私もいろいろな研修の機会に伺っていて、ここ10年前ぐらいから比べると、集まってくる人材がだんだん、どうしても行政サイドの人が多くなって、地域づくりの会なども、10年前ぐらいに行ったときには、その場で一生懸命やっている、例えば婦人会の人だったり、あるいは子供会の人だったり、PTA活動をしている人だったりが集まってきたところが、どうもだんだん色が変わってきた。10人集まって、見てみたら、行政サイドの人が9人で、私1人が市民団体代表で出ていたといった状況になっています。それはいろいろな場で言えることで、どうしてかなと思うと、送り出す側の予算がないということなんです。バックグラウンドが多くあれば、旅費も出るし、手当も出るし、宿泊費も出るしという形で出てきている人たちが9人で、NPOサイドからどんどん出てきてくださいと言われても、ほとんど自腹で行くわけですから、なかなか参加できない。ほんとうにNPOの人に参加してもらいたいような研修体制になっているかというあたりは疑問なので、そのあたりをもう少し考慮してほしいなということが、お願いを込めた意見であります。

 以上です。

【月尾座長】  ありがとうございました。

 それでは、小田切委員、お願いします。

【小田切委員】  私は2つのことを申し上げてみたいと思います。

 1つは、先ほど堂垣委員が問題提起した論点ですが、これ自体はこの有識者会議のミッションにかかわることですから、軽々に一委員がこう考えていると言ってもあまり意味がないことなのかもしれません。こういうまとめを見れば見るほど、私はやはり、省内の頭の整理といいましょうか、もっと言えば、総務省としての地域振興に係る戦略を構築する、その素材なり、あるいは重要な柱が立ったと位置づけてよろしいのではないかと思います。甚だ失礼な言い方かもしれませんが、多分総務省として地域振興に係るノウハウが今まで大量にあったということではないのだろうと思います。しかし、地域力創造、これは地域力創造と言った瞬間、もう内発的発展だと入り口・出口を決めたと思うわけなのですが、そういう中で考えていくと、やはり人材力が重要だという他の省庁にはない戦略が打ち立てられたと位置づけて、そして今後省庁との話というのは、おそらくこの人材に視点を集中するということと、各省庁の施策、例えばそれは地域資源を保全するとか、磨くとか、活用するとか、そういう施策を各省庁が大量に持っているわけですが、それをどうつなぐのかという議論を今後していくのかななどと私は整理して理解しております。その意味で、もちろん結果的には、これが公表されて、やはり人材だよなと思う自治体の方あるいは現場の方がいて当然なんですが、そういう形で利用していただくのも当然歓迎ですが、しかし何よりも第一義的には内部の整理あるいは戦略の構築の素材と考えたいと思います。

 それから2点目は、そのように考えた場合の人材に係る提起が十分なのかということなんですが、少し弱いのは内部人材のところだと思います。外部人材については、かなり網羅的といいましょうか、かなり新しいことも含めて議論されていると思います。これはこの会議で私が申し上げた記憶がありますが、人材については、外部人材は今も昔も足りなかったんだろうと思います。今人材が大変だと言われているのは内部人材、つまり地域のリーダーが欠け始めている。人材をめぐる大きな議論というのは多分そこが淵源だと理解しております。もちろん、だから外部人材がますます重要だということで、外部人材の議論も展開しているわけなんですが、今何が変わったのかと言えば、内部のリーダーが欠落し始めているという、ここではないかと思います。

 そうなったときに、2つぐらいの点が弱いのかなと思うのは、1つは、月尾先生が見事におっしゃった発掘だということ。これは2ページ目に議事録ふうに書かれているわけなんですが、私も実はそのように思っておりまして、内部人材というのは、かつてのようにスーパーマン的な人材を求めるというものではなくなっていると理解しております。あるいは、私たちが特に農山村を歩いて感じるのは、そういうリーダーはむしろ減り始めている。あるいは逆にもっと言えば、そういうリーダーのところは、リーダーの後継者問題で、地域力の継続そのものが危うくなっていると考えております。そこで出てきているのが、最近の特徴は複数リーダーです。先ほど杉沢さんが言ったのもそういうことかなと思っておりますが、複数のリーダーがさまざまに分担していく。私は5つのリーダーなどと言って、これが正しいかどうかはまた別なんですが、わかりやすく言えば、カリスマ型リーダーとか、調整型リーダーとか、あるいは会計型リーダー、知恵袋型リーダー、そして最後は何でも屋型リーダー。こういう方々がいわば役割分担しているのが最近の特徴ではないかと思います。このように考えると、一つ一つのリーダーは、どこにでもいるというのはちょっと言い過ぎなんですが、どこでも発見できる、発掘さえきちんとすれば発見できるようなものであって、穴を掘ってそれを発掘していくのが重要な局面に入っていると思います。その意味で、だれが発掘するのか。発掘するためのノウハウを地域にどのように移転するのかという、ここがかなり重要なことになっているのではないかと思います。

 それから、この人材をめぐって2番目に申し上げたいのは、それではこの内部リーダーの成長に何が資するのかということなのですが、私は視察ということを改めて考え直してみたいと思います。と申しますのは、多分この10年ぐらいでしょうか、ちょっと期間についてはわかりませんが、視察の仕方がかなり変わり始めている。昔のように、慰安旅行を兼ねた視察というのは急速に減っている。これはもちろん自治体に金がなくなっているということもあるんですが、学ぶためにはお金を出さなくてはいけないんだという意識が比較的浸透し始めている。そのことによって慰安旅行を兼ねたような視察というのは多分急速に減っているんだろうと思います。その意味で、最近地域に話を聞きにくる方は、きちんとメモをとり、そしてきちんと質問をし、そして自分たちの課題とのすり合わせをするような、そういうタイプの視察が増えていると思います。そうなると、次なる論点は、視察者はそれぞれがお金を出して、もちろん補助できるところがあれば補助をしてということなんですが、問題となるのは、むしろ視察に対応する事例のほうの負担です。これを何とか軽減することはできないのか。当然、真剣な視察者であればあるほど時間がかかります。30分程度の話ではなく、2時間、3時間、じっくり今までの苦労も含めて聞きたいという話になってきますから、この2時間、3時間の負担、しかもそれが場合によっては年間数十回となるわけですから、この負担を軽減するような仕組みが何かできないのかなということです。例えば、視察の対応に対して何がしかの支援をする。それが金銭的支援なのかどうかというのはよくわかりませんが、この視察の受け入れの方に支援するということが重要な局面に入っているのではないかと私は思い始めております。そのことによっておそらく地域力の内部リーダーのほうの育成が間接的ながら促進されるのではないかと思っておりまして、そこの部分の書き込みができれば、おそらく議論としては完結するのかなと思っております。

 以上です。

【月尾座長】  ありがとうございました。

 それでは、江尻委員、お願いします。

【江尻委員】  私は、人材力を育成していくこと、人材力に大きな視点を置いたということはとてもよいことだと思うんですけれども、この中に、2年とか3年、地域の中に人材を外部から入れていくと、その2年、3年の間は非常に活性化するんだけれども、その人材がいなくなった後どうなるかという部分が、まさに助成金が切れてしまうと事業が終わってしまうというのと同じことになるのではないかという懸念が非常にあります。例えば、学生のボランティアなどが地域に入って農業などの支援をしていくといった事例はよく学生からも聞きますし、担当していた先生方からもお伺いすることはあるんですけれども、果たしてそれがほんとうにその地域の中でどれだけ役に立っているのかというと、初めはとても邪魔者扱いされていたし、若い人がどこまでできるのかと言われたんだけれども、自分たちが一生懸命やることによってその地域の成果に結びついていった。でも、自分たちは学校を卒業すると同時にその地域から出なくてはいけない。そのときに別れを惜しむんですけれども、ここまでやってしまった後の畑はどうするんだ、作物はどうするんだということになってしまって、後始末をするのは結局その土地にもとからいた人になってしまう。いわゆる単なる実習の場にしかなっていないといったことをよく言われるという話を聞きます。これは、送り出すほうの大学側にももちろん課題はあると思いますし、それから継続性を持たないでボランティア活動をしている学生たちにもあるかもしれませんけれども、せっかく総務省としてのこういった地域の中にボランティアなり力なりを、特に若い人の力なりを出していくということを考えていくとすれば、例えば地域の中のもともとあるボランティアセンター、これは社協がやっていますけれども、そういったところとこの2年、3年の間に上手につないでいって、そしてそこにまた新たなボランティアを入れていったり、また地域の中の人たちがそうした活動をともにできるような方法を考えていったりといったこともやっていく必要があるのではないかなと思います。

 もう一つは、例えば私が地域の中で、これが問題だなとか、こんなことを解決したいなと思ったときに、どこに相談するのかというと、市町村の窓口なんです。国には言いません。というのはなぜかといいますと、多分わからないだろうと思うんです。なぜわからないのかといいますと、国は大きなところは見てくれますけれども、小さなところまでは見ることができません。これはしようがないことです。そうなってくると、自分の住んでいる市とか区の担当のところに相談にいって、こんなことで困っているんだけれどもとか、こんなことをみんなでやりたいと思っているんだけれどもどうしようかといった話をすると思います。そんなときに、力のある公務員の方がいらっしゃったりとか、それから地域の中のいろいろな問題を解決していこうという意識のある公務員の方とたまたま窓口で出会えば発展するんですけれども、そうでない場合には「そうは言われてもね」というところでおしまいになってしまうというのが実態としてあります。私が思いますのは、課題を解決していこうという市民が出たときに、それに対応できるような市町村の公務員の力というものをぜひ職員対象の研修の中でつけていってもらいたいと思っています。そこから東京都で言えば区市町村から都に上がり、そして国にといった流れをくんでいくということが、地域の中で暮らす市民にとっては一番身近であり、そしてわかりやすくて、ストレートであると思っています。その中の窓口の一つとして、実は市民活動支援センターのようなもの、これはNPOセンターも含めて、各自治体で公設民営にしたりとか公設公営にしたりといったことでいろいろ整備をしていますけれども、ここの役割というものも大きなものになってくるのではないかと思います。公設民営にしたときに、民間に預けたのだから行政は知らないよというのではなくて、そこに、行政にきちんと話を持っていくような、困っている市民の声が届くような、課題を見つけた市民の声が届くようなパイプというものもつくっていく必要があるといったことを含めた研修をぜひやっていただきたいなと思っています。

 今のところ、以上です。

【月尾座長】  ありがとうございました。  それでは次、飯盛委員、お願いします。

【飯盛委員】  慶応の飯盛でございます。この中間取りまとめの方向性、人材育成の重要性というテーマにつきましては、私はもうまさにずっとそのように話をさせてきていただいた一人として、大変方向性として共感いたします。このことにつきまして、私どももまさにその方向でいろいろな研究の活動と、あとまちづくりの実践活動をやってまいりましたので、今その活動を簡単にご紹介しつつ、ちょっとそこを進んでやってみて、今こういうことがないと困っているな、あったほうがいいなと思うことをちょっとお伝えしようと思っております。

 私も大学人だからということももちろんそうですけれども、まちづくりにおける大学の役割というのはますます重要になってくるだろうと私は強く認識しております。その意味の一つは、まずいろいろないいパターンがあると思うんですけれども、例えば、地域の中でつながりが硬直化しているようなところに対しては、大学の若い学生たちがいろいろ入り込んでまちづくり活動とかに参加させていただくことによって、全く新しい見方とか新しい知見を地域に持ち込むことができる。しかも、そういう学生たちは元気ですから、元気にいろいろなところを回って、ご迷惑にならないように大学側もきちんと指導しながらということもありますけれども、そういうことをやることによって地域のことに学生諸君も強い関心を持つようになっていくのは実感しております。

 実は私は今、地域情報化のプロジェクト、情報技術を使ったまちづくりのプロジェクトのリーダーもやっています。この地域情報化プロジェクトは、全国各地に2000年以降いろいろ起こってきて、あちこちに今広がっております。例えば、どこかの地域で成功したまちづくりのプロジェクトは、どこかに移っていく、全国に広がっていくという流れを今示している最中なんですが、そのリーダーたちが、高齢化まではいかないんですけれども、50、60ぐらいになってきているというところはほとんどのプロジェクトに共通の点です。そうすると、次世代がどうしても必要だということを常に会うたびに言っております。この次世代をどうやって育成するかというテーマは、これはまさしく今この地域力創造有識者会議で議論されている、また検討されていることの一つのポイントだと思っています。

 私ども慶応義塾の湘南藤沢キャンパスでは、まちづくりのリーダー、社会起業家を育成するためのカリキュラムをつくりまして、大学院にそういうコースを4月から開設いたしております。その中で私が特に考えているのは、座学で教えるようなことが果たしてできるのかどうかと、まさに名和田委員がお話しになったことと共通することなんですけれども、座学だけでそういう人たちが育成できるかどうかというのは、確かに疑問がございます。なぜかと言うと、極めて難しい地域のマネジメント能力を要求されるわけだと思います。例えば、企業ですと、命令ができたり、強制ができたり、あるいはお金を出すからやってほしい、給料を上げるからやってほしいと、インセンティブが働きますけれども、まちづくりの場合にはそういうインセンティブがなかなか使えないです。そういう中できちんと成果を上げていく。しかも、まちづくりには時間がかかりますから、継続性も必要。どうやってこういう能力をはぐくんでいけばいいのか、できるのかというのを徹底的に議論して、それをどうやったらいいのかということをいろいろ考えてまいりました。今やっているのは、まだ4月から始まったばかりですから成果はこれからなんですが、一つは、当然大学で座学をやる、レクチャーをやるということです。もう一つは、ビジネススクールでやっているようなケースメソッド。まちづくりのリーダーにはその場に置かれたいろいろな困った課題があるわけです。どこかが動かないとか、どこかに何か問題があるとか、そういう困った場面を記述して、それをみんなでディスカッションしながら、みんながリーダーだったらここの解決策はどうするのかと、問題を発見して、解決する議論をすることが一つ。これをやった上で地域でフィールドワークを行ってもらう。小さくてもいいから、実際にまちづくりの何かの活動をしていただく。さらに我々は、そのまちづくりの活動のケースをもう一回教材化して、それをぐるぐる回していきましょうということを今志して頑張っております。

 実は、こういうことをやると言っていろいろと話をしておりましたら、全国いろいろな大学さんがそういうことをやりたいとおっしゃってくださいまして、今ネットワークをつくろうとしております。その教材も共用していって、いろいろな地域の教材を我々も使わせていただく。我々がつくった教材もほかの大学さんに使っていただく。そして、例えばフィールドワークを一緒にやるなどしております。実は実験的に3月の末に、ある東北の大学さんと一緒に、我々が学生諸君と20人ぐらいで押しかけていきまして、まちづくりのプロジェクトのケースディスカッションをやって、そのまちに対する政策提言をやって、遠隔でつないで、政策提言の場にはそのまちの管理職の方々にいていただいて、学生諸君は徹夜でそのまちづくりの政策をつくりまして、それを発表するということをやって大変盛り上がりましたので、こういう大学間の地域ネットワークというのは多分これからどうしても大学における人づくりについてはやっていこうということで、きのうもちょっとそういう調整をしていたところです。

 こういうことを考えていきますと、さっきも申し上げたように、実はほかの大学さんでもいろいろなおもしろい取り組みがなされています。小さい離島に入って、離島の中で学生諸君が一生懸命まちづくりの活動をやったり、あと海士町の活動だったりとか、もちろん小田切先生のところのいろいろなフィールワークの活動とか、いろいろなことをやっていらっしゃいます。なので、大学と地域が連携してまちづくりをやっている。それにはたくさんのいい効果があります。例えば、若い人たちにはまちのことに関心を持ってもらうとか、地域の方々にとっては、新しい視点が得られる、何かの行動力が得られる。もしくは、情報技術を持った学生たちがもしいれば、何か情報技術を使ったまちづくりなどというのは学生たちは喜んでやりますので、そういう活動につながっていくというのは今までの経験でございます。なので、例えば今考えているのは、こういうことができないかと思っているのは、いろいろな大学さんでそういう活動をやっていますので、ぜひ、例えば総務省さんでそういういろいろな活動を広く公募して、顕彰したり、おもしろいことをやっていますねということで何かお墨つきをいただく。どのように審査するのかというのはなかなか大変かもしれませんけれども、そういうことができれば、学生諸君にも大変なインセンティブになるだろうと私は考えております。そして広まっていくだろうということを私は考えております。

 実際、大学と地域連携という話は、今たくさんの進展がありまして、4月に入ってからですけれども、私ども慶応義塾は、長崎県と研究・教育の包括提携というものを結びまして、協定書を交わしました。これは、主体は県のまちづくりの部署のほうですけれども、まちづくりの部隊と我々大学の教員・学生が連携しまして、慶応義塾の学生たちを主に長崎県にたくさん入ってもらって、まちづくり活動をまちの人たちと一緒に実践してもらう。そして、県の皆様と一緒に、また市町村の皆さんと一緒に成果の発表会をやって議論していくということをこれから進めてまいります。県からは、今これが地域の課題だと、観光とか、農業とか、いろいろあると思いますけれども、解決したい課題を出していただいて、我々が学生と一緒に、それはどうやったらうまくいくのだろうかということを活動しながら提言していく。そういうことをやろうとすると、「私は九州出身です」とか、「私は長崎出身で、実は長崎で何かこういうことをやりたいと思っていたんです」という学生が手を挙げてくるんです。そうすると一石二鳥でして、学生たちが将来、例えば長崎とか九州に帰って何かの活動をするというきっかけになればなと我々は思っております。

 あとは、ぜひこの中間取りまとめをもうちょっとまとめた形か何かにされて、もし可能であれば、もうおやりになっているかもしれませんけれども、パブリックコメントなどをいただくようなスキームもあってもいいかなと思っています。それはなぜかといいますと、実は先週ある自治体に講演に行かせていただいたんですけれども、そのときに、人づくりが大事ですという話をいろいろしたんですが、ある村の村長さんから、「意向はよくわかり、そのとおりだと思いますが、うちの集落はほとんど75歳以上ばかりです。どうやって人づくりをすればいいかということを教えてください」と言われたんです。多分、地域地域によって、独自のいろいろな課題があると思っています。なので、ぜひ、もし可能であれば、ほかの自治会の方でも結構ですから、何かパブリックコメント的なものがいただけるようであれば、またこの取りまとめも深化していくのではないかと感じました。

 以上でございます。

【月尾座長】  ありがとうございました。首長アンケートは今回一応やったんです。だから、パブリックコメントというと、もう少し一般の人からも意見を聞けということですか。

【飯盛委員】  そうですね。もし可能であれば、まちづくりのリーダーとか。

【月尾座長】  普通、パブリックコメントは何か政策を決定するようなときにやるので、こういう、ただ議論ではあまりやらないですね。

【地域政策課長】  そうですね、通常のパブコメというのは。 【月尾座長】  今、パブリックコメントの制度は、これで何かを政府が決定するというときにはしてもらうんです。だから、今回はこの首長アンケートをやったということで、特に追加ではちょっと難しいと思いますけれども。

【飯盛委員】  はい。

【月尾座長】  ありがとうございました。  では、まくどなるどさん、お願いします。

【まくどなるど委員】  何か、同感というか、同意の意見がいっぱいあったので、ではここで自分は何が言えるのかなとちょっと戸惑っているところがあるんですけれども、実はきのうは東アジア海域環境管理パートナーシップのPEMSEAと閉鎖性沿岸海域環境管理のEMECSという組織のミーティングがあって、今度11月にマニラでアジアのEast Asia Seas Congressというところがあるんですけれども、そこでICM――Integrated Coast Management、統合的沿岸域管理を目的とした、アジアを中心にする会議があるんです。そこで、里山という言葉は聞きなれている人たちがいらっしゃると思うんですけれども、里海という概念及びそういう海洋生態系保全資源管理など、それはエコシステムベースのものなんですけれども、それにプラス統合的沿岸域管理、その日本のモデルについて、海外の他国とアジアをはじめ世界のさまざまなそういうIntegrated Coast Managementのボトムアップのコミュニティベースの事例など、研究・政策づくりを今後どうやっていくのかということで、ちょっとミーティングがあったんです。その中で、特に日本で見たりする場合は、陸域とか海域の川の人と海の人とか、そういう縦割り行政の話が出てきたりしていて、私は今日のこれからのあれで見ると、言うまでもないことではありますが、これからが勝負どころで、何か紙の上のアイデアはすごくすばらしいところがあると思うんですけれども、どう横断的な仕組み、構造を今後つくっていくかということによって、人材育成ができるか、できないかということがちょっと気になっているところではあるんです。

 なぜそれを言っているかというと、実は去年、平成20年、環境省で里海創生支援事業をスタートしていて、そういう里海づくりのマニュアルをこれからつくっていこうということで、パイロットプロジェクトを4つスタートしたんです。その中の一つで私が七尾湾で金沢大学、石川県、何人かの海洋生物学者といろいろな研究者と行政の方々と一緒になってこの事業を去年から進めてきて、今年度まで2年にわたってやるんです。これをやっていくのには、地域リーダーはだれであるのか、そのキーパーソンをまずターゲットにしなければいけないというところがあるんですけれども、地域そのものも縦割りというか、行政も縦割りの中で、幾つかのポケットに地域の中で何人かのリーダーはいるんですけれども、そのリーダーの地域内のネットワークをどうしていくのかということは、また一つの課題じゃないかなと思います。ここは個人をターゲットにしているんですけれども、そのコミュニティの中のインディビジュアルを、他地域とのネットワークづくりだけじゃなくて、地域内での地域リーダーのネットワークづくりも必要だと思うんです。

 もう一つちょっと感じたりはしているのが、これからというところを考えていくときには、個人をターゲットにしてそういう人材育成を進めていこうという案ではあるんですが、テーマターゲットももうちょっとあってもいいんじゃないかなと思います。総合的な目標とか、そういう案は必要だと思うんですけれども、これから各省庁のヒアリングを行っていく中で、テーマターゲットも考えてもいいんじゃないかなと思います。人材育成はだれでも重要だと思っているんですけれども、ではどういう分野における人材育成が今後日本の地域にとっては一番有意義であるか。限られた予算の中で限られた人材の中で、もうちょっとそういうテーマターゲットも考えてもいいんじゃないかなとちょっと感じたりはしています。

 最後に、また石川県という現場での活動を踏まえた上で、ちょっと2点のコメントがあるんです。人材育成は、個人のターゲットを何にするのかというと、年齢・性別・国籍を問わずという意見もあれば、年齢をちょっとターゲットにしてもいいという意見も考えられるんじゃないかなとも思ったりはしています。実は、金沢大学が中心となって、私の組織、国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニットもかかわっているんですけれども、能登半島で里山マイスター養成プログラムというのがあって、金沢大学が中心になっているんですけれども、若い研究者、ポストドクを能登半島にフィールドに送ったりしていて、また20代、30代のこれから地域のリーダーになっていくのであろうという年齢層をターゲットにして2年間のプログラムをやっているんです。ここもまた、すごく門はオープンなんですけれども、出口を厳しくしているんです。ちゃんとした卒業論文みたいなものを仕上げなければと、目的意識を持った上で、週末に講義があったりするんですけれども、出席率もとったり、ちゃんとしたレポートを出さなければいけないということで、ハードルを高くすることも、平成時代の松下村塾ではないかもしれないんですけれども、きちんとした目的意識を持った上での人材育成構造もとても大事だと思うんです。

 もう一つは、実はこの1年間、石川県で農業人材育成という活動があって、最終的にそれを組織化したんです。その中でよく出てきた課題は、もちろん担い手の人材育成は非常に大事なんですけれども、受け入れる側の人材育成も大事。ですから、ここは個人の人材育成をターゲットにしていこうという、それが1番目にあって、2番目には周囲の環境づくり、そういう人材育成をした上で、その人たちの持つ力が生かされるような地域づくりも大事だと思いますので、ぜひ石川県の農業人材育成を組織化したものを参考にしていただけたらと思います。

 以上です。

【月尾座長】  ありがとうございました。

 最後に私から、簡単にですが、3点です。

 第1点は、既に施策とか制度は非常にたくさんあって、後でご説明いただきますが、関係府省ヒアリングテーマという1枚だけの紙がありますが、今年度、いろいろな役所から聞こうということですが、大変な数の施策が実際に動いているんです。役所というのは新しいものをつくりたがるというか、それが一種の使命でもあるんですが、そういうことなので、この有識者会議の結果で少しそれをうまく整理するということもお考えいただくことが必要ではないかと思うんです。名和田委員から箱物の話がありましたけれども、私は全国いろいろなところへ行くと、大体、過疎地へ行けば行くほど立派な施設がたくさんあって、一番施設がなくて困っているのは大都会の都心で、会議をやるためにどこかを借りようといっても、お金を払わないと借りられないようなところばかりという状態なんですが、地方へ行けばほんとうにふんだんにあって、むしろそれをどう運用するかとか、どう利用するかということのほうがというのは言い過ぎですが、そういうことも大事だということで、既存の制度をどうしていくかということもあわせて考えていただいたらどうかと。

 それから2点目は、こういうことをやると、一般に手取り足取りやりたがるというか、大変親切にやりたいと思われる方が多いんです。しかし、水を飲む気のない馬を川まで引っ張っていくのは大変だということわざがあるように、ほんとうに何とかしたいという人がいないと、幾ら制度をつくったり、極端に言えば、補助金を上げても、どなたかが言われたように、補助金の切れ目が縁の切れ目のようなことになってしまうということで、ある程度やる気で選別するといったこともきちんとお考えいただいたらどうかと思います。だから、そのためには、堂垣委員が言われたように、わかりにくいと、やる気のある人が一体何をやったらいいんだということで困るので、わかりやすさということが重要なんですが、そういうものを一生懸命理解して頑張ろうという人はそれなりに成果が得られるようなことを考えるべきではないかと思います。

 最後は、これは地方分権時代というか、今、総務省でも道州制とか地方分権のいろいろな委員会をつくってやっておられるわけですが、スタートのきっかけは国がおつくりになってもいいと思うんですが、なるべく速やかに地方へどんどん移して、地方分権の先は主権在民だと言われていることもあって、ほんとうに地域の人がやりたいところへ権限が移っていくような仕組みを早くつくって、国がやるべきことは最低限何かといったことも検討いただいて、あまり各自治体の細かいところまでとか、場合によってはNPOの面倒まで国が見るというのは、今の大きな流れには少し逆行するのではないかと思いますから、手離れをよくして、地方とか地域にいる人々が自由にできる方向に誘導していくといったことも必要ではないかと思っております。

 それでは、一通りご意見をいただきましたので、あと、言い残したことがある方はどうぞ挙手をして言っていただければと思います。はい、どうぞ。

【名和田委員】  最初にしゃべりましたので、いろいろな委員の先生方のご意見を聞いて、一つ一つ、なるほど、なるほどと、納得というより共感いたしておりました。その中から特に共感させていただいたことを補足的に述べたいと思います。

 杉沢委員だったと思うんですけれども、幾つか重要なことを言われて、一つは、それに想を得て思ったのは、私が見ている限りでということになりますけれども、いわゆる人材が育つのには非常に時間がかかり、かつ紆余曲折があるということです。私は20年だと思っているんですけれども、最初の10年はいろいろ試行錯誤をして、場合によっては非常にあほなことをやって挫折したりとか、そういったことがあって、おそらく20年ぐらいたってようやく、一丁前という言い方はよくないのかもしれませんが、一丁前の地域活動家あるいは市民活動家として何となく重きをなしていくと思います。その中でここで言われている研修とか発掘とかといったことがその中のどの局面で生ずるのかということは人材育成の上で非常に重要だなと思うんですけれども、なかなかこういうことは仕組みにもできないし、文書に書くこともできないので、あくまでも一つの感想ということですけれども、一人のすばらしい活動者に出会われたときに、その人の背景には20年間の試行錯誤があると思ったほうがいいというのが、私の率直な印象でございます。

 それから、これも杉沢委員がおっしゃったかと思うんですけれども、地域で必要とされている人材は非常に多様であるということを組織の中のさまざまな役割に即しておっしゃったかと思うんです。それと、私は地域の中でなかなか折り合わないパーソナリティーが折り合っていくということが大事だと思っていて、よく地縁型とテーマ型とかと言うわけですけれども、それは別に利害が対立しているわけではなくて、違ったタイプのパーソナリティーなので、最初に出会ったときに協力の仕方がわからないということだと思います。そういう意味でも人材は非常に多様であるということを念頭に置くことは大事ではないかと思います。  それから、小田切委員が言われたのは、非常になるほどと思うんですけれども、確かにここのところ、視察がまじめになりましたね。官庁・役所の視察はもちろんですけれども、市民活動団体とか自治会・町内会の視察とかが非常にまじめになってきていると私も感じています。その際、まさに小田切委員がおっしゃったように、視察の受け入れ側の負担ということをぜひぜひ考えていただきたいというか、私は、ここへ行ったらいいですよといったときには必ず「ちゃんとお金を払ってくださいね」と言うことにしております。それから、最近、きちんと視察料を取って、そのかわりきちんとした資料を出し、お話もするということですけれども、そういうところも非常に増えてきております。そこは、特に行政はそういうことをただだと思わずに、ちゃんとやってほしいと思います。

 もう一つは、これは視察とは違うんですけれども、一般的に外部の人を受け入れるときには、受け入れ側の力量とか工夫が必要だなと思います。特に大学とか大学生を相手にしている場合には、大学はある種評判が悪くて、先ほど大学が機関としてそういう協定を結ばれているということを聞きまして、それは非常に重要なことです。大学の先生はある程度勝手なところがあるから、「それはいいですね。やりましょう」とかと言って、勢い込んで大学に話してみたら「全然知りません」とかということになりがちです。それから、大学生というのは人生の若い段階で、非継続的であるということはどうしても避けられない。私がかかわっているところではそのままそこに就職してしまったという事例もないことはありませんけれども、普通は非継続的でありまして、そういうことを織り込んだ活用の仕方を受け入れ側も考えていく。それだけの力量を持つということが求められているんだと思いました。

 雑駁ですが、以上であります。

【月尾座長】  今のご意見で、20年かかるというのは、そういう人もいるかもわからないけれども、やる気のある人は数年ですね、僕の感じでいくと。一つの例で、ヒアリングに呼んだエフエムもえるの佐藤社長というのは、私が会うまでは地域の建設業の跡取りで、のんびりしていたのですが、僕がちょっとアジテーションをしたら、突然やる気になって、放送局を1年で立ち上げて、今3年でほとんど地域を動かすようなことにもなっている。だから、やる気と、たまたまいいきっかけを与えればということで、20年かかることはもちろんあっていいし、そういう育成も必要だけれども、それを標準だとはあまり考えないほうがいいのではないかと思いますね。

【名和田委員】  いや、私の見ている範囲ということです。

【月尾座長】  それから、大学で学生が、実技というか、実際の社会を体験するということももちろん重要なんだけれども、大学のもう一つの使命として先端的なことを研究するということも大変重要なので、両方をやっていただく必要があって、こういう地域を発展させるためには一体理論的にどのようなことが必要かという研究も同時にやっていただかないと、単に10代後半から20代は暇だから地域で頑張って終わってしまうという、それ自身は悪くはないんだけれども、大学全体として、そういう人だけになってしまっても大学の使命としては困るということもあるので、同時に研究も頑張っていただいて、両方をやっていただくということが大事ではないかと思いました。

 ほかに、どうぞ。

【杉沢委員】  人材育成に関して、小田切先生がされている地域活性化センターでは非常にいい育成をしていて、その育成した後の参加した塾生たちのネットワークとかというのを上手につくっていらっしゃるんです。それを見て、育成した後のフォローアップというか、それからその後どうしているかとか、追跡みたいなことにも少し力を入れてほしいなというのがお願いであります。何でもやって、育ったよと、今、名和田先生からあったように、20年後、そこで育てた人がこんなになっているんだといった事例があったら、それはそれですばらしいことです。ただ、中には、私なども海外派遣に行かせてもらって、一緒に行ったメンバー20人が10年たって集まってみたら、半分はもう地域活動から手を引いてほんとうに家庭に閉じこもっていたということで、あの海外派遣の50万は何だったのだろうといった思いもかなりありますので、仕組みとしてはかなり難しいかもしれないですが、育てた後のフォローアップなり、その後の追跡みたいなことに少し力を注いでほしいと思います。

【月尾座長】  それは、国がそういうことをやれということですか。

【杉沢委員】  そうですね。自分たちが報告するような仕組みがあるといいんですけれども、終わったときに。あとは、研修会などでそういう人たちが頑張っている様子を聞くと、参加した人たちがまた刺激を受けるといったこともありますので、折に触れてということですね。

【月尾座長】  データベースの中にそのようなことが反映されるということはいいと思うんですけれども、私が最後にちょっと申し上げたように、今、地方分権にどんどんしていく、地域のことは地域が独自にやっていこうという流れの中で、国がフォローアップまでずっとやるというと、また国の仕事が増えて、中央集権的なことにもなりかねないので、そのフォローアップが必要だというのはそのとおりだと思いますが、どこがやるかは慎重に考えていただいたほうがいいと思いますね。

 どうぞ、ほかに。では、小田切委員、どうぞ。

【小田切委員】  これも2つ申し上げたいんですが、先ほどの繰り返しなんですが、全般的に今回書いていただいたのは、公務員とか外部人材をかなり意識しているということは間違いないだろうと思います。そういう意味で、内部人材、しばしば言う風と土の、土の人材がどのように相互交流することができるのか、あるいはどのように発掘されて発展することができるのか、そこの部分で、私は残念ながら、発掘する仕組みをつくれとか、あるいは研修が今ますます活性化して重要になってきている、ここしか言えなかったわけなんですが、ちょっと知恵を寄せる必要があるのかなと思っております。

 それから2番目は、先ほど杉沢委員がおっしゃったことに少し地域リーダー養成塾のことを補足させていただきます。私も主任講師をさせていただいております地域活性化センターの地域リーダー養成塾でございますが、これは大体毎年30〜40人の塾生が集まって、大変大きな成果の一つは、それぞれの期ごとにネットワークが完全にでき上がるということだろうと思います。それこそEメールアドレスのメーリングリストなどは当然のことながらつくって、そのメーリングリストで簡単に質問ができる。例えば、こういう施策についてだれか情報を持っていないかということがあれば、たちどころに反応が複数出てくる。あるいは、NPOの方がこういう事例を探しているんだけれどもという問い合わせに対しても、すぐ反応がある。そういうネットワークが最大の財産だろうと私自身は思っております。それに加えて、この地域活性化センターでは、毎年修了者研修というのを1回行っております。卒塾生、OB・OGが集まって、講演を聞いたり、あるいは分科会に分かれて議論したり、そういう仕組みをつくっております。このネットワークは当然それぞれのネットワークをつくっている方々が活性化するというのが原則だと思いますが、いわばネットワーカーとしてネットワーク全体を刺激するような仕組みが恒常的に必要なのだろうと思います。それが多分修了者研修という仕組みで、これはある程度外の機関といいましょうか、常に安定的に存在している機関が刺激を毎年のように供給するような仕組みが必要で、それが活性化センターという主体であって、これは国か地方なのかというのは議論があるところですが、いずれにしても安定的な主体が必要で、そういった刺激が毎年のように行われるといったことも必要ではないかと思います。その点でいえば、多分、自治大学校についても、市町村アカデミーについても、同様な仕組みが構築されているのかなと思いますが、もしそういう部分が弱ければ、意識的にそこをつくっていく必要があるのかなと思っております。

 以上でございます。

【月尾座長】  ありがとうございました。

 ほかにいかがですか。はい、どうぞ。

【江尻委員】  私は、先ほどまくどなるど委員がおっしゃった、テーマ別といいますか、テーマのリーダーという部分が地域の中でとても大事になっていくのではないかなと、お話を伺いながら思いました。今回、地域づくり、まちづくりという大きな枠の中での人材育成、人材研修という部分であるんだと思うんですけれども、それはそれで地域のコーディネーターとして非常に重要な役割を果たすことになって、またそういう人がいるからこそその地域が一つにまとまっていったり、大きな力になっていくというのはもちろんあると思うんですけれども、既に地域の中には、例えば子育ての分野とか、福祉の分野とか、それからごみ・リサイクルなどの環境分野とか、そういったところで活発に活動しているリーダーという人は、多分どこの地域にもそのテーマの中で1人ぐらいはいるのではないかなと思います。先ほど申しましたように、これは国ではわからないことで、市町村だからこそわかるリーダーなんだろうと思います。このあたりを核としたまちづくり、地域づくりのあり方などというものも、市町村の公務員の皆さんのある視点としてとらえていくというあたりも人材を育成していく研修の中に盛り込んでいってもらえるといいなと思っています。

 もう1点なんですけれども、私はごみやリサイクルの問題の活動をずっと、まだ20年ではなくて、20年弱なんですけれども、やっております。今はNPO法人になりましたが、もともと私たちの団体ができたきっかけというのは、多摩地域の中で隣のまちが何に困っていてどう解決していっているのかということが全然わからなかった。買い物に行くときにはとなりのまちまで行くのに、市民活動は自分の自治体の範囲の中だけでやっていたから、多摩地域の中で一つのネットワークをつくりましょうというのが、もともとの発足の考え方の中にありました。それと同じように、ほかの地域で何をやっているのかということがわかれば、自分の地域でやっていることの解決策というのはおそらく出てくるだろう。そのための一つとして、小田切委員がおっしゃいましたような視察という方法があるんだろうと思います。まさに机の上で勉強している座学だけでは学べないようなことが、一回現場に行くとすとんとわかってくるといったことがたくさんありました。私も最近、新たに食器のリサイクルのネットワークなどをつくったものですから、行政の職員と一緒に現場に行くということを始めました。そうすることによりまして、NPOが何を考えているのか、何が問題なのか、国のこの部分の法律を変えてもらえばいいんじゃないかといったことも話し合いながら、かつその地域のいいものを自分の地域に持っていきましょうといったことをしています。たまたま私の場合には、今受託している施設でも食器改修をしているので、出張で行きますので、資金的には持ち出しにはなりませんが、これがNPOとして行くとなったときに、ではその資金はどこから出るのかということにもなります。ですから、研修の一つのカテゴリーとして現場を見る視察というものを、直接国がNPOにお金を出すなどということはできにくいことですが、何か補助的なことを考えながらまちを一緒につくっていくということができるような方策は考えられないかなと、具体案はないんですけれども、思いました。

 以上です。

【月尾座長】  ほかにいかがですか。では、飯盛委員。

【飯盛委員】  一つは、先ほどの大学連携の話のちょっと補足でございまして、今、月尾先生からご指摘いただいたとおり、大学の研究というものを大事にしなければいけないというところは非常に痛感しておりまして、私どもは総合政策学というものを標榜しております。現場に入って実際の政策やまちづくりに資する理論を構築するんだと、まさに社会科学における設計の科学を実現しましょうということを頑張ってやっております。そういう意味でフィールドにちょっと入って頑張っていき、そこの成果を公表していくということは、私どもに限らず、どの大学もやっていかないといけない。それが政策に資するというところにポイントがあるんだと、そういう理論を構築していくということが大切な役割だということを私は強く認識して、これから精進してまいりたいと思っております。

 もう一つ、小田切先生がおっしゃったことにまさしく賛成でして、私はCANフォーラムという地域情報化のリーダーたちが集う団体の代表を今やらせていただいておりますけれども、CANフォーラムでは基本的にメーンの連絡とか交流はメーリングリストでやっておりまして、あと年に2〜3回くらいシンポジウムをやっております。そのシンポジウムの後に必ず交流会、サロンを設けているんです。そこでリーダーの方々とだれかが出会って、例えば、うちのまちでもこういう問題があって、それをやっている方の講演を聞いて、そこでうまく交流ができて、自分のところでもそのやり方を、まずは最初は指導を受けながら、もしくは参考に、お手本にしながら始めたら、うまくいったということが結構あります。なので、メーリングリストとか、あとできればリアルで交流ができるサロン、これを国がどこまでやるべきかという大変な問題がありますけれども、ただ、そういうまちづくりとか地域力創造を果たそうと頑張っていらっしゃる方々が交流できる場というものはリアルでもバーチャルでもあると、広がりというものが出てくるんじゃないかなと感じました。

 以上でございます。

【月尾座長】  では、堂垣委員。

【堂垣委員】  国が何をやるべきかということとちょっと関係のあることで思っていることを少しだけつけ足させていただきますと、例えば、今ほんとうにこの世界的な不況の中で、第一次産業への人口のシフトといいますか、それは国としても少し意識的にやろうとしているところがあります。実際にある程度そちらのほうにかかわる人が増える可能性はあると思うんです。実際に第一次産業にやる気やら夢やらを持った人がうまくかかわり始めるというところまでは多分できると思うんです。ただ、問題はその後で、結局ほんとうにやる気のある人たちが続けられないという状況が一方でまたあり得ると思うんです。そのときのセーフティーネットづくりみたいなことこそがほんとうに国のやるべきことではないかと思っております。これは、例えば第一次産業に関しては総務省さんに言うことではないのかもしれないんですが、その辺のことは相当意識して政策としてうまく取り込んでいただきたいなと思っております。

 以上です。

【月尾座長】  ありがとうございました。

 では、大体よろしいですか。では。

【まくどなるど委員】  質問ですけれども、関係府省ヒアリングは個別に行う予定ですか。それとも、どこかで横断的なヒアリングを設けることも考えていますでしょうか。

【月尾座長】  ご質問をいただいたので、今後どうするかという話をお願いします。

【地域政策課長】  関係府省のヒアリングですけれども、お手元に「関係府省ヒアリングテーマ」という形で1枚紙を用意させていただいております。ここには、それぞれの省庁だったらこんなテーマがあるのかなと考えられるものを思いつくままにざっと挙げております。実際には、時間の関係もございますし、1回に当たり1省庁あるいは2省庁なりを呼んで、皆さんから、例えばこの省庁についてはこういうことを聞きたいといったことをまたメールでご照会させていただきたいと思っておりまして、それらも踏まえた上で、ある程度テーマを絞って聞かないと非常に幅の広い話になってしまいますので、テーマを絞ったような形で関係省庁がやっている取り組みについて説明をしてもらって、そこでご議論いただいて、またそのテーマに関連するような実践活動をされている方の話を聞きながら議論を深めていくということで、どちらかというと、横断的というよりも、それぞれの省庁を順番に特定のテーマをやっていくといった形で今は考えております。

【月尾座長】  ただ、数からいくと、2省庁ずつぐらいを毎回お願いするということですね。

【地域政策課長】  これを全部それぞれ聞くという話になれば、スケジュール上はそういう形でないと回らない形になろうかと思いますけれども、それも含めてご意見をいただいて、考えていきたいと思っております。

【月尾座長】  まくどなるどさんがお考えなのは、たくさん呼んでディスカッション風だと思いますが、なかなか議論にならないですね。日本の官僚の方は非常に立場をわきまえておられて、他省庁には関与しないということだから、仮にそうしても、自分の省のことしか説明されないので、むしろより多くの省を、2省庁ずつぐらいお願いして、我々がそれを統合的に理解するというほうがいいと思います。

 それでは、どうもありがとうございました。今というか、この2時間、非常に広くご意見をいただきましたので、少しそれを反映した形でこのまとめ案を直していただくということで、これは最初に堂垣委員のご質問にもありましたけれども、あくまでも、公表はしますけれども、それがすぐ施策になるわけではなくて、総務省のほうで今後地域政策をどう考えるかという参考にするということなので、そういう視点でこのまとめを少し訂正していただくということをお願いしたいということでございます。

 では、あと今後のことを。

【地域政策課長】  ただいまお話し申し上げましたように、次回以降、関係省庁を呼んでのヒアリング等でさらに議論を進めていっていただきたいと考えておりますので、テーマ等につきましてご意見をいただきたいと思いますので、お忙しいところを大変申しわけございませんけれども、ご協力のほどお願いいたしたいと思います。

 次回は6月ということで予定しております。また細部の日程につきましては、いろいろ照会させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【月尾座長】  それでは、どうもありがとうございました。

速記担当:(株)大和速記情報センター
長倉 朱里

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