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地域力創造に関する有識者会議(第5回)

日時

平成21年7月28日(火) 10:00〜12:00

場所

三田共用会議所 第3特別会議室

議事次第

1.開会

2.議事
  関係府省庁ヒアリングについて
   ・農林水産省 農村計画課長 坂本 修 様
   ・厚生労働省 地域福祉課長 寺尾 徹 様

  委員間のフリートーキング 等

3.閉会

配布資料

議事録

平成21年7月28日

【月尾座長】  第5回地域力創造に関する有識者会議を開催させていただきますが、今回から何回かは、総務省以外の各省でも関連のある政策を進めておられますので、それについてご説明いただいて議論をしたいと思います。初回は農林水産省農村計画課長の坂本修様と厚生労働省地域福祉課長の寺尾徹様にご説明いただきます。

 その前に、総務省で人事異動がありましたので、自己紹介いただくとともに、前回議論した中間取りまとめについてもご説明をお願いします。

 それでは黒田課長からお願いします。

【地域政策課長】  地域政策課長を拝命いたしました黒田と申します。よろしくお願いします。

【地域自立応援課長】  14日付けで地域自立応援課長を拝命しました原田でございます。よろしくお願いします。

【地域振興室長】  7月14日付けで地域振興室長を拝命いたしました水野でございます。よろしくお願いいたします。

【地域情報政策室長】  地域情報政策室長で参りました高地と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

【月尾座長】  それでは中間取りまとめについて黒田課長から説明をお願いします。

【地域政策課長】  ご指摘いただきました中間取りまとめの件につきましては、4月28日の第4回地域力創造に関する有識者会議の委員の皆様のご意見等を踏まえまして、お手元に概要とあわせまして、別添のとおり整理させていただいております。よろしくお願いいたします。

【月尾座長】  それではご確認いただくことにして、各省庁からのご説明に進みたいと思いますが、最初に農林水産省の坂本課長様からお願いします。

【坂本様】  ただいまご紹介いただきました、農林水産省の農村振興局農村計画課長の坂本でございます。実は私も今月の14日付でこのポストに参りましたものですから、本日ご説明いたします資料、あるいは私からの説明に至らぬ点もあろうかと思いますが、そういう事情でございますのでぜひご容赦いただきたいと思います。

 私、14日付で参ります以前に、既にこの会議への出席依頼がございまして、その依頼事項というのが、地方に定住させるための農林水産省サイドの施策ということでございましたので、資料もその目的、事項に即しましてまとめさせていただいております。お手元の「都市と農村の共生・対流を通じた農山漁村の活性化施策」という資料に基づきまして、ご説明させていただきたいと思います。

 まず1ページをお開きください。この1ページと2ページには、我が農林水産省が共生・対流を通じた農山漁村活性化を展開していく、その主な柱というものを用意させていただいております。後ほどご説明させていただきますけれども、この柱の中には、例えば総務省さん、文科省さんとも連携しながら、小学生の宿泊体験を全国的に展開していく施策やそのための施設整備、2ページですが、本日はその運動論なので細かな資料等はつけておりませんが、「立ち上がる農山漁村」あるいは「オーライ!ニッポン」といった、全国的な農山漁村に多くの国民の方々の注意を、目を向けていただくための運動論、あるいは地域の特性を生かした漁村づくりや国有林野を活用した交流とその場の提供、促進といったようなものを全省的には展開してございます。3ページ以降で、それらのうち予算化され、実施されている定住、交流についての当方の事業を用意させていただいておりますので、この資料の3ページ以降に基づきまして少しご説明させていただきます。

 まず1番目、冒頭にも申し上げました、ターゲットは子ども、小学生ということになりまして、この表にもございますように、私ども農林水産省だけではなくて、総務省さんあるいは環境省さん、文科省さんと各省の担当の方々と連携させていただいて、全国の小学生1学年単位の受け入れが可能な地域をつくっていきたい。それで、この真ん中にございますように、すべての小学校で、1学年の学生がですね、1週間程度の農山漁村への宿泊を体験していただくことを目標に、現在このプロジェクトを進めさせていただいております。農林水産省におきましては、農山漁村地域においてこの受け入れができる体制の整備に向けて、施策を講じさせていただいております。資料に訂正等もございますが、そのために子ども農山漁村交流プロジェクト対策といたしまして6億4,000万円ほど計上いたしております。この施設の整備に関しまして、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金というものがございます。この数字が違っておりまして、正確には349億1,500万円でございます。またこの21年度補正の数字もゼロが1つ足りなくて、正確には60億円ということでございます。恐縮でございます。訂正していただきたいと思います。

 こういった農水省サイドでモデル地区になるような地区の施設の整備なり、情報提供といったことをし、また総務省さんからは、地域の活力を創造する観点からの長期の宿泊体験活動に向けた取り組みに対する支援といったもので特別交付税の交付などのご支援もいただく。さらには文部科学省サイドでは小学校における長期宿泊体験活動の取り組みを支援するような事業といったものを総合的に組み合わせながら、これは成長期の比較的幼い頃に農山漁村の体験を肌で感じていただくことで、後々、将来的にそういった方々の中から地方に住んで、定住していく方、そういった方々が出てくるだろう、そういったことも期待しながらこの事業を進めさせていただいているところでございます。

 4ページですが、この子どもプロジェクトの関係で施設整備等にも使っておりますと先ほど申し上げました、正式には「農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律」というものを平成19年度だったと思いますが制定させていただきました。我々ではプロジェクト交付金と呼んでおりますが、簡単に申し上げますと、それまで施設整備に関しましては農・林・水それぞれの施設整備費がいわゆる縦割り状態で、ばらばらな状態で実施されていました。かつ、それも多くが都道府県を通じて市町村への間接補助という形になっていたということですが、この時点で農山漁村における居住者、滞在者を増やす観点から、地域が行う取り組みに対して、交付金を直接的に交付していく、あるいは施設用地の円滑な確保といったような、法律上の手当てが必要なことをするということでこの法律を制定させていただいております。その結果、4ページの左側、「地域の課題」、農山漁村の課題はそれぞれの地域ごとに色合い、あるいは手当てすべき課題等が違いますので、この法律の制定によりまして、それまで、これは我が省の内部の問題だったかもしれませんが、地域の活性化の観点からする非公共の施設整備というものが、農・林・水ばらばらの状態で行われるというのを改めまして、一本化しました。かつ、この活性化計画の作成と書いてございますけれども、地域の課題がそれぞれに趣を異にする中で、従来のように主には都道府県単位で計画を策定してそれを地域に割り振っていくというのを改めまして、もちろん都道府県も広域を単位とした計画をつくれますけれども、市町村が単独で活性化計画をつくれる、それを都道府県を経由せず、直接国に話を持ってきていただく。国も、我がほうも、農・林・水ばらばらの窓口ではなくて窓口を一本化しまして、一本化した窓口で国と市町村が直接その事業についてどういった効果をねらうかというのを話し合って採択を進めていくという方式に改めました。その結果、地域割りの予算ですとか、そういうものはなくなりまして、計画一本一本を見て、それで、その地域にほんとうに合っているか、目標はきちんと定まっているかというような客観的な条件を満たしますと予算の範囲内で国のほうで支援をしていくという方式に改めてございます。それが真ん中の欄にございます「農山漁村プロジェクト支援交付金」ということでございます。こういった施策に変換することによりまして、例えば地域が生活環境の整備をしたい、あるいは都市住民との交流の基盤になるような施設整備をしたい、あるいは農林漁業を振興していきたい、その生産のためのインフラ整備をしたい、そういったさまざまな課題を直接国に、市町村単位で持ってきていただいて、それでそのために必要な施設整備なり、基盤整備なりをするために必要な交付金を国から直接支援していくというふうにしてございます。

 5ページ、この農山漁村プロジェクト支援交付金の主な事業内容でございます。例えば農林漁業の振興その他就業機会の増大のためのきめ細かい生産基盤の整備でありますとか、地域産業の振興に必要な施設等の整備、あるいは法律の目的が定住等の促進でございますので、そうした定住等を促進する観点からの良好な生活環境に必要な情報通信施設の整備でありますとか、簡単な給水・排水施設の整備でありますとか、あるいは都市との地域間交流を促進するためのふれあいのための施設でありますとか、都市住民を対象とした農業技術等の習得のための研修施設等々、そういった地域が抱える、これから活性化のためにやっていきたいといったものを活性化計画、右側に若干事例を載せてございますけれども、そういったものに市町村単位で計画をつくっていただいて、それを直接国にお持ちいただくということにしてございます。

 6ページはこの交付金を活用した事例のイメージ図ですが、こういう効果をねらったというイメージを整理してございます。例えば左端にあります交流であれば、観光者等の一時的・短期的宿泊のための施設でありますとか、こういった地域特産物の販売・提供施設あるいは直売施設、自然環境を活用した、つり用の施設でありますとかというものを地域それぞれが考えて、自分の地域でこういうものがほしいといったものを整備していただく。あるいは、二地域間居住、完全に地方に移住してくるわけではないですけども、農村部で1カ月から3カ月程度、あるいは平日は都会、休日は農山村といったような都会の方々のライフスタイルにこたえられるような受け入れ施設として例えば農山漁村側で廃校・廃屋を活用して、そういった受け入れ施設を整備したい、あるいはクラインガルテンと申し上げておりますけれども、滞在型の市民農園を整備したい、そういったもの等々に対してその地域が取り組みたいということであれば、そういった内容の計画を提出していただく。あるいは本格的な定住を受け入れる体制、移住・UJIターンとありますけれども、そういったわが地域に本格的に定住してもらうためには、例えば防災安全施設でありますとか、給排水の施設、そういった生活環境基盤、こういったものを整えたいんですといった地域には、そういった計画がそういう地域から上がってくると。こういったものを整備することによりまして、地域、農山漁村地域への定住といったものを支援していきたいという事業でございます。

 7ページ、これは比較的新しい事業になります。もう、本日お集まりの皆様方もよくご存じのとおり、地域を活性化していく、特に人口流出が激しい農山漁村地域を振興していくのに何をやったらいいのか、何がキーなのかといっても、ほんとうにこれだ、というのがなかなか見つからなくて、私どもは農林水産省の中で農山漁村の振興を図っていくんだという局でございますけれども、決定打というものはないんでございますが、この広域連携共生・対流等対策交付金ということで、この広域な、例えばこの事業の趣旨、左側の「共生・対流の課題」ということに整理してございますけれども、農村部、企業、大学、あるいは民間事業者それぞれの主体は、問題意識を持っているけれども、その連携が十分でないことから、その、今ある人的な、あるいは農村部に存在する物的な資源が有効に活用されていないのではないかという問題意識のもとに、そういった農村部サイドあるいは企業、NPO、大学サイド、さらには民間事業者の持っているニーズ、こういったものをマッチングさせていくための支援を行っていくというのがこのプロジェクトの趣旨でございます。この7ページにも誤りがございまして、予算額が違ってございます。大変恐縮ですが、この21年度の予算額は562と書いてありますが、これは638の誤りでございます。括弧内の前年度予算額が973で、9億7,300万円ということでございました。この事業におきましては、その予算額の下に書いてございましたように、施設を整備するのではなくて、ソフト経費といたしまして、都会の若者の長期農業ボランティア活動といったものを促進していく観点、あるいは都市部の商店街と農山漁村を結んで、農山漁村でつくられた生産品、農産品を売っていくためのアンテナショップなり、直売所の連携、ネットワークをつくるための支援でありますとか、企業と農山漁村の協働ということで、企業のCSR活動による協働促進するための仲介組織の育成ですとか、全国的なコーディネートの実施、そういったもの、さらにはハード事業といたしましては、そういった広域的な連携を先導するための取り組み、そういったものに必要な施設の整備についても助成を行っていくということで、下にございますように、農村の資源を活用した都市住民の願望実現と農村の活性化、こういったものを目指しているということでございます。

 8ページ。先ほどはその農山漁村にある資源を活用していくものでした。しかし先ほどの広域連携では、コーディネート機能が、つまりだれかに各主体の仲介に入ってもらわないとなかなかうまくマッチングできないということで、そういった資源活用の観点からのソフト事業でございます。こちらは正式な事業名は「農村活性化人材育成派遣支援モデル事業」ですが、これは今、世の中では「田舎で働き隊!」とPRされまして、だんだん受け入れられてきているのかなという事業でございます。この有識者会議の中でも、活性化していく観点で核となる人材の育成が極めて大切なんだという議論があると承知してございますが、農林水産省におきましても、地域の活性化を図っていくためには、そこの推進役となる人材の育成が極めて重要だという問題意識を持ってございまして、その箱に囲ってございますように、農村地域の活性化を担う人材の確保・育成を安定的に支える仕組みの構築、都市と農村地域をつなぎ、農村地域における都市部人材の活用等に取り組む仲介機関への支援といったことを目的に実施している事業でございます。中ほどに「田舎で働き隊!」のイメージを図式化してございますが、都市部の人材といっております方々の中には、例えば定年退職したので帰農してみたい、あるいは農業そのものに社会人として就職してみたい、求職というご要望、あるいはバイトでもいいので農村に行って農業を体験してみたいというご要望が学生の方にもあろうかと思います。そういった都市部の方々のご要望と、例えば農山漁村では広く地域がにぎわい、元気が出るためには、交流をしていきたい、その交流のイベントにいっぱいの人に来てもらいたい、あるいは今は廃れてしまったけれども、お祭りを復活させて、かつてのにぎわいを取り戻してみたいでありますとか、実はきれいな棚田があるんだけれども、そこに水を入れてお米をつくる、田植えをするといったものについて、なかなか人材というか、人力的に苦しくなってきている、だれか助けてくれればという要望があった場合に、それを仲介機関で農村側にいない人材の需要と、農山漁村で働いてみたいという都市部サイドの方々のご要望をマッチングして、仲介して、実践の研修という形で農山漁村に入っていっていただく。例えば8ページの下の欄の左に「きっかけコース」というのがございますが、10日間程度の短期研修、これについては20年度の実績ですけれども、69の仲介機関で2,479人に225の市町村へ行っていただいたということで、この「きっかけコース」では研修手当として1日当たり上限7,000円といった形で都会の方々に農山漁村に入っていっていただく。あるいは「おためしコースI」とありますが、これは「きっかけコース」よりもさらに長くて6カ月から10カ月の、比較的長期の研修ということでございます。これにつきましては、11の仲介機関で研修生59名、アドバイザー19名が入っていく予定でございます。これは研修手当は上限が月14万円ということになってございます。さらには、平成21年度の補正でついておりますけれども、「おためしコースII」ということで、これは最長9カ月の長期研修ということで、これも14万円ということでございます。そういった形で、都会の方々が潜在的に持つその希望なり、農村側の需要、そういったものをマッチングさせて、農山漁村に多くの人に入っていってもらう、実際に体験してもらう、その中から定住してくる方も出てくるだろうということを期待して実施している事業でございます。

 9ページ、こちらも私どもの世界では比較的名が知れてきたんですが、「農山漁村(ふるさと)地域力発掘支援モデル事業」と呼んでおりますけれども、先ほどの人に対しまして、農山漁村には本来お祭り等の地域資源と呼ばれる伝統文化があるわけですが、それを地域なり都市住民、NPO、企業等のさまざまな主体と農山漁村が一緒になって動いて、その地域資源を核として村おこし、あるいは魅力ある景観づくりを行っていくために実施している事業でございます。事業の概要は中ほどに図式化してございますが、こういった各地方で地域協議会をつくって計画を立てていただいて、その計画の策定にあたっての初年度の策定費についての支援、あるいは民間推進団体、アドバイザーを派遣する方、第三者委員会をつくって、地域に指導、助言をしていただく民間団体に対します直接支援と地域協議会が計画を策定し、5年間活動をしていく活動経費に対する支援を行っているところでございます。

 10ページ、この事業の大まかなイメージでございます。箱の中の右側ですが、例えばということで、ふるさとづくり計画というものを用意してございます。例えばこの計画で初年度に計画策定費が100万円必要でした、それとお祭りのための資材に100万円必要でした。特産品開発のために100万円必要でした。これでお祭りの来訪者の目標が初年度には80人から2年目には120人と、それで徐々に特産品の売り上げが上がってきます。そういった売り上げが上がってきて、例えば5年目の最終年で来訪者が500人にまで増え、特産品の売り上げが200万円になって、そうするとそれに応じて純利益が出た場合に助成金を減額していって、最終的には農山漁村の自立に向けていく。こういった事業にずっと頼りっきりでは自立、結局自立というのも大切だと思っておりまして、そういう自立に向けた持続可能な活動を助成していく。そういう助成体系を組んで実施していくものでございます。

 11ページ、ここからは若干、今までの農山漁村地域の活性化、特に地域の資源を活用した活性化、あるいは人材の育成、そういったものに着眼した個別事業とはちょっと趣を異にいたします。農林水産省サイドといたしましては、農山漁村、なかんずく農山漁村が山合い、あるいは山間まではいかないけれども平野から中間農業地帯と私どもでは呼んでおりますが、傾斜を伴った農用地を持っている地域、これは農業の土地とかそういったもの、農業生産基盤に関連したものでございますけれども、そういった同じ農業をやったとしても条件が不利な地域に対します支払いを平成12年度から実施してございまして、実は私は14日に今のポストに参りますまで、これの担当室長をしておりました。本日いらっしゃる小田切委員にもその検討会に参加していただいておりました。こういった同じ農業をやっていくにしても、農山漁村地域といってもその生産条件に差があるものですから、その不利な部分を補正するための直接的な支援ということで、平成12年度から中山間地域等の条件の不利な地域において、きちんと農業生産活動を維持していただいて、それによって多面的機能を全国民が享受していくんだという観点でその生産活動を維持する方々に対して、その生産活動への支援ということで、中山間地域等の直接支払い制度として一定の交付金を交付してきているところでございます。

 これは日本型と言われるような側面がございまして、不利助成ではありますけれども、その多くが集落単位でこの交付金を受け取って、その集落の農業生産活動を続けていくために必要な共同取組活動、こういったものに充てていくということで、事業実施以来、この政策については取り組んでいる集落の方々、あるいはそれをサポートしている市町村の方々からも高く評価されておりまして、12年から1期5年で、17年から21年度までの2期対策の5年目で、現在、最終年度でございますけれども、22年度以降におきましてもこれを継続してほしいという声が強く地域から出されております。12ページ、13ページはその事業のご説明でございます。

 また、14ページは小規模・高齢化集落の支援モデルということになっておりますが、これは先ほどご説明いたしました中山間地域の直接支払いを受ける集落と、それを受けていない隣接の小規模な集落の支援のあり方でございますが、いずれにいたしましても、このモデル事業は20年度、21年度、2年間のモデル事業でございまして、21年度で終了することになっております。この事業の後継対策につきましてどうあるべきかというのは、先ほどの中山間地域等直接支払い制度の本体のあり方も含めまして、現在、議論を進めているところでございます。

 15ページ以降は、やはり一義的には農地・農業用水等の資源の維持ということでございますけれども、それをEUが実施しております、EUのほうではリーダー事業と呼んでおりますが、地域の住民の自主的な活動によって支えていくという観点から、先ほどの中山間地域等の直接支払いは、いわゆる生産条件の不利補正の政策でして、したがって、支払う地域も一定の不利な地域というのに限られておりますが、こちらについてはそういう不利な地域ではなくて、オールジャパンを対象といたしました農業地域の農地・農業用水等を地域住民の自主的な共同活動で守っていく、維持していくといった際の共同活動への支援ということで、これは平成19年度から実施してございます。

 19年度、20年度、今3年度目の中間年。この対策も5カ年を1つの対策期間といたしまして、現在21年度、3年度目ということでやってございますが、地域の共通資本である農地・農業用水等の資源を適切に保全して、質的向上を図るための地域ぐるみで行う共同活動を実施する地域、そういった活動に対する支援でございまして、皆様方ご案内のとおり、農村地域と申し上げましても、混住化が進み、もはや農業者だけでこういった農業インフラを維持していくことは大変難しいと。

 したがって、この事業におきましては、16ページにも書いてございますけれども、地域住民が、農業者だけじゃなくて、この活動に参加する住民が協議会で活動組織をつくっていただきまして、したがいまして、農業者以外の方にもその地域の方々に積極的に入っていただいて、それで農業用資源等を保全していくと。その取組に対する支援というので、これはいわゆる都市との交流という観点からは少し外れると思いますが、農業者以外の方と農業者がその地域で自分たちの地域をよりよく保全していくための支援という側面もございまして、その関係で、本日の資料にも載せさせていただいております。

 17ページ、その事業の実績でございますけれども、この事業は昨年度におきまして136万2,000ヘクタールで取り組まれております。ほんとうに優良な農地ですと言われる農用地が400万ちょっとで、19年度から始めた5年間でその半分、200万ヘクタール程度はこの支援によってカバーしていきたいというのが大まかな目標でございまして、2年目において136万まで進んでおりますので、新しく始めた活動としては順調に滑り出しているのかなと私どもは思っているところでございます。

 18ページは、皆様方ご存じのとおり、昨年来、法律も制定いたしまして、農商工連携ということで、これも各省連携した取り組みで、農水省だけの取り組みではございませんが、経産省等々と連携いたしまして、やはりこれも民間のノウハウと地域の資源が農山漁村に存する資源を活用した事業化というのがメーンになりますけれども、そういったものに対しても支援を行って、なるだけ地域の資源を有効活用したブランド商品の開発等を進めているということでございます。

 19ページ以降は雇用の関係でございまして、従来から農林水産業への、例えば就農とか、あるいは林業の担い手というものについて、その確保が課題となっておりまして、農林水産省では、そういった課題に対応いたしまして、皆様方、お聞き及びかもしれませんが、かなり以前から緑の雇用事業ということで、林業事業体への長期の研修に対します研修費の助成で、この研修を通じて林業の担い手を確保していくというようなことをやってございましたけれども、20ページにまとめましたように、農の雇用事業ということで、農業法人が求職者を雇用して研修を行う場合の助成でありますとか、先ほどご説明いたしました「田舎で働き隊!」といった事業、さらには、緑の雇用事業、漁業の担い手に対する雇用事業で、昨年来の雇用の情勢の急激な悪化の中で、農林水産業サイドでもきちんと雇用吸収をしていくんだということで、20年度の2次補正でありますとか、21年度予算、そういったものに予算計上いたしまして、その上積みということを図ってきたところでございます。

 その実績でございますけれども、22ページ、最終ページでございますが、昨年の12月から緊急の雇用積み増しということでやってまいりまして、6月30日時点でほぼ半年がたったものですから、そこで昨年12月から6月までの、これはハローワークを通じた就業ではございませんので、我が国全体ということになるともう少し大きい数字になるのだと思いますが、昨年の年末来、農林水産省サイドでさまざまな相談窓口に対する連絡網を敷きまして、そこに寄せられてきた要望のうち、22ページの一番右側、(3)雇用者数の決定ということで書いてございますけれども、12月からこの6月30日までに農林漁業分野に就職された方々は延べ3,979人ということで新規に採用されたという実績がありましたので、それを1週間ほど前、公表させていただいたところでございます。農林水、新たな雇用者決定数の内訳はそこの下のグラフに書いてございますので、後ほどごらんいただければと思います。

 雑駁でございますが、私のほうから、5分ほどオーバーいたしましたが、農林水産省サイドでの定住なり交流のための施策についてご説明させていただきました。

 以上でございます。

【月尾座長】  どうもありがとうございました。それでは自由にご質問、ご意見をいただければと思います。

【江尻委員】  お話ありがとうございました。最初にお話しなさいました子供の農山漁村交流プロジェクトについて質問させていただきます。

 今、お話の中で全国の小学生、1学年単位というお話だったんですけれども、全国という部分を実はもうちょっと詳しく知りたいと思っております。やっぱり農業では、いわゆる田舎に行って体験をするということであれば、都市部の小学生が対象となると一般的に考えられるだろうと思うんですけれども、ただ、都市部の小学生が地方に行きまして、そして体験して、新たにそこで魅力を見つけて、大人になって就職するというのも1つの考え方であると思うんですけれども、その土地に住んでいる小学生が、その土地のよさを知ってそこにとどまるということも考えられるとは思っているんですけれども、そのあたりのお考え、それと、全国という部分はどのあたりのところなのか、少しお話しいただければと思います。

【坂本様】  先ほどは実数を申し上げませんでしたが、将来的な政策目標といたしましては、毎年全国約120万人、いわゆる小学校の1学年規模の小学生が農山漁村を体験できるようにということでございまして、この人数につきましては、いわゆる農山漁村の小学生も排除してございませんので、都会の小学生が農山漁村、田舎へというだけではなくて、田舎の小学生がほかの地域の田舎を体験してくるということも目標上は排除してございません。

【コミュニティ・交流推進室長】  総務省のコミュニティ・交流推進室長ですが、私のところが子ども農山漁村の担当でございまして、今、江尻委員のご指摘のとおり、これは例えば地方の都市とか農家のお子さんでも、最近は農業の体験をしていないと。そういうお子さんたちが都会に、例えば大学なんかで出て、戻ってくるかということはご指摘のとおりでございまして、今、地方の都市の市長さんとか、3省で連携して、今のようなお話をして、東京とか大阪の大都会の子供だけじゃなくて、地方のお子さん自身にこういう体験をしてもらうことが非常に重要だという話もしているところでございます。

【月尾座長】  350億円というのは、施設を作る予算ですか。

【坂本様】  交流の中に、これは子ども交流プロジェクトのためだけに350億あるのではございません。したがって、その内数ということになりますが、地域によっては受け入れ施設を整備しないと、あるいは今あるものを拡張するとか、水洗トイレにつけ変える等々あると思うのですが、そういったものに、それまで農林水産分野の、公共事業ではなくて非公共事業というカテゴリーで実施しておりました施設整備を使えるようにしてあるということでございます。

【月尾座長】  小学生が旅行するときの費用はどのように捻出するのですか。

【坂本様】  その費用については文部科学省のほうで、食費以外の部分について、モデル事業につきましては手当をしているということでございます。

【月尾座長】  70万人の小学生が全国各地へ旅行する交通費などは全部文科省が出すということですか。

【坂本様】  ええ、モデル地区につきましてはということです。

【農林水産省】  今、モデル地区、200地区ぐらい考えています。

【月尾座長】  120万人の人が来るとすると大変な受入れ体制が必要ですが、どういう人が対応するのですか。

【農林水産省】  農山漁村で受入れ協議会をつくっていただきまして、地元の方ですとか、観光分野ですとか、市町村役場ですとか、そういった方がいろいろまじっていただいて協議会をつくっていただいて、受入れ体制を整備しています。

【月尾座長】  そういう人は日常は農業をしているから、ツーリズムにそれほど時間を取ることはできないわけですね。

【農林水産省】  農家の方以外にも、例えば地元の役場の方であるとか、農業をやっていらっしゃる方は主に農家民宿をやっていらっしゃる方のところに泊まっていただくような形で貢献していただく形です。

【コミュニティ・交流推進室長】  座長、私のほうからちょっと補足で説明します。文科省さんのほうは一応モデル事業ということでございまして、それ以外の単独事業については地方交付税の特別交付税の部分で所要の経費を見ています。旅費の部分は、大体修学旅行とか親御さんの負担というケースがほとんどでございますけれども、文科省のモデル事業が対象になっていまして、あと、特別交付税のほうでも、例えば車両の借り上げとか、そういうことをやった場合には対象になるような、送り出し側、受け入れ側も対象になっています。

 それから、体験事業なんかでプログラムをつくったり、学校の先生が事前に安全管理の問題とか、そういうのがあるので視察に行かれるのもこの特別交付税で対象として、単独事業のほうでもその辺の支援をさせていただいています。あと、受入れ体制の件でございますけれども、これは農水省さんのほうでモデル地域を指定してやられているわけなんですけれども、なかなかそれだけではうまくいかない点と、それから、今まで林間学校とか臨海学校といいますと長くて、最近ですと2泊、短いところは1泊ぐらいになってきてしまっていますので、例えば各市の教育委員会で少年自然の家とか、そういうのを持っているところがございますから、そこを1泊しながら民泊をプラスアルファしていただくとか、それから、そこから、これは特別交付税のほうでとにかく体験をしていただくというのは非常に、地元の方と触れ合って、そういうのが従前の林間学校でなかったので、そういうメニューを入れていただければ、そこの研修施設とか、そういうところに泊まっていただきながら行くというようなことで、特に一歩でも前に出ていただくということで3省で連携して進めていっているところでございます。

【飯盛委員】  お話ありがとうございました。大変興味深い政策だったと思います。2つございまして、1つ、4ページ目の農山漁村の活性化のための定住、交流促進ですけれども、市町村が単独で申し込みができると、これはすばらしいことだと思うのですが、実際、いろいろな地域を回ってみますと、こういう活動にとても熱心な地域とそうでない地域の温度差を感じるんです。こういう公募型のものというのは、私はこれから絶対こうすべきだと思っておりますが、その辺の温度差をお感じになるということがないんでしょうか。

 例えば、こういうものを積極的に活用していくような地域は大体どこも一緒みたいな感じのところがないかどうかということが1つと、だから私はそういう意味での人材育成というものも必要かなと思っている次第です。

 もう一つは、8ページ目のまさに人材育成ですけれども、「田舎で働き隊!」の研修の内容です。これはどういう研修の内容をおやりになっているのか、やはりこれは定住促進までつなげていこうということであれば、農業である程度もうかっていかないといけないと思うんです。そこら辺をどのように研修の中でケアをされているのかということをちょっとお伺いしたいと思います。

【坂本様】  プロジェクトのほうから先に答えさせていただきますけれども、私自身は直接の事業を受け付ける担当ではないので、実際に自分が体験してみてということではございませんけれども、これを担当している仲間等々に聞きましても、確かにご指摘のとおり、市町村レベルでこういった活性化のための施策に取り組むのに積極的なところと、しからざるところの濃淡があるというのは聞いております。

 こればかりは、この事業、総務省さんからも事後的には交付税措置のような形で支援が入る可能性もあると思いますが、我々農水省サイドで支援するのは、この補助率等にも書いてございますが、おおむねは半分、2分の1の助成ですので、一定割合の地元負担というのも残ります。そういった中で、私ども、強制するわけにはいきませんので、1つずつ成功というか、この事業を活用してよかった、元気になったというような地域を一つ一つつくっていって、そういったものを、これは根気の要る作業でございますけれども、優良事例として広く普及していって、知ってもらって、例えば市町村の担当の方は仕事も増えるし、申請のための計画づくりとか、地元の方々の意見を取りまとめる労をとるよりも無視しておいたほうがいいという担当の方が仮にいらっしゃったとしても、例えば農業者の方々がこういった事業に自分たちも取り組んでみたいと思っていただけるような情報提供等をしていくということなのかなと思っております。

【農林水産省】  2番目の「田舎で働き隊!」のことですけれども、これは20年度の補正から始めまして、まだ実績としては20年度3月に実施した方々しかいないのですが、これは就農支援といいますよりは、地域活性化のリーダーとなる方々を育てたいと思っているんです。ただ、実際問題として、農村に興味がある方でも農村に自分が住めるのかとか、適応できるのかとか、そういった心配を持っていらっしゃいますので、まずは行っていただきたいということで、きっかけコース。まずは農村を見てくださいと。農村側の人も、こういう都会の人を受け入れられる素地があるのかというのは、お互いお見合いというか、そういうことをしていただきたいということで始めた事業ですので、これが定住に結びつくきっかけにはなると思うのですが、例えばここで就農についてご関心がある方があった場合には、農水省の事業では、次は農の雇用という事業をやっておりまして、これは農家の方と雇用契約を結んだ上で就農の研修を受けていただく事業ですので、幾つかのステップを踏んで定住に結びついていただければと思っています。

 今回の3月の研修の実績では、就農という形ではなくて、例えば地元のNPOですとか、そういった活動に興味があるということで、もうちょっとそこで長期の研修を受けたいですとか、そういった方々の声も伺っております。

【地域力創造審議官】  今の「田舎で働き隊!」の話ですけれども、NPOで同じような事業をやっていたり、あるいは海外青年協力隊のOBが全く個人的に地域に入って定着して研修を受け入れたり、いろいろな例があるんですけれども、私ども、そういうことに着目いたしまして、定着ということを主眼にして、「地域おこし協力隊」事業というものを制度化させていただきました。これまでも、いろいろな制度があるんだけれども、みんなある意味では短期なんです。9カ月とか1年とか。そうしますと、それだけでは自信がないということで帰ってしまうという話をよく地域から聞きまして、今は、今までなかったようなことで、いろいろな制度を市町村が活用しながら、3年ぐらいとにかく頑張ってもらえるようにしようと考えました。その間に、手当ても徐々に減らしながら自活をしてもらうというようなことを主眼にして、「地域おこし協力隊」という制度をつくりまして、どんな各省庁の制度を使っていただいてもいいし、NPOの制度を使っていただいてもいいし、個人でも構わないし、あるいは市町村が独自でやってもらっても構わないけれども市町村が協力隊員として委嘱をして活動などを公開して、とにかく3年ぐらい頑張ってもらって、定着率を高めていこうということを交付税のほうで支援していこうというもので、農水省さんとも連携してやらせていただいています。

 それから、逆にご質問なんですけれども、先ほどのプロジェクト交付金でやられる事業、おっしゃるとおり優良事例を発掘して、それを世の中に出していくということが重要だと思っていますが、私どもも月尾先生のご指摘を受けて、優良事例と人材データというのを4月から、総務省の中のやつを全部まとめてやるようにしているんですけれども、農水省さんのほうでそういう優良事例集でありますとか、あるいはそこに結びついた人材データをどこかで公表しているとか、あるいは表彰しているとか、印刷物にして優良事例集を出しているとかいうことがあるかどうかをちょっとお伺いしたいと思います。

【坂本様】  私もまだ着任間もなくて、すべてを知っているわけではないのですが、今聞きましたところ、例えば、立ち上がる農山漁村というような会議を開いたときには、その時点での優良事例集とかをつくって、配付もいたしますし、インターネットにも載せたりしております。このプロジェクト交付金そのものがどういう形になっているかというのはちょっと確認させていただきたいんですけれども、この14日まで私が担当しておりました、例えば中山間地域の条件の不利地域の直接支援につきましては、優良な事例は毎年毎年更新した上で膨大な活動事例をすべて農水省のインターネットのほうに掲載してございます。ですから、プロジェクト交付金のほうがそういった形で、ある時点でまとめて、締めを切って、そこまでの活動事例集、その中でも優良と思われるものを選んで、それを印刷物にしたり、あるいはネットで配信しているかというのにはちょっと確認させていただきたいのですが、いずれにしましても、そういった立ち上がる農山漁村等の会議の場におきましては、それまでの活動事例をご紹介しているということでございます。

【月尾座長】  有名なのは、北海道の「わが村は美しく」で、すでに7、8年、実施していると思います。

【まくどなるど委員】  話をありがとうございました。ちょっと気になっているところが幾つかあるんですけれども、簡単に幾つかに絞って質問させていただきたいと思います。

 この地域活性化の推進はとても、人材育成のものはとても望ましいものだと思うんですけれども、ただ、ちょっと一方的なものを感じたりして仕方がないのは、人材育成という考え方は非常に一方的で、受け入れる側の人材育成は考えていないんでしょうか。やっぱりいろいろな希望者があっても、それをきちんけ入れられるような基盤がなければ、せっかく来てくれた人材が生かされないので、もうちょっとツーウェイのものを考えていないのかなと思ったりしているんです。

 あと、元気になった地域、その尺度等はどういうふうに評価していくんでしょうか。研修のきっかけコースは、私は15年間ぐらい日本の農村で暮らしてきたんですけれども、きっかけをつくるのもいいんですけれども、自立精神のある農山漁村づくりが最終的な目標であれば、不安があるから一度来てみたらという、みずから来てくれる人たちは自立精神のある農山漁村をつくってくれるので、何かもうちょっと厳しい条件は研修制度の中にあるのか、将来的に考えているんでしょうか。それに、さまざま、やっぱり持続型農林漁業を考えているのであれば、この地域活性化人材育成のプログラムと、例えば農地・水環境保全向上対策との、幾つかいろいろな事業の中で統合性を考えているかどうかということでお聞きします。

【坂本様】  今、多分4点ほどご質問なりご指摘を賜ったと思ってございます。まず1点目、人材育成、あるいは農山漁村の活性化ということで、都市部の人に農山漁村に入っていってもらうと、これはいいんだけれども、問題なのは、受け入れるほうについて、じゃあ、その受入れ体制を整備するような支援はしているのかということでございますけれども、そういう趣旨かと思います。

【まくどなるど委員】  はい。

【坂本様】  その点につきましては、9ページの地域力発掘支援モデル事業におきましては、先ほどちょっと説明が短かったかもしれませんが、確かに国は縦のほう、民間推進団体に対する支援を行いますが、この支援は、矢印が今度は地域のほうに向かっておりますように、国からの支援を受けたアドバイザー等が地域に入っていって、地域のほうの受入れ体制を整えていく。そこで地域のほうが事業実施を通じて、受け入れる際にどういったノウハウが必要なのかというのを同時に学んでいくということも期待しております。

 モデル事業ということですので、こういう方式だけが地域に対する受け入れ態勢の整備なのかと言われれば、それだけとは思いませんけれども、この事業におきましては、そういった地域のほうがみずから目標を定める際にアドバイザーの方に来てもらって、いろいろ話をしてもらったりしながらみずからが体験することで受入れ体制等も整っていくのではないかということを期待しているというのが1点目でございます。

 この事業によりまして、私は直接の担当ではないものですから明確にお答えできないのですが、おそらくこういった事業を農林水産省が実施する際には、事業計画をつくる段階で、これは私の個人的な想像も入りますけれども、例えば10ページにありますように、ふるさとづくり計画、こういったものをつくりますと、最終的に自分たちはどういうところまで持っていきたいんですというようなものを地域地域で立てていくということになると思います。

 したがいまして、一般的な意味で、どういう基準をクリアしたら元気になったかという、元気の基準というものは抽象的には定まっていないとは思いますが、各取り組んだ地域の事業の計画ごとに、例えばお祭りへの来訪者数が増えていって、この事業であわせてつくった特産品、それの販売収益もどんどん上がっていって、最終的には、最初の1年目では国からの助成が必要であったけれども、5年を経過した際にはもはや公的な支援は要らなくて、6年目以降は自分たちでお祭りをやって、そこで上がった収益で大規模なお祭りを実施していけると、こういったような目的を定めて実施していると思いますので、そういった点が計画の中に盛り込まれているんだろうと思ってございます。

 それと、3点目、8ページの「田舎で働き隊!」に対しまして、きっかけコースのような短期間ということで、ほんとうにその人たちが地域に入って自立していくようなことになるんだろうかといった趣旨、もう少し厳しい条件をつけて、いずれ公的なサポートを受けながらではあっても、自分の意向に沿って地域に入って、農山漁村に入っていったのであれば、定住とまではいかなくて、もっときちんと何か義務づけみたいなものがあってもいいのではないかというご指摘かと思いますけれども、その点につきましては、この事業においてそこまでの義務づけはまだできていません。こういったさまざまなモデル事業を実施しながら、先ほど地域力創造審議官からもご指摘がございましたけれども、まずは入っていってもらうというのがこのきっかけコース。体験してもらう、見てもらうというところまででとどまっていて、じゃあ、その先、定着していくためにどういったことが必要かというのもモデル事業等を実際に実施してみて、その経験を踏まえながら検討していくべき課題であると認識しております。

 最後に、例えばこういった人を送る、あるいは地域の資源を有効に利用するための仕組みと、その農地・水・環境保全向上対策のような、主には農地・農業用水等の資源の保全、あるいは良好な環境での維持というための施策等と統合していく考えはないのかというご質問でございますけれども、これは私どものほうでは、現在、確定的なことを申し上げられるような状況にはございませんが、中山間の直接支払いのほうが今年度いっぱいで切れるものですから、来年度、22年度以降のあり方をどうするのかという議論を現在、鋭意検討会の委員の方々にご協力いただきまして進めているところでございますが、現在、それとは別に、農林水産省では来年の3月を目途に、これは閣議決定する計画でございますけれども、新しい食料・農業・農村基本計画の改定の時期に入っておりまして、そちらのほうでも議論いたしておりますけれども、その議論の中では、やはり農地なり農業用水等に着目した直接的な支払いなり支援というものと、振興策、あるいは活性化策としての支援というものは少し色合いを異にしているのでないかと。

 したがって、例えば中山間の直接支払い制度を抜本的に見直して、組み直して、それでその趣旨を大きく変えて、地域の活性化のための交付金にするというような形では議論は進んでございません。現在は、やはりいろいろ委員の方々、あるいは現場の方々から意見を聞いても、例えば中山間であれば不利性を補正するための直接支払いというもの、この基本的な枠組みは維持してほしいというような声が大数を占めてございまして、したがいまして、私どもとすれば、そういった地域に定着し、かつ取り組んでいるところからもそういう高い評価を得ているような事業はそれとして、それとは別の何かの枠組みでこういう地域活性化の支援を行っていくのが適切ではないかと考えているところでございます。

【月尾座長】  ありがとうございました。時間が超過しているので、これで終わらせていただきますが、最後に御願いしたいのは、国民が農林水産省に期待しているのは、安全な食べ物を供給し、食料自給率を上げてほしいということです。現状では、いつ食料危機になるかわからない状態です。今日ご説明いただいた政策で、農村に資金を投入されても結構ですが、結果として国民が期待するような成果をあげられるかを検討していただきたいと思います。

 例えば、グリーンツーリズムが盛んになることはいいことですが、そのほうが儲かると農村の人の多くが観光ガイドになってしまえば元も子もないわけです。ぜひ農水省の最大の目的は何かということをよく考えて、このような政策がその目的へどのように結集していくかとお考えいただければと思います。どうもありがとうございました。

 次に厚生労働省の地域福祉課長の寺尾様にご説明をお願いしたいと思います。

【寺尾様】  ご紹介いただきました厚生労働省社会・援護局地域福祉課長の寺尾でございます。本日は地域福祉の我が省の取り組みについてご説明する機会をおつくりいただきまして、大変感謝申し上げます。

 約20分ということでございますので、あまり時間がございません。概要をご理解いただければと思っておりますので、資料は後でごらんいただければと思います。まず背景から申し上げますと、現在、我が国における高齢化の状況、あるいは支援を必要としている人たちの状況はどうなっているのかということでございますが、17年度の内閣府の調査によりますと、65歳以上の方がおられる世帯が全国で約2,000万世帯弱ございます。全体の世帯数が4,800万世帯ぐらいでございますから、その半分弱、2,000万弱の世帯に老人がいると。そのうちの5割ぐらいの世帯が65歳以上の老人夫婦だけの世帯、あるいは1人世帯という状況でございます。

 その老人世帯、またはその環境でございますが、15分以内に親族がいないという世帯が約6割弱あるわけでございます。また、近所とのおつき合いがないという、どっちかというと閉じこもりがちの世帯というのが約11%ぐらいでございます。特に男性のひとり暮らし老人になりますと25%ぐらいになりまして、周りとの接点が少ない人が非常に多いという調査結果になっております。

 また、東京都23区内で18年度に孤独死で亡くなった方が約2,700人おられる。また、年間徘徊による死亡の方が全国で1,400人ぐらいおられるということがございます。また、子供と同居していて、高齢者の方で自分は子供に虐待をされているということを認知している方が5割ぐらいおられる。自分がいじめに遭っているということはわかっているけれども、子供のところにいないと生きていけないのであえて受け入れているという、認知しているけれども一緒に住んでいるというのが5割ぐらいということもございます。

 それと、児童虐待が全国で約4万件ほどある。そして、障害者、知的障害者のグループホーム等における地域移行も進んでいくということで、地域にどんどんそういう要支援、支援を必要とする方が増えていっているという状況でございます。

 まして、最近増えてきておりますのは、おれおれ詐欺とか、シロアリの商法であるとか、どちらかというと自分で経済観念がだんだん薄れてきている、認知症が若干出てき始めているような老人の方々を対象にした悪徳商法も増えてきているわけでございまして、この辺のことも守っていかなければいけない。

 そこで、我が課において21年度に要求したものは、これはある意味ではご近所の底力の番組の先生もおられますが、いわゆる共助・自助によってもう少し地域で暮らしやすいコミュニティを再生させようじゃないかという取り組みをしてみようというものです。それを全国モデル的に50カ所ぐらいでやりましょうということで予算要求をしてつけていただいたのですが、これはあくまでも補助事業としてやっていこうということではなくして、昔の、ある意味では助け合い、親子での助け合い、あるいは近所づき合いでの助け合い、そういうものの人間関係を再構築する社会をもう1回再生させないと、この日本の国は滅びるんじゃないかと、大げさに言うとそういう危機感から、もう1回それらに手を突っ込んでいかなきゃいけないんじゃないかという観点で取り組もうとしているわけでございます。要は、まず、今申し上げましたけれども、いろいろな意味で支援を地域で必要としておられる方が、18年の調査で見ますと、地域の3%ぐらいの人は何らかの見守りなり支援を必要としている人たちがいる。1万人のうち30人ぐらいかなということなのですが、それはどういうことかというと、引きこもりであるとか、体に障害があるとか、認知症が軽く出てきているとかいう方々で、ある程度手を差し伸べてあげないと地域でなかなか生活し得ない、施設なりへ入っていかなきゃいけないような人たちになっていくんじゃないかという方々がそれぐらいいる。

 これをどういうふうにとらまえて、どういうふうな支援の仕方をしていくのかということが非常に大切なのですが、実践をしているところが、実際には全国でも、社協だけで300ぐらいの地区社協でやっている事例があります。一番わかりやすいのが、大阪のほうで小地域ネットワークというのをつくりまして、福祉委員を任命しまして、小地域の活動でそういう手助けをしていく。それから、三重県の伊賀社協において、これは「ご近所の底力」の名前を文字ったものなんですけれども、本を出しております。『社協の底力』という本をつくっておりますが、これは地域の住民のニーズが、どういう人たちがどこにいて、支援をしていただきたいという方々が小地域の中で、中学校区でいえば全国平均で30人ぐらいおられると思われますが、その人たちが、どこにどういう人たちがいて、どういうサービスを必要としているという情報をきちんと整理して、それを提供者にコーディネートする、そういう役割をする人がきちんといないと、うまくサービスとニーズがつながらない。

 これは非常に難しいところがありまして、総務省の会でございますのでぜひご理解いただきたいのですが、ニーズをきちんと把握するということは、全戸調査をしなきゃいけないわけです。そのときに、個人情報の問題とかいうのがあるのですが、やっぱりここで行政がきちんと入っていかないと、ニーズ把握ができません。いわゆるマップができないんです。地域におけるニーズ把握のマップができない。どこにどういう人が住んでいるかということを把握できない。

 そして、そのときに、支援を必要としている人たちに、私の情報を支援している人に情報提供しても構いませんという了解をとっておかなきゃいけないわけです。そうじゃないと、個人情報の問題が起きてきます。どうしても引きこもりの人たちはそれを拒絶します。だから、そういう人たちは色分けしておかなきゃいけません。そういう意味で、提供できるサービス、30人のうちどういうふうにアプローチできるのかという整理もして、それはまず行政がやらなければならない。行政と民生委員等が協力して、そういうマップをまずつくらないといけないと思います。

 その後、いわゆるサービス提供をするのはボランティアの方であったり、地域のご近所の方々、これから、それこそ我々団塊の世代の人間がどんどん地域であふれてきますから、いろいろな協力ができるようなシステムができてくると思いますけれども、まず昔でいうと、地域でいうと青年団があり、婦人会があり、消防団がありと、こういうことなのですが、そういう人たちが昔は中心になって村祭りをやったり、地域での消防活動をやったり、そういうことをやっていたわけですが、今は産業構造の変化で、地方は過疎・高齢化をして、2次産業、3次産業と、都市部では核家族化して、いわゆる社会自体がノーマルな状況じゃなくなってきているわけで、老人ばかりが集まった地域、それから、核家族、共働きで子供が孤立化している都市部という非常にアブノーマルなコミュニティがつくられてきたわけです。これをどうにかしてノーマルな社会、コミュニティにもう1回つくり直さなきゃいけないということでございまして、そうでないと、支援するマンパワーも確保できないわけなので、そこは産業構造も変えていかなきゃいけないし、働き方も変えなきゃいけないでしょう。

 先ほど農水省の方々にご説明いただいていると思いますけれども、大規模農業を地方へ持っていかないと、若い人たちは戻ってこられないだろうし、仕事がなければ帰ってこられない。そして、我が省でいうと、もう少しフレックスタイムであるとか、在宅就労であるとか、ワークシェアリングをもっと進めていかないと、地域で家族を見守りながら生活することも、3世代同居とかいうこともできないでしょうし、また、近所の地域活動にも参加する時間がない。今までみたいな高度成長期の働き方ではとても地域コミュニティの再生というのは非常に難しいものがあるので、そういうところから変えていかなければいけないんだろうと思います。とりあえずは、いるマンパワーを使いまして、現状では都市部、大阪は豊中市などでそういう地域の婦人会を中心にしたボランティアを育成して、そういうニーズのあるところに買い物の支援であるとか、お弁当の配達であるとか、あるいはちょっとした買い物のお手伝いであるとか、お掃除のお手伝いであるとか、そういうことをニーズに合わせてやる。それから、障害児の送り迎え、そういうフォーマルな介護保険であるとか、障害者自立支援法での給付であるとか、児童育成のほうの見守りであるとかに乗らないようなところのちょっとしたニーズに対して、そういう登録された福祉委員の人たちがボランティアとして活動して、若干の利用料をいただいて、それを資金としてまた回していくという仕組みをとっております。

 そして、三重の伊賀市においては、それこそ災害もありますので、プラットフォーム方式という取り扱いをしておりますが、地域のニーズを全部そうやって市町村と民生委員の方で掘り起こしたときに、それをどう対応していくかというのを、こういう会議を開きまして、そこの警察であるとか、消防、それから地域、地元の商店街の方々、教育界の人たち、そういう人たちがみんな集まって、この人はこういうニーズがありますけれども、どういう支援ができますかというのを、それぞれが同じテーブルのところで協力し合える意見を出していただいて、そこでその人のプログラムをそれぞれつくっているということをしております。

 それは、何がいいかといいますと、個別にコーディネーターが行政機関なり、商店に当たっていっても、なかなかこの人に対して我々がこうしなきゃいけないというふうになると、なかなか受け取っていただけないのですが、一堂に会してみんなでできることを立ち上げていくという方式にすると、わりと参加しやすくなって、協力し合えるというのがプラットフォーム方式の非常にいいところだと思うのですが、そういうやり方をやっているところもあります。

 それから、東京の品川区の中野商店街においては、地域通貨というのを使いまして、商店街でそれが使えるというふうになっているわけですが、どこかの家庭に行って、そういうお手伝いをしたときに現金で利用料をもらうのではなくして、その地域通貨でもらって、それが地域の商店街で使えるとなっています。また、それが町おこしの1つの方法になっているんだと思っておりますが、いろいろな方法がありますので、我々54市町村を推進市町村としてつくりまして、この資料の中にも入っておりますが、そこでいろいろなパターンをやっていただいて、成功事例をつくっていただいて、各自治体の首長さんにこの事業をやることによって、どれぐらい公的サービスが機能し始めるのかということをフォーマルとインフォーマルをうまく組み合わせることによってより効果的な地域福祉が推進されるんだろうと思っておりますので、その成功事例を広げていきたいなというのが今回の取り組みでございます。

 それと、もう一つ大切なのは、面的に全部の人に対して、地域の人全部のニーズをくまなく提供するということと、あとはファンドをつくって、そのファンドで回していく。あくまでも補助事業で、国の規制の中でこういうコミュニティの再生をするのではなくして、自分たちの地域で、自分たちの力とお金でコミュニティを再生させていくというところが非常にみそでございまして、そこに協力していただこうと思っておりますのは、共同募金でございます。共同募金の中に、配食サービスをするときに宅配をしていただくとすると、宅配業者に協力していただこうというわけです。そこには、社会貢献ということで、ヤマト運輸なんかにもお願いに参りましたが、そういうところから売上げの一部を共募に入れていただくとか、大手スーパー、イオンなんかにもお願いに行っておりますが、イオンも協力していただけるということなんですけれども、レジ袋を削減した一部を寄附にいろいろ回しておられるようですが、それも地域福祉に回していただく。

 そのときに、共募に入れていただければ、それをまたその地域で生かしていく。また逆に、その地域だけで、自治会で集めていただいているいろいろな歳末たすけあいの基金とかがございますが、それを地域の振興基金みたいなものもつくっていただいて、共募に入れていただいて、それでもって運営していくということを考えていきたいと思って取り組んでおります。

 これを21年度は54市町村つくりましたが、これをうまく回して、とにかく成功事例を2つでも3つでも多くして、それを全国の行政の皆さんに周知を図りまして取り組んでいただけるようにしていきたいというのが我々の安心生活創造事業という21年に取り組むモデル事業でございます。

 ちょっと時間が来てしまいましたので、しり切れとんぼでございますが、またご意見をお聞かせいただければと思います。

【月尾座長】  ありがとうございました。

 基本的な理念をご説明いただきましたが、詳しい内容は説明資料に具体例として書いてありますので、それらを参考にしていただきながら、自由に議論いただきたいと思います。

【名和田委員】  どうもありがとうございます。私は福祉学者ではございませんけれども、横浜市でかなり福祉にはかかわっておりまして、社会福祉法人の理事などもやらせていただいておりますほか、地域福祉計画の全市と、あと3つぐらいの区でやっておりまして、その観点から2つほどご質問させていただきたいと思います。

 まず1点目は、厚生労働省と全国社会福祉協議会におかれまして、地域福祉計画をつくるときに、福祉区という考え方を提起されまして、これはコミュニティを考える上で非常に示唆的な視点として、横浜市でも非常に活用させていただいております。

 その中で、やや細かい話になるかもわかりませんけれども、中学校区という圏域が出てくるのですけれども、この資料の中にも幾つか中学校区とか、たしか4ページでしたでしょうか、2中学校区のような圏域が出てきますけれども、しかし中学校区という圏域は、住民から見るとあまりなじみがないと思うんですね。小学校区というのは非常になじみがあって、地区社協とか、連合自治会の区域になっていますけれども、中学校区というのはあまりなじみがなくて、中学校区とか2中学校区とかで物事を考えていって、果たしてうまくいくのだろうかという感じがするわけです。福祉区が6層ぐらいあったかと思うんですけれども、それは自治体の実情にあわせて発想していけばよろしいということであろうかと思うんですけれども、横浜市などでは地域ケアプラザという拠点施設がございまして、この整備エリアが確かに中学校区となっていますけれども、これは行政側の視点でそうなっているので、中学校区というエリア設定はやや中途半端だなと感ずるのですけれどもいかがでしょうかというのが1点目です。

 もう1点質問させていただきたいのですけれども、地域でボランティアを育成していくということを随分強調されたと思いますし、大変大事な視点であると思いますけれども、そのご説明の中でも、端々に有償活動のようなことが出てまいりますし、第4のポケットでしたか。やはり活動資金の問題が出てきております。

 どうも、コミュニティビジネスという言葉が果たしてよろしいかどうかということはあるかもわかりませんけれども、世の中ではそのように呼ばれているような取り組みとして、福祉分野の活動も時々評価されたりしておりますし、総務省でもコミュニティビジネスに関する関心が若干出てきておられるように受けとめております。

 厚生労働省として、福祉活動における有償制の問題というのはどのようにお考えなのかということを聞かせていただければと思います。

【寺尾様】  それでは、お答えさせていただきます。

 福祉区、この中でも2中学校区と出てまいります。我々は福祉区というとらえ方は、1つの事例をつくるのに、調査の対象人数を把握したり、どういうインフラがこの中にどれぐらいあるのかという目安のために使ったのでございまして、実際に運用するときには、これはもうほんとうに生活圏域で見ないとうまくいきませんので、我々は小学校区であろうと考えておりますし、また地域によっては、マンション群であればどれぐらいの範囲がいいのか、あるいは山間地であるとどれぐらいのエリアがいいのかというのは、それぞれ違ってくるわけでございますので、そこは弾力的にやっていただければいいんだろうと考えております。

 ただ、一番大切なのは、拠点となる場所と、中心となるコーディネーター、ある意味ではカリスマ的な人を引きつけられるようなコーディネーターがいるのが一番望ましいので、その2つが一番のポイントだと思っております。

 その人たちが中心になったときに、幾つの小地域を持てるのかというのを、またこれから見ていかなきゃいけないと思っておりますが、我々54市町村でモデル的に実施すると言っておりますけれども、それが市全体のところで取り組まれるところもありますし、もっと小さな小学校地域、1中学校区でやるといういろいろなパターンがあります。それは、実施する市町村にお任せしておりますので、それは特にこうでなければいけないということはありません。

 ですから、補助金でやると、どうしてもこういう規制があって、先ほどおっしゃいましたけれども、地域ケアプラザなんかは2中学校区で1つつくりなさいという、1つの目安、基準になってくるわけですが、そういうのを取っ払って、補助事業じゃないところでやりたいというのが我々の案でございます。

 それと、有償制度の話なんですけれども、先ほど大阪のお話をしましたけれども、これは実費でありまして、実費プラスアルファみたいなもので、有償制というのは、非常に大切なのは、ボランティアが提供するときには、公的なサービスと違って、公的なサービスの場合には、利用者がこういうサービスが欲しいという主張ができるんですが、ボランティアでやる場合には、提供する側が、我々はこういうサービスを提供します。あとは自分でやってくださいという話ができるのが非常に違うところなんですね。

 だから、さっき言いましたけれども、プラットフォームみたいなところで利用者とよく話し合っていただかなきゃいけないんですけれども、ごみ捨てはちゃんと協力するけれども分けて出してよという話であるとか、注文をつけられるのがボランティアの1つのもので、公的サービスじゃないところの1つのインフォーマルのすばらしいところだと思うんです。

 ただ、そうは言っても、当然サービスを提供するとして、配食サービスをしてあげるとしたら、原材料代は要るだろうし、電気、水道代が若干要るでしょうから、配食サービスをするとしたら、そういうものをある程度もらう必要があるでしょう。一緒につき添っていくときの交通費もある程度見てもらわなきゃいけないんじゃないかと考えております。

 大阪の豊中市でやっているのは、一律1回100円とか、500円というお金をとるようなシステムにしているところもあります。

 それと、ボランティアを育てるという意味では、利用者が逆に福祉委員として帰ってくるという、よりいい循環が進んでいくと結果が出てくるという実例もございます。

 まずは、中心になってやっていただけるコーディネーターの人を確保するのと、集う場所であるところをきちんと確保する。それがフォーマルの地域包括支援センターであるとか、地域ケアプラザであるとか、そういうところでもいいですし、その地域ごとにある一定の老人が集まったり、子供が集まったりして遊べるようなものがあれば一番いいんだろうと思っております。

【杉沢委員】  まず、最初にお話がありました安心・安全まちづくりのための、いわゆるソフトマップとでも言いますか、支援を必要としている人1万人に対して、30人いるというのは非常に大きな数字だと思うんですが、それはぜひ作成しなければならないし、しかも早急な必要性を感じます。

 その中で、今おっしゃったように、やはり個人情報の問題が非常にネックになっているということですが、そのあたりを国としてある程度縛りを緩めて、こういう事業にかかわることに関しては、個人情報に関するものを少し緩めるといいますか、そんな方針を一歩出していただければ、市町村で動きやすくなるんじゃないかと思います。そのあたりの意気込みがもう少し欲しいなというのが1点目。

 そして、2点目ですけれども、社会福祉協議会、あるいは民生委員、民生児童委員の制度に関しては、やはりかなり制度疲労といいますか、長年やってきて、いろいろよどんだ部分があるんじゃないかと私は感じています。

 私も3年間ほどやらせていただきましたけれども、例えばひとり暮らし世帯の老人に食事サービスをするということで、地域で100人ぐらいいても、公民館に来られる人じゃないとそのサービスを受けられないと。途中の送迎に民生委員がかかわってはいけないということで、ほんとうにサービスを受けたい人を受け入れる体制になっていない。

 100人のうち10人が公民館に集まってきて、10人の食事のために民生委員や、社会福祉協議会のメンバーや、公民館の人やら、周りの取り巻きが30人ぐらいいて、全部で40人分ぐらいの食費代が予算の中からすべて出されていると。それだったら、私は100人の人に弁当を配ったほうが有効に直接予算が使えるんじゃないかと。お弁当を食べにだけ来る人がぞろっと1カ月に1回集まっているというのは、とても私は不自然に感じました。

 民生委員さんに対しても、月に6,500円から7,000円ぐらい、活動費ということで支払っているわけですけれども、全く活動していない人に対しても支払われます。そして、各地区の活動費として、今度は地区ごとに20万とか30万とか配付されますけれども、研修費とか、研修会費用と称して、やはり飲み食いに使われている部分はたくさんあることが実態です。だから、実際に福祉の費用として流れているお金が、末端のほんとうに必要な人に直接行き渡っているかというあたりを、もう少しチェックしてほしいなというのが末端で活動してきた立場の意見ですので、そのあたりをぜひお願いしたい。

 そして、3点目ですけれども、ボトムアップ対策といいますか、モデル事業として、いい例は今たくさんお話しいただきましたけれども、苦しい地域、財政難の市町村では、ほんとうに困った人たちには何も手を差し伸べる予算がつかないという市町村に対して、国としてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、合併しないで自分たちが苦しいんだからしようがないということでは困るので、そのあたりの思いをお聞かせいただきたいと思います。

【寺尾様】  まず第1点目のマップの作成でございますが、これはちょっと申し上げましたけれども、逆に総務省さんのほうからお答えいただいたほうがいいんじゃないかと思いますが、必ず絶対つくらなきゃいけないと思いますので、これができるのは行政、市町村が必ずやらなきゃいけないことであります。それと、民生委員が協力してやるんだろうと思っておりますが、個人情報は後でご説明いただければいいんですけれども、メリットがあることに関しては、個人情報保護法で規制がかかるわけではない。いわゆる、災害のときに、支援をするための情報であるとか、そういうのはかからないと総務省さんはおっしゃっておられるのですが、各自治体で条例でつくっておられるので、そのときに条例の中に本人の承諾を得ると書いてあると、それをしなきゃいけない。一番きついところはそういうことだと思いますので、先ほど説明するときに申し上げたのは、一律に総務省さんがかけているわけではないんですけれども、そういうふうに自治体が条例で書いてある場合に、それをきちんとクリアしていかないと後でつらいことになるので、了解をとっていただきたい。そして、マップをきちんとつくらなきゃいけない。そのときは、行政が必ずかかわると。

 それと、2つ目の民生委員のところなんですが、おっしゃるとおりでございまして、私のところで民生委員の担当もしております。人によって能力差がございます。それはおっしゃるとおりでございまして、ここは活性化をしなきゃいけないんだろうと思いますが、非常に民生委員の活動が幅広くなっております。それと同時に、いろいろな人たち、お年寄りから若い人までおられるのと、今までの活動の中での場における、昔は名誉職できちんとやっていただいていたのがいっぱいあったんですけれども、最近はたらい回しみたいな形になっているところもあって、本当に貢献している気持ちがきちんと持てれば、民生委員の方々ももっと活性化するんだと思います。

 それらをきちんとするためにも、この事業をぜひ成功させたいなと思っておりまして、社協もそうなんですけれども、社協と民生委員の活性化をきちんとしないと、もう1回コミュニティを再生させるというのは難しいのでございまして、非常に役所より役所的になっているのが市町村の社協であるという意見もありまして、民生委員の方々がそういう状況だというご意見もありますので、ここはきちんともう1回、保健師さんも一緒で大変なんですけれども、そこらをもう1回再生させたいというのが我々の思いであります。

 それと、ボトムアップ、財政への問題でございますが、今、政権がどうなるかという問題もありますが、地方自治の時代だと、こう言っておりまして、財源を補助事業でやるのが本当にいいのかどうかというのを我々は考えておりまして、補助事業でやるとすると、それこそ先ほど規制を申し上げましたけれども、この事業をやるにはこれだけのシェアがあって、どれだけの人がかかわってという話になってくるので、そうじゃなくして、やはり昔のよき時代のことを考えると、皆が持ち寄って、助け合って生きていったんでしょう。そういう時代に返す必要があるんだろうと思いますので、それは地域の中で賄っていく。

ただ、先ほどおっしゃったのは、公費でやっておられるところなので、公費でやっているところはそういう結果になると思うのですが、今回やろうとしているのは、自分たちで仲間が集まって、調理して、お弁当をつくって、配食して、引きこもりのところに届けてあげるということを豊中なんかはやっているんですね。そのときに、原材料費というものを若干もらっているということなので、補助事業でやると、委員がおっしゃるとおり、そういう非効率なことが出てきますけれども、納得していただけるのは、自分たちで場所を使って、労力を使って、配食をして、引きこもっている人をふれあいサロンなんかに出てきていただく機会をつくるためにお弁当を配っているようなところがあるんです。そうすると、自分が出てきて、そこでみんなのお手伝いをし始めるとか、そういう良い結果も出てくるので、公費で全部それを提供するというのは、私は反対なのでございます。そういう意味では、どこかで応援しなきゃいけないんですが、そこはやはり地域の時代ですから、交付税をもっと増やすなり、そういうことが必要であって、国庫補助で一つ一つの事業について幾らつけるということは、もう時代おくれじゃないかと考えております。

【西村委員】  資料の3ページから4ページのところにある地域福祉応援ファンドという、第4のポケットというところについて、少し説明をお願いしたいと思うんですけれども、私自身はまちづくりファンドといわれているようなものにかなりかかわっているんですけれども、これは今日の話題になっている地域力ということに関して、可能性があるのではないかなと思っているんです。ただ、そのためには、このファンドがうまく制度設計されていないと動かなくて、まちづくりファンドをいろいろなところで見ている限り、どういうところがポイントになるかというと、お金が入っているところが透明になっているという話と、出ていくところで住民参加で出ていくところが決められるということですね。

 そうすると、かなりの部分は、まちづくりファンドの場合は公募制になっていて、そういうところにはわりと地域福祉的なものも公募で来るんですね。そういう活動が地域で共有されることで、全体の認識が上がっていくという部分があるんですね。

 ですから、その意味で地域力の向上にすごく可能性があるんじゃないか。でも、そのためには、おそらく、例えばファンドの入り口のところでは、公的なお金もここに入っていく必要があるのかなと思いますし、出ていくところで、この4ページの図だけを見ると、何か1つの方向に出ていっているみたいな感じですけれども、これだと補助金とあまり変わらなくなってしまうのではないかと。もう少し、多様な出ていき方と、出ていくところでうまく地域のニーズが把握できるような仕組みがうまくできていると、地域力の向上というところにすごく可能性があるんじゃないかと思ってお伺いしたんです。

【寺尾様】  おっしゃるとおりでございまして、私どもが今考えておりますのは、その共募というところがみそでございまして、これは先ほど社協の問題、民生委員の問題が出ました。もう1つ、共募の問題なんですけれども、歳末たすけあいの募金は、ある意味では自治会単位で集めていただいているところが大半でございまして、赤い羽根は街頭でやりますけれども、歳末たすけあいは地域でまず集めていただくんです。

 ただ、自治会で集めているところは大変多いと思いますが、その使われ方が今まである意味では固定化しておりまして、地域にある福祉施設でありますとか、障害者を抱えておられる家庭にものを配ったり、使い方が非常に固定化して、評判がよくなくなってきて、共募の歳末の募金が毎年落ちてきております。

 ただ、地域で集めたお金は、市町村共募というのはありませんから、支会はあるのですが、一度県共募に行くのですが、またその地域に集まったお金は返すことになっております。だから、集まった募金はその地域でまた使われるようになっております。

 そこで、おっしゃった透明な使い方をきちんとしなきゃいけない。そこが先ほども申し上げたとおり、プラットフォーム方式にきちんとしなきゃいけないんだろうということで、絵にかいているのは、一部こういうふうに使っていただければいいということで、地域福祉に使うポケットと考えていただければいい。そこは当然たらずまいが出てくるでしょうから、当初は特にそうだと思いますので、そこはやはり市町村、自治体が必要であれば支援していく。今、自治体ごとにやっていただいていると思いますが、それと同時に地域福祉基金もつくっていただいておりますが、そういうのを使っておられるところもあります。もう完全に使い切ってないところもありますけれども、そういう弾力的に使えるポケットにする必要があると思います。

 あとは、地域ごとの格差が出てまいりますので、そこも調整していただくのは行政のところでしていただかなきゃいけないんだと思いますし、逆に中央共募に大企業から、先ほども申し上げましたけれども、ヤマト運輸であるとか、中央のほうで集める金も中央共募に入れるようにしたいと思っておりますが、そこでそのアンバランスを調整するのも、中央共募でそういうものができれば、財源調整ができるほどファンドが大きくできればなと考えております。

 だから、この中にいろいろなパターンがありまして、今までやってきているので、1コインの集め方であるとか、1%基金であるとか、いろいろなものがありますので、これもなかなかいいキャッチフレーズがあればもっと集まるんでしょうけれども、「アフリカに学校を」とか言うとみんな集めやすいというのがあるのですが、そこらをきちんとやって、共募にもう1回きちんと生きたお金の使い方、そしてオープンな透明性のある地域への還元の仕方というのをさせていかなきゃいけないと思っておりまして、そういう意味で第4のポケットを生かしたい。

 それと同時に、非常にこれは難しい話なんですけれども、成年後見制度がありますが、これは専門性の高い弁護士さんとか司法書士さんがやるわけで、財産の管理とか、そういうところなんですけれども、社協なんかで今やっておりますのは、そういう認知症が始まりかけたときの家計のお金の出し入れのお手伝いであるとか、契約のときのお手伝いであるとか、そういうものを前は地域福祉権利擁護事業と言っておりまして、今は日常生活自立支援事業という名前に変わっておりますが、ある意味では個々人の権利をちゃんと守ってあげる事業を社協でやっております。

 そういうのをきちんと弁護士さんのところまで、専門的なところまで最初のときから、ぼける前、ちょっと体をお手伝いしていただくという地域にいるときから、ずっと通して財産管理のところまで見ていけるようなシステムをまたつくる必要があるんだろうなと思っております。

 そういう中で、今やっている事業でも、亡くなった方が自分のうちを提供して貸すなり、あるいは譲渡するなりして、それを使ってくださいという話もありますし、一部寄附するという行為もあります。そういう場合に、共募を使っていただければ非常に効果的なのかという、企業の寄附も共募に入れていただくことによって、損金勘定が計上できて、税対策にもなるわけでございますので、そういう集め方をして、有効な透明性のある共募の募金を活用した活動にしていく必要があるのではないかと考えております。よろしゅうございますでしょうか。

【堂垣委員】  質問というより意見なんですけれども、先ほどちょっとお話しいただいたご近所の底力の感想なのですが、今、地方の地域コミュニティというので、普通にやってうまくいっているところはもちろんあるんですけれども、うまくいっているところの1つのパターンに、若い人の力というのを地域活動に結構うまく使えているという例が非常にうまくいっているんです。

 確かにお年寄りばかりの部分もありますけれども、お年寄りがお年寄りをサポートするような形はあと5年は間違いなく大丈夫だと思いますし、もしかしたら10年ぐらいは大丈夫かもしれないんですけれども、おっしゃっているとおり、いろいろなものを変えていかないと、それは本当に20年後、30年後は崩壊せざるを得ない状況に間違いなくなりますので、そのことを相当意識して、若い学生とか、20歳以下ぐらいの人たちの力というのを、こういう地域活動に取り込む工夫というのを積極的にしていただきたいのです。

 すごく不思議なんですけれども、番組をやっている実感として、若い人の社会貢献意識というのは、実はすごく高いんですね。ボランティア活動とか、地域の見回り活動なんかに声をかけると、「やるよ!」という感じで積極的に参加してくださる若者は、実はすごくたくさんいて、大人のほうがそのことをわかっていなくて、こういう地域のコミュニティの活動をやるのはお年寄りか主婦が中心になっているというのが実態になっていて、そこに学生を取り込む仕組みというのを意識してぜひつくっていただきたいなと思います。

【寺尾様】  私どももそう思っておりまして、中でお話ししましたけれども、それこそ縦割り行政ではなくて、ちゃんと横軸で物事を考えなきゃいけないというところが一番大切なところだと思いますが、働き方の問題、働く環境の問題、そして農業とかも、先ほど申しましたけれども、大規模化しなきゃいけない。障害者の方々が非常に農業に向いている、知的障害者の方々が非常に向いているという。そして、そういう生産物をまた地産地消で使うというのは、生協で今取り組んでいるようなところもありますので、そういう1つの循環をうまくしていく必要がある。

 そういう1つのビジネスモデルもこの中でできていけばなということで、生活協同組合にもいろいろなお願いをしております。農協にもお願いをしておりますし、そういうことをやることによって、先ほど申しましたように、コミュニティの中が若者もいて、子供もいて、老人もいて、障害者もいるという、ノーマルな社会構造になっていって、地域がもう1回再生していくんだろうと理想としては思っております。おっしゃるとおりだと思いますので、ぜひそういう働き方も、産業構造もまた変えていかなきゃいけないんだろうと思っております。

【月尾座長】  冒頭に挙げられた数字を見ると、国家崩壊か地域崩壊かわかりませんが、日本の将来はないという感じですが、これはどうすれば解決するのでしょうか。

 例えば、資金を投入すれば何とかなるのか、地方分権で地方に任せれば何とかなるのか、少子化対策によって子供を増やし、外国人を受け入れ、人口を増やせばいいのか、何を根本から変えていけば方向転換しそうですか。

【寺尾様】  一言で答えると共助でございます。だから、やはり人間対人間のつながりをもう1回つくらなきゃいけないということだと思います。

 NPOで介護をしておられる方が言った話なのですが、おしめをかえたり、そういうのが大変なんですけれども、そういうことをやることによって、自尊心を高めてやっているんでしょうと言われる場合があると。冗談じゃない。こんなつらい仕事をだれがやりたいと思ってやっているか。ただ1つ、自分にとってこの仕事をしてよかったと思うのは、介護している老人の方が亡くなる場に立ち会えるということが自分にとっての生きがいなんだと。それは、死の尊厳であり、ありがとうと言わなくても、この人がほんとうに精いっぱい生きて、最後に亡くなっていくというところに立ち会えるという1つのことが自分の尊厳というか、誇りだとおっしゃる話を聞きまして、私はそうじゃないかなと思います。

 子供も、やはり大家族であれば、おじいちゃん、おばあちゃんの死に目に会っているわけですから、だんだん死に近くなっていって、どういうふうになっていって死ぬのかということが自分の子供の目で見られて、人の命の大切さというのが実感としてわくんでしょうから、また老人と子供が一緒に見守られることによって、お互いを見守ると。おじいちゃん、おばあちゃんが子供たちの安全を見守ると同時に、おじいちゃん、おばあちゃんに異変があったときに、子供たちが知らせに走るとか、そういう人間対人間の関係がきちんともう1回つくられれば、日本の国はまた地域福祉が再生し、いい国になるんだと思います。

【月尾座長】  どうもありがとうございました。

【寺尾様】  どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いします。

【月尾座長】 事務局から今後の日程についてお願いします。

【地域政策課長】  次回の日程ですけれども、委員の皆様方に、資料の中に次回開催文書を入れております。9月17日木曜日、午後2時からこの場所で開催いたします。次回も関係府省のヒアリングを予定しております。詳細につきましては、決まり次第ご連絡いたします。お忙しいところ申しわけありませんが、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。


速記担当:(株)大和速記情報センター

板橋 あゆみ

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