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地域力創造に関する有識者会議(第9回)

日時

平成22年3月25日(木) 13:00〜15:00

場所

三田共用会議所 第2特別会議室

議事次第

1.開会

2.議事
事務局説明
   ・「最終取りまとめ素案」について

委員間のフリートーキング  等

3.閉会

配布資料

資料 「地域力創造に関する有識者会議最終取りまとめ(素案)目次」PDF
資料 「地域力創造に関する有識者会議最終取りまとめ(素案)」PDF
資料 「小田切委員提出資料」PDF
資料 「小西委員提出資料」PDF
【 備え置き資料 】
資料 「中間取りまとめ」
資料 「関係府省ヒアリング資料」

議事録

平成22年3月25日

【月尾座長】  第9回の地域創造力有識者会議を始めさせていただきます。議事次第にあるように、最初に事務局から最終取りまとめ(素案)をご説明いただいて、それについて、自由にご議論いただきたいと思います。
【地域振興室長】  お手元に資料として配布しております最終取りまとめ(目次案)と(素案)についてご説明いたします。資料を参照しつつお聞きいただければと思います。
 これまでの経緯でございますが、平成20年11月以降、前回の会議までに8回にわたって会議を開催し、ご議論をいただいてきたところです。また、昨年7月に、それまでの4回の会議を経て、「人材力の強化に向けた取組」を主な内容とする「中間取りまとめ」を行っていただきました。また、5回目以降は、「地域資源の活用に向けた取組」を検討するため、各府省の関連施策のヒアリングを実施いたしまして、合計7つの府省から施策の説明を受け、ご議論をいただいてきたところでございます。
 今回、お手元に配布いたしました最終取りまとめ(目次案)と(素案)ですが、以上のご議論の結果を踏まえ、総務省などが取り組む地域力創造施策の方向性を大所高所からご示唆いただくもの、また、地方自治体や住民にとっても簡潔でわかりやすいものとすることを目指して、ひとまず事務局において整理いたしたものでございます。
 まず、「最終取りまとめ(目次案)」をごらんください。
 冒頭の点線の枠内にもございますが、「最終取りまとめ」につきましては、昨年7月の「中間取りまとめ」に、1の「有識者会議における委員からの主な意見」のところで、(6)としまして、「関係府省ヒアリング」における委員の意見を追加し、また、3の「地域力創造に関する今後の施策の在り方」に、関係府省ヒアリングによる議論を踏まえて、「(3)地域固有の資源を活用した地域力の高め方」を追加してはどうかとしてございます。今回の会議では、素案全体についてご議論をいただきたいと思っておりますが、特に関係府省からのヒアリングを踏まえまして、3の「(3)地域固有の資源を活用した地域力の高め方」のところの部分についてご意見を特にいただきたいと考えておるところでございます。
 次に、「最終取りまとめ」(素案)の1ページから順次ごらんください。下線を引いている部分が、「中間取りまとめ」に追加、修正を行ってはどうかとしているところでございます。
 まず、最初の「はじめに」のところですが、議論の背景やこれまでの議論の経過などを簡潔に記載し、今後の地域力創造施策の方向性について有識者会議が提言することを記述してございます。
 次に、1の「委員からの主な意見」ですが、「中間取りまとめ」での記述に加え、4ページから7ページですが、「関係府省ヒアリング」における委員からのご意見を府省別に追加しているところでございます。こちらは、事務局で議事録をもとに整理したものですが、趣旨が違うなどございましたら、ご指摘いただければと思います。
 次に、8ページの「2.地域力創造に関する首長アンケート調査結果概要」ですが、「中間取りまとめ」では簡単な記述でしたが、「最終取りまとめ」でありますので、より詳細な記述に改めてございます。なお、グラフなども必要かと思いますが、本日は添付を省略しております資料編に盛り込むこととしてはどうかと考えているところでございます。
 次に、10ページから15ページにかけての「3.地域力創造に関する今後の施策の在り方」をごらんいただければと思います。
 まず、「(1)今後の地域力創造施策の方向性」と「(2)人材力の強化に向けた今後の取組」については、「中間取りまとめ」の記述を基本としつつ、その後の人材力活性化プログラムの策定や大学教員や学生のネットワーク化など、「中間取りまとめ」以降の取組に関する点を追加、修正しているところでございます。また、その他、より意図を明確にするために、改めて文章を精査し、細かな表現の追加、修正などを行っているところでございます。
 次に、素案16ページの「(3)地域固有の資源を活用した地域力の高め方」をごらんいただければと思います。冒頭の点線で囲ったところに記述していますが、(3)の部分につきましては、これまでの委員のご意見やご議論を踏まえまして、事務局でひとまず作成した論点を箇条書きの形で記述してございます。本日はこれらの論点につきまして、委員の皆様方のご意見、ご議論をいただきたいと考えているところでございます。また、ここで挙げております論点以外に、「最終取りまとめ」に盛り込むべき内容もあわせてご議論いただければと思っております。今後でございますが、本日のご議論を踏まえまして、事務局において文書化を行い、最終取りまとめに盛り込むこととしたいと考えているところでございます。
 以下、簡単に内容をご紹介いたします。
 まず、論点1ですが、「地域資源にはどのようなものがあるか」としております。自然的、経済的、社会的、文化的資源などさまざまなものがある。また、まず自分たちの地域にどのような資源が存在しているのかを把握し、客観的に評価することが重要ではないか、としております。
 また、論点2としまして、「地域資源を発掘、再生、創造するためには何が必要か」ということで、「地域力を伸ばすには、長い歴史の中で昔からそこに蓄積され、今も存在している地域資源を活用することが一番の近道ではないか」でありますとか、「地域力は地域資源と人材力を組み合わせて活かすことによって活性化し伸びていく。その結果、産業や文化が発展するのではないか」。また、地元の人々にとっては特に値打ちがあるとは思われていないものでも、地域外の人にとっては非常に貴重なものと評価される。外部の人と地域の人々の交流が地域の魅力を再発見するきっかけになるのではないか、でありますとか、経済の高度成長期においては廃棄物と考えられてきたものであっても、リサイクルや積極的利用により有用な地域資源となるものがあるのではないか、としております。
 また、論点3としまして、「地域資源を活用した産業の活性化方策について」としております。
 17ページですが、産業にも農林水産業から地場産業、重工業、ソフト産業、観光などのサービス産業などさまざまな種類があるが、地域資源に適合した産業でないと育たないのではないか、ですとか、各府省には、地域資源を踏まえた産業振興策としてどのようなことができるのかという視点が必要ではないかとしているところでございます。
 次に、論点4ですが、「地域資源と地域力の関係について」としています。地域力をはかるバロメーターとして一般的には、人口、産業・経済に関する指標が、それだけではなく、人々の幸福度、心の満足度、誇りといった指標も考えられるのではないか、としております。また、地域資源を伸ばして人口増や産業振興を目指すのか、あるいは心の豊かさや誇りの保持を目指すのか、重点の置き方は異なってくるのではないか。例えば都市部では、コミュニティ活動の活性化が、地方では経済の活性化が重要な課題となり、両者のバランスが必要ではないか。また、人々の幸福度、満足度、誇りを高めるために活用できる地域資源は、伝統的な生活様式、ものづくりの技術、地域の祭り、伝統芸能などが考えられるのではないか、としてございます。
 次に、論点5ですが、「地域資源の活用に向けた取組に対してどのような支援策が有効か」としまして、これまで国は、指針やガイドラインで一定の方向性を示して、モデル事業を実施したりして自治体を誘導する方策を採るといったことが多くありましたが、国と地方自治体との役割分担の観点からは、時代遅れとなっている。今後は地域の内発的で主体的な取組を国が後押しするという形が望ましい、しております。
 また、18ページに移りますが、その際、小さな地域単位において、エネルギー、食料、歴史文化資産等の地域資源を最大限活用し、地域の活性化などを図り、中央集権型の社会構造を地域の自給力と創富力を高める地域主権型社会への転換を実現しようとする「緑の分権改革」の考え方に基づき、経済・社会システムの改革を進めることが必要ではないか、としております。
 また、地域が主体性を発揮し、それぞれが発展していくためには、次の2点が重要としまして、一つ目が地域の「人材力」を活性化すること。2つ目が地域固有の資源を発掘、再生し、その潜在力を最大限生かした方法で地域の活性化・産業振興を行うこと、としております。
 また、論点6の「これから国の地域活性化方策の在り方について」ですが、地方自治体は、国等の補助金などがある期間は取り組むが、補助金がなくなった時点で事業が継続できなくなり、政策が持続できないということになりがちであった。今後、国は地方が使える財源を十分に確保できるようにした上で、基本的には補助金によらない政策誘導手法を用いて地域の活性化を支援していくことが求められているのではないか、としております。
 また、すべての関係府省の地域活性化担当部局が、縦割りを排除しながら連携して地域の活性化を支援していくことが重要ではないか、としているところでございます。
 さらに、補助金によらない国の支援方策としては次のようなものが考えられるのではないかとしまして、幾つか挙げているところでございます。
 1番目として、国の基本的役割として法律改正等により全国的な制度を改革すること。
 2番目として、地域活性化に関する全国各地の事例、地域活動のノウハウを伝えることのできる人材、各府省が実施する地域活性化施策など関連情報を集積し、利用者にとってわかりやすい各府省横断的なデータベースの構築により提供すること。
3番目として、モデル的な地域活性化の取組に対して、コンサルティングやアドバイザー派遣等の総合的な支援を行うこと。
4番目として、地域活性化施策に携わる公務員の資質を向上すること。
5番目として、マスコミやインターネット等を活用して優良事例を広く全国に紹介すること。
6番目として、すぐれた取組を各府省横断的に表彰することが考えられるのではないか、としているところでございます。
以上が、「(3)の地域固有の資源を活用した地域力の高め方」でございます。委員の皆様方のご意見をいただきたく存じます。
 次に、19ページ以降の「(4)その他の関連する取組」につきましては、「中間取りまとめ」における記述から、その後の緑の分権改革ですとか地域力創造アドバイザーに関する記述などを加えるといった時点修正を行っているところでございます。
 また、本日はご欠席でございますが小田切委員から事前にこの素案につきましてご意見をいただいているところでございます。お手元に、小田切先生が作成されました資料を配布しておりますので、ごらんください。簡単に内容をご紹介いたします。
 小田切委員のご意見でございますが、まず1番目としまして、「地域おこし」「地域活性化」などの用語が分かれていることにつきまして、「地域づくり」という用語で統一してはどうかというものでございます。
 2番目としましては、「中間取りまとめ」の記述を引き継いでいる部分の補足でございますが、素案の11ページの中ほどにございます「もとより」以下のパラグラフがありますが、その部分の地域リーダーに関する記述が大変重要であるということから、その内容をより具体化するために、14ページの上から2つ目の○のところでございますが、コミュニティー活動に関するパラグラフを修正してはどうかというご意見でございます。
 具体的には、「コミュニティ活動の交流の場づくりを進めるなど」の次に、「地域内の人材がそれぞれの役割分担を意識した人材力の交流を図る」と修正してはどうかというご意見でございます。
 また、その下ですが、3つ目の○としまして、「『リーダーを支える層』の厚みも重要であり、それを意識した啓発活動を恒常的に行う」という記述を加えてはどうかというご意見がございました。
 また、記述すべき箇所は不明であるとのことですが、「忙しいリーダーへのサポート」に関する記述を加えてはどうかというご意見がございました。
 また、小田切委員からは、「(3)地域固有の資源を活用した地域力の高め方」のところにつきまして、構成についてはおおむね賛同する。その上で、「地域資源の保全や充実(磨き上げ)」といった記述を加えることや、17ページに「幸福度」といった指標に関する記述が出てきますが、このような幸福度などにつきましては、地域づくりの評価視点として明確に位置づけてはどうかとのご意見がございました。
 その他、この紙には記載されておりませんが、用語の使い方について幾つかご指摘をいただいておりますので、事務局のほうでよく精査してまいりたいと思っております。
 また、小西委員から事前に紙でご意見をいただいておりますので、お手元に配布しております。
 説明は以上でございます。それでは、月尾座長、よろしくお願いいたします。
【月尾座長】  ありがとうございました。
 それでは、議論をさせていただきますが、全体の流れで言いますと、今日、ご意見をいただいた内容を反映して、事務局のほうで修正した最終取りまとめ案をつくっていただき、次回はそれをご了解いただくことになるかと思いますので、今日、言いたいことはすべて言っていただくという気持でお願いします。
 先ほど説明いただいた16ページ以降の「(3)地域固有の資源を活用した地域力の高め方」が、今回の中身の中心の結論になりますので、そこについては後で集中的にご議論いただくとして、それ以外のところについてご意見があればお願いします。
 最初に「はじめに」というところに関係して、民主党政権になってから、中央集権から地域主権という言葉を盛んに使っておられるので、地域主権を背景にしてとか重視してという感じの文章が初めにあったほうがいいのではないかと思いますので、ご検討いただければと思います。
【堂垣委員】  順不同であれなんですけど、私も「はじめに」というところにまずちょっと引っかかってしまったんですが、全体に言えるんですが、文章が長過ぎてわかりづらいところが多々散見されまして、「はじめに」の最初の文章もまさにそうだなと思ったんですが、特に後半の「一方で」の後のところなんですが、「地域の課題への住民等の関心や意識の高まりなど」という、これが言い方としてはちょっと間違っているような印象を受けたんです。要するに、地域の課題を何とかしたいとか、もう一回地域コミュニティーを取り戻したいという危機感はすごく高まっていると思うんですけれども、意識がほんとうに高まっていったらきずなは取り戻されているはずなので、このことを「環境は大きく変化している」という扱いをしてしまうと、要するに今、また地域のきずなみたいなものがすごく強まっているとも読み取りかねない文章になっている気がして、その辺はもう少し正確な書き方をしたほうがいいのではないかと思いました。「進む一方で」という、これを何も1つの文章にする必要はないと思っているので、この辺はすごく、もう少しぱっと読んでわかりやすく整理していただければと思います。
 あと、文章のことで言うと、一番私が読んでやっぱりわからないなと思うのは「緑の分権改革」についての記述なんです。これは非常に、後ろのほうで、先ほど後半で議論するところとかぶってしまうところもあるんですが、あえて文章のわかりづらさつながりで言いますと、例えば19ページのところもそうなんですが、これは要するに緑の分権改革を推進するということの前に、そこに緑の分権改革の形容詞というか、これを説明するのが文章が丸6行ぐらいくっついているわけです。この言葉自体もすごく抽象的で、何となくイメージはあるんですけれども、どういうものなのかわからない方が今非常に多い中でこういう書き方をされると、多分読んだ人も、緑の分権改革はどういうものなのかとか、全くイメージを持てないのではないか。特にこの辺のことは、非常にこれから重要になってくると思いますので、逆に、官僚的な間違いのない、いろんな形容詞を加えていくような文章遣いではなくて、普通の人がぱっと読んでわかるような形で文章をどんどん短く切って、うまく説明していただくような工夫をしないと、イメージが全く伝わらないんではないかということを非常に思いました。
 それと、あとこれは全体についてのことなんですけども、我々の会議がたまたま政権交代と重なったことと関係があって、私は全部出ているわけじゃないので、もし途中でその辺の方向修正みたいなことがあったのだとしたら申しわけないんですが、我々が入ったときは「鳩山プラン」という名前でずっと話が始まっていたのが、いつの間にかこの「緑の分権改革」にすりかわっているというか、向いている方向自体はそんなに大きく変わっている気はしないのですけれども、それが一体どんなふうにどう変わっていたのかというのがよくわからないまま行っちゃったという印象が強いんです。
 これから、また政権交代が現実的にあり得る状況にはなってきておりますので、政権交代みたいなことがあった場合に、こういう省庁の方針みたいなものをどういうふうに総括して次につなげていくかみたいな、そういう観点をどこかに入れられないかなと思いました。とりあえずそのぐらいです。
【月尾座長】  簡単に処理できそうなほうは、2番目に言われたことで、これは句点を入れて、わかりやすくするということで処理していただきますが、1番目のご趣旨は、住民などのきずなとか意識はむしろ弱まっているというようなニュアンスが、実際回られると感じられるという話ですか?
 
【堂垣委員】  危機感が高まっているということが正しいと思うので。
【月尾座長】  それでは、そういう脆弱化が進むとともに、さらに住民の自立意識などが必ずしも高まっているわけではないというような危機感を強調していただくということにします。
 3番目に言われたことについては、初めのところに経緯を書けばいいと思います。この有識者会議が始まったときの経緯と現在の状況は変わってきたということは、「はじめに」に書けばいいのか、全体をもう少し構造的に変えなければいけないのかどちらでしょうか。
【小西委員】  私はあんまり出席できなかったものですから、今日は頑張ろうと思いまして。
 今の、一番最初に座長が言われた「地域主権改革」という言葉を前に持ってきて、今の政権が目指している方向と我々の物申すところの整合性は十分ありますというふうにいくのが一番品のいいやり方だと思うんです。
 ただ、ちょっと突っ張った感じにすると、政権が変わろうとも、一貫している部分があると。特に福田政権ぐらいからの、福田政権、麻生政権と今の政権は地域の内発的な頑張りを引き出すというところでは一貫しているところがあるので、政権が変わっても、こういう話は大事ですというふうに、そっちのほうが突っ張っている感じですよね。なので、「緑の分権改革」とか「定住自立圏」とか出ている部分は、「今の政権だってこういうふうに言っているでしょう」というような言い方。こちらはちょっと突っ張っている言い方ですね。
 今の政権の方向と「同じですよね」というふうにいくのが品のいい言い方で、どっちがいいんですかね。ちょっと突っ張ってみたい気分もないわけではないんですけど。
【月尾座長】  堂垣委員、それについて如何ですか。
【堂垣委員】  どちらかというと、突っ張ってみたい気分ではあるんですけど。(笑)
【月尾座長】  かつては行政主導で物事が進んでいたから、政権が変わっても総理大臣が変わっても政策は一貫していたのですが、今回、民主党になって政治主導にすると言っておられる。
 そうすると、この会議をひとまず解散して、新しい構成にするのが適切かもしれません。また、行政府は政治に対応するという立場にあります。ご指摘があった緑の分権改革は、新しい大臣の考え方ですから、それに対して、我々も対応するという必要があるかもわかりません。したがって、政治の目標が変わり、緑の分権改革や地域主権改革という考え方が出てきたことに対して、この会議の提言をまとめるというほうが適切ではないかと思います。
 そういう点では「はじめに」のところに、このように状況が変わったということを、小西委員の言い方で言うと、上品に「こういう答えを出します」と書けばいいのではないかと思います。
【地域力創造審議官】  よろしいでしょうか。あと、18ページのところが、おっしゃられるように、突然「緑の分権改革」を進めることが必要ということになっているので、委員の皆さん方にはちょっと違和感があると思うんです。
 緑の分権改革というのは、いろんな方にご説明すると、「ああ、これは何だ、昔から言っている内発的経済発展というやつか」とか、「昔から学者の人たちがみんな言っているんだよね」と言われる方が多いのです。したがって、この前段のところまでは従来から言われている内発型経済発展ということなので、そういう視点が必要だということは古くから言われていて、ここにおられる方も違和感はないと思うんです。
 そういうことが必要だと書いた上で、そういった意味で、現在の政権が主張している緑の分権改革の考え方についても、そういう方向で進められることが望まれるとかですね。ちょっと距離を置いたような書き方のほうが委員さん方にとっては違和感がないのかなと思います。我々は政権内にいるので、こういうふうにストレートに書いてしまったんですけれども、今おっしゃられた意見をそんたくしますと、そういうことなのかなと感じました。考え方の部分はかなり共通しているところがあって、ただ、緑の分権改革そのものは、堂垣さんのおっしゃるようにまだあまり議論されていない事柄でもあるので、そういう書きぶりもあるかなと思ったところです。
 それから、19ページの「関連する取組」というのは、この位置づけが当初からはっきりしない、参考資料なのか、あるいはこの委員会の意見なのかというのがちょっとはっきりしないまま中間報告に書かれているので、どういう位置づけにするか検討してみたいと思います。これは今やっていることを並べてあるようなことなので、参考資料みたいなことに持っていく手もあるのかなと思います。あるいは、そういう位置づけで柱書きを書くということもあるのかもしれません。いずれにせよ、ちょっと考えさせていただきたいと思います。
【月尾座長】  今のよう考え方であれば、政権交代によって「緑の分権改革」も登場してきたが、この内容がそれに矛盾するとか大きく方向が違うということではないと思います。だから、緑の分権改革とか地域主権などの新しい条件もしくは環境が出てきたということを「まえがき」に書いていただければ、「緑の分権改革」が18ページに出てきても、違和感はないと思います。
【地域力創造審議官】  「はじめに」のところにもちょっと書かせていただきたいと思います。
【まくどなるど委員】  参考になるような意見になるかどうかわからないんですけど、私の日本語の……、読んでいて解釈の問題はあるかもしれないんですが、初めから読んでみたりすると、全体の提案の中で、ちょっと静かに停留している印象を受けているのが、この地域力創造のあれは日本人のみでやっていこうということで初めの、最初のパラグラフは、特に強く印象を受けているのが、日本がちょっと調子悪くなった中で、内側にどんどん引っ込んだりしていて、自己防衛が既に立ったりしているような感じで、何かこの文章が持っているような色合いが……、ちょっと精神が弱いかなと感じたりはしていて。これを国民に持っていった場合は、やっぱり「力、つくろう」とか「クリエーティブ」とか、もうちょっと力を発揮できるような地域づくりが、そういうもうちょっとポジティブな色合いに持っていったほうがいいのではないかと思います。
 文字では出ていないんですけど、在日外国人としてこの文章を見ると、日本にいる我々にはあんまり視野に、我々の存在がちょっとわきに置かれているような感じで、グローバル時代といいながら、結局日本の社会づくりとかすべては日本の国籍を持った人々で地域づくりをやっていこうとしている精神が今でも強くあるような印象を受けていて、いかがなものかなとちょっと個人的に感じています。
【月尾座長】  そうすると、先ほどのご指摘も含めて、課題を考えるバックグラウンドが変わっているということも書くようにします。日本も国際的に開かれた形でこれから社会を考えなければいけないということを、緑の分権改革とか地域主権とかということも含めて、整理して書いていただければと思います。
【飯盛委員】  小田切先生のコメントのように、大まかなコンセプトの骨子、地域力創造のキーコンセプトとして、人材育成と地域資源にポイントを絞られているところは大賛成でございまして、私も全くそのとおりだと考えております。
 3番に関しては、座長のほうから後で議論しようということでしたので、それ以外ということで申し上げますと、まさに今、椎川審議官おっしゃったように、最後の19ページからのところがひょっこり浮いているという感じがしていまして、私は逆に、地域おこし協力隊はもう既に成果が出ていますよね。僕はこの間、NHKさんの朝の特集で、上小阿仁村に入った2人が雪かきとか祭りの継承で頑張って、非常に地域の方々が喜んでいらっしゃるという特集を見て、またいろんな地域にお伺いをして、この地域おこし協力隊の人たちのことが頻繁に話題に出るんですね。
 そういった実績については、僕はどこかに入れていてもいいんではないかなという気がいたします。せっかく地域おこし協力隊で地域の方々、喜んでいらっしゃる方々がたくさんいらっしゃるので、そういうのはどこかの、前の段階で、「これから推進します」というところもひとつここには入っていますし、まさにこれから推進していくところなんでしょうけれども、そういった実績もPRすることも大事なポイントではないかなとひとつ感じました。以上です。
【月尾座長】  最後の「その他関連する取組」というのは、いま言われたたように既に進行している政策が並べてあると思います。そこで「こういう政策もあるが、さらにこういう政策も考えられる」という形で引用するのはいいと思います。
【飯盛委員】  それだと、4番にもう既に取り組み中の政策とか入れていただきつつも、やはりそこに実績、「こういう効果も出ていますよ」というものがもし入っているといいかなという気がします。
【月尾座長】  それでは、関連してどこかに引用していただいても結構ですが、(4)の中に入れて「こういう活動もある」という実績も書くことにさせていただきたいと思います。
【杉澤委員】  「はじめに」の文章の最初の部分が、先ほどあんさんがおっしゃったようにとても暗いイメージ、ダーティーな印象から入っているという。とても、何の文章でも「財政状況が悪い」「格差が拡大している」「少子高齢化」で、大変日本はどんどん下向いていくんだという、このスタートはいろいろな文章に出てくるので、私たちの会議ぐらいは、勤勉でまじめな日本人は、戦後ここまで経済発展するところまで頑張ってきたんだというようなスタートで始まりたいなという印象を持ちました。やっぱり力を出させるには、頑張ってきたことや一生懸命やってきたことを認めて、「よくやってきたね。でも、まだまだ、もうちょっと頑張ればまだもう少し伸びるんじゃない?」というような形が望ましいと思うので、最初の出だしのところをもう一工夫、勤勉でまじめな日本人がここまで発展してきたんだという部分が欲しいなと思いました。1点。
【西村委員】  似たような話なんですけど、私も頭の書き方をもう少しポジティブにやるべきだと思っているんですが、そのポジティブな方向性は今の杉澤委員の話とちょっと違うんですけど、私が思うのは、既に、例えばゲストスピーカーでもいろんなおもしろい話が出てきていて、動きは萌芽的にだけどいろいろあるわけですよね。だって、だからこそ地域力といっていて、ここに光を当てようとしているわけだから、ゼロのものを今からやろうというわけじゃないわけですよね。
 そうすると、新しい動きはいろんなところに少しずつ芽生えてきているけど、まだそれが形として組織的にそれを応援するとか国が総力をもってやるとかいう形になってきていない。だからこそ、今やらないといけないんじゃないかというような感じの言い方はできるんじゃないかと思うんです。そういうふうにやっていただくと、前向きな感じがするんですけど。以上です。
【月尾座長】  ただ社会をどのよう見るかに依りますが、例えば、かつては勤勉な日本人だったかもしれませんが、現在の労働生産性は世界21番程度です。
【西村委員】  だから、過去のことは言わないで、今がいいと。今ちょっと出てきていると言ったほうが説得力はあるんじゃない。
【江尻委員】  よろしいですか。私もやはり「はじめに」のところ、皆さんと同じようにもう少し明るく、現状の明るい部分を出しながらこの暗い現実を示すというところがとてもいいかなと思いながら読んでいたんですが、皆さん同じ気持ちだったのでちょっとうれしくなったりしたんですけれども、既に地域の中で、ゲストスピーカーの方もちろんなんですが、ここにおいでになっていらっしゃらない方でも、地域の中で非常に頑張りをもって地域を支えていたりとか、それから主体になっている人たちが既にあらわれていて、そしてその人たちの力をより発揮するためにというようなところも少し加えていただきたいと思っています。
 今あるものを大事にするということも大変大切なことで、その人たちがやはりリーダーとなって地域をつくっていっているよというところを杉澤委員のように褒めてあげたいという、生意気な言い方ですが、そんな思いもありますので、あわせてお考えいただければと思います。以上です。
【月尾座長】  ありがとうございました。これまでのご意見をまとめると、「はじめに」は表現を変えて書き足していただく。1つは、国際比較をして暗い点もあるが、日本人の潜在的な力、それから日本の文化の力などを見直すとか使うということを書いていただくこと。
 それから、実際、地域では活力ある動きが出始めているということを書いていただく。しかし、社会全体の環境が変わってきたことを考えると、新たに萌芽として出てきた動きとか日本人の潜在的な力をもう一度大きな力になるようにする政策が必要だということを書いていただく。そのための具体的な考え方は後のほうにあると書くことにします。
 それでは16ページからの地域固有の資源を活用した地域力の高め方についてですが、小西委員が事前にご意見を出しておられるので、それも踏まえてお願いします。
【小西委員】  事前に出させていただいたところと、それからどうしようかなと思いながら逡巡しているところとあわせて申し上げます。
 18ページです。6の、これから国の……、これから「の」ですね。「これからの」。貢献しました、よかったです。「これからの国の地域活性化方策の在り方について」のところに加えたらどうかと。それこそ今の政権の中で、これも前政権から引き継ぐような形で、地域……、いわゆる地方分権改革。義務づけ、基準づけの見直し等が行われていると。これは一種の規制緩和ですので、地域固有の資源を活用するという場合には規制緩和をする。例えば、これは一部やりますけど、別の目的でつくった施設を違う用に転用するようなことをやりやすくするとか、これも実際にやるものですが、そのたぐいの規制緩和をする必要がありますよねというのはここへ入れられるなと思って、ここへ入れたらどうかということですので、それ以上の他意はありません。
 これだと多分、ほかの委員の皆様にもそんなに違和感はないと思うんですけど、逡巡していたことは、きのうも高知県の越知町というところにいたんですが、ちょうど正面に絵がありますが、絵の山肌のところが全部段々畑だと思っていただいたらいいです。その段々畑が休耕になっているところが全くないんです。段々畑なんですけど、全部手が入っているんです。越知町ってそういうところで、もうちょっと奥まで、仁淀川町まで行くとなかなかそうはいかないんだそうですけど、越知町までですとすごくみんなで支えている。そこは住民の方が元気なんですけど、やっぱり高知県の地域支援企画員の果たしている役割が大きいです。それは後のほうで、特別交付税措置とかということがあって、そういうこと自体は触れる必要はないと思うんですけど、県がやっている既存の制度で、ほかの県もやっていることですので。それはいいと思うんですが、地域活動をコーディネートする、それを専門にやってくれる若い人がいたらな、というのはやっぱり思うんです。
 そうすると、今ずっと、公務員というのは基本、減らすんだと。減らすことが行革だと。でも、コンクリートから人へと言っているわけですから、コンクリートはああいうところへもう持っていかないわけですので、要するに、税金を使って地域づくりの人材をそこで置けないか、そういう人がいたらなと思うんです。
 いきなり今日申し上げることなので、こんなところにすぽんとそれをそのまま書けというのは無理なんですけど、何かそういう、言わば半官半民というんですか、税金で雇われているんだけども、地域づくりに従事するというような、そういう人を置けないかなと。その芽出しになるような表現をどこかちらっと入れられないでしょうかねという。
 2つ目のほうは、今申し上げたことであります。前半の部分は、規制緩和をここへ入れたらどうですかという提案です。以上です。
【西村委員】  2つほどありまして、1つは、地域資源から磨くということがメーンのコンセプトになっているわけなんですけど、これはこれですごくいいと思うんですが、それだけでいいのかなという感じがしているんです。つまり、そうすると、あるもの……、そこにはもう既に何かあるんだと。で、あるものを探していけばいいんだという感じなんだけど、もう少し地域に違う光の当て方があったり、クリエーティブに今あるものをうまく使って、すごくいろんなアイデアで次のステップにいけるというのもやっぱり力だと思うんです。ゲストスピーカーでいろんなお話を伺った方は、必ずしも普通に地域資源を磨いていって、ここに至るというよりも、やっぱりそこの中にすごいジャンプがあるような気がするんです。だから、そういうクリエーティブなものが、文化かもしれないけど、うまく表現される部分がひとつあってもいいのかなというのが1つです。
 それから、もう一つは、これは小西先生のお話に近いんですけれども、地域の地方政府に……、地域主権と言っているわけだから、地方政府がもう少しいろんなことがやれるというのも地域力のすごく大きな部分じゃないかと。それは先ほどあった法令の義務づけの見直しもあるけれども、例えば条例の制定権をもっと幅広くとか、法律の解釈の仕方を、国が一元化して国に聞くというだけじゃなくて、考えられるようなとか、もう少し施策全体の自立性を持たせるという部分もあってもいいのかなという感じがしているんです。ですから、その点をもうちょっと書いていただくと、もう少し広がりがあるんじゃないかというのが私の意見です。以上です。
【月尾座長】  特に2番目は、地域主権に移していこうという時代に、地方政府が頑張れということでは非常にいいということだと思います。
 前半は僕も似たようなことを思っています。例えば、16ページの2に「発掘、再生、創造」と書いてありますが、創造ということが、無からできるのかどうかというあたりをどう考えるかが課題になります。例えば庄内映画村は映画産業がなかったところに新しい産業ができたということになっていますが、使われていない広大な土地があったから実現できたとか、協力的な住民が多数いたからうまく動き出したとか、何らかの地域資源があったわけです。そう考えれば、地域固有の資源を活用したということになります。
【西村委員】  それでいいんですけど、言いたいのは、広大な何も使われていないところを全然違う可能性を見つけてくるというのはかなりクリエーティブな話ですよね。だから、そこのところをもう少し言ってもいいんじゃないかと思うんです。そういうアイデアが地域を元気にしている部分はあるわけだから。
【月尾座長】 確かに、普通に資源の発掘、利用というと、何となく伝統的なものを使えとかということになるけれども、全く違う発想で使えということですね。
【まくどなるど委員】  これは書き加えることは不可能でしょうけど、あえて言いますが、地方に長く暮らしていて、やっぱり行政のところに何かアイデアを持っていくときに、よくよく耳にする言葉は、「前例がないからできない」というところで、どうやって……、「前例がない」だからやるべき、やってみるべき、だめもと思想で、それがもうちょっと地方にあれば、創造力も地域力も育てて高めていくんじゃないかなと思ったりはするんですけれども、どういう言葉、表現というか、文章がふさわしいのか定かではないんですが、何らかの日本語の工夫があれば、ぜひお願いいたします。
【杉澤委員】  私も「明るくいきましょう」と言って暗いことを言っていては申しわけないんだけど、NPOで活動していく中で、ほんとうに困った昔からの悪しき慣習だとか根拠がないような伝統とか言い伝えとかというのに大分縛られて苦しむこともありましたので、入れられるとしたら、2の「地域力を伸ばすには、長い歴史の中で昔からそこに蓄積され」というあたりを「慣習などに縛られないような」とかということをちょっと一言入れてもらえたら、何かをやるときに苦しんでおもりをつけられて動けないでいる人たちがたくさんいるのも見ているので、今のあんさんの思いが入るんではないかと思います。
【堂垣委員】  小西さんの話と大分重なるところがあるんですが、2つ、ここで思ったことがあって、1つは、やっぱり地域力を高めるためには人材の問題がすごく大きいというのはずっと言ってきた話なんですが、今は地域にいる人材だけではなくて、そこに何か人材を呼び込む工夫みたいなのをすごく積極的にやらなきゃいけないと思うんです。
 私、番組をつくっていまして、実際いろいろ感じるのは、今地域で最も必要とされているのは、ボランティアを集めるような人が実はすごく足りないんです。ボランティア活動をやりたかったり、地域貢献をしたりしている人は各地域に若者を含めて結構たくさんいるんですけれども、そういう人をうまく組織して、ほんとうに人手が必要な場所のところに持っていくような、そういうことをつなぐような人が今いないんです。それはだれがやるかというと、なかなかほんとうに苦労しながら地元の人がやっている例もありますけど、実際、うまく地域が回っているところの例としては、行政側がそこで人を置いている、そういう人をあえて外から入れ込んでやっているような地域というのは、すごくうまくそういうボランティアが回っているという例が結構たくさんあるんです。
 ですから、それを公務員という形にするかどうかはちょっと話はわからないんですけれども、やっぱりそういう地域活動をコーディネートする人材を地域にいかに配置するかというか、そっち側の方向性はぜひあったほうがいいんじゃないかという気はすごくします。
 あとは、地域力の話なんですけれども、今あるものというよりも、規制緩和と少し近いんですが、地域自体が海外と直接結びつくような、そういったことをもう少し意識されるような文言というのはどこかに入らないかなとは思っています。実際、医師不足とかいろいろありますけど、今は国の法律の問題でなかなかできないと思うんですが、地域で医者を例えば2,000万ぐらいの年収で探そうとしてもなかなか地域には来てくれないですけど、例えば海外からの医師で2,000万といったら、おそらく十分来てくれる可能性はあるんです。それは実際、安全性の問題とかがありますから簡単にはできないと思うんですが、そうやって地域が独自に安全、安心な地域をつくる際に海外の力も利用するとか、投資的なものをうまく呼び込んで、特区みたいな形でうまくやれたりするようなことというのは、地域をもう一回元気にするためには必要なんじゃないかと思っています。
【飯盛委員】  今の堂垣委員のご意見に非常に近いというか、言いかえた形になるかもしれませんけれども、地域資源を発掘、再生、創造していくためには何が必要かというところで、おそらく大事なポイントというのは、資源を発見するとか、それを展開するのも全て含めてまして、資源化のプロセスをどうやってつくっていくかということにつきると思います。まさに今堂垣委員がおっしゃったような、何かのうちこれは資源になり得る、これは地域づくりの起爆剤になるようなものだと。例えば偉人が実はそこ出身だったとかという文化的なものもあるでしょうし、自然のものもあると思います。また、何もないと思われていたものが実は立派な資源だったというのも地方にはたくさんあると思います。Tシャツアート展にしても佐賀のバルーンフェスタにしても、あれは何もないようなところだからできたことだと思うんです。
 だから、資源をどうするか。認識するか、もしくは発掘、創造するかというところは、何か思いついたとしても、今度はそれを地域の中で意味づけしていって、人を巻き込んでいくというところに結構大切なポイントがあると考えます。全部とは言いませんけれども、そこでどうしてもなかなか次に進めない。で、孤軍奮闘されている方々がいらっしゃったりしていると思います。なので、1つは、だから小西委員のおっしゃった、また堂垣委員のおっしゃった、そういうコーディネート的なことができるような人は極めて重要だと思っています。そういう方が、いろんな組織の人たちとか地域の地域づくりに関心があるような人たちを取りまとめるというのが1つ。
 もう一つは、ここにも書いてございますけども、外部の人の交流、視点を取り入れるというところも実は大事なポイントです。つまり、外の人が騒いでいて、内の人は何を騒いでいるんだろう、という認識を与えるところも1つのやり方かなという気がしております。
 なので、私もこの地域資源を発掘、再生、創造していくために必要なことというところに……、結局、最終取りまとめの基本的なコンセプトになりますけども、そういう人材が大事じゃないかなという気がいたしております。以上です。
【江尻委員】  いいですか。地域といったときに、それが自治体という1つの単位も、決められた単位の中なのか、それとも超えても地域というのかというところがどうもいま一つ私の中でははっきりしない部分があるんです。
 先ほどの前例がない話というのは、私もさんざんやられているところではあるんですけれども、そんなときに、例えばNPOであるとか、それから市民グループであるとかというのは、お隣の町とか、それから市であるとか区であるとかというところを超えても活動を一緒にすることはできるわけです。
 例えば、私はこちらのAという区にいて、仲間はBという区にいれば、AとBという区の自治体がそれぞれ地元になっていき、地域になっていくという話になっていくんだろうと思うんです。で、Aの人がBの人に行くと、「あなたはよそ者だ」という話になって、すぐ余計なことを言われたりして追い返されたりするということはあるんですけれども、Aの人がAに行き、Bの人がBに行き、そしてそこでまた新たなる地域活動をつくっていくことも方法の中にはあるだろうと思っています。
 そう考えたときに、地域をどの規模で考えていくのかということによって、一緒に連携をとっていく行政であるとか、それから……、それが1つになるのか2つになるのかというところも変わってくる部分ではないかと思っておりますので、どちらかというと行政の、いわゆる自治体が主体となって関係するのではなくて、そこに住んでいる住民が主体となった地域づくりという区分けというんですか、枠というんでしょうかね。それがつくれるところで少しいかないかなと。何かいいかげんな言い方をしています。そういう思いがここのところ強く思っているものですから。言っていること、通じましたか、先生。
【月尾座長】  江尻委員が言われたことに関係するのですが、平成の大合併の終結宣言を総務省として出されたわけです。あの合併は、財政的に破綻しそうな自治体を大規模にして破綻を回避するということが大きな目標でした。しかし、新しい地域おこしを進めていこうとすると、平成の大合併で確定した圏域が必ずしも適しているわけではない。わかりやすい例では、1本の川を活用して地域おこしをしようとすると、源流から河口までの地域が一体となることが望ましいけれども、川の流れを横断するように自治体が分断されていると、それを一体とするだけでもかなりのエネルギーが要るということになる。
 そこで、次の新しい行政圏域を考え直そうということを書き込んだらどうかと思います。環境を中心とした「生命圏域」という概念があり、1本の川の上流から下流までとか、山に囲まれた盆地とか、島全体を一体で考えようという概念です。新しい時代の地域おこしをやろうというときに、従来の自治体という単位がいいのかも見直すということを検討したらどうかということが1点です。
 もう1点は、地域資産というとプラスに働くものを考えがちですが、従来はマイナスと思われているものでも利用の仕方によってはプラスになることがあります。例えば、四日市が四日市ぜんそくなどの公害で負の遺産をたくさん抱えていたわけですが、それがあったからICETT(国際環境技術移転研究センター)という国際的な機関ができて、新興国の人々に環境問題対策の教育をする活動をしています。普通に考えればマイナスの資産だったものでも、新しい時代にはプラスの資産にもなるということです。地域資産というところに書いてある自然的、経済的、社会的、文化的資産というと、プラスになりそうなものという印象ですが、地域のマイナスの資産でさえ、発想を豊かにすればプラスに変わるというような雰囲気を出していただけたらと思います。
 これまでの意見を要約すると、まず、人材が大切だということは十分にわかっていることですが、その人材を育成するとか、外部から呼び込むということについて、どういう施策を考えるかということを書く。関連して、我々は国内という単位で考えがちですが、国際的な関係で人材を考えるということもぜひ書いていただきたい。
 それから、地域資源について、これまでは埋もれていたものを発掘すると考えがちですが、新たな地域資源をつくり出すということも考える。例えば、新潟県の妻有という地域では10年近く「越後妻有大地の芸術祭」を開催し有名になっていますが、地域に芸術的な資源があったわけではなく、田畑などをうまく使って開催してきたわけです。そのようにつくり出すという発想も重要だということを書いていただく。
 それから、人材の発掘と重複するかもわかりませんが、海外も含めて広い視点から考えるということもヒントになるような書き方をしていただいたらどうかと思います。
 また、地方自治体が頑張るような制度をつくると同時に、自治体の単位も見直す。平成の大合併でできた単位を超えてか、再編するかも含め、どういう単位で活動していくかという単位についても見直す必要があるということも書くということになるのではないかと思います。それ以外に、ご意見があれば、どうぞ自由に発言して下さい。
【堂垣委員】 そのほかのことなんですけれども、18ページの一番下とかで、「縦割りを排除しながら」……、これはページ数が違うのかな。ページ数で言うと……、いただいたほうの18ページの6のところですね。18の一番下で。このことはもう少し強調してもいいのかなというのが実感としてありまして、さっき議論になった4番の「その他の関連する取組」のところでこうやって羅列的に出ていますけれども、これが一体どういう関連性があって、どういうときにこの組織が使えるのかというのが、多分一般の方に絶対わからないと思うんです。
 だから、どこに話を持っていったらいいのかという利用者側の立場に立ったときには、地域力創造アドバイザーなのか地域おこし協力隊なのか集落支援員なのかと、一体どこがどう違って、どうサポートしてくれるのか、依存型ではあんまりいけないともちろん思うんですが、その辺のことをほんとうに利用者の立場に立った仕組みにもう一回構築し直して、一元的な窓口できちんと受けて、どこかのところから配分していくような形。ですから、利用者側に立った使いやすいシステムをほんとうにもう一回、縦割りというのを排除して、考え直すということは相当強調していただいたほうがいいのではないかということと、いろんな取り組みが各省庁あって、それぞれ結果は出ていると思うんですけど、ある種行政の無謬性といいますか、みんなそれぞれ成果があったとなってしまいがちなんですが、ほんとうにどの施策が成果が上がったのかというのをちゃんときちんと検証するような仕組みも実は大事じゃないかと思っていて、それを実際、効果があったところに予算を積極的に配分していくことをやっていかないと、この並立した状態というのはずっと続くと思うので、その辺のことも少し意識できるといいなと思っております。
【まくどなるど委員】  16から見ると、1番のところで、地域資源にはどのようなものがあるのか。自然的資源、経済的資源が書かれているんですけど、そこからほとんど人に絞って書かれているような印象を受けているんですが、人材育成がうまくいけば、そこの地域にある資源をうまく活用していけると思うんですけど、しかし、持続型資源利用とか、気候変動がこれ以上悪化しないような地域づくりとか、低炭素社会に向けたものとか、そういった項目はどこかにあってもいいのではないかと思います。
 人材育成で考えてみたりすると、例えばどこに入れたほうがいいかどうかはわからないんですけど、Education for Sustainable Development、日本語、「持続開発のための教育」とか、そういった精神も、持続可能な開発のための教育か何か、言葉そのものを使う必要は全くないと思うんですが、人材育成はどういう精神というか、中身も含めて今後、地域の中でつくっていくかということは、今までどおりではないことを提案しようとするんであれば、もうちょっと22世紀、23世紀を視野に置きながらのような、地域づくりのものもここにあってもいいんじゃないかなと思います。
【月尾座長】  そのような御意見は「はじめに」に「地域の持続可能な施策を考える」「持続可能な社会をつくる」という目標として書くほうがいいと思います。
【小西委員】  市町村合併に関して座長が言われたことで、こんな感じでどうでしょうかという提案というか、市町村合併のことについて触れるんでしたら、こういう感じはどうでしょうかと思うことがあるんですけど、それは地域のとらえ方ということなんですが、先ほども高知の話をしましたが、越知町という団体ですけど、実際には横畠という地区なんです。その前の日に、同じように非常に意気が上がっているところへ行ったんですけど、それは合併して高知市になった旧春野町ですが、旧春野町の中の芳原という地区なんです。全部どちらも大字で、もともとの小学校区なんです。もちろん小学校もなくなりまして、廃校になって、統合されていますけど、もともと小学校区なんです、大字が。
 例外はかなりありますけども、明治の大合併でできた村が大字で、それが昭和の大合併で大字が4つ5つ、つまり小学校区4つ5つで人口8,000人の町になる。ですから、大字というのは明治の村であって昭和の大合併で自治体として消えているんです。今度は平成の大合併でさらに消え、それにもう一つ大きな自治体になるんですけど、地域というのはどうも大字であって、小学校区であって、明治の村であって、内発的発展というときのほんとうの単位は大字である場合が多いというのが実感なんです。
 ですから、内発的地域発展の単位は大字だと。それと行政区画としての自治体というのはちょっと違うもので、つまり地域の内発的発展を必ずしも自治体で見るんじゃなくて、もっとほんとうの心のふるさとであるところの明治の村であったほうがほんとうは迫力があるというのが私の実感なんです。その実感のところを、何でしたら、うまく皆さんに共有していただけるんでしたら文言にすれば、座長のおっしゃっていることと非常に関係があると思います。
 それと同時に、地域主権改革というような制度の改革はインスティテューショナルな改革ですけれども、緑の分権改革というのは内発的なものなので、両方あってこその、両方なきゃ困りますよというのが全体的な流れだと思うんです。こういう会議をやっていること自体もインスティテューショナルな改革だけだと全然だめよねということでやっていると思いますので、それと平成の大合併でインスティテューショナルな改革をやったけれども、地域の内発的な発展は実は明治の村ですというのはどうですかね。ご共感いただけたらうれしいなという感じです。
【月尾座長】  「合併」という言葉を使うと、さらに単位を大きくしていくということになるから、地域力を発揮するための単位を考えろということだと思います。
 そうすると、大字くらいの単位もあるし、川の上流から下流までという単位もあるので、大きいという印象を与えず、それぞれの地域力の発揮に適した単位であり、しかも必ずしも行政区画という単位とは限らないというような表現にすれば良いと思います。
【まくどなるど委員】  中身ではないんですけど、日本人の皆さんは違和感を感じないかもしれないけど、16から19にかけて、文章の終わりに14カ所で「ではないか」で終わるんです。日本語分析していくのには考えざるを……、何ていうか、よく霞が関独特な日本語があるから、教科書を一度外国人向けにつくればおもしろいんじゃないかなと思うときがあるんですが、悪い冗談はさておいて、これはこれでいいということであるかもしれないけど、創造とかいろいろのことをこれで主張しようとするんであれば、もう少し工夫はあってもいいかもしれません。
【月尾座長】  善意に解釈すると、これは「素案」なので、委員に確認するための書類だと理解してください。
【地域振興室長】  事務局としましては、このような投げかけ方をして、委員のご議論をいただければという趣旨で、このような「ないか」という表現を使ったわけでございます。
【西村委員】  これは月尾座長の専門のところなんですけど、私は情報化とか、そこが持っている地域の中の可能性はすごくあると思うんです。今ここに書いてあるような優秀事例をインターネットで紹介する程度なんだけど、ビジネスのこととか人のネットワークの話とか会議のやり方から小さなビジネスができたりとか、さまざまな、医療だって遠隔治療の医療だとか、ものすごく今まで不利だと思っていたところが克服できる、すごく大きな可能性がそういうITにはあるので、それをもう少し積極的に地域力を高めるのに使うということもどこかに入れたほうがいいんじゃないかと思います。
【杉澤委員】  17ページのところで、「幸福度」とか「心の満足度」というのは議論の中でこういう言葉が出てきたんだと思うんですけれど、もう少しやわらかい表現で、その地域に安心して住める地域であるとか、あるいは安らぎを持った……、人々の安らぎ、人々に安らぎを与えられるような地域であるとかというような書き方をすれば、求めるものは安心して安全にそこの町に住んでいる人たちが多いというのが地域力であるというとらえ方をしたいと思うので、お金持ちがいっぱいいて、私はお金がたくさんあるから満足だとか幸福だとか、あるいは仕事をしないでもお金が入るから幸せだとかという人もいるのではほんとうの地域力じゃないんじゃないかなという感じがするので、精神的な安らぎだとか安心感だとかということに地域力を求めていくというような、ちょっと哲学的な話になりますけれど、そういう中身にこのあたりの言葉を書いてほしいなと、さっと読んだときに感じました。
 あとは、住んでいてほんとうに市民なり町民なり1人1人が生き生きとしているかということを前の会議でも申し上げたような気がするんですけど、どんなに一生懸命働いてもなかなか自分の思いが達せないというような人は、やっぱり生き生きとしていないかわいそうな人だなという印象を持ってしまうので、生き生きとしているか、1人1人がちゃんと命を……、存在が確認されて、存分に命が認められて1人1人の市民が生きているかというあたりのところを私は特に強調してこのあたりに入れてほしいという思いがします。
 特に心を病んでいる人たちをここのところ接することが多かったりしているので、ちょっと話が飛びますけど、役所、公務員の方たちでも大分心を病んでいて、引きこもっていて、国民の目線からいうと、税金からお給料を払っている人が、実際には働かないでそういう治療に当たっているということはやっぱり正常な形ではないので、みんなが元気に生き生きということが力になるんだというあたりを、このあたりにちょっと入れてほしいなという思いがします。お願いします。
【飯盛委員】  この最終取りまとめへの追加項目という意味ではなくて、コメントでございます。
 13ページに地域おこしに取り組む大学、教員、学生をネットワーク化して、それを総務省さんがサポートしてくださることに取り組むという力強いお言葉があって、大学人としてありがたいと思っています。
 前に一回申し上げたように、地域における大学の役割は非常に大きいものになると私は考えております。1つは、さっきから議論の出ている人材育成の府であるということが1つと、もう一つは、新しい知識とか技術とかが集積しているというのが1つ。だから、さっき言ったICTの利活用などは大学が得意とする分野だと思ったのが1つと、あとは、これだけ地域の中に行動力のある若い人たちが集まっている拠点というのは大学以外にないと思うんです。うまくこういう資源を、これまた1つの地域資源だと思うので、活用すべきだと思っています。
 さらに、この地域で活動するような人たちを育成するための研修内容みたいなことを次の項に書いてありますけれども、ここが実は今、いろんな全国を見ても試行錯誤されている場合が多いと思っています。なので、実際これを運用されて、進められていく際に、ぜひ一度、全国の大学とか、もちろん自治大学校様も含めて、地域活性化センターさんとかも含めて、こういう地域関係に関する講座の内容について、どういう取り組みをされているか、最終はどういう成果をだしておられるかなどを調査していただければと思っています。最近、大学でもいろんな地域再生とかに関する授業が増えてきておりますので、もちろん都市工学系からもありますし、社会学系からもあるし、いろんな系統があると思います。とにかくこの地域力創造に関するそういう研修などを一斉にある程度調査していただいて、まとめられるとありがたいです。これは、例えば産業活性化とかベンチャー育成系では結構よくやられている調査ですので、これを地域づくり系でもやっていただくとありがたいかなという気がしております。コメントです。以上です。
【月尾座長】 この会議の最初のころに、外郭団体へデータベースの作成をお願いしましたが、そのような組織に検討していただいてもいいかも知れません。
【地域力創造審議官】  今の後段の話は、実は来年度の重点的な施策として別途研究会を設けて、予算もとってありまして、やろうと思っています。私は実はきのうも内閣府の人を呼んで、地域活性化システム論の全大学のやつを聞いたりしていたんですけども、当然そういうものを踏まえながら、大学レベルの教育の少し底辺を広げたものを地域活性化センターのリーダー塾みたいな大学の先生にお願いしてやっている部分があって、そこは数量的にちょっと足りないので、もう少し増やしたいという感じがします。
 実際に活動している人たちも、やみくもにほかの地域の話を聞いて、「すごいな、まねしてみようかな」というような感じのやり方が今まで多いんですけども、そうではなくて、やっぱりもうちょっと要素分解して、この地域はどうして成功したのかという、経済の面でこういうすぐれた視点があったから成功したとか、マーケティングが非常にうまくできたとか、あるいは組織づくりがうまくいったとか、いろんな成功例にもアクセントがあったり、あるいは特徴があると思うんです。10年、15年、20年かけて地域づくりをやるんであれば、そういうものを実際にやった人たち、あるいは指導した人たちからそういうものを少しずつでも勉強していけば、徒弟奉公的に何か見よう見まねでやるというよりはいいんじゃないかと思ってこういう発想をしているわけです。もちろん一番上の頂点の大学教育、それから2番目のリーダー塾のカリキュラムみたいなものも含めて、今調査を始めていますけど、来年の研究会で十分検討して、そして一般の人たちにも受け入れられやすい易しい経済学とか易しい金融とか易しいマーケティングというのを勉強できるようにしたいと思っています。
【月尾座長】  多数のご意見をありがとうございました。今日のご意見を反映して、取りまとめ案を次回までにつくっていただき、事前にお送りして読んでいただいて、ご意見をいただくか、出席できない方は、事前に意見をお送りいただくということにして、次回で最終的な取りまとめを終えたいと思っております。
【地域振興室長】  本日は、大変ありがとうございました。
 次回につきましては、先ほど座長からございましたとおり、最終取りまとめ案につきまして、引き続きフリートーキングを予定してございます。できましたら、次回で最終取りまとめを確定という形にさせていただければと思っております。
 また、次回の日程につきましては、後日、改めて照会させていただきますので、お忙しいところ申しわけございませんが、ご回答のほど、よろしくお願いいたします。

速記担当:(株)大和速記情報センター
金丸 奈津子

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地域力創造に関する有識者会議
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