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地域力創造に関する有識者会議(第10回)

日時

平成22年6月16日(水) 13:30〜15:30

場所

三田共用会議所 第2特別会議室

議事次第

1.開会

2.議事
 事務局説明
   ・「最終取りまとめ(案)」について

 委員間のフリートーキング  等

3.閉会

配布資料

資料 「地域力創造に関する有識者会議最終取りまとめ(案)目次」PDF
資料 「地域力創造に関する有識者会議最終取りまとめ(案)」PDF
【備え置き資料 】
資料 「中間取りまとめ」
資料 「関係府省等ヒアリング資料」

議事録

平成22年6月16日

【月尾座長】  第10回の地域創造力有識者会議を始めさせていただきます。
 本日議論をいただく「最終取りまとめ案」については、事前に委員に個別にご意見を伺い、そのご意見を反映した案ができております。最初に、その案を説明いただいて、その後、ご意見をいただこうと思います。
【地域振興室長】  まず、私から今回の「最終取りまとめ案」についてご説明申し上げます。本日の資料でございますが、本文につきましてまとめた冊子と、資料編の2分冊としておりますので、ご確認いただければと思います。
 また前回の会議では「素案」についてご議論をいただいておりましたが、事務局におきまして前回の会議でいただきましたご意見のほか、個別に委員からいただきましたご意見に基づきまして、この「最終取りまとめ案」の立案作業を行ってまいりました。本日は特に前回の会議でご議論いただいた「素案」との違いを中心にご説明申し上げます。まず全体の構成からご説明申し上げます。
 表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんいただければと思います。まず前文の「はじめに」の次でございますが、1としまして、「地域力創造に関する今後の施策の在り方」を初めに記述をしてございます。前回の会議でご議論いただきました「素案」におきましては、この会議での実際の議論の経過を踏まえまして、1番目としまして「地域力の向上に取り組んでいる事例発表を踏まえた委員からの主な意見」、2番目としまして「関係府省からのヒアリングを踏まえた委員からの主な意見」、3番目としまして「地域力創造に関する首長アンケートの結果」、その次にこの1を記述してございました。今回の最終取りまとめ案では、この1が最も重要かつ中心的な部分であることから、一番初めの箇所に、記述を移動しているところでございます。また、首長アンケート結果など、資料編にまとめたほうが、見やすさという点から適切と考えられる記述につきましては、資料編に移動させているところでございます。
 次に、実際の記述の修正内容についてご説明申し上げます。おおむね前回ご議論いただきました素案における記述を修正した箇所につきまして、下線を引いているところでございます。まず1ページでございます。「はじめに」のところをごらんいただければと思います。前回のこの会議におきましては、「はじめに」につきまして、委員からさまざまなご意見をいただいたところでございます。例えば、政権交代に伴い「緑の分権改革」が開始された経緯を書くべきではないか。また、コミュニティを取り戻したいという危機感は高まっているが意識は必ずしも高まっていないのではないか。また、全体的に暗いイメージがあり、よりポジティブに日本人が持っている潜在的な力などについて記述をするべきではないか。また、グローバルな時代であり、日本人だけでなく国際的にも開かれた形に地域づくりを考えるべきではないか。また、地域づくりの活動範囲は行政の区域とは必ずしも一致していないことに留意する必要があるのではないか。このようなさまざまなご意見をちょうだいしたところでございます。このようなご意見を踏まえまして、「はじめに」の部分につきましてはほとんどすべてを書き改めているところでございます。
 まず1ページの1パラグラフ目でございますが、全体としてポジティブな動きが地域において見られること。また、このような動きを大きく育てていく必要があることを記述をいたしまして、2パラ目でございますが、一方におきまして地域においてはさまざまな課題があることを記述しているところでございます。その上で、1ページから2ページでございますが、有識者会議における議論の経過や政権交代に伴う経過を記述しまして、2ページの中間あたりのパラグラフでございますが、人々が持っている潜在的な力を掘り起こす必要があること。また、地域の外部の人の参画、交流を視野に入れること。地域づくりの活動範囲と行政区域は必ずしも一致しないことに留意する必要があること。また、「緑の分権改革」とこの提言が基本的な方向性を同じくしていることなどについても記述をしているところでございます。
 次に、人材力の強化に向けた今後の取組の部分についてごらんをいただければと思っております。4ページのところでございます。まず第1の柱としまして、個々の人材力の育成強化についてでございます。前回のこの会議におきまして、例えば地域におけるリーダーの役割、会計事務、書類作成事務などのサポート機能、事務局機能、リーダーを支える層の役割が必要であり、多様な育成強化メニューが必要ではないか。また、地域づくりのコーディネートについて、公務員が身につけるべき最低限やスキルについての育成を盛り込むべきではないか。また、民間の方を研修で受け入れる割合を高めるべきではないか、などのご意見がございましたので、これに関連いたしまして必要な記述を追加したところでございます。またその他、大学や大学院での教育との連携でありますとか、子ども農山漁村交流プロジェクトなど関連する施策についても追加をしております。
 駆け足で恐縮でございます。次に6ページをごらんいただければと思います。第2の柱、人材力の相互交流とネットワークの強化についてごらんをいただければと思います。前回のこの会議におきましては、さまざまな役割を担う多様な人々が集えるような交流拠点が必要ではないかとのご意見がございましたので、必要な記述を追加をしているところでございます。また、その他地方公共団体職員の自主的なネットワークを注視し、活動に協力することでありますとか、移住交流推進機構JOINに関する記述などを追加しているところでございます。
 次に7ページでございます。第3の柱、人材力を補完するための外部人材活用に対する支援についてごらんをいただければと思います。前回のこの会議におきましては、地域おこし協力隊など外部人材の活動をコーディネートする人材が重要ではないか。また、外部人材を呼び込む際には、国際的な関係で人材を考えていくことが必要ではないかといったご意見をちょうだいしましたので、関連しまして必要な記述を追加しているところでございます。また、地域が外部人材に安易に任せて、みずからの役割を放棄することがないように啓発するべきといった記述を追加をしているところでございます。
 また、8ページでございます。次に地域固有の資源を活用した地域力の高め方をごらんいただければと思います。前回のこの会議でご議論いただきました素案におきましては、この部分につきましては論点を箇条書きとしておりましたが、今回の案ではこれを文章化をしているところでございます。また、人材力の部分と同様に、第1から第3までに内容を分類をして記述をしたところでございます。これは前回のこの会議において、この(3)地域固有の資源の部分について、1番目として、地域資源の発掘、再生、保全、充実、2番目として、人材力との結合による地域づくり、3番目として、地域づくりの評価視点、4番目として、支援策との構成に整理をできるのではないかというご意見をちょうだいしておりまして、それを踏まえてこのような構成としているところでございます。なお、先ほど申し上げました構成の4番目の支援策については、別途(4)としまして独立をさせているところでございます。まず第1の視点の地域資源の発掘、再生、保全、充実のところをごらんください。
 前回のこの会議におきまして、庄内映画村が新しい産業としてできたのは、自然環境や使われていない土地がうまく使われた、いわば地域固有の資源を活用したということであり、地域資源は埋もれているものを発掘すること、新たな資源をつくり出すという発想が必要ではないか。また、従来はマイナスと思われているようなものであっても、利用の仕方によっては有意義なプラスの地域資源になり得るのではないか。また、行政に何らかの新しいアイデアを持っていくと前例がないとよく言われてしまうが、これまでとは全く違う発想を取り入れていくという柔軟な姿勢が行政にも必要ではないかといったご意見がございましたので、関連しまして必要な記述を追加しているところでございます。
 次に9ページでございます。第2の視点、地域資源を活かした産業と人材力との結合による地域づくりをごらんください。前回のこの会議におきまして、地域における大学の役割は人材育成という点で非常に大きく、地域資源の1つではあるので活用するべきではないかというご意見がございましたので、必要な記述を追加しております。
 次に第3の視点、地域づくりの評価視点をごらんください。前回のこの会議におきまして、精神的な安らぎや安心感を得ることができる地域かどうかということを評価の視点に加えることが必要ではないかというご意見をちょうだいいたしましたので、関連しまして必要な記述を追加しているところでございます。
 また、10ページでございますが、(4)これからの国の地域づくりへの支援策をごらんいただければと思います。前回のこの会議におきまして、地方公共団体における施策全体の自律性をより拡充するべきではないか。義務づけ、枠づけの見直しを進めるべきではないか。また、地域力を高めるために積極的にICTを使うべきではないかとのご意見がございましたので、関連しまして必要な記述を追加をしているところでございます。また、従来のような補助金によらない国の支援方策としまして、関連する情報の集積でありますとか、アドバイザー機能を果たすこと。また、国家公務員の政策立案機能の強化といった資質の向上についても記述を追加しているところでございます。
 また、12ページでございます。大きな2番としまして、地域力の向上に取り組んでいる事例の発表を踏まえた委員からの主な意見についてごらんください。前回のこの会議の後に、個別に委員からいただいたご意見でございますが、これまでご紹介した意見のほかにも例えば、一見豊かに見える大都市部でも地域力が低下をしているのではないか。また、地域の産業として観光に着眼することが大切ではないか。また、NPOなどと行政とで、官民が協働して成果を共有する仕組み、気風を確立していく必要があるのではないかとのご意見をちょうだいしてございますので、なるべく委員のご意見を反映させるために、この部分に追加しているところでございます。
 また、前回のこの会議でご議論をいただきました素案におきましては、その他の関連する取組としまして、総務省の関連施策が列記されていましたが、唐突感があるのではないかとのご意見がございましたので、資料編に移動をさせているところでございます。また、地域おこし協力隊など成果が上がっているものにつきましては、実績をPRすることも必要ではないかとのご意見がございましたので、資料編のほうにおきまして、地域おこし協力隊などにつきましては具体的な数値を記述をしまして、その実績を記述しているというところでございます。
 その他でございますが、地域おこし、地域活性化、まちづくりといった用語がありましたので、地域づくりに統一してはどうかというご意見を前回ちょうだいしておりましたので、極力地域づくりで統一しているところでございます。また、府省ヒアリングのところについて、府省という表現で大丈夫かとのご指摘もございましたが、内閣官房地域活性化統合事務局からもヒアリングを行っておりますので、関係府省等という表現で統一をしているところでございます。
 また、この提言でいろいろご指摘をいただいております総務省の関連施策につきましては、事務局といたしましても今後この提言を踏まえまして、積極的に展開をしていくつもりでございますが、その進捗状況や今後の予定などについては、改めて整理の上、事務的に後ほどご報告したいと考えているところでございます。事務局からの説明は以上でございます。委員各位のご意見をちょうだいできれば幸いでございます。以上でございます。
【月尾座長】  ご説明いただいた内容は、事前にいただいたご意見を反映させていると思いますが、さらにご意見があればお願いしたいと思います。過去9回の議論をまとめた提言部分が重要だと思いますので、それについて書かれている10ページまでについてご意見をいただき、その後、11ページ以後についてもご意見があれば、言っていただくようにしたいと思います。
【江尻委員】  大方まとめていただいたもので私はいいと思っているんですが、ただ1点だけ気になりましたのが5ページのところです。子ども農山漁村交流プロジェクトについての記述なんですけれども、おそらく考えていることは私と同じなんだろうと思うんですけれども、この部分は子供たちが農山漁村に行って、そこのよさ、日本のよさのようなものを体験する中で、何と言うんでしょうね、日本の地域の中でのよさや、それから都会だけではない地域というものがあったりとか、それから生きる場があるというようなことを知っていく中で、いろいろな地域の特徴や、それから生活の価値というものを体得していくということが1つの目的になっていると私は理解しています。
 そうである一方、都会の暮らしというものもまた地域の一つと言えるのではないかと思うんですね。そういうふうにして考えますと、ここの記述が農山漁村だけが地域というふうに受け取られてしまうように読み取られてしまわないかと思いました。地域の事例の一つとして農山漁村に行くことによって、子供たちが自分たちの地域を見直すようなきっかけになるというところでとどめたらどうかなと思いました。
 6ページの1行目のところに、将来地域で活躍する人材を育成すると書いてあるんですが、この農山漁村交流プロジェクトがそのままストレートに育成するというところまで果たして言い切れるのでしょうか。ヒアリングでは、そこまで言いきっていなかったと記憶しています。これは将来地域で活躍する人材を育成するきっかけになるというくらいのところでとどめておいたほうがいいのではないでしょうか。以上です。
【月尾座長】  これは、既に今行われているプロジェクトですか。
【人材力活性化・連携交流室長】  人材力活性化・連携交流室の宮田でございますけれども、これは農水省と文科省と一緒に事業をやっていまして、特にこの取り組みを促進するために私どもも市町村長さん、地方の方にお会いしてという中で、やっぱり地域で育って皆さん地域から出ていってしまう、地域のよさを知ってもらうという面ではこういうプロジェクトの大事さというのも非常に理解していただいているので、ちょっとこういう書き方をしたわけでございます。2点目のご指摘いただいた育成するというのは、確かにちょっときつ過ぎる部分があって、そのきっかけといいますか、まずそういうことを小学校の五、六年生ぐらいのときに原体験というか、しておくことが次に何かあったときに非常に大きな力になるということがわかっておりますので、そういう趣旨で表現をちょっと弱くといいますか、考えたいと思います。
 それから、もう1つの最初のご指摘なんですが、趣旨はよくわかって、都会の子供が農山漁村に行っても、やっぱりその地域のつながりとか人とのつながりというのがあるだろう。体験活動から帰って自分たちの地域でももう1回再発見する。都会では農村地域と違って少なくなっているかもしれませんけれども、そういうのを再発見してというご趣旨だと思いますので、表現は今すぐ思いつきませんが、考えさせていただきたいと思います。
【月尾座長】  ただし、農山漁村交流プロジェクトの内容は、既に実施されているプロジェクトの目的が紹介されているだけですから、修正する必要はないのではないですか。
【人材力活性化・連携交流室長】  人材を育成とまでは実は書いていませんで、文科省はやはり子どもの体験活動を非常に重視していて、そういうことをすることによって例えば学校の中の人間関係、いじめみたいなのが解消されてきたりとか、それからいろいろな問題意識を持つことによって、授業に対する集中度と理解度が進んでいく。そういう視点を特に文科省のほうは意識されています。農水省は地域の活性化というところを意識しており、ここの最後に書きました将来地域で活躍する人材を育成するというのは、その中には書いてありません。昨年から、3省一緒に地域などを回っている中で市町村長さんがこの重要さ、その地域を知ってもらって地域に残る人間が必要なんだということをおっしゃっている方も多くいらっしゃいましたので、このあたりをちょっと書き加えて、その定義から一歩踏み出して書き加えているというところでございます。
【月尾座長】  それでは、現在行われている農山漁村交流プロジェクトの目的をそのまま書いていただいたらいいと思います。それから最初のご意見については、「多くの子供たちが生活している都会だけではなく、農山漁村における体験活動を通じて」というように修正すればどうでしょうか。
【江尻委員】  はい、そうですね。ありがとうございました。
【月尾座長】  それでは、前半のご指摘については、地域で活躍する人材を育成することは希望ではあるけれども、違う環境を体験することも重要だということをわかるように書いていただくことにします。
【小田切委員】  私は、前回欠席をさせていただきまして、そのとき簡単なメモをつくらせていただきました。構成にかかわるところ、あるいは文言にかかわるところ、そういったところを見ますと、すべて直していただいておりますので、あるいは前回の議事録も拝見させていただきました。それを見ても端々も含めて、十分修正をされていると思います。
 その点で、少し大きな論点になりますが、ご検討いただきたいことを一点だけ申し上げてみたいと思います。大きな課題として人材ということを、こういった中央省庁がかかわる文章で、とりわけ強調したということは大変意味があるというふうに思っています。それで今まで、地域づくりというのは最終的には人材なんだという、そういう主張を我々もしていたし、いろいろな方々がしていたんですが、実は地域の反応はそれに対してさめております。反応は2つありまして、1つは当たり前じゃないかという反応が返ってくることがあります。このように認識していただければよろしいんですが、問題なのは2番目のほうで、それを強調すると、だから何なんだというのかという反応が返ってくることが少なくなかったと思います。それでこれは実は2つの背景があって、少しキーワード的に言うと、ある種人材をめぐる誤解といいましょうか、思い込みといいましょうか、そういうものが2つあるというふうに思った。1つは人材の地域内給原則といいましょうか、内部から供給する。人材というのは地域の内部から供給しなくてはいけないという思い込みです。したがって人材が重要なんだというふうに言うと、うちの村では何もできない、うちの集落では何もできない、だから何なんだという反応、それが返ってきたりする。ところがそうではないんだ。外部のサポーター、人材の面でのサポーターという考え方も十分あり得るし、そういう施策も動き出しているんだという、それをこういう形で強調するというのは、実は大変意味があるというふうに思っております。
 それから2番目の背景は、こういう言い方をすると一番冷たい反応をするのは実は、地方自治体の公務員でありまして、その重要性はわかるけれども結局私たちの市町村では、何もできないんですよという、つまり人材をめぐって自分たちが何かお金を出しても何かできるわけではないんだという、そういう意味でだからどうしたんだという反応が返ってくることがあります。これも言ってみれば、人材にかかる行政の無力原則といいましょうか、そういったものが支配しているというふうに感じております。今申し上げた人材の地域内給原則、あるいは人材にかかわる行政の無力原則がそうではないんだということが強調されているのが、今回の最終報告の非常に大きな特徴だと思っております。
 そうであるとすると、この文章がそのまま流れて、強いメッセージ性がないとすると、また人材の話なのか、だから何なんだという、そんな反応が返ってくる可能性もあるというふうに感じまして、その点でこの文章のタイトルをつけていただくと、例えば「あきらめるな、人材力」とかですね。あるいはもちろん地域資源のことを言っておりますので、それだけではとどまらないと思いますが、そうしたある種の非常に強いメッセージ、今まであきらめていたのはそれは間違いであって、新しい実態も考え方もこういうふうに動き出しているんだという、それがわかるようなタイトルをつけていただくのが1つの方法ではないかと思っております。
 前回そのことも含めてメモを出すべきだったんですが、改めまして最終文章を読んで、私自身の経験からそのことを考えました。以上です。
【月尾座長】  この最終取りまとめに、ご副題をつけるということですか。
【小田切委員】  はい。おそらく最終取りまとめではなかなかメッセージ性がないということで、これ自体にまさに副題という形で、それが公表するときにはメーンタイトルとなるような、そんなこともお考えいただきたいと思います。
【月尾座長】  報告書が注目されるようにしなさいというわけですね。最近は役所の報告書も副題を付けることが多いですから、検討してもいいと思います。
【地域力創造審議官】  宮田室長の室は従来のコミュニティ交流室という、コミュニティの問題に特化したようなことで、いろいろ研究会もやってきまして、それなりの成果も上がっているんですけれども、コミュニティの組織論のほうは行政局の本体のほうが合併の一段落ということで、いろいろなそれにかかわるこれから住民そのものにかかわる制度をどうしていくかという中で、担当していこうということになりまして、我々はコミュニティの問題も結局は人材の問題だというふうに考え、それからNPO、地域づくり団体、そして公務員、さらには小中学生とか大学生も含めて、この人材育成というものを総合的に考えていくセクションにしようということで、実はすでに4月から人材力活性化・連携交流室という室に衣がえをして本格的に始動しております。そういったメッセージも含めて、例えば地域の人材力の活性化、「あきらめるな、地域の人材力活性化」とかですね、ネットワークも含めてそういうようなことをつけ足していただくことは、組織改正とも見合って非常にいいのではないかと、今感じたところでございます。検討させていただきたいと思います。
【月尾座長】  例えば、地域が人材を育てることは決して不可能ではないというようなニュアンスを出したいということですか。
【小田切委員】  はい、そのとおりです。人が地域をつくるというのは十分わかっていただいているんですけれども、それを強調してもフリーズしてしまう。だから何なんだという、そんな反応が多いというふうに思います。
【月尾座長】  本日の会議が終わるまでにアイデアを出していただくとして、なければ考えさせていただくということにします。
【杉澤委員】  とてもきちっとわかりやすくまとめていただきましてありがとうございます。私も全く現実に直面しないと気がつかない人間だなということをここ数カ月感じているのは、私どもの住んでいる市が3月23日に合併しまして、大体大まかな青写真は自分の中でできていたつもりなのに、いざ合併をしてみると全く想像しなかったことがいろいろ出てくるし、やっぱり前例にないことはなかなか動かないという行政側の体質がとっても壁になっていて、新しくなったんだから変えなきゃというところがなかなか動き出さないので、今非常に苦しんでいる状況です。合併をして3カ月ぐらいのところで。なので、やっぱりこの地域力というのは、何か変わったときにまた新しいものを生み出されるんだということをちょっとこの中に入れるべきだったかなということを思っていて、ですので最初のところでもいいから、平成の大合併を終えてとか平成の大合併を一段落してとかというくだりをちょっと一言欲しいなという気が、今、しています。
 やっぱり何でもコミュニティそのものも全部合併していかなくちゃいけないとか、仕組みや制度も新しくつくっていかなきゃならないということに直面している市町村が、今多いと思うので、今新たな力を生み出す時期なんだということをちょっとこの中に盛り込んでいけば、関心を持って読んでくれる。そして何かチャンスを、あるいは何かヒントをもらって動き出してくれるんじゃないかなということが第1点であります。
 それからあとは、細かいことで5ページの一番最初のパラグラフのところで、最後のしめのところが、これは行政の側と民間やNPOとが一緒に交流をしながら研修していこうというようなくだりなんですが、最後のところを読んだときに、なかなかできていかないのはやっぱりその研修会の持ち方の日程だとか、それから参加費の支援だとか、それからどういう研修会があるという情報の発信の仕方だとかというのが、民間やNPOになかなかそぐわない状況であるということで、最後のところを「受け入れる割合を高めていくために、民間人やNPOの受講者が参加しやすい条件整備が必要である」というような形に具体的にこうしてほしいということを、文言として入れることがいいのではないかと思いました。
 それから、細かいことばかりですけれども、次の中にちょっと入るのかどうかな。ヒアリングの中で、いろいろなセミナーや講座などが終わった後の受講生のフォローアップが不十分だというようなことが出ておりましたので、そこに対する支援。だけれども、あまり締めつけるような形で、受講した人の会みたいなのをつくって、またそれを市町村が何か管理するみたいでは動かないと思うので、受講者の受講後の緩やかなネットワークの構築や活動の支援を行うというようなことが入っていれば、ちょっと動きやすいかなと思います。せっかくいいセミナーを受けてきたのに担当部署が変わっちゃうと、もう全くそのことは知らなかったような感じで次の仕事をしているという職員を見ると、とても悲しいので、受講後の何か支援を積極的にしていこうという姿勢がこの中に入っていればいいなと思いました。以上です。
【月尾座長】  1番目のご指摘については、2ページの中段に「地域づくりの活動範囲は行政区域と一致しない場合もあり、行政区域を越えた活動をする場合は、地方公共団体と連携しながら」と書いてありますが、それとは違う意味ですか。
【杉澤委員】  新しい行政区画ができたのでその行政区画の中で、こういう提言をしたいということです。
【月尾座長】  1ページの2番目の段落で、地域を取り巻く環境が変わっているという文章の中に「しかしながら、我が国は平成の市町村大合併がひとまず終わった段階であるが、依然地域を取り巻く環境は極めて厳しい」というように書けばいいですか。
【杉澤委員】  はい、そうです。
【月尾座長】  2番目に言われたことは、5ページの1番目の段落で、「民間人やNPOの受講者を受け入れる割合を高めていく条件整備が必要である」ということでいいですか。
【杉澤委員】  はい。
【月尾座長】  それから、受講した人の緩やかなネットワークづくりについては、今の箇所の続きでいいのか、別なところですか。
【杉澤委員】  次の段落です。
【月尾座長】  勉強したのに、その人限りで終わってしまってはもったいないということですね。
【杉澤委員】  はい。
【月尾座長】  この7ページの最初の○のところに書き加えるのはどうですか。「NPO等が主体的に取り組んでいる人材育成・交流に関する事業のノウハウを、官民連携のもとに他の地域や他の分野に移転する仕組みづくりを進める」と。それは人がかわっても維持されるような……、どうこうというふうに書くと。だから「他の地域や他の分野に移転し、また担当がかわってもそれが維持されるような仕組みづくりを進める」と。
 つまり人材がそのノウハウを得るんだけれども、それが簡単に言うと空間的にも広まるというのはここに書いてあるわけね。そうすると時間を経過しても受け継いでいくような仕組みづくりを進めると。そんなことをここのところに書いておけばいいですか。違う、どこか別の場所がいいですか。
【杉澤委員】  いいと思います。
【月尾座長】  そうですか、はい。じゃあ今のご意見に対しては……。
【人材力活性化・連携交流室長】  座長、済みません。今の座長ご指摘のところなんですけれども、この7ページの2つ目のパラグラフ、実質1番上のパラグラフのところですけれども、これは例えばNPOが人材育成を東京とか北海道とかでやっていた、それを宇和島とか別の地域で、要するに地域が変わったら人とか条件が違うのですができるかどうかということを実証実験をしてみようというものです。ネットワークという趣旨ですと、むしろこの6ページの一番上のあたりに、研修受講者のネットワークというのもこういうネットワークづくりの中で考えていくというような趣旨で書き込んでいくイメージかなと思いました。
【月尾座長】  わかりました。それでは、○がついている前の第2の柱のすぐ下に入れてください。
【人材力活性化・連携交流室長】  はい、そのあたりで。
【月尾座長】  整理すると、1つは我が国の環境の変化が1ページに書いてあるけれども、その中に平成の市町村大合併も終わったという状況を入れていただく、それから5ページの上は、民間人を受け入れる割合を高める条件整備も必要であるということを追加する、それから6ページの第2の柱の後に、学習した人々のネットワークができるようにするという内容を追加するようにします。
【堂垣委員】  読ませていただきまして、ほんとうにいろいろなことをばらばらと言ったことが、かなりきちんと書き込まれていて、まとまって反映されているのになったのではないかというのは第一印象です。ただ、すごく細かいところで幾つかちょっと感じたことがありますので、そのことについて述べさせていただきます。
 まず最初は6ページですね。6ページの真ん中あたりのパラグラフなんですが、「地域力創造データバンクの一層の拡充を図っていく」というところで文章が終わっているのですが、これはデータバンクみたいなものを拡充するということが大事だではなくて、結局これが利用されないと意味がないわけですので、拡充を図り利用されるようにPRをしていくとか、利用に結びついたことまではぜひ書いていただきたいなというのが1つ目です。
 2つ目は7ページですが、7ページの下から2番目の○のところなんですが、この最初の文章がかなり文章も短くしていただいてわかりやすくなっているのですが、この「都市住民を地域に受け入れる「地域おこし協力隊」制度や」というこの文章が、一読して意味がとれなかったんですね。これは何でだろうなと思いながら、この文章はもう少し何とかならないかなというのをちょっと思いました。「地域おこし協力隊」制度というのは、これは制度なんで、このかぎ括弧と「集落支援員」制度のかぎ括弧はわかるんですけれども、「目配り」にかぎ括弧が入っていることとか、若干意味が違うのも入っていることが1つあるのかなということと、「制度については地方公共団体が外部人材の地域への定着を促進することができるよう」、要するにこの「地域おこし協力隊」制度とか「集落支援員」制度の活用方法とか情報提供を行うということなんですよね、この文章は。
 ただ、そのことは「地方公共団体が外部人材の地域への定着を促進することができるような」、この入り方がちょっと意味がとりづらくしている原因のような気がするので、この辺の文章を少し直していただいたほうがありがたいかなと思いました。
 それと、このページの最後のパラグラフの2行目で、一定の熟度が求められるという、この熟度という熟語も、意味はわかるといえばわかるんですけれども、何かこういう言葉はあるかなと思いながら、何となくちょっと引っかかったので、一言そういうつまらないことで申しわけないですが。
 それと9ページの第3の視点とか、これで全然議論していない話なので、これは思いつきでちょっと言うことなんですが、「人々の幸福感、心の満足度、誇りといった点にも着目し」というまさにほんとうに評価していくということが、多分これから大事になるだろうなというのは非常に思うんですね。やっぱりGDPとかその手のものを中国に抜かれることももうすぐですし、もうそういう時代ではなくて、幸福度みたいなものを何かはかる指標みたいなものをどこかでつくって、そのことで競っていくような世界にしていかなきゃいけないんじゃないかなと思っているので、このことをもう少し考えられるぐらいよりも何かもうちょっと前向きな、そういう方向性を打ち出してもいいのではないかというふうにちょっとこのことは思いました。
 それと10ページですね。これも書き方の問題なんですが、真ん中あたりなんですが、「国と地方公共団体の役割分担の観点からは」というところで、「個別補助金の廃止、一括交付金の具体的な制度設計なども踏まえ、地域の内発的で主体的な取り組みを国が後押しするという形が望ましいと思われる」と。ほんとうにこのとおりだと思うんですが、この辺ももう少しどこまで埋め込めるかはわからないんですけれども、ほんとうに地方が自分で考えないと損をするような制度設計にしていかないと、自発性みたいなのを引き出せていかないと思うので、もう少しこの辺の書き方を強くできないかなということをちょっと思いました。
 あと、最後がこの11ページまでのところではないのですが、13ページのこれもほんとうにすごく小さくて申しわけないんですけれども、人材育成関連のところで、下から5番目の「人材を地域に長期に派遣する仕組みが重要」というこの文章の、この場合の人材というのは、これは中央の人材ということなのか、どういう人材を言っているのかがちょっと、あれわかったので、この人材がどういう人材を意味しているのか、もう少しわかりやすいような書き方ができないかなというのだけちょっと思いました。以上です。済みません、細かくて。
【月尾座長】  1番目はご指摘いただいたような形に直す。それから、データバンクの一層の拡充とその利用を図ると追加する。7ページは文章が何重にもなっているから、わかりやすくしていただく。9ページの幸福度については、幸福は人さまざまだから個人的には定量化するのは疑問に思っています。かつて、経済企画庁が都道府県を比較する数値を発表して批判をされたことがあり、堺屋経済企画庁長官が、視力と体重と身長を足して3で割ったような数値は意味がないという名言で中止になったことがあります。余談ですが、山梨県が生活にゆとりがあって豊かだと評価されて1番になったのですが、県知事が、失業率が全国1で、それが余裕と評価されて豊かだと誤解されているので、そういう評価はやめてほしいと発言されたことがあります。鳩山内閣のときに、幸福度の評価をするという話があったけれども、動いていない。
 したがって、定量化するのは疑問で、イギリスのニュー・エコノミクス・ファンデーションが環境を基準とした幸福度を計算していますが、新たに日本で計算するのはどうかと思います。
【堂垣委員】  私もそんなに強くは言えません。
【月尾座長】  それでは、幸福度の定量化は記載しないことにさせていただきます。10ページの内発的という表現をわかりやすくということについては、地域が自分でやらなければ国は後押ししないというようなニュアンスにするということですが、地域が努力すればそれに対して国も支援するというような表現にしていただきたいと思います。
【堂垣委員】  はい。
【西村委員】  はい。私も全体としてはよくまとめてくださったなと思っています。特に私たちの世界だとよく、まちづくりは人づくりだとか、まちづくりは宝探しから始まるという言い方をして、まさにこれがちょうどここでいう人材力と、それから地域資源の発掘ということにつながっているので、その意味ではすごく我々が普通日常的に考えていることと合っているなという感じがするんですね。
 ですから、あんまり不満はないんですが、1つだけ3ページの基本的な方向のところで、3ページの中段から下のところで、人材力が集まってどんなふうになるのかということが、下から2つ目と3つ目のパラグラフに書いてあると思うんですけれども、その全体のこういうことをやったのが最終的にどんな姿になるのかなというのを考えたら、どうもここで書いてあるのはすごくこの地域の人材のいろいろなリーダーが出てきて、ネットワークがあって、非常にかっちりといろいろなものがカバーされるという感じで、すごくかたい感じがするんですね。
 多分それが生まれてくる最終形というのは、分野によってかなりばらばらだし、1つの人材と全然違う人材が分野ごとに全然いろいろなことをやっていて、好きにやっていて、その奥行きがあるみたいな。1つのことをやっているチームもずっと頑張っているわけじゃなくて、最近のいろいろな動きだと仲間に入りやすくて、抜けやすいというか、あんまりかっちりしたものというよりも非常にフレキシブルなものがやっぱり最終的に長続きしているんじゃないかなと思うんですね。田舎は逆に非常に強すぎるし都会は弱すぎるわけだけれども、その中間みたいなもので、あまり強制していなくて。
 そうしないと何か人材バンクみたいなのが地域ででき上がって、がっちりしていて非常にかたい組織の中で行政にもそれを支援する仕組みがあって、もう全体カバーしていますみたいなのは、かなりかたい仕組みだと思うんですね。ですから何か例えばウインタースポーツで遊んでいる人たちはそこが熱心なので、ほかの部分があまり熱心でなくたってそれはそれでいいんだと思うんですよね。例えば自然保護で頑張っている人たちは、自然保護で頑張っているけれども、それ以外のことにはあんまり関心がないかもしれないけれども、そんないろいろなグループのいろいろな人たちが、それぞれあるいろいろなふうに重なり合いながら地域にあるというような、割合重層的でフレキシブルで、でも全体としてこんなことに大枠を見るとなっているというような地域の姿でなきゃなと思うんですね。
 そうすると、大きく見るとそれはほんとうの地域力だというような感じがするのでね。若干かたく感じるので、もう少しフレキシブルで多様で重層だという感じのニュアンスが一言、二言何か入るとそういう誤解を招かないんじゃないかなという感じがしたという感じがします。
【月尾座長】  どのあたりに書けばいいですか。
【西村委員】  例えば下から2つ目のパラグラフを、みんなが協力して活動していって、それで地域全体の人材力を補助するという。まあ、いいんですけれども、それを何かだれかが全体として、だれかが外から見ているというか、はぐくんでいるという感じで見られると、もうちょっと多様なものではないかなと感じるんですよね。ですから、多様だとか重層的だとか何か幾つか言葉を入れていただければ、ニュアンスは少し緩和されるんじゃないかと思うんですけれども。
【月尾座長】  そうすると、下3行の最初はカリスマ的人材だけがやるものではないと書いてあるから、その後の、それらの人々を発掘し、というあたりに、そういう人々が結果として1人ではなくて、そういう人々を中心とする多様で柔軟な組織が実現するということを、後半の3行に入れていただくということで宜しいですか。
【西村委員】  結構です。

【月尾座長】  一通りご意見いただきましたが、追加で思いつかれたらお願いします。特にないようなので、今日いただいたご意見を事務局のほうで反映した内容にしていただいて、それを委員の皆様に送るという形で処理をさせていただこうと思います。
 最後に椎川審議官からご挨拶をお願いします。
【月尾座長】  一通りご意見いただきましたが、追加で思いつかれたらお願いします。特にないようなので、今日いただいたご意見を事務局のほうで反映した内容にしていただいて、それを委員の皆様に送るという形で処理をさせていただこうと思います。
 最後に椎川審議官からご挨拶をお願いします。
【地域力創造審議官】  委員の皆様方にはおよそ1年半という長きにわたりまして、大変いろいろとご意見をいただいたり、ご示唆をいただいたり、ご協力いただきましてほんとうにありがとうございました。先ほど大体のこの最終の取りまとめ案というものをまとめていただいたわけでございますけれども、私どもとしては昨年中間取りまとめもいただきまして、成果物そのものというよりもとにかく走りながらでも考えて、いいことは即実行していこうということで、たくさんのことをこの有識者会議と並行して、実際に行わせていただいたつもりでございます。新しい組織でもありましたのでいろいろなことが具体化をしていったと思っております。
 ですから、この文章として出る最終とりまとめと私どもが実践としてやってきたこととは、すべてこれを読んで理解いただけるということにはならないと思いますけれども、そういう意味でこの取りまとめという成果物そのものよりも、そういった過程で先生方のご意見をいただき、私どもがやってきたことがまさにこの有識者会議の成果として、いろいろと出てきているんだというふうにご理解いただくと大変ありがたいと思っております。
 例えば、地域力創造データバンクというのは総務省の10から15ぐらいのいろいろな人材とか事例のデータの蓄積がございましたけれども、統一的にホームページで使えるようになっていなかったものを、統一をさせていただいて、さらに各府省にも紹介をいたしまして、もちろん都道府県なんかにはこれまでも紹介をしていたわけですけれども、各府省からも横断的にいい事例、いい人材についてはそこへ載せさせていただくというようなこともできたわけでございます。今後さらに地域主権時代ということで、補助金行政がほんとうに終わるということになれば、そういった縦割りを排除したいろいろなソフトな取り組みというものがますます重要になるだろうと思っておりまして、そういう意味で大変意味のあることではないかなと思っています。
 それから、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、この4月から人材力活性化・連携交流室という新しい組織をつくって、既に地域の人材力の活性化、主には育成、しかし交流とネットワークでいろいろなところから人材や能力を補いながら、地域おこしをやっていくということをできるようにしていこうということで、新たな勉強会とか研究会もいろいろ立ち上げさせていただいて、始めさせていただいております。そういう人材力の活性化と交流ネットワークの構想策定に着手をし、一部はもう実現をしている部分もあるということでございます。
 小中学校のまちづくり教育というものも、実際始まってきておりますし、地域実践活動を核にした大学の先生方のネットワークもつくり始めたところでございまして、そういうものと我々のやっていくことと、さらに地域がやっていることが有機的に連携していけば、すばらしい取り組みになっていくのではないかと思っております。新たな公ということも言われ始めまして、NPOと連携した人材育成、逆に公務員そのものがやっぱり地域社会の住民の一員として、そういうものに参画をし、場合によってはぞうきんがけをする。場合によってはリーダーシップをとるということで、いろいろな形態があると思いますけれども、とにかく住民と相対する立場でやるのではなくて、一緒になって地域おこしを、地域づくりをやっていくということをできるように、人材育成も進めていくとか、あるいはこつこつと集落のほんとうに一般の方々が15年、20年と地域づくりをやっておられるわけですけれども、そういう方々も成功事例を聞いて、よかったなとかそうやればいいんだと思いながらもなかなかそうはならないということで、いろいろなジレンマもある中で、やはり身近な経済とか、金融とか、あるいはものづくりでありますとか、あるいはマーケティングだとか、それから最近は高齢者もICTを活用して活動しないと、全世界がそういうことになっているものですから、地域づくりの面においても競争になかなか勝てないというようなこともある。逆にそれがどんな小さな地域でもICTを利活用すればチャンスがあるという時代になっていますから、そういうスキルをきちんとやっぱり勉強していくということも必要なのではないかということで、そういう活動をしながらごく身近な地域づくりのためのスキルを身につけていくということを、何とかできないかということで今検討を始めているわけでございます。
 そういう具体の取り組みが進んでいるということでございます。先ほども話がありました外部人材の件につきましても、今までは何となくやっているところはやっている。また、それについて各省庁がそれぞれの分野で、補助金を出すということはあったわけでございますけれども、私どもとしてはどんな地域であっても、自分たちが求める人材を自分たちのお金で呼び込むことができるという仕掛けをつくりたいということで、交付税を活用するのがいいのかどうかという議論ももちろんありますけれども、もともと地域づくりというのは自分たちのことでございますから、そういう努力をしたところに財政需要というものを、結果的にといいますか事前に審査をするとか申請をするとかということではなくて、結果としてそういう財政需要が発生しているところに財源が保障をされるというような仕組みの中でできないだろうかということで、既にやってまいっております。実は先日そういう地域おこし協力隊、集落支援員、それから外部専門家、アドバイザーの派遣事業を全部そういう形でできるようにしたことも踏まえまして、研修交流会みたいなものを実施いたしましたところ、全国から300名ぐらいの方々がお集まりいただきました。もちろん事例発表もさせていただきました。これからそういうものを活用したいという地域の方もおいでになりましたし、これは公共団体だけではなくてNPOだとか、地域づくり団体も含めてそれだけの方が総務省にお集まりをいただいて、その後いろいろと名刺交換や情報交換をしていただく中で、我々がなかなか手の回らない地域サポーターみたいなもののネットワークを自主的につくって、自分たちで高め合っていこうという動きも出て参りました。
 このようなネットワークを通じまして、情報交換をして、あるいは困りごと相談をするというようなことも実はできかかってきておりまして、大変ありがたいことだなと思っております。私どもが主導するということではなくて、そういう関係者の方々が自主的、自発的にやるものを私どもがバックアップしていくということが、現にできてきているわけでございまして、そういう意味でも大変ありがたいことだと思っております。
 そういうふうにこの1年半の間にいろいろご議論いただいて、文章にしたものももちろん大事なんですけれども、そういう具体の取り組みができたということに対しまして、ほんとうに先生方のご助力に感謝をしたいと思います。今後も地域主権改革と緑の分権改革ということで、車の両輪で進んでいくということになると思います。地域主権改革というのは行政とか政治上の中央集権から地方分権という動きでございますけれども、緑の分権改革というのは、ありていに言えば経済とか社会のシステムも明治維新以来、中央集権的な構造に変えていくという、それが一番効率的でいいことなんだという考え方のもとで、いろいろなことが進められてきたように思いますけれども、ここで一度経済社会システムの分権化というものもあわせて考えなければ、政治行政の権限や財源が幾ら分権しても地域は元気にならないのではないかという問題意識から出てきていることだろうなと私は理解しています。いろいろなことを今勉強させていただいていますけれども、そういう車の両輪で進んでいくということは、非常にいいことではないだろうかと思っているわけでございます。
 そういった、社会あるいは行政体制になっていくときに、国の地域活性化方策というのはどういう姿になったらいいのかというのは、大変悩ましい問題でもあります。今まで経験もしたこともないわけでございまして、そういうことについてもお触れをいただいたし、議論もいただきました。今後ともこの問題は地域主権改革という、あるいは緑の分権改革というのは、多分今後数年間かかって進んでいくと。今までよりもスピードアップして進んでいくということに多分なると思いますけれども、その間に私どものこういうセクションというのは、それが完成した暁に国の地域活性化方策というのは、地方と役割分担をしながらあるいは連携をしながらあるいは地域の努力を支援する形で、何をやったらいいのかということをもっと深く考えていく必要があるということだろうと思っておりまして、そういうご示唆もいただいたことに大変感謝をしております。
 そういう中で私どもも、この最終報告書、最終取りまとめというものを大切にしながら、今後とも職員一同頑張ってまいりたいと思いますので、先生方の引き続きのご支援、ご助力をよろしくお願い申し上げまして、私のごあいさつにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
【月尾座長】  ありがとうございました。4月の終わりころに緑の分権改革の会議があり、私も出席させていただきましたが、やはり政治も変わったという感じがしました。従来の大臣のご挨拶は、役所が用意した文章を大臣が読むということでしたが、原口総務大臣は七、八分、ご自分の意見を述べられました。それだけで判断するのも問題ですが、政治も変わったという印象でした。
 椎川審議官のお話にも出てきたように、これは大きな日本の転換です。8カ月以上前になりましたけれども、鳩山総理大臣が国会の冒頭で意見を述べられたときに、無血の平成維新と言われたのですが、この言葉は重要だと思います。100年単位の大転換をするということですが、その1つが、この会議でご議論いただいたような、地域が自分たちの考えで地域を統治できる形に変えるということです。そういうことに対して有益な意見をいただいて、まとまったと思います。
 ただ、椎川審議官が言われた意見と違うのは、数年ではできないと思います。明治以来100年かけて中央集権国家をつくってきたので、それを地域主権国家に変えるためには何度も揺り戻しがあって数十年はかかると思います。総務省にお願いしたいのは、ほとんどの人がそうだと思う流れを現実の行政として実現していただくことです。
 委員の皆様方には10回にわたって、お忙しいところご意見いただきましてありがとうございました。それではこれで終わらせていただきます。

速記担当:(株)大和速記情報センター
石原 志朗

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