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総合職技術系(情報通信行政) 業務紹介

 総務省では、情報通信技術に関する多くの制度を所管しており、通信・放送関係業界を規律するほか、先端的な研究開発、情報通信技術の利活用の推進、5Gや4K/8Kをはじめとする我が国の通信・放送方式の海外展開・国際標準化、サイバーセキュリティなど、多種多様な施策を推進しています。

 情報通信分野の特徴としては、技術革新や市場環境(業界構造)の変化が早く、日ごとにサービスが多様化・複雑化している点、また情報通信技術が世の中のあらゆる分野に適用され、効率性・生産性の向上や新たな製品・サービスを生み出すことで、経済全体の底上げに資している点などが挙げられます。一方で、市場経済だけでは対応できない通信インフラや公正な競争環境の整備、利用者保護や信頼性/セキュリティの確保などへの要請は年々高まっており、またグローバル市場で日本の競争力を確保するため、イノベーションの源泉となる技術を生み出すことの重要性も増しています。

 このような中、総務省総合職技術系(情報通信行政)で採用されると、情報通信関係部局を中心に配属され、上記のような政策課題の解決を目標に掲げて業務を行うこととなります。各部局では、産学政官との議論による国家戦略・方針の策定、技術の進展や経済・社会ニーズの変化を踏まえた業界の規制や制度整備、予算や税制措置を用いた業界の振興、国際機関との連携・協調や各国との政策対話といった様々な切り口から、理系のバックグラウンドを存分に生かして幅広い情報通信政策のフィールドにアプローチすることができます。

総務省情報通信関係部局の紹介

 このページでは、情報通信行政を担う各部局がどのような政策領域を所管し、個別具体の取組を推進しているか、技術系職員の声とともにご紹介いたします。

各部局のミッションの紹介

国際戦略局 〜技術政策〜

加藤顔写真
 

技術政策課 課長補佐 加藤彰浩

  平成20年総務省入省。官房での国会対応や情報通信政策の総括係などの調整畑を歩み、行政管理局では国家公務員のワークスタイル改革を実践。在サンフランシスコ総領事館勤務時代はシリコンバレーのダイナミズムを目の当たりにし、イノベーションエコシステムの重要性を再認識。趣味は旅行、歴史を学ぶ、新しい人との出会いなどを通じて知らない世界を知ること。
 

5Gの次の6Gの世界を切り拓く

 携帯電話の歴史を振り返ってみると、約10年おきに世代交代が繰り返されてきました。当初は電話やメールという人々のコミュニケーションという手段に過ぎなかった携帯電話ですが、スマートフォンというデバイスの登場や通信速度の向上によりSNS、動画、決済機能など高機能化が進み、我々の生活に欠かせないモノとなりました。また、現在サービスが開始されている5Gでは、製造・流通、エネルギー、交通など個人の利用を超えて、幅広い産業での活用が期待されています。

 私は現在、国際戦略局技術政策課で、5Gの次の世代の通信技術であるBeyond 5G(いわゆる6G)の研究開発を担当しています。6Gが実用化されるのは2030年頃と言われていますが、今まさに世界各国で技術開発競争の火蓋が切って落とされようとしている中、日本が取るべき針路、打ち出すべき政策は何か、頭をひねる毎日です。6Gの実現には、通信インフラを構築する通信事業者、製品開発を担うベンダー、技術シーズを生み出す大学、新たな発想でイノベーションを起こすベンチャーなど多くのプレイヤーの力が必要となります。また、グローバルな市場展開や国際標準獲得のためには、研究開発段階から海外のプレイヤーとの連携が一層重要となります。 このような国内外のプレイヤーとの対話を通じて、国として必要な支援策をカタチにしていくのが我々の役目です。

 このように未来を創るエキサイティングな仕事が総務省には沢山あります。新しい時代を切り拓くためにはチャレンジ精神溢れる多くの仲間が必要です。皆さんが総務省の門を叩く日を心待ちにしています。

<シリコンバレーで開催したデザイン思考ワークショップ>

国際戦略局 〜国際政策〜

小澤顔写真
 

国際政策課 課長補佐 小澤亮二

 平成19年総務省入省。情報流通高度化推進室では医療ICTやテレワーク等の推進を担当。内閣府に出向し科学技術・イノベーション政策に従事。外務省に出向しODA(政府開発援助)による国際協力に従事。料金サービス課では接続料金制度等を担当。令和2年から現職。趣味はスポーツ。座右の銘は臥薪嘗胆。
 

経済・社会のデジタル化と国際政策

 皆さんは週に何回、スマホを使いますか?(これは愚問でしたね・・)

 携帯電話やインターネット、AIなど、ICT(情報通信技術)は日々進歩を遂げ、我々の生活の様々な分野に浸透しています。ICTの活用による国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成も期待されています。G7やG20等では、デジタル経済に関する議論の重要性が増しています。

 国際戦略局では、日本のさらなる経済成長、そして世界の社会課題解決への貢献に向けて、ICT分野の国際競争力強化を図るため、技術戦略と国際戦略を分野横断、一気通貫で推進しています。国際政策課では、我が国の強みを活かして世界のICTインフラ需要を取り込む国際戦略の下、官民一体で海外展開を図るための環境整備、官民ファンドによる出資等を通じた我が国企業の海外展開支援、国際ルール形成に向けた国際機関との連携等、総力的に取り組んでいます。

国連の専門機関ITU

 私の担当しているITU(国際電気通信連合)は、ICT分野における(1)周波数の分配、(2)国際標準化、(3)途上国支援を担う国連の専門機関です。私たちの取組みとして、例えば、途上国支援については、いまだに世界人口の約半分の人々がインターネットを利用できていないとされるところ、ITUと共同で、これら途上国を対象にデジタルインフラ環境整備に向けた支援等を進めています。また、日本は、これらITU活動における影響力維持・向上のため、半世紀以上にわたり理事国としてITUの運営にも貢献しています。

 経済・社会のデジタル化が時々刻々と進む中で、10年後、20年後の世界に想像を巡らせ戦略的に取組み、国際の場で活躍してみたいという方を、私たちは心から歓迎します。

<総務省フットサルチームのメンバー>

情報流通行政局 〜放送政策〜

 

放送技術課 課長補佐 服部恵二

 平成21年総務省入省。移動通信課では電子タグや車載レーダの、電気通信技術システム課では東日本大震災後の通信ネットワーク強靱化の技術基準策定を担当。その後、内閣官房等への出向や海外留学を経て、令和2年から現職。二児の父であり、自身のワークライフバランスの適正化に努める。
 

激動の放送業界を切り拓く

 日本で最初の放送が開始されてから95年という月日が経ち、伝統的な放送業界も技術の急速な進展による大きな変革の波にさらされています。放送メディアの市場規模は約4兆円と近年横ばいで推移していますが、動画配信サービスが急速に成長し、10代から30代はテレビ視聴時間よりもインターネット利用時間の方が上回り、テレビ自体を保有している世帯割合も減少傾向にあります。このような中、放送業界も地デジ高度化の検討、ハイブリッドキャストといった放送通信連携サービス、見逃し配信やインターネット同時配信といった新しい取組みを開始していますが、放送用周波数割当て、放送コンテンツの効率的・安定的な配信方策、その際の著作権処理など課題は山積しています。このように、情報流通行政局は放送業務の許認可だけでなく、視聴者のニーズを踏まえつつ公共放送を含めた将来のテレビのあるべき姿を見据え、必要な施策を講じていく重要な役割を担っています。

 その中で放送技術課は、放送用周波数の有効利用の検討、地デジ高度化の検討、衛星放送受信環境の整備、国内外の干渉波による混信回避方策の検討、放送設備の安全性・信頼性の確保等のほか、私が担当している日本の放送技術の国際標準化や普及促進の業務を行っています。日本はこれまでも先進的な放送技術を開発してきましたが、日本だけの技術に終わらせないためには国際標準化が必須です。そのため、国際担当は国際電気通信連合があるジュネーブに赴き国際標準化の会議に参加したり、国際標準化がなされた日本の技術を採用してもらうため、関係省庁やJICA、民間企業と連携をとり積極的に海外に売り込みにいったりします。放送技術課ではこれからの日本の放送業界の発展を担うダイナミックな仕事を若いときから任されることになります。

服部顔写真

<筆者近影>

情報流通行政局 〜ICT利活用〜

谷田顔写真
 

情報流通振興課 デジタル企業行動室 制度係長 谷田栞

 平成27年総務省入省。移動通信課では電波法の省令等の制度改正や情報通信分野の次世代技術の研究開発に携わり、その後、日本のICTシステムや放送技術の海外展開を担当。令和2年8月から現職。在宅時間が増えてからは、お酒を片手に映画やドラマを見る日々。
 

情報の利活用の可能性を探る!

 昨今では、ICT技術が進歩し、あらゆるお店でキャッシュレス決済が使えたり、テレワークで在宅勤務が可能となったり、遠隔医療や遠隔教育が実現したり・・・ 様々な場面でICT技術が活用され、同時に生活の中で多くの情報が流通するようになりました。今後は、さらにICTを活用し、デジタル化社会を推進することで、より豊かな生活を実現することが期待されています。

 このような社会変化に対し、情報流通行政局では、デジタル化を推進するための様々な政策を検討し実施しています。情報流通振興課では、誰もがデジタル活用の利便性を享受できるためのデジタル活用支援や、柔軟な働き方を可能にするテレワークの普及推進などに加え、情報の利活用を促進するための新しい取り組みを推進しています。 情報の利活用を促進するための新しい取り組みとしては、スマートフォンの普及等に伴い増加した個人の情報(パーソナルデータ)の流通・活用を進めることが注目されています。パーソナルデータを活用すると言うと不安に聞こえるかもしれませんが、昨今では、いわゆるデジタル・プラットフォーマーに個人の情報が蓄積されて個人に適した広告が表示されるなど、既にあらゆる場面で活用されているのです。

 では、どのように活用することができるのでしょうか?

 例えば、意識せずに蓄積された位置情報・購買履歴・検索履歴などのパーソナルデータを活用して、自分に最適なオファーを受けたりポイントを得たりすることが考えられます。活用しなければ何にもなりませんが、活用することで普段の生活を豊かにすることができるのです。

 一方で、日本では、自ら情報を活用することはほとんどなく、どのように活用すればいいのかわからないことが課題です。ここで現れたのは、「情報銀行」という仕組みです。 「情報銀行」とは、個人の同意の下で別の主体がパーソナルデータをコントロールし、個人に便益をもたらす仕組みです。情報銀行は、個人が信頼して情報のコントロールをまかせられるよう十分なセキュリティ基準、ガバナンス体制を整えています。このため、誰もが安心して情報を活用できる仕組みなのです。

 情報通信技術が急速に発展する中、数年前にはなかった新しい情報の活用方法がどんどん生まれています。パーソナルデータの活用のように、当たり前ではなかったことが、当たり前になっていく。このプロセスを間近で見られることは、総務省での仕事の面白さのひとつだと感じています。みなさんも、是非この面白さを一緒に実感してみませんか?

総合通信基盤局 〜電気通信事業政策〜

中川顔写真
 

事業政策課 課長補佐 中川将史

 平成23年総務省入省。入省してからプラチナバンドの周波数再編に係る制度整備、次世代移動通信技術の研究開発の推進、ASEAN地域へのICT国際展開支援、IoTセキュリティ政策やインターネット政策の企画・立案を担当。その後、UCLA公共政策大学院に留学し、令和2年8月から現職。学生時代から継続しているダンスが仕事に加えた生きがいで、おじいちゃんになっても身体が動く限りは続けていたいライフホビー。
 

技術の進展、市場構造や利用者ニーズの変化等に対応した電気通信事業分野のルール整備
〜事業者間の公正な競争の促進、利用者にとって安心・安全なICT利用環境の整備など〜

 電話の時代、インターネットと携帯電話の時代、ブロードバンドとスマートフォンの時代。電気通信の急速な発展により、この30年で経済社会の累次のパラダイムシフトが起こり、我が国の経済成長や生活の利便性向上に大きく寄与してきました。その発展の加速度は年々増しており、電気通信市場に参画するプレイヤーも国内外問わず多様化し(従来の通信キャリアやISPに加え、一部のプラットフォーム事業者、SNS事業者などのコンテンツ事業者等)、利用者も多種多様な電気通信サービスを享受できるようになるなど、電気通信分野を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。

電気通信の利用形態の多様化・高度化

 電気通信事業部では、このような変化の激しい電気通信事業分野において、電気通信の健全な発達や国民の皆様の利便の確保を図るため、電気通信事業分野における環境整備(主には事業者向けのルール整備等)を行っています。例えば、

  • 低廉で多種多様なサービスを実現するための、事業者間の公正競争の促進
  • 確実かつ安定した通信ネットワークを実現するための、安全・信頼性確保のための規律
  • 安心・安全なインターネット環境を実現するための、消費者保護ルールの整備やインターネット上の違法・有害情報対策
  • 地域におけるICT基盤の整備支援 など
に取り組んでいます。

 電気通信事業部の中で事業政策課は、電気通信事業法等の運用、電気通信市場の検証、電気通信事業分野の新たな法制度の検討、地域におけるICT基盤の整備等を行っています。私は電気通信事業分野の新たな法制度の検討を担当しており、昨年度はGAFAをはじめとした外国事業者の電気通信サービスを利用している我が国の利用者の利益を保護するための制度整備を行いました。具体的には、国内事業者だけでなく様々な外国事業者の電気通信サービスを利用者が使っている昨今、これら外国事業者のサービスで何かあった際(サービス障害により一時停止した、利用者情報が流出したなど)の利用者利益の保護が十分に図られているとは言えない課題がありました。これを解決するため、電気通信事業法上の制度整備を行ったものです。

 現在は、新たな業務として、我が国のブロードバンド基盤の在り方についての検討を行っています。Society5.0の実現はもちろん、コロナ禍により働き方やライフスタイルの急激な変化が余儀なくされた「新たな日常」においても、テレワーク・遠隔教育・遠隔医療などの安定的な利用のためにブロードバンドが一層不可欠となってきています。このようなニーズの高まり等の環境変化を踏まえ、我が国のブロードバンドは将来どうあるべきなのか、その政策課題に多様なステークホルダーとともに(時に頭を悩ませながら)取り組んでいます。

 電気通信事業分野は成長が著しく、一見成熟しきったように見えたとしても後に想像もつかないパラダイムシフトが起こりうる分野です。市場に参画するプレイヤー、技術・サービス、ユーザの嗜好、諸外国の動向など、どんどん多様化・複雑化し、不確実性も増していく。こういった環境変化を楽しみながら、様々なステークホルダーと議論して我が国に必要な電気通信事業政策・制度を作っていきたい、そういう特性・思いを持った方にはぜひともお勧めの職場です。

国際会議でのパネルディスカッション
<国際会議でのパネルディスカッション>

LAの世界的に有名なダンススタジオでのレッスン
<LAの世界的に有名なダンススタジオでのレッスン>

総合通信基盤局 〜電波政策〜

棚田顔写真
 

電波政策課 課長補佐 棚田祐司

 平成21年度入省。入省後、電波の割当てに関する審査、情報通信技術の研究開発・標準化、医療・健康分野におけるICTの利活用、サイバーセキュリティ対策の推進など様々な業務に携わるとともに、内閣官房や警察庁への出向を経て、令和2年8月から現職。3児の父であり、テレワークを積極的に活用し、仕事と家庭の両立に邁進中。
 

社会・経済活動の発展を支える電波政策

 皆さんにとって、「電波」というものはどんな存在でしょうか。スマートフォン、パソコン、無線LANルーター、テレビ、アマチュア無線、衛星、航空機・船舶等々、身近にある電子機器類は、ほとんど電波を使用していると言っても過言ではありません。また、最近では、5Gも広がりつつあり、通信業界においては新たな時代に突入しつつあるところです。

電波は社会・経済活動を支える基盤

 このように、電波は我々の生活に豊かさや便利さをもたらしてくれるものであり、現代社会においてなくてはならない存在となっています。一方、電波は国民の有限希少な財産であるとともに、電波(特に短波放送や衛星通信・放送等)は国境に関係なく広範囲に伝搬することから、好きに使って良いというわけではありません。そのため、総務省においては、「この周波数はこの電波利用システムに使いましょう」という国際的な約束(周波数の分配)を踏まえ、国内での周波数の割当て、システムの技術基準を策定するとともに、毎年電波の利用状況が適切か調査を実施し、PDCAを回すことで、その時の状況やニーズに応じた電波政策を推進しています。

 最近では、異なる無線システム間において、地理的・時間的に柔軟に周波数を共用できるようにするダイナミック周波数共用といった新たな取組も推進しており、電波の有効利用に向けて着実に取り組んでいるところです。また、最新の電波システムについて、各システムの担当課において制度整備や免許審査を行っていますが、陸・海・空・宇宙のあらゆる最新の電波システムに触れられるのは、電波部のみと言っていいでしょう。

 さらに、私が現在担当する業務でもありますが、電波部においては、将来的な電波政策の検討に資するため、有識者を交えて、懇談会を開き、今後の電波制度などについて議論いただく場を設けています。その結果を踏まえて総務省の政策を掲げ、国民ができる限り電波の恩恵を享受できるような世界を造っていくことを我々の命題としています。

  今後、電波はますます日常から切り離せない生活インフラとなっていくことは容易に想像されますが、有限希少な電波をいかに有効利用し、国民生活を豊かにしていくかといった視点から、国民全体に裨益するような電波政策を我々が主体的に考えていかなければなりません。皆さんも、将来の電波政策を一緒に考え、新たな時代を切り開いていく一翼を担ってみませんか。

サイバーセキュリティ統括官 〜サイバーセキュリティ政策〜

梅城顔写真
 

サイバーセキュリティ統括官室 参事官補佐 梅城崇師

  平成19年総務省入省。電気通信設備・携帯電話用周波数・放送用無線局等の許認可を中心とした業務に従事。内閣サイバーセキュリティセンターに出向した際には、重要インフラ防護を担当。令和元年から現職。プライベートでは、アニメ・ゲームやコスプレ撮影をたしなみ、趣味と仕事の両立を図る。写真は各府省庁対抗のサイバー攻撃対処訓練で優勝したときのもの。
 

高度化・複雑化するサイバー攻撃に立ち向かう

 サイバー攻撃というと、どこか別の世界の話で自分には関係ないと思っていませんか。

 最新の観測結果では、各IPアドレスに対して、つまり皆さんのご自宅に対して、17秒に1回の頻度でサイバー攻撃関連通信が寄せられていることがわかっています。また、2020年は感染症対策のため一般に広くテレワークが浸透しましたが、これにあわせてテレワークサービスを狙った攻撃が増えるなど、攻撃者は常に攻撃手法を変化させ続けています。

 こうしたサイバー攻撃には国を挙げて対策していく必要があり、情報通信を所掌する総務省としても様々なサイバーセキュリティ対策を実施しています。

 例えば、攻撃者はインターネットに接続された機器(IoT機器)のうち管理が甘いものに侵入し、これを遠隔制御することで攻撃に悪用します。これを防ぐため、総務省では、国内のインターネット接続機器に対して設定が脆弱でないか調査を行った上で、該当する機器の利用者に注意喚起をするプロジェクトを実施しています。このプロジェクトの実施に当たっては、情報通信を専門とする我が国唯一の公的研究機関であるNICTや、インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)とも緊密に連携しています。加えて、この調査に限って不正アクセス禁止法の適用除外を行うための法律改正も実施しており、まさに国を挙げてのプロジェクトとなっています。

 また、テレワークが急速に進展した結果、中小企業等でセキュリティに関する対策が十分実施できていない状況も散見されたことから、セキュリティ担当がいないような場合でも最低限のセキュリティを確実に確保してもらうための手引きを策定するとともに、セキュリティ専門家による無料の相談対応体制を臨時開設するなど、最新の環境変化に対応したセキュリティ対策も実施しています。

 このほか、サイバーセキュリティ情報を収集・分析することで高信頼かつ即時的なセキュリティ情報を生成するための基盤構築、サイバー攻撃に迅速に対処可能な人材の育成、大規模量子コンピュータの実現を見据えた暗号技術調査などに日々取り組んでいるほか、サプライチェーン対策や危機管理、研究開発や国際連携などのサイバーセキュリティに関する幅広い分野がサイバーセキュリティ統括官室の担当となります。

 誰もが安心してデジタル技術が活用できるよう、サイバーセキュリティ対策の最前線で一緒に働いてみませんか。

大規模サイバー攻撃観測システム(NICTER)による観測結果
<大規模サイバー攻撃観測システム(NICTER)による観測結果>

特集 女性職員の活躍・ワークライフバランスの充実

大塚顔写真
 

総合通信基盤局電波部移動通信課 課長補佐 大塚恵理

 私は入省してからの17年間、これまで人工衛星の開発・国際調整、ロボットや音声翻訳等ICT技術の研究開発、ITSやテレビ中継設備の制度整備等に携わるとともに、内閣府では再生可能エネルギーの規制改革を、在シドニー日本国総領事館では日豪協力関係の構築など幅広い分野の業務に携わってきました。

 現在は、移動通信課で、ローカル5Gの制度整備等の業務を担当しています。「ローカル5G」という言葉を耳にされたことはありますか?皆さんが使用している携帯電話の通信規格として5G(第五世代)のサービスが2020年から開始されていますが、この5Gの技術はこれまでのスマートフォンでの利用にとどまらず、モノとモノとをつなぐIoT時代の社会基盤として産業界での活用が期待されています。そこで、携帯電話事業者以外の方が自由な発想で構築出来る5Gとして、「ローカル5G」という制度を2019年に創設しました。私は、このローカル5Gの担当として2019年12月の制度創設、2020年12月の周波数拡張等の制度整備に携わってきました。ローカル5Gの制度整備にあたっては、無線機メーカー、携帯電話事業者、既存の通信システムの免許人等非常に多くの関係者と議論を重ね、技術的な検討を行う必要があります。時に対立する意見を纏めていくのは大変ですがやりがいのある仕事です。

 今子育てをしながら働いていますが、時短勤務やテレワークを活用し、働く時間や場所を柔軟に選択しながら今の職場での勤務を実現しています。テレワークが大半で週に1〜2回しか出勤しない日が何ヶ月も続くこともあり、通勤時間がなくなることで家事に当てられる時間が増え、これまでよりゆとりのある生活を過ごすことが出来るようになったと感じています。また、最近では、女性に限らず男性でも育児休業を取得する方が増えており、職場で子育てを前提とした業務の効率化に対する意識が浸透しているように感じています。加えて、ニューノーマルとして、テレワークやオンラインの活用が普及し、対面での会議や打合せを行うことは殆どなくなっているのが現状です。入省当時は、仕事と子育ての両立について漠然としたイメージしか抱けずにいましたが、活用できる制度やオンライン化の環境が整い、上司や同僚など様々なロールモデルが作られている中で、自分の状況に合った働き方を実現することは益々可能になっているように思います。仕事も育児も両立しながら彩りある日々を総務省で一緒に過ごしてみませんか。

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