総務省北陸総合通信局(局長 齊藤 一雅(さいとう かずまさ))は、平成23年度における電波監視の概要を、下記のとおり取りまとめました。
近年、携帯電話や情報家電等電波利用の増大と多様化が進む一方、改造された無線機器や外国規格の無線機器等、違法な無線局が多数存在していることから、電波利用ルールの周知啓発や違法な無線局の排除等、引き続き、良好な電波利用環境の確保、改善に取り組んでいきます。
記
(1)申告受付件数及び措置件数
平成23年度の申告受付件数は81件で、平成22年度の98件と比べて17件(-17.3%)の減少となっています。
申告に基づく現地調査等の実施により、原因者に対し措置を求めたり、指導等を行った結果、78件(96%)について解決しました。
なお、残り3件は、引き続き調査を進めています。
(2)申告受付の内訳
消防等の重要無線通信に対する混信妨害が7件、一般無線局に対する混信妨害が47件、テレビ・ラジオ等に対する電磁環境障害が27件となっています。
平成22年度との比較では、重要無線通信に対する混信妨害件数が2件減少、一般無線局に対する混信妨害は10件減少、テレビ・ラジオ等に対する電磁環境障害は5件減少となっています。
申告件数の対前年度比較
※各県別グラフは、別紙を参照
(3)重要無線通信妨害申告の内訳
重要無線通信に対する妨害申告の内訳は、救難用(2件)、消防用(1件)、防災行政用(1件)、鉄道軌道事業用(1件)、放送事業用(1件)、電気通信事業用(1件)となっています。
なお、最近の重要無線通信妨害事例と措置状況は、次のとおりです。
【高圧電線から発生した電気雑音による妨害】
自治体から、防災行政無線の親局から子局に対して起動指示をしても作動しない旨の申告があり、現地調査を実施した結果、近隣の高圧電線から発生している雑音が原因と判明したため、電力会社に点検を要請し、高圧電線の修理により障害を排除しました。
【卓上型TV/FMブースターの不具合による妨害】
鉄道会社から、列車運行用無線が常時“使用状態”となる旨の申告があり、現地調査を実施した結果、一般家庭で使用されている卓上型TV/FMブースターからの不要電波の発射が原因と判明したため、当該機器の撤去を要請し障害を排除しました。
【外国製機器による妨害】
携帯電話事業者から、通信回線の一部に電波障害が発生している旨の申告があり、現地調査を実施した結果、近隣宅内で使用していた日本国内での使用が認められていない外国製機器(Skype用コードレス電話)による電波発射が原因と判明したことから、当該機器の使用を停止させ障害を排除しました。
(1)不法無線局の確認状況
平成23年度に、電波監視により出現を確認した不法無線局は540件
(602件)でした。その内訳は、不法パーソナル無線321件(86件)、不法市民ラジオ133件(149件)、不法アマチュア無線56件(51件)、その他(業務用無線など)30件(316件)となっています。
※()内の数字は平成22年度の確認状況
不法無線局の確認は、毎年度、局種別に重点をおいて実施しています。
(2)不法無線局の措置状況
平成23年度に、不法無線局を摘発又は指導文書等を送付して措置したものは85件(54件)でした。その内訳は、不法パーソナル無線27件(4件)、不法市民ラジオ37件(21件)、不法アマチュア無線19件(12件)その他(業務用無線など)2件(17件)となっています。
※()内の数字は平成22年度の措置状況
(3)捜査関係機関との共同による不法無線局の取締り結果
平成23年度は、捜査関係機関との共同取締りを10回実施し、電波法違反の容疑で11件を摘発、22件について行政指導しました。
内訳は次のとおりです。
県名 | 実施回数 | 摘発内訳 | 指導内訳 | ||
---|---|---|---|---|---|
富山県 | 7回 | 不法パーソナル無線 不法アマチュア無線 |
2件 5件 |
不法パーソナル無線 不法CB無線 不法アマチュア無線 |
1件 1件 14件 |
石川県 | 1回 | 不法アマチュア無線 | 1件 | 不法パーソナル無線 | 1件 |
福井県 | 2回 | 不法パーソナル無線 不法アマチュア無線 |
2件 1件 |
不法パーソナル無線 不法CB無線 不法アマチュア無線 |
1件 1件 3件 |
県名 | 実施回数 | 摘発内訳 | 指導内訳 | ||
---|---|---|---|---|---|
富山県 | 4回 | 0件 | 不法パーソナル無線 不法アマチュア無線 船舶無線 |
1件 5件 1件 |
|
石川県 | 1回 | 0件 | 不法アマチュア無線 船舶無線 |
2件 1件 |
|
福井県 | 5回 | 不法アマチュア無線 | 3件 | 不法パーソナル無線 不法アマチュア無線 業務用無線 |
1件 6件 1件 |
【参考】
現在、パーソナル無線に割り当てられている周波数帯は、昨今の携帯電話の急速な普及と正規パーソナル無線ユーザーの急激な減少から、平成24年7月25日以降、携帯電話でも順次使用されることになります。このため、パーソナル無線に許可された周波数帯であっても、無免許や改造したパーソナル無線を使用した場合、重要無線通信である携帯電話に妨害を与える可能性があります。
不法市民ラジオは、船舶海難救助用等の重要無線通信に妨害を与え、船舶の緊急通信や安全航行が困難となり、人命に関わる場合もあります。
また、不法無線機の出力が大きい場合は、テレビ・ラジオの受信に障害を与え、視聴が困難となります。近年は、電話機・コンピュータ等の電子機器にも障害を与えています。
アマチュア無線は、無線従事者の資格と、無線局の免許の両方が必要です。
しかし、免許を取得せず、無資格で電波を発射している不法無線局が多く見られます。
また、市販のアマチュア無線機を改造し、消防・救急・鉄道などの公共性の高い重要無線通信に妨害を与えています。
【電波法関係条文抜粋】
第4条 無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。
第108条の2 電気通信業務又は放送の業務の用に供する無線局の無線設備又は人命若しくは財産の保護、治安の維持、気象業務、電気事業に係る電気の供給の業務若しくは鉄道事業に係る列車の運行の業務の用に供する無線設備を損壊し、又はこれに物品を接触し、その他その無線設備の機能に障害を与えて無線通信を妨害した者は、5年以下の懲役又は250万円以下の罰金に処する。
2 前項の未遂罪は、罰する。
第110条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
一 第4条の規定による免許(中略)がないのに、無線局を開設した者
二 第4条の規定による免許(中略)がないのに、かつ、(中略)無線局を運用した者
三 (以下省略)