報道資料
平成25年4月16日
四国総合通信局
平成24年度の四国管内における電波監視の概況
四国総合通信局(局長:副島 一則(そえじま かずのり))は、平成24年度の四国管内の電波監視の概況を以下のとおり取りまとめました。
電気通信事業者各社が携帯電話通信規格LTE(Long Term Evolution)に対応した基地局の増設を進める中、一般家庭で使用されているBS受信ブースターから漏れる不要な電波が、LTE基地局に妨害を与える事例が増加しています。
スマートフォンや無線LANを始め各種無線機器が妨害を受けることなく、いつでも安心して利用できるよう、引き続き電波監視に努めてまいります。
1. 不法・違法無線局の排除
無線局の免許を受けずに無線設備を設置したり使用したりした場合に、この無線局を「不法無線局」と呼んでいます。また、無線局の免許は受けているものの、電波法令に違反して通信をしている無線局を「違法無線局」と呼んでいます。
不法無線局は、十数年前まで、CB無線機やパーソナル無線機をトラックで使用するものが多数でした。最近では、アマチュア無線機を使用するものや、日本国内では禁止されている外国規格の無線機を使用するものが増加しています。

左:日本で使用が禁止されているCB無線機
右:パーソナル無線機

アマチュア無線機
(1) 捜査機関との共同取締りの状況
平成24年度は、当局と捜査機関との共同取締りを10回実施しました。内訳は下表のとおりで、不法アマチュア無線局及び不法漁業用無線局の摘発が多くなっています。
不法アマチュア無線局のほとんどは、ダンプやトラックに設置したもので、運転手が仲間同士で会話を楽しんでいるものです。
不法漁業用無線局のほとんどは、免許失効した無線局をそのまま継続使用しているものです。
県 別 |
捜査機関 |
実施回数 |
摘発された無線局の種類 |
愛媛県 |
警察 |
1回 |
不法アマチュア無線局 1件 |
海保 |
2回 |
不法漁業用無線局 3件 |
香川県 |
警察 |
2回 |
不法アマチュア無線局 1件 |
高知県 |
警察 |
2回 |
不法アマチュア無線局 1件 |
海保 |
1回 |
不法漁業用無線局 2件 |
徳島県 |
警察 |
2回 |
不法アマチュア無線局 2件 |
(2) 外国規格の無線機の排除
米国規格のFRS(Family Radio Service)やGMRS(General Mobile Service)と呼ばれる無線機など、外国規格の無線機が国内に流通し、不法に使用されている場合があります。
これらの無線機を日本国内で使用すると、総務省が重要無線通信に位置付けている放送用無線局や防災行政用無線局に妨害を与えるため、国内では使用が禁止されています。
平成24年度は、外国規格の無線機を使用していた法人2団体、個人3名を特定しました。いずれも国内で使用できないことを知らずに購入したもので、今後、不法な無線局の運用をしないよう行政指導をおこないました。
(3) 申告等による不法・違法無線局への対応
アマチュア無線の違法な運用に関する苦情が増加しており、平成24年度では51件の申告がありました。主には「コールサインを使用しない」「周波数の使用区別を守らない」「業務に使用している」など、通信方法の違反に関するものです。
当局では、苦情の多発する地域において電波監視車両を用いて監視をおこない、違法な通信をしていた車両146台を特定し、運転手138人に対して文書指導をおこないました。残り8人の運転手については現在処理中です。
(4) 不法な電子機器の販売に対する対応
電波法では、無線局を開設しようとする者は総務大臣の免許を受けなければならないと規定されていますが、例外として、発射する電波が著しく微弱な無線局は除外されています。
ところが、一部の家電販売店、ホームセンター、ネット販売などでは、例外規定の「著しく微弱な無線局」の範囲を逸脱する製品であるにもかかわらず、「電波法に適合した微弱な電波を使用しています」等と表示して販売されている場合があります。
当局が家電販売店等35店舗を訪問しておこなった調査では、FMトランスミッター、ベビーモニターなど、不正な製品の販売が確認されており、販売店への販売自粛の要請をおこなっています。
2. 無線局等への混信申告調査結果
平成24年度の混信妨害等の申告件数は106件でした。ここ5年間の推移では、平成22年度まで減少傾向でしたが、平成23年度から増加の傾向にあります。
(1) 申告件数の推移
(2) 被妨害局からの区分別申告件数
総務省では、公共的な業務
(注意)に関わる無線通信に対する混信妨害を「重要無線通信妨害」と位置づけています。
平成24年度は、106件の申告の内、30件(28.3%)が重要無線通信妨害に係る申告で、昨年に比べて1.5倍になっています。
(注意):公共的な業務とは、電気通信業務、放送事業業務、人命若しくは財産の保護又は治安の維持に関する業務、気象業務、電気事業業務、鉄道事業業務などです。
(3) 重要無線通信の申告内訳
重要無線通信妨害30件の内訳はつぎのとおりです。
電気通信事業者各社は、第3世代通信システムから、より高速な通信規格LTE(Long Term Evolution)に準拠した携帯電話基地局の増設をすすめており、その事前の調査に伴い申告が増加し、平成24年度は、電気通信事業用無線への妨害が前年度の2倍以上になっています。混信の原因は、一般家庭で使用されているBSブースターの電波が漏れて基地局に妨害を与える場合、又は、地デジ受信ブースターが異常発振して妨害を与える場合があります。
(4) 混信申告に関する調査・措置状況について
平成23年度から繰り越して調査を実施していた申告11件及び平成24年度に受け付けた申告106件対する調査・措置の状況は次のとおりです。
【原因内訳】
○不法・違法局によるもの (3件)
○電子機器等からの不要電波によるもの (16件)
○送信機の故障・誤操作によるもの (6件)
○合法局の電波によるもので問題がなかったもの (8件)
- イ 調査中自然消滅 4件
- ウ 申告受付後事象が発生せず結了 19件
- エ 他局へ移管 7件
- オ 情報として処理したもの 8件
- カ 調査継続中 12件
- キ その他 2件
電波監視業務とは
電波は、放送用、携帯電話用、防災無線用、アマチュア無線用など、利用する目的や用途によって使用する周波数帯を区分しています。また、無線局の免許を付与する際には、区分した周波数帯の中で各々の無線局に混信が生じないように審査をおこない、割り当てる周波数を選定しています。
ところが、不法無線局の電波や電子機器から漏れる不要な電波によって無線局が妨害を受け、携帯電話がつながりにくくなるなどの障害が発生することがあります。
そのため当局では、電波監視施設を整備して電波の監視をおこない、不法・違法無線局の排除に取り組み、また、混信妨害が発生した場合には現地調査により妨害源を取り除いています。
このように電波監視部門では、「電波の監視」「混信妨害の調査」「電波監視施設の整備」をおこなうと共に「不法・違法無線局に関する周知啓発」などの業務をおこなっています。

監視車輌による混信調査の実施

遠隔方位測定設備による電波監視
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