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法人事業税における外形標準課税

法人事業税における外形標準課税

 平成16年度以後、法人事業税のうち、資本金1億円超の普通法人には、収益配分額(報酬給与額、純支払利子及び純支払賃借料の合計額)と単年度損益との合計額を課税標準とする付加価値割と、資本金等の額を課税標準とする資本割からなる外形標準課税が課されています。

外形標準課税は、法人が事業規模に応じて広く薄く負担を担うものであり、税負担の公平性の確保、応益課税としての事業税の性格の明確化、地方分権を支える基幹税の安定化、経済の活性化等の観点から重要な意義を有しています。

PDFファイルが開きます。平成16年度以後、法人事業税のうち、資本金1億円超の普通法人には、報酬給与額、純支払利子及び純支払賃借料の合計額である収益配分額と単年度損益との合計額を課税標準とする付加価値割と、資本金等の額を課税標準とする資本割からなる外形標準課税が課されています。外形標準課税の割合は拡大され、現在では8分の5となっています。

法人実効税率の引下げと外形標準課税の拡大

 平成27年度・28年度の税制改正において、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」という方針の下で成長志向の法人税改革が進められました。

 その一環として、法人事業税においては、所得割の税率を引き下げるとともに、外形標準課税を拡大してきました。

平成27年度・28年度の税制改正において、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」という方針の下で成長志向の法人税改革が進められました。国・地方の法人実効税率については、法人税改革前の平成26年度には34.62%でしたが平成30年度以後29.74%となっています。このうち、大法人向けの法人事業所得割の税率は、7.2%から3.6%となっています。

PDFファイルが開きます。法人事業税においては、所得割の税率を引き下げるとともに、外形標準課税を拡大してきました。その結果、当初8分の2であった外形標準課税の割合は、現在では8分の5となっています。

外形標準課税の適用対象法人の見直し

 令和6年度税制改正により、法人事業税の外形標準課税について、従前の外形標準課税の適用対象法人(事業年度終了の日において資本金1億円超の法人)に加え、以下(1)・(2)に該当する法人についても外形標準課税の対象とする見直しを行いました。
 従前の基準に照らせば外形標準課税の対象とならない法人についても、本見直しにより外形標準課税の対象となる可能性がありますのでご留意ください。

(1)減資への対応(令和7年4月1日以後開始事業年度から適用)

○ 対象法人
 次の要件をすべて満たす法は、外形標準課税の対象となります(法附則第8条の3の3)。

  1. 前事業年度に外形標準課税の対象であった法人
  2. 事業年度の終了の日時点の資本金の額が1億円以下
  3. 事業年度の終了の日時点の払込資本の額(資本金と資本剰余金の合計額)が10億円超

PDFファイルが開きます。減資への対応は、資本金1億円以上の法人を対象とする現行基準に対する補充的な基準として、資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える法人を対象としています。

○ 経過措置【駆け込み減資への対応について(令和6年改正法附則第7条第2項)】
 施行日(令和7年4月1日)以後最初に開始する事業年度(=最初事業年度)については、上記にかかわらず、次の要件をともに満たす法人は外形標準課税の対象となります。

  1. 公布日(令和6年3月30日)を含む事業年度の開始の日の前日から最初事業年度の開始の日の前日までの間に終了したいずれかの事業年度分の事業税について外形標準課税の対象であった法人
  2. 最初事業年度末において、資本金の額が1億円以下かつ払込資本の額が10億円超
    ただし、次の要件をすべて満たす場合には本経過措置の対象外となり、外形標準課税の対象となりません。
  3. 公布日を含む事業年度の前事業年度分の事業税について外形標準課税の対象
  4. 公布日の前日(令和6年3月29日)の現況において資本金の額が1億円以下
  5. 公布日から最初事業年度の開始の日の前日までの間に終了した各事業年度分の事業税について外形標準課税の対象外

PDFファイルが開きます。減資への対策が適用される事業年度より前に「駆け込み」で資本金1億円超から1億円以下に減資を行った法人が、施行日(令和7年4月1日)以後最初に開始する事業年度に払込資本の額が10億円を超える場合には、外形標準課税の対象とします。

(2)100%子法人等への対応(令和8年4月1日以後開始事業年度から適用)

○ 対象法人
 次の要件をすべて満たす法人は、外形標準課税の対象となります(法第72条の2第1項第1号イ・ロ)。

  1. 所得等課税法人(※1)以外の法人で、事業年度終了の日において資本金の額が1億円以下
  2. 特定法人(※2)との間に当該特定法人による法人税法に規定する完全支配関係がある法人(ケース1)又は100%グループ内の複数の特定法人に発行済株式等の全部を保有されている法人(ケース2)
  3. 事業年度終了の日において、払込資本の額(※3)が2億円超
  • ※1 所得等課税法人:法第72条の4第1項各号に掲げる法人、第72条の5第1項各号に掲げる法人、第72条の24の7第7項各号に掲げる法人、人格のない社団等、みなし課税法人、投資法人、特定目的会社並びに一般社団法人(非営利型法人に該当するものを除く。)及び一般財団法人(非営利型法人に該当するものを除く。)
  • ※2 特定法人:払込資本の額(資本金+資本剰余金)が50億円を超える法人(外形標準課税の対象外である法人を除く。)及び保険業法に規定する相互会社(外国相互会社を含む。)
     なお、日本国内に恒久的施設(PE)を有しない外国法人であっても、特定法人の要件を満たせば、事業年度終了の日においてその外国法人である特定法人と完全支配関係にある子法人(払込資本の額が2億円超)は外形標準課税の対象となります。
  • ※3 公布日(令和6年3月30日)以後に当該法人が行う資本剰余金を原資とした配当等により減少した払込資本の額を加算した額

PDFファイルが開きます。100%子法人等への対応は、ケース1の特定法人との間に当該特定法人による法人税法に規定する完全支配関係がある法人及びケース2の100%グループ内の複数の特定法人に発行済株式等の全部を保有されている法人で、資本金が1億円以下かつ払込資本の額が2億円を超える法人を対象としています。

○ M&A特例について(法附則第8条の3の4)
 産業競争力強化法に定める特別事業再編計画に基づいて行われるM&Aにより100%子会社となった法人等(※1)については、上記にかかわらず、買収から5年経過する事業年度まで外形標準課税の対象外となります(※2)。

  • ※1 特別事業再編計画の認定を受けた事業者が当該計画の認定を受ける前5年以内に買収した法人を含みます。
  • ※2 当該100%子会社等が他の基準による外形標準課税の対象である場合は、本特例措置の対象外となります。

○ 経過措置【激変緩和措置について(令和6年改正法附則第8条第2項)】
 100%子法人等への対応によって、新たに外形標準課税の対象となったことにより、次の各事業年度分について申告納付すべき法人事業税額が従来の課税方式で計算した税額を超えることとなる場合は、それぞれ次のとおり税負担が軽減されます。

令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度 当該超える額の3分の2を軽減
令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間に開始する事業年度 当該超える額の3分の1を軽減

中間申告義務の判定の見直しについて

 外形標準課税の適用対象法人の見直しに併せて、法人事業税に係る中間申告義務を有することとされる外形標準課税の適用対象法人であるかどうかの判定について、以下のとおり改正が行われました(法附則第8条の3の3第2項(令和8年4月1日以後開始事業年度においては法第72条の26第9項))。

【現行】
 中間申告義務を有することとされる外形標準課税の適用対象法人であるかどうかの判定は、当該事業年度開始の日以後6か月を経過した日(※)の前日の現況による

※ 通算子法人である場合には、事業年度開始の日の属する通算親法人の事業年度開始の日以後6か月を経過した日。

下矢印

【改正後】
 中間申告義務を有することとされる外形標準課税の適用対象法人であるかどうかの判定は、当該事業年度の前事業年度の事業税について外形標準課税の適用対象法人であるかどうかによる

 このため、令和7年4月1日以後開始事業年度においては、前事業年度について外形標準課税の適用対象法人従前の外形標準課税の適用対象法人(事業年度終了の日において資本金1億円超の法人)を含む。である場合には、当該事業年度開始の日以後6か月を経過した日の前日において外形標準課税の対象外であっても、中間申告の義務があることになりますのでご留意ください。

<略称の凡例>
地方税法(昭和25年法律第226号)・・・法
地方税法等の一部を改正する法律(令和6年法律第4号)・・・令和6年改正法

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