地方税収の構造

 本章では、地方税収に関する各種グラフを見ながら、その規模や特徴について考えてみましょう。

地方税収の推移

 以下のグラフは各年度の地方税収を表したものです。地方税収は、景気変動や種々の制度改正の影響を受けながら、近年では約40兆円で推移していることが分かります。

PDFが開きます。地方税収(地方財政計画ベース)の推移

以下数値の単位は「兆円」です。
地方税収の推移は、昭和60年から22.7、24.0、26.4、29.2、30.9、32.5、平成3年の34.1をピークにバブル経済の崩壊により減収傾向になり、33.7、32.9、32.0、33.1、34.5と推移しました。そして平成9年に地方消費税(1%)の創設により35.6兆円となりましたが、アジア通貨危機、金融危機により減収傾向となり、35.4、34.5、35.0、35.0、平成14年のIT不況により32.9、32.2、以降上昇傾向が続き33.0、34.2、35.8、そして平成19年には約3兆円の税源移譲を受けて39.5兆円、平成20年のリーマンショックにより38.9、平成21年は34.0、33.7、33.5、33.8、34.7、平成26年には地方消費税率の1%から1.7%への引上げ、法人住民税法人税割の交付税原資化を行い36.0、38.3、38.6、39.1、39.9、令和元年には地方消費税率の1.7%から2.2%への引上げ、法人住民税法人税割の交付税原資化の拡大により40.3、40.0、41.4兆円、令和4年度地方財政計画で41.3兆円、令和5年度地方財政計画で42.9兆円となっています。
平成21年度以降、国から都道府県に対して譲与されている地方法人特別譲与税(〜R1)及び特別法人事業譲与税(R2〜)を含めた額は、34.6、35.1、35.1、35.5、36.7、38.4、40.4、40.3、40.9、41.9、42.4、41.7、43.3兆円、令和4年度地方財政計画で43.3兆円、令和5年度地方財政計画で45.0兆円と推移します。

注1)表中における計数は、超過課税及び法定外税等を含みません。
注2)令和3年度までは決算額、令和4年度、令和5年度は地方財政計画額になっています。

税収の構造

 次に、税目に着目した税収の構造を確認します。2021(令和3)年度国税・地方税の税収内訳を見てみると、国税・地方税ともに、先ほど紹介した所得課税、消費課税、資産課税等といった様々な税目が組み合わされていることが分かります。

 さらに、地方税収を都道府県、市町村に分けてみると、都道府県税収総額はおよそ20兆円となっています。内訳を見てみると、個人住民税、地方法人二税、地方消費税がそれぞれおよそ25%、26%、31%を占めており、これらの税目が都道府県の財政を支えていることが分かります。市町村税収の総額は23兆円となっています。内訳は、個人住民税が収入全体の37%、固定資産税が41%程度となっており、両税目が税収の中で大きな割合を占めていることが分かります。

PDFが開きます。国税・地方税の税収内訳(令和3年度決算額)
国税
総額718,811億円(700,495億円)
所得税29.7% 213,822億円
法人税19.0% 136,428億円
消費税30.5% 218,886億円
その他20.8% 149,675億円
その他内訳
揮発油税 20,762億円(地方揮発油税を含む)
特別法人事業税 18,316億円
相続税 27,702億円
酒税 11,321億円
印紙収入 9,608億円
地方法人税 18,814億円
たばこ税 9,057億円
(このほか、たばこ特別税1,202億円)

地方税合計
総額424,090億円(442,625億円)
個人住民税31.6% 133,857億円
地方法人二税17.0% 72,109億円
地方消費税14.5% 61,703億円
固定資産税21.8% 92,345億円
その他15.1% 64,076億円
その他内訳
自動車税 16,140億円
都市計画税 13,257億円
地方たばこ税 10,134億円
軽油取引税 9,265億円
(特別法人事業譲与税 18,535億円)
地方税内訳
道府県税
総額198,868億円(217,403億円)
個人道府県民税25.4% 50,541億円
地方法人二税26.4% 52,545億円
地方消費税31.0% 61,703億円
自動車税8.1% 16,140億円
軽油取引税4.7% 9,265億円
その他4.4% 8,674億円

市町村税
総額225,221億円
個人市町村民税37.0% 83,315億円
法人市町村民税8.7% 19,564億円
固定資産税41.0% 92,345億円
都市計画税5.9% 13,257億円
その他7.4% 16,740億円

(注)
1各税目の%は、それぞれの合計を100%とした場合の構成比です。
2国税は特別会計を含み、地方税には、超過課税及び法定外税等を含みます。
3国税は特別法人事業税を含み、地方税は特別法人事業譲与税を含みません。()内は、国税は特別法人事業税を除き、地方税は特別法人事業譲与税を含めた金額です。    
4計数はそれぞれ四捨五入によっているので、計とは一致しない場合があります。

主要税目の特徴

 最後に、税目ごとの税収推移から主要税目の特徴を見てみましょう。

 まずは個人住民税です。個人住民税は、三位一体改革による2007(平成19)年の税源移譲により基幹税目として充実するとともに、安定性も向上しました。

 固定資産税と地方消費税は、ともに安定的な税目として地方財政を支えています。その中でも地方消費税は、国税である消費税の税率引上げにあわせて充実がなされ、重要性を増しています。

 一方、地方法人二税は基幹的な税目ではあるものの、景気変動の影響を強く受ける上に地域的な偏在もあり、その是正措置が講じられています。

PDFが開きます。主要税目(地方税)の税収の推移
以下数値の単位は「兆円」です。なお、超過課税を含みません。
まずは個人住民税について、昭和60年度から、6.6、7.1、7.7、8.4、9.1、10.6、11.3、11.5、11.4、10.0、10.2、9.6、10.4、9.3、9.1、9.7、9.5、8.6、8.1、8.0、8.3、9.1、12.3、12.6、12.4、11.5、11.3、11.7、12.1、12.3、12.5、12.5、12.8、12.9、13.1、13.4、13.4、令和4年度地方財政計画では13.2、令和5年度地方財政計画では13.6と推移しています。

固定資産税は、昭和60年度から4.1、4.6、4.9、5.2、5.6、5.9、6.5、7.1、7.5、7.9、8.3、8.7、8.7、9.0、9.2、8.9、9.0、9.0、8.6、8.7、8.7、8.4、8.6、8.7、8.7、8.8、8.8、8.5、8.5、8.6、8.6、8.8、8.9、9.0、9.2、9.3、9.2、令和4年度地方財政計画では9.4、令和5年度地方財政計画では9.7と推移しています。

地方消費税は、平成9年度から0.8、2.6、2.5、2.5、2.5,2.4、2.4、2.6、2.6、2.6、2.6、2.5、2.4、2.6、2.6、2.6、2.6、3.1、5.0、4.7、4.7、4.8、4.8、5.4、6.2、令和4年度地方財政計画では5.9、令和5年度地方財政計画では6.6と推移しています。

最後に地方法人二税は、昭和60年度から、6.2、6.2、7.4、8.9、10.0、9.6、9.7、8.2、7.1、6.6、6.8、8.2、7.8、6.9、6.1、6.5、6.7、5.7、6.0、6.7、7.6、8.7、9.2、8.4、平成21年以降、特別法人事業譲与税等を除いた額は、4.1、4.4、4.5、4.7、5.1、5.8、6.0、6.3、6.3、6.7、6.8、5.7、6.4、令和4年度地方財政計画では6.3、令和5年度地方財政計画では6.6と推移しています。
特別法人事業譲与税等を加えた額は、平成21年度以降、4.7、5.8、6.0、6.4、7.1、8.2、8.1、8.1、8.1、8.8、8.9、7.4、8.2、令和4年度地方財政計画では8.3、令和5年度地方財政計画では8.7と推移しています。

1)表中における計数は、超過課税等を含みません。
2)令和3年度までは決算額、令和4、5年度は地方財政計画額です。
3)地方法人二税の平成21年度以降の点線は、国から都道府県に対して譲与されている特別法人事業譲与税等を加算した額です。

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