会議資料・開催案内等


第27次地方制度調査会第34回専門小委員会 次第



平成15年11月7日(金)
11時00分〜13時00分
グランドアーク半蔵門「光の間」

1   開会
2   議題
   
  1)    答申案、意見案について
  2)  その他
3   閉会
配付資料
・今後の地方自治制度のあり方に関する答申案 (委員限り 委員会終了後回収)

・当面の地方税財政のあり方についての意見案 (委員限り 委員会終了後回収)






○松本小委員長 時間がまいりましたので、第34回の専門小委員会を始めさせていただきます。
 それでは議事に入ります。本日の議題は答申案、意見案についてであります。本日の資料としては、これまでの議論を踏まえ事務局に指示をして、「今後の地方自治制度のあり方に関する答申案」及び「当面の地方税財政のあり方についての意見案」として取りまとめさせました。
 今回の答申案、意見案は委員限りということで配らせていただいております。したがいまして、誠に恐れ入りますけれども、この専門小委員会終了後回収をさせていただきますので、よろしくご了承を願いたいと思います。
 それでは、答申案及び意見案について、それぞれの担当課長から読み上げをお願いいたします。山崎室長。
○山崎行政体制整備室長 それでは、今後の地方自治制度のあり方に関する答申案を読み上げさせていただきます。
今後の地方自治制度のあり方に関する答申(案)
    前文
 我が国の地方自治制度は、平成12年の地方分権一括法の施行により、そのあり様を一新し、次なる新たなステージを迎えようとしている。市町村は、基礎的自治体として地域において包括的な役割を果たしていくことがこれまで以上に期待されており、都道府県は、経済社会活動が広域化、グローバル化する中で、その自立的発展のために戦略的な役割を果たすべく変容していくことが期待されている。
 また、地域においては、コミュニティ組織、NPO等のさまざまな団体による活動が活発に展開されており、地方公共団体は、これらの動きと共鳴しつつ新しい協働の仕組みを構築することが求められている。
 基礎的自治体と広域の自治体が21世紀においてその役割を十分に果たしていく上でどのような制度に変革していくべきかが問われている。
 当調査会は、平成13年11月19日に内閣総理大臣からの「社会経済情勢の変化に対応した地方行財政制度の構造改革」についての諮問を受け、現地での関係者との意見交換会なども行って調査審議を重ねてきたが、当調査会設置以来 回の総会と 回の専門小委員会にわたる議論の結果として、「基礎的自治体のあり方」、「大都市のあり方」、「都道府県のあり方」について、今回一定の結論を得たので、ここに答申する。
 なお、憲法第8章の地方自治の本旨の内容を具体化し、分権型社会を制度的にも確固たるものにすることが、さらなる分権改革に託されるべき重要な課題となるものである。このような課題については、地方自治に関する基本的な法制のあり方を含め、当調査会としても引き続き検討していくこととしたい。

第1 基礎的自治体のあり方

1  地方分権時代の基礎的自治体の構築
(1)  地方分権時代の基礎的自治体
 機関委任事務制度の廃止等により国と地方との役割分担を明確にした地方分権一括法の施行で、我が国における地方分権改革は確かな一歩を踏み出した。
 今後の我が国における行政は、国と地方の役割分担に係る「補完性の原理」の考え方に基づき、「基礎的自治体優先の原則」をこれまで以上に実現していくことが必要である。
 このためには、今後の基礎的自治体は、住民に最も身近な総合的な行政主体として、自立性の高い行政主体となることが必要であり、これにふさわしい十分な権限と財政基盤を有し、高度化する行政事務に的確に対処できる専門的な職種を含む職員集団を有するものとする必要がある。これを踏まえると、一般的には、基礎的自治体の規模・能力がさらに充実強化することが望ましい。
 基礎的自治体に対しては引き続き国として積極的な事務や権限の移譲を進めるべきである。都道府県も、条例による事務処理の特例の活用等により、規模・能力に応じて事務や権限を移譲するなど、可能な限り基礎的自治体が住民に身近な事務を処理することができるようにしていくべきであり、少なくとも、福祉や教育、まちづくりなど住民に身近な事務については、原則としてすべての基礎的自治体で処理できる体制を構築する必要がある。その結果、国民がこのような地方分権の担い手として十分な経営基盤を有する基礎的自治体の住民となり、住民の自己実現を可能とするような豊かな地域社会を形成していくことができるようにすることが望ましい。
(2)  住民自治の充実
 地方分権改革が目指すべき分権型社会においては、地域において自己決定と自己責任の原則が実現されるという観点から、団体自治ばかりではなく、住民自治が重視されなければならない。
 このため、住民自治の充実に資するよう、後述する地域自治組織を設置することができる途を開くなどさまざまな方策を検討していく必要がある。また、地域における住民サービスを担うのは行政のみではないということが重要な視点であり、住民や、重要なパートナーとしてのコミュニティ組織、NPOその他民間セクターとも協働し、相互に連携して新しい公共空間を形成していくことを目指すべきである。

2  市町村をめぐる状況
(1)  市町村の役割の変化
 我が国の市町村は、さまざまな経緯を経て、明治初期に地域の公共事務及び法令に基づく事務の処理のため、以前から存在していた、いわゆる「自然村」を基盤として、「行政村」としたものである。その後、小学校事務の処理等のため300 戸から500 戸を標準として「明治の大合併」が行われ、中学校事務の処理のため人口8千以上を標準として「昭和の大合併」が行われた。
 今後、基礎的自治体は、一層厳しさを増す環境、住民二一ズの多様化の中で、権限移譲、財源の充実強化等を図りつつ、住民との協働のもとに、質的にも高度化し、量的にも増大する事務を適切かつ効率的に処理することが求められている。
(2)  市町村を取り巻く厳しい財政事情
 近年我が国の財政は、税収が落ち込む中で、国・地方ともに巨額の債務残高を有するなど極めて厳しい状況にある。地方においても毎年巨額の財源不足を生じており、その借入金残高は平成15年度末で約199 兆円にのぼると見込まれている。
 このような状況を踏まえると、今後地方財政全般にわたり歳出の抑制が求められ、各地方公共団体は、コスト意識を持って事務・事業に取り組み、地域における郵便局との連携をはじめ、多様なサービスの提供方法の検討など、より一層効果的かつ効率的な行財政運営を行うことが必要となる。こうした観点から、市町村の規模等に対応して行われてきた各種の財政措置等についても見直しを図ることが避けられない状況にある。
(3)  少子高齢化の進行
 今後、国全体の人口が2006年をピークに減少する中で、市町村がこのまま推移すると、2030年には人口5千未満の市町村が現在の約700 団体から1,200 団体近くに増加し、現在よりもかなり高齢者の比重の高い地域社会の出現が予想されている。
 少子高齢化の進行は、現在の地域社会に対して大きな影響を与えているが、特に小規模な市町村についてはより深刻であり、これまでのような職員や財政基盤を維持できない状態に陥ることが予想される。これにより、小規模な市町村においては地方自治法第1条の2第1項に規定する住民福祉の増進を図るという基本的役割を担うことが困難となることを想定せざるを得ない。
(4)  市町村合併の位置づけ
 このような状況の中で、今後の基礎的自治体のあり方を展望すると、市町村の規模・能力の拡充を図る市町村合併を引き続き推進することが求められている。
 現在全国の市町村の約半数において市町村の合併の特例に関する法律(以下「合併特例法」という。) に基づく法定協議会が設置されており、当調査会としても市町村合併に向けての関係者の真摯な努力に敬意を表するとともに、大きな期待を寄せている。昭和40年の制定以来、10年毎に延長されてきた合併特例法の期限は平成17年3月31日までとされており、これまでにできる限り成果があがることが必要である。特に住民に対して合併による新しいまちづくりの可能性等合併に関するさまざまな具体的な情報を提供することが必要であり、住民自身が地域の基本的な課題として合併について真剣に考えることが重要である。国及び都道府県としても、さらにさまざまな方策を展開し、自主的合併が進展するように取組を進めていくことが肝要である。
 現在進められている市町村合併は、「昭和の大合併」後の生活圏や経済圏の拡大等をはじめとする経済社会の変貌、市町村を取り巻く環境の大きな変化、著しい少子高齢化の進行等の状況を踏まえて、今後、地方分権改革により明らかにされた役割の担い手にふさわしい行財政基盤を有することができる基礎的自治体を形成するために、自治体を再編成するものと位置づけることができる。
 また、国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全等の機能を維持するため、自治体経営の単位を再編成し、都市と農山漁村が共生する新しい基礎的自冶体を形成する動きともとらえることができる。

3  合併特例法期限到来後における分権の担い手としての基礎的自治体
(1) 平成17年4月以降の合併推進の手法
1)  現行の合併特例法の失効(平成17年3月31日) 後は、新しい法律を制定し、一定期間さらに自主的な合併を促すこととする必要がある。この法律は、合併に関する障害を除去するための特例を中心に定め、現行法における合併特例債等のような財政支援措置はとらないこととすべきである。
 なお、現行の合併特例法は延長しないことを前提に、平成17年3月31日までに関係市町村が当該市町村議会の議決を経て都道府県知事への合併の申請を終え、平成18年3月31日までに合併したものについては、合併特例法の規定を引き続き適用する旨の経過規定を置くことが適当である
2)  新法においては、自主的な合併を推進するため、必要に応じて都道府県が市町村合併に関する審議会等の意見を踏まえて市町村合併に関する構想を策定することとすべきである。
 上記の構想は、現行の合併特例法の下で合併に至らなかったが、基礎的自治体の規模・能力の充実を図るため、なお合併を行うことが期待される市町村を対象とすべきである。具体的には、圏域の一体性を高めるための合併をはじめ、指定都市、中核市、特例市等を目指す合併や小規模な市町村に係る合併等がこの構想に定められるものとすべきである。
 なお、都道府県が構想を策定するに当たっての小規模な市町村としては、おおむね人口1万未満を目安とすることとするが、地理的条件や人口密度、経済事情のほか、現行合併特例法の下で合併を行った経緯についても考慮することが必要である。
3)  都道府県知事は構想に基づき、合併協議会の設置や合併に関する勧告、合併に取り組む市町村間のさまざまな合意形成に関するあっせん等により自主的な合併を進めることとすべきである。
 なお、現行の合併特例法においても、合併の是非を含め合併に関するさまざまな協議を行う場である合併協議会の設置について、一定の場合に市町村長の請求や有権者の6分の1以上の署名による請求によって住民投票を行うこととされている。このような場合と同様、都道府県知事が合併協議会の設置を勧告したとき、一定の場合には市町村長が合併協議会の設置について議会に付議するか、あるいは住民投票を行うこととする制度を設けることを検討する必要がある。
(2)  市町村合併に関連する多様な方策
1)  合併後の基礎的自治体における地域自治組織制度の活用
 合併後、総じて規模が大きくなる基礎的自治体内において住民自治を強化する観点や、住民に身近なところで住民に身近な事務を住民の意向を踏まえつつ効果的に処理するという観点から、基礎的自治体の事務のうち地域共同的な事務等を処理するため、下記4(1) の地域自治組織(仮称。以下同じ。) 制度を活用することが考えられる。
 なお、合併に際して地域自治組織を活用するときは、合併後の一定期間、下記4(2)2)の法人格を有する地域自治組織を旧市町村単位に設置することができる等の特例を設けることが適当である。
 この制度を活用することにより、合併後の基礎的自治体は、合併前の旧市町村のまとまりも活かした包括的な基礎的自治体ともいうべき形態をとることが可能となる。併せて、地域自治組織に旧市町村の名称を冠することによって、合併前の名称を残すことも可能となる。
 市町村は、前述のとおり、その自主的な判断により、基礎的自治体内の地域自治組織を設置できることとするが、都道府県知事も合併に際して、一定の場合に小規模な市町村等を対象として、その市町村を単位とする地域自治組織を設置することを勧告することができるものとすべきである。
2)  合併困難な市町村に対する特別の方策
 市町村合併については、地域の特性等を踏まえた上で推進していく必要があるが、例えば自らは他の市町村との合併を希望していてもさまざまな事情により合併協議が整わず、都道府県知事が上記の構想に位置づけて合併に関するあっせん等の調整を行ってもなお合併に至らないような事態が生じることが危倶される。
 このような事態において、市町村が基礎的自治体として必要な経営基盤を有しないという自らの判断により合併を求めた場合に、適正な住民サービス確保の観点から看過し得ないと認めるときは、都道府県が関わる手続によって市町村の合併を行う新たな仕組みを引き続き検討していく必要がある。
 合併に関する新たな法律の下でも当面合併に至ることが客観的に困難である市町村に対して、合併の進捗状況や市町村の具体的二一ズを踏まえ、基礎的自治体のみによって構成される広域連合制度の充実等の広域連携の方策により対応することについて検討を進める必要がある。
 また、そのような状況にある市町村については、組織機構を簡素化した上で、法令による義務づけのない自治事務は一般的に処理するが、通常の基礎的自治体に法令上義務づけられた事務については窓口サービス等その一部のみを処理し、都道府県にそれ以外の事務の処理を義務づける特例的団体の制度の導入についても引き続き検討する必要がある。この場合において、都道府県は当該事務を自ら処理することとするほか、近隣の基礎的自治体に委託すること等も考えられる。

4  基礎的自治体における住民自治充実や行政と住民との協働推進のための新しい仕組み
(1)  地域自治組織の制度化
 基礎的自治体には、その事務を適切かつ効率的に処理するとともに、住民に身近なところで住民に身近な事務を住民の意向を踏まえつつ効果的に処理するという観点が重要である。
 また、本格的な少子高齢社会が到来しつつある今日、安全で住みやすい快適な地域づくりに資する地域のセーフティネットの構築が喫緊の課題となっている。このため、行政と住民が相互に連携し、ともに担い手となって地域の潜在力を十分に発揮する仕組みをつくっていくことも、これからの基礎的自治体に求められる重要な機能のひとつである。
 こうしたことから、基礎的自治体内の一定の区域を単位とし、住民自治の強化や行政と住民との協働の推進などを目的とする組織として、地域自治組織を基礎的自治体の判断によって設置できることとすべきである。
 地域自治組織のタイプとしては、当調査会の「今後の地方自治制度のあり方についての中間報告」(平成15年4月30日) で示したように、a)行政区的なタイプ(法人格を有しない。) とb)特別地方公共団体とするタイプ(法人格を有する。) が考えられるが、一般制度としては、基礎的自治体としての一体性を損なうことのないようにするということにも配慮してa)行政区的なタイプを導入すべきである。ただし、市町村合併に際しては、合併前の旧市町村が果たしてきた役割を踏まえ、必要と認められる場合には、合併後の一定期間、合併前の旧市町村単位にb)特別地方公共団体とするタイプを設置できることとすることが適当である。
 なお、地域の状況がさまざまであることから、法律で定める事項は最小限にとどめ、地域の自主性を尊重し、地域において活用しやすいものとなるような制度とする必要がある。
(2)  地域自治組織の仕組み
 地域自治組織は、当該区域に住所を有する者が当然にその構成員となるものとし、具体的な仕組みは以下のとおりとすることが考えられる。
1)  一般制度としての地域自治組織の仕組み
 基本的な機能と組織
 一般制度としての地域自治組織は、住民に身近なところで住民に身近な基礎的自治体の事務を処理する機能と住民の意向を反映させる機能、さらに行政と住民や地域の諸団体等が協働して担う地域づくりの中核としての機能を有するものとし、基礎的自治体の一部として事務を分掌するものとする。
 地域自治組織の機関として、地域協議会(仮称。以下同じ。) 及び地域自治組織の長を置くこととする。また、地域自治組織には事務所を置き、支所、出張所的な機能と地域協議会の庶務を処理する機能を担わせることとする。
 なお、区域をはじめ各地域自治組織の基本的な事項は、基礎的自治体の条例で定めることとするが、市町村合併に際して地域自治組織を設置する場合は、条例に代えて、あらかじめ合併協議によって定めることができることとする。
 地域協議会
(ア)  役割
 地域協議会は、住民に基盤を置く機関として、住民及び地域に根ざした諸団体等の主体的な参加を求めつつ、多様な意見の調整を行い、協働の活動の要となる。また、地域協議会は、地域自治組織の区域に係る基礎的自治体の事務に関し、基礎的自治体の長その他の機関及び地域自治組織の長の諮問に応じて審議し、又は必要と認める事項につき、それらの機関に建議することができることとする。
 なお、基礎的自治体の判断により、当該地域自治組織の区域に係る基礎的自治体の予算、基本構想、重要な施設の設置及び廃止等一定の事項については、基礎的自治体の長に必ず地域協議会の意見を聴くよう求めることが考えられる。
(イ)  構成員の選任等
 地域協議会の構成員は、基礎的自治体の長が選任する。
 (ア) で述べた地域協議会の役割から、構成員の選任に当たっては、自治会、町内会、PTA、各種団体等地域を基盤とする多様な団体からの推薦を受けた者や公募の住民の中から選ぶこととするなど、地域の意見が適切に反映される構成となるよう配慮する必要がある。
 なお、地域協議会は、住民の主体的な参加を期待するものであることから、その構成員は、原則として無報酬とする。
 地域自治組織の長
(ア)  役割
 地域自治組織の長は、地域自治組織を代表し、地域協議会との緊密な連携のもと、地域協議会によりとりまとめられた地域の意見を踏まえ、地域の実情に応じたきめ細かな事業・施策を実施する役割を担うものとする。
(イ)  選任
 地域自治組織の長は、基礎的自治体の長が選任する。
 財源
 地域自治組織が、地域協議会の意見を尊重しつつ必要な事業が実施できるよう、必要な予算を確保するなど、基礎的自治体において地域自治組織の財源について所要の措置を講じることが期待される。
2)  合併に際して設置される地域自治組織(法人格を有する。)の仕組み市町村合併に際しても、1)の地域自治組織を設置することはできるが、合併を進めるに当たって、直ちに基礎的自治体として一体化することが困難であり、段階的に一体化を図ることが適当と認められる場合で、1)の地域自治組織を導入するのでは十分でないという事情があるときは、特別地方公共団体である地域自治組織(法人格を有する。) を設置できることとすることが適当である。
 このタイプの地域自治組織についても、1)の地域自治組織と同様の役割が期待されるところであり、その組織についても、1)と同様、地域協議会と地域自治組織の長を置くほか、事務所を置くこととする。
 1)との相違点を中心とした制度の仕組みは以下のとおりである。
 設置
 合併協議により規約を定め、合併後の一定期間、合併前の旧市町村単位に設けることができることとする。
 なお、法人格を有することから、設置に当たって都道府県知事が認可等所要の関与を行う必要がある。
 事務の考え方
 地域自治組織は、基礎的自治体の事務で法令により処理が義務づけられていないもので、その地域自治組織の区域に係る地域共同的な事務のうち規約で定めるものを自らの事務として処理する。
 また、地域自治組織の機関が基礎的自治体の補助機関の地位を兼ねることなど
により、法令により基礎的自治体が処理することが義務づけられている事務を地域自治組織において処理することもできるものとする。
 組織等
 地域協議会は、地域自治組織の予算等を決定するほか、必要と認める事項につき基礎的自治体の長その他の機関に建議することができることとする。
 地域協議会の構成員の選出方法は、地域の自主性を尊重する観点から、規約で定めることとする。なお、構成員は、1)と同様、原則として無報酬とする。
 地域自治組織の長は、基礎的自治体の長が選任するものとする。
 地域自治組織の事務局の職員は、基礎的自治体からの職員の派遣又は兼務を原則とし、必要な場合には、臨時の職員を採用できることとする。
 財源
 基礎的自治体の事務の一部を処理するための財源は、基礎的自治体からの移転財源によることとし、基礎的自治体は地域自治組織の円滑な事務運営のための財源確保に配慮するものとする。
 課税権と地方債の発行権限は有しないこととし、地方交付税の交付対象団体ともしないこととする。
 なお、地域自治組織が上記の移転財源による財源見合いの事務以外の事務を実施することを認める場合には、何らかの住民の負担によることができることとすることを検討する必要がある。
3)  指定都市への適用について
 指定都市については、行政区その他の一定の区域(出張所単位等) をもって地域自治組織を設置することができることとする。

第2 大都市のあり方

1  大都市に関する制度の現状と課題
 大都市に関する制度としては、昭和31年には指定都市制度が、平成6年には中核市制度が、そして平成11年には特例市制度が設けられ、今日に至っている。高次の都市機能が集積する都市地域においては、多様化する住民ニーズに即応して機動性の高い行政サービスの提供が求められており、大都市である基礎的自治体に対する一層の権限の移譲をはじめとした権能の強化が求められている。
 一方、大都市は一般に人口が稠密で、多様で高度な都市機能が集積し、その社会実態的機能が一般の都市以上に広くかつ大きく周辺地域に及んでいるため、周辺地域との一体的整備が不可欠であり、大都市に特有の行政サービスの提供とともに、大都市を含む広域的なネットウークによる行政課題への対応が求められている。
 また、大都市地域においては、住民と行政との距離が大きいという指摘があり、また人口の集中や合併によって都市の規模が拡大するにつれ、このような傾向が一層助長される傾向も否定できない。個々の住民の意見を大都市経営に反映し、より多くの住民の行政への参画を促す仕組みが必要である。

2  今後における大都市制度のあり方
(1)  大都市に共通する課題
 基礎的自治体の権能の強化は重要な課題であり続けてきた。多くの国民が居住する大都市地域において、身近な行政を基礎的自治体が担える制度改革を行っていくことは、地方分権の実を多くの国民が実感できる方途である。このような見地から、これまでも、中核市制度・特例市制度の創設、地方分権一括法等による市町村への権限の移譲などが行われてきたところであるが、引き続きこのような都市の規模・能力に応じた一層の事務権限の移譲が進められるべきである。特に、三大都市圏の既成市街地、近郊整備地帯における都市計画権限をはじめとした都道府県と市町村の都市計画制度に係る役割分担のあり方や農地転用のあり方については、その早急な見直しが求められる。また、義務教育、産業振興の分野を中心に一層の権限移譲が進められるべきである。
 このほか、大都市をはじめとした市町村に共通の課題として、都道府県においては、条例による事務処理の特例の活用等により、基礎的自治体の規模・能力に応じて権限を移譲するなど、可能な限り基礎的自治体が住民に身近な事務を処理することができるようにしていくべきである。
 条例による事務処理の特例は、都道府県の判断により都道府県の事務権限を基礎的自治体に配分することを可能とする制度であるが、現行制度では基礎的自治体の方から事務権限の移譲を求めることができないことから、権限の移譲を一層進める見地からは、基礎的自治体が自らの判断により事務権限の移譲を都道府県に積極的に求めていくことができることとする必要がある。すなわち、都道府県知事の権限に属する事務の一部を処理することを求める基礎的自治体は、都道府県に対し、事務処理の特例に係る条例の制定等を要請する旨の申出をすることができることとし、都道府県知事は、この申出を受けたときは、遅滞なくその申出を行った基礎的自治体の長と協議しなければならない仕組みを導入することが適当である。
(2)  指定都市制度
 指定都市は、一般の市町村よりも幅広い事務権限を有しているが、指定都市を含む大都市地域においても、環境保全、防災、交通ネットワークなど区域を越える広域的な取組を必要とする行政分野が存在している。沿革的には、当初制定された地方自治法に都道府県から独立した特別市の制度が設けられたが、実際には指定されることなく、昭和31年の地方自治法改正により同制度は廃止され、これに代えて指定都市制度が創設されたという経緯がある。
 このような状況や経緯を踏まえれば、指定都市については現行制度の大枠の中で、その権能を強化するという方向を目指すべきである。その上で、大都市圏全体で行政課題を解決することが求められる分野については、指定都市と周辺市町村との連携を強化するとともに、都道府県がこれに対応した調整の役割を果たすことが求められる。
 また、現在、指定都市の人口は合計で2千万人を超えており、我が国人口の約6分の1を占める住民が各行政区に居住し、日常の行政サービスの多くを各行政区から受けている。住民サービスを充実するという観点からは、大都市における行政区がより住民に身近なものとなり、住民の意向が一層反映されるよう、地域内分権化を図る必要があると考えられる。このため、各指定都市における実情に応じ、前述の地域自治組織の活用を図ることが期待される。
(3)  中核市制度・特例市制度
 中核市制度・特例市制度については、基礎的自治体の規模・能力に応じた権能の充実強化に積極的な役割を果たしており、また、制度の定着をみているところである。基礎的自治体への一層の権限の移譲を推進していく見地からは、その指定のあり方等についてさらなる要件の見直しを行っていくことも考えられるが、市町村合併が進展する中で、各都市の規模・能力が合併特例法の期限である平成17年3月までの間に変動していく可能性が高いことを考えれば、少なくとも合併特例法の期限内においては、現行の中核市・特例市の指定要件を維持することとし、その後における要件緩和について、引き続き検討すべきである。

第3 都道府県のあり方

1  変容を求められる都道府県のあり方
 都道府県の制度は、戦前の広域的地方制度である府県制から地方自治法の体系へ、そして地方分権一括法による機関委任事務制度の廃止による自立した広域の自治体へと制度は変遷してきたが、現実の都道府県の姿を見ると、明治21年に47ある現在の都道府県の区域の原型が確立されて以来、その名称及び区域はほとんど変更されることなく今日に至っている。
 近年においては、経済のグローバル化、産業構造の変化などを背景として、広域の圏域における戦略的かつ効果的な行政の展開が求められるようになっており、また市町村の規模・能力が拡大しつつある中にあって、広域の自治体としての都道府県のあり方が改めて問われるようになってきている。

2  今後における都道府県の役割
 都道府県のあり方がこのように変容を求められる中で、都道府県が自立した広域の自治体として、世界的な視野も持ちつつ積極果敢にその役割を果たしていくためには、高度なインフラの整備、経済活動の活性化、雇用の確保、国土の保全、広域防災対策、環境の保全、情報通信の高度化などの広域的な課題に対応する能力を高めていくことが求められる。また、都道府県には国から移譲される権限の受け皿としての役割が引き続き期待されており、将来における基礎的自治体への移譲を念頭に置きつつ、土地利用、地域交通、産業振興、国土保全などを中心に、国から都道府県へ一層の事務権限の移譲が進められるべきである。さらに、都道府県には、行政サービスの広域的な提供を通じて、バランスのとれた公共サービスの維持に貢献してきた側面があり、このような役割も引き続き必要である。
 基礎的自治体との関係では、市町村合併の推進等により、今後は基礎的自治体が自立的に事務を執行することが原則となるものと考えられることから、都道府県の役割は、規模・権能が拡大した市町村に対する連絡調整が主となり、いわゆる補完行政的な役割については、一般的には縮小すると考えられる。

3  広域の自治体のあり方(都道府県合併と道州制)
 規模・能力や区域が拡大した基礎的自治体との役割分担のもとに広域の自治体としての役割、機能が十分に発揮されるためには、まず、都道府県の区域の拡大が必要である。
 また、国の役割を重点化し、その機能を地方公共団体に移譲するとともに、真の分権型社会にふさわしい自立性の高い圏域を形成していく観点から、現行の都道府県に代わる広域の自治体として道又は州(仮称) から構成される制度である道州制の導入を検討する必要がある。
(1)  都道府県合併
 現行地方自治法上、都道府県の廃置分合及び境界変更は、国の法律によってのみ行い得ることとなっており、都道府県の発意により合併手続に入ることができないことから、現行の合併手続に加えて、都道府県が白主的に合併する途を開くことを検討すべきである。その方式としては、市町村合併の場合と同様に、都道府県の自主的合併の手続を整備することとし、関係都道府県が議会の議決を経て合併を申請し、国会の議決を経て合併を決定するといった規定を整備することが考えられる。
(2)  道州制
 道州制の導入は、単なる都道府県の合併とか国から都道府県への権限移譲といった次元にとどまらない地方自治制度の大きな変革であり、国民的な意識の動向を見ながら、引き続き次期地方制度調査会において議論を進めることとするが、当調査会としては、今後議論すべき論点として、現時点では次のように考え方を整理することとした。
1)  基本的考え方
 道州制は、現行憲法の下で、現行の広域の自治体、基礎的自治体の二層制を前提として構築することとし、その制度及び設置手続は法律で定める。
 現在の都道府県を廃止し、より自主性、自立性の高い広域の自治体として道又は州を設置する。
 道州制の導入に伴い、国の役割は真に国が本来果たすべきものに重点化し、その多くの権限を地方に移譲する。
 道州の長と議会の議員は公選とする。
 道州の区域については、原則として現在の都道府県の区域を越える広域的な単位とし、地理的、歴史的、文化的な諸条件を踏まえ、経済社会的な状況を勘案して定められるものとする。
2)  役割と権限
 道州制の導入に伴い、国の役割は真に国が本来果たすべきものに重点化され、その事務権限の相当部分を地方に移譲する。
 すなわち、国は、現行地方自治法上、a)国際社会における国家としての存立にかかわる事務、b)全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動又は地方自治に関する基本的な準則に関する事務、c)全国的な規模で又は全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施などの役割を担うこととされているが、道州制が導入された後は、国の役割は重点化され、a)、b)のほかc)のうち限定された一部に縮小することとなる。
 道州制の導入に伴い、国から地方に移譲される権限のうち基礎的自治体に移譲できるものは原則として基礎的自治体に移譲するものとする。これにより、基礎的自治体は住民に最も身近な総合的な行政主体として、より一層大きな役割を担うこととなる。
 道州は、規模・能力が拡大された基礎的自治体を包括する広域の自治体として、基礎的自治体との適切な機能分担のもとに圏域全体の視野に立った産業振興、雇用、国土保全、広域防災、環境保全、広域ネットワーク等の分野を担うものとする。
 また、国の地方支分部局が持つ権限は、例外的なもの(入国管理、矯正等) を除いて、道州に移管する。その際、移管される国の事務権限について、かつての機関委任事務制度の手法が採られることのないようにすべきである。
 道州制の導入に伴い、道州に対する国の関与、基礎的自治体に対する道州の関与についてはいずれも必要最小限度とする。また、国、道州、基礎的自治体相互間の新たな調整手続の整備を図る必要がある。
3)  道州の区域及び設置
 道州は、現行の都道府県よりも広い区域と権限を有することから、その区域は「国のかたち」と密接に関連する重要事項であり、法律により全国をいくつかのブロックに区分してその区域を定めるという考え方と、道州の区域は、関係都道府県が議会の議決を経て申請し、国会の議決を経て決定するという都道府県側のイニシアチブを重視する考え方とがある。
 また、道州の設置については、全国一斉に道州に移行する方法と、一定の道州の要件に合致した場合は順次道州に移行する方法とが考えられる。いずれにしても、道州の仕組みや設置手続については、法律に定めることが必要である。
4)  税財政制度
 地方税財政制度については、道州の権限に応じて、自立性を高めることを原則とする。また、自立性の高い道州制を実現する観点から、自主財源である地方税を大幅に拡充することを基本とし、道州の規模、権限、経済力等を踏まえ、新たな財政調整の仕組みを検討するものとする。
5)  連邦制との関係
 道州制をめぐって、連邦制すなわち憲法において権限(行政権のみならず立法権(又は立法権及び司法権))が国と州とで明確に分割されている国家形態の導入を議論する向きもある。しかしながら、a)連邦制の下では、連邦政府と州政府の間の立法権の分割、地域代表としての上院(参議院) の創設、違憲立法審査権・立法権分割の審判者としての司法権のあり方など憲法の根幹部分の変更が必要となること、b)連邦制は、歴史的・文化的・社会的に一体性、独立性の高い連邦構成単位の存在が前提となること、c)地方分権を推進する観点から連邦制を導入する議論もあるが、連邦制を導入しても必ずしも地方分権を進めることにはならない場合があること、といった点を考慮すれば、我が国の成り立ちや国民意識の現状から見ると、連邦制を制度改革の選択肢とすることは適当ではないと考えられる。
6)  検討事項
 道州制の検討を行う際には、上記の観点のほか、a)現行憲法上は公選の長と公選の議員からなる議会を有することが地方公共団体の要件とされているが、広大な区域と大きな権限を有することとなる道州が、現行の地方公共団体と同様、それぞれ住民の直接公選による二元代表制であることでよいか、b)道州制の導入に伴い、その議決機関、執行機関、補助機関のあり方をどうするか、c)首都圏、近畿圏、中部圏など、人口や経済集積等において他の圏域と著しく異なる圏域についても同じ制度としてよいか、d)道州制の導入に伴い、大都市圏域においては、現行の指定都市制度よりも道州との関係において独立性の高い大都市制度を考えるのかどうか、といった観点についても、併せて検討することが必要である。
 なお、道州制の導入については、都道府県も住民に身近な行政を担っており、また、小規模な市町村を補完するような都道府県の機能が引き続き必要であり、従来の都道府県の役割が依然として大きいものであること、また一方で、道州制を議論する前に圏域的なテーマについては既存の制度である都道府県間の広域連合を活用する方法もあると考えられることなどを踏まえ、道州制の導入については慎重な検討を要するとする意見もある。
○松本小委員長 それでは、「当面の地方税財政のあり方についての意見(案)」について椎川課長。
○椎川財政課長 読み上げます。

当面の地方税財政のあり方についての意見(案)

    まえがき
 国と地方との役割分担や責任分野を明確化するとともに、地方が責任を持つべき分野について自己決定と自己責任の原則を徹底する地方分権改革は、平成12年の地方分権一括法の施行を経て次なる段階を迎えており、残された最大の課題は地方税財政の問題である。
 このような認識の下、当調査会は、地方税財政のあり方のうち、現下の喫緊の課題である三位一体の改革について、その考え方を整理し、平成15年5月23日に「地方税財政のあり方についての意見一地方分権推進のための三位一体改革の進め方について一」をとりまとめた。政府においては同年6月27日に「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」を閣議決定し、その中に三位一体の改革によって達成されるべき「望ましい姿」と「具体的な改革工程」を盛り込んだ。その内容は、当調査会の意見と基本的方向を同じくするものであると考えているが、当調査会としては、今後、明年度の予算編成をはじめとして「構造改革と経済財政の中期展望」の期間中に具体化される三位一体の改革についての基本的な考え方と特に留意すべき事項について、改めて指摘することとした。三位一体の改革が、地方分権改革の流れに沿って着実に推進され、実現されることを強く期待したい。
 なお、当調査会としては、地方税財政のあり方全般については今後も調査審議を続けていくべき問題であると考えており、各方面の意見を踏まえながら、引き続き次期地方制度調査会において議論を進めることとする。

1  基本的な考え方
 地方分権型の税財政システムについては、歳出面での国の関与の廃止、縮減により地方の自由度を高めるとともに、歳入面においては、地域における受益と負担の対応関係の明確化を図る観点から地方税中心の歳入構造を確立することが必要である。このため、歳出純計に占める国と地方の歳出の割合と租税総額に占める国税と地方税の割合との乖離を縮小し、地方への税源配分の割合を高め、国税と地方税の税源配分が1:1となることを目指して地方税源の充実を図っていくべきである。
 なお、こうした基本的な考え方にしたがって改革に取り組みながら、一方で現下の地方財政が巨額の財源不足状態にあることを踏まえ、地方財政の運営に支障を生じることのないよう適切な措置を講じていく必要がある。

2  三位一体の改革を進めるに当たって留意すべき事項
(1)  全般にわたる事項
 平成15年6月27日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」に盛り込まれた三位一体の改革は、当面、平成18年度までの改革であり、税財政面における地方分権改革の第一歩と位置付けられるべきものである。したがって、当調査会が同年5月23日に示した「地方税財攻のあり方についての意見」の方向を目指して更に取組を進めていく必要がある。
 この三位一体の改革は、税源移譲、地方交付税の見直し、国庫補助負担金の廃止・縮減等の改革を同時併行で一体のものとして相互にバランスを図りながら行うことが必要である。
 なお、この改革に当たっては、離島、中山間地域等条件不利地域における財政力格差の適切な調整に留意することが必要である。
 平成16年度は、実質的な意味で三位一体の改革の初年度である。このことを踏まえれば、それに相応しい内容・規模の改革が行われることが必要であり、当調査会としてもその実現を強く求めたい。
(2)  税源移譲を含む税源配分の見直し
 税源移譲を含む国と地方の税源配分の見直しに当たっては、応益性と負担分任性という地方税の性格に十分配慮しつつ、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築することが必要である。このような観点から、国庫補助負担金の廃止、縮減に伴う基幹税の充実を基本とした税源移譲については、個人住民税の拡充・比例税率化や地方消費税の拡充を中心に進めるべきである。
 また、国庫補助負担金の廃止、縮減に伴う税源移譲に当たって、個別の事業の見直し・精査や効率化を図る際に、これらに名を借りた地方への負担転嫁が行われることがないよう厳に留意する必要がある。
 さらに、地方公共団体が自主的な課税を行いやすくするということも重要であり、課税自主権を更に活用しやすくするような方策について検討する必要がある。
(3)  地方交付税の改革
 地方交付税については、国の歳出の徹底的な見直しと歩調を合わせつつ、地方財政計画の歳出を中期的な目標の下に計画的に抑制することにより、交付税総額を抑制するよう努めることが必要である。その際、地方公共団体の自助努力を促しつつ、地方の歳出の見直しを進めていくことが求められる。
 また、地方交付税は一般財源ではあるが、国への依存財源であることから、三位一体の改革における地方財源の拡充については、自主財源である地方税の拡充を基本とすべきであり、国庫補助負担金を廃止・縮減した上で、その財源を地方税としで移譲することと併せて、地方交付税の一部も、両者のバランスを考慮しながらこれを地方税、振り替えることに取り組む必要がある。ただし、その場合にも、地方財政の運営に支障が生じることのないよう、必要な地方一般財源の総額を、地方税及び地方交付税により確保すべきである。
 なお、地方交付税について、財源調整機能だけに特化すべきとの意見があるが、地方交付税の財源保障機能は、国が地方公共団体に対して、仕事を義務付け又は実質的に地域格差を生じないことを前提に仕事を委ねる仕組みとしていることと不可分の関係にあり、こうした仕組みが存続している限りにおいては、地方交付税を通じた財源保障は必要不可欠であり、これを維持していく必要がある。
(4)  国庫補助負担金の廃止・縮減
 国庫補助負担金の廃止・縮減については、当調査会が平成15年5月23日に示した「地方税財政のあり方についての意見」にしたがい抜本的な見直しに取り組むことが必要である。
 特に、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」の「(別紙2)国庫補助負担金等整理合理化方針」において重点項目とされているものについては、それぞれ着実な取組を推進し、地方公共団体の判断と責任において施策を取捨選択できる領域を拡大することにより、住民ニーズに沿った施策の実施による行政サービスの向上及び行財政運営の自主性・効率性の向上を国民が実感できるような成果をあげるべきである。
 また、職員設置費、法施行事務費、公共施設の運営費・設備整備費に係るものなど地方公共団体の事務として同化・定着している国庫補助負担金については、平成16年度に、その全額を一般財源化すべきである。
 さらに、いわゆる奨励的補助金については、国家補償的性格を有するもの、災害による臨時巨額の財政負担に対するものなどを除き、原則廃止・縮減すべきである。このためには、各年度ごとの廃止・縮減の明確な数値目標を掲げ、抜本的な改革を推進する必要がある。
 国庫補助負担金の改革は、三位一体の改革の入口であり、改革全体の成否を決するものであることから、平成16年度からその廃止・縮減を確実に進めていく必要がある。

3  平成16年度における地方財攻措置
(1)  地方財源不足への対応
 現下の地方財政は、平成15年度においても約17兆円に上る財源不足を生じており、その多くを借入金等の特例措置で補てんせざるを得ない状況が続いている。その結果、地方財政の借入金残高は平成15年度末で199 兆円に達しており、非常事態とも言うべき状況に至っている。
 現行の通常収支に係る財源不足補てんルールは平成15年度までとされているが、歳出の抑制と歳入の確保のための努力を行ったとしても、来年度以降も、引き続き巨額の財源不足が生じる可能性があり、そのような場合には地方行財政制度の改正又は地方交付税率の変更を行うという地方交付税法第6条の3第2項を踏まえ、地方財政の運営に支障が生じることのないよう万全の措置を講ずるべきである。
(2)  地方債資金の確保
 地方債については、地方分権の推進や財投改革の趣旨を踏まえ、法律により義務付けられた事務の実施に必要な資金を中心に所要の公的資金を確保するとともに、流通性の向上、調達手段の多様化等の環境整備を行いつつ、民間資金による資金調達の充実を図る必要がある。
○松本小委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの案につきましてご意見等がございましたら、適宜ご発言を願います。
 どなたかございませんか。尾崎委員。
○尾崎委員 幾つか文章上の問題で、お聞きしながら、まだ目で追いながら、ちょっと気になった点だけを申し上げたいと思います。
 1ページ、ちょうど真ん中辺でありますけれども、「共鳴」という言葉を使っておられるわけですね。非常に新鮮な感じがしてはいるんですけれども、共鳴というと、こちらでピーンとやると向こうで必ず同じ音が出るということです。そうすると、地方公共団体はすべてのさまざまな団体の意見に共鳴しなくてはいけないのかということになってしますので、選択の余地があるはずですから、ちょっと表現をお考えになった方がよろしいんじゃないかと思います。神経質過ぎるのかもしれませんけれども。
 それから、3ページでございますが、上から3分の1ぐらいのところなんですけれども、「住民に身近な事務については、原則としてすべての基礎的自治体で処理できる体制を構築する必要がある。」そういうことだとは思いますけれども、後の方で広域連合による広域連携でありますとか、一部事務組合などの話もあるわけですから、一つの基礎的自治体で全部処理できるという話でもないんだと思うんです。これは全部、個々の基礎的自治体でやれるように読めますので、ちょっとお考えになった方がいいのかもしれません。後ろの方にそういうのが出てくるわけでありますので、あるいは県が一部をお手伝いをするというようなことも今後考えると言っているわけですから、ちょっと考えた方がいいような気がします。
 それから、4ページなんですが、ちょうど真ん中のところですが、「今後、基礎的自治体は」とありまして、それから、次の行にいって、今後基礎的自治体は「権限移譲、財源の充実強化等を図りつつ」と続くことになって、基礎的自治体が権限移譲、財源の充実強化を図るということでいいんでしょうか。それもちょっとお考えになられた方がよろしいんじゃないかというように思います。
 それから5ページなんですけれども、少子高齢化の問題、前からちょっと引っかかりを感じているんですけれども、少子高齢化の問題を合併で解決できるようにと、一つの当面の手段としては、おっしゃるとおりだと思いますけれども、根本的には少子高齢化というのは、まさに国全体の問題ですから、むしろ、基礎的自治体のみによって解決できる問題じゃないんじゃないか。基礎的自治体という非常に住民に近いところで考えますと、隣の村の高齢者を周りの市町村が面倒をみるという話ですから、面倒をみていただく方の立場から考えますと、ここに書かれているとおりなんですが、逆の周りのところから考えますと、それは国の仕事ではないかという意見が出てくるような気もしますし、事柄が国全体に及びますから、高齢化問題は都市でもあるわけですから、よくその辺の表現を少し詰めて考えられた方がいいように思います。
 それから、同じ5ページの(4)の3行目ですが、「市町村合併を引き続き推進することが求められている」というように、極めて客観的に第三者的な目で書かれているわけですけれども、これはそれでいいんでしょうか。それとも当調査会としては、求められるというように自分たちの意志を入れるのかどうか、ちょっと悩ましいところですけれども、やや引っかかりを感じました。
 それから、9ページ、これはそういうことかなというような気もしますが、下から3行目なんですが、「事態が生じることが危惧される」というのも少し気になる。これでもいいかなという気もしているんですけれども、もっと感情のこもらない言葉の方がいいんじゃないかなと。
 それから、14ページに行きまして、これは質問ですけれども、「地域自治組織の長」の方は原則として無報酬ではないんですね。それは質問です。
 それから、17ページ、一番下の行ですが、「このような傾向が一層助長される傾向も」というのは、ちょっと文章として稚拙かなと思いますので、このような傾向が一層助長される可能性も否定できないとかなんとか、くっついていますので同じ「傾向」を2つ使わないで、ちょっと言いかえた方がいいかと思います。
 それから、これも質問なんですが、25ページの上の4分の1ぐらいのところに、「また、国の地方支分部局が持つ権限は、例外的なもの(入国管理、矯正等)」と書いてあるんですが、この矯正というのは刑務所とかそういうところなんでしょうね、きっと。私、気になりますのは、国税の地方支分部局というのはどうなるんでしょうか。これは地方の話ですから、そこまでということではないんでしょうけれども、例示に入っていないものですから、ちょっと気になってお伺いいたします。
 それから、もう一つの方、当面の地方税財政ですが、前に申し上げましたけれども、仙台の公聴会で宮城県の知事さんに質問をいたしまして、地方消費税というのは、基本的に偏在性があるんじゃないですか。偏在性のあるものを分け直すから偏在性がなくなるという話なんで、地方消費税そのものは、消費税と実態は同じなわけですから、法人税に次ぐ偏在性があるわけですね。そういうことをお尋ねしましたら、やはり、偏在性はあると思うと。そういうことじゃなくて、基幹税だから税源移譲をしてほしいということを言っているんだというのが宮城県の知事さんの認識であったわけなんです。それをお伺いしたところでおしまいになっちゃったわけですけれども、この基幹税というのは、一体何をもって基幹税というのかというのが、非常に練れていない言葉だと思うんです。余り使われてこなかった言葉であると思いますので、今回はこのままで構わないと思いますけれども、基幹税というものについて、少し詰めないと議論が固まっていかないような気がします。
 ただ、個々別々に伺いますと、基幹税とはどうも税収の多い税をもって基幹税とするというお考えのようなのですが、そうなりますと税源の移譲じゃなくて、税収の移譲ということが、やはり先立っているという感じがどうしてもするわけであります。やはり、税源の移譲というのは、地方分権の理念にふさわしい税源を移譲していくということであろうと思います。これは申し上げ放しにさせていただきたいと思います。
 以上です。
○松本小委員長 ありがとうございました。それでは、今の質問も含め答えられるところを答えていただきたいと思いますが、多くのものは表現の問題でございましたので、預からせていただいて、また考えさせていただきたいと思います。質問がありましたことについて、それから表現の問題でも、事務当局としてのお考えで言っておく必要があるのならば、今言っておいてください。
○山崎行政体制整備室長 地域自治組織の長の報酬の点でございますが、一般制度としての地域自治組織は、支所、出張所的な役割を担いまして仕事をするということでございますので、そこで常勤の公務員としてお仕事をされるというふうに想定しておりまして、報酬はあるというふうに理解しております。
○松本小委員長 久元行政課長。
○久元行政課長 1ページ目の共鳴という表現は、こういういろんな活動の動きに敏感に、そして不協和音を起こさないで常にハーモニーを保ってやっていきたい。こういう願いを込めて使ったわけですけれども、例えば、呼応とか、そういう一般的な表現の方が無難であれば、そういうことも含めて検討させていただきたいというふうに思います。
 それから17ページはご指摘のとおりで、ちょっと文章として稚拙ですので、これも見直します。
 それから25ページのところは、入国管理局そして法務省関係の出先機関を統括する矯正管区のことを指しておるわけですけど、ちょっとわかりにくければ、別の例示をさせていただきたいと思いますけれども、国税局の方は国税の機能は当然残りますので、例外的なものに入るというふうに考えております。
○松本小委員長 そのほかの委員方、ご質問はございませんか。貝原委員。
○貝原委員 まず、質問ですけれども、6ページの真ん中辺から始まるパラグラフの4行目ですが、「今後、地方分権改革により、明らかにされた役割の担い手」ということを書いてありますが、これはどういうことを意味するのか、ちょっとわかりにくいので教えていただきたい。
 それから、22ページの上から2行目の終わりの方からですが、「将来における基礎的自治体への移譲を念頭に置きつつ」という言葉が入っているんですが、これは特に意味があるのかどうか。修飾的に書いてあるような感じもしないではないんですが、実態的に何か意味があるんでしょうか。22ページの上から2行目の最後のところから始まるところ。1行目からでもいいんですが、また、都道府県には国から移譲される権限の受け皿としての役割が引き続き期待されており、将来における基礎的自治体への移譲を念頭に置きつつ、土地利用、地域交通云々を国から都道府県へ移譲すべきだと書いていますね。将来における基礎自治体への移譲を念頭に置きつつというのは、何か意味があるのかどうか、ちょっとわかりにくかったんで。
 以上が質問ですが、私の意見としては、全体として今までいろいろな意見が各委員から出たものを総合的にいろいろ調整されて、もちろん、全部取り入れられてはいない部分があるわけですけれども、工夫されておられるので、これで私もいいのではないかと思いますが、全体として合併の問題の言うところの小規模市町村の合併ということに非常に議論が集中をして、したがって、マスコミ等でもそういう取り上げ方が非常に多いように思うんです。
 しかし、この全体を通じていいますと、3ページのところでは、基礎自治体について上から6行目ぐらいからでしょうか。可能な限り基礎的自治体が住民に身近な事務を処理することができるようにすべきであり、少なくとも、福祉や教育、まちづくりなど住民に身近な事務については原則として、基礎的自治体で処理できるようにするという考え方。それから、6ページでいいますと、私、今質問もしましたけれども、真ん中辺から下のパラグラフの4行目、今後地方分権改革により明らかにされた役割の担い手にふさわしい行財政基盤を有することができる基礎自治体を形成する。そのために自治体を再編するということ。それから、「また」というところがちょっとよくわからないですが、国土の保全云々というようなことで、こういうことも基礎自治体でやるんだというようなことも書いてありますね。
 一方、都道府県の方については、21ページの真ん中辺のパラグラフを見ますと、真ん中からちょっと下の「近年において」というところから始まる文章の後半ですが、市町村の規模・能力が拡大しつつある中で、広域の自治体としての都道府県のあり方が改めて問われる。そして、それを受けて24ページでは、一番下のパラグラフですが、「道州制の導入に伴い、国から地方に移譲される権限のうち、基礎的自治体の移譲できるものは原則として基礎的自治体に移譲する」とか、それから、ちょっと前に帰って恐縮ですが、22ページにこの都道府県のことが書いていますが、真ん中辺のパラグラフ、「基礎的自治体との関係では、市町村の合併等の推進により、今後は基礎的自治体が自立的に事務を執行することが原則となるものと考えられることから、都道府県の役割は規模・機能が拡大した市町村に対する連絡調整が主となり、いわゆる補完行政的な役割は一般的には縮小すると考えられる。」こういう記述が随所にあるわけです。これをずっとまとめて読むと、今まで都道府県が所管していた事務が、その広域的連絡調整みたいなものを除きますと、むしろ基礎自治体の方にほとんど行ってしまうんではないか。そうだとすると基礎的自治体というのは、今、都道府県がやっているような仕事はほとんど基礎的自治体に移行することが分権の考え方からいいんだということであれば、基礎的自治体の規模というのは、一体、どういう規模であるのかということになると1万人未満なんていう話ではなくて、20万とか、30万とか、そういう規模でなければいけないというようなことになるんだろうと思います。
 したがって、そういうものができたら、逆に府県は何をするんですかということで、むしろ国の権限を中心とした道州制にいくんだというようなことが、次の地方制度調査会で議論されるんだということであれば、合併のところも小規模市町村のところにあんまり議論が集中しているような印象を避けるような形で、私は基礎的自治体というのは、一体どういうものだということについて、今、言いましたように、この答申案でも随所に書いてはありますけれども、まとめてきちんと一般的にわかやすいように理解していただけるように、調査会としての考え方を整理した方がいいのではないか。そこに向けて現実にいろんな合併、小規模市町村の合併以外の合併をなされているわけですから、端的に言いますと、今の都道府県がやっているような仕事は、もうすべての基礎自治体がやれるような規模能力を持っていくんだ。将来的には、そういう方向でいくべきだということですね。そのようなニュアンスを出した方がいいのではないかというような気がします。
 さっき質問した2点は、そういうことを含めて書いてあるのかどうか、ちょっとお尋ねもしたわけです。
 以上です。
○松本小委員長 それでは、ただいまの質問ないし、ご意見につきまして事務当局どうですか。質問には答えておいて下さい。
○伊藤総括審議官 十分なお答えにならないかもしれませんが、2点ほどご質問について、まずお答えをさせていただきたいと思います。
 6ページの現在進めている市町村合併について、今後地方分権改革により明らかにされた役割の担い手にふさわしい行財政基盤というご指摘がございました。我々のイメージとしてありますのは、今回の分権改革の最も基本的な哲学でありますところの自己決定、自己責任の原則に基づいた行政システムというのが、今回の分権改革の最も基本な考え方だと思いますが、したがいまして、そういう市町村が自己決定、自己責任の原則に基づいた行政ができるような、そういうような行財政基盤を有することができるということで、ここに記述したつもりであります。
 それから、22ページのところでもう一つございました。上から3行目のところ「将来における基礎的自治体への移譲を念頭に置きつつ」というフレーズのところであります。私どもといたしましては、権限移譲につきまして、基礎的自治体に直接移譲してもらいたいという権限がございますが、各省庁の抵抗等もありまして、まずはその行政体制がある程度安心して任せられる。そういう意味での都道府県に事務を移譲し、そこでその一定の段階を経て、その都道府県から市町村に移譲という方が現実的ではなかろうかということもありまして、こういうような表現にさせていただきました。
 それから、ご意見でいただいたことは、これから道州制でありますとか、都道府県の合併論とかいうときに最も基本になる議論でもありますし、私どもとしても、少なくとも、私は個人的には同じような方向で考えております。多分、都道府県の機能はできる限り、基礎的自治体の方に移行する。したがって、当然に基礎的自治体の方も変容するし、都道府県の方も変容する。そうなると、基礎的自治体のあり得べき、ないしは望ましい規模というのは、相当大きな規模に一時的にはならざるを得ないだろう。ですからこそ、その中で地域自治組織みたいなコミュニティ単位の組織等を持って、従来の全く住民に身近な行政をやるような仕組みが今後求められるのではないかということで、将来のことを考えたらどうかと思っております。
 十分なお答えになりませんが、そういうことでもありますので、私どもとしては、基礎的自治体、基礎的地方公共団体の最も基本的な定義は2ページの一番最後の5行目ぐらいから書いておりますので、「このためには」以下でありますが、もう少しここで敷衍すべき要素があるとすれば、ここのところの修文等をさせていただければと思っております。
 以上です。
○松本小委員長 よろしゅうございますか。世古委員。
○世古委員 概ねいろんな議論がまとめられているというふうに思います。2点質問をしたいと思います。
 1つは3ページのところに、これからの地域自治組織も含めて、地域における住民サービスを担うのは行政のみではないということが重要な視点で、「住民や、重要なパートナーとしてのコミュニティ組織、NPO、その他民間セクターとも協働し」という表現になっているのです。しかし、13ページのところ、誰が地域自治組織のメンバーになるかというところですね。「構成員に選任に当たっては、自治会、町内会、PTA、各種団体等地域を基盤とする多様な団体からの推薦を受けた者」というふうになっていて、ここにはコミュニティ組織という表現が、例えば、自治会、町内会なのでしょうか。「各種団体等地域を基盤とする多様な団体」というものには、答申はコミュニティそれ自体、どういうものが含まれるのかということを確認したいということでご質問したいというふうに思います。
 また、地域自治組織の法人格を有するタイプの長についても都道府県知事が任命するということであれば、先ほどのお話と同様、地域自治組織の長というのは、この方も有償というふうに考えていいんでしょうか。先ほどは地域自治組織の長はすべて有償なのか、無償なのかということを書いてあるところを確認したいというふうに思います。
 今のは報酬の問題についてですね。その2点をお聞きしたいと思います。
○松本小委員長 それでは、今のことについて、山崎室長。
○山崎行政体制整備室長 13ページの地域自治組織の地域協議会の構成員の件でございますが、わかりやすいものとして例示を考えたんですが、各種団体等地域を基盤とする多様な団体、この中にはNPOにもいろいろございますが、地域を基盤としておるNPO等は当然入るというふうに考えております。
 それから、先ほどの法人格を持つ地域自治組織の長でございますが、これも基礎自治体の補助機関として仕事をする部分がある。それから、基礎自治体の事務を責任持って執行していただくということで、こちらは報酬があるというふうに考えております。
 以上でございます。
○松本小委員長 ありがとうございました。よろしいですか。それではほかの委員方いらっしゃいますか。今村委員。
○今村委員 7ページから9ページにかけての部分が気になるところがございます。7ページから8ページにかけて、前回大変議論になった人口1万未満の記載の仕方ですけど、これは中間報告でも、法律上、人口規模の要件を示すべきであるかどうか、これについては、意見が分かれているという表現になっていて、法律に規定するかどうかということが重要視されていたわけですが、私も前回申し上げた立場は、法律に明記するかどうかを置いて、人口1万未満、これがわざわざ記載することがなぜ調査会の最終答申において必要なのか、そういう認識だったわけですが、そのことについては、恐らく前回の委員長のご発言にありましたけれども、当面の状況に関する非常に高度な判断がおありでしょうし、ここであえて前回と同じような異論を繰り返すつもりはございません。ございませんけれども、次期通常国会に向けてポイントである新しい法律の制定に向かうということを考えますと、なお、最終答申に当たっても、もう少し綿密な検討をさせていただきたいところがやはりあります。
 ところが冒頭の委員長のご発言では、本日も資料は回収ということになりますと、そのような法制化に向けて、やはり留意すべき点についての検討ができなくなるおそれがありますので、とはいえ、その方針に逆らうつもりで言うわけではありませんが、例えばの話ですけれども、8ページ、9ページを見ていただきますと、やはり都道府県知事が新たな構想をつくる。そして、その構想に基づいて、合併協議会の設置や合併に関する勧告等を行う。この合併協議会の設置や合併に関する都道府県知事の勧告の法的な性格というものは、一体どういうことなのか、勧告を受ける基礎自治体の側にとってみますと、それがどういうものがあるか、法的にどういう性格を持つかということは、大変重要な意味を持つように思います。
 この点については、もう既に、この専門小委員会でも若干の意見交換があったわけですが、法的な性格について、さらに確認といいますか、どういうものかということについて教えていただきたいということが1点です。
 かつて私、非常にこだわりました「あっせん」という言葉なんですが、これは一体何なのか、合意形成に関するあっせん、8ページでは「あっせん等」、9ページでは「あっせん等の調整」というふうに書いてあります。かつての事務局側の見解では、これはいわゆる関与には当たらない。関与には、このようなものはないわけですから当たらない。当たらないとしたら、関与に含まれないとすると一体それは何なのか。その種のものを設けないというのが、少なくとも、私の理解では第1次分権改革の思想ではなかったかと思います。そうしますと、こういうあっせんというようなことを最終答申で書いて、今後の新法の法制化に向かった場合には非常に困った事態になるのではないか。むしろ、これなどは助言、勧告というような当たり前の表現の方が穏やかに済むだろうと思うのです。これはあっせんを受ける基礎自治体側の立場に立ってみますと、やはりあっせんという言葉は、自治法上も関与の類型ではありませんけどございますし、それが議会の議決要件にもなっているというような条文もございますので、そのあっせんとは何かというようなこと、新法に当たってどういう処理をされるのか、差し当たって2点について確認と質問をさせていただきたいということです。
○松本小委員長 それでは、伊藤総括審議官。
○伊藤総括審議官 今の時点での我々の整理についてのお話をさせていただきますが、まず、勧告の法的な性格いかんということでございました。現在、地方自治法に8条の2という規定がございます。計画をつくって、関係市町村に知事が合併について勧告することができる規定がございますが、これは今のところの整理は先生ご案内のように、法定受託事務としての整理であります。したがいまして、今回の私どもの合併に関する勧告は、これと同じ性格のもの、法文化するとなれば法定受託事務として整理することになるんだろうと思います。
 それから、あっせんについてでありますが、確かにあっせんというのは、現在、一般的な国の関与の中に入っておりません。したがって、助言、勧告の中で読み取ることも可能ではないかと思いますが、私どもとしては、新しい法体系をつくりますので、あっせんという1つの一種の関与の一類型として、法律上整理した方がいいのではないかと現時点では考えております。
 以上です。
○松本小委員長 あれは3号関与じゃないですか、地方自治法上の。要するに、個々具体に……。
○伊藤総括審議官 そうですね。整理上は3号関与です。
○松本小委員長 だから、今の制度でも3号関与で読めているわけでしょう。それでいいんでしょう。どうですか、今村先生。個々具体的にかかわるから。
○今村委員 当該問題になるあっせんの対象とする自治体側の立場などを考慮しますと、その辺は明解な整理がされていた方が好ましいと思うんです。
 それから、あっせんという新しい関与の類型を設けるということになりますと、関与というのは、国の関与はどういうことを考えるのかとか、法定受託事務として整理した場合には、そういう疑問が一つ一つわいてくるわけで、できれば、本日、これは回収という判断ですから、最終的には逆らえられないかとも思いますけれども、できるならば、13日の最終答申を控えて、この段階ですと、持ち帰りを本当は認めていただきたいと思います。
○松本小委員長 持ち帰りの件については、会議の持ち方として、従来からそういうふうにしてきておりますので、ご協力をいただきたいと思います。
 それでは、ほかの委員の先生方、神野委員。
○神野委員 全体的に言うと様々なところに目配りをいただいて、まとまっていて問題はないと思うんですが、感想めいたもので修正ということではないんですけれども、ちょっと気になる点は7ページのところで、上記の構想は下から2番目のパラグラフあたりですが、合併にいたらなかった場合に、基礎的な自治体の規模・能力の充実を図る。これは合併の目的なんですね。様々なサービスが今後増えて、対人社会サービスその他が増えてきますから、基礎自治体の行政能力を高めましょうということですね。
 なお、合併が期待される市町村を対象とするということで、具体的には圏域の体制を高めるための合併というのがあるんですね。これは多分、お気持ちはよくわかるんですが、普通、行政能力を高めるために合併しましょう。しかし、それはできるだけ生活圏というか、1つの圏域の中でやって、結果として、それが圏域の一体性を高めることに結果としてなるとか、そういうことを目指すべき、少なくとも後からは一体性を損なわないようなということも出てきますので、そういうようなニュアンスなのではないかと思うんです。
 気持ちはわかるので、これでもいいんですけれども、ちょっとそれが気になるのは、14ページを見ていただくと、合併するときというのは、できるだけ一体化している圏域で、山を越えてとんでもないところで、全然生活も文化も違うところと合併すべきではなくて、一体性をむしろ高めるような形で合併しましょうというのが前にあって、14ページのところで、これも気持ちはわかるので、修正をしていただくということではないのですが、合併しても一体化するのが困難だというのをもっと裏からかけませんかと、つまり積極的な意味で合併したんだけど、本当は合併したくなくて、嫌々で全然地域的に一体感も何もないよ。これはしょうがないから認めましょう。徐々に一体化していってくださいねという論理構成ですよね。それよりももっと、例えば、合併はしたんだけど、なお地域固有の行政サービスを、それぞれのコミュニティごとに出したい、供給したいというような要請が強い場合にはとかというふうに書くと、私、目配りが効いていないので、ほかのところで都合が悪いのでしょうか。
 つまり、消極的に書いた方がいいのか、積極的に書いた方がいいのか。実態は同じことだと思うんですけれども、書きぶりとしてどっちが読み手の国民が、これはなるほどと思うかということだろうと思うんです。だから、非常にテンタティブに実験的にやってみるということを重視すれば、後ろ向きに書くにしても、もうちょっと表現を弱めた方がいいのじゃないかというのが感想です。
○松本小委員長 よろしゅうございますか。
○神野委員 それから、先ほどの基幹税の話ですが、私がお答えするわけではないんですけれども、私がよく基幹税としょっちゅう使いますので、私が提起している基幹税というのは、税体系の機軸となる租税という意味です。その税体系の機軸となる租税を国と地方でどうやって分け合うのかということです。これは私の考え方ですので。
 尾崎委員は勉強家ですので、20年ぐらい前に大論争がありまして、現代税制というのは所得税中心主義というのが通説だったんですけど、それを誰だったか、林先生、覚えていないかな。論争があって、それが実は現代というのは所得税中心的な、これはキータックスの翻訳ですので、所得税をキータックスとする税体系が付加価値税によって動揺させられていくという、そういう過程なんだという実証的な論文で大分論戦があったんです。私の考え方では、ほぼ現在の財政学者は税体系というのは、所得税と付加価値税か余り議論しないで、2つが基軸になっているということを何となしに前提にしているのだろうと思いますので、その税金をどうやって分け合うのかということで、私は使っているということです。後でその論争についてご興味があれば、文献はご紹介をいたします。
 年をとってくると名前が全然出てこなくなって、日本人の名前も出てこないのに、外国人の名前はなお出てこないもんですので、すみません、後でご興味があればご紹介いたします。
○松本小委員長 先ほどの2点目の話。1点目は表現の問題として修文で処理させていただいてよろしゅうございますか。2点目の話も表現なのですけど、ちょっと重要なことがあるのです。合併をしたところについて一般制度でいくのか、法人格のある制度でいくのかということについての仕切りの問題としてどう考えているかということがあるのですね。私もさっき、この文章は厳しいなと思って線を引いていたのですけども、事務局どうですか、そのことは。
○伊藤総括審議官 ご指摘はよくわかります。ただ、一体化することが困難であると、ここまで書いてしまうと確かにちょっと強過ぎるかなというのもありますので、ちょっと修文させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○松本小委員長 それはいいんだけど、具体的にというか、実際に合併をしたところについて、どういう場合、法人格を持つものというようにイメージして書いているのか。全くご自由でございますと、つまり選択の話であって、そういう特別の違なるイメージをしたことではないのですということなのか、それは今、先生がおっしゃったように、ある程度地域の固有のサービスを提供する要請が強いというような、そういうところは認めていくのだというようなことなのか。書くか書かないかは別ですよ。
○伊藤総括審議官 潜在意識としては、一体化するのに若干時間がかかるかなというような団体が見受けられますので、それは潜在意識としてありますが、対外的に法制度として説明するときには、当該、地方公共団体の自由な選択ということにしておりますので、そこは自由な選択に委ねるというのが法制的な枠組みになるんだろうと思います。
○松本小委員長 そういうイメージ的な差をあらかじめ考えないということですね。
○伊藤総括審議官 対外的な法制度の説明としては、その方がよろしいのではないかと思います。
○松本小委員長 それなら直ちに基礎的自治体として一体化することが困難であるというのは、ちょっとおかしいということになる。表現の問題でそこは始末していくということになりますね。そのほかの委員の先生方おられませんか、西野先生。
○西野委員 7ページの一番下の人口1万人の問題のところでございますけれども、これは「合併特例法期限到来後における分権の担い手としての基礎自治体」で書かれています。しかし、私は数字を示すならば、ここよりも、前のところ第1章1節の「地方分権時代の基礎自治体の構築」の「地方分権時代の基礎自治体」で示してた方が構成上良いのではないかと考えます。
 3ページの第1パラグラフのところで、基礎自治体の役割について、可能な限り住民に身近な事務を処理し、少なくとも、福祉や教育、まちづくりなど住民に身近な事務については、原則としてここで処理できる体制というふうに具体的に言っておりますし、次の4ページでも市町村の役割の変化に言及しています。
 これらを踏まえて、新しい基礎的自治体の規模がどのぐらいであることが望ましいのかというような数字の情報提供は重要ですし、合併を検討する際のレファレンスとしても自治体側に必要だと思います。
 そして、そのとき、そこは難しいとすれば、理想的数値とともに必要最低限示す必要があると考えます。
 それから、もう一つは補完性の原理に関してなんですが、2ページのところで一番最初の(1)の1のところで、国と地方の役割分担にかかわる補完性の原理という考え方で、「基礎的自治体の優先の原則」を生かしてゆくことをまずここで最初にうたっておりまして、ここで言われているのは、subsidiarityということで、恐らくプライオリティのことを言っているので、住民に身近なところでできることは基礎自治体が扱う、それができないことを都道府県が、そして最後に国が補完するという役割分担を意味していると思います。ところが、22ページ第2パラグラフのところになりますと、ここで基礎的自治体と都道府県の関係で「都道府県の役割は、規模・権能が拡大した市町村に対する連絡調整が主となり、いわゆる補完行政的な役割については一般的に縮小すると考えられる」とされて、言っていらっしゃることはわかるのですけれども、非常にミスリーディングな表現だと思います。別の言葉を使っていただく方がよいと思います。
 それから、27ページのところでも最後のパラグラフの2行目のところで、「また、小規模な市町村を補完するような都道府県の機能が引き続き必要であり」となっていまして、一番最初に示された「補完性の原理」とコンシステントでないという気がいたしますので、ここもお考えいただきたいと思います。
 それから、こちらの地方税財政のあり方についての意見の2ページのところの国税と地方税の税源配分が1対1になることを目指すというので、これはこれで結構だと思います。地方と国との歳出、歳入の比率が2対3になっているということは国民は知っているわけです。そういう中で1対1という数字を出すときに、これが最終目標かどうか不明です。ですから、例えば、「当面」というのがどこかについているかしらとさがしましたが、ついていないわけで、なぜ1対1かということについて、1行述べられた方がいいような気がいたします。
 以上でございます。
○松本小委員長 今のことで。
○伊藤総括審議官 それでは私どもの今の時点での整理をお話をさせていただきたいと思います。人口要件のところで、人口要件を書くなら、基礎的地方公共団体の人口要件として書いたらどうか。したがいまして、2ページないしは3ページのところで、そういうような記述をするということになるのではないかと思います。
 先ほど貝原委員からもお話がございましたが、そもそも21世紀のレベルにおいて、基礎的地方公共団体の人口要件をどう考えるかについては、人によっていろんな意見があるんだろうと思います。したがって、私どものような福祉、教育、まちづくりが少なくとも処理できるような自治体ということになると大体3万ぐらいかなとも思いますし、効率的な団体としては10万ぐらい、さらに自立的、発展的な団体として二、三十万ということになろうかと思いますが、これは従来からずっと地制調で論議をいただきまして、1つの合併の構想要件としての人口要件についての議論をしていただいて、その基礎的なあるべき団体としての人口要件についての議論は必ずしも十分していただいているわけではないと思います。それも非常に魅力的ではありますが、もし、そういう形で書くとなりますと、新たな概念、新たな数字を持ち込むことになりまして、これは現実的にはなかなか正直言いますと、市町村間の調整とか、かえって難しい局面を誘発する可能性があるということもありまして、現在のような整理にいたしております。ご指摘のような人口要件について、もう少しいろんな観点から考えるべきでないのかという点につきましては、我々としても同感であります。
 それから、この都道府県の機能の補完行政的なものをどう整理するのかということでありますが、実は地方自治法上は現在は都道府県は市町村の補完行政的な役割を担うことにはなっていない。規模対応事務という形で対外的に説明しているんですが、従来から補完機能という形で説明した経緯もあって、こういう表現になっています。この点については、どう書くか、我々の方に預からせていただければ大変ありがたいと思います。
○松本小委員長 今、伊藤総括審議官が人口の要件と言われたけど、それは人口の目安という意味と同じ意味でおっしゃっていると考えていいですね。
○伊藤総括審議官 先生からご指摘いただいたのは、2ページないし3ページに書くとなると、基礎的地方公共団体の人口の目安というよりも何となく人口要件的に聞こえたものですから、そういう話をさせていただいたんですが、ひょっとしたら私が取り違っているかもしれません。先生はあくまでも目安としてお話になっているのかもしれません。
○松本小委員長 西野委員。
○西野委員 私は目安という意味です。
○松本小委員長 西野委員のおっしゃっているのは目安という意味で言っておられるそうです。
○香山総務審議官 西野先生がおっしゃっているところは非常に重要なところなので、頭を悩ましたところであるんですけど、目安として基礎的自治体がこのぐらいの大きさであるべきだから、人口要件と言うか、目安であるか、どちらでもいいんですが、そういう大きさとして数字を書くのは、ちょっとまずいだろうというふうに考えられるわけです。
 というのは市を目指す要件で3万だ、5万だとすると、日本国中に基礎的自治体の要件が3万、5万を目安というふうにしてもいいんですが、そうしますと、町村というのは存在し得なくなるんじゃないかというような議論になりまして、現に残った町村は全部が半人前だというような議論になりまして、すぐ特例町村に移行するような制度と密接に結びつくのではないかという非常に強いアレルギーがあります。
 県が新しい構想をつくるときに、今回の平成合併でうまくいかなかったところで仕切り直しをしようというところを中心にやってもらうわけですけれども、そのときに特例市を目指すとか、積極的な意味づけがあるところはもちろんそれでやってもらうし、そうでなくて、小さいままで残っているところも忘れないように構想の対象にしてもらう。そのときには小さいと言うのはどうなるのかということになって、構想の対象としての目安という意味でこの数字は考えよう。こういうふうになっていますので、この流れから言うと、なかなか前には書きにくいような数字になっているということなんです。
 したがって、目指すところは3万ないし、5万だとすると複数の町村がくっつくんだから、それは当然、3つか、4つくっつくんだとすれば、対象となるのは、人口1万ぐらいになるということなのです。
 全然、別の考え方で言いますと、昭和の合併のときは、町村の要件として8,000 人と言っていますから、これはかなり重い数字なんですけれども、昭和の大合併のときでも8,000 人ぐらいなんだから、それとそんなに違う数字じゃないのだから、そういうところは小さな町村という対象にとらえて、合併の構想をつくるときの対象として見てもらったらいいんじゃないか、そういう意味での目安ということではどうかということなんです。
○松本小委員長 林委員お手が挙がっていましたので、後で西野委員、何かありましたらまたお願いします。
○林委員 今の件に関しましては、私もそういう具合に書き込めれば一番いいんですけれども、これに関しては非常に今後難しい議論をしていかなきゃならない。ということで、構想を策定する際の目安という具合に割り切らざるを得ないだろうと私自身は理解をしております。
 あと1件は、これは申し上げるべきかどうかというのを迷いながら、連邦制のところなんですね。結論としましては、連邦制は選択肢とすることは適当ではない。これは私もそのとおりだと思うんですが、その理由としてCのところに連邦制を導入しても、必ずしも地方分権を進めることにならないという具合に書かれているんですね。これは理由としては中身の話なので、ちょっと書くのはどうかなと、例えば、道州制を導入しても、必ずしも地方分権にはつながるわけではないという場合もあるわけで、ここはちょっと答申としては少しこのあたりは省いた方がいいのではないかというように思います。
 それからもう一点は、これは感想という具合にお聞きいただければいいんですが、先ほどの1万人のところが、やはり以前示していただいたように人口1万人を下回ると、経費がものすごく割高に急激についてくるわけです。この部分は地方交付税で、今後措置するというか、補てんしていくことが非常に難しいということが背景にはあるんだろうと思うんです。ですから、1万人は最低このぐらいの規模は必要なんじゃないかというところがあって、ところが地方税財政のあり方についての意見のところに、地方交付税のあり方として、全体的な話は書かれているんですけれども、今、既にやっておられる段階補正の話だとかといったようなことが、当然、ここの1万人とかというようなところにはかかわってくるんだろうと私は理解しておりまして、その部分の書き込みがないと、やはり地方交付税は今のままなのかというようなことになってしまって、実はそうじゃなくて、こういう財政を考えたときに、そういう小規模自治体は交付税で今までどおり支えることが難しいですよということが、多分、あるんだろうなとは思っているんです。ということで、意見のところにそのあたりを書き込むのは非常に難しいかとは思うんですが、ちょっと、そういう感想を持っているということだけお知らせしたいと思います。
○松本小委員長 林委員のおっしゃっているのは、税財政の意見の方にむしろ、そういうことを……。
○林委員 はい。交付税の改革のところに、書き方は非常に難しいですけれども、地方自治制度のあり方の答申と税財政の意見とが整合的になるようにするためにも、そういうところの配慮のようなものは要らないかなと、ちょっとそういう気がしております。意見の方です。
○松本小委員長 香山総務審議官。
○香山総務審議官 今おっしゃったことは、結局、政党レベルでのいろんな提言なんかがあったときに、かなりシビアな形で出てきまして、一番議論を呼んでいるところなんです。中間報告のときにも一応ご相談したんですけど、その辺の表現は5ページの表現で一応触れてある。非常にマイルドな形にして触れてあるというつもりでおりまして、これは率直にいって、これ以上強めるのはほとんど困難な情勢だと思います。これが規模等に対応して行われてきたということについての見直しは避けられない、避けられないというのを、地方制度調査会がそうしろと言っているんじゃなくて、そういうふうに迫られているというニュアンスで、こういう表現でこなしてきていますので、何とかお気持ちは非常によくわかるし、そういうふうにしろという強い意見も別のサイドから強く突きつけられておりますが、それを上回るような反対もあるものですから、その辺でご理解をたまわればと思います。
○松本小委員長 それでは、今の連邦制のところは事務局どうですか。
○伊藤総括審議官 ちょっと文章を考えてみたいと思いますが、ご案内のように連邦制度にして極めて中央集権国家になったところもあるわけでありますので、そこらあたりをメンションしたつもりですが、この書き方がいいかどうかを含めてもう少し時間をいただきたいと思います。
○松本小委員長 そのほか意見はございませんか。岩崎委員。
○岩崎委員 基本的な表現ですけれど、例えば、1ページを読んでおりますと、これは今回の答申は21世紀の地方制度を新たにつくろう、市町村を合併して大きくするとか、都道府県のことも触れているわけですよね。そうしますと、基礎的自治体の「的」というのが気になります。以前は基礎的な自治体はどういうものかということを議論しておりましたけれども、もうここまで議論したのですから、最終答申になりますので、基礎自治体と言い切ることはできないのかということと、それから広域の自治体の「の」をとってほしいということです。広域自治体ということです。
 何を申し上げたいかといいますと、今後の地方制度として基礎自治体と広域自治体を、それぞれ市町村と都道府県を考えあわせながら再編をする。それぞれ大きくなるということだと思うわけです。そうすると二層制を維持していくことも書かれておりますので、読み手にとっては基礎的自治体の「基礎的」ということは、言い切れない理由があるのかしらとか、広域の自治体の「広域の」というのは、「の」があるからすごく引っかかるとか、そういうことがあるような気がいたします。私がそうですから、多分、一般の人もそうかなという気がするんです。ですから、とってもこだわりがあるんでしたら、それをご説明いただきたいんですけれども、そうでなければ、これは基礎自治体、広域自治体というふうにできないものかということを強くお聞きしたいと思います。この答申はすごく注目されているわけですので、ここで使われる言葉でずっと適用されていくということを考えていただきたいと思います。
 それからもう一つ、こっちの方はもっと爆弾的な発言になるんですけれども、道州制というのはすごく嫌いなんです。手垢がつき過ぎて、道州制というとありとあらゆる人がいろんなことを考える。道州制というラベルで考えていることは違う。そういう状況で今まで来ているから余計に道州制がわからなかった。今回はきっちりと地方制度調査会で道州制の論点等々をきちっと整理したわけですから、これは州制ということで、これもそういうふうな仕切り直しはできないものかという気がいたします。
 それは言っていいのか、悪いのかなと思っていたんですけれども、今回、この説明をお聞きしておりまして、道又は州(仮称)というのがあったんですが、22ページ、最後のところですね。現行の都道府県にかわる広域の自治体として道又は州(仮称)から構成される制度で道州。道又は州と言っておきながら、あとは「道州の役割」、「道州とは何か」、「道州の機能」、「道州の区域」となっているわけです。そうすると、北海道も北海道州と言えばいいだけの話なので、州と言ってしまえないのかということであります。地方制度調査会がきっちりと道州制に関する議論をこれほどはっきり出すことは初めてなので、だとすると最初が肝心なので、州制ということで、より一般的な言葉で語られていくようにスタートすべきという意味で、基礎自治体、広域自治体、州制ということに修正していただきたいと思います。
○松本小委員長 尾崎委員と話をしたときも尾崎委員もそういうお考えをお持ちになっていたようなんですけど、何かありましたら尾崎委員。
○尾崎委員 私はここでも発言したことがあるんです。例えば、茨城県は茨城と言うけれども、北海道を北海と言う人はいない。だから、北海道というのは一語と考えれば、それでいいじゃないか。北海道州で。そうすると、九州州になるんですかというお話がありまして、九州州でもいいんじゃないですかと申し上げたことがあるんで、私も今の岩崎委員の発言には賛成です。今まで私が申し上げてきた限りでは、全く無視されているわけですけれども、1人味方が増えまして、大変結構なことだというように思います。余計なことを申し上げますが、むしろ、その前の基礎的というのは、どこが変わったんだということを聞かれたときに、ちょっと苦しいかなと。つまり、基礎的自治体と基礎自治体とはなぜ言いかえたんだということ聞かれたときに、どういうふうに説明するのかなと今思っていたところです。
○松本小委員長 事務局どうですか。
○久元行政課長 基礎的自治体という言葉の使い方は論点整理からずっときているんですが、基礎的自治体という言葉を使ったのは、恐らく、地方自治法上、基礎的な地方公共団体というふうに言っているのに引きずられているのだろうというふうに思います。
 広域的自治体と言わないで、わざわざ広域の自治体という言葉を使わせていただきましたのは、広域的自治体と言いますと広域連合とか、一部事務組合を連想することが多いものですから、言葉を言いかえたわけです。基礎的自治体、そして広域の自治体というふうに並べて書きますと、やや違和感があるような表現になっているのかなというふうに率直には思います。
 ただ、考えてみますと、自治体という言葉自体が法令上の用語ではなく、大部分の法令は地方公共団体と言っておりまして、自治体という言葉を使っておりますのは、例えば、消防組織法の中に自治体という言葉が使っておりますけれども、ほとんど例がない。警察関係の政令で昭和20年代の初めにあるものが散見されるぐらいで、自治体というのは、事実上、法令上の用語じゃないわけです。そういたしますと、もともと法令上の用語じゃない言葉も使っているものですから、基礎的という言葉にこだわるのかどうかは、そうは言ってもできるだけ法令上の用語に近い方がいいのか、法令上の用語は用語としてわかりやすい言葉を使った方がいいのか。その辺はご判断かと思いますが、実務担当者として特段、今の基礎的自治体でなければならないというふうには思っておりません。その辺はどちらがいいのかはご議論いただければというふうに思います。
○松本小委員長 それで、この用語の使い方は……。
○久元行政課長 それから道州制については、私ども事務方といたしましては、道州という言葉が相当広く流布しておりますし、これまで各党、各経済団体、いろんなシンクタンク等から提言されたような言葉の数から見ますと、道州制という言葉は相当流布しているんじゃないかなという感想は持っております。
○松本小委員長 今の話だと、そういうふうに使い古してしまって、手垢に汚れているから非常にイメージが混乱するということだから、それは余り説明にはならないかもしれない。
○諸井会長 最終的に法律をもしつくるとしたら、道か州かどっちかに決めないといけないのかい。道もあり、州もあり、みんながやらんでもいいというような、そういうやり方はあるのかい。
○松本小委員長 それはあります。道又は州という書き方はできますから。だから、それはそれでも書けます。法律には。
○伊藤総括審議官 私どもの整理としては、今、議論が確かに道州制でいろんな議論がなされていて、手垢にはまみれているんですが、新たに州制といきますと、「何、アメリカ合衆国にするの」とか、かえって別の議論を呼び起こす可能性もあって、少なくとも対外的な説明は当分の間は道州制の方がいいのかなと、私、個人的には思います。法整備になりまして、最終段階で、それを例えば州と呼ぶなり何なりというのは当然考えられますが、今の時点では一気に州制とやると、何で州制なのかというのをまた延々と説明しないと、一般的に受けとめてもらえないというのがあるんじゃないかという懸念は持っています。
○岩崎委員 今、道州というのは都道府県でも都道府県があるというのがというのが聞こえてきちゃったんですけど、市町村とか、都道府県とか、そういうふうに言うこともおかしいという議論もありましたよね。広域自治体に都・道・府・県とどうして4つも種類があるのか。そういうことを考えますと、道州制で道州と入れて、それで出発してしまいますと、道と州の違いは何なのとか、その辺からまた説明せざるを得なくなる、本来の意図は広域的で強い、自立できて、非常に戦略的に国際社会でも通用するような、そういう単位をつくるということであるのだとすると、かえって、その地域の単位の名前に2通りあるということは、都道府県と同じような轍を踏むのではないか、そういう気がちょっとしましたので、そういうことです。州制はアメリカ合衆国になるとか、そういうふうなイメージの方がかえっていいかもしれないですねという気がします。そこまでラジカルに国の権限を地域に移すわけ?というイメージの方が逆にいいのかという気もしないわけではありません。これは別にここでどうしても主張するわけではありません。しかし、一般的なワーディングとしては、これからも通用していく言葉でなければ、この答申がスタートになるわけですから、よろしくはないのではないかという意味から申し上げました。
○松本小委員長 ご意見も踏まえつつ、いずれにしても、答申案をつくらなければいけませんので、誠に申しわけありませんが、2つの問題ともお預かりさせていただいて、私の方にお任せいただけませんでしょうか。
○貝原委員 ちょっと時間がなくなってきましたので、発言させていただきますと、先ほどの発言でもちょっと私気になったんですが、今回の答申は地方分権を進めるために、都道府県を合併して道州をつくる、あるいは小さな市町村を合併をして受け皿をつくる。こういうような考え方だとすると私は全く逆の考え方をしておりまして、反対です。
 今回、今一番焦点になっている合併についても、合併の哲学が何だということが最初から問われていたわけです。その場合に明治の合併は300 ないし500 だと。それから昭和の合併が8,000 だと。それと同じようなレベルで1万というような話が出てくるというのは極めておかしな話でして、今、やろうとしている分権を進めるためには、国の権限をできるだけ県といいますか、広域の今後考えられているものとすれば道州ですね、そういうところに持っていこう。府県の仕事をできるだけ市町村に移行する。したがって、府県というのは解体をして市町村にしていこう。こういうような考え方ですね。そして、1万人とか、2万人ぐらいの今の町村ですか、ああいうのはむしろ住民自治組織として、もっと住民に身近な組織体として再編をして三層制の地方自治体体制をつくっていく。一番下の自治体、住民自治組織というのは憲法上のいう地方公共団体ではないというような考え方も当然あると思いますが、それはそれでもいいんですが、実態的に行政をより住民に身近にしていくということが、私は基本的な哲学だと思うんです。そのことがきちんと出ていないというところに、私はちょっと問題があると思って、先ほど意見を申し上げたんですが、先ほどの6ページのところに、まさに昭和の合併は云々と書いてあって、真ん中辺のパラグラフですね。「現在、進められている市町村合併は、『昭和の大合併後の生活圏や』云々」と書いてあって、今後、地方分権改革により明らかにされた役割の担い手にふさわしいという非常に抽象的に書いてあって、この意味するところを質問したら、自主決定、自己責任だとおっしゃったんだけど、何を自己決定、自己責任するのかということがないと全然説明にならない。
 私はここのところに、今まで府県が担当していたものはほとんど新しい新市町村が、合併後の基礎自治体が担当するんだというようなことを国民の間に、要するに、大きなものを小さくしていくんだという考え方を出さないと理解でできないのではないか。この点については香山総務審議官の現実的なご心配、それはそれで十分わかりますので、そういうことをストレートに書くというわけにはいかないのでしょうが、少なくとも、今回の合併の哲学をここのところに出しておく必要があるんじゃないか。そうかといって、こういう文書を書いたらどうかというのは、私の能力に余るんで提案できませんが、もし、そういうことが皆さん方の英知で出していただければ、国民の理解も非常に受けられるんじゃないか。このように思いますので、あえて発言させていただきました。
○松本小委員長 今のことは気持ちとしては、ここでそういうことを書いたつもりなんでしょう。要するに、役割分担が決まって、国は重点化して、残りは全部地方になりますと。その地方の中で第一義的に、包括的に市町村が役割を担うことになりましたから、その中に府県が今までも持っていた役割も市町村の役割になるものがありますよということを裏で言っているわけでしょう。今、貝原委員のおっしゃったことを踏まえて、そういう趣旨がもうちょっと出るように文章の修正をさせていただく。そういうことでどうですか。世古委員。
○世古委員 手短に。ワーディングの問題ですが、12ページの地域協議会、これは前は「評議会」であったものを「地域協議会」に直していただいてよくなったと思います。「仮称」というのをとったらいいというふうに思うんです。また「以下同じ」もとる。要するに、ここで仮称のままにしておけば、またずっと仮称のままになりますから、これは地域協議会にしていただくということで、例えば、アメリカだったらネイバーフットコミッティとか言っていますから、住民協議会か、地域協議会だろうというふうに提案しましたので、「仮称」をとるというのを今言っておかないととられないのでぜひ言っておきます。
 それからもう一つは、議事録に残すという意味で聞いていただければと思いますが、8ページ、9ページのところに「一定の場合」というのが3か所出てくるんです。「一定の場合には」とか、「一定の場合には市町村長が」、9ページにも「一定の場合には」と出てきます。これは何を指しているのかというのが非常に不明瞭なんです。「例えば」というところを例示的に書いてあるところと、一定の場合の例示が書いてないところがあるので、「一定の場合」というのはどういう場合を指しているのかということを、議事録に残すという意味でお答えいただいて確認をしておきたい。もし書き込めるのであれば、一定の場合とは、例えばどういうものを指すのかを書くというのが必要なのではないかと思います。
○松本小委員長 それでは、今の後の方を答えてください。
○世古委員 前半の方は……。
○松本小委員長 ぜひご協力をいただきたいと思いますので後で申し上げます。
○山崎行政体制整備室長 一定の場合の話がありましたが、今明確にお答えすることがなかなか難しい部分もあるんですが、都道府県知事が合併協議会の設置を勧告したというときに、即座にその勧告が何かの効果をもってということになるのかどうか。何日間かの期限があるのかなど、いろいろは点をこれから検討させていただきたいというふうに思っております。
 それから9ページの思いですが、都道府県知事が合併に際して一定の場合に小規模な市町村等を対象としてというのは、今後合併を進めていくといたしますと、小規模な市町村の側では地域自治組織をつくってもらいたいんだけど、なかなか大きな市と一緒になるときに、地域自治組織を自分たちの力だけで通すことができないような場合があると思います。そういった場合に都道府県が後押しをしてあげるということを想定しておるというところだけ申し上げたいと思います。
 以上です。
○松本小委員長 それで世古委員のご意見の前の方ですけど、仮称をとれという話ですが、こういう答申とかのときに、全く新しいものを指すときには、一般的に「仮称」とつけるのが礼儀みたいなものでして、ひとつそういうことでご協力をいただければと思いますが、よろしゅうございますか。
○小早川委員 すみません。遅れてきたものですから一言ぐらい申し上げないといけないのですが、しかし既に出ているかもしれません。
 12ページのアのところですが、一般制度としての地域自治組織の機能の書き方なんですけど、そこに「さらに」とありまして、3番目の機能ということになりますが、行政と住民、地域の諸団体等が協働して担う地域づくりの中核としての機能を有するとありますが、この中核というのが、地域自治組織が行政の末端組織として、ほかの民間団体の活動を全部仕切ってしまうみたいな、そういう意味だとするとまずいので、多分、そうではないと思いますから、特に修正を求めるつもりもありませんけど、この「中核」というのは、恐らく行政サイドではここは重要な役割を担うということであって、行政と住民の活動というのは、あくまでも対等な関係であるということを確認させていただきたい。それだけです。
○松本小委員長 そのことについては事務局どうですか、そういう趣旨ですねということなんですけど。はい、山崎室長。
○山崎行政体制整備室長 ここは新しい公共空間を形成するという概念を入れましたので、その中で行政側においてちゃんとしたインターフェースになっていく。公私が協働していろんなことをしていくという意味で、おっしゃるとおりで対等でありまして、仕切るような意味はございません。
○松本小委員長 よろしゅうございますか。尾崎委員。
○尾崎委員 最後にエモーショナルなことを申し上げますけれども、我々にとってふるさとというのは、町や村だと思うんです。先日、イタリーでアッシジというところに行きまして、人口5,000、聖フランチェスコが生まれて、そして亡くなったところなんですが、すばらしいところだったですね。人口というものとは関係なしに、歴史とか環境とかが織りなす美しいものというのがなくなってしまうんじゃないかという心配がどうしてもあるんです。地方分権の受け皿としての基礎的な自治体というのがあって、それの事務能力を確固たるものにしたいということで合併につながるわけですけれども、地方分権の受け皿というのは、そういう事務能力なのかなということがどうしても消えないんです。都会の人たちが軽井沢や山中湖に別荘を持ちたがるのは、軽井沢町であり山中湖村だからと思うんですね。そういう何か大切なものを忘れてしまって本当にいいのだろうかということを思うわけです。事務とかそういうものを越えた何かがあるんじゃないか。そういうものを残しつつ、地方分権というのを考えていかなくちゃいけないんじゃないかということを最後に申し上げたいと思います。
○松本小委員長 ありがとうございました。
 それでは、大分時間も超えてまいりましたから、これで一応今日の審議を終わらせていただきたいと思いますが、ご案内のように今日が最後の専門小委員会ということでございます。本日、ご議論いただいた答申案、意見案につきまして、皆様方のご意見を踏まえて修正をすべきところは修正をさせていただきたいと思いますが、具体的な表現内容等につきましては、諸井会長、西尾副会長ともご相談させていただきながら修正をするということで私の方に一任いただきたいと存じますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○松本小委員長 それでは、そういうことで取り計らわせていただきたいと思います。
 本日はいろいろご意見をいただき誠にありがとうございました。それでは答申案、意見案を回収させていただきます。事務局で回収してください。

(答申案回収)

○諸井会長 皆さんのご意見をどうやって取り入れるかということのほかに、関係者との調整をやらなくちゃいけないんでしょう。13日の総会で決めなきゃいかんね。それまでの間に調整をしなきゃならないね。だから、調整の面から出てくる修文というのもあり得るわけだね。
○松本小委員長 そのことについても当然関係方面に……。
○諸井会長 皆さん特にご関心のある部分については、できればこういうふうになりますとか、こういうふうにさせていただきますということをご連絡した上でやるように。
○松本小委員長 今の会長の発言については事務当局はよろしいですね。もちろん、そういう関係方面のご意見等も踏まえて、修正する部分を修正させていただきます。また、皆様方にはできるだけその内容については事前にご説明させていただきたいと思います。
 それでは、地方制度調査会第7回総会は11月13日木曜日10時30分、グランドアーク半蔵門「華の間」において開催することといたします。
 以上をもちまして、本日の専門小委員会は閉会といたします。どうもありがとうございました。

閉会

もどる

ページトップへ戻る