第28次地方制度調査会第1回専門小委員会 次第平成16年3月23日(火)
15時00分〜17時00分 グランドアーク半蔵門「光の間」
○松本小委員長 専門小委員会の委員長の松本でございます。皆様方のご指導とご支援を得まして、微力ながら務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。 それでは、時間がまいりましたので、第1回の専門小委員会を始めさせていただきます。 最初に、専門小委員会の運営についてお諮りいたします。事務局から取扱いの案について説明願います。 ○三好自治政策課長 それでは、第28次地方制度調査会専門小委員会の運営についてでございます。会議の公開につきましては、以下のとおりとさせていただきたいと思います。 まず、専門小委員会のこの会議自体につきましては、非公開、いわゆる傍聴を入れないという形にさせていただきます。会議終了後、専門小委員会の委員長から会議の概要を記者発表させていただきます。資料につきましても、原則公開ということにさせていただければと思います。それから三点目、議事録につきましては、できるだけ速やかに公開をいたしたいというふうに思います。 以上三点、この取扱いは、前回第27次地方制度調査会の専門小委員会と同様の取扱いということでございます。以上で説明を終わらせていただきます。 ○松本小委員長 ありがとうございました。ただいまの説明に対しまして、ご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。 よろしゅうございますか。それでは質問もないようでございますので、専門小委員会の運営につきましては、事務局の説明のとおりとしてよろしゅうございましょうか。 (「異議なし」と声あり)
○松本小委員長 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。 さて、第1回総会におきまして、今次の地方制度調査会に対しまして、内閣総理大臣から「道州制のあり方」、「大都市制度のあり方」、その他最近の社会経済情勢の変化に対応した地方行財政制度の構造改革についての諮問を受けたところでございます。専門小委員会としては、今後の審議事項とその論点について整理し、総会に報告する必要があると考えます。 まず、第27次地方制度調査会の答申、意見について地方自治制度の法案化の状況、そして三位一体改革の取組状況について、事務局から説明を願いたいと思います。どうぞ行政課長。 ○久元行政課長 第27次の答申の法制化等の取組状況につきましてご説明を申し上げたいと存じます。恐縮でございますが、資料1−2、二番目の資料、横長の資料でございますが、この資料1−2をご覧いただきたいと存じます。また、27次の答申本文につきましては、ファイルに綴じ込んでありますので、適宜ご参照いただければと存じます。 昨年の11月13日に内閣総理大臣に対して提出されました27次の答申は、三つの大きな柱から成り立っておりました。 第1は、「基礎自治体のあり方」であります。今後の基礎自治体をどう構築していくのかということ、総論部分が続きまして、具体的には、三番目の項目として合併特例法期限到来後(平成17年3月31日)でありますけれども、その後の分権の担い手としての基礎自治体をどう構築していくのかということにつきまして、具体的な提言をいただきました。この点につきましては後ほどご説明を申し上げますが、所要の法案を3月9日に国会に提出をさせていただいたところであります。次に四番目でありますけれども、基礎自治体における住民自治の充実や行政と住民との協働推進のための新しい仕組み、地域自治組織につきましての具体的な提言をいただきました。この点につきましても、同日付けで閣議決定されました「地方自治法の一部を改正する法律案」の中にこれを盛り込んだところであります。 二番目の柱は「大都市のあり方」についてでありました。指定都市、中核市、特例市の大都市の状況、今後これをどういうふうに考えていくのかということにつきましてご提言をいただきましたが、具体的には、「2 今後における大都市制度のあり方」として条例による事務処理特例の拡充につきましてもご提言をいただきました。この点も先ほどの地方自治法の一部改正案の中に盛り込んだところであります。 三番目の柱は「広域自治体のあり方」でありました。市町村が変れば都道府県のあり方も変容を求められるという観点から、今後における広域自治体としての都道府県の役割につきまして種々ご提言をいただきました。具体的な方向といたしましては、3のところですけれども、都道府県合併、そして道州制という、二つの大きな方向性につきましてご提言をいただきました。都道府県合併につきましてのこの新しい制度の仕組みにつきまして、地方自治法の一部改正案の中に盛り込んだところであります。また、道州制につきましても、その時点における論点の整理が行われまして、3月1日の総理からの諮問にありますように、今次、28次の論点の一つとされているところであります。 それでは、資料1−1の資料をご覧いただきたいと存じます。 今第159 回の通常国会には、先ほど申し上げた三つの法案を3月9日に閣議決定をし、同日に国会に提出をされております。たまたま今日でありますけれども、衆議院の本会議におきまして、麻生総務大臣よりこの三法案の趣旨説明が行われ、質疑が行われたところでございます。 資料をめくっていただきまして、市町村合併の特例等に関する法律案、これは平成17年4月1日以降の市町村合併をどう推進していくのかということについての新法であります。また、次が現在の市町村合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案、これは今まさに進めようとしている合併のあり方について所要の改正をするものでありますが、この二法案につきましては、後ほど市町村課長から説明をさせていただきたいと存じます。 私からは、9ページをご覧いただきたいと存じますが、「地方自治法の一部を改正する法律案の概要」、この部分で説明を申し上げたいというふうに存じます。 1は、最初に住民自治の強化等を目的とする「地域自治区」の創設であります。これは第27次答申におきまして、一般制度として、住民の意見をより行政に反映させる仕組みとして、地域自治組織の創設について提言されたわけでありますが、地方自治法の中に「地域自治区」という名称で必要な規定を追加することとさせていただきました。地域自治区とは、地域の住民の意見を行政に反映させるとともに、行政と住民との連携を目的として市町村の判断により設けられる区域であります。そして、この区域におきましては、その区域の住民のうちから選任された者によって構成される地域協議会、そして市町村の事務を分掌させるための事務所が置かれる。この二つが構成要素ということになります。この地域自治区は、市町村が条例でその区域を分けて設けるということになります。 地域協議会、この名称は27次の答申と同じ名称でありますけれども、構成員は、地域自治区の区域の住民のうちから市町村長が選任をする、そして、権限、これも答申どおりでありますけれども、地域自治区の地域に係る重要事項、どういうものが重要事項であるかということは、すべて条例に委ねているところでありますが、この重要事項につきまして、あらかじめ地域協議会の意見を聴かなければならないというふうにしております。そのほかに、市町村の事務で地域自治区の区域に係るもの等につきまして、市町村の長その他の機関に意見を述べることができるとしております。 なお、この地域自治区につきましては、合併関係二法におきまして、必要な合併時における特例を設けることにしておりまして、この辺は後ほどご説明を申し上げます。 2番目は、都道府県の自主的合併の手続の整備であります。現在の地方自治法の規定、すなわち都道府県の廃置分合は、法律で定めるという規定に加えまして、関係都道府県の発意により行うことができるよう規定を整備しております。 具体的には、関係都道府県の申請、総務大臣を経由することになりますが、申請に基づきまして内閣が決定をする。関係都道府県は申請に際しては、それぞれ議会の議決を経る、内閣はこの決定を行う際に国会の承認を得る、合併の処分は、総務大臣が行う告示により効力を生ずることとするということであります。この手続は27次の答申を忠実になぞっております。 次に、都道府県の境界にわたる市町村の新設合併の手続であります。編入合併につきましては、既に手続が整備されているわけでありますが、新設合併につきまして、新たに次のような規定を整備しようとするものであります。 関係市町村及び都道府県の申請に基づいて、総務大臣が市町村の新設合併を定める。この場合、総務大臣は、申請に基づき、新設市町村の属すべき都道府県を定め、これに伴い都道府県の境界も変更するということになります。関係市町村及び都道府県は、申請に際して、それぞれ議会の議決を経ることとしております。申請合併の処分は、総務大臣が行う告示により効力を生ずることとしております。 3番目は、条例による事務処理特例の拡充であります。市町村長は、議会の議決を経て、都道府県知事に対し、その権限に属する事務の一部を処理することができるよう要請することができるという規定を追加いたします。そして都道府県知事は、この要請があったときは速やかに市町村長と協議を行わなければならないこととする。この仕組みも27次の答申を忠実に条文に落としてございます。 以上が27次の答申を具体化するための項目でありますけれども、以下は、構造改革特区の提案といたしまして、地方公共団体から出てまいりましたものを一般制度として制度化するものであります。 収入役は市町村の会計事務をつかさどる特別職として置かれておりますが、町村につきましては、収入役を置かないこととすることができるとされております。ところが、構造改革特区の提案といたしまして、規模の小さい市についても収入役を置かないことができることとさせてほしい、こういう提案がありましたことを受けまして、政令で定める市、現時点では人口10万未満の市を想定いたしておりますが、政令で定める市も収入役を置かないことができることとするものであります。 次に、議会の定例会につきましては、現在年4回以内で条例で定めるというふうにされておりますが、この回数の制限を撤廃しようというものであります。 6番目は、支出命令の簡素化、長期継続契約の対象範囲の拡大ということで、所要の地方自治法上の手続の簡素化を行うものでございます。 4以下は地方制度の弾力化を図るという意味を持つと考えております。地方自治法の関係は以上でございます。 ○松本小委員長 続いて市町村課長。 ○井上市町村課長 続きまして、いわゆる合併新法と、そして現行の合併特例法の一部改正案につきましてご説明をさせていただきたいと存じます。ただいまの資料の5ページにお戻りいただきたいと存じます。 まず、これは合併新法、名称は「市町村の合併の特例等に関する法律案」というものでございます。1番でございますけれども、合併特例区制度の創設であるわけでございますが、答申で地域自治組織のうち、市町村合併の際に一定期間設置をすることのできる法人格を持つタイプ、これを法制化をしようというものでございます。合併後の一定期間(5年以下)としております。基本的には、旧市町村を単位といたしまして、特別地方公共団体である合併特例区を設けることができるというものであるわけでございます。ここで「1又は2以上」と書いてございますけれども、二以上の旧市町村が一つの合併特例区を設置することも可能といたしております。 次に、設置の手続であるわけでございますが、合併関係市町村の協議で規約を定めまして、廃置分合の申請の際に設置を申請するというものでございます。処理する事務につきましては、規約で定めることといたしておりますけれども、答申にも書かれておりますとおり、法令で義務づけられている市町村事務については対象外となっております。 どのような事務を行うのかということでございますけれども、例示で書いてございますが、地域の公の施設の管理でございますとか、地域振興イベント、コミュニティバスの運行、地域に根ざした財産の管理等であるわけでございまして、こうした中から規約でもって定める事務を行うということでございます。 次に合併特例区の長、区長でございますけれども、合併市町村の長が選任することといたしておりまして、特別職でございます。また、この区長は、合併後の市町村の助役又は支所・出張所長を兼ねることができることとしております。 次に、合併特例区の協議会でございますが、答申で書いてありますとおり、構成員は規約に定める方法によりまして、合併市町村の長が選任をするというものでございます。権限につきましても答申のとおりでございますが、大きく二つございまして、一つは、合併特例区の長の事務の処理に対しまして同意権が与えられております。それが「ア」でございます。それから「イ」と「ウ」につきましては、合併後の市町村に対しまして、一定の意見を言うことができるという意見具申権を定めているものでございますけれども、その「イ」は必要的諮問事項、規約で定めます重要事項につきましては、この協議会の意見を聴かなければならないとしております。それ以外に任意に意見を述べることができるというものが「ウ」でございます。また、この合併特例区でございますけれども、住所の表示に合併特例区の名称を冠することといたしているものでございます。 次に、2番目でございますけれども、地域自治区の特例を定めております。先ほど地方自治法で一般制度といたしまして、地域自治区を規定いたしておりますけれども、合併に際しての特例であるわけでございますけれども、1)は、地方自治法では条例で定めて設置をするということでございますけれども、合併の際は、合併の協議で設置を決定いたします。また2)でございますけれども、一般制度の場合は、事務所の長は一般職としておりますけれども、合併の際は特別職の区長を置くことができるとしております。また住所の表示に地域自治区の名称を冠するといたしております。 3番目でございますけれども、特例措置等でございます。答申におきましては、合併新法が合併に関する障害を除去するための特例を中心に定めまして、現行法における合併特例債のような財政支援措置はとらないこととすべきであるというふうにされているわけでございますけれども、順不同でございますけれども、まず3の5)、これは現行の合併の障害除去となるための特例措置につきまして、「ア」から「コ」まで記述しておりますけれども、基本的に存置をするものでございます。 2)に戻っていただきまして、合併特例債は廃止をいたしております。3)でございますけれども、地方交付税措置の合併算定替の措置でございますけれども、現行法では、合併後10年間につきましては、合算額を保障いたしまして、その後5年間につきましては、激変緩和措置を講じているわけでございますけれども、この措置は、平成11年に合併特例債が設けられました際に、従前の5年プラス5年を10年プラス5年といたしたものでございますので、基本的には従前の措置であります5年プラス5年の措置に戻したいと考えております。ただ、段階的な措置とすることといたしているものでございます。4)でございますけれども、合併の場合、人口3万人以上を有しますと、地方自治法の規定にかかわらず市となることができるといいます、いわゆる3万人特例の制度があるわけでございますけれども、これは合併新法では廃止をすることといたしております。これまでこうした制度は議員立法でもって措置をいたしておりますので、今回内閣で提案する法律案につきましては措置をしていないというものでございます。 次に大きな4番でございますけれども、市町村の合併の推進に関する構想等ということでございますけれども、答申では、都道府県が市町村合併に関する審議会の意見を踏まえて、市町村合併に関する構想を策定することとすべきであるとしているわけでございますけれども、まず、都道府県が構想を定めるに当たりましての基準といたしまして、(1)でございますけれども、総務大臣が基本指針を定めるものとしております。なお、この答申におきまして、いわゆる人口の目安、小規模な市町村の人口の目安でございますけれども、1万人未満を目安といたしまして、ただ、その際に、地理的条件、人口密度、経済事情のほか、現行合併特例法のもとで合併を行った経緯についても考慮することが必要であるとされているわけでございますけれども、この点につきましては、法律で規定しておりませんが、この基本指針で記述することになると考えております。 (2)でございますけれども、都道府県は、この基本指針に基づきまして、自主的な市町村の合併を推進する必要があると認められる市町村を対象といたしまして構想を定めるものといたしておりまして、構想におきましては、市町村の現況及び将来の見通し、構想対象市町村の組み合わせ等を定めることといたしております。 また(3)でございますけれども、構想を定めるに当たりましては、あらかじめ都道府県に置きます市町村合併推進審議会の意見を聴くことといたしておりますけれども、その組織、運営等必要な事項につきましては、すべて都道府県の条例で定めることといたしているものでございます。 次の7ページでございます。これは合併協議会の設置の勧告、あっせん等ということでございますけれども、まず(4)合併協議会の設置と、その関連いたします住民投票にかかわる部分でございますけれども、答申を受けまして、法制的な整理の結果、基本的には、現在あります住民発議制度と同様のスキームとしたいというふうに考えております。すなわち、知事が合併協議会の設置の勧告をしたときには、勧告を受けた市町村長は、合併協議会設置協議会について議会に付議をいたしまして、議会が否決した場合につきましては、住民が有権者の6分の1以上の連署により又は市町村長が住民投票の請求を行うことができるとしておりまして、この住民投票によりまして、有効投票の過半数の賛成があった場合については、議会が可決したものとみなすとしております。知事の勧告後 次に、あっせん・調停等でございますけれども、法制的な整理の結果、このあっせん・調停は、知事自らが行うのではなくて、第三者的な機関であります市町村合併調整委員を知事が任命をいたしまして、あっせん・調停を行わせることができるという制度といたしております。また、知事が職権でもって行うのではなくて、関係者の申請によって行うという制度といたしております。 すなわち(5)でございますけれども、合併協議会におきまして、合併市町村の名称等により協議が整わないときに、合併協議会の委員の過半数の同意を得た申請に基づきまして、知事が市町村合併調整委員を任命し、あっせん・調停を行わせることができるという規定でございます。 次に、答申で合併に関する勧告という記述があるわけでございますけれども、地方自治法の8条の2におきまして、廃置分合等の計画に関する勧告がございます。それとの整理等も考慮いたしまして、この新法におきましては、合併そのものの勧告ではなく、合併協議推進の勧告をするということとしておるものでございまして、この勧告を受けた市町村に対しまして、知事が措置の状況について報告を求めることができるという規定も併せて置いているものでございます。 5の補則・罰則については所要の規定を置いておりますけれども、罰則は、発議の署名等の妨害偽造等に関する罰則等でございます。 6の施行期日でございますけれども、5年間の時限法といたしているものでございます。 次に8ページでございますけれども、これは現行の合併特例法の一部を改正する法律でございます。 まず、合併特例区でございます。基本的に新法と同様の規定を設けておるわけでございますけれども、この合併特例区制度を新法のみに限定いたした場合、現行合併特例法の期間内において合併した市町村は、この合併特例区を設けることができないということになるものでございますので、現行法でも同様の規定を置いたものでございます。また(2)でございますけれども、既に合併した市町村におきましても、合併特例区を設けることといたしておりますけれども、ここでは、平成11年7月16日以降合併した市町村を対象としております。この平成11年7月16日は、11年に現行の合併特例法のかなり大幅な改正が行われているわけでございますが、その際、地域審議会制度が設けられておりまして、その制度が設けられた以降の合併を対象にするというものでございます。 2番目の地域自治区の特例については、新法と同内容でございます。 3番目の現行合併特例法の経過措置でございますけれども、これは答申に明記されてあるとおりでございまして、現行の合併特例法が17年3月末までに市町村の合併が行われることを要件としているわけでございますけれども、この経過措置を設けることによりまして、17年3月31日までに市町村がその議会の議決を経て都道府県知事に合併の申請を行い、次の年の18年3月31日までに合併を行ったものにつきましては、現行合併特例法の規定を適用するというものでございます。 4番の一部事務組合の特例の拡充でございます。これについては、答申には書いていないものでございますけれども、地方公共団体から強い要望があったものでございます。一部事務組合等の構成市町村間の合併で、事実上、構成団体の変更がない場合におきまして、合併後規約が変更されるまでの間、最大6か月でございますけれども、合併市町村及び他の地方公共団体が組織する一部事務組合とみなす等の特例措置を置くものでございます。事務的なものでございますけれども、同一組合の中で新設合併があった場合に、まず脱退手続を行いまして、そして加入手続を行う、それぞれに知事の許可が必要であり、また必要に応じて、その都度臨時議会を開かなければならないというようなことがあるわけでございますけれども、この特例措置によりまして、定例会におきまして、一回の手続で済むという、市町村における事務の負担の軽減を図るという内容となっているものでございます。 施行期日でございますけれども、合併特例区関係につきましては、六ヶ月超えない範囲内で政令で定める日、経過措置については公布の日、一部事務組合の特例の拡充につきましては、公布の日から60日経過後の市町村合併について適用するという規定としているものでございます。 以上でございます。 ○松本小委員長 それでは、三位一体改革の取組について、財政課長。 ○椎川財政課長 財政課長でございますが、お手元の資料2−1と2−2に基づきまして、ご説明を申し上げたいと思っております。 まず資料2−1でございますけれども、昨年の11月13日に「今後の地方自治制度のあり方に関する答申」と併せまして、当面の地方税財政のあり方についての意見をいただいております。この意見に沿いまして、平成16年度の予算及び地方財政対策の中で取り組みましたものにつきましてまとめさせていただいております。詳しくは資料2−2の方でご説明差し上げたいと思っておりますけれども、項目だけご覧いただきますと、左側の方のいただきました意見の中で大別いたしまして2つございます。1つは、三位一体の改革を進めるに当たって留意すべき事項ということで、税源移譲、それから地方交付税の改革、2ページにまいりまして、国庫補助負担金の廃止・縮減についてご意見をいただいております。 それから2ページの下の方でございますけれども、平成16年度における地方財政措置ということで、地方財源不足への対応、特に財源不足の補てんルールが平成15年度で終了するということになってございましたので、そのことについて、万全の措置を講じるようにというご意見をいただいております。 3ページでございますが、地方債の資金の確保についてもご意見をいただいたところでございます。これらにつきまして、順次資料の2の方でご説明を申し上げたいと思っております。資料の2−2、「地方税財政関係参考資料」をお開きいただきまして、1ページでございますけれども、平成16年度における「三位一体の改革」の姿、すなわち国庫補助負担金の改革、税源移譲等、交付税の改革につきまして、一覧表にしてございますけれども、最初に国庫補助負担金の改革と税源移譲につきまして、7ページの絵をご覧いただいた方がわかりやすいかと存じますので、そちらで説明をさせていただきます。 7ページをお開きいただきますと、「国庫補助負担金改革のイメージ」という図がございます。平成16年度の国庫補助負担金改革、総理の指示によりまして、1兆円の改革を目指すということになったわけでございまして、結果といたしまして、1兆300 億円程度ということに相成りました。この左の方からご説明申し上げますと、まず一番左側が公立保育所の運営費、それから法施行事務費等にかかります、いわゆる地方公共団体の事務として、同化・定着したものに係る補助負担金の一般財源化でございます。 これは恒久的な一般財源化でございまして、これらの補助金のリストにつきましては同じ資料の2ページから3ページにかけて表が添付してございますので、後ほどご覧になっていただきたいと思うのでございますけれども、こういった補助金につきまして、恒久的な一般財源化を図ることといたしました。合計額として2,440 億円でございます。これにつきまして、例の閣議決定に基づきまして、義務的なものにつきましては10割、その他のものにつきましては8割をめどに所要額を精査いたしまして、税源移譲するということで、その下に2,198 億円という数字を書いておりますけれども、これを税源移譲することといたしたわけでございます。 なお、このことと併せまして、左側の平成15年度の補助金改革5,625 億円という絵がございますけれども、この中の義務教育費国庫負担金の共済長期負担金等、いわゆる年金の負担金等について既に一般財源化をされたもの、これは補助金の額で2,344 億円でございますけれども、当時の地方財政対策の考え方に基づきまして、8分の7を最終的に国が負担をするということでございましたので、この8分の7を乗じました2,051 億円を併せて税源移譲を行うこととしたわけでございます。これを併せまして一番下の欄に所得譲与税4,249 億円というふうに表示をされておりますけれども、こういう制度を創設いたしまして、基幹税による税源移譲を行うとしたわけでございます。 なお、所得譲与税の制度の概要につきましては、飛んで申し訳ありませんけれども、その資料の10ページの方に「所得譲与税法案の概要」というのをお付けしておりますので、ちょっとご覧いただければと思いますけれども、まず一のところで「所得譲与税の創設による税源移譲」というふうに書かれておりまして、平成18年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施することといたしまして、それまでの間の暫定措置として、16年度におきましては、所得譲与税を創設するということになったわけでございます。その額は、先ほどご説明いたしましたとおり、15年度、16年度両年度にわたります国庫補助負担金の一般財源化に基づきまして、その所要額を精査した額4,249 億円といたしまして、これを人口を基準として都道府県及び市町村へ譲与することとされました。 下の方の法案の骨子の方でございますけれども、具体的には、4,249 億円を都道府県に対して2分の1、市町村に対して2分の1をそれぞれ譲与する。これは国庫補助負担金の一般財源化の量を勘案して決められたものでございます。譲与の基準は直近の国勢調査による都道府県、市町村の人口、譲与時期は9月及び3月とされたわけでございます。現在国会でこの法案についてご審議を賜っているところでございます。 それから、先ほどの7ページにお戻りをいただきまして、今年の1兆300 億円の補助金改革の左から2つ目のところでございますけれども、義務教育費の国庫負担金のうち、退職手当と児童手当について分離をして一般財源化をすべきかどうかという議論が途中経過であったわけでございますが、これにつきましては、地方団体の方から、全額一般財源化という強い要望もございまして、これだけを分離して一般財源化することに対しましては強い反発がございました。この件につきましては、最終的には、そこに書いてございますように、暫定的に一般財源化をし、2,309 億円そのままを税源移譲予定特例交付金という形で地方に交付をする。しかも、これにつきましては、毎年退職手当が増嵩してくるということでございましたので、その所要額を毎年度予算に計上していくということといたしまして、平成18年度までに義務教育費国庫負担金全額の一般財源化について検討を行う中で最終的な結論を得ることとしたものでございます。 さらに、その右でございますけれども、残りが5,500 億円程度あるわけでございますが、これは基本的には公共事業関係の補助負担金の削減、あるいは奨励的補助金の削減でございますけれども、その一部1,330 億円につきましては、現行のまちづくりに関する補助負担金を廃止し、新たなまちづくり交付金として法律改正をもちまして、交付金が創設をされてございます。したがって、純粋に事業量の減となったものは4,200 億円程度というふうに考えているわけでございます。 7ページが国庫補助負担金の改革と税源移譲の関係の資料でございますけれども、もう一つの交付税の改革につきまして、5ページと6ページに資料を付けてございますので、順序が前後して申し訳ありませんが、そちらをご覧いただきたいと思います。残る1つの「交付税の改革」でございますけれども、これは地方財政計画の歳出の見直しを行いまして、財源保障機能を見直していくということにされているわけでございまして、この「基本方針 2)でございますけれども、一般行政経費(単独)の抑制でございますが、これは名称からいたしますと、ちょっと事務的な経費のように思われがちなのでございますが、実は経常的な住民サービスに要する経費、福祉だとか、教育だとかすべてここへ入っているわけでございますけれども、地方単独で行いますそういった経費の抑制ということで、現実には市町村合併の促進のためにいろいろな経費がかかる、あるいは治安維持に要する経費につきましても、人件費だけではなくて、防犯灯の設置でありますとか、あるいは地域の自治組織との連携による防犯対策だとかいろんな経費がかかるわけでございますけれども、そういったものも織り込んだ上で、こういった経費につきましては、トータルを前年度以下の水準に抑制するということを閣議決定いたしております。これに沿いまして、16年度は▲0.3 %の減という形にセットされております。 それから、3番目の投資的経費、地方単独の減額でございますけれども、これも「基本方針 このような取組諸々を含めまして、地方財政計画の歳出全体規模が▲1.8 %ということで3年連続しての対前年度比のマイナスという形になりました。国の予算はご存じのように0.4 %のプラスということでございます。 それから公債費等を除きました地方の一般歳出は▲2.3 %ということで、こちらも5年連続しての対前年度マイナスということで、国の方は一般歳出につきましては0.1 %の増ということでございますので、ここ数年国の予算よりもやや厳しめの地方歳出の抑制が続いているというふうにご理解をいただきたいと思います。 6ページをお開きいただきまして、このような歳出を見直しました結果、3のところに書いてございますように、財源不足額の圧縮ということで、通常収支における財源不足が昨年度に比べまして、概ね4分の1、3.3 兆円ほど圧縮ができるということになりまして、その結果、交付税の総額が▲6.5 %ということになったわけでございます。後ほどご説明いたしますけれども、交付税の身代わり的な財源措置でございます地方の特例地方債、臨時財政対策債につきましても、概ね3割ぐらいの減になるという形になったわけでございます。 もう1点は算定の改革でございますけれども、交付税がトータルとして地方の一般財源を保障し確保する、税を補完する一般財源としての性格ということでございますので、これに沿った形で算定方法を大幅に簡素化・中立化をするという改革に着手することにいたしております。 それからもう1点は、交付税が効率的な行政運営を促すようにした方がいいのではないかというご指摘もございまして、従来から段階補正につきまして見直しを行っておりますけれども、これを継続することに加えまして、17年度からさらに効率的な運営を前提とした見直しをかけていくということを決定いたしておりますし、単位費用の算定等に当たりまして、アウトソーシングによる効率化を徹底的に反映させるということにも着手することにいたしております。 8ページをお開きいただきまして、先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、現在の地方財政対策、13年度から見直しを行いまして、15年度に経過措置を含めて完成をしたわけでございますけれども、この左側の15年度のところを見ていただきますと、財源不足が通常収支において生じました場合に、これを国と地方で折半をして補てんをする。国の負担分につきましては、国の一般会計からの交付税の特例加算によることといたしました。残りの半分につきましては、地方の特例地方債によって補てんをする、こういうことにしておりました。 このルールが15年度で一応切れたわけでございますけれども、16年度以降の財源不足の補てん対策につきまして、いろいろと財政当局と議論したわけでございますけれども、国・地方の財政状況は非常に厳しいということで、ほかに財源不足を補てんする妙案がないといいますか、そういうような状況でございましたので、現時点では、やはり15年度に完成いたしましたこのルールを3年間引き続き継続することが最も適切だろうという判断をいたしまして、16年度の方を見ていただきますと、財源不足全体が縮んでおりますけれども、基本的には折半ルールを継続する。2分の1は特例加算によりまして、2分の1は特例地方債によって補てんをするという形にさせていただいておりますので、この折半ということは、財源不足が縮まりますと両方が縮まる、交付税の特例加算も地方の特例地方債も同額だけ基本的には縮まるという格好になっておりますので、8ページの下の波線で囲ったところを見ていただきますと、交付税につきまして▲6.5 %、臨時財政対策債については▲28.6%ということに相成ってございます。これは12年度以前の補てんのやり方で見ますと、両方とも地方交付税の総額を形成していたものでございますから、トータルで比較してみますと12%の減というような形になったわけでございます。 それから9ページは、先ほど申し上げましたような歳出の見直しにつきまして、歳入歳出一覧という形で収支見通しを兆円単位でお示ししたものでございますので、参考までにご覧になっていただきたいと存じます。 それから、この資料の11ページをお開けいただきますと、「地方税の課税自主権の拡大」ということで平成16年度に改正をいたしましたものを一覧表にしてございます。 まず1つは、「制限税率の撤廃」ということで、固定資産税の制限税率を従来は標準税率が1.4 %、制限税率が2.1 %ということにされておりましたけれども、これを廃止するという改正を現在国会に提案をさせていただいております。 それから2の方で、「税率設定の自由度の拡大」ということでございますが、標準税率の定義を見直しまして、従来は財政上の特別の必要がある場合に限り税率を変更できることとされている要件を緩和するような改正を2点目として行っております。 3点目は、「法定外税制度の見直し」ということで、既存の法定外税の変更に係る国の関与を縮減するという観点から、税率の引下げや課税期間の短縮等につきましては、国への協議・同意を不要とするという改正を行うことといたしております。併せて特定の納税者に係る税収の割合が高いものにつきましては、議会で納税者の意見を聴取する制度を創設することといたしております。 4点目は、「固定資産税の条例減額制度の創設」でございまして、負担水準の高い商業地等につきまして、条例で定めるところによって、税額を減額できる仕組みを創設いたすこととしております。 最後に12ページになりますが、16年度の地方債計画の資金区分の表をお付けいたしております。意見でいただきました地方債資金につきまして、地方分権の推進、あるいは財投改革の趣旨を踏まえまして、必要な公的資金を確保する中で、民間資金による資金調達の充実を図っていくということを実現すべく努力をしてまいりました。特に公共事業関係につきまして、従来は大宗を公的資金で賄っていくということにいたしておりましたけれども、16年度におきましては、資金調達能力の特に高いと考えられます都道府県、政令指定都市を中心に市場調達を進めていこうということにいたしておりまして、表の公的資金の計の欄、真ん中よりちょっと下でございますけれども、見ていただきますと、16年度の計画額の構成比が公的資金の構成比41.3%ということで、15年度の51.2%に比べまして、概ね10%程度構成比が下がっているという形になっておりますが、一方で、民間等資金の構成比が高まっているわけでございまして、特にその中で市場公募債、これは伸び率で申し上げますと、一番右の欄でございますけれども、3割以上の増という形でセットといたしておりまして、市場公募団体の拡大、ここ何年か市場公募団体が増えるということはありませんでしたけれども、来年度の16年度に向けては4団体が新たに市場公募債を発行するということになっておりますし、共同発行いたします市場公募債の規模も大幅に拡大をする。それから、主に小さな団体が取り組んでおります住民参加型ミニ市場公募債の発行額についても、大幅に増加をするという見込みを立ててございます。 以上、地方債資金の関係でございますけれども、資料2−1と2−2に基づきまして、16年度の地方財政対策の中身についてご説明申し上げました。 ○松本小委員長 ありがとうございました。それでは、ただいままでの行政課長、市町村課長、そして財政課長のご説明に対しまして、ご意見、ご質問等がございましたらお願いいたしたいと思います。 ○紺谷委員 紺谷でございます。とりわけ地方税財政にお伺いしたいんですけれども、三位一体の改革というのは、たしか地方分権改革推進会議が提唱なさったことですね。交付税改革、国庫補助負担金改革と「改革」という文字が多用されているんですが、これが誰にとっての改革なのか、分権の観点からいかなる意味を持った改革なのかをぜひお教えいただきたいと思います。 ○椎川財政課長 三位一体の改革につきましてはいろんな流れがあるわけでございますけれども、当然、私どもといたしましては、第一次地方分権改革の残された課題ということで国会でもご指摘をいただき、あるいは地方公共団体の方からも強いご主張のございました税財政の問題、これが残された課題であるということで取り組んでいるものでございまして、基本的には、歳入歳出両面におきまして、国の関与を縮減していく、つまり、国庫補助負担金によります国の関与を縮減して、できるだけ一般財源で地方が仕事をできるようにしていこう。その中でとりわけ、地方税の拡充ということに力を入れて取り組んでいこうという改革でございます。 ○紺谷委員 ありがとうございます。続けて質問していいですか。 ○松本小委員長 はい、よろしいです。 ○紺谷委員 今、いみじくも、国の歳入歳出への関与を小さくするとおっしゃいましたけれども、そうではなくて、国の、中央から地方への権限を小さくするのが分権の趣旨であったと理解しておりましたけれども、ちょっと違うように思います。それから課税権の移譲をしたとおっしゃいましたけれども、今この時期に課税権を移譲されて、増税を図る地方公共団体がどこかにあったら教えてください。 ○椎川財政課長 三位一体改革の中では、補助金改革を入り口にいたしまして、補助金を廃止・縮減した場合に、その事務につきまして、地方団体は引き続き実施する必要があるというふうに考えられるものについて、国税から地方税への税源移譲をしようということで閣議決定をされておりまして、それに沿いまして、先ほど申し上げましたような16年度の改革がなされたわけでございます。したがって、課税自主権の問題につきましては、先ほどご説明いたしましたけれども、それとはまた別個の問題として、当然、自由度が拡大するわけでございますから、地方団体自らも財源を自助努力で確保するために課税自主権を活用する。それを活用しやすいような環境整備をするというのが国の役割だろうというふうに考えてございます。 ○紺谷委員 権限の移譲というのがほとんど何も語られないままに、歳入歳出の議論だけがなされたということに関して非常に大きな疑問を持っております。地方の要望というのは、分権してくれと、地方がそれぞれの実情に合わせて決定できるように、行政サービスを行えるように権限を移譲してほしいということを地方自治体はおっしゃっていたわけでありまして、歳出を削減してくれという要望が上がったということは、私はどこでどう上がったのか、不勉強なので存じませんでした。 さらに国庫負担金に関しましては、これは義務的経費でありまして、フランス、イタリアは義務教育費は全額国が負担しておりますね。ご承知のとおりでございますが、日本は5割しか負担していない中で、さらにそれを削ろうという議論をなさっているわけです。一方、義務教育の有り様に関しては、それこそ箸の上げ下ろしまでいろいろ中央が口をお出しになっているということですね。どこか違うなというふうに思うわけです。 さらに、交付税と譲与税がどう違うのか私はよくわかりませんけれども、税源移譲というのが税源の縮小という形で行われているというのはとても不思議なんですね。いかなる行政サービスを行うかという議論が先にあって、それに対しての財源の手当というならよろしいんですが、そうなっていない。例えば、このところ幼児の虐待なんかが続いておりまして、あれは児童相談所でしたか、そこが人員が足りない、だからなかなか行けないんだというような話がある中で、警官は増やすけど、ほかを減らしちゃうよみたいな、そういうことでいいのかどうか、それがいかなる地方自治の分権とか改革につながるのかということは、私は何回お聞きしてもわからないです。 アメリカもたしか国がナショナルミニマムとして定めた、中央政府から地方政府に義務として与えた仕事に関しては、全額国庫負担となっているはずでございます。ドイツも、ご承知のように皆さんには釈迦に説法で、私は最近勉強したばかりなんですけれども、連邦国家でございますから州政府に課税権があるのだそうでして、だから、むしろ中央交付金という形で州が中央に、国家に上納しているという形らしいですね。その州政府が市町村に義務的な事務とか行政を強制したときには、その経費は全額州政府が負担するということになっておりますね。 先ほどちょっとアメリカの話に触れましたけれども、たしか95年かなんかに、財政措置のない義務的な行政を強制してはならないという法案が通って、それは未だに有効なのでありませんか。日本では地方分権改革推進会議でも、この地方制度調査会でもそういう観点から、地方分権が論じられていないんですよ、一度も。ただただ、町村が合併すれば経費が下がるんじゃないかと。しかし銀行がどうでしたか、金融機関は合併して経費は削減されたんですか。そうじゃなければ必要なかった 二人一緒にはかりに乗っても、目方が二人の合計より減るとは思わないんですけれども、何でもかんでも一緒にすればよいという議論が前からずっと続いてきていて、それはずっと反対させていただいたんですけれども、今回もともかくお金の話ばかりしている。三位一体の話は全部お金の話であって、そんなに財政不足を減らしたいんだったらば、政府をやめちゃえばいいじゃないですか。政府をやめれば、ものすごく支出が減りますよ、財務省のお望みのとおり。そうしたいというなら、そうなさればよろしいですよ。そうじゃなくて、地方分権だ、地方の時代だ、地域の活性化だとおっしゃるのだったらば、今いかなる行政サービスが必要かという議論を最初にしていただいて、さらには、今なぜこういうふうに財政が悪化しているのか、中央のみならず地方財政が悪化したのはなぜかという原因を究明しなきゃいけないんじゃないですか。なぜ税収が落ちたんですか。不況だからではありませんか。ろくな景気対策をやらなかったからではありませんか。だからこそ、こうやって税収が落ち込んできたんではないですか。 私、この場で何度も何度も言わせていただきましたけれども、あるシンクタンクがアメリカの半分程度の熱心さで日本が景気対策をやっていたら、 この間日銀が発表いたしましたけれども、ついに国民金融資産が減少したわけですよ。貯蓄大国の日本で貯蓄が減っているんです。2割以上のご家庭が貯蓄ゼロになっちゃったんです。20%近い貯蓄率を誇ってきた我が国が6%台に落ち込んじゃったんです。日本経済の安定性の基盤となってきた貯蓄がどんどんどん目減りしている、この原因は何なんですか。中央政府の財政悪化と地方政府の財政悪化は、ともに景気が悪くて税収が落ち込んだからではないですか。財務省はずっと一貫して、あたかも公共事業や景気対策が財政赤字の原因であるかのようにおっしゃってきましたけれども−−すみませんね、いつも同じ話で−−−しかし、ほとんどは税収不足を補うために出してきた国債じゃないですか。だとしたら、税収不足の原因である景気対策をしなくちゃいけないんですよ。さっきいみじくも課長さんもおっしゃいましたけれども、環境整備ということが必要でありまして、このどんどんどん続いていくデフレ経済の中で、さらに財政まで縮小したらもっと税収が落ち込むんですよ。もっと地方が疲弊するんですよ。それでいいんでしょうか。 私、前にもここでお話しさせていただいたことがあると思うんですけれども、大災害に見舞われたときアメリカ政府は何をするか、 ○松本小委員長 ありがとうございました。それではほかにご意見ございませんか。 ○今村委員 違う論点でよろしいでしょうか。 ○松本小委員長 結構です。 ○今村委員 資料1−1の方について、二つの点を教えていただきたいのですが、新法によって市町村合併をさらに推進する仕掛け、総務大臣が指針をつくり、都道府県が構想という一連の中での事務の性格は、このような形になりますと、すべて自治事務というふうに理解をすることができそうな感じを持っていますが、そのことでよろしいのかというのが一点でございます。 もう一点は、同じ資料ですけれども、これは自治法改正の地域自治区についてですが、地域を分けて地域自治区を設けるというふうになっている。これは一自治体の中で、特定の地域だけにつくるというような方式、これは排除しているのかどうか。すなわち、一自治体の内部ですべて行政区を分かつような方で全面的に設けるようなパターンを想定しているのか、その一部だけでも、地域自治区をつくることができるのかどうか。その二点についてお願いします。 ○井上市町村課長 まず、合併新法の事務の性格についてでございますけれども、都道府県が行います構想の策定、そして合併協議会設置の勧告等の事務は、すべて自治事務として整理をいたしております。 ○久元行政課長 地域自治区ですけれども、法制論といたしましては、やはり、地域自治区をその市町村に置くか置かないかというのは、その市町村の判断ですけれども、そういう判断をした以上は、法制論としては、全域に置いていただくということを制度的には想定をしております。ただ、そうは言いましても、これは住民の意向を反映する仕組みですから、段階的にといいましょうか、この地域については、ぜひそういう地域自治区というものを置くことが必要だといったようなことをその地域で議論され、また、市町村長やあるいは議会のレベルでも、そういう判断がなされるときには、そういうところを先行的に実施する、つまり段階的に地域自治区を置いていくということは十分あり得るというふうに考えております。 ○松本小委員長 よろしゅうございますか。そのほかございませんか。 ○貝原委員 さっきの三位一体改革のことなんですけれども、ちょっと、私資料を十分見ていないので、どこかを見ればわかるのかもしれませんが、もともと三位一体改革はご承知のとおり、財源の問題で歳入全体に占める国と地方の割合、歳出における国と地方の割合、この乖離を縮小するというのが目的であったわけですね。所得譲与税とか、あるいは特例交付金というような形のもので措置されているので、これをどういうふうに区分けするのかという技術的な問題もあると思いますが、当初申し上げました三位一体改革のねらいからすると、その割合がどのような改善がなされたというにように立案官庁としてはお考えになっているのか。そういう資料があれば、どこにあるのか、これは新聞等でもいろいろ見ていたんですが、ほとんど報道がなされていないように思うので教えていただければと思いますが。 ○椎川財政課長 ご指摘がありましたように、もともと歳入歳出の乖離は、地方が6割の仕事をやっておりますけれども、税収は逆転をしている。この乖離を是正をいたしまして、1対1にしていくことを目標に取り組みなさいというご意見をいただいているわけでございまして、私どもとしても、中長期的には、そういう目標に向かって努力をしているわけでございますけれども、16年度の改革につきましては、国庫補助負担金の廃止・縮減額や税制のあるべき姿との兼ね合いもございまして、当面、所得譲与税という形によりまして、税源移譲するという結論になったわけでございます。先ほどご説明いたしましたように、これは18年度までの間にきちんと整理をいたしまして、所得税から住民税への本格的な税源移譲を行うということを併せて決定をいたしておりますので、18年度までの間にしっかりした形をつくり上げていきたいというふうに考えているところでございまして、1対1が今の段階で幾らになったかということは、ちょっと手元に計算した資料がないのでございますけれども、当面、譲与税という形で税源移譲しておりますので、国税と地方税の割合という形ではそんなに変動していないんじゃないかというふうに理解しおります。 ○松本小委員長 よろしゅうございますか。その他ございませんか。 ○紺谷委員 追加の質問をしてもいいでしょうか。 ○松本小委員長 結構でございます。 ○紺谷委員 前にもちらっと教えていただいたんですけれど、地方交付税と譲与税の違いをはっきり教えていただきたいんです。交付税と譲与税がどう違うのか。 ○椎川財政課長 一般財源の大きなものを占めるものといたしまして、当然、中心は地方税、それからそれを補完する制度として交付税制度があるわけでございますけれども、譲与税につきましては、交付税と違いまして、交付税は需要と収入の差し引きによりまして、財源保障しながら地方一般財源を保障し、調整するという性格のものでございますけれども、譲与税はより税に近くて、税源が偏在をしたりしておりまして、地方税として徴収することが困難なものにつきまして国が一括して徴収をいたしまして、それを一定の人口でありますとか、あるいは航空機燃料譲与税のような特殊なものでございましたら、世帯数ですか、そういう客観的な指標によりまして、税収そのものを分割をして帰属させるという制度でございまして、そういった意味で交付税のような需要収入差し引きで財源保障するというものではなくて、より税に近い性格のものというふうに考えてございます。 ○松本小委員長 よろしいですか。 ○紺谷委員 わからない……。 ○松本小委員長 わからないそうですから、では、事務次官の模範答案をひとつ(笑)。 ○香山総務事務次官 要するに、いずれも国税をとったものを地方に再分配するという意味では譲与税と交付税は類似性があるんですけど、交付税はその団体の地方の需要全体と税と譲与税の額とを比較して、その差額を埋める方式をしていますから、すべての地方団体の行政上、一般財源所要額というのを基準財政需要額というふうに計算した上で、その団体がとるであろう標準的な地方税と譲与税を足したものと差し引き配るのが交付税だと思うんです。譲与税はそういうのではなくて、道路譲与税が一番わかりやすいと思うんですけど、道路の財源として一応想定しておりますから、国としてとった税金を各地方団体の道路延長だとか、道路面積に応じて配る、こういうふうにしているのが譲与税であると思うんです。だから、地方団体全体の需要に一般財源がどれだけ不足するかというのを全体として保障しようとしているのが交付税であると。譲与税はある課税客体に密接に関係するような行政需要というのをにらんで、それに比例して国がとったものを配っておるというふうになろうかと思います。だから、航空機の燃料譲与税ということになると、空港があるところだけ国から配ってもらえるということになるわけです。それから道路だったら、道路の延長だとか、道路の面積に応じて配っていくというような形になっているのが譲与税だということです。 ○紺谷委員 すみません、追加で質問してもいいでしょうか。 ○松本小委員長 よろしいです。どうぞ。 ○紺谷委員 いつもいつもわからないんですけれども、私が神野先生に教えていただいたところによりますと、地方交付税というのは間接課徴形態の地方税である。だから、これまでご議論にあったような共同税みたいな、本来もともと地方全体の権限として持っている地方税で、それをどう分配するかというのはいろんな決め方があると思うんですけれども。ただいまご説明いただいたのは、現在こういうやり方をしていますよということでありまして、理念的に交付税と譲与税はどう違うのか、地方交付税というのは、本来日本ではどういうものだったのか、当初決まったときの国会のご議論はどうだったのか、何で神野先生がおっしゃるような議論があるのか、何で毎回毎回内閣が替わるたびに自治大臣と大蔵大臣が同じ議論のやりとりをしてきたのかということを加えて、交付税と譲与税の違いをもう一度教えていただけないでしょうか、すみません。 ○松本小委員長 紺谷委員、このことは次の機会にでも、あるいは、皆さんの意見がある人の意見等を先に聞いて、時間があったら答えてもらうとか、それでよろしいですか。 ○紺谷委員 はい、結構です。 ○松本小委員長 それでは、そういうふうにさせていただきます。その間によく考えておいていただきたいと思います。 それでは、薄井委員お願いします。 ○薄井委員 薄井です。初めての参加ですのでまだ戸惑っております。この調査会に入る前の去年、一昨年ですか、三位一体改革については、新聞なりテレビなり、そういったものを通じてフォローさせてもらっていたわけなのですが、その大きな一歩か小さな一歩か知りませんけど、少なくとも三位一体が歩みはじめたという理解を私はしています。ところが、新聞論調とかいろいろ読ませてもらうと、この1月以降、いろいろ受け止め方が違っているような感じを受けるんですね。この調査会が議論してきたことが法律などになったのでしょうが、特に地方公共団体の方々とか、あるいは学者の方々も含めて、こんなはずではなかったというような議論がなぜ出てくるのか、その辺について事務局の皆さんはどのように受け止めておられるのか。それから、法律はこれから具体的に審議されるようですが、国会の先生方はどんなふうに今回の改革を受け止めておられるのか、それを教えていただきたいということです。 ○松本小委員長 これは財政課長でいいですか。次官から。 ○香山総務事務次官 三位一体の改革について、今様々な議論を呼んでいるのはおっしゃるとおりなんですが、要するに「三位一体の改革」という言葉でくくっている中には、広い意味の三位一体の改革の改革と狭い意味の三位一体の改革があるというふうに思っていただければいいと思います。 狭い意味の三位一体の改革というのは、先ほどそれこそ貝原委員がおっしゃったように、地方の歳入の自由度を高める、そのために国のひもつきの財源を地方税に振り替えていきましょうというのが三位一体の改革ですから、そういう意味で言うと、先ほど財政課長の方から説明させていただいた補助金の整理をする、補助金の整理に見合った中で、仕事が残るものについては、その分は国税から地方税に税源移譲する。ここは過不足なく中立的にきちんとやったわけです。だから、それはそれで私どもの立場からいとう、三位一体の改革は完璧であるし、当初からいいますと、基幹税である所得税というものに着目して、税ではないけれども、そういう譲与税の形で実現したから、地方にとってそういう意味で率直に言って確たる戦果があがったと、こういうふうに評価していただけるものだろうと思うんです。 ただ、広い意味の三位一体の改革といったときには、交付税についての一般的な改革も三位一体というふうに位置づけました。そのときに、交付税制度の問題は何かといいますと、借入金に過度に依存しておって、この制度として持続可能性が問われているんじゃないかということで、そうすると、この交付税の借入依存を抑えるためにはどうすればいいかということになると、地方財政計画の規模を抑えていく以外にない。その地方財政計画の規模を抑える、その結果として交付税を抑制していくという方向をとらざるを得ないだろうというのが広い意味の三位一体の改革の中に括られましたから、そっちの方の立場にとっては、地方団体にとっては大いに不満があったということでありまして、来年以降も、私どもとしては、財務省が特に言っているとか、財政審議会が特に言っているように、とにかく交付税そのものを機械的にターゲットにして、それを例えば数兆円減らすとか、こういう議論には全然くみするわけにはいかないわけですが、地方財政の計画の規模そのものが今の時代状況、借金に依存しているような状況に応じて適切なものと言えるかどうかという観点からの見直しをしていくということは、やはり避けて通れない問題だろうと思っているので、その2つのギャップだろうというふうに思っています。 だから、論者によっては、三位一体の改革は、地方にとって大変困ったことだという人が多いんですか、それは広義の三位一体をとらえておるし、私ども政府の関係で三位一体の関係できちんと税源移譲をしたといったようなときには、狭義の三位一体の方を指して言っておるんだというふうに思っていただければよろしいじゃないかと思っております。 ○松本小委員長 よろしゅうございましょうか。そのほかございませんか。 それでは、室谷委員はございませんか。篠崎委員はどうですか。ございませんか。 ○篠崎委員 初めて参加させていただきまして、いろいろ伺っておりまして、私自身は地方の歳入と歳出のバランス、先ほど貝原さんがおっしゃった6対4の逆転、ここの部分をどうするのかが一番重要であると思っています。そこのところで本来、基礎自治体あるいは都道府県、地方が何をやるべきなのかという議論がきちんとあって、その上で税財源がどうあるべきかということになって、こういう予算が組まれてきたのかと思っておりましたがどうなんでしょうか。そもそも基礎自治体である市町村はどういうサービスをするのか、そのサービスの中でナショナルミニマムとしてやらなければいけないことはなんで、あと地方が自分たちの裁量でどういうふうにやっていけるのか、もっと自由な地方の裁量とそのための税収の確保、それを一体的な均衡のあるものにしていくのが重要だと思っております。これまでの地方制度調査会でそういった議論がどの程度なされたのかということをお聞きしたいと思っております。 ○松本小委員長 ただいまの答えはどうですか、どなたか。 ○香山総務事務次官 この地方制度調査会、それと関連する組織として地方分権推進委員会だとかそういうのがありましたが、その中で国と地方の役割、委員がおっしゃるような個別にどのくらい突っ込んだかということは別にいたしまして、国・地方の仕事はどういうふうに分担していくべきかというような議論を積み重ねてきておるわけですね。その上で地方のやるべき仕事はこういうものだということになる。その場合に、そうすると今度は次の段階として、地方が仕事をするのにも補助金を出して国が関与しておると。そうすると実質的に地方の仕事と言いながらも国がコントロールしていますから地方にとって自由度がないと、歳入にも歳出にも自由度がないというような議論になってくる。したがって、現実にそれではそこをどういうふうに、分権社会としての地方財政としてどういうふうに組み立てていくかというときに、まず切り口として、国庫補助金の中で国が地方に関与するのをやめていくような議論をしていった方がいいのではないかということで累次の議論を重ねてきました。具体的には、先ほど課長が説明いたしましたように、資料の2−2の2ページに書いてあるような、こういう補助金というのが項目的にリストアップをされて、こういうようなものを差し当たって一般財源化していきましょうというふうに議論が進んでいったということなんです。 ちなみに、政府としていいますと、要するに一つ一つの事業を積み上げていくという形でいくのを一方でやりながらも、そういうことであるとなかなか進みませんから、とりあえず閣議決定で平成18年度までに補助金としては4兆円を目標に整理合理化をしていきましょうと。初年度としては、ここに書いてありますように1兆円をやれというふうに指示が出て、その1兆円に見合うように個別の項目をリストアップしていって、この答えに落ち着いてきたというようなことになっておる。 お答えになっているかどうかわかりませんけれども、ただ、ここの数字に落ち着く前に、例えば所管の省庁で言いますと、厚生労働省の場合は生活保護費について一般財源化をしたいというのを主張し、我々総務省サイドの方はそれは困るということにして撃退して、代わりに公立保育所の方にしてはどうかというような形で落ち着いてきたということで、一つ一つに相当な議論のやりとりがなされておるんだというふうにご理解いただきたいと思います。 ○松本小委員長 今、篠崎委員がおっしゃいましたことは、紺谷委員が最初におっしゃったことと関係しているのですけれども、お気づきのことと思いますが。本来ならば、おっしゃるように、役割の分担というものについての理念があって、それに沿った役割の分担を個別具体の事務・事業について決めて、そしてそれに合う財源の配分はどうかというふうに定めていくのが本来の姿だと思います。だけど、日本の制度というのは、つい最近、諸井会長が委員長を務められました地方分権推進委員会でそういうことについての理念を示される前までは、むしろ国と地方の間の関係というものが非常に複雑で、機能分担論ですけど、要するにお互いに一つの仕事の関係をもち合うという方がいいんだという思想がずっと長い間あったわけです。だから、それを地方分権推進委員会が役割分担ということを正面に出されて、まず原則として地域の政治・行政については、基礎自治体が一般的に役割を担う、そして次に広域自治体が担う、国は地方で対応できないことだけを処理すると、こういう役割分担の考え方が示されたのです。しかし、実際の政治・行政はずっと継続していますから、それが示されたからといって突然そういう制度に全てがなるというわけにはいかないわけですね。ですから、今の段階というのは、その間の経過的な、混乱の時代だという感じがしております。だけど、今、香山次官もおっしゃったように、そういう原則に徐々にどう近づけていくかという懸命の努力をしているわけです。だから、おっしゃったようにきちんとしないようなものが出てきている。それはそのとおりだと思いますが、そういう中で、少しずつ途切れることなく、継続性を持たせながら徐々にそういう制度に今切り替えていきつつあるんだというのが私の今の理解です。よろしいでしょうか。 ○篠崎委員 ありがとうございます。私も今世の中が動いている中で、地方分権が進むと言いましても、ガラガラポンとこれまでのことを御破算にしてなるわけではございませんので、そのあたり重々承知しております。ただ、今日のご説明がこういうふうに移行いたしましたというご説明だけだったものですから、最終的には近未来のあるべき姿をどこで見せていただけるのかなと思い、ご説明が欲しいと感じた次第です。 地方からは、この間も関西の財界セミナーで、ある首長さんは、三位一体の改革は国の逆襲である、要するに、これだけ地方は厳しくなっている中で、地方の財源が減らされているという危機感しか出てこなかったのです。自分たちにもっと裁量権がほしいというお声もありました。これには暫定的な姿と将来的なあるべき姿を明確に提示しなければならないと思いますが、今日のご説明では、過渡期の今年度から来年にかけてのお話に終始したものですから、あるべき姿をおうかがいしたいと感じた次第でございます。ありがとうございました。 ○松本小委員長 それでは、岩崎委員ありませんか、よろしゅうございますか。それでは加藤委員、マリクリスティーヌ委員どうですか。それでは小早川委員。 ○小早川副会長 先ほど来の三位一体の話なんですが、感想というか、質問というかちょっとはっきりしませんけれども、先ほど香山次官が狭義の三位一体と広義の三位一体というふうに言われて、なるほどちょっとわかりやすいなと一瞬思ったんですが、よく考えるとまたよくわからなくなってくるところがありまして、地方自治体の立場から言えば多分こういうことだと思うんですね。 三位のうちの一つは、補助金というのは必ず関与を伴うので、関与を伴わない自主財源が望ましいということで補助金の削減、原則全廃と言ってもいいんですけれども、補助金をなくす、一般財源化していくと、これはわかりやすい話だと思います。それからもう一つは、先ほど貝原委員が言われたように、歳入歳出のギャップですね、これはもっとマクロな意味で地方の自己責任という理念が非常に阻害されているということになるわけで、住民が税を負担して、自分で行政サービスの内容を決めていくというのが、これが一番地方自治の一つの理念であるのに、そこが構造的にそうなっていないということで、歳入歳出をできるだけ近づけていくという、そのためには税源移譲であるということになるわけですね。これも今の第1のところとはちょっと違うけれども、地方の自己決定、自己責任という大きな意味では一致する方向であるというふうに思われます。 よくわからないのがもう一つの地方交付税の話でありまして、これが先ほどのご説明だと広義の三位一体ということで、地方交付税制度の見直し、持続可能な交付税制度への再編成、そのための地方財政計画の見直し、圧縮、支出の削減ということであるというご説明だったと思うんですが、ただそこは分権の立場、あるいは地方自治の確立の立場からすれば、税源移譲と対になって自治体間の財政調整、水平調整も必要だし、それから国による義務づけの問題とも絡みますけれども、やはり日本の現状で何らかの自治体の財源保障が必要であるというところがあるわけですね。そういう意味で地方交付税制度がやはり日本の地方自治制度にとって必要な機能を担っているんだということを確認した上で、それをサステーナブルなものにしていくということなのか、先ほどの話ですとそこがちょっと抜けている。ご説明ですと広義の方というのは、地方自治のための話なのか、国・地方を通じた財政制度が今までやっていけないから見直すという話なのか、そこがちょっとわからないわけです。 ですから、「三位一体」という言葉は非常にきれいで、三つのものがバランスよく組み合わさって一つの政策をつくっているのだろうと思うんですけれども、その際に、所得保障なり財政調整なりという、交付税制度の見ようによってはポジティブな面というのがきちんと位置づけられた上で三位一体ということが言われているのか、そうでないのか、政府の考え方はどうなのか、その辺をもうちょっとお願いできればと思います。 ○松本小委員長 はい、次官。 ○香山総務事務次官 率直に申し上げまして、政府ということになりますと、政府のどこを指すかという議論になりますと、交付税を削りたいと思っている政府もあるわけです。かなり強い。そういう意味でいいますと、非常にというか、ややわかりにくい形で閣議決定の三位一体の方針なんかは決められておるというふうに思っていただいていいと思います。ただ、総務省の立場は極めてはっきりしていまして、それこそ小早川先生がおっしゃったとおりの意見を持っているわけでありまして、要するに地方においては、とにかく地方税で地方財源を賄うことにすれば、その財源が偏在してしまうから、これだけでは現実的に制度設計はできない。それからもう一つは、義務教育にしろ、公共事業にしろ、とにかく国がイニシアチブを持って地方団体に歳出を義務づけているわけですから、国が義務づけている以上、それに賄うだけの財源を用意するというのは、これは国の責任として当たり前で、そういう意味では財源調整をし、財源保障する交付税というのは、財政の規模、それから国と地方の役割分担とのバランスにおいて出てくる答えにおいて、絶対に必要な額があるというのが我々の立場です。これはあえてご説明する必要もなかろうということで省いただけで、それについては全く誤解なきようお願いいたしたいと思います。 ただ、交付税について何が問題なのかというときに、地方の自立だとか分権だとかがクローズアップされるときには、とにかく地方の歳入において歳出と歳入の自由度を高めましょうと。これは今の税収レベルだと、国税が大体50兆あって地方税が35兆あるわけです。ところが、使い道は逆転してしまっている。その逆転をしておるのが何だといいますと、国から地方に補助金と交付税が移転されておるからそれをきれいにしましょうと。ただし、現実的に全部地方の仕事に見合うように地方税をするわけにはいかないから1対1ぐらいにとめておいて、そこでその隙間の部分について地方交付税で調整するようにしようと、それから地方税は地方税でできるだけ偏在を小さくしていこうと、これが大きなものなんですけれども、問題は、ここに借金が絡んできているから答えが単純じゃないということです。国の方だって、地方に移転する財源は国債を発行していますし、それから交付税だって借入金に依存している。それも国の借入金だけではしんどいから赤字地方債も出すようになってきたと。したがって、こちらが絡んでくると、いわゆる純粋な地方分権、それから狭い意味の三位一体の議論だけで簡単に片づかないところが出てきて、もう一つ、交付税制度が借入に依存せぬでいいように、とにかく何とかここを借金に依存しないできれいに国税と地方税の分配関係だけで設計できるようにいずれか持っていかなくちゃいけないということで、現在ちょっと非常に不純な形になっておるんだというふうにぜひご理解いただきたいと思いますけれども。 ○松本小委員長 よろしゅうございますか。まだ時間がありますので。 それでは先ほどの譲与税の回答は用意できました? 地方税と譲与税の関係。 ○椎川財政課長 次回にお願いします。 ○松本小委員長 わかりました。紺谷委員、次回ということでいいですか。 ○紺谷委員 すみません、何回も同じことをお聞きして。何回お聞きしてもわからないものですから申し訳ないです。 ○松本小委員長 それではまた次回に。そのほかございませんでしょうか。 それでは一旦ここで質問を打ち切らせていただきまして、次に今後の審議項目とその論点について意見交換を行います。内閣総理大臣からの諮問事項を踏まえ、今後の審議に予定テーマ等について整理させましたので、事務局から説明させます。 ○三好自治政策課長 自治政策課長でございます。お手元に資料3という1枚紙の資料が一番下の方に入っておるかと思います。 第28次地方制度調査会諮問事項及び審議予定テーマでございます。諮問につきましては、先ほど小委員長からございましたように、3月1日の総会における諮問といたしまして、「「道州制のあり方」、「大都市制度のあり方」その他最近の社会経済情勢の変化に対応した地方行財政制度の構造改革について、地方自治の一層の推進を図る観点から、調査審議を求める」というのが諮問内容になっております。 これにつきまして、審議予定テーマとして五つ挙げさせていただきました。まず「道州制のあり方」、「大都市制度のあり方」、これは既に諮問の中に具体的に明記をされておりますので、この二点をご審議いただきたい。それから、その他地方行財政制度ということでございますが、それにつきましては、三点挙げさせていただきました。一つは、地方制度の弾力化、二つ目といたしましては、執行機関と議会のあり方、三点目といたしまして、地方税財政の制度のあり方、これらにつきましては、これまで27次、あるいはそれ以前の地方制度調査会へのご議論などを踏まえまして、こういった審議テーマを予定してはいかがかということで整理をさせていただきました。よろしくお願いいたします。 ○松本小委員長 どうもありがとうございました。ただいまの説明にご質問、ご意見等ございますか。 ○紺谷委員 基礎知識を教えていただきたいんですけれども、日本はアメリカやドイツのように連邦国家じゃありませんし、それから国土も狭いですし、国民もホモジーニアスでございますから自ずから形は異なると思うんですけれども、例えば地方自治体は、憲法に抵触しない限り、ないし国法に抵触しない限り、あとは自由でいいという考え方だといけないところはどこかございますでしょうか教えてください。 ○久元行政課長 まさに憲法の規定、第八章地方自治の規定を前提として議論するのかしないかということだろうというふうに思います。憲法の根幹部分を仮に変えるというような議論、例えば、連邦制を採用するとか採用しないとかといったような議論、これは憲法レベルの議論でありますし、また、根幹部分を変えないといたしましても、例えば、今の第八章の地方自治の章によりますと、地方公共団体には議事機関としての議会を置かなければいけない、また長とそして議会の議員は直接公選で選ばれるとかそんな基本的な規定が書かれております。また、法律と条例の関係についても書かれております。そういうものを憲法の根幹部分は変えないんだけれども、そういう憲法の基本的な規定といったものを見直すか見直さないのか、あるいは憲法改正ということを考えないで、今の憲法の規定を前提にして、その上で地方自治制度のあるべき姿というものを考えるかということによって変わってくるわけです。今後の審議予定テーマは五点あるというふうにありますけれども、その中の例えば議会のあり方を考える際に、また道州制や大都市のあり方、地方制度の弾力化、それぞれの項目を考える際には、どういうスコープで議論していくのかということによって答えは変わってくるのではないかというふうに考えております。 ○松本小委員長 よろしいですか。 ○紺谷委員 今教えてくださったことの中に収入役とか特例区の扱いも入っているんですか。 ○久元行政課長 収入役はまさに地方自治法をどう考えるかということのレベルで議論がなされます。特例区というのはよくわかりませんが、先ほどの合併特例区法の中で提案いたしました特例区は、まさに合併特例区は合併を推進するためのいわば仕組みとして提案をさせていただいているものでございます。 ○紺谷委員 私、27次の総会の最後のところでも言わせていただいたんですが、どう考えても地方制度調査会の存在理由というのがよくわからないんですよ。しかも、総会の委員として地方の代表者がたくさんお入りなのにその方たちを外して、それ以外の人たちでこうやって議論を重ねていって、たまに総会を開いてほかの方にも来ていただくというのがわからないんです。どうしてなんですか。 ○松本小委員長 これは私の方から。地方制度調査会には、ご承知のように有識者委員と、それから国会議員から選ばれた方と地方の代表の方と、三つの選出母体で成り立つように法律で規定されているわけです。その中で国会議員の方、それから地方公共団体の代表の方、これはそれぞれ選挙を通じて選ばれた方になっているわけです。いわゆる有識者と言われる専門小委員会の構成員として、今日の専門小委員会にお集まりの委員の方々はそれを除いた方ということです。この間、紺谷委員はお見えになっていなかったのですけれども、総会でお諮りをしたうえで、専門小委員会で専門的立場から議論を重ねて、それを時に応じて総会にかける、そういう形をとっております。しかし、それだけで審議しているわけではなくて、この前も何回か行いましたけれども、専門小委員会のメンバーと国会議員の先生方との会とか、あるいは専門小委員会のメンバーと地方六団体の代表の方との会とか、そうした場を通じて、お互いの意見の交換をしながら審議を進めてきております。おっしゃるように外しているということをしているわけではなく、専門的な議論を有識者の皆さんの中で専門的に詰めていただいた上で、選挙で選ばれた方々と意見を交換していくというのが適切な進め方ではないだろうかということで、地方制度調査会はそういう進め方をかねてからしているのです。 ○紺谷委員 私は全然専門家じゃありませんし、有識者なんかでもありませんし、専門家じゃない人がつくっている専門小委員会という気がしてならなかったものですから大変失礼いたしました。 ○松本小委員長 専門家というのは、何も地方自治制度だけに専門という意味ではなくて、社会一般に幅広い知見を持っておられる方という意味で専門家ということになっておりますから、そういうふうにご理解していただいて、紺谷先生もその一人であるというふうにお考えいただきたいと思います。 ○紺谷委員 経済には自信を持っていますが、ほかのことは何も自信がありません。 ○松本小委員長 広い立場から、経済のご専門の方もいらっしゃれば、福祉のご専門の方もいらっしゃいますし、そういういろんな立場でこの会を構成していただていると、こういうことでございます。はい、どうぞ岩崎委員。 ○岩崎委員 資料3でいただいた諮問事項と今後の審議予定テーマについてですが、審議予定で並んでいるものの上二つは諮問事項にあるのでわかるんですけれども、下の三つがどういうことで出てきたのかというのがちょっと気になるのでご説明いただけますか。今日のいろんな議論を聞いておりまして、これまでのことがわかっているという文脈での意見と、そうではなくて、外から見ておかしいことがたくさんあるけれども、実際どうなのという意見と二つあって、今まではこれまでがこうだったからこのラインでやっていくのだということで来たような気がするわけです。地方制度調査会の答申は法制化されてきたので、すごく改革はされていると思うんですけれども、実はもっともっと根本的なところで、これまでがこうだからという帰納法的な改革ではなくて、どうあるべきかという演繹的な理念型といいましょうか、そういうのが前よりも増して、恐らく二年前の27次が始まったときよりも増してそれが求められているのではないかという気がして今日の議論を聞いておりました。 それで、ここの諮問事項の2行目のところあります「社会経済情勢の変化に対応した地方行財政制度の構造改革」というのが、考えてみれば、そういうふうにとれないわけでもないわけですけれども、ここの予定テーマに入っているのは、そういう意味からいくと、これまでラインというような気がしております。もう少し大胆に行けるのであるとすれば、国と地方の役割分担、役割の明確化といいましょうか、毎度毎度同じテーマかもしれませんけれども、情勢が変化しているわけですから、国の役割も地方の役割も変化しているかもしれません。 それから諸井会長が委員長でいらっしゃった地方分権推進委員会の最終報告、いわゆるベースキャンプから残念ながら現実はあまり進んでいないという認識を私は強く持っておりまして、考えようによっては後退をしているのではないかという気がしています。つまり役割分担を明確にして、今後いろんな立法をする場合は、地方の自主性なり自立性を損なわないようにやっていくというふうに関与のルールも一般化をしたと言われております。しかしそうは言っても、現実にはいろんな法律ができてくると今までどおりで、いろんな関与はそのままだし、例えば感染症の問題やなにかが起こると、地方にいろんな仕事が行くし、その場合も今までラインと同じように、仕事はたくさん行くんだけれども財源は行かない、仕事はどんどん増えていく。国が責任を持ってやるのであれば、先ほどのお話のように、義務づけるのであれば100 %財源で裏打ちするのが当たり前ですけれども、義務づけておきながら財源はつけない、おかしいことがたくさんあるんですね。 今までおかしいことがあっても、こんなものだと思ってきていながら、さすがにほころんできたような気がしますので、そういう基本的なことを、前のベースキャンプからもう一歩進めるように、少なくともそこに書かれているものが後退しないようにせめて監視するというか、これからそうならないような立法を国がつくっていくようにするとか、それから、地方の条例制定権を拡大するのであれば、国の立法と地方の自治立法の関係をどうするのかとか、そういうことも含めて自己決定ということを根本に具体的にすべきです。地方をぎしぎしと縛ってしまって縛ったままお金は何とかしろ、切るぞと言われて、そして財源保障はしないとか全然訳のわからない議論がまかり通っている。少し大胆にそもそも論から28次は考えることができないものだろうか、長く地方制度調査会に居ながらこんな発言をしていいのかどうかわからないんですけれども。今回道州制ですとか、大都市とか具体的なテーマが諮問事項で出てきており、大胆な変革の時期だとすると、道州制なり大都市なりを考えるにしても、国と地方がどんなふうに役割分担をするかということをきっちり考えないで道州制の問題もとても考えられるとは思いません。日本の地方分権は、中央と地方が相互に織り込まれてしまって関与にがんじがらめというところから解きほぐすという意味でも、国と地方がほんとに何をすべきかということを考えながらこの予定テーマを扱うということなら結構ですが、この予定テーマだけを扱うというのであればなかなか議論はしづらいのではないかという気がしています。理念的で現実から飛んでしまっているかもしれませんけれども。先ほどの三位一体の議論も、言う人によって三位一体のレベルの語られることが全然違うということは、やはり何か変だと思っているから、そういうことがまかり通るわけですね。これが地方分権、地方自治にとって必要な三位一体だという共通の土俵があれば勝手なことは語られないわけなんですね。ですから、そういう意味から言っても、もう少し基本的なことをまず、少なくともここの委員の間での共通土俵として持っていなければ議論がなかなか深まっていかないということもあると思います。ちょっとそういう点も考えていただけるといいと思いますので、お願いしたいと思います。 ○松本小委員長 これは何か事務局ありますか。 ○久元行政課長 審議事項の下三つということでしたので、これらを含め申し上げますと、道州制のあり方、大都市制度のあり方は、これは諮問事項の中に入っているわけであります。特に大都市制度のあり方の中で27次の中から宿題になっておりますのは、中核市、特例市の指定のあり方についてでございます。と同時に、大変重いといいますか、より重要なテーマは、やはり道州制を本格的に議論することになったときに、特別区、指定都市、中核市、特例市、そして一般市町村と、こういう区分というものが、例えば関東圏といったような仮に一つの道州になったときに、これらが混在するような仕組みはというのはやはり不自然なわけで、そういうことを考えますと、大都市制度のあり方ということについてかなり踏み込んだ議論をしなければいけないのではないかという認識を持っております。 それから、地方制度の弾力化、執行機関と議会のあり方につきましては、ここは幾つかの背景があるわけですが、一つは、ただいま岩崎委員がおっしゃいました地方分権推進委員会の最終報告第4章の中に六つの課題が掲げられておりまして、その中の一つに、日本の地方自治制度というものが画一的なのではないか。画一的という指摘の意味は、例えば、アメリカのホームルールチャーターシステムのような長と議会の二元制ではない仕組みというものを選択し得るというようなことも考えたらどうかといったような言及がなされたりしております。 もう一つは、もっと細かい話になるわけですけれども、先ほど地方自治法の一部改正案をご説明いたしましたが、その背景といたしまして、構造改革特区の提案といたしまして、相当多数の地方自治制度のいわば規制緩和についての提案がございました。それらの中にはかなりレベルの違うものがあるわけですが、例えば、議会の中から市町村長を選ぶといったような提案から、収入役のあり方、あるいは議会のあり方といったような基本的な部分、さらには実務的な財務規定の改正といったようなことが提案されております。これらの提案を見ますと、地方公共団体の方も、個別法の関与の縮小ということと同時に、地方自治制度についても弾力化を求めているという声があるのではないかというふうに考えております。 それから、執行機関と議会のあり方であります。先ほどの最終報告の第4章の中の大きな柱が住民自治の拡充ということでありましたが、住民自治の拡充は、当然、議会のあり方と関わります。また、27次の地方制度調査会の審議の中で、三議長会からも、議会のあり方については26次の地方制度調査会の答申で一応の方向というのは出たわけですけれども、まだまだ残されている部分があるのではないかということで、具体的な提言を含めて意見が出されております。そのような事柄を背景といたしまして、こういうような項目を提案させていただいているということでございます。 ○岩崎委員 それはわかりました。実はもう少し具体的に申し上げてしまいますと、地方制度調査会は内閣府に設置をされ、任命権者は総理ですよね。総務大臣から任命書をいただいているわけではございませんので、いわゆる地方自治法の世界の中だけで話をして、もちろん法制化するのは責任がいろいろおありになると思うのでそうだと思うんですけれども、地方自治法の管轄の中だけでのテーマに絞り込んでやられてしまうととても息が詰まるという−−息が詰まるというのはおかしいですけど、もっと大きなことがたくさんある中での地方自治法をどうするかという話ならわかるんですね。どういう執行機関とか、市民参加のあり方をどうするかというのが大きな枠の中で議論されて、そして、じゃ、そのためには自治法をどう改正するかというラインだったらすごくわかるんです。総務省に置かれているのではなく内閣府に置かれているのであるとすると、やはり国と地方の関係というところも射程に入れてどうしてもやっていただきたいんですね。 地方制度調査会は今から二年間あるので、地方制度の老舗といいましょうか、そういういい意味での伝統的な審議会として内閣府に置かれているということをもう少し自覚をして、国と地方の関係で地方分権と、それと地方自治と両方を扱いながら、この自治法の世界を具体的にどう法制化するかということをやっていく、大きな舞台回しといいましょうか、そういうことを、今日は最初ですので申し上げたく存じました。28次がどうしてこれだけの注目を集めたかというと、道州制を審議するからです。「道州制って何?」というのから始め、とにかく中身を詰めていかないことには、勝手なことを言われて、それで道州制でって、ひょっとしてそれがそうなってしまったら日本の地方制度はどうなるのかと、そういうこともすごく危惧しているわけですね。そう考えていくと、地方自治法の世界だけでやっていくのはとてもつらいと思う。どういうことをおやりになるということを考えていらっしゃるということについては、具体的にはそういうことかなと思いますけれども、その文脈といいましょうか、最初の舞台設定というのは、もう少し広げていただかないと、地方分権、地方自治が三位一体のおかげでしょうか、注目をされてきたので、そういう注目度も高いということを考えると、期待に沿えるだけの内容を詰める責務が実はこの28次まで続いている地方制度調査会にあるのではないかという気がしています。ですから、この国のあり方を地方分権、地方自治から考えるというぐらいのスタンスで臨んでいけたらと願っています。 ○松本小委員長 大変貴重なご意見と受け止めまして、これから審議事項を決めます際に検討をさらに深めてまいりたいと思います。 ○貝原委員 時間がなくなってしまいましたので簡単に申し上げますが、私は岩崎委員のおっしゃいましたことは、道州制のあり方を考える場合にそれを抜きにしてあり得ないと思うんです。だから、地方分権推進法あるいは地方分権推進一括法、それぞれのプロセスを経て、分権に進むべき方向についてのコンセンサスは今回も含めてかなり出ている。それを前提として、道州制を考えていくということになると、今の社会経済情勢の変化に応じながらも、その議論を真正面からしていかないとこの問題は解決できない。したがって、テーマとしてはこれでいいんじゃないかというふうに思います。 ただ一点、私が問題点として意識していますのは、最近、テロとか災害とか、あるいは武力事態とか、こういうことが21世紀に入って大きくクローズアップされてきます中で、国と地方の関係をそういった意味で議論するということが出てきておりますし、法律も現に出てきているわけです。その過程で、本来、私は疑問に思っていましたけれども、国の有り様を決める場合に、地方のことも含めてですが、すべて国会で決めてしまう。国会で決まったことを全部地方自体はそれに義務づけられるということ。これは政府は統治機構ですからそれで当然なのかもしれませんが、決定のプロセスにおいて、地方の意見が反映をされる仕組みが日本の場合は全然ない、そこが非常に問題なのではないか。これは先ほど紺谷委員から地方制度調査会の構成までそうなっているという指摘もありましたけれども、国会議員と地方自治体の首長を兼務できるような仕組みをつくったらどうかという提案が地方自治体の議論の中で提案されたという報道がなされていましたけれども、私は前から国と地方のあり方について、立法権の問題をどう考えるのかということを疑問に思っています。結論的に言いますと、執行機関と議会のあり方というのが、4)に非常に狭い意味で書いてあります。地方自治体の執行機関と地方自治体の議会のあり方ということでしょうが、私はこの点をもう少し広く、立法における地方自治のあり方というような点まで広げていくと、かなり奥の深い議論が出てくるのではないか。また実効性のある提案ができるのではないかという感じがいたしますので、ご検討を賜ればと思います。 ○松本小委員長 国に対するインフレンスの話ですね。広い言葉で言えば、そういうことですね。 ○諸井会長 私があまりここで発言するのはよくないのかもしれないんですけれども、今度28次で道州制というものを取り上げていくべきであるというふうに強く思っておりますが、それはやはり皆さんおっしゃるように、道州制の議論をしながら国と地方のお互いのあり方というものをはっきりさせていく。それから一方では、道州制まで突っ込んでいかないと、本当の意味での地方分権とか、地方自治とかという格好になっていかないだろうというふうに考えたからでありまして、これは個人的な考え方ですけれども、ぜひその辺をこれから皆さんからもいろいろ発言していただいて、議論をしていただきたいなと。 それから今、貝原さんがおっしゃった有事法制とかその他いろいろありますけれども、地方の意見をもっと聞けと。この点はやはり新しい考え方として、単に地方に譲れというだけじゃなくて、国が何か決めるときにも、地方の意見も聞けということは、一つの新しい方向として必要じゃないかというふうに私は感じております。よろしくお願いします。 ○松本小委員長 ありがとうございました。 それでは、いろいろご意見が出ましたけれども、時間もまいりましたので、審議事項とその論点整理については、引き続きこの専門小委員会でただいまの議論も踏まえて論議を進めることといたしたいと思います。 次回は地方六団体からの意見を聴取いたしたいと考えております。次回は4月13日午前10時30分から開催することといたします。会場等につきましては、改めて事務局よりご案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。 それでは、本日はこれをもちまして専門小委員会を閉会いたします。長時間ありがとうございました。 閉会
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