第28次地方制度調査会第2回専門小委員会 次第平成16年4月13日(火)
10時30分〜12時30分 グランドアーク半蔵門「富士の間」
第28次地方制度調査会第2回専門小委員会 参考人名簿
○松本小委員長 まだお見えになっていない委員もいらっしゃるかと思いますけれども、時間がまいりましたので、第2回の専門小委員会を始めさせていただきます。 それでは議事に入ります。本日は、地方6団体の参考人の方と専門小委員会委員との意見交換を行いたいと思います。 本日ご出席いただいている参考人の皆様をご紹介いたします。まず、知事・市町村長・議長の方から紹介をさせていただきます。 全国知事会地方制度調査会委員長で、岡山県知事の石井正弘様でございます。 全国都道府県議会議長会会長で愛媛県議会議長の中畑保一様でございます。 全国市長会会長で金沢市長の山出保様でございます。 仙台市長の藤井黎様でございます。 全国市議会議長会会長で、北九州市議会議長の片山尹様でございます。 全国町村会会長で福岡県添田町長の山本文男様でございます。 全国町村議会議長会会長で、京都府園部町議会議長の中川圭一様。 なお、その他の方につきましては、お手元の名簿により紹介に代えさせていただきます。 本日の会議の進め方でございますが、最初に参考人の皆様方から意見をちょうだいしたいと思います。申し訳ございませんけれども、委員との意見交換にできるだけ時間をかけたいと考えておりますので、1団体のご意見は7分以内というふうに事務局の方から要望しているようでございますので、ご協力のほどをお願いいたしたいと思います。 それでは、全国知事会からご意見をお願いいたしたいと思います。 ○石井参考人 ご指名いただきましたので、私の方から、岡山県知事の石井でございますが、意見を述べさせていただきたいと存じます。制限時間内を努力をいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。 先立って開催をされました第1回の専門小委員会におかれまして、今後の審議事項につきまして、議論がなされたところでございますが、このことにつきまして、私の方からもご意見を申し上げたいと存じます。 諮問事項に基づきまして、審議予定テーマとして、道州制のあり方につきまして議論されるわけでございますが、今後の検討に当たりましては、国と地方の役割分担を改めて抜本的に見直しをしていただきまして、あくまで国から地方へという地方分権改革の理念を踏まえた議論をしていただきたいと存じます。そのためには、国の持つ権限と税財源を地方に大幅に移譲することが必要である、こういう認識のもとに都道府県をはじめとする地方公共団体の意見も十分取り入れていただきたいと考えております。 また、これに関連いたしまして、地方分権を自主的に確保するためには、国から地方へのさらなる権限移譲等と併せまして、国が地方公共団体に影響を及ぼす法令の制定、改廃、施策の決定等を行うに際しまして、地方公共団体の意見を十分反映することが重要である、このように考えますので、そういった点も併せまして、国と地方の役割分担について幅広い観点から議論をしていただきたいと考えております。 以上、総論的にまず申し上げました。 次に道州制のあり方でございますが、これにつきましては、これまで地方のブロック知事会議やあるいは各都道府県の研究会などにおきまして調査研究を行うところも出てきているところでございますが、国と市町村合併後の基礎的自治体との関係、行政の効率化、広域連携のあり方など様々な意見があるというのが現状であります。例えば、道州制を実現する方法につきましてでありますが、法の制定によって全国一斉に道州制へ移行するという方法と、都道府県の自主性を尊重して、条件の整った地域から順次合併をし、その後に移行する方法との2通りの考えがあるところでございますが、私といたしましては、道州制は国から権限と税財源を抜本的に移譲するものでありまして、一国二制度の混乱を避けるためにも、国民的な議論を展開しながら、国の地方支分部局の道州への一元化、あるいは道州における地方税財政制度のあり方等の検討を行って、全国一律の法制度として一斉に導入をすることが適当ではないか、このように考えております。 したがいまして、全国知事会といたしましても、今後、様々な意見がございますので、十分議論を重ねていくこととしているところであります。いずれにいたしましても、今後地方制度調査会での検討に当たりましては、都道府県の意見を積極的に取り入れていただくようにお願いをいたしたいと存じます。 次に、大都市のあり方でありますが、第27次地方制度調査会でも一定の方向が示されたところでありますが、今後、地方分権の観点も踏まえまして、都市の規模、能力に応じました一層の権限移譲が進められるべきであると考えております。また、幅広い権限を有しております政令市につきましても、さらなる権限移譲を行って、一層機能を強化するという方向で制度の活用が引き続き検討されるべきではないか、このように考えております。その際、政令市と周辺の市町村を含む広域的な視点で取り組むべき行政分野につきましては、都道府県がこれに対応した調整の役割を果たすなど、政令市の機能と権限につきましては、道府県との協議によって幅広い選択ができる柔軟な制度とすることが必要ではないかと考えているところであります。 次に、地方制度の弾力化についてでありますが、この3月に中央教育審議会へ地方分権時代における教育委員会のあり方の検討が諮問されているところでありますが、市町村合併や地方公共団体の行政財政体制全般の見直しが進んでいく中、長年独立した合議制の執行機関として運営をされてまいりました教育委員会をはじめとする行政委員会につきましても、その制度が時代や地域の実情、すなわち社会のニーズに応じたものであるかどうか評価検討していく時期ではないか、このように考えているものであります。 次に、地方税財政制度のあり方につきましてでございますが、ぜひ審議テーマに取り上げをしていただきまして、当調査会で真の地方分権の視点に立った地方税財政制度が実現できますように、十分な成果を期待し、私ども地方公共団体関係者といたしまして、最大限の努力をいたしたいと思います。現在、国が進めております三位一体改革でありますが、地方分権にふさわしい自主・自立の地方税財政基盤の確立に向けた措置が講じられるべきでありまして、そのためには、地方における歳出規模と地方税収入の乖離、これを縮小する方向で国と地方の税源配分の抜本的な見直しを行って、地方税源の拡充強化を図るべきであります。 また、これまでの地方の自主制・自立性を奪ってきました国庫補助負担金につきましては、原則これを廃止をし、税源移譲によって必要な財源が確保されるべきであります。税源移譲に当たりましては、基幹税であります所得税及び消費税から、それぞれ個人住民税及び地方消費税に税源が移譲される、このことが基本であります。その際、国から地方への税源移譲が行われましても、税源が偏在することによって地方公共団体間の財政力格差の是正と一定の行政水準の維持確保が必要であるということから、地方交付税が果たしております財源調整機能及び財源保障機能を堅持する必要があると考えます。三位一体改革につきましては、文字通り国庫補助負担金の廃止、税源移譲及び地方交付税の見直しがセットで実施されるということがあくまで基本でありまして、そのうち、どの一つが欠けましても国・地方を通じた改革にはつながらないということは言うまでもないところであります。 しかしながら、このたびの三位一体改革に伴います国庫補助負担の見直しや税源移譲は基幹税、すなわち所得税により税源移譲を実施するという道筋は確かに示されたところではありますが、しかし、国庫補助負担金の見直しは義務的なものにとどまっておるというと、そして地方の裁量の余地が余り広がっていないという点、また一方で直轄負担金につきましては削減されていないといった点におきまして、その内容が極めて不十分であると考えております。また、地方交付税等の突然かつ大幅な削減は、地方公共団体の財政運営に大きな支障を生じているところであります。 三位一体の改革は単に国対地方公共団体の問題ではなくて、より住民に身近なところで政策決定、税金の使途決定が行われて、住民の意向に沿った政治行政を行うということが可能である、そういう改革でなければならないところでございます。もし、この三位一体改革が16年度のように、国の財政赤字の地方への負担転嫁に終わるということになりますと、福祉とか教育などの行政サービスの低下、あるいは負担増をはじめ国民生活、さらには地域経済にも大変大きな影響を及ぼすことになると考えます。このため、ご審議いただく際には、ぜひ、この地方分権や三位一体改革の理念に十分配慮したご議論が行われますように、特にお願いを申しておきたいと存じます。 また、そのほかの審議テーマのご審議に当たりましても、地方制度に係る重要な事項でございますので、地方の意見を十分反映した議論をしていただくことをお願いいたしまして、私の意見陳述とさせていただきます。よろしくお願いいたします。 ○松本小委員長 ありがとうございました。それでは次に全国都道府県議会議長会から。 ○中畑参考人 愛媛県議会議長の中畑でございます。まず、このような意見交換の機会を設けていただきましたことに、まずもって厚くお礼を申し上げたいと思います。 私の方からは本調査会の審議事項に関連をして、地方議会制度の充実強化と三位一体の改革の2点を中心に所見を述べさせていただきたいと思っております。 地方分権の理念は、国による地方公共団体の関与を必要最小限に限定し、地方公共団体の自己決定、自己責任の原則により地域の特性と地域住民の意思に沿った行政運営システムを確立することであると認識をいたしております。民間でできることは民間に、地方でできることは地方にと言われておりますので、この際、国と地方の役割分担を抜本的に見直しをし、国から地方への権限や税財源の移譲を積極的に進めることが必要であると考えております。併せて、各種制度や規制の廃止・緩和を積極的に進めていただきたいとも考えております。 そうした意味で、審議予定テーマ案の1つに挙げられております地方制度の弾力化は、地方の裁量、自由度を増やす観点から、適切なテーマであると考えております。そして地方分権の進展に伴いまして、地方議会の果たす役割と責任が従来にも増して重要となってまいります。その機能の充実強化が必要でありますことは今更申し上げるまでもございません。私どもは、議会が住民自治の根幹をなす機関として、住民代表制を高めつつ、自らの判断とそして責任において、より自立的・自主的に議会活動を行うことができるようにする必要があると考えます。そのため、地方自治法による議会に係る規制の緩和や画一性の排除及び権限の強化が必要であるわけでございます。同時に、我が国の地方制度は、いわゆる二元代表制を採用して参っております。すなわち、議決機能を有する議会、執行機能を有する長との相互牽制、抑制均衡を通じて多種多様な住民意思をより的確に地方公共団体の行政運営に反映をし、その公正と民主制を確保する仕組みと相成っております。 そうしました制度の下で、地方分権時代において長と議会の権限関係がバランスのとれたものとなっているかどうか等、多角的な検討が必要であるものと考えます。地方議会の活性化策又は機能強化につきましては、私どもとして、これまでも機会あるごとに申し上げてまいりました。過去においては、地方分権推進委員会や、地方制度調査会においてご審議をいただき、その勧告や答申に基づきまして一部制度化が図られたところでございます。各議会としては、こうした現行の制度を活用しながら、それぞれ自己改革に取り組みまして、審議の活性化と透明性の確保に努めて参っているところでございます。 しかしながら、地方分権時代に対応し、議会がその期待をされます役割を今以上に十分に果たしていくためには、部分的な制度改正や運営改善などではそもそも限界があり、議会にかかる制度全般にわたる見直しが今必要であると考えております。 全国都道府県議会議長会におきましては、近く学識経験者からなる研究会を設置し、改めて議会制度の実態と理論の両面にわたりまして、調査研究を進めることといたしております。今後、そうした結果を踏まえつつ、提言や要望を行っていきたいものだと思っておりますので、本調査会におかれましても、審議予定テーマ案の一つとして執行機関と議会のあり方が掲げられておりますので、ぜひその関連で地方議会制度につきまして、本格的な検討を進めていただきますよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。 次に、地方税財政制度のあり方に関連をいたしまして、三位一体の改革について申し上げてみたいと思っております。三位一体の改革につきましては、第27次の地方制度調査会におきましても意見をお取りまとめいただいたところでございますけれども、平成16年度の地方財政計画は、地方にとって大変に厳しいものでございました。今回、三位一体の改革の目的として、地方分権の推進、すなわち税財政面での自由度、裁量度を拡大するということと、国・地方を通じた財政健全化の推進というこの2つが慌ただしく同時に進められましたために、この混乱を招いたものと思っております。 三位一体の改革につきましては、真の地方分権を推進するために、まず1つには、国庫補助負担金を廃止しても、引き続き、それぞれの地方が主体となって実施する必要のあるものにつきましては、廃止と同時に確実に個人住民税、地方消費税等の基幹税で税源移譲をしていただくこと。そして2つ目には、税源移譲に伴いまして、地方公共団体間の財政力格差が拡大いたしていくことが予想されております。また、各地方公共団体におきまして、一定の行政水準というものを確保する必要があることから、地方交付税の財源調整の機能と財源保障の機能を堅持し、必要な交付税総額を確保していただきますこと、このことを基本に進めるべきものと考えております。 いずれにいたしましても、今後は三位一体の改革に、ぜひとも地方の声を今以上に十分に反映をするとともに、その全体像というものをできるだけ早く明らかにすべきであると考えております。そして、地方制度調査会におかれましては、今後の三位一体改革の動向に応じて、適時適切に意見等を取りまとめていただきますようにお願いを申し上げたいと思っております。 最後になりましたけれども、地方制度調査会で調査審議された事項は、いずれも、地方公共団体の活動に直接かかわってくるものでございます。道州制等につきましても、国と地方の役割分担や我が国の統治機構のあり方に係る重要な問題でございまして、私どもといたしましても大きな関心を持っておりますけれども、本格的な論議が始まりますのは、これからでございます。今後とも地方6団体をはじめといたします関係者の意見というものを十二分にお聞き取りをいただきますように切にお願いを申し上げ、私の意見とさせていただきたいと思っております。ありがとうございました。 ○松本小委員長 どうもありがとうございました。それでは、全国市長会から。 ○山出参考人 市長会会長の金沢市長の山出でございます。私からも審議に当たっての基本的な視点につきまして、いささか私見も交えながら数点に絞って申し上げたいと思います。 第1に道州制についてでありますが、憲法的視点も含めて抜本的な観点で議論を中長期的に積み重ねていくことが必要だと思います。その際は、現在、都道府県が行っております事務権限のほとんどを基礎自治体が担当する、このことを前提に検討する必要がある、このように思います。 なお、昨年4月本会がアンケート調査を実施いたしまして、その結果では、都道府県の再編のあり方につきましては、現在の二層制を基本にしながら、現在の都道府県を広域のブロック単位のものに再編成するというのが大方の市長の意見でございました。 次に道州制の議論に先立ちまして、当面の議論として、現行の都道府県制度の抜本的な構造改革についても検討の必要がございます。市町村合併の進捗状況を踏まえますと、現行の都道府県と市町村の役割、事務配分の抜本的な見直し、また、都道府県の合併による広域化、さらには都道府県の境界にわたる市町村合併の更なる円滑化、これらにつきましての検討も避けられない、このように思います。 特に事務配分の見直しに当たりましては、補完制の原理の考え方に基づきまして、住民に身近な事務は、基礎自治体において、総合的・完結的に処理にすることができるように、そのようにすべきでございます。例えて申し上げますならば、まちづくり、福祉、文化行政、社会教育等対住民サービスの分野は市町村に移譲していくことが適当でございます。また現在、県の出先機関が担っております事務も原則移譲していくべきだと、このように思います。 第3に大都市制度のあり方についてでございます。まず、現行の中核市及び特例市制度につきましては、それぞれ定着を見ております。制度検討時に懸念をされました混乱とか水準低下もございません。新たに移譲された事務につきましては、地域の実態に即した的確な運営が行われている、このように確信をいたします。 例えて申し上げますと、中核市に権限が移譲されました保健所の設置運営、産業廃棄物処理行政等も十分その責任を果たしてきておりまして、地方への不信感は払拭されるべきでございます。また、市民や市職員の自治意識の高揚にもつながっている、このようにこれまた確信をしています。 この実績を踏まえまして、中核市につきましては、現在の政令指定都市並み、また特例市につきましては、現在の中核市の機能を増やすということが適切であると思います。中核市に関しましては、児童相談所の設置主体の拡大につきまして、本会の要望に沿ってようやく今の国会に法の改正案が出されております。しかし、教育行政につきましては、まだすべての責任を中核市が負うという仕組みになってはおりません。例えて申し上げますと、中核市でございます金沢市の教職員数は2,000 名であります。その身分は市の職員とされておりながら、わずかに研修を行う権限だけが移譲されて、任免権とか、給与等は県の権限になっています。財政措置を含めまして、これらを中核市に移すことが適切だ、このように思います。 一方、中核市、特例市の指定要件の緩和でございますが、中核市の面積要件の廃止にとどまりませんで、私見ではございますが、将来は都道府県の事務を担うという展望のもとに、経験を重ねる意味からも、例えば、人口10万以上の都市を特例市にする、こういうことなど、人口要件の引き下げ、このことについても検討の必要があると思います。さらに、これらにふさわしい税財政基盤を充実しながら、都市自治体が各々特性、規模能力、意欲に応じて個性を生かせる都市制度を検討していく必要もあろうと考えております。なお、政令指定都市制度のあり方に関しましては、後ほど仙台市長さんが意見をお述べになられます。 次に、地方制度の弾力化に関してでございますが、今ほど知事会からもご発言がございました教育委員会や農業委員会など行政委員会について制度創設以来50年経ちました。それぞれの実績や評価を踏まえ、適切な制度のあり方について真剣に検討すべき時期に来ている、そのように思います。 最後に、自主・自立の真の分権型社会を実現するためには、地方の歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮めるという観点に立った税源移譲がぜひとも必要でございますし、これがすべての基本だというふうに思います。 さらに、税源の移譲がなされたといたしましても、自主財源である税源の状況は地域によって異なりますので、住民の福祉を守る観点からも、地方交付税制度の果たす役割は重要でございます。不可欠でもあります。当面課題になってございます三位一体の改革につきましては、先日の第1回総会でも申し上げましたので繰り返し申し上げることは避けますが、国の財政再建のみが優先されるということであってはなりません。地方の意見を十分踏まえ、分権の理念に立った真の三位一体の改革の推進が図られるべきである、このように思います。 なお、時間の関係で説明は省略させていただきますが、本会の地方自治の将来像に関するアンケート調査、この抜粋を配付させていただいておりますので、参考にしてくださったらありがたいと思います。 以上でございます。ありがとうございました。 ○松本小委員長 どうもありがとうございました。それではただいまお話がございましたように、本日は政令指定都市の仙台市長さんにおいでいただいておりますので、仙台市長さんから、どうぞお願いいたします。 ○藤井参考人 仙台市長の藤井でございます。ただいまの山出全国市長会の会長さんと一体でございまして、今、表明されましたご意見は、私ども全く意見を等しくするものでございますけれども、市長会のお時間の一部を割愛いただきまして、指定都市市長会を代表いたしまして、指定都市にかかわる部分について限定いたしまして、ご意見を述べさせていただきたいと思います。 私といたしましては、今後の地方自治制度、これは前の調査会の答申にも示されておりますとおり、基礎自治体が住民に最も身近な行政主体として、これまで以上に自主性を高めていく必要がある。このように考えるものでございます。とりわけ指定都市の立場からいたしますと、高い行財政能力を持っております指定都市は、人口や産業の集積が進み、それぞれの圏域において広域的な役割を果たしております。こうした現状を踏まえますとき、今後、基礎自治体、とりわけ大都市における行政の自主性、自立性がより高められるような地方制度のあり方が検討される必要があろうかと考えます。 今調査会におきましては、道州制及び大都市制度のあり方の双方が検討されることになると存じますけれども、いわゆる補完性の原理の考え方に基づきまして、国、広域自治体、基礎自治体のそれぞれの役割分担の更なる見直しを図ると同時に、大都市行政の自主性・自立性がより高められるよう、次の点を踏まえて地方制度のあり方を検討していただければと考えるところでございます。 まず、道州制のあり方についてでございます。前の調査会の答申にございますとおり、道州制の導入に伴って、国から地方に移譲される権限のうち、基礎自治体に移譲できるものは原則として基礎自治体に移譲すること。これと併せて、大都市圏におきましては、現行の指定都市制度よりも、道州との関係において、独立性の高い大都市制度についてご検討をいただきたいと存じます。 次に、大都市制度のあり方についてでございます。前の調査会の答申におきましては、指定都市制度創設の経緯を踏まえ、現行制度の枠組みの中で指定都市の権限を強化する方向を目指すべき、このようにされております。しかしながら、指定都市各市は、それぞれの成り立ちや規模、あるいは都市機能や産業構造など様々な面におきまして相違がございます上に、充足すべき行政需要も多様化、複雑化しております。したがいまして、それぞれの特性を踏まえて事務権限が選択でき、それに伴う自主財源が確保されるというような新たな大都市制度につきましても併せてご検討いただきたいと存じます。 また、道州制などの広域自治体改革と大都市のあり方を論ずることとは別の問題としても、大都市におきましては、国、道府県道の管理、その他事務配分の特例が設けられておりまして、都道府県に代わってこれらの事務を行っているという現状がございます。このことなどを考慮して、大都市の自主性・自立性を高めるためにも、税制上の特性措置を設けることにつきましてもご検討をお願いしたいと存じます。 以上、指定都市の立場に限って意見を述べさせていただきました。この調査会におきましては、最近の目まぐるしい社会経済情勢の変化に対応した地方行政財政制度の構造改革につきまして、様々な視点で議論が行われると存じます。これからのこの国の形を展望する上におきまして、地方自治制度は極めて重要な骨格の部分に当たり、こうした視点からも、本調査会におきまして十分ご審議され、検討していただきたいと存ずるところでございます。ありがとうございました。 ○松本小委員長 どうもありがとうございました。それでは、全国市議会議長会の方からお願いします。 ○片山参考人 全国市議会議長会の片山でございます。5番目になりましたら、あれも言われた、これも言われたということで、線を引くことばかりでございまして、私の後のお二人も大変だろうというふうに想像しながらおりました。 27次の折りにも言わせていただきましたが、今回の28次につきまして、地方議会の立場からお話をさせていただきたいと思います。 まず最初に、地方議会の制度改革についてでございますが、この点に関しましては、私ども地方議会当事者といたしましても、本当に真剣に真摯に取り組まなきゃならんというふうに思っております。 第1次地方分権改革では、機関委任事務が廃止されました。条例制定権が大幅に拡大されるなど地方の自由度は認められてきたというふうに思います。ただ残念ながら、地方議会制度に関しましては、ほとんど手つかずのまま現在に至ってございます。私は地方議会制度が分権型社会にふさわしい姿で構築をされなければ、地方分権改革は完結しないというふうに思っております。 本会といたしましては、第26次、27次の地方制度調査会におきましても、重ねて地方議会制度の見直しを主張してまいりました。地方議会の活性化につながる改正はほとんどなされておりません。まことに残念でございます。ただ、今通常国会におきまして、地方議会の定例会の回数制限撤廃を内容といたします地方自治法の改正案が提出されておりますが、私どもにとりましては、このほかにも多くの事項につきまして、制度の本格的な見直しが必要であるというふうに考えております。28次の地方制度調査会では、地方議会制度改革を論点項目に盛り込んでいただき、現行法における規制緩和はもとより、地方自治法の枠にとらわれず、地方議会の機能強化と地方議会の活性化のために、制度改革につきまして包括的に検討され、抜本的な制度改正につながりますような議論をぜひお願いしたいというふうに期待をいたしたいと思います。 なお、私どもといたしましても、議会運営の実態や地方議会の機能強化について調査研究を進め、本調査会の審議の参考となるように分権時代にふさわしい地方議会制度につきまして提言をしたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。 大都市制度につきましては、山出市長が申し上げました。具体的には、指定都市は都道府県並みに、あるいは中核市は指定都市並みに、特例市は中核市並みに、一般市は特例市並みの権限になるようにぜひしていただきますように、さらには、中核市や特例市の指定要件などにつきましても、ご検討をいただければまことにありがたいというふうに思います。 三位一体改革につきましては、重複をいたしますので内容は避けますが、私の印象といたしましても、今回の三位一体改革に関する国の対策につきましては、現場にいる、あるいは地方にいる私にとっては、国の財政再建のみだというイメージが非常に強く、本来、目指すべき地方分権のための三位一体改革にはなっていないというふうに考えておるところでございます。ぜひ今年度、三位一体改革の実施に当たりましては、地方の行政財政運営の実態を踏まえまして、対策を講じていただければありがたいというふうに思います。 以上で私の意見を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○松本小委員長 ありがとうございました。それでは全国町村会の方から。 ○山本参考人 山本でございます。皆さんが大体基本的なお話になっておりましたし、また、必要なことをお話になっておりますので、私は特に町村側の立場からお願いを申し上げたいと思います。 3月1日の総会のときにも申し上げたんですけれども、道州制については、この二重行政の弊害をできるだけ廃止して、道州制に行くようにしたらどうかという意見を申し上げました。どういうことかといいますと、地方には国より支、分、それから部局がございます。これと直接のもとがあって、町村にとってみますと、県に出す、県に申請をする、あるいは国の地方の支局、部局、分局があります。そこへ出す。それがそのまま返事が返ってくるかというと、また東京へ行って、そしてまた県を通じて返ってくるという極めて複雑なやり方をしているんです。ですから、この地方の国の支、分、部局を廃止する。これを全部都道府県へ移譲することによって、道州制へのアクセスができるんじゃないか、そういうふうに思っておりますので、まず道州制のところでは、ぜひとも二重行政の弊害を廃止するという意味と、それから道州制の必要性というものを理論的に整えていくためにも、そういうことをやるべきではないか、そういうふうに思います。ぜひひとつ、この前の1日のときもお話し申し上げてお願いしておきましたが、今日特に強調しておきたいと思います。 それから、この5つの検討項目がございますが、私どもが一番関心が高い、また大事なと思っているのは、地方制度の弾力化でございます。ご承知のように自己決定、自己責任でいろんなことをやっていけると、こういうふうに言われておりますけれども、これが本当にできれば一番私どもの望んでいる地方行政が進めることができるのではないか、そういうふうに思っているところですが、今はまだそういうことはできません。 言い換えますと、いろんな規制が多すぎるからなんです。自由に発想され、そしてそれが自己決定して、自己責任で実施ができるというような規則ではない、規制が多すぎて、それができない。と同時にもう一つは、財源を、私どもから言うと握られて、私どもの自由になる財源なんていうのはその一部しかないわけです。ですから、自由な発想で自由な地方行政を進めていくということは現実には難しいんです。 今度の地方制度調査会というのは、今までの型にはまった地方制度調査会の検討でなくて、発想を変えた大転換をした言い方、そういう考え方で検討していただくことが望ましいんじゃないでしょうか。本当の意味での、言うならば弾力性のある地方行政が進められるような法律も、それからシステムも全部今回は見直しをして、新しい時代に即応するようなものを考えていただくことがいいのではないか、そういうふうに思います。そのためには、いろんなことがあると思いますけれども、この際、勇気を出して、この調査会の皆さんたちが検討していく必要がある、していただきたいというふうに私は思いますので、それだけはぜひひとつお願いを申し上げておきたいと思います。 もし今回それができないとするならば、地方制度の弾力化なんていうことは永遠に来ないんじゃないか、それを私は思っておりますので、どうぞひとつ、地方が本当の意味での自己決定、自己責任ですべてのものが運営できるよう、そして無駄なことを申し上げるようですけれども、日本国民は1億2,763 万人おりますが、同時に、地方にも1億2,763 万人いるんです。ですから、国でやることも地方でやることも同じでなければならん、共通してなければならんということはわかりきっております。1億2,763 万人の人々のために、地方は十分な、言うならば行政的な法的なサービスを行えるようなことが必要である。だから、決められたこと決められた枠内でやるなら誰でもできる。何のために地方があるのかということになっていきます。決められたことをやるのではなくて、ある程度の縛りは必要です。言い換えると、道を誤るようなことをしてはなりませんから縛りは必要ですけれども、それ以外のことは自分の自由な発想によって自由に住民のサービスや地域の振興を図っていくようにすべきではないか。そういうのは思います。これが地方行政の弾力化だと、そういうふうに思いますので、本当の意味での弾力化ができるよう最善のご努力をお願い申し上げておきたいと思います。 さてその次でございますが、前回も申し上げましたが、この税財源の問題でございます。これは地方交付税を削減するな、地方交付税の持っている機能を十分ひとつ今後とも維持してほしいというのは、これは当然のことなんです。そういうことを私どもが、その都度申し上げているのは、何かだんだんそういうものをやめていくぞと、さっき言ったように自分が握っているのだから、地方の要望は聞かないよというのと同じことになるわけですから、交付税制度のことについては、私は申し上げませんけれども、これを廃止するとか、縮小するとかというような考え方の人がおるとするならば、地方を全く考えていない、無視している、そういう考え方だと思います。 ですから、今の三位一体の税制改革で17年までは現行どおりでいくと言われております。18年度から新しい行政財政制度でいくと言われておりますが、幾ら考えても、課税客体の乏しい私どもの町村にはいろんなことをされても、来るものは小さなものしかこないんです。ですから、地方行政の弾力化なんていったって、到底そこには及びません。ですから、そこでお願いを申し上げておきたいのは、地方の町村が本当の意味での住民サービスや地域振興が図られるような行政をさせてあげたいと思うなら、またすべきであると思うならば、財源というものが、それぞれの大小に応じただけの確保をしてあげることが大事じゃないでしょうか。 町村だから、大都市並みの財源をくださいなんて、そんなことは誰も考えておりませんし、また、言ったこともありません。だけども、よく言われます身分相応のものをやる、そのための財源だけは確保してやるというやり方をすべきではないでしょうか。今の考え方で三位一体の行政改革をそのまま進めていったとしますと、私ども町村は、全く財源的な手当がなくなってしまうというおそれがございますので、ここでお願いを申し上げたいのは、交付税はぜひやってもらわなきゃいけませんが、今の所得譲与税だとか、そういうような課税客体の小さい町村に対しては、第2交付税のようなものをつくって、これで補完をして、そして町村の行政が進められるようにしてあげることこそ大事ではないか、そういうふうに思いますので、できれば、ぜひひとつ第2交付税的な性格の財源付与ができるようご検討をぜひともお願いを申し上げておいたい、そういうふうに思います。 それからもう一つですけれども、さっきお話がありましたから、できれば申し上げないようにしようかなと思ったんですけれども、自由な弾力化のところで、今農業委員会だとか、教育委員会だとか、公的なそれぞれの委員会がたくさんあるんです。私どものような小さな町でも、それなりに使う費用というのは膨大な額です。二、三億を超えております。とてもそんな費用負担はできるような状況下ではございません。したがって、今年の私どもの予算編成というのは、もうこれで来年はどうにもなりませんよと、そういうような状況下でございまして、過日、私どもで会議を行いまして、皆さんの意見をお聞きしましたところが悲痛な話ばかりです。こんなに苦渋をなめなきゃならんのか、誰がこういう行財政の状況にしたんだと、こういう意見が非常に多かったんです。 不必要な教育委員会がなぜ今要りますか、農業委員会がどうして必要なんですか、そういうことを考えていただければ、各種委員会がたくさんあります。そういうのはもう要らない時代に入ったんじゃないでしょうか。もし教育のことで意見があるならば、自分の町だけで皆さんと協議をして、独自にその都度こしらえて教育に関しての意見をまとめたらいいじゃないですか。何も教育委員会をつくってこうしなきゃならんという時代ではないと思います。農業委員会もしかりなんです。農業をやるなと言っているんですから、何で農業委員会が要るんですか、だから、そういうような委員会などは廃止してほしいと思いますのでご検討願いたいと思います。 私が申し上げたいのは、たくさんありますけれども、時間の制限もございますから、主なことだけ、私が平素から思っていることだけ申し上げておきましたので、ぜひひとつご採択いただきますよう重ねてお願い申し上げて終わります。 ○松本小委員長 どうもありがとうございました。それでは町村議会議長会からの方からお願いいたします。 ○中川参考人 私は全国町村議会議長会会長の中川でございます。本日は、発言の機会を与えていただきましたことに心からお礼を申し上げたいと思います。 それでは早速でございますが、第28次の地方制度調査会の審議項目についてでありますが、ぜひ地方議会制度のあり方について取り上げていただきたいと存じます。 残念なことに、これまで国の審議会におきましては、地方議会制度について真正面から取り上げ、審議するということはほとんどなかったと思います。そうした中で、平成9年7月の地方分権推進委員会の第2次勧告は、我々、地方議会にとって大変大きなインパクトを与えてまいりました。本会におきましても、この勧告を踏まえ、学識経験者を中心とする研究会を発足させ、平成10年4月に議会の活性化方策を提言したところであります。 幸い、この提言は多くの町村議会において受け入れられ、基本計画等を議会の審議対象にする条例を制定したり、休日、あるいはまた夜間議会を積極的に開催したりといった分権時代に対応した新たな取り組みが見られたところであります。しかしながら、私はそもそも地方分権時代にあって現行の地方議会制度、あるいは議会と長の関係は果たして、このままでいいのか大いに疑問を持っております。特に住民自治の一層の充実が叫ばれている今日、住民の代表である議会に対する規制は余りにも多く厳しいと言わざるを得ません。第28次地方制度調査会においては、ぜひ地方議会制度のあり方について、抜本的かつ包括的にご審議をいただきたいと存じます。 そうした観点に立ったとき、せっかく地方分権推進委員会の第2次勧告で指摘がありながら、今なお未解決の事項があることはまことに残念であります。そうした案件について、一定の方向を示すべきであります。 例を上げてみますと、女性勤労者等の立候補を容易するために必要な環境の整備を進めるとした部分、及び小規模町村における町村総会への移行に触れた部分などであります。まず女性サラリーマン等の立候補を容易にする環境の整備についてでありますが、これは地域社会の幅広い階層を議会に反映するという観点から重要なポイントであると考えます。特にサラリーマンは、いわゆる定時制住民であるだけに、その声はなかなか議会に反映されないという憾みがあります。女性やサラリーマンが安んじて議員になり得る方法として、どのような方法があるのか全省庁的な取り組みが望まれます。 次に、町村総会への移行についてであります。この点については、地方自治法は条例によって設置できる、町村総会には町村の議会に関する規定を準用するとか、規定をしておりません。しかし、これだけの規定では、正直言って実行に移そうにも移せないのではないでしょうか。例えば、町村総会では、選挙権を有する住民は、全員が議員となるものと考えられますが、兼職やあるいは兼業の禁止との関係はどうなるのでしょうか。また、臨時議会の招集とか、議案定数などの要件である定数要件をそのまま準用することになると、かなり厳しい条件であると言わざるを得ません。こういうことを考えた場合に、町村総会ということについては、かなり厳しく、今の時代にはなかなか逆行しているような感がしますので、さらにこの調査会で検討をしていただきたいと思います。 これらの案件にも関係しますが、私はどのようにしたら議会を住民に近いものにできるかについて真剣に検討すべきであると考えます。今回の市町村合併によって基礎的自治体の人口も面積も格段に拡大してまいります。しかし、このことは逆に住民にとって政治はますます遠くなるということを意味します。つまり、このままでは住民は議会に目を向けなくなってくると心配されています。住民自治の危機と言わざるを得ません。ぜひ女性やサラリーマンだけでなく、若者についても立候補しやすい環境の整備、あるいは住民が議会の審議に参加しやすい仕組みといったことについても大いに議論していただきたいと考えます。 本会においては、本年改めて地方議会活性化研究会を設置し、地方分権時代における町村議会のあり方について研究を行うことといたしております。我々の研究の成果を本調査会において、ぜひ参考にしていただきますようお願いを申し上げます。 次に、今調査会の審議項目とされている道州制について一言意見を申し上げます。広域自治体として都道府県に代わり道州制が導入されることになりますと、今までも町村にとって遠い存在である都道府県が、さらに遠い存在になると思われます。道州の職員の官僚化は一層進み、例えば、町村の実態とかけ離れた政策が一方的に押しつけられるといったことが出てこないか懸念されます。またそもそも町村の声が本当にきちんと道州に届くものか、あるいは町村の立場に配慮した補完をちゃんとやってもらえるのか心配であります。道州制の審議に当たっては、こうした町村の心配がないよう、制度的工夫をぜひお願いいたしたいと思います。 最後になりますが、私からも三位一体の改革について一言申し上げます。ご案内のように、町村には税源がほとんどありません。そうした中でも、住民に対し基本的な行政サービスを提供するのが基礎的自治体の務めであります。したがって、そのための財源として地方交付税は不可欠です。ぜひ地方交付税の財源保障機能を堅持するべきと考えます。どうぞよろしくご審議賜りますようお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わります。ありがとうございました。 ○松本小委員長 どうもありがとうございました。それでは、参考人の皆様方からのご意見を踏まえまして、意見交換をお願いしたいと存じます。皆様方、ご質問、ご意見等がございましたらご発言をお願いいたします。 ○林委員 石井知事にお伺いしたいと思いますけれども、道州制の今後のあり方として、全国一斉にやるのと、それから、やれるところからやりましょうという、その2つの選択肢があって、知事はやはり全国一斉に進めるべきであるという具合におっしゃったかと思います。私もそういう形で進めるということが望ましいのだろうというように思うわけですけれども、もし仮に、この道州制を全国一斉に一国一制度で進めていくということになりますと、これはかなりエネルギーが必要だと思うのですね。エネルギーという場合に、地方の側の道州制を全国一斉に進めるのだというエネルギーと、もう一つは、それが整わなければ、場合によっては、国がある程度力を出して、そういう全国一斉の道州制を進めるということを一つの選択肢として、進める上での選択肢として考えざるを得ないことが出てくるかもしれない。その場合に、果たして地方分権としての道州制と言えるのだろうかというようなことを考えたときに、例えば市町村合併も、これは国が進めるということではなくて、自主的合併でなければならないというような声が非常に強かった中で道州制を全国一斉に進めるということでいきますと、やはりどうしても国の役割、あるいはリーダーシップといいますか、イニシアティブといいますか、そういうものが必要になってくるのではないかというようにも思うのですけれども、そのあたりはどのように考えればよろしいのでしょうか、ちょっとお伺いできればと思います。 ○松本小委員長 それでは石井知事お願いいたします。 ○石井参考人 それではお答えをいたしたいと思います。 私が今、意見を述べさせていただきました全国一律の法制度として一斉に導入すべきではないかと申し上げたその背景でございますが、やはりこの問題は、国と地方のあり方そのものを根本的に抜本的に見直していくということが基本でなければいけない。もっと言えば、国の霞が関、あるいは永田町のあり方、ここにも関係してくるような大きな真の地方分権型社会を目指した改革でなければならない、こういう思うわけでありまして、すなわち、国の方におかれましては、外交、防衛、通貨といったような国のあり方そのものの基本にかかわることに限定をされまして、その他の住民に密着した事務は地方に権限、税財源ともに根本的に移譲していただきたい、このことが背景にございます。 したがいまして、このような大きな改革をしていくためには、これはすなわち明治維新あるいは戦後の改革と並ぶような抜本的な根本的な改革になるところでありますので、その一国二制度、話し合いが整ったところから導入するというのではなくて、やはり国民的論議をじっくりと行って、その議論をまとめるには何年か時間がかかることは、もちろん当然想定しておりますけれども、そういったことを経た上で一斉に導入をすべきではないかというふうに考えたところでございまして、逆に言えば、条件が整ったところから導入するとなりますと、非常に混乱するのではないか、すなわち国の事務と地方の事務との関係において、ある地域においては私どもが思っているような大幅な権限移譲、税財源移譲が行われ、その他の地域は今までどおりということになりますと、日本国国家の制度のあり方として、大きな混乱を来すのではないかと考えた次第であります。 したがいまして、そういった論議をしていくためには、先ほど申し上げたとおり時間がかかること、まさに国民的論議が必要であるということが前提でありますけれども、やはり国と地方のあり方、すなわち、これを制度として導入するのは、法律の大改革を国会の方でお認めをいただくということが大前提でありますので、したがって、国のそういう面での理解をいただき、そして国の力強いリーダーシップの下でそれを指導していただく。そういった面におきましては、まさに今総務省の方が大変ご理解いただいて、後押しをしていただいておりますが、さらに言えば、首相官邸が力強いリーダーシップを発揮されまして、このことを前向きに議論していただく。そのことをぜひ、私の方からも強くお願いをいたしたい、このように考えているところでございます。 そのために、特区制度をまず導入してやっていこうじゃないかということも、この議論を国民的議論を展開していく上では大変有意義なことではないか、このように存じております。 ○松本小委員長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。そのほかございますか。紺谷委員どうぞ。 ○紺谷委員 皆さんに、ご意見をお伺いしたいことが2点あるんです。第1点は補助金行政の撤廃を要請なさったにもかかわらず、今回の三位一体というのは、補助金を削減した。本来だったらば、中央の権限を削減して地方に委ねてほしかったところを、補助金だけを削減するという結果になってしまいましたね。そういう事実を踏まえて考えますと、今回の道州制というのも、皆さんの思いというのは、それをきっかけに地方の独自の行政を可能にしたいということであろうかなと思います。しかし、組織とか、仕組みなんていうものはどうでもよくて、その運用の精神が大事ではないでしょうか。より国民のために、より住民のためにという根幹さえ見失わなければ、そして柔軟に運用できるのであれば、どんな仕組みであろうといい方向に持っていけるはずだと思うんです。だから、道州制をきっかけにしたいという気持ちはよくわかりますけれども、補助金行政の撤廃を求めたところが、補助金の撤廃に終わりそうだというような事実を踏まえますと、今回、また組織論でいいのか、本来だったらば、何を地方に任せてほしいのかという皆さん方の意志統一が必要なのではないかと思うんです。だから、何が中央の権限であるべきなのか、何が地方の権限であるべきなのかということの仕分けをきちんとおやりいただいて、その上でコンセンサスをつくって中央に突きつけていただかないと、また一番大事な分権がうやむやになって、結局、財政削減で終わるというような形にならないかなという懸念が強くございます。 第2点は、ここのところちょっと問題になってきております被災者生活再建支援法です。これに関して最後まで粘っていらっしゃるのが、鳥取県の片山知事お一人でありまして、ほかの知事さん方はあきらめちゃった。予算立てした県も37都道府県があるというようなことですし、300 億円程度の拠出で、それが住宅再建に利用できなくても、ないよりはましだよ。いいじゃないかと、前進には違いなんだということで多くの知事さん方が受け入れてしまったと報道されています。結果的には今度も住宅再建には使えないことになりました。 それも財務省の強い抵抗が原因でありまして、例えば、財務省はこういうふうにおっしゃっているらしいです。「資本主義社会で前例のない個人財産の補てんにあたる」と。とんでもない。前回、私、ここで申し上げさせていただいたように、アメリカの ですから、今回の第2の質問はこういうことです。被災者生活再建支援法に関して、どうして皆さん方は一致できないのか、こんな大事な問題で一致できないようでは、今後、道州制のご議論はできるんですかということに関して、ぜひご意見を伺わせてください。 ○松本小委員長 それでは、最初の方は、これは意見でよろしゅうございますね。後の方はご質問として。それでは後の方をすみません。 ○石井参考人 被災者生活再建の住宅の方の再建に関しましてのご質問をいただいたんですが、まず、前提といたしまして、鳥取県のみで他の県があきらめたというお話が冒頭ございましたが、それは事実とは、かなり異なっているご発言ではないかというふうに思います。といいますのも、鳥取県知事さんがおっしゃっていることと、他の知事が言っていることとは基本的には同じだと思います。すなわち、我々知事会としては、ぜひとも住宅再建を対象にしてほしいという意見は、少なくとも一致しているということはご認識をいただきたいと思います。 知事会といたしましては、いろいろ意見はございますけれども、前回、意見が調整できず、また、次回、もう一度集まって、このことにつきまして、再度議論を重ねて意見を集約しようと、このように考えているところでございますが、いろいろ意見がございました。国会議員の方々も非常にご尽力、ご努力をちょうだいいたしまして、原案に対しまして附帯決議を付けて、今後5年以内にこの制度は見直しを含めて検討していく。こういうような決議が付与された。そこまで働きかけをしていただきましたので、それを前提にして、今回、これでやむを得ないのではないだろうか。このような意見と、先ほどの鳥取県知事さんのようなご意見、300 億ではなくて200 億に削減して、カットして供出するということに意志統一しようじゃないか。こういう意見等があったわけでございますが、いずれにいたしましても、再度知事会として意見を集約をしていこうと思っておりますが、その基本といたしまして、ぜひ、これを住宅再建にも国費投入をお認めいただきたい。このことは知事会として、何ら意思が変わっているものではございません。 ○松本小委員長 ありがとうございました。そのほかございますか。 ○紺谷委員 すみません。第1の問題の地方政府として、地方政府に何を権限を委ねてほしいかということに関して、皆さん方で意志統一を図るようなことを、これまでおありだったのか、あるいは今後なさるおつもりであるのかどうかということについて、後でも結構ですから、皆さんのご意見というか、お答えをちょうだいしたいんですが。 ○松本小委員長 皆さんというのは、こちらの各参考人の方ですか。では、市長会長からお答えいただきます。 ○山出参考人 私の方からお話をしたいと思います。国庫補助負担金の廃止・縮減、このことにつきましては、市長会は今、700 の市長がいるわけですが、原則、廃止・縮減に合意がとってございます。そういう意味で、別段当然のことというふうに踏まえておるわけです。もちろん、ご指摘になりましたように、三位一体改革というのは、国の関与を小さくして、そして自由度を増そうということでありまして、そのことについて十分だと思っているかというご質問であるとしたら、私は、到底そのように思っていない。こうお答えをしたいと思います。 具体的なことを申し上げますと、公立保育所の運営費負担金につきまして、一般財源化が図られました。しかし、だといって保育所の施設基準は変えられていませんし、保育士の配置基準も変わっていません。わずかに公立の認可外保育所について、その運営費の基準財政需要額への参入ということが行われたに留まっています。生活保護の負担金につきまして、知事会も市長会も、この問題は全国統一的な仕事であるから、継続して議論しよう、最初からそういう扱いにしたわけですが、厚生労働省はこの負担金をあえて取り上げてきて、なおかつ、国庫負担率を落とすということを昨年提示をしました。これなども私どもにとりますと、まさに嫌がらせでございまして、国の負担を地方に転嫁する以外の何ものでもございません。今、特区申請なるものも行われていますけれども、これも地域の特殊事情に応じた規制緩和の一つの方法でありまして、もっと基本の仕組みそのものを変えなければいけないという点において、特区申請の許可、それはすべてではない、こう申し上げておきたいと思います。 ここに来まして、4兆円の国庫補助負担金の削減ということがありましたばっかりに、議論が矮小化されてきているという思いがあります。したがいまして、私どもはもっと骨太の議論、国と地方の仕事のシェア、税収のシェア、そういう基本に立った議論をしなきゃなりませんし、できるだけ国の関与を少なくして、そして税源を渡す、そういう骨太の議論、基本に立つ議論をやってきかなきゃいかんな。具体的な議論もしながら、同時に基本に立った骨太の議論も同時平行でやっていかなきゃいかんなと、そう思っています。 ○紺谷委員 すみません。一言だけ。説明いただいてありがとうございます。ただ、皆さん方が今回、三位一体改革を十分だとなんて全然思っていらっしゃらないということは百も承知でございます。そういう前例があるにもかかわらず、また、組織論でよろしいんですかということをお尋ねしたわけでありまして、地方に何を任せろと、こういう規制で困っているんだということを具体的にどんどんアピールしていただければと思うんです。私は新聞報道とか、こういうところで勉強させていただいたことを手がかりに、少しずつ勉強させていただいているんですけれども、もともと専門が違いますし、具体的にたくさん教えてほしいんです。これこのとおり中央からの規制で自由な行政ができないんだということを具体的事例でおっしゃっていただくということも含めまして、どんな権限を地方に譲れというポジティブなご議論をいただくというわけにいきませんかということを先ほど申し上げました。 ○松本小委員長 それでは先に手が上がっておりますので、クリスティーヌさん。 ○クリスティーヌ委員 道州制ということになりますと、いつもイメージしますのは、アメリカ合衆国なんです。アメリカで国の仕組みを勉強するときには、2つの制度があるということではなくて、2つの制度が重なりあっているという言い方がよくされるわけなんです。州というのが1つの国であって、53国が一つの傘の中で、また別の国の中に存在しているというふうな認識でアメリカの政府が見られているわけなんです。 今の私が思う基本的な問題というのは、以前も話したことがあるんですけれども、自立した個人が国をつくっているのか、国に対して頼ってくれる国民をつくっているかということで、やはり、国が大きく違うと思うんです。ですので、むしろ道州制と考えたときに、アメリカみたいに53州あって、そして、その上にも1つの国の中で、こうやっておさめていくために、各州というのは、自分の特別な法律もありますし、すべての州が違うわけで、例えば、車の免許証をとるときに、そういうものは州の財政になるわけでなんです。ですから、州が免許証を出すわけです。年金制度というのは、国がソーシャルセキュリティを管轄して、そういうふうに分かれている、非常にすみ分けが違うわけなんです。その中で法律も含めて、そうだと思うんですけれども、国がおさめるものと州がおさめるもの、同時に持っているものもあるわけで、離婚法だって州によって違うわけです。結婚はまた別なわけですし、お酒を飲んでもいい年とか、または運転してもいい年というのも、また州によって違うわけなんです。そうしますと、日本のように縦軸に全く時差のない国の中で、何が一番重要なのかということを考えていかなければいけない、とても大きなポイントだと思うんです。やはり、地方に対する権限というものは、恐らく、国民が自分たちで考えていかなければいけないことで、どれだけ自立した国民たちが納税者として、意識として、私たちが国づくりをしているだということの教育をどこでし始めるのかということが、とても大事だと思うんです。 自分たちの税金は、自分たちが納税者であるわけなので、とられているという認識が未だに日本の国民にあるような気がして、税金がとられているという認識がある以上は、結局、自立するということが非常に難しくて、私たちがおさめているからこそ、私たちの地域では、これだけのサービスは得られるべきなんだという認識に変えていきながら、だんだん変化していかなければいけないんではないかなという感じがするわけなんです。 ですので、恐らく、今、お話がありましたように、現場にいらっしゃる方が一番よくわかっていらっしゃるので、どういうことをされなければいけないかということが1つと、あともう一つは、非常に不思議に思いますのは、市長さんたちがいらっしゃるところで政令指定都市と県の権限というのは非常に似たようなもので、県の中にまた県があるわけですから、道州制といったときに、それを1つにひっくるめたときに、道州制の中で自分たちの地域を自分たちでおさめるわけですけれども、そうすると、例えば、中部地区のように非常に ○松本小委員長 ありがとうございました。先ほどの紺谷先生のお話と今のクリスティーヌさんのおっしゃったお話と多少関係している点もあるようにも思いますが、ひとつ参考人の方の中からお答えいただければと思います。 ○山出参考人 先ほどのお話です。我々に対する随分熱心な激励だというふうに受けとめます。私も先ほどご発言申し上げたとおりに、例えば、中核市で学校の先生の研修権限を持っている。しかし、任免権は持たない。これを何とかすべきだということを申し上げたのは、その1つの事例でございまして、地方6団体は国庫補助負担金の廃止につきましては、原則、合意ができている。志は高く持ちながら、現実処理をしなければいけない。この2つを同時に進める。こういうことについて強い姿勢を持っておる。こう申し上げておきます。 ○松本小委員長 そのほかお答えいただける……、石井知事。 ○石井参考人 先ほどのご質問でございますが、今の金沢市長さんに関連いたしまして申し上げますと、私ども知事会といたしましても、他の地方団体も同じだと思いますが、具体的に国庫補助負担金の見直しを提言いたしております。具体的に申し上げれば、全体の国庫補助負担制度のうち9割方は廃止してくれと全部列記しておりますので、これは公表しておりますから、ぜひ、それをごらんいただければ、我々は何を望んでおるかということは明らかになっていると思います。 精神論が大切だとおっしゃいましたが、私たちも当然、その前提として、これからは基礎自治体の市町村にどんどん権限を移譲しましょう、税源も移譲しましょう。そして、都道府県の方にも国からどんどん移譲してくださいと、こういう構図で提言をいたしておりまして、道州制の議論をこれから行っていく際には、当然、先ほどちょっと申し上げましたが、国の事務は外交とか、防衛とか、通貨、あるいは国の根本的なあり方にかかわるようなことにも限定してほしいということで、より具体的な事務の限定の提言を、これからもしていく予定でございます。 それから、マリクリスティーヌさんからお話がございましたが、私ども道州制ということで議論しておりますのは、連邦制とはちょっと違いますので、独立性は米国よりやや独自の法律をつくったり、あるいは裁判所をつくったり、そういうことではちょっとない、もっと緩やかな形で道州制ということを提言しておりますが、ただ、基本はお話にございましたように、自立ということがキーワードにならなければいけない。各州が自立する。そのために税源等を移譲してもらって、それぞれ地域が特徴のある、独自性のある政策を、産業政策あるいは文化の、あるいは福祉のさまざまな政策を、これから実現できるような、そういう税財源を含めた権限移譲を自立した州に渡していただくべきではないか。こういうことで前回の地方制度調査会の最後の答申にも、そういった趣旨でまとめられたものと、このように承知をいたしておりまして、そういう観点から、これからご議論いただければ幸いに存じております。 ○松本小委員長 山本会長。 ○山本参考人 道州制をすれば、すべてがよくなるということを言ったつもりはありませんが、道州制をやるのには、まず前段でやらなきゃならんことがたくさんあるんですね。私は大雑把に申し上げたんでおわかりにくかったと思うんですけれども、市町村の行政のあり方が、さっき言ったように弾力化すべきだと言っているのは、今の規制でそのままやれと言ったってできないんです。だから、抜本的に改正をしてくれというふうに申し上げたつもりなんです。そうしますと、さっき言ったように、自己決定、自己責任で我々の市町村の行政が進められることになりますと、自ら県の存在価値が変わってくるのです。いわゆる、市町村が独自でやっていくことになりますから、県は言われているように、指導監督などという言葉をよく使うのですけれども、それでやるのだと言っています。だけれども、市町村が自由に、そして何でも思い切ったことができるようになれば、それこそ自己裁量ですべてが処理できるようになれば、県の存在というのは不必要になってくる。 それともう一つ、さっき言ったように、国の出先の機関、いわゆる支局や部局や分局がございまして、それらが二重行政の構造をつくっているわけですから、それを廃止して必要なものは全部地方に移してしまう。どこに移すかというと、もしやるならば道州へ移していくのです。そうしますと、今までの県の行政のやり方と道州制になったときは違ってくるのです。だから、まず何といっても一番初めに解決をしなきゃならないことは、市町村の行政のあり方が現在の規制の中で、あるいは規定の中でやられても、当然、弾力化なんていうのはできません。だから、抜本的に見直しをしてくださいといったのです。 ただ、それがうまくいけば、順調にうまくいけば、今の県の存在価値は薄らぐと思うのです。なくなるとは言いませんけれども、薄らぐと思います。だから、そうなりますと、地方が崩れることになりますから、そこで国の権限、いわゆる、中央へ移している、置いている権限を地方の移していただく、いわゆる県に移していただく、移しますと、自ら、道州制に行かざるを得なくなるんです。そういうふうに言っているんです。 アメリカ方式でやれと言っても難しいかもしれません。日本は日本の伝統的な文化がありますから、それに基づいて道州制をつくっていくことになると思いますので、だから、今よりすべてが抜本的に変えなきゃ、やり方を変えなきゃ、法律を変えない限り、道州制というのは、うまく順調にはいかない。こういうふうに思います。ただ、大きくすればいい、合併をやればいいというだけで、道州制や市町村はよくなるものではありません。ですから、やり方をすべて今回、こういう時期ですから考え直してくださいと、こういうふうに私は申し上げたつもりです。 ご質問をいただいたのと、私が申し上げたことは合っているんじゃないかなと思ったから、あえて発言をさせていただきました。よろしくお願いいたします。 ○松本小委員長 ありがとうございました。もう時間が少なくなりましたが、まだご質問をしたい方もあるようでございますので。西尾委員。 ○西尾委員 地方制度の弾力化のテーマに絞って2点お聞きしたいと思いますけれども、1つは6団体のご意見を伺っておりますと、地方制度の弾力化の具体的なテーマとして、教育委員会、農業委員会といった行政委員会制度の問題と、それから長と議会の関係という問題、この2点にどうも絞られているような感じがするわけです。しかし、地方制度の弾力化といえば、もっとたくさんのテーマがあるわけです。首長と補佐機構の問題とか、あるいは地方公務員制度そのものの問題とか、あるいは地方の自治体の財務会計制度についても、地方自治法等がえらい細かいことを決めているわけです。そういうものも対象だとすれば、検討すべきことは無数にたくさんあるはずなんですけれども、ちょっと、例示があったせいかどうかわかりませんが、長と議会の関係と行政委員会制度に少し集中され過ぎてはいないか。そこでご質問は、今日のご発表はそうなんですが、今後、ここで審議をしていくときに、知事会、市長会、町村会は包括的、抜本的に検討しろとおっしゃっているのですけれども、これだけは絶対検討してねという具体的な項目をそれぞれの会が今後詰めて、この調査会に具体的に出してくださるおつもりはあるのでしょうかというのが第1の質問です。 第2番目は、長と議会の関係に絡みますけれども、この関係を審議していくと、どうしても議会のあり方、議員そのもののあり方という問題に触れざるを得ないと思っているのです。そうすると、議員の選挙制度の問題から議論し、果たして、今の地方議会議員が十分な住民の代表性を持っているだろうか。もっと様々な議員が出るような仕組みにするには、どうしたらいいのだろうかということから検討せざるを得ない。議員定数はこれでいいのかとか、議員の処遇はこれでいいのかとか、その問題に及ばざるを得ないというふうに、私は思うのです。この点は全国町村議会議長会の中川代表が唯一触れられたので、そのおつもりで出していらっしゃるなということがわかったんですが、都道府県議会議長会や市議会議長会は、決してそのことに触れられなかった。今度は長と議会の関係の問題を議論する以上、議会、議員のあり方そのものから議論せざるを得ませんよというお覚悟でいらっしゃるのかどうかということを聞きたいということです。 ○松本小委員長 それでは、最初の質問は全員ということにならなくてもよろしいですね。3首長会全員ということになるのですか。 ○西尾委員 3首長会にお願いします。簡単にで結構です。 ○松本小委員長 それでは、すみません、知事会の方から。 ○石井参考人 第1点でございますが、私、先ほどの意見の中では、教育委員会をはじめということで行政委員会と申し上げたんですが、教育委員会につきましては、少なくとも知事会レベルでも相当数の方々が検討すべきだと、こういうふうに意見が集約されつつありますが、その他の委員会も含めて、知事会としても、これからどういう議論をしていただきたいのか、意見集約をする方向で詰めていきたいというふうに思っております。そして、その場合はまとまりましたら、こちらの当委員会の方に審議についてお願いをさせていただこう、このように考えております。 ○松本小委員長 質問の趣旨は、これだけはどうしても取り上げてもらいたいものをと……。 ○西野委員 もっと具体的に、どこかの時点で、ここへ出してくださるのでしょうかと……。 ○松本小委員長 そういうものを言ってくださいということですね。そういう視点です。 ○石井参考人 わかりました。 ○山出参考人 市長会の方から。市長会の内部におきましても、分権時代の自治体のあり方ということについて検討いたしています。この内部の組織がございまして、検討を始めてございまして、その中では、やはり、行政委員会制度のあり方、教育委員会制度、農業委員会制度、この具体的なあり方について議論が大変熱心でございます。こうした方向は市長会としても重点検討項目だ。こう申し上げておきたいと思います。 加えまして、先ほど来議論が出てきておりますけれども、大都市制度のあり方、そして都道府県と市町村とのあり方、それは権限であったり事務の再配分。このことは道州制とも無関係ではありませんので、都道府県と市町村とのあり方、こういうものも大きい課題でございますし、それから、もう一つ申し上げておきますが、今、地方自治憲章の制定等の議論も出てまいっております。そういたしますと法制度のあり方、法律と条例のあり方、こんなことも取り上げていこうということになってございまして、かなり議論の焦点は、今申し上げたようなことに重点が絞れていく、こう申し上げておきたいと思います。 ○松本小委員長 ありがとうございました。それでは町村会会長さん。 ○山本参考人 お答えになるかどうかわかりませけんけれども、私はこういうふうに思うんです。行政がやっている住民に対しての基礎サービスというのがあるんですね。例えば、戸籍をやるとか、清掃業務をやるとかというのは、これはやらなければ現に生活できませんので、そういうような基礎的なものについては全国共通でいいんですけれども、あとは法律でいろんなことが決められております。それをやっているのが法定事務という、先生ご存じのとおり、だから、そういうものは選択性にすることなんです。これから選択性にしていく。町村ではとても無理ですよ。だから、大きな公会堂をつくりなさいと言っても、町村ではできないわけですから、私の方はそれはできませんよということで、市町村長が選択のできる法定事務というものを決めるべきじゃないかと思います。 それからもう一つは、さっき申し上げたように、それぞれの市町村に応じた財源を確実に確保してやることでしょう。だから、本当は町村別に税収があればいいんですけれども、今の日本の状態ではそんなことはとてもできません。できませんから国税で配分をしているわけですから、それはそれでいいんですけれども、確実に市町村が、地方が運営できるような財源を確保できるようなことを決めていただければ、我々のところの行政というのも、大きいところは大きいなりにやるし、小さいところは小さいなりやっていけるようになると思いますから、突っ込んで、そういうことを検討していただくといいんじゃないでしょうか。だから、これとこれとこれですよというような、そういうような並べているような行政は今できませんので、そういう基礎的なものがきちんと守られていけば、うまくいくんじゃないでしょうか。だから、これはどうするんだと言われればお答えしますけれども、これとこれがこうしていただければこうだというのはいっぱいあるんですよ。それこそ時間がかかってお答えする時間が足らなくなってまいりますから、今私が申し上げたようなことでご判断いただければと思います。 ○松本小委員長 ありがとうございます。 ○石井参考人 西尾先生の話にちょっと付け足しをさせていただきますと、今、申し上げました行政委員会の制度を申し上げたいんですが、それ以外にも様々な地方の制度、行政組織の中の補佐機関等々の制度もこれから検討していただきたいテーマ、知事会のレベルでもいろいろ出てきておりますので、そういったものを今検討する研究会等々が発足しております。まとまり次第、こちらの方にご意見、ご提言ということでご審議いただくことを提案させていただきたいと、このように思っております。 ○松本小委員長 ありがとうございます。それでは議会の方から、先ほどの議会関係の……。 ○中畑参考人 西尾先生の方に若干お答えをしたいなと思っております。 議員の定数の問題や議員の処遇の問題、そして、選挙制度にかかわる問題、それぞれの地域によっても、議員さんによってもいろんな考え方がまちまちなんです。だから、我々も議員の中でもっともっと議論を深めて、どういうふうな形でまとめていくかということも、我々は今後今まで以上にまた議論を深めてまいりたいと思っておりまして、またそれがある程度固まりましたら提言申し上げたいなとは思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。 また、地制調の方におきましても、我々の提言はまだまとまりきっておりませんけれども、本来はこうあるべきじゃないのというような、我々の方へ向けていただくこともぜひしていただいたらありがたいなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。 ○松本小委員長 ありがとうございました。それでは市議長会。 ○片山参考人 先ほど、地方議会も私ども自ら真摯に取り組まなきゃならないと思います冒頭申し上げたというふうに思います。地方の私どもも350 万の横浜と2万、3万の自治体の議会もございます。早い機会に意見をまとめて、地方分権にふさわしい地方議会の制度のあり方についてご提案を申し上げますというふうに申し上げたつもりでございます。具体的には触れておりませんから、触れていないじゃないかというふうにおしかりを受けたかもわかりませんが、実際、私どもは、いろいろ意見がありますので、とりまとめて提言をいたしますというふうに私は申し上げたつもりでございます。ぜひ、そのことをご理解いただきたいと思います。 ○松本小委員長 中川町村議会会長さんもございましたら付け加えてください。 ○中川参考人 一言だけお願いいたします。この地制調において、地方議会制度が検討項目に挙げていただくということになった場合に、先の地方分権推進委員会の第2次勧告の中に、議会の位置付けのように、地方行政体制の整備の枠組みの中に地方議会を位置付けるのではなく、地方議会議員は、政治の場、政治家であるとの認識に立って議論を進めていただきますようお願いを申し上げておきたいというふうに思います。 ○松本小委員長 ありがとうございました。それではまた質問の方を。 ○小早川副会長 今、議会についてのやりとりがございましたので、それに付け加えてちょっと申し上げたいんですが、議会が住民をいかに代表できるような、そういう体制を整えるかということが今のお話でしたけれども、それは別の面から言えば、この分権型社会の中で地方議会がいかなる問題について役割を果たしていくのかということもあるわけです。というか、そっちの方がそれが最終目標かなと思うんですが、今日のお話で、その関連は出てきませんでしたけれども、一番はっきりした話が、税財政問題が三位一体改革を通じて変わっていくという場合に、これは単純な話ですけれども、税源移譲がされれば、地方税については地方議会が権限を持つということになるわけですね。その場合に、今も中川さんがお使いになりましたけれども、地域の政治の主体として議会がそこでどれだけの役割を果たしていくのか。もともと議会というのは、国であれ地方であれ住民の代表ですけれども、それは納税者の代表であるということが非常に強くあるわけですね。納税者の利益を代表しつつ、しかし、そうであると同時に、地域全体の福祉を考えて、その地域のガバナンスをやっていく、そのためには地方税はいかにあるべきかということについて、まさにこれは議会が責任を負って行動しなければならない、そういう問題だと思うんですが、これは質問というわけでもありませんけれども、今後そういった責任をしっかり担っていくという、これまでは制度的な制約がありましたから、これまでの実績を問うということよりは、むしろ今後そういうことをやっていくということのご発言がもう少し伺えたらなという感じをもって今の話を伺っていた次第です。 ○松本小委員長 ご質問ですか、どなたに? ○小早川副会長 特にあれですね、都道府県議長会、市議会議長会あたり税の問題について、どれだけの抱負を持っておられるかということ、もしあったら伺いたい。 ○松本小委員長 中畑会長。 ○中畑参考人 地方議会、我々都道府県議会なんですけれども、言われるご趣旨、ちょっと理解しにくかったかなと思っておるんですが、我々も都道府県議会として住民の意見も十分体しながら、これからも頑張ってまいりたいとしか言いようがないか・・・・・。 ○松本小委員長 ありがとうございました。それでは片山会長。 ○片山参考人 だから制度をつくってほしいとか、こういうことも考えます。要は、私ども地方議会は、今まで以上に地方分権になったときに、首長側もそうですが、足腰を強くして、それに耐えられる、責任を持てる議会の方向を目指していくということが、副会長がおっしゃるように、意思を強く持っていかなきゃならんというふうに、意見集約をいたします。今度、来月には全国市議会議長会の定期総会もございますので、各委員の皆さんから叱咤激励があったというふうにちゃんと皆さんに申し伝えて、よりよい方向にまとめていきたいというふうに思います。 ○松本小委員長 ありがとうございます。中川議長さんありますか。 ○中川参考人 ちょっとそれるかもわかりませんが、いわゆる町村は町村合併ということで今渦の真っただ中にあるわけですが、町村合併というのは、地方にその権限を移譲した場合に、その受け皿として町村合併が必要であるということから出発したというふうに思うんです。そうした中で、その手段的なものが今合併ありきのそうした目的化しておるということになってきておるわけですが、そうした中で、今言われましたように地方に権限が移譲され、地方議会にもそれだけ責任が多くなってくるわけですが、いかんせん、議員の定数の削減、あるいは報酬の削減等々がそれぞれの場で提起されておるわけですが、これを見ますときに、それが逆行しているように感じますので、地方がその責任を担うという責任感を感じれば議員定数、あるいは報酬等についてもご配慮を賜りたいということをお願い申し上げておきたいというふうに思います。 ○松本小委員長 それでは山出会長。 ○山出参考人 地方議会は、とりわけ市町村の場合には、使用料とか手数料とかそういうものはすべて議会で決めるわけであります。条例を制定するわけです。私はここにきまして、いともに簡単に課税自主権と、そういうことが言われます。国会議員の先生方の中にも自由に税金を地方でつくりなさいと、こういうことをおっしゃるわけでありますが、私はこのことについては、ちょっと別なことを思っています。といいますのは、とりわけ市町村には分担金とか負担金、これは税に相応するものです。国民健康保険料と言いますけれども、実質は税金です。これはみんな地方議会が決めています。自由に税金を起こしなさいと言われましても、今までの地方税制度の歴史から見て、法定外の普通税とか、目的税とか、大きいものが市町村でできたためしはありません。まさに私は落ち穂拾いの類だと、そんなふうに思っています。 加えまして、租税法律主義というのは憲法上の原理原則です。これを我々は知らなければなりません。むしろ租税法律主義というものが国会ができた原因ですから、議会制民主主義の原点だったわけでありますから、ここはちょっと慎重でなきゃいけないよ、何でも勝手に税金をつくりなさいという意見が一般的にありますけれども、私は慎重であってほしい、私見ですけれども、そういうことを思います。 ○松本小委員長 ありがとうございます。そのほか委員の先生方からご意見なりご質問なりございますか。 意見も尽きないところでございますが、意見交換はここまでとさせていただきたいと思います。最後に、前回、これは専門小委員会の先生方の対するものでございますけれども、前回の専門小委員会において出ておりました交付税と譲与税の関係について取りまとめましたので、事務局から配付をさせます。 (資料配付)
○松本小委員長 これは前回の専門小委員会のときに、紺谷委員の方から今回、所得譲与税というのができたけれども、一体、地方譲与税と地方交付税はどう違うんだということについて、次回に説明を求めるということで、そういうことがございましたので、ただいま資料を配らせていただいております。紺谷委員、これで、大体この資料でよろしゅうございますか。 ○紺谷委員 まだよくわかりませんけど、勉強の手がかりは得られました。 の松本小委員長 それではそういうことで……。 ○紺谷委員 ちょっと重ねてお聞きしたいことが一、二あるんですが、いいでしょうか。 ○松本小委員長 結構でございます。 ○紺谷委員 簡単に。地方譲与税の方なんですけれども、「本来、地方に属すべき税源であるが、課税技術上の理由等の観点から一般会計を経由しない」と書いてあります。本来地方の財源であり、国の一般会計も経由しないのに、どうして「譲与税」という名前になるのですか。 もう一つは、地方交付税の方なんですけれども、「一般会計を経由してから地方団体に交付」というふうにありますね。これは当初からそうなんでしょうか。 それからもう一つ、「地方公共団体」という言い方をどうしてするんでしょうか。地方税法とか、そういう法律を見させていただいても「地方公共団体」と書いてあるんですけれども、どうして「地方自治体」ないし「地方政府」という名前を使わないのか。「中央政府」、「地方政府」という言葉を使うところから、まず地方自治をご議論いただければいいんじゃないかとついでに思いました。 ○松本小委員長 それでは、今の前段は税務局長から。 ○板倉自治税務局長 ご質問に的確にお答えするのは難しいんですけれども、我々としては、1つのネーミングの問題ではないかと理解をしておりまして、別の呼び方を最初にしておれば、違う名前になっていたかもしれないということだと思います。 ○紺谷委員 今、どの名前のことを、公共団体の方ですか、譲与税の方ですか。 ○板倉自治税務局長 譲与税です。 ○紺谷委員 本来、地方に属すべきであっても、譲与税と言って何らおかしくないですか、私、すごく不思議なネーミングだなと思ったんです。 ○板倉自治税務局長 配布資料に書かれていますように、本来、地方税として地方の税源とすべきものなのですが、地方団体が個別に課税をするということになりますと、大変コストがかかるとか、うまく課税できないとか、税源偏在が非常に大きくなるとか、そういう問題がありますので、一応国が課税をして、それを地方に譲与するということで、譲与税という名前にしたのではないかと考えております。譲与税以外に適当な言葉があるのかということもありますけれども、歴史的にこのような名前を用いているいうことで我々は理解をしております。 ○松本小委員長 次に、行政課長、地方公共団体と地方政府、答えますか。 ○久元行政課長 恐らく、このペーパーは、地方税法、地方交付税法は地方団体という言葉を使っておりますので、それをそのまま使ったのであろうと思います。憲法、それから地方自治法は地方公共団体というふうに言っておりますので、従来から地方制度調査会をはじめとする文書は、地方公共団体という言葉を使っているというふうに承知をしております。 ○紺谷委員 それは承知しているんですけれど、そこを変えるところから始めるというのもいいかなと思ったということでございます。 ○久元行政課長 ご意見として承っておきます。 ○松本小委員長 それでは、本日はいろいろなご意見をいただきまことにありがとうございました。本日いただきましたご意見を踏まえながら審議事項とその論点をまとめていきたいと思います。参考人の皆様方には、大変お忙しいところをありがとうございました。 最後に次回以降の日程について事務局より説明を願います。 ○石川課長 次回は4月26日月曜日午前10時から12時ということで開催いたします。会場につきましては、改めて連絡させていただきます。 ○松本小委員長 それでは、ただいまお話がありましたように、次回は4月26日月曜日午前10時から開催することといたします。会場等につきましては改めて事務局よりご案内いたしますので、よろしくお願いいたします。 以上をもちまして、本日の専門小委員会を閉会いたします。どうもありがとうございました。 閉会
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